(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155437
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20241024BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070147
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】山下 欽也
(72)【発明者】
【氏名】高木 保志
(72)【発明者】
【氏名】上野 和起
(72)【発明者】
【氏名】北野 大
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA01
5F047FA04
5F131AA04
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA70
5F131EA07
5F131EB02
5F131EB54
5F131EB78
5F131EC33
5F131EC74
(57)【要約】
【課題】半導体チップの剥離時に不要チップが飛び散ることを抑制した半導体製造装置を提供する。
【解決手段】ダイシングされて小片に分断された半導体チップを含む略円形のウエハが貼り付けられたダイシングシートから半導体チップを剥離する半導体製造装置101であって、複数の突起部を有するステージ3と、ダイシングシート保持部7と、ステージ3とダイシングシート13の間の空間を真空引きする真空引き手段と、を備え、突起部は、断面視において先細るテーパー部を有し先端がステージ3の中央の略円形の領域である中央部3a1に配置された複数の第1突起部10、および断面視においてテーパーを有さず先端が平面視において中央部3a1を囲う領域である外周部3a2に配置された第2突起部11を含む半導体製造装置101。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングされて小片に分断された半導体チップを含む略円形のウエハが一方の面に貼り付けられたダイシングシートから前記半導体チップを剥離する半導体製造装置であって、
複数の突起部を有し、前記ウエハが前記ダイシングシートを介して前記突起部に支持されて載置されるステージと、
前記ダイシングシートを保持するダイシングシート保持部と、
前記ステージと前記ダイシングシートの間の空間を真空引きする真空引き手段と、を備え、
前記突起部は、断面視において先細るテーパー部を有し先端が平面視において前記ステージの中央の略円形の領域である中央部に配置された複数の第1突起部、および断面視においてテーパーを有さず先端が平面視において前記中央部を囲う外周部に配置された第2突起部を含む半導体製造装置。
【請求項2】
前記第2突起部は平面視において前記中央部を囲んで環状に連続して設けられている請求項1の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第2突起部は平面視において連続せずに複数設けられている請求項1の半導体製造装置。
【請求項4】
隣り合う前記第2突起部の間隙は1mm以下である請求項3の半導体製造装置。
【請求項5】
隣り合う前記第1突起部の先端のピッチは2mm以下である請求項1の半導体製造装置。
【請求項6】
前記ウエハの中央領域には前記半導体チップが配置され、前記中央領域を囲う外周領域には前記半導体チップではない小片である不要チップが配置されており、前記ウエハが前記ステージに配置されたときに、平面視において、少なくとも1つの前記第1突起部の先端は前記半導体チップに重なり、少なくとも1つの前記第2突起部の先端は前記不要チップに重なる請求項1の半導体製造装置。
【請求項7】
平面視において前記中央部の中心と前記中央部の中心から最も遠い位置にある前記第1突起部の先端との距離である第1距離は45±2mm、70±2mm、95±2mm、145±2mm、220±2mmのいずれかである請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
平面視において前記中央部の中心と前記第2突起部の前記中央部の中心から最も遠い位置にある端部との距離である第2距離は、前記第1距離が45±2mmの場合は50mm以上、70±2mmの場合は75mm以上、95±2mmの場合は100mm以上、145±2mmの場合は150mm以上、220±2mmの場合は225mm以上である請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記ダイシングシート保持部は前記ダイシングシートを前記ステージの中央から外周端へ向かう方向に引き伸ばす機能を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記半導体チップを前記ステージから取り上げるピックアップ手段を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造工程においては、ダイシングシート上に貼り付けられたウエハをダイシングして半導体チップを形成し、形成した個々の半導体チップをピックアップ装置によってダイシングシートからピックアップする技術が用いられることがある。
【0003】
特許文献1には、ダイシングシート(特許文献1においては密着層と記載されているがダイシングシートとして用いてもよいとされている。)を介して半導体チップを保持するステージ(ジグ基台)に複数の突起部を設け、ダイシングシートとステージの間を真空引きして突起部が当接している部分以外のダイシングシートを半導体チップから剥離し、ダイシングシートと半導体チップとの密着力を低減させた状態でピックアップする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術においては、ダイシングによってウエハの外周領域に発生するウエハの不要な小片(以降、不要チップと呼ぶ)が真空引きした際にダイシングシートから剥離し、製品となる半導体チップの上に飛び散って傷をつけることがあった。
【0006】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、半導体チップの剥離時におけるダイシングシートからの剥離促進および不要チップが飛び散ることの抑制が可能である半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る半導体製造装置は、ダイシングされて小片に分断された半導体チップを含む略円形のウエハが一方の面に貼り付けられたダイシングシートから半導体チップを剥離する半導体製造装置であって、複数の突起部を有し、ウエハがダイシングシートを介して突起部に支持されて載置されるステージと、ダイシングシートを保持するダイシングシート保持部と、ステージとダイシングシートの間の空間を真空引きする真空引き手段と、を備え、突起部は、断面視において先細るテーパー部を有し先端が平面視においてステージの中央の略円形の領域である中央部に配置された複数の第1突起部、および断面視においてテーパーを有さず先端が平面視において中央部を囲う外周部に配置された第2突起部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ステージに設けられた突起部が、断面視において先細るテーパー部を有し先端が平面視においてステージの中央の略円形の領域である中央部に配置された複数の第1突起部、および断面視においてテーパーを有さず先端が平面視において中央部を囲う外周部に配置された第2突起部を含むことによって、平面視において中央部と重なる半導体チップのダイシングシートからの剥離促進と平面視において外周部と重なる不要チップの飛び散り抑制の両立が可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る半導体製造装置を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体製造装置を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体製造装置の一部を示す平面図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体製造装置の一部を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体製造装置の一部を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る半導体製造工程を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る半導体製造工程を示す断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る半導体製造工程を示す断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る半導体製造工程を示す断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る半導体製造工程を示す断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る半導体製造工程を示す断面図である。
【
図13】実施の形態2に係る半導体製造装置の一部を示す平面図である。
【
図14】実施の形態2に係る半導体製造装置の一部を示す断面図である。
【0010】
本開示においてはステージの半導体チップおよびウエハが載置される側の面を上面、その反対側の面を下面と称する。またステージの下面から上面に向かう方向を上(上方向)、その逆を下(下方向)と称する。また縦方向とはステージの上面と垂直な方向であり、横方向とは縦方向と直交する方向、すなわちステージの上面と平行な方向である。また平面視とはステージの上面と垂直な方向から視た視方であり、断面視とはステージの上面と平行な方向から視た視方である。なおステージの上面に突起部を設けた場合には各突起部の先端を結んで形成される面を仮想の上面として方向を規定する。
【0011】
<実施の形態1>
まず
図1および
図2を用いて実施の形態1に係る半導体製造装置101の概要を説明する。
図1は半導体製造装置101を示す平面図であり、
図2は
図1における半導体製造装置101の断面A―Aにおける断面図である。
図1および
図2に示すように、半導体製造装置101は筐体1、筐体1の内部に配置されたステージ枠2、ステージ枠2の内側に配置されたステージ3および筐体1の外周の上部に設けられたダイシングシート保持部7を有する。筐体1、ステージ枠2、ステージ3およびダイシングシート保持部7は略円形であるウエハの形状に合わせて平面視において略円形となっている。また図示しないがステージ3の上方には搬送ハンドが設けられている。以下で詳細を説明する。
【0012】
ステージ3はダイシングによって複数の半導体チップに分割されたウエハがダイシングシートを介して載置される載置部である。ステージ3のダイシングシートが載置される側の面であるステージ上面3aは第1の方向であるX方向および第1の方向と直交する第2の方向であるY方向と平行方向に広がり、平面視においてウエハよりも大きな略円形を有している。すなわちステージ上面3aは略円形のウエハに対し、ウエハの直径よりも大きな直径の円の外周端を有する略円形である。本開示では、ウエハの形状およびステージの形状が略円形である例を示したが、形状は略円形に限られず、多角形、楕円等でも構わない。
【0013】
さらにステージ上面3aは略円形の中央の領域である中央部3a1と中央部3a1を囲う外周の領域である外周部3a2を有し、
図2に示すように中央部3a1に第1突起部10、外周部3a2に第2突起部11が配置されている。従ってダイシングシートに貼り付けられたウエハがステージ3に載置されるときには、第1突起部10および第2突起部11の先端がダイシングシートに当接し、ダイシングシートを介してウエハを支持することになる。第1突起部10および第2突起部11の詳細については別の図を用いて後述する。
【0014】
ステージ3にはステージ上面3aからステージ上面3aの反対面であるステージ下面3bまで貫通する吸引口4が設けられている。吸引口4のステージ上面3a側は開放され、ステージ下面3b側は吸引チューブ(図示しない)の一端に接続されており、さらに吸引チューブの他方の一端は真空ポンプ(図示しない)に接続されている。真空ポンプが駆動するとステージ上面3aの上方の空気が吸引される。従ってステージ3にダイシングシートを介してウエハが載置された際に真空ポンプが駆動するとステージ上面3aとダイシングシートの間の空間が真空引きされる。なお吸引口4、真空ポンプおよび吸引チューブを設けなくても、ステージ上面3aとダイシングシートの間の空間を真空引きすることができる真空引き手段が設けられていればよい。
【0015】
ステージ枠2はステージ3を囲む枠状、例えば、円筒形状の筐体である。ステージ枠2に囲まれる領域においてステージ3の下部には中軸5の一方の端部が接続され、さらに中軸5の他方の端部はモーターを内蔵するステージ駆動部6と接続されている。ステージ駆動部6のモーターを駆動させることにより、ステージ3をX方向およびY方向と直交する第3の方向であるZ方向に移動させることができる。
【0016】
ダイシングシート保持部7は筐体1の外周の上部に環状に取り付けられており、ウエハが貼り付けられたダイシングシートがステージ3に載置された際にダイシングシートを保持し、かつダイシングシートを外周端の方向、すなわち、略円形のステージ3およびウエハの中心から外側に向かう方向に引っ張る機能を有する機構部である。より具体的に説明すると、ダイシングシート保持部7はフレーム支持部8、フレーム押さえ部9およびフレーム押さえ部9を上下動させるシリンダー(図示しない)を有しており、ダイシングシートの外周部に取り付けられたフレームをフレーム支持部8およびフレーム押さえ部9で挟み込んで保持することができる。
【0017】
さらにフレーム支持部8のダイシングシートと当接する面のZ方向の位置がステージ上面3aに設けられた第1突起部10および第2突起部11の先端の位置より低いため、ダイシングシートを保持したときにフレームの位置が第1突起部10および第2突起部11の先端より低い位置で保持される。その結果ダイシングシート保持部7はダイシングシートをステージ3の中央から外周端に向かう方向に引き伸ばすことになる。
【0018】
次にステージ上面3aの中央部3a1に設けられている第1突起部10および外周部3a2に設けられている第2突起部11について詳細に説明する。
図3は
図1におけるB部、すなわち上方から見たステージ3の中央部3a1と外周部3a2の境界部の一部を拡大して示した平面図である。また
図4は
図3におけるC―C断面における断面図であり、
図2におけるD部の拡大図に相当するものである。なお
図3において中央部3a1と外周部3a2の境界および外周部3a2の外周端は円弧であるが、簡略化して直線で記載している。またステージ枠2は記載していない。
【0019】
図3および
図4に示すように複数の第1突起部10は先端がステージ上面3aの中央部3a1の領域において突出するよう設けられている。または第2突起部11は環状に連続した先端がステージ上面3aの外周部3a2の領域において突出するよう設けられている。すなわち第1突起部10および第2突起部11の先端はそれぞれ中央部3a1および外周部3a2の領域に配置されている。さらに第1突起部10と第2突起部11の先端の高さは同じ高さとなっている。ここで本開示において、第1突起部10および第2突起部11の先端とは各々の突起部のステージ上面3aから突出した側の先端を意味するものとする。なお、第1突起部10と第2突起部11の先端の高さはウエハをダイシングシートを介して保持できる程度の平坦さを提供できればよく、必ずしも第1突起部10と第2突起部11のすべてが互いに同一の高さでなくてもよい。
【0020】
中央部3a1に設けられている第1突起部10についてさらに詳細に説明する。
図3および
図4に示すように第1突起部10は、先端が平面視においてX方向のピッチであるPxおよびY方向のピッチであるPyを有して格子状になるように配置されている。本実施の形態ではPxとPyは等しく、したがって第1突起部10は正方形がなす格子状に配置されている。ただし第1突起部10の平面視における配置位置は
図3で示す配置に限定されず、ウエハがダイシングされて形成される半導体チップのサイズ、ダイシングシートの変形しやすさ、粘着力、真空引き手段の吸引能力などを考慮し適時決めればよい。
【0021】
例えば電力用半導体装置に用いられる半導体チップはチップサイズがおおよそ5mm角~15mm角程度であるが、このサイズの半導体チップに対しては隣り合う第1突起部10の先端のピッチが2mm以下であればよく、望ましくは0.5mm~1.5mmとするとよい。隣り合う第1突起部10の先端のピッチが大きすぎると1つの半導体チップを支持する点が少なくなり、また小さすぎると1つの半導体チップを支持する点の間隔が小さくなり、いずれの場合もダイシングシートから半導体チップが剥離できない剥離ミスが発生しやすくなる。また配置についても正方形を含む矩形の格子状とすることには限定されず、上記ピッチで配置されていればよい。
【0022】
第1突起部10は四角錘の形状を有しており、断面視において先端に向かって先細るテーパー部となっている。第1突起部10の先端はダイシングシートと当接する部分であるため、ダイシングシートと半導体チップを剥離する目的に対しては、ダイシングシートに当接する面積が極力小さく、点で当接する形状であることが望ましい。しかし一方で先端が尖った形状であると当接した際にダイシングシートや半導体チップに傷をつけてダメージを与える可能性がある。このため第1突起部10の先端は
図3および
図4に示すように、必要最小限の範囲で例えばステージ上面3aに平行な平面に面取りされていてもよい。面取りはまたは半球状等であってもよい。
【0023】
なお
図3および
図4に示すように、第1突起部10は四角錐の形状を有しているが、これに限定されず、円錐または三角錐等の角錐であってもよい。また第1突起部10は先端に角錐や円錐の形状の先細るテーパー部を有し、さらにテーパー部より根本側に角柱や円柱の形状の根元部を有してもよい。
【0024】
次にステージ上面3aの外周部3a2に設けられている第2突起部11について詳細に説明する。
図3および
図4に示すようにステージ上面3aの外周部3a2には第2突起部11がステージ上面3aから先端が突出するよう設けられている。第2突起部11は、平面視においては中央部を取り囲む環状の形状であり、また断面視においては図面Z方向にテーパーを備えず、矩形の断面形状を有している。すなわち第2突起部11の先端はステージ上面3aに平行な面の形状を有している。
【0025】
ステージ上面3aの第1突起部10が配置される中央部3a1と第2突起部11が配置される外周部3a2のそれぞれの大きさは製造するウエハのサイズ、およびウエハ上に形成された半導体チップのサイズと配置により適時変更してよい。具体的にはダイシングによってウエハの外周部に発生するウエハの小片であり、製品とはならない不要チップの位置に対応するように外周部3a2を設定し、それより内側の領域を中央部3a1として各々に第2突起部11および第1突起部10を配置すればよい。不要チップについては本開示の作用の説明で後述する。
【0026】
現在、半導体装置の製造において使用されるウエハのサイズは標準化されており、オリフラ部を除くと略円形である外周端の直径は、例えば100mm、150mm、200mm、300mmまたは450mmである。また半導体装置の製造工程においては、例えばウエハの外周端から3~5mm内側までの領域は製品とならない不要チップが発生しやすくなると共に製造プロセスのばらつきなどの問題で製品仕様を満たすことが難しくなるため、無効領域として製品となる半導体チップが配置されないことがある。
【0027】
これらを考慮すると、前述したように標準化された各サイズのウエハに対して、例えば中央部3a1を直径が92±2mm、142±2mm、192±2mm、292±2mm、442±2mmのいずれかの略円形とする。そして第1突起部10については中央部3a1の外周端から中心に向かう方向において外周端の内側2mm以内の領域にもっとも外側にある第1突起部10の先端が位置するように配置するとよい。すなわち中央部3a1の中心と中央部3a1の中心から最も遠い位置にある第1突起部10の先端との距離を第1距離とすると、第1距離を45±2mm、70±2mm、95±2mm、145±2mm、220±2mmのいずれかにするとよい。
【0028】
また第2突起部11については平面視において中央部3a1の中心から最も遠い位置にある第2突起部11の端部がそれぞれのウエハサイズに対してウエハの外周端よりも外側となるように配置すればよい。すなわち中央部3a1の中心と中央部3a1の中心から最も遠い位置にある第2突起部11の端部との距離を第2距離とすると、第2距離を第1距離が45±2mmの場合は50mm以上、70±2mmの場合は75mm以上、95±2mmの場合は100mm以上、145±2mmの場合は150mm以上、220±2mmの場合は225mm以上とすればよい。これらの配置により半導体チップは中央部3a1に重なって載置され、不要チップは外周部3a2に重なって配置される。
【0029】
第1突起部10および第2突起部11はステージ3に別途作成した突起部となる部材を取り付けて設けてもよく、またステージ3の上面を加工して直接形成してもよい。第1突起部10および第2突起部11をステージ3と分離可能な部材とし、ステージ3に取り付ける際の取り付け方法を例えばネジを使用した方法としておくと、ステージ3から個々に脱着することが可能となり、突起部の形状、配置間隔、配置数などを状況に応じて変更することが可能となる。
【0030】
図3および
図4に示すようにステージ3には吸引口4が設けられているが、吸引口4はステージ上面3aの面内の広範囲に分散して複数個が設けられていてもよい。分散して設けられると、真空引きする際にステージ上面3aとダイシングシートの間の空間をより均一に真空引きをすることができる。また吸引口4の平面視における形状は円形でもよく、また矩形やスリット形状でもよい。
【0031】
さらに真空引きを効率的に行うためにステージ上面3aの各々の第1突起部10および第2突起部11の間に真空引きする際の排気の経路となる真空溝15が設けられていてもよい。
図5は
図4で示したステージ3に対して真空溝15を追加して設けたステージ3の断面を示す断面図である。この真空溝15はX方向またはY方向のいずれか一方の方向に延在するように設けられていてもよく、格子状に設けられていてもよい。また断面視において複数個の突起部に対して1本の真空溝15が設けられていてもよい。真空溝15の機能の詳細については半導体製造装置101を使用した半導体装置の製造方法の説明の中で後述する。
【0032】
最後に搬送ハンド(図示しない)について説明する。搬送ハンドはステージ3に載置されたダイシングシートに貼り付けられた半導体チップをピックアップするピックアップ手段である。搬送ハンドは例えば先端に吸着パッドが取り付けられたアーム部を備えており、吸着パッドで半導体チップを吸着し、保持しながらピックアップすることができる。搬送ハンドは半導体製造装置101の一部として設けられていてもよく、また別の装置、例えば次工程の製造装置に組み込まれていてもよく、また単独の搬送ロボットに組み込まれていてもよい。
【0033】
実施の形態1の半導体製造装置101の作用および効果の説明にあたり、まず半導体製造装置101を使用した半導体装置の製造方法について説明する。ここで説明する半導体装置の製造方法はダイシングによって形成された個々の半導体チップとダイシングシートを剥離し、半導体チップをピックアップする製造工程に対応するものである。
【0034】
図6は搬入工程後の製造工程を模式的に示す断面図である。また
図7は
図6におけるE部を拡大した断面図である。まずウエハ12及びダイシングシート13を半導体製造装置101に搬入する搬入工程が行われる。ウエハ12は
図6においては簡略化して記載しているが、実際は前工程のダイシング工程においてダイシングシート13の上面に貼り付けられた状態でダイシングされている。すなわちウエハ12は
図7に示すように、製品となる半導体チップ12a、半導体チップ12aと同じサイズであるが製品とならない不要チップ12b、そして半導体チップ12aより小さいサイズであり製品とならない不要チップ12cに分割されている。不要チップ12bは半導体チップ12aと同じサイズであるが、ウエハ12の外周端付近に面付されたため、品質管理上のリスクから製品とされないものである。これらは搬入工程において、ダイシングシート13に貼り付けられた状態のまま、半導体装置101に搬送され、ダイシングシート13を介してステージ3の第1突起部10および第2突起部11に支持されて載置される。
【0035】
ダイシングシート13は一方の面に粘着性を有する粘着シートであり、例えばポリオレフィンを含む基材にアクリル系の粘着剤が付与された樹脂製のシートである。ダイシングシート13はダイシングのときに、ウエハ12が動かないように固定し、さらにダイシングで分割された半導体チップ12a、不要チップ12bおよび不要チップ12cが剥離して散らばらないように固定するために必要な強度の粘着性を有している。
【0036】
ダイシングシート13のウエハ12が貼付けられている領域より外側の領域の上面にはフレーム14が取り付けられている。ダイシングシート13の搬送や装置内での保持の際にはこのフレーム14を利用する。
【0037】
図8はダイシングシート保持工程後の製造工程を模式的に示す断面図である。また
図9は
図8におけるF部を拡大した断面図である。搬入工程の次にはダイシングシート13を保持し、外側に引っ張るダイシングシート保持工程が実施される。搬入工程でダイシングシート13が装置に搬入されると筐体1の外周部に取り付けられたダイシングシート保持部7のフレーム押さえ部9が下降し、フレーム支持部8とフレーム押さえ部9とでフレーム14を挟み込むことによってダイシングシート13を保持する。
【0038】
ダイシングシート保持工程によりダイシングシート13はステージ上面3aの上方に載置された状態から動かないように保持されるが、フレーム14がステージ面3aよりも低い位置で保持されるため、ダイシングシート13が略円形のステージ3およびウエハの中心から外周端にむかって引っ張られる状態となる。すると弾性を有するダイシングシート13が外周端の方向に向けて引き伸ばされ、隣り合う半導体チップ12a、不要チップ12bおよび不要チップ12cの間の間隔が広がってピックアップする際にチップ同士が干渉する不具合が抑制される。
【0039】
図10は剥離工程後の製造工程を模式的に示す断面図である。また
図11は
図10におけるG部を拡大した断面図である。ダイシングシート保持工程の次にダイシングシート13から半導体チップ12aを剥離する剥離工程が実施される。
図10は剥離工程後の製造工程を模式的に示す断面図である。また
図11は
図10におけるG部を拡大した断面図である。ダイシングシート13が保持された状態で真空ポンプが動作するとダイシングシート13とステージ上面3aの間の空間が真空引きされ、
図11に示すように第1突起部10および第2突起部11の先端が当接している部分以外のダイシングシート13が吸引されてステージ上面3aに近づく方向に変形する。
【0040】
ここでステージ上面3aの中央部3a1においては第1突起部10が配置されており、その領域には主に製品となる半導体チップ12aが載置される。このため、真空引きがなされると第1突起部10の先端が当接している部分以外のダイシングシート13がステージ上面3aに近づく方向に変形し、半導体チップ12aの裏面から剥離される。
【0041】
半導体チップ12aのサイズに対して第1突起部10の配置のピッチが大きいと1つの半導体チップ12aに当接する第1突起部10が少なくなる。このような場合、ダイシングシート13の変形にともなって半導体チップ12aが隣り合う第1突起部10の間に落ち込んで傾き、ダイシングシート13の剥離に失敗することがある。また逆に半導体チップ12aのサイズに対して第1突起部10の配置のピッチが小さいと隣り合う第1突起部10の間の領域が狭くなり、ダイシングシート13の変形が抑制されてダイシングシート13の剥離に失敗することがある。中央部3a1においては不要チップ12cのようなサイズの小さいものが載置されないため、第1突起部10の配置間隔を半導体チップ12aのサイズに合わせて最適化することができる。
【0042】
その一方で、ステージ上面3aの外周部3a2においては第2突起部11が配置されており、その領域には主に製品とならない不要チップ12bおよび不要チップ12cが載置される。外周部3a2においてダイシングシート13は第2突起部11の先端の面に当接して変形せず、不要チップ12bおよび不要チップ12cとダイシングシート13とが剥離しにくい。特に本実施の形態では第2突起部11を環状に連続して設けており、ウエハ12と平坦な面で当接することから、不要チップ12cの大きさが小さくても剥離することなくダイシングシート13に貼り付いた状態で保持することができる。
【0043】
図11において、ダイシングシート13は中央部3a1で第1突起部10の形状に追従して完全に吸着された状態となっている。しかし必ずしもこのように完全に吸着されていなくてもよく、第1突起部10の先端が当接している部分以外の領域でダイシングシート13が半導体チップ13の下面から剥離されるまでステージ上面3aに近づく方向に変形していればよい。
【0044】
なお、ダイシング-ト13がステージ上面3aに完全に吸着されてしまうと、吸引口4を塞いでしまい、ステージ上面3aの面内の一部に十分に真空引きがされない領域が残ってしまうことがある。このような場合に、
図5に示したように真空溝15を設けておくと中央部3a1においてダイシングシート13が第1突起部10に完全に吸着した場合であっても真空引きの際に空気が排出される経路を確保することができる。この真空溝15をステージ上面3aの広い領域に設けることにより、ステージ上面3aとダイシングシート13の間の空間を面内で均一に真空引きすることが可能となる。
【0045】
剥離工程の後、半導体チップ12aをダイシングシート13からピックアップし、装置外に搬出するピックアップ工程が行われる。ピックアップ工程は例えば吸着パッドを有する搬送ハンドで半導体チップ13の上面を吸着し、上方に持ち上げてダイシングシート13から剥離した後、次工程へ向かう搬送ラックに収納する工程である。ピックアップに入る前の剥離工程の時点で半導体チップ12aとダイシングシート13は第1突起部10の先端が当接している箇所以外の領域で剥離されており、第1突起部10の先端が当接している箇所のみで貼付け保持されている状態となっている。従って搬出ハンドは半導体チップ12aを小さい力で容易にピックアップすることができる。
【0046】
実施の形態1の半導体製造装置101の作用を説明する。説明にあたり、ウエハ12の構成について詳細に説明する。
図12はダイシングシート13に貼り付けられてダイシングされたウエハ12を上から見た平面図である。ウエハ12は
図12に示すように、前工程のダイシング工程においてダイシングシート13の上面に貼り付けられた状態でX方向およびX方向と直交するY方向に延伸するダイシングラインでダイシングされ、製品となる矩形の半導体チップ12a、半導体チップ12aと同じサイズの矩形であるが製品とならない不要チップ12b、そして半導体チップ12aより小さいサイズで矩形ではなく、製品とならない不要チップ12cに分断されている。半導体チップ12a、不要チップ12bおよび不要チップ12cの間の領域はダイシングラインであり、ダイシング後にはウエハ12が除去された空隙部になっている。
【0047】
半導体装置の製造にあたり、ウエハ12には略円形の境界線16が設定され、境界線16より内側の中央領域は製品を配置することができる有効領域となる。またこの境界線16より外側の外周領域は製造プロセスのばらつきなどから品質管理上のリスクがあり、製品となるチップを配置することができない無効領域となる。
図12に示すように、不要チップ12bは半導体チップ12aと同じサイズであるが、チップの全てまたは一部が境界線16より外側の無効領域にあるため製品とはならないものである。また不要チップ12cはウエハ12の最外周にあって境界線16より外側の無効領域にあるだけでなく、チップサイズが半導体チップ12aより小さいサイズとなって製品とはならないものである。ウエハ12の外周領域の幅は製品の仕様などで異なるが、例えば3~5mm程度で設定される。すなわち境界線16は略円形のウエハ12に対し直径が6~10mm程度小さい略円形で設定される。
【0048】
半導体製造装置101は、ステージ上面3aの中央部3a1にテーパー部を有する第1突起部10が配置され、ステージ上面3aの外周部3a2にテーパーを有さない第2突起部11が配置されている。中央部3a1においては半導体チップ12aに対して第1突起部10が点で当接する。その結果、半導体チップ12aがダイシングシート13の変形にともなって傾くことなく第1突起部10によって保持され、その一方で第1突起部10が当接している点と点の間の領域においてダイシングシート13と半導体チップ12aの剥離がされやすくなるという作用がある。
【0049】
その一方で外周部3a2においてはウエハ12の外周領域に発生する不要チップ12bおよび不要チップ12cに対してテーパーを有さない第2突起部11が面で当接することにより、真空引きでダイシングシート13の変形が抑えられ、意図しない剥離が抑制される作用がある。特に不要チップ12cは半導体チップ12aと比較してサイズが小さいが、第2突起部11が面で当接するために意図せずに剥離することが抑制される。
【0050】
次に実施の形態1の半導体製造装置101の効果を説明する。ダイシングにより発生する不要チップ12bおよび不要チップ12cは製品として使用されることはなく、ダイシングシート13に貼り付けられたまま別途処分する工程に送られる。しかし不要チップ12cは半導体チップ12aと比較してサイズが小さいため、ダイシングシート13から意図せずに剥離しやすい傾向がある。特に従来技術のように不要チップ12cがテーパーの形状を有する突起部に点で当接して支持された状態で真空引きがなされると、ダイシングシート13が変形したときに剥離してしまうことがある。不要チップ12cが剥離すると、周辺の製品となる半導体チップ12aの上に飛び散り、傷をつけるチップ飛散不具合が発生することがある。
【0051】
実施の形態1の半導体製造装置101は、ウエハ12の境界線16より内側の中央領域に対応するようにステージ上面3aの中央部3a1にテーパー部を有する第1突起部10を設けてウエハ12の中央領域に配置された半導体チップ12aのダイシングシート13からの剥離を促進し、剥離ミスを抑制する効果を奏する。そしてその一方で境界線16よりも外側の外周領域に対応するようにステージ上面3aの外周部3a2にテーパーを有さない第2突起部11を設けてウエハ12の外周領域に発生する不要チップ12cの意図しない剥離を低減し、チップ飛散不具合を抑制する効果を奏する。
【0052】
<実施の形態2>
図13および
図14を用いて実施の形態2に係る半導体製造装置の概要を説明する。
図13は上方から見たステージ3の中央部3a1と外周部3a2の境界部の一部であるH部を示す平面図である。H部は実施の形態1の
図1におけるB部に相当し、
図13は、実施の形態1の
図3に相当する。また
図14は
図13におけるI―I断面の断面図であり、実施の形態1の
図4に相当する。なお
図13において中央部3a1と外周部3a2の境界および外周部3a2の外周端は円弧であるが、簡略化して直線で記載している。
【0053】
実施の形態2の半導体製造装置は実施の形態1と同様にステージ上面3aとダイシングシート13の間の空間を真空引きし、半導体チップ12aとダイシングシート13を剥離するものである。ただし実施の形態1ではステージ上面3aの中央部3a1にテーパー部を有する第1突起部10を有し、外周部3a2にテーパーを有さず、平面視で環状に連続している第2突起部11を有するのに対し、実施の形態2に係る半導体製造装置では実施の形態1と同様にステージ上面3aの中央部3a1にテーパー部を有する第1突起部10を有しながら、外周部3a2にテーパーを有さない複数の第2突起部17を備えている。以下で詳細を説明する。なお実施の形態1と重複する同様の構成についてはその説明を省略することがある。
【0054】
図13および
図14に示すようにステージ上面3aの中央部3a1には実施の形態1と同様に複数の第1突起部10がステージ上面3aから先端が突出するよう設けられている。第1突起部10の配置についても実施の形態1と同様であり、隣り合う第1突起部10のピッチが2mm以下であればよく、望ましくは0.5mm~1.5mmとするとよい。
【0055】
その一方で、ステージ上面3aの外周部3a2には四角柱の形状を有する複数の第2突起部17がステージ上面3aから先端が突出するよう設けられている。隣り合う第2突起部17の間の隙間、すなわち間隙であるSxおよびSyは1mm以下であり、かつ中央部3a1における第1突起部10のピッチPxおよびPyよりも小さい寸法となっている。なお第2突起部17は四角柱に限らず円柱や三角柱などの角柱であってよい。
【0056】
第1突起部10と第2突起部17の先端の高さは、例えば、同じ高さとなっている。ここで本開示においては、第1突起部10および第2突起部17の先端とは突起部のステージ上面3aから突出した側の先端を意味するものとする。なお、第1突起部10と第2突起部17の先端の高さはウエハ12をダイシングシート13を介して保持できる程度の平坦さを提供できればよく、必ずしも第1突起部10と第2突起部17のすべてが互いに同一の高さでなくてもよい。
【0057】
第1突起部10と第2突起部17の配置位置については実施の形態1と同様である。すなわち各標準サイズのウエハに対応し、第1突起部10の配置については、平面視において中央部3a1の中心と中央部3a1の中心から最も遠い位置にある第1突起部10の先端との距離である第1距離を45±2mm、70±2mm、95±2mm、145±2mm、220±2mmのいずれかとすればよい。また第2突起部17の配置については、平面視において中央部3a1の中心と中央部3a1の中心から最も遠い位置にある第2突起部17の端部との距離である第2距離をそれぞれ第1距離が45±2mmの場合は50mm以上、70±2mmの場合は75mm以上、95±2mmの場合は100mm以上、145±2mmの場合は150mm以上、220±2mmの場合は225mm以上とすればよい。
【0058】
実施の形態2の半導体製造装置102の効果について説明する。実施の形態2において、中央部3a1は実施の形態1と同様の構成を有しており、第1突起部10aが当接している間の領域においてダイシングシート13と半導体チップ12aの剥離がされやすい(剥離ミスが生じにくい)作用を有している。また外周部3a2においてはウエハ12の外周領域に発生する不要チップ12bおよび不要チップ12cに対してテーパーを有さない第2突起部17が面で当接することにより、真空引きで不要チップ12bおよび不要チップ12cと接するダイシングシート13の変形が抑えられるため、意図しない剥離が抑制される作用がある。
【0059】
ただし実施の形態2においては外周部3a2において第2突起部17が連続して設けられておらず、隣り合う第2突起部17の間に隙間がある。この隙間が真空引きをした際の排気の経路となって第2突起部17の先端の面にエアだまりができることを抑制し、第2突起部17の先端の面とダイシングシート13が隙間なく密着して意図しない剥離を抑制することができる。なお第2突起部17の間の隙間が大きいと真空引きした際にダイシングシート13がその隙間に入り込むように変形し、不要チップ12bおよび不要チップ12cが意図せずに剥離する可能性がある。そのため隣り合う第2突起部17の間の隙間、すなわち間隙であるSxおよびSyをそれぞれ1mm以下とするとダイシングシート13の変形が小さくなり、不要チップ12bおよび不要チップ12cの剥離を抑え、チップ飛散不具合を抑制する効果を奏する。
【0060】
本開示のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものである。その要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また各実施の形態は組み合わせすることが可能である。また、本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0061】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0062】
(付記1)
ダイシングされて小片に分断された半導体チップを含む略円形のウエハが一方の面に貼り付けられたダイシングシートから前記半導体チップを剥離する半導体製造装置であって、
複数の突起部を有し、前記ウエハが前記ダイシングシートを介して前記突起部に支持されて載置されるステージと、
前記ダイシングシートを保持するダイシングシート保持部と、
前記ステージと前記ダイシングシートの間の空間を真空引きする真空引き手段と、を備え、
前記突起部は、断面視において先細るテーパー部を有し先端が平面視において前記ステージの中央の略円形の領域である中央部に配置された複数の第1突起部、および断面視においてテーパーを有さず先端が平面視において前記中央部を囲う領域である外周部に配置された第2突起部を含む半導体製造装置。
(付記2)
前記第2突起部は平面視において前記中央部を囲んで環状に連続して設けられている付記1の半導体製造装置。
(付記3)
前記第2突起部は平面視において連続せずに複数設けられている付記1の半導体製造装置。
(付記4)
隣り合う前記第2突起部の間隙は1mm以下である付記3の半導体製造装置。
(付記5)
隣り合う前記第1突起部の先端のピッチは2mm以下である付記1~4のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
(付記6)
前記ウエハの中央領域には前記半導体チップが配置され、前記中央領域を囲う外周領域には前記半導体チップではない小片である不要チップが配置されており、前記ウエハが前記ステージに載置されたときに、平面視において、少なくとも1つの前記第1突起部の先端は前記半導体チップに重なり、少なくとも1つの前記第2突起部の先端は前記不要チップに重なる付記1~5のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
(付記7)
平面視において前記中央部の中心と前記中央部の中心から最も遠い位置にある前記第1突起部の先端との距離である第1距離は45±2mm、70±2mm、95±2mm、145±2mm、220±2mmのいずれかである付記1~6のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
(付記8)
平面視において前記中央部の中心と前記中央部の中心から最も遠い位置にある前記第2突起部の端部との距離である第2距離は前記第1距離が45±2mmの場合は50mm以上、70±2mmの場合は75mm以上、95±2mmの場合は100mm以上、145±2mmの場合は150mm以上、220±2mmの場合は225mm以上である付記7に記載の半導体製造装置。
(付記9)
前記ダイシングシート保持部は前記ダイシングシートを前記ステージの中央から外周端へ向かう方向に引き伸ばす機能を有する付記1~8のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
(付記10)
前記半導体チップを前記ステージから取り上げるピックアップ手段を有する付記1~9のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【符号の説明】
【0063】
3 ステージ、7 ダイシングシート保持部、10 第1突起部、11、17 第2突起部、12 ウエハ、12a 半導体チップ、12b、12c 不要チップ、13 ダイシングシート