(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155456
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】磁気情報自動修復装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/08 20060101AFI20241024BHJP
G07D 11/10 20190101ALI20241024BHJP
G06Q 20/18 20120101ALI20241024BHJP
【FI】
G06K7/08 040
G07D11/10
G06Q20/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070191
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】国兼 裕
(72)【発明者】
【氏名】佐渡 真治
【テーマコード(参考)】
3E141
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E141AA03
3E141BA07
3E141DA10
3E141FJ02
5L020AA39
5L055AA39
(57)【要約】
【課題】 媒体に備わる磁気ストライプに異常が生じた場合でも、効率的に磁気ストライプ情報を自動修復できる磁気情報自動修復装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、媒体に備わる磁気情報格納部の磁気情報の自動修復を行う磁気情報自動修復装置であって、前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取る磁気読取部と、前記磁気情報格納部の磁気出力を検出する磁気レベル検出部と、前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際、前記磁気レベル検出部を用いて検出した磁気出力が弱い場合、前記磁気情報格納部が所定の条件に合致するか否かを確認した上で、磁気情報の自動修復を行う制御部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に備わる磁気情報格納部の磁気情報の自動修復を行う磁気情報自動修復装置であって、
前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取る磁気読取部と、
前記磁気情報格納部の磁気出力を検出する磁気レベル検出部と、
前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際、前記磁気レベル検出部を用いて検出した磁気出力が弱い場合、前記磁気情報格納部が所定の条件に合致するか否かを確認した上で、磁気情報の自動修復を行う制御部と
を有することを特徴とする磁気情報自動修復装置。
【請求項2】
前記媒体の磁気情報の書き込みを行う磁気書込部をさらに有し、
前記制御部は、
前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際の磁気出力が第1の基準値未満だった場合、前記磁気書込部を用いて、前記磁気情報格納部に第1の磁気情報の書き込みを行い、
書き込みの際、前記磁気レベル検出部を用いて検出した磁気出力と、前記第1の基準値とを比較し、その結果に応じて前記磁気情報格納部の物理的な破損の有無を確認する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項3】
前記第1の磁気情報は、前記磁気読取部で正常に読み取れないように生成された情報であることを特徴とする請求項2に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記磁気情報格納部に前記第1の磁気情報の書き込みを行った際の磁気出力が前記第1の基準値未満の場合、復元情報である第2の磁気情報の書き込みを行うことで、前記磁気情報格納部の磁気情報の自動修復を行うことを特徴とする請求項2に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項5】
前記磁気情報格納部の前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際の磁気出力から、磁気情報が部分的に破損していると解することができる場合でも前記磁気情報格納部の物理的な破損の有無を確認した上で、磁気情報の自動修復を行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項6】
前記媒体はキャッシュカード又は通帳であり、
前記磁気情報自動修復装置は、前記媒体を用いて所定の取引を行う自動取引装置であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項7】
前記磁気レベル検出部が検出した前記磁気情報格納部全般の磁気出力が弱い場合、前記制御部は、前記所定の条件に合致するか否かを確認することを特徴とする請求項1に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項8】
前記所定の条件に合致するか否かの確認は、前記磁気情報格納部の物理的な破損の有無の確認であることを特徴とする請求項7に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際、前記磁気レベル検出部を用いて検出した磁気出力が弱い場合、前記磁気情報格納部の有無を確認することを特徴とする請求項1に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項10】
前記所定の条件に合致するか否かの確認は、前記磁気情報格納部の有無の確認であることを特徴とする請求項7に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項11】
前記磁気情報格納部の物理的な破損の有無の確認は、磁気書込部による前記磁気情報格納部へ第1の磁気情報の書き込み結果を基にする、請求項8に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項12】
前記磁気情報格納部の有無の確認は、磁気書込部による前記磁気情報格納部へ第1の磁気情報の書き込み結果を基にする請求項10に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項13】
前記第1の磁気情報は、前記磁気読取部で正常に読み取れないように生成された情報であることを特徴とする請求項11又は12に記載の磁気情報自動修復装置。
【請求項14】
媒体に備わる磁気情報格納部の磁気情報の自動修復を行う磁気情報自動修復装置であって、
前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取る磁気読取部と、
前記磁気情報格納部の磁気出力を検出する磁気レベル検出部と、
前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際、前記磁気情報格納部全般の磁気出力が弱い場合、磁気情報の自動修復を行う制御部と
を有することを特徴とする磁気情報自動修復装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報自動修復装置に関し、例えば、キャッシュカードや通帳等の媒体に備わる磁気ストライプの磁気情報の自動修復を行う装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、キャッシュカード(以下、「ICキャッシュカード」を含む)などの磁気カードや通帳等の媒体には磁気情報格納部として磁気ストライプが備わっている。これら媒体の磁気ストライプは、磁石の影響(接近)で磁気が部分的又は全体的に弱まることがある。特に最近は、財布やバッグ等に加えて、スマートフォン、タブレット等の電子機器やそのケース類に磁石を内蔵した製品が多数流通しており、磁気ストライプ情報の磁気が弱まるリスクが増大している。
【0003】
媒体の磁気ストライプ情報の磁気が弱くなった場合、ATM(Automatic Teller Machine)で取引を行うことができないため、金融機関の窓口でキャッシュカード等を再発行する手続きをしなければならない(即ち、窓口業務の負担が大きい。手数料が発生する。)。この問題を解決するために、特許文献1では、キャッシュカードの磁気ストライプ情報をATM上で自動的に修復して取引を開始させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術は、ATMにキャッシュカードを挿入し、磁気ストライプ情報の読み取りができない場合、顧客から自動修復を行う意志を確認後、磁気ストライプの書き換えを行っていた。
【0006】
しかしながら、磁気ストライプが物理的に破壊されていなくても磁気が完全に弱くなっている場合には磁気情報読み込み時に磁気出力が全く読み取れず、磁気ストライプがないように見えてしまい、自動修復できるのに磁気ストライプが無いものとして窓口に誘導されてしまうことがあった。
【0007】
そのため、媒体に備わる磁気ストライプに異常が生じた場合でも、効率的に磁気ストライプ情報を自動修復できる磁気情報自動修復装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、媒体に備わる磁気情報格納部の磁気情報の自動修復を行う磁気情報自動修復装置であって、(1)前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取る磁気読取部と、(2)前記磁気情報格納部の磁気出力を検出する磁気レベル検出部と、(3)前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際、前記磁気レベル検出部を用いて検出した磁気出力が弱い場合、前記磁気情報格納部が所定の条件に合致するか否かを確認した上で、磁気情報の自動修復を行う制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明は、媒体に備わる磁気情報格納部の磁気情報の自動修復を行う磁気情報自動修復装置であって、(1)前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取る磁気読取部と、(2)前記磁気情報格納部の磁気出力を検出する磁気レベル検出部と、(3)前記磁気情報格納部の磁気情報を読み取った際、前記磁気情報格納部全般の磁気出力が弱い場合、磁気情報の自動修復を行う制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体に備わる磁気ストライプに異常が生じた場合でも、効率的に磁気ストライプ情報を自動修復できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るATMの内部構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図3】実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【
図4】実施形態に係るカード処理部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る通帳処理部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る取引処理部の特徴動作(磁気情報修復取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る取引選択画面の一例を示す説明図である。
【
図8】実施形態に係る磁気ストライプ情報の一例を示す説明図である。
【
図9】実施形態に係る取り扱い不可画面の一例を示す説明図である。
【
図10】実施形態に係る媒体受け取り画面の一例を示す説明図である。
【
図11】実施形態に係る取引処理部の特徴動作(入金取引における磁気情報修復処理)を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態に係る磁気情報修復確認画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明による磁気情報自動修復装置の主たる実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(A-1)実施形態の構成
【0014】
(A-1-1)全体構成
図2は、実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2において、自動取引システム1000は、自動取引装置としてのATM1及びホストコンピュータ2を有して構成される。
【0015】
ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができる通信網であり、例えば、専用網を適用することができる。また、ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができるのであれば公衆網としても良い。
【0016】
ATM1は、例えば、金融機関、駅、コンビニエンスストア、ホテル等に設けられている現金自動預け払い装置である。なお、ATM1は、ATMに限らず、媒体として磁気を取り扱う装置(POSレジ、セミセルフ機、券売機等)を適用しても良い。なお、
図2では、説明を容易にするために、1台のATM1のみ図示している。しかし、実際には、複数台のATM1のそれぞれが、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続する。
【0017】
ATM1は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と通信可能であり、例えば、振り込み取引、預け入れ取引(入金取引)、引き出し取引(出金取引)、磁気情報修復取引等を行うものである。本実施形態のATM1では、後述するようにキャッシュカードの磁気データを修復する「磁気情報修復取引」に特徴を有する。
【0018】
ホストコンピュータ2は、金融機関のホストコンピュータであり、ATM1から取引に関する情報を取得すると、取得した取引に関する情報に基づいて、利用者が行なった取引の内容を管理するものである。
【0019】
(A-1-2)ATM1の詳細な構成
図3は、実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【0020】
図3において、実施形態のATM1は、操作表示部12、カード入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、レシート排出口16、及び通帳入出口17を有する。
【0021】
操作表示部12は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、利用者が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部12は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部12は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0022】
カード入出口13は、利用者がキャッシュカードを挿入したり又はキャッシュカードを取り出したりするものである。
【0023】
紙幣入出口14は、利用者が紙幣を挿入したり又は紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口14は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないスリットタイプのものを用いることができる。利用者が紙幣を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、利用者はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、紙幣入出口14は、紙幣を投入する紙幣入口と紙幣を放出する紙幣出口とが一体となったものに限らず、紙幣入口と紙幣出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0024】
硬貨入出口15は、利用者が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口15も、例えば、開閉体が開口部を開閉可能なバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないスリットタイプのものを用いても良い。この場合も、紙幣入出口14と同様に、利用者が硬貨を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、利用者はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、硬貨入出口15は、硬貨を投入する硬貨入口と硬貨を放出する硬貨出口とが一体となったものに限らず、硬貨入口と硬貨出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0025】
レシート排出口16は、取引内容を印刷したレシートを排出するものである。
【0026】
通帳入出口17は、利用者により挿入される通帳を受け入れたり又は通帳を排出したりするものである。
【0027】
これらの入出口は、ATMの仕様によっては省略しても良い。
【0028】
図1は、実施形態に係るATMの内部構成を示すブロック図である。
図1において、ATM1は、制御部10、記憶部20、通信部30、操作表示制御部40、カード処理部50、通帳処理部60、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80、及び明細票発行部90を有する。
【0029】
制御部10は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、記憶部20から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引、出金取引、磁気情報修復取引等の種々の処理を行う。
【0030】
制御部10が備える取引処理部11は、顧客(利用者)との取引処理を行うための情報処理(利用者の操作画面の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴ってATM1内の各構成要素の制御等を行うものである。この実施形態の取引処理部11は、後述するカード処理部50及び通帳処理部60等と連携して磁気情報修復取引に係る処理を実行する点に特徴を有するが、この処理の詳細は、動作の項で述べる。
【0031】
記憶部20は、制御部10が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、HDDやSSD等により構成される。
【0032】
通信部30は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0033】
操作表示制御部40は、制御部10の制御の下、操作表示部12の動作を制御するものである。操作表示制御部40は、制御部10から画面情報に基づいて、操作表示部12に画面を表示させたり、又は操作表示部12から入力された情報を制御部10に与えたりするものである。
【0034】
カード処理部50は、制御部10の制御の下、カード入出口13からキャッシュカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード処理部50は、カード入出口13から挿入されたキャッシュカードの格納部(例えば、磁気格納部やICチップ等)に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部10に与えるものである。
【0035】
図4は、実施形態に係るカード処理部の詳細構成を示すブロック図である。カード処理部50は、磁気読取部51、磁気書込部52、磁気レベル検出部53、IC読取部54、及び上述のカード入出口13を有する。
【0036】
磁気読取部51は、カードに設けられた磁気ストライプに対して磁気データの読取りを行うものである。磁気読取部51により読み取られたデータは制御部10に送付され、制御部10は、このデータに基づいて取引を制御する。
【0037】
磁気書込部52は、カードに設けられた磁気ストライプに対して磁気データの書き込みを行うものである。なお、書き込みは、例えば、当初とは異なる情報に変更して書き込む他にも、同一情報を書き込んでも良い。
【0038】
磁気レベル検出部53は、カードに設けられた磁気ストライプの磁気レベルを検出するものである。磁気レベル検出部53は、所定の基準にしたがった磁気レベルを検出できるものであれば、種々様々な構成を採用するこができるが、例えば、電圧センサであり、磁気ストライプに格納された磁気情報を読み出したとき(又は書き込みしたとき)の磁気読取部51(磁気書込部52)の出力(出力電圧)を測定する。このとき、磁気レベル検出部53は、例えば、測定した出力の振幅の平均値を用いて磁気レベルを判定しても良い。制御部10では、検出した磁気レベルと基準値との比較により、磁気読取部51による磁気情報の読み出し、又は磁気書込部52による書き込みの成否を判定して良い。
【0039】
IC読取部54は、収容しているカードのICにアクセスしてデータ読取等の処理を行うものである。IC読取部54により読み取られたデータは制御部10に送付され、制御部10は、このデータに基づいて取引を制御する。
【0040】
通帳処理部60は、制御部10の制御の下、通帳入出口17から通帳を取り込んだり又は排出したりするものである。また、通帳処理部60は、通帳入出口17から挿入された通帳の格納部(例えば、磁気データ格納部やICチップ等)に格納されている通帳情報(例えば、磁気ストライプデータ)を読み取り、その通帳情報を制御部10に与えるものである。
【0041】
図5は、実施形態に係る通帳処理部の詳細構成を示すブロック図である。通帳処理部60は、磁気読取部61、磁気書込部62、磁気レベル検出部63、及び上述の通帳入出口17を有する。磁気読取部61、磁気書込部62、及び磁気レベル検出部63のそれぞれの機能は、通帳に設けられた磁気ストライプを対象としている以外は、上述の磁気読取部51、磁気書込部52、及び磁気レベル検出部53のそれぞれと同様であるので説明は省略する。
【0042】
紙幣入出金部70は、制御部10の制御の下、紙幣を金種別に収納・管理・払い出しするものである。
【0043】
硬貨入出金部80は、制御部10の制御の下、硬貨を金種別に収納・管理・払い出しするものである。
【0044】
明細票発行部90は、制御部10の制御の下、取引明細票に取引結果を印刷して、レシート排出口16から発行(排出)を行うものである。
【0045】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係るATM1における特徴動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
(A-2-1)磁気情報修復取引
図6は、実施形態に係る取引処理部の特徴動作(磁気情報修復取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【0047】
まず、初期状態(顧客待ち状態)として、取引処理部11の制御に基づいて、操作表示部12に、取引の種類を選択することが可能な操作画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)が表示されているものとする(S101)。例えば、
図7(A)に示すような取引選択画面T1である。
【0048】
そして、上述の取引選択画面で、「ICキャッシュカード・通帳の磁気情報修復」が押下(選択)されると、取引処理部11は、操作表示部12に磁気情報を修復する媒体を選択することが可能な操作画面(以下、「磁気情報修復媒体選択画面」と呼ぶ)を表示する。
図7(B)に示す磁気情報修復媒体選択画面T2には、キャッシュカードの磁気情報の修復を受け付ける「ICキャッシュカード磁気情報の修復」ボタンと、通帳の磁気情報の修復を受け付ける「通帳磁気情報の修復」ボタンとが示されている。ここでは、顧客により、いずれかのボタンが押下(選択)されたものとして説明する。
【0049】
次に、取引処理部11は、操作表示部12にキャッシュカード又は通帳の挿入を要求する画面(例えば、「磁気情報修復対象のキャッシュカード(又は通帳)を挿入してください」等のメッセージを表示した画面)を表示させる。ここでは、顧客により、カード入出口13にキャッシュカード又は通帳入出口17に通帳が挿入されたものとする(S102)。
【0050】
カード処理部50の磁気読取部51(又は通帳処理部60の磁気読取部61)により、媒体に設けられた磁気ストライプに対して磁気情報の読み取りが実行されると、取引処理部11は、磁気レベル検出部53(又は磁気レベル検出部63)を用いて、読み出しの際に磁気レベルの検出を行い磁気情報の読取りが成功したか否か判定も行う(S103)。
【0051】
例えば、情報の読取りが成功したか否か判定は、磁気レベル(磁気出力)が読み出し時に適用される基準値(以下、「第1の基準値」と呼ぶ)以上か否かで判定を行う。磁気レベルが第1の基準値以上の場合、ATM1は後述するステップS108(磁気情報修復)に移行し、一方、磁気レベルが第1の基準値未満の場合、ATM1は次のステップS104(磁気情報修復可否判断)を実行する。このステップS103により、磁気レベルが第1の基準値未満とは、即ち、物理的に磁気ストライプ全般の磁気が弱くなっている若しくは消磁が生じている。
【0052】
取引処理部11は、上述のステップS103で読み取りの磁気レベルが第1の基準値未満と判定された媒体の磁気ストライプに対して、磁気書込部52又は磁気書込部62を用いて磁気情報の書込みを行う(S104)。
【0053】
書き込む磁気情報の内容は特に限定されるものでは無いが、例えば、
図8のフォーマットにした従った書き込みを行う。
【0054】
図8(A)に示すように、磁気ストライプ情報200は、開始符号201と、本体データ202と、終了符号203とを含む構成である。また、
図8(B)に示すように、本体データ202は、IDマーク、承認コード、暗証番号、金融機関コード、支店番号、口座番号、任意、及び有効性コードの項目を含んでいる。各項目の内、例えば、IDマーク及び承認コードには、銀行用のカードである事を識別する情報が格納され、有効性コードには、例えば、キャッシュカードにICチップが付けられているか否か等を判定するための情報が格納される。
【0055】
当該ステップS104で、磁気ストライプに書き込む内容としては、特に限定されるものではないが、例えば、
図8のフォーマットを適用すると、本体データ202の各項目を全て「0」(又は「1」)で書き込みしても良いし、一部の項目のみ「0」(又は「1」)で書き込みをしても良い。何れにしても、不正取引を防止するために、本体データ202がATM1で取引できないように読めない情報として生成されていれば良い。
【0056】
なお、万全を期すために、所定のビットパターンによりデータ読み取り開始であることを示す開始符号201に、不適切なビットパターンを書き込んで、確実にリードエラーとなるようにしても良い。
【0057】
上述のステップS104により、媒体に設けられた磁気ストライプに対して磁気情報の書き込みが実行されると、取引処理部11は、磁気レベル検出部53(又は磁気レベル検出部63)を用いて、書き込み後の磁気レベルの検出を行い磁気情報の書き込みが成功したか否か判定を行う(S105)。このステップS105は、磁気情報格納部としての磁気ストライプが所定の条件に合致するか否かを確認する一例である。
【0058】
このステップS105により、磁気レベルが基準値より低く、書き込みが成功しなかったとは、即ち、物理的に磁気ストライプが全部に破損(又は磁気が弱くなっている)が生じている(又はそもそも磁気ストライプが存在しない等、何れにしてもこれ以上磁気ストライプの磁気情報に対していかなる修復を行うことができない状態)と推測できる。磁気レベルが基準値以上の場合、ATM1は後述するステップS108(磁気情報修復)に移行し、一方、磁気レベルが基準値未満の場合、ATM1は次のステップS106を実行する。
【0059】
なお、判定に用いる基準値は、特に限定されるものではないが、読み取り時に適用される第1の基準値を適用するものとする。ここでの書き込みは、磁気出力を確認するための書き込みなので、読み取り時に適用される第1の基準値以上の磁気出力が確認できれば良い(言い換えれば、物理的な破損が分かる程度の確認ができれば良い)。
【0060】
取引処理部11は、上述のステップS105で磁気レベルが第1の基準値未満と判定された場合、挿入されたカード(通帳)をカード入出口13(通帳入出口17)から排出して顧客に返却する(S106)。
【0061】
そして、取引処理部11は、媒体の取扱いが不可のため(磁気情報の自動修復が不可のため)、窓口への誘導を行う画面(以下、「取り扱い不可画面」と呼ぶ)を操作表示部12に表示する(S107)。例えば、
図9に示すような窓口への誘導メッセージM1を含む取り扱い不可画面T3である。
【0062】
一方、取引処理部11は、上述のステップS103又は上述のステップS105で磁気レベルが第1の基準値以上と判定された場合、上述のステップS102で挿入した媒体がカード又は通帳の何れであったかの判定を行う(S108)。
【0063】
取引処理部11は、上述のステップS108の判定が通帳であった場合、顧客からカードの挿入を受け付け、ICチップ及び磁気ストライプから口座情報を読み出す(S109)。
【0064】
取引処理部11は、ホストコンピュータ2と交信し、ホストコンピュータ2によって、カードの口座番号等が元帳データベースに記憶されているものと一致することを確認させた上で、元帳データベースから媒体に設けられた磁気ストライプの修復に必要な修復磁気情報を読み出させて当該ATM1に送信させる(S110)。
【0065】
取引処理部11は、磁気書込部52又は磁気書込部62を用いて媒体の磁気ストライプにホストコンピュータ2から受信した修復磁気情報の書込みを行う(S111)。変形例として、修復磁気情報はホストコンピュータ2から取得したのものでは無く、カードのICチップから読みだした情報でも良いし、別経由で取得した任意のデータでも良い。
【0066】
取引処理部11は、媒体の磁気ストライプに正常にデータが書き込めたか否か判定を行う(S112)。具体的に、取引処理部11は、磁気レベル検出部53(又は磁気レベル検出部63)を用いて書き込み時に測定した磁気レベルが書き込み時に適用される第2の基準値(第1の基準値よりも高い基準値)未満の場合には、異常(失敗)と判定し、後述するステップS115へ移行する。一方、取引処理部11は、磁気レベルが第2の基準値以上の場合には、正常(成功)と判定し、次の処理を実行する。
【0067】
取引処理部11は、ATM1に挿入された媒体を顧客に返却する(S113)。
【0068】
そして、取引処理部11は、取引が正常に終了し、媒体の受け取りを顧客に促す画面(以下、「媒体受け取り画面」と呼ぶ)を操作表示部12に表示する(S113)。例えば、
図10に示すような磁気情報の修復を行った旨のメッセージM2を含む媒体受け取り画面T4である。
【0069】
一方、取引処理部11は、上述のステップS112で書き込み異常と判定された場合、挿入された媒体を顧客に返却し(S115)、上述のステップS107(取り扱い不可画面の表示)へ移行する。
【0070】
(A-2-2)入金取引
(A-2-1)では、専用の取引(磁気情報修復取引)で磁気情報の修復を行う例を示したが、他の取引(入金、出金、振込等)中に磁気ストライプの自動修復を行っても良い。また、各取引における磁気情報修復を行うタイミングも特に限定されるものでなく、各取引の前後、途中に行っても良い。以下では入金取引を例に挙げて説明を行う。
【0071】
図11は、実施形態に係る取引処理部の特徴動作(入金取引における磁気情報修復処理)を示すフローチャートである。なお、
図11の処理の内、上述の
図6のフローチャートと同一符号に係る処理は、基本的に同一又は類似する処理のため、詳しい説明を省略する。
【0072】
取引処理部11は、上述の取引選択画面T1で「入金取引」の選択を受け付けると、上述のステップS102以下の処理を行う(S201)。
【0073】
取引処理部11は、上述のステップS103又は上述のステップS105で磁気レベルが基準値以上と判定された場合、顧客に媒体の磁気情報の修復が必要な旨を示し、自動修復を行うか否かを問い合わせる画面(以下、「磁気情報修復確認画面」と呼ぶ)を操作表示部12に表示する(S202)。例えば、
図12に示すような窓口への誘導メッセージM3と、肯定ボタンB1と、否定ボタンB2とを含む磁気情報修復確認画面T5である。
【0074】
なお、変形例として、ここでは、一度、修復対象の媒体を顧客に返却して、修復希望するのであれば、再度、顧客に媒体を投入するように画面等で促しても良い。再度顧客に媒体が投入されると、顧客から確認が取れたと解して以降の処理を継続することになる。
【0075】
また、変形例として、上述のステップS103又は上述のステップS105で磁気レベルが基準値以上と判定された場合、ステップS202、S203を省略して、自動修復を行っても良い。
【0076】
取引処理部11は、上述の磁気情報修復確認画面T5で顧客から肯定ボタンB1の押下を受け付けると、上述のステップS108以下の処理を行う(S203)。
【0077】
以降の処理は、上述の
図6のフロチャート及び既存の入金取引と同様であるので、詳細は省略する。
【0078】
(A-3)実施形態の効果
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0079】
ATM1が磁気レベルが基準値未満になるような媒体(通帳またはカード)であっても、磁気情報修復可否判断するための磁気ストライプ書込みを行い、磁気出力有無を確認可能としたことで、物理的な磁気ストライプ有無判断が可能となり、磁気ストライプの磁気弱まり若しくは消磁による磁気情報修復不可が低減する。即ち、磁気情報修復ができないことによる窓口誘導回数の低減が可能となる。
【0080】
(B)他の実施形態
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0081】
(B-1)上記実施形態では、ATM1で扱う媒体として、キャッシュカード、通帳を対象とした例を示したが、媒体はこれに限定されるものでは無く、修復磁気情報を取得できる環境であれば、例えば、クレジットカード等の磁気ストライプを備える媒体を対象としても良い。
【0082】
(B-2)上記実施形態では、磁気出力が基準値(第1の基準値)未満だった場合に、磁気ストライプに格納される磁気情報が正確に保持されているか疑義が生じるものとして、磁気情報の自動修復を行っていたが、磁気出力(波形の振幅等)から磁気情報が全体的なことに加えて部分的に破壊されていると推測できる場合も同様に磁気情報の自動修復を行っても良い。
【0083】
(B-3)上記実施形態では、磁気出力が基準値(第1の基準値)未満だった場合に、試しに磁気ストライプ書込みを行っていたが(S104)、かかる場合に限定されず、例えば、磁気ストライプ全体の磁気出力がゼロでなく多少でも値があれば、上記ステップS104、S105を省略し、磁気情報の自動修復を行っても良い。その後、磁気情報の自動修復が成功したか否か確認が行われる(S112)。
【0084】
(B-4)変形例として、ATM1は、上記実施形態及び(B-1)~(B-3)で述べた変形例の構成及び/又は機能の全部又は一部を組み合わせて使用しても良い。また、ATM1は、上記実施形態及び(B-1)~(B-3)で述べた変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を省略しても良い。
【符号の説明】
【0085】
1…ATM、2…ホストコンピュータ、10…制御部、11…取引処理部、12…操作表示部、13…カード入出口、14…紙幣入出口、15…硬貨入出口、16…レシート排出口、17…通帳入出口、20…記憶部、30…通信部、40…操作表示制御部、50…カード処理部、51…磁気読取部、52…磁気書込部、53…磁気レベル検出部、54…IC読取部、60…通帳処理部、61…磁気読取部、62…磁気書込部、63…磁気レベル検出部、70…紙幣入出金部、80…硬貨入出金部、90…明細票発行部、T1…取引選択画面、T2…磁気情報修復媒体選択画面、T3…不可画面、T4…媒体受け取り画面、T5…磁気情報修復確認画面。