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特開2024-155457移動制限装置及び移動制限装置を備えた家具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155457
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】移動制限装置及び移動制限装置を備えた家具
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20241024BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60B33/00 T
A47B91/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070192
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】398073123
【氏名又は名称】株式会社ニューシステムテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晋悟
【テーマコード(参考)】
3B069
【Fターム(参考)】
3B069CA03
3B069CA07
(57)【要約】
【課題】
移動制限装置を動作させる押下部の位置が高くならず、移動制限装置の動作及び解除の操作を誤ることがない移動制限装置及び移動制限装置を備えた家具を提供する。
【解決手段】
家具の移動を制限する移動制限装置10は、車輪が接地する接地面に接地可能な接地部13と、接地部13が接地面に接地する接地位置と、接地面から離間する離間位置とに接地部を移動させる第一回動部材17及び第二回動部材18と、接地部13が接地位置に位置するように第一回動部材17及び第二回動部材18を移動させる押下部14と、接地位置に第一回動部材17及び第二回動部材18をロックするストッパー板材150と、押下部14の下方に設けられ、第四フレーム183に交差する方向に押し込むことにより移動制限装置10のロックが解除されるプッシュロッド16とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面の車輪によって移動可能な家具の前記車輪による移動を制限する移動制限装置であって、
当該移動制限装置の一部を前記家具の本体部の一側面からはみ出させる様に前記底面に固定されるベースフレームと、
前記ベースフレームの下面に所定間隔をあけて平行となる様に立設された一対の支持壁と、
前記一対の支持壁の水平方向の中央付近において互いに端部を噛合させた状態で前記一対の支持壁の間に前記噛合している端部付近をそれぞれの回動中心とし、それぞれの自由端を前記ベースフレームに当接させる方向へと回動させる様に付勢された状態で軸支され、前記一側面とは反対方向へ向かってその自由端を伸ばした第一回動部材及び前記一側面に向かってその自由端を伸ばした第二回動部材と、
前記本体部の側面からはみ出させる様に前記第二回動部材の自由端側に備えた押下部と、
前記第一回動部材の自由端側に当該自由端を下方へ回動させることによって接地面に接地し得る様に備えた接地部と、
前記ベースフレームの下面の前記第二回動部材の自由端側において、少なくとも下向き起立状態へと至る様に付勢された状態で備えられ、前記第二回動部材が自由端を前記ベースフレームに当接させる方向へと回動しているときは前記下向き起立状態への回動を制限された状態にある一方、前記押下部を押下して前記第二回動部材の自由端を前記ベースフレームから離間する方向へ回動させたときに前記下向き起立状態へと回動して前記第二回動部材に乗り上げた状態で停止する様に構成されたストッパー板材と、
前記第二回動部材に乗り上げた状態で停止している前記ストッパー板材を前記下向き起立状態の方向への付勢力に抗して押圧可能で前記第二回動部材に沿って移動可能な軸部を備え、常時は前記軸部を前記ストッパー板材から遠ざかる方向に付勢された状態で前記押下部の下側に備えられたプッシュロッドと
を備えていることを特徴とする移動制限装置。
【請求項2】
前記押下部は、上面が円筒面の一部から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動制限装置。
【請求項3】
前記ベースフレームには、前記第一回動部材が当接するときに互いの間に挟み込まれる様に弾性体が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の移動制限装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の移動制限装置と、複数の前記車輪を備えたことを特徴とする家具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動制限装置及び移動制限装置を備えた家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のキャスタが下部に設けられた家具や床頭台等の移動を制限する移動制限装置としての免震装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明は、免震装置を動作させる時に、操作部材を水平位置から足で踏んで下方に押し下げてロックさせ、免震部材の接地部を床に設置している。また、免震装置の動作を解除させる時には、再度、操作部材を足で踏んで押し下げて、ロックを解除して、接地部を床から上方に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-41920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、免震装置の動作を解除させる場合に、操作部材を再度踏んで押し下げるので、ロックされた操作部材の下方に操作部材が移動するスペースが必要になり、操作部材の設けられる位置が高くなるという問題点があった。また、免震装置を動作させる場合も、解除させる場合も操作部材を足で踏んで下方に押し下げるので、免震装置を動作させたつもりで、動作している免震装置を解除してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、移動制限装置を動作させる押下部の位置が高くならず、移動制限装置の動作及び解除の操作を誤ることがない移動制限装置及び移動制限装置を備えた家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様の移動制限装置は、底面の車輪によって移動可能な家具の前記車輪による移動を制限する移動制限装置であって、当該移動制限装置の一部を前記家具の本体部の一側面からはみ出させる様に前記底面に固定されるベースフレームと、前記ベースフレームの下面に所定間隔をあけて平行となる様に立設された一対の支持壁と、前記一対の支持壁の水平方向の中央付近において互いに端部を噛合させた状態で前記一対の支持壁の間に前記噛合している端部付近をそれぞれの回動中心とし、それぞれの自由端を前記ベースフレームに当接させる方向へと回動させる様に付勢された状態で軸支され、前記一側面とは反対方向へ向かってその自由端を伸ばした第一回動部材及び前記一側面に向かってその自由端を伸ばした第二回動部材と、前記本体部の側面からはみ出させる様に前記第二回動部材の自由端側に備えた押下部と、前記第一回動部材の自由端側に当該自由端を下方へ回動させることによって接地面に接地し得る様に備えた接地部と、前記ベースフレームの下面の前記第二回動部材の自由端側において、少なくとも下向き起立状態へと至る様に付勢された状態で備えられ、前記第二回動部材が自由端を前記ベースフレームに当接させる方向へと回動しているときは前記下向き起立状態への回動を制限された状態にある一方、前記押下部を押下して前記第二回動部材の自由端を前記ベースフレームから離間する方向へ回動させたときに前記下向き起立状態へと回動して前記第二回動部材に乗り上げた状態で停止する様に構成されたストッパー板材と、前記第二回動部材に乗り上げた状態で停止している前記ストッパー板材を前記下向き起立状態の方向への付勢力に抗して押圧可能で前記第二回動部材に沿って移動可能な軸部を備え、常時は前記軸部を前記ストッパー板材から遠ざかる方向に付勢された状態で前記押下部の下側に備えられたプッシュロッドとを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成を備えた移動制限装置は、第二回動部材の自由端側に備えた押下部を押し下げることにより、第一回動部材の自由端に設けられた接地部が接地面に接地する。このときに、第二回動部材の自由端がベースフレームから離間する方向へ回動しており、ストッパー板材は、下向き起立状態へと回動して第二回動部材に乗り上げた状態で停止する。従って、接地部の接地面への接地状態が維持され家具の移動が制限される。この状態から押下部の下側に設けられたプッシュロッドを押圧すると、プッシュロッドの軸部にストッパー板材が押し倒され、ストッパー板材が第二回動部材に乗り上げた状態が解除され、第二回動部材の自由端がベースフレームに当接させる方向(近づく方向)に回動して、接地部の接地面への接地状態が解除される。従って、家具は移動可能になる。また、プッシュロッドの下方にプッシュロッドを操作するスペースを設ける必要がなく、押下部の下側にプッシュロッドが備えられているので、押下部の位置が高くならない。また、移動制限装置の動作及び解除の操作が異なるので、移動制限装置の動作及び解除の操作を誤ることを防止できる。
【0008】
また、移動制限装置の前記押下部は、上面が円筒面の一部から形成されていてもよい。この場合には、押下部に足が引っかかる可能性を低減できる。
【0009】
また、前記ベースフレームには、前記第一回動部材が当接するときに互いの間に挟み込まれる様に弾性体が備えられていてもよい。この場合には、弾性体に第一回動部材が当接して、第一回動部材はベースフレームに当接せず、第一回動部材がベースフレームに当たる音の発生を防止できる。従って、第一態様の移動制限装置は、静かな環境を必要とする病院等での使用に適している。
【0010】
本発明の第二態様の家具は、上記の移動制限装置と、複数の前記車輪を備えている。従って、上記の移動制限装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】家具1の斜視図である。
図2】移動制限装置10のアンロック状態の斜め上方から見た斜視図である。
図3】移動制限装置10のアンロック状態の斜め下方から見た斜視図である。
図4】第一回動部材17の下方から見た斜視図である。
図5】移動制限装置10のアンロック状態の左側面図である。
図6】第二回動部材18の斜め上方から見た斜視図である。
図7】プッシュロッド16の斜視図である。
図8】(a)は、ストッパー板材150の右側面図、(b)は、ストッパー板材150の正面図、(c)は、ストッパー板材150の左側面図である。
図9】移動制限装置10のロック状態の斜め上方から見た斜視図である。
図10】移動制限装置10のロック状態の斜め下方から見た斜視図である。
図11図9のX-X線に於ける矢印方向の移動制限装置10のロック状態の縦断面図である。
図12】移動制限装置10のロック状態の家具1の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。本実施形態では、図中に示す前後、左右、上下の向きを使用して説明する。尚、図では、矢印A方向が第一方向であり、後ろ方向である。矢印B方向が第二方向であり、前方向である。
【0013】
(家具1の構造)
図1を参照し、家具1について説明する。家具1の一例は、病室等に配置される床頭台である。床頭台の本体部2は、上下方向に長い略直方体であり、前面には、図示しない扉等を有している。本体部2の底面3は、矩形の板材で形成され、四隅に双輪のキャスタ4、5を夫々一対備えている。一対のキャスタ4は底面3の後ろ側に配置され、一対のキャスタ5は底面3の前側に配置されている。また、本体部2の底面3の前方側には、移動制限装置10が設けられている。本実施形態では、移動制限装置10によって、家具1の移動を制限した状態を「ロック状態」と言い、移動制限装置10のロック状態が解除された状態を「アンロック状態」と言う。ロック状態では、後述する接地部13がキャスタ4、5が接地する接地面Pに接地して、家具1の移動を制限する。この状態の接地部13の位置を「接地位置」と言う。アンロック状態では、接地部13が接地面Pから離間して、家具1は、キャスタ4、5により任意の位置に移動可能である。この状態の接地部13の位置を「離間位置」と言う。
【0014】
(移動制限装置10の構造)
図2を参照して、移動制限装置10について説明する。移動制限装置10は、平面視矩形の金属製の板材から構成されるベースフレーム111を備えている。ベースフレーム111には、前後方向に延びる矩形の開口部111Aが左右一対形成されている。また、ベースフレーム111には、中央部及び四隅にねじ穴111Bが形成されている。ベースフレーム111は、ねじ穴111Bを介して家具1の本体部2の底面3に図示外のねじによりねじ止めされる。また、ベースフレーム111は、移動制限装置10の一部を家具1の本体部2の一側面(前面)からはみ出させる様に底面3に固定されている。ベースフレーム111の下面には左右一対の支持壁112が互いに所定距離離間して対向して立設されている。
【0015】
図3に示すように、ベースフレーム111の下面の開口部111Aの左右方向の外側には、左右一対の支持壁112が平行に下方に向けて立設されている。支持壁112は、上下方向に所定の高さを有し、前後方向に延びる。一対の支持壁112は、第一回動部材17及び第二回動部材18を回動可能に軸支する。即ち、支持壁112の水平方向の中央付近において、第一回動部材17及び第二回動部材18は、互いに第二端部172、第三端部182を噛合させた状態で、第二端部172、第三端部182の付近をそれぞれの回動中心としている。また、第一回動部材17及び第二回動部材18は、各自由端である第一端部171及び第四端部181をベースフレーム111に当接させる方向へと回動させる様に付勢された状態で軸支されている。
【0016】
具体的には、一対の支持壁112の間には、ベースフレーム111と平行に左右方向に延びるフレーム軸174及びフレーム軸184が設けられている。フレーム軸174が第一回動部材17を回動可能に軸支し、フレーム軸184が第二回動部材18を回動可能に軸支する。また、フレーム軸174の左右の端部には、ねじりコイルばね175が夫々設けられている。また、フレーム軸184の左右の端部には、ねじりコイルばね185が夫々設けられている。ねじりコイルばね175は、後述する第一フレーム170の第一端部171がベースフレーム111に近づく方向(当接させる方向)に付勢する。ねじりコイルばね185は、後述する第二フレーム180の第四端部181がベースフレーム111に近づく方向(当接させる方向)に付勢する。
【0017】
(第一回動部材17の構造)
図3及び図4を参照して、第一回動部材17について説明する。第一回動部材17は、左右一対の第一フレーム170と、第三フレーム173とから構成される平面視U字形のフレームである。第一フレーム170は、第一方向(後ろ方向)に延びる所定長さ、所定幅、所定の厚みを有する板状の金属製の部材である。第三フレーム173は、左右方向に延びる所定長さ、所定幅、所定の厚みを有する板状の金属製の部材である。第三フレーム173は、各第一フレーム170の第一方向の端部である第一端部171に夫々接続されている。第一回動部材17の第一端部171の側には、キャスタ4,5の接地面P(図1図5及び図12参照)に接地可能な接地部13が左右一対設けられている。
【0018】
第一フレーム170の第二方向(前方向)の端部である第二端部172には、第一噛合部172Aが形成されている。第一噛合部172Aは、歯車の一部分を形成するように複数の歯が円弧状に形成されている。第一噛合部172Aの第一方向(後ろ方向)側には、フレーム軸174が貫通する貫通孔172Bが形成されている。第一フレーム170の第二端部172は、ねじりコイルばね175により、ベースフレーム111と離間する方向に付勢されている。従って、第一フレーム170は、フレーム軸174により回動可能に軸支されて、第一端部171は、ベースフレーム111に近づく方向(当接させる方向)に付勢される。従って、移動制限装置10のアンロック状態では、図3に示すように、接地部13がベースフレーム111方向に移動した位置、即ち、接地部13が、図1図5及び図12に示すキャスタ4,5の接地面Pと離間した離間位置に移動する。
【0019】
(第二回動部材18の構造)
図3及び図6を参照して、第二回動部材18について説明する。第二回動部材18は、左右一対の第二フレーム180と、第四フレーム183とから構成される平面視U字形のフレームである。第二フレーム180は、第二方向(前方向)に延びる所定長さ、所定幅、所定の厚みを有する板状の金属製の部材である。第四フレーム183は、左右方向に延びる所定長さ、所定幅、所定の厚みを有する板状の金属製の部材である。第四フレーム183は、各第二フレーム180の第二方向の端部である第四端部181に夫々接続されている。第二回動部材18の第四端部181の側には、第四フレーム183から第二方向(前方向)に突出する押下部14が設けられている。図6に示すように、押下部14は、第四端部181の方向に、夫々傾斜した一対の傾斜面141Aを備えている。傾斜面141Aは、半円筒状の傾斜面である。従って、押下部14は、上面が円筒面の一部から形成されている。
【0020】
第二回動部材18の第一方向(後ろ方向)の端部である第三端部182には、第二噛合部182Aが形成されている。第二噛合部182Aは、第一噛合部172Aと同様に、歯車の一部分を形成するように複数の歯が円弧状に形成されている。第二噛合部182Aの第二方向(前方向)側には、フレーム軸184が貫通する貫通孔182Bが形成されている。第二フレーム180の第三端部182は、ねじりコイルばね185により、ベースフレーム111と離間する方向に付勢されている。従って、第二フレーム180は、フレーム軸184により回動可能に軸支されて、第四端部181は、ベースフレーム111に近づく方向(当接させる方向)に付勢される。従って、移動制限装置10のアンロック状態では、図3図5に示すように、押下部14がベースフレーム111方向に移動した位置に移動する。
【0021】
図3及び図5に示すように、第一フレーム170の第二端部172の第一噛合部172Aと、第二フレーム180の第三端部182の第二噛合部182Aとは、互いに噛合している。従って、図5に示すように、押下部14が上方に上がった状態では、第二フレーム180の第三端部182が下がり、第一フレーム170の第二端部172が下がり、第一フレーム170の第一端部171が上がり、接地部13が接地面Pと離間した離間位置に移動している。
【0022】
(ロック機構15の構造)
次に、図3図5図8図10図11を参照して、ロック機構15について説明する。図11に示すように、ロック機構15は、移動制限装置10をロック状態に保つ機構である。ロック機構15は、図8に示すストッパー板材150を備える。ストッパー板材150は、左右方向に延びる所定長さ、所定幅、所定の厚みを有する金属製の板状の部材である。図8(b)に示すように、ストッパー板材150の左右方向の略中央には、略矩形の第一当接部153が上方に突出している。図8(c)に示すように、第一当接部153は、右側面視L字形状に形成されている。第一当接部153には、図7に示す後述するプッシュロッド16の軸部161の先端162が、図10及び図11に示すように、当接可能である。
【0023】
図8(a)、(c)に示すように、ストッパー板材150の左右の端部には、夫々、第二当接部151が設けられている。第二当接部151は、ストッパー板材150の左右の端部からストッパー板材150と直交する第二方向(前方)に延設されている。第二当接部151には、軸穴151Aが形成され、図5に示すストッパー軸155が貫通する。ストッパー軸155は、一対の支持壁112により、支持されている。また、第二当接部151の上面には、当接面151Bが形成されている。当接面151Bは、前後方向の角が曲面に形成されており、第二フレーム180の上端面に滑らかに当接できる。図5に示すように、ストッパー軸155の左右の端部には、夫々、ねじりコイルばね156が設けられている。ねじりコイルばね156は、第二当接部151をベースフレーム111から離間する方向に付勢している。従って、ねじりコイルばね156は、ストッパー板材150を下向き起立状態の方向へ付勢している。従って、図11に示すように、移動制限装置10のロック状態では、第二当接部151の当接面151Bが第二フレーム180の上端面180Aに当接して、ロック状態を維持する。尚、図3に示すように、ベースフレーム111から突起113が下方に立設され、ストッパー板材150が図11に示す状態以上に第二方向(前方向)に回動することを防止している。また、ねじりコイルばね156の付勢力よりもねじりコイルばね175,185の付勢力の方が大きい。
【0024】
(プッシュロッド16の構造)
次に、図7及び図10を参照して、解除手段の一例であるプッシュロッド16について説明する。図7に示すように、プッシュロッド16は、軸部161と押込部163とを備える。軸部161は前後方向に延びる角柱状に形成され、第二方向の側(後ろ側)に先端162を備え、第二方向の側(前側)の端部161Aに、板材から構成された押込部163を備える。図10に示すように、押込部163は、押下部14の下方に設けられるので、図7に示すように、押込部163の上面は、押下部14の円筒形状に沿った円弧状に形成されている。
【0025】
図10に示すように、押下部14の下方には、第四フレーム183から前方向に突出したプッシュロッドホルダ164が設けられている。プッシュロッドホルダ164は、平面視略U字形状の金属製の部材である。プッシュロッドホルダ164には、プッシュロッド16の軸部161が貫通する図示外の貫通孔が設けられており、第四フレーム183にも軸部161が貫通する図示外の貫通孔が設けられている。従って、プッシュロッド16は、前後方向に移動可能で有る。また、プッシュロッドホルダ164には、圧縮コイルばね165が設けられており、プッシュロッド16の軸部161が圧縮コイルばね165を貫通し、圧縮コイルばね165の前側の端部は、図10に示す軸部161の掛止部161Bに掛止されている。従って、圧縮コイルばね165は、プッシュロッド16を第二方向(前方向)に付勢している。
【0026】
(接地部13の構造)
次に、図4図5図11を参照して、接地部13の構造を説明する。接地部13は、第一回動部材17に左右一対設けられている。接地部13は、円筒状で有底の第一ホルダ132と、円筒状の第二ホルダ133と、円筒状で有底の接地部材134が設けられている。接地部材134の底部の下面には、摩擦プレート131が設けられている。第二ホルダ133は、第一ホルダ132に上下方向に移動可能に保持され、接地部材134は、第二ホルダ133に上下方向に移動可能に保持されている。接地部13内には、第一ホルダ132及び第二ホルダ133を貫通して、圧縮コイルばね135が設けられ、接地部材134を下方に付勢している。摩擦プレート131は、表面の摩擦係数が大きくなるように加工されている。
【0027】
(弾性体20)
次に、図3及び図10を参照して、弾性体20について説明する。弾性体20は、一例として、スポンジ等から構成されたクッション材である。弾性体20は、第三フレーム173のベースフレーム111の側の端面が当接するベースフレーム111の後端側の左右方向の略中央に設けられている。一例として、弾性体20は、両面テープ等でベースフレーム111に貼り付けられている。弾性体20は、第三フレーム173がベースフレーム111に当接して音が発生することを防止する。
【0028】
また、図3図5図10及び図11に示すように、支持壁112の前方側の下端部には、支持壁112と直交して、左右方向の内側に突出する受け部112Aが夫々設けられている。受け部112Aは一例として平面視矩形である。受け部112Aは、第二回動部材18の第二フレーム180の下端部を受けて、それ以上の第二回動部材18の回動を規制する。また、受け部112Aの上面側には、ウレタン等から構成されるクッション材112Bが設けられている。クッション材112Bは、第二回動部材18の第二フレーム180が受け部112Aに当接して音が発生することを防止する。
【0029】
(移動制限装置10の動作)
次に、移動制限装置10の動作について説明する。図2図3、及び図5に示す移動制限装置10は、アンロック状態である。即ち、押下部14及び接地部13が上方(ベースフレーム111方向)に上がった状態である。即ち、第二回動部材18の第二フレーム180の第三端部182及び第一フレーム170の第二端部172がベースフレーム111と離間し、接地部13が、図1図5及び図12に示すキャスタ4,5の接地面Pと離間した位置である離間位置に移動している。従って、家具1は、キャスタ4,5により接地面P上で任意の位置に移動できる。この時、図3及び図5に示すように、ストッパー板材150の側面は、第二フレーム180の上側の端面と平行になっている。
【0030】
アンロック状態からロック状態にする(移動制限装置10を動作させる)ために、使用者が足等で押下部14を踏んで、押下部14を下方に押し下げると、図10及び図11に示すように、第二回動部材18の第二フレーム180の第三端部182の第二噛合部182Aがベースフレーム111の方向に回動する。従って、第二噛合部182Aに噛合する第一噛合部172Aは、ベースフレーム111の方向に回動し、第一フレーム170の第一端部171は、ベースフレーム111と離間する方向に移動する。従って、第一端部171側に設けられている接地部13が、ベースフレーム111と離間する方向に移動して接地位置に移動し、接地部13の摩擦プレート131が接地面Pに当接する。摩擦プレート131は、圧縮コイルばね135の付勢力により接地面Pに押しつけられる。従って、図12に示すように、摩擦プレート131の摩擦力により家具1の移動は制限される。この時、支持壁112の受け部112Aは、第二回動部材18の第二フレーム180の下端部を受けて、それ以上の第二回動部材18の回動を規制している。
【0031】
ロック状態では、図11に示すように、ねじりコイルばね156の付勢力により、ストッパー板材150の側面が上下方向に向くようにストッパー板材150が回動される。即ち、ストッパー板材150は、下向き起立状態へと回動して第二回動部材18の第二フレーム180に乗り上げた状態で停止する。従って、第二当接部151の当接面151Bが第二フレーム180の上端面180Aに当接して、第二フレーム180の第四端部181がベースフレーム111の方向に回動するのを防止する。従って、ロック状態が維持される。この状態では、図11に示すように、第一フレーム170及び第二フレーム180は、前後方向に一直線になっている。
【0032】
次に、ロック状態からアンロック状態にする(移動制限装置10を解除する)ためには、使用者は、図11に示すプッシュロッド16の押込部163をつま先で押し込む。従って、プッシュロッド16の軸部161の先端162がストッパー板材150の第一当接部153を第一方向(後ろ方向)に押し込み、図3及び図5に示すように、ストッパー板材150が第一方向(後ろ方向)に押し倒され、第二当接部151の当接面151Bが第二フレーム180の上端面180Aから離れ、ねじりコイルばね185の付勢力により、第二フレーム180は、第四端部181がベースフレーム111に回動する。従って、第二回動部材18の第二フレーム180の第三端部182の第二噛合部182Aがベースフレーム111と離間する方向に回動する。従って、第二噛合部182Aに噛合する第一噛合部172Aは、ベースフレーム111と離間する方向に回動し、第一フレーム170の第一端部171は、ベースフレーム111方向に移動する。従って、第一端部171側に設けられている接地部13が、ベースフレーム111の方向に移動して離間位置に移動し、接地部13の摩擦プレート131が接地面Pから離間する。従って、家具1は、キャスタ4,5により接地面P上で任意の位置に移動できる。
【0033】
(実施形態の効果)
移動制限装置10は、押下部14を押し下げることにより、接地部13が接地位置に位置するように第一回動部材17及び第二回動部材18がロックされる。また、押下部14の下方に設けられた解除手段としてのプッシュロッド16を移動制限装置10の側面(第四フレーム183の側面)に交差する方向(第一方向)に押し込むことにより、第一回動部材17及び第二回動部材18のロックが解除される。従って、移動制限装置10のプッシュロッド16の下方にプッシュロッド16を操作するスペースを設ける必要がない。従って、押下部14及びプッシュロッド16の設けられる位置が高くならず、且つ、移動制限装置10の動作及び解除の操作が異なるので、移動制限装置の動作及び解除の操作を誤ることを防止できる。
【0034】
また、押下部14は、各第四端部181の方向に、夫々傾斜した一対の傾斜面141Aを備えているので、押下部14に足が引っかかる可能性を低減できる。また、傾斜面141Aが半円筒状の傾斜面から形成されているので、押下部14に足が引っかかる可能性を低減でき、且つ、押下部14を足で踏んだ場合でも、足を痛める可能性を低減できる。また、ベースフレーム111は、第一回動部材17の第三フレーム173が当接する弾性体20を備えているので、弾性体20に第三フレーム173が当接して、第三フレーム173はベースフレーム111に当接せず、第三フレーム173がベースフレーム111に当たる音の発生を防止できる。従って、静かな環境を必要とする病院等での使用に適している。
【0035】
また、プッシュロッド16の第二方向の側の端部161Aには、板材から構成された押込部163が設けられていているので、押込部163を足先等で押し込むことで、接地面Pへの接地部13の押しつけを解除して、容易に家具1を移動させることができる。
【0036】
また、接地部13は、接地面Pに接地する摩擦プレート131及び摩擦プレート131を接地面Pの方向に付勢する圧縮コイルばね135を備えているので、摩擦プレート131が圧縮コイルばね135の付勢力により、接地面Pに押しつけられて、家具1が移動する可能性を低減する。
【0037】
上記説明において、キャスタ4,5は、本発明の「車輪」の一例である。第一端部171及び第四端部181が本発明の「自由端」の一例である。第四フレーム183の側面が本発明の「移動制限装置」の側面の一例である。各フレーム軸174、184の軸心が、夫々本発明の「回動中心」の一例である。図10及び図11に示すように、ストッパー板材150の第一当接部153が下方に向いた状態が、本発明の「ストッパー板材の下向き起立状態」の一例である。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、接地部13を2つ設けているが、2つに限られず、1つでも、3つ以上の複数でもよい。接地部13は、第二フレーム180の第四端部181側にも設けられてもよい。また、移動制限装置10の構成部材は、金属製に限られない。移動制限装置10の構成部材の全部又は一部をガラス繊維強化プラスチック等の所定の強度を有する合成樹脂で形成してもよい。家具1は、床頭台に限られず、ベッドサイドテーブル等の車輪を有して移動されるもので有ればよい。車輪(キャスタ)の数は、4つに限られない。また、フレーム軸174,184は、必ずしも左右方向に延びる軸でなくてもよく、第一回動部材17及び第二回動部材18が、支持壁112に回動可能に支持されていればよい。また、ストッパー軸155も必ずしも左右方向に延びる軸でなくてもよく、ストッパー板材150が、支持壁112に回動可能に支持されていればよい。弾性体20は、1つに限られず、複数設けてもよい。また、弾性体20は、第二回動部材18の第四フレーム183が当接するベースフレーム111の前側の下面にも設けてもよい。また、押下部14及びプッシュロッド16の操作は、足に限られず、手で操作してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:家具
3:底面
4:キャスタ
5:キャスタ
10:移動制限装置
13:接地部
14:押下部
15:ロック機構
16:プッシュロッド
17:第一回動部材
18:第二回動部材
20:弾性体
111:ベースフレーム
112:支持壁
131:摩擦プレート
135:圧縮コイルばね
141A:傾斜面
150:ストッパー板材
151:第二当接部
151B:当接面
153:第一当接部
156:ねじりコイルばね
161:軸部
161A:端部
162:先端
163:押込部
165:圧縮コイルばね
170:第一フレーム
171:第一端部
172:第二端部
172A:第一噛合部
173:第三フレーム
175:ねじりコイルばね
180:第二フレーム
181:第四端部
182:第三端部
182A:第二噛合部
183:第四フレーム
185:ねじりコイルばね
A:第一方向
B:第二方向
P:接地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12