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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155467
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20241024BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20241024BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070205
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智彦
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FB02
5E021FB11
5E021FC21
5E021LA10
5E223AB06
5E223AB65
5E223AB67
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CC09
5E223DB09
5E223DB11
5E223EA03
5E223EB03
5E223EB14
5E223EB22
(57)【要約】
【課題】並列に伝送可能な信号の数と、シールド性能との両立に有効なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ2は、回路基板に平行な配列方向D2に沿って並ぶ複数対の第一コンタクト120と、複数対の第一コンタクト120と回路基板との間において配列方向D2に沿って並ぶ複数対の第二コンタクト130と、嵌合方向D1まわりに、複数対の第一コンタクト120と複数対の第二コンタクト130とを、一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに包囲する導電性の複数のシェル140と、複数のシェル140内にそれぞれ設けられる複数の受入空間S1と、を備え、複数の受入空間S1にそれぞれ入る相手コネクタ3の複数の仕切部244によって、複数のシェル140のそれぞれの内部が、一対の第一コンタクト120を収容する第一収容空間S11と、一対の第二コンタクト130を収容する第二収容空間S12とに仕切られる、コネクタ2。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に設けられ、前記回路基板に平行な嵌合方向に沿って相手コネクタと嵌合するコネクタであって、
前記回路基板に平行で前記嵌合方向に垂直な配列方向に沿って並び、前記回路基板の複数対の第一信号ラインにそれぞれ接続される複数対の第一コンタクトと、
前記複数対の第一コンタクトと前記回路基板との間において前記配列方向に沿って並び、前記回路基板の複数対の第二信号ラインにそれぞれ接続される複数対の第二コンタクトと、
前記配列方向に沿って並び、前記嵌合方向まわりに、前記複数対の第一コンタクトと前記複数対の第二コンタクトとを、一対の第一コンタクト及び一対の第二コンタクトごとに包囲する導電性の複数のシェルと、
前記相手コネクタに設けられる導電性の複数の仕切部をそれぞれ受け入れるように、前記複数のシェル内にそれぞれ設けられる複数の受入空間と、
を備え、
前記複数の受入空間にそれぞれ入る前記複数の仕切部によって、前記複数のシェルのそれぞれの内部が、前記一対の第一コンタクトを収容する第一収容空間と、前記一対の第二コンタクトを収容する第二収容空間とに仕切られる、コネクタ。
【請求項2】
前記複数のシェルのそれぞれは、受入空間に入った前記相手コネクタの仕切部にそれぞれが接触するように、前記配列方向において互いに対向する一対のシェル接触部を有する、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一対の第一コンタクトのそれぞれは、前記回路基板に近付く方において前記相手コネクタの相手第一コンタクトに接触する第一接触部を有し、
前記一対の第二コンタクトのそれぞれは、前記回路基板から遠ざかる方において前記相手コネクタの相手第二コンタクトに接触する第二接触部を有し、
前記複数のシェルのそれぞれは、少なくとも前記第一接触部と前記第二接触部とを収容する、
請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数対の第一コンタクトのそれぞれは、前記回路基板の第一信号ラインに接続される第一接続部を更に有し、
前記複数対の第二コンタクトのそれぞれは、前記回路基板の第二信号ラインに接続される第二接続部を更に有し、
前記複数のシェルのそれぞれは、前記第一接続部と前記第二接続部とを更に収容する、
請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数対の第一コンタクトと、前記複数対の第二コンタクトと、前記複数のシェルとを保持する絶縁性のハウジングを更に備え、
前記ハウジングは、
前記嵌合方向に沿い前記相手コネクタに向かう方向に開いた嵌合穴と、
前記嵌合方向に沿って前記嵌合穴とは逆向きに開き、更に前記回路基板に向かう方向に開いた接続空間と、
前記嵌合穴と前記接続空間との間を仕切り、前記複数対の第一コンタクトと前記複数対の第二コンタクトとを保持する保持壁と、
を有し、
前記第一接触部と前記第二接触部とは前記嵌合穴に収容され、
前記第一接続部と前記第二接続部とは前記接続空間に収容され、
前記複数のシェルは、前記嵌合穴と、前記接続空間と、前記保持壁とのそれぞれを、前記一対の第一コンタクト及び前記一対の第二コンタクトごとに仕切る、
請求項4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記嵌合方向において、
前記第二接続部は前記第一接続部と前記保持壁との間に位置し、
前記複数対の第二コンタクトのうち前記嵌合穴に収容される部分の長さが、前記複数対の第二コンタクトのうち前記接続空間に収容される部分の長さよりも長い、
請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数のシェルのそれぞれは、前記回路基板に向かって開いており、
前記回路基板のグラウンドパターンに接続される一対のシェル接続部を、前記回路基板に向かう前記配列方向の両端にそれぞれ有する、
請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項8】
請求項1記載の前記コネクタと、
前記相手コネクタと、
を備え、
前記相手コネクタは、
複数対の第一電線にそれぞれ接続される導電性の複数対の相手第一コンタクトと、
複数対の第二電線にそれぞれ接続される導電性の複数対の相手第二コンタクトと、
前記嵌合方向まわりに、前記複数対の相手第一コンタクトを対ごとに包囲する導電性の複数の相手第一シェルと、
前記嵌合方向まわりに、前記複数対の相手第二コンタクトを対ごとに包囲する導電性の複数の相手第二シェルと、
を備え、
前記複数のシェルは、前記複数対の相手第一コンタクトと前記複数対の相手第二コンタクトとを、一対の相手第一コンタクト及び一対の相手第二コンタクトごとに収容し、
前記複数のシェルのそれぞれにおいて、前記一対の第一コンタクトが前記一対の相手第一コンタクトにそれぞれ接触し、前記一対の第二コンタクトが前記一対の相手第二コンタクトにそれぞれ接触し、
前記一対の相手第一コンタクト及び前記一対の相手第二コンタクトをそれぞれ収容する相手第一シェル及び相手第二シェルは、
前記一対の相手第一コンタクトと前記一対の相手第二コンタクトとを受け入れるシェルの前記受入空間に入って前記第一収容空間と前記第二収容空間とを仕切る仕切部を有する、コネクタシステム。
【請求項9】
前記一対の相手第一コンタクトと前記一対の相手第二コンタクトとを収容するシェルは、前記配列方向において互いに対向し、前記受入空間に入った前記仕切部にそれぞれが接触する一対のシェル接触部を有する、
請求項8記載のコネクタシステム。
【請求項10】
前記相手第一シェル及び前記相手第二シェルのそれぞれが前記仕切部を有し、
前記第一収容空間と前記第二収容空間とが、前記相手第一シェルの前記仕切部と前記相手第二シェルの前記仕切部とによって二重に仕切られ、
前記一対のシェル接触部のそれぞれが、前記相手第一シェルの前記仕切部と、前記相手第二シェルの前記仕切部との両方に接触する、
請求項9記載のコネクタシステム。
【請求項11】
前記相手第一シェル及び前記相手第二シェルのそれぞれは、前記嵌合方向と前記配列方向とに垂直な方向において、前記一対の相手第一コンタクトと前記一対の相手第二コンタクトとを互いに逆の位置関係となるように開き、
前記一対の第一コンタクトは、前記相手第一シェルが開く方向において前記一対の相手第一コンタクトにそれぞれ接触し、
前記一対の第二コンタクトは、前記相手第二シェルが開く方向において前記一対の相手第二コンタクトにそれぞれ接触する、
請求項8記載のコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及びコネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上段の複数の第一ケーブルの端部にそれぞれ接続される複数の第一ケーブル側コンタクトと、下段の複数の第二ケーブルの端部にそれぞれ接続される複数の第二ケーブル側コンタクトと、複数の第一ケーブル側コンタクトと複数の第二ケーブル側コンタクトとを前後にずらした状態で保持するケーブ側ハウジングと、ケーブル側ハウジングを覆うシールド部材とを備えるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-87462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、並列に伝送可能な信号の数と、シールド性能との両立に有効なコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るコネクタは、回路基板に設けられ、回路基板に平行な嵌合方向に沿って相手コネクタと嵌合するコネクタであって、回路基板に平行で嵌合方向に垂直な配列方向に沿って並び、回路基板の複数対の第一信号ラインにそれぞれ接続される複数対の第一コンタクトと、複数対の第一コンタクトと回路基板との間において配列方向に沿って並び、回路基板の複数対の第二信号ラインにそれぞれ接続される複数対の第二コンタクトと、配列方向に沿って並び、嵌合方向まわりに、複数対の第一コンタクトと複数対の第二コンタクトとを、一対の第一コンタクト及び一対の第二コンタクトごとに包囲する導電性の複数のシェルと、相手コネクタに設けられる導電性の複数の仕切部をそれぞれ受け入れるように、複数のシェル内にそれぞれ設けられる複数の受入空間と、を備え、複数の受入空間にそれぞれ入る複数の仕切部によって、複数のシェルのそれぞれの内部が、一対の第一コンタクトを収容する第一収容空間と、一対の第二コンタクトを収容する第二収容空間とに仕切られる。
【0006】
複数対のコンタクトが二列に配列される構成において、第一列の複数対の第一コンタクトと、第二列の複数対の第二コンタクトとが、複数のシェルにより、一対の第一コンタクト及び一対の第二コンタクトごとに仕切られる。更に、相手コネクタの複数の仕切部によって、複数のシェルのそれぞれの内部が、一対の第一コンタクトを収容する第一収容空間と、一対の第二コンタクトを収容する第二収容空間とに仕切られる。これにより、シールド性能が向上する。また、コネクタ自体の構成要素と、相手コネクタの構成要素とを併用することで、シールドの占有スペースを削減し、より多くのスペースを信号伝送に割り当てることができる。従って、並列に伝送可能な信号の数と、シールド性能との両立に有効である。
【0007】
複数のシェルのそれぞれは、受入空間に入った相手コネクタの仕切部にそれぞれが接触するように、配列方向において互いに対向する一対のシェル接触部を有してもよい。シェルと仕切部との間の遮蔽性を向上させることで、シールド性能を更に向上させることができる。
【0008】
一対の第一コンタクトのそれぞれは、回路基板に近付く方において相手コネクタの相手第一コンタクトに接触する第一接触部を有し、一対の第二コンタクトのそれぞれは、回路基板から遠ざかる方において相手コネクタの相手第二コンタクトに接触する第二接触部を有し、複数のシェルのそれぞれは、少なくとも第一接触部と第二接触部とを収容してもよい。複数対の相手第一コンタクトと複数対の相手第二コンタクトとの間にスペースを設けなくても、複数のシェルと複数の仕切部とによって電磁波による相互干渉を抑制した上で、複数対の第一コンタクトを複数対の相手第一コンタクトにそれぞれ接触させ、複数対の第二コンタクトを複数対の相手第二コンタクトにそれぞれ接触させることができる。従って、コネクタを更に小型化することができる。
【0009】
複数対の第一コンタクトのそれぞれは、回路基板の第一信号ラインに接続される第一接続部を更に有し、複数対の第二コンタクトのそれぞれは、回路基板の第二信号ラインに接続される第二接続部を更に有し、複数のシェルのそれぞれは、第一接続部と第二接続部とを更に収容してもよい。シールド性能を更に向上させることができる。
【0010】
複数対の第一コンタクトと、複数対の第二コンタクトと、複数のシェルとを保持する絶縁性のハウジングを更に備え、ハウジングは、嵌合方向に沿い相手コネクタに向かう方向に開いた嵌合穴と、嵌合方向に沿って嵌合穴とは逆向きに開き、更に回路基板に向かう方向に開いた接続空間と、嵌合穴と接続空間との間を仕切り、複数対の第一コンタクトと複数対の第二コンタクトとを保持する保持壁と、を有し、第一接触部と第二接触部とは嵌合穴に収容され、第一接続部と第二接続部とは接続空間に収容され、複数のシェルは、嵌合穴と、接続空間と、保持壁とのそれぞれを、一対の第一コンタクト及び一対の第二コンタクトごとに仕切ってもよい。第一接触部と第二接触部とが収容される嵌合穴から、第一接続部と第二接続部とが収容される接続空間までを、複数のシェルによって一対の第一コンタクト及び一対の第二コンタクトごとに仕切ることによって、シールド性能を更に向上させることができる。
【0011】
嵌合方向において、第二接続部は第一接続部と保持壁との間に位置し、複数対の第二コンタクトのうち嵌合穴に収容される部分の長さが、複数対の第二コンタクトのうち接続空間に収容される部分の長さよりも長くてもよい。第一コンタクトと第二コンタクトとが仕切部により仕切られることなく同一空間に共存する区間を短くすることで、シールド性能を更に向上させることができる。
【0012】
複数のシェルのそれぞれは、回路基板に向かって開いており、回路基板のグラウンドパターンに接続される一対のシェル接続部を、回路基板に向かう配列方向の両端にそれぞれ有してもよい。回路基板のグランドパターンもシールドの構成要素として利用することで、シールドの占有スペースを更に削減することができる。
【0013】
本開示の他の側面に係るコネクタシステムは、上記コネクタと、相手コネクタと、を備え、相手コネクタは、複数対の第一電線にそれぞれ接続される導電性の複数対の相手第一コンタクトと、複数対の第二電線にそれぞれ接続される導電性の複数対の相手第二コンタクトと、嵌合方向まわりに、複数対の相手第一コンタクトを対ごとに包囲する導電性の複数の相手第一シェルと、嵌合方向まわりに、複数対の相手第二コンタクトを対ごとに包囲する導電性の複数の相手第二シェルと、を備え、複数のシェルは、複数対の相手第一コンタクトと複数対の相手第二コンタクトとを、一対の相手第一コンタクト及び一対の相手第二コンタクトごとに収容し、複数のシェルのそれぞれにおいて、一対の第一コンタクトが一対の相手第一コンタクトにそれぞれ接触し、一対の第二コンタクトが一対の相手第二コンタクトにそれぞれ接触し、一対の相手第一コンタクト及び一対の相手第二コンタクトをそれぞれ収容する相手第一シェル及び相手第二シェルは、一対の相手第一コンタクトと一対の相手第二コンタクトとを受け入れるシェルの受入空間に入って第一収容空間と第二収容空間とを仕切る仕切部を有する。
【0014】
一対の相手第一コンタクトと一対の相手第二コンタクトとを収容するシェルは、配列方向において互いに対向し、受入空間に入った仕切部にそれぞれが接触する一対のシェル接触部を有してもよい。
【0015】
相手第一シェル及び相手第二シェルのそれぞれが仕切部を有し、第一収容空間と第二収容空間とが、相手第一シェルの仕切部と相手第二シェルの仕切部とによって二重に仕切られ、一対のシェル接触部のそれぞれが、相手第一シェルの仕切部と、相手第二シェルの仕切部との両方に接触してもよい。
【0016】
相手第一シェル及び相手第二シェルのそれぞれは、嵌合方向と配列方向とに垂直な方向において、一対の相手第一コンタクトと一対の相手第二コンタクトとを互いに逆の位置関係となるように開き、一対の第一コンタクトは、相手第一シェルが開く方向において一対の相手第一コンタクトにそれぞれ接触し、一対の第二コンタクトは、相手第二シェルが開く方向において一対の相手第二コンタクトにそれぞれ接触してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、並列に伝送可能な信号の数と、シールド性能との両立に有効なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】嵌合前のコネクタシステムを例示する斜視図である。
図2】プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合した状態を例示する斜視図である。
図3図1中のIII-III線に沿った断面図である。
図4図1中のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図2中のV-V線に沿った断面図である。
図6図2中のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】リセプタクルコネクタの構成を例示する分解斜視図である。
図8】ハウジングの構成を例示する斜視図である。
図9】ハウジングの構成を例示する斜視図である。
図10】プラグコネクタの構成を例示する分解斜視図である。
図11】第一コネクタの構成を例示する分解斜視図である。
図12】第一ベースプレートの構成を例示する斜視図である。
図13】第一シェルの構成を例示する斜視図である。
図14】第一ハウジングの構成を例示する斜視図である。
図15】第一ハウジングの構成を例示する斜視図である。
図16】第二コネクタの構成を例示する分解斜視図である。
図17】第二ハウジングの構成を例示する斜視図である。
図18】第二ハウジングの構成を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
コネクタシステム1は、高周波信号を低い劣化で伝送することと、低背化とが求められる用途において、回路基板10と、複数対の電線30との接続に用いられる。複数対の電線30のそれぞれは、一対で一つの信号(差動信号)を伝送する。このような用途の一例として、回路基板10上のプリント配線の代わりに、複数対の電線30によって回路基板10上の信号伝送を行う情報処理システムが挙げられる。複数対の電線30のそれぞれをシールドケーブルとすること等によって、プリント配線よりも高い信号伝送特性で信号を伝送することができる。信号伝送特性とは、信号伝送における信号劣化の少なさを意味し、信号伝送特性が高いとは、信号伝送における信号劣化が少ないことを意味する。信号劣化の具体例としては、クロストーク等によるノイズの混入及び信号の減衰等が挙げられる。
【0021】
図1に示すように、コネクタシステム1は、リセプタクルコネクタ2と、プラグコネクタ3とを備える。リセプタクルコネクタ2は回路基板10に設けられ、回路基板10に平行な嵌合方向D1に沿ってプラグコネクタ3と嵌合する。嵌合方向D1は、回路基板10に対し実質的に平行であればよく、リセプタクルコネクタ2の取付誤差等により回路基板10に対し僅かに傾いていてもよい。
【0022】
プラグコネクタ3は、複数対の電線30に接続され、嵌合方向D1に沿ってリセプタクルコネクタ2に嵌合する。例えばプラグコネクタ3は、それぞれが一対の電線30を有する複数のシールドケーブル20に接続される。複数のシールドケーブル20は、第一列に並ぶ複数の第一シールドケーブル20Aと、第一列と平行な第二列に並ぶ複数の第二シールドケーブル20Bとを含む。複数対の電線30は、複数の第一シールドケーブル20Aに含まれて第一列に並ぶ複数対の第一電線30Aと、複数の第二シールドケーブル20Bに含まれて第二列に並ぶ複数対の第二電線30Bとを含む。
【0023】
複数の第一シールドケーブル20Aと複数の第二シールドケーブル20Bとの区別(複数対の第一電線30Aと複数対の第二電線30Bとの区別)は、配列による区別であり、複数の第一シールドケーブル20Aのそれぞれの構成と、複数の第二シールドケーブル20Bのそれぞれの構成とは同じである。
【0024】
嵌合方向D1に沿って嵌合するとは、嵌合方向D1に沿った移動により嵌合することを意味する。プラグコネクタ3は、リセプタクルコネクタ2に対する「相手コネクタ」であり、リセプタクルコネクタ2は、プラグコネクタ3に対する「相手コネクタ」である。図2は、嵌合方向D1に沿ってプラグコネクタ3がリセプタクルコネクタ2に嵌合した状態を示している。
【0025】
図3は、図1中のIII-III線に沿った断面図である。図3に示すように、リセプタクルコネクタ2は、導電性の複数対の第一コンタクト120と、導電性の複数対の第二コンタクト130と、導電性の複数のシェル140とを備える。複数対の第一コンタクト120は、回路基板10に平行で嵌合方向D1に垂直な配列方向D2に沿って並び、回路基板10の複数対の第一信号ライン11(図6参照)にそれぞれ接続される。複数対の第二コンタクト130は、複数対の第一コンタクト120と回路基板10との間において配列方向D2に沿って並び、回路基板10の複数対の第二信号ライン12(図6参照)にそれぞれ接続される。
【0026】
配列方向D2は、回路基板10に対し実質的に平行であればよく、リセプタクルコネクタ2の取付誤差等により回路基板10に対し僅かに傾いていてもよい。また、配列方向D2は嵌合方向D1に対し実質的に垂直であればよく、リセプタクルコネクタ2の製造誤差等により嵌合方向D1に垂直な方向に対し僅かに傾いていてもよい。
【0027】
複数のシェル140は、配列方向D2に沿って並び、嵌合方向D1まわりに、複数対の第一コンタクト120と複数対の第二コンタクト130とを、一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに包囲する。例えば複数のシェル140のそれぞれは、嵌合方向D1及び配列方向D2に垂直な直交方向D3に沿って並ぶ一対の第一コンタクト120と一対の第二コンタクト130とを嵌合方向D1まわりに包囲する。包囲は、必ずしも全周に亘る包囲でなくてもよい。例えば、包囲対象物を包囲するラインが一箇所以上で欠けている場合であっても、欠けている一箇所以上を線形に補間して得られる環状体内に包囲対象物の少なくとも一部が含まれていれば、当該ラインによって包囲対象物は包囲されている。以下においても同様である。
【0028】
複数のシェル140のそれぞれは、U字状の形状であり、U字状を構成する開口部分が回路基板10の近くに位置し、U字状を構成する底部分が回路基板10から遠くに位置する。言い換えれば、複数のシェル140のそれぞれは、回路基板10に向かって開いている。複数のシェル140のそれぞれは、回路基板10に向かう両端(配列方向D2の両端)に一対のシェル接続部143を有する。一対のシェル接続部143は、回路基板10のグラウンドパターン13に接続される。
【0029】
リセプタクルコネクタ2は、複数の受入空間S1を更に備える。複数の受入空間S1は、プラグコネクタ3に設けられる導電性の複数の仕切部244(図5参照)をそれぞれ受け入れるように、複数のシェル140内にそれぞれ設けられる。
【0030】
図4は、図1中のIV-IV線に沿った断面図である。図4に示すように、プラグコネクタ3は、導電性の複数対の第一コンタクト210Aと、導電性の複数対の第二コンタクト210Bと、導電性の複数の第一シェル220Aと、導電性の複数の第二シェル220Bとを有する。
【0031】
複数対の第一コンタクト210Aは、配列方向D2に沿って並び、複数対の第一電線30Aにそれぞれ接続される。複数対の第二コンタクト210Bは、直交方向D3で複数対の第一コンタクト210Aと平行に並び、複数対の第二電線30Bにそれぞれ接続される。複数の第一シェル220Aは、嵌合方向D1まわりに、複数対の第一コンタクト210Aを対ごとに包囲する。例えば複数の第一シェル220Aのそれぞれは、一対の第一コンタクト210Aを包囲する。複数の第二シェル220Bは、嵌合方向D1まわりに、複数対の第二コンタクト210Bを対ごとに包囲する。例えば複数の第二シェル220Bのそれぞれは、一対の第二コンタクト210Bを包囲する。
【0032】
第一列の複数対の第一コンタクト210Aが複数の第一シェル220Aにより対ごとに包囲され、第二列の複数対の第二コンタクト210Bも複数の第二シェル220Bにより対ごとに包囲されるので、配列方向D2と、第一列と第二列とが並ぶ直交方向D3との両方において、対同士の間が導電性の部材により仕切られる。従って、シールド性能の向上に有効である。
【0033】
複数の第一シェル220Aのそれぞれは、U字状の形状であり、U字状を構成する開口部分が第一コンタクト210Aの近くに位置し、U字状を構成する底部分が第一コンタクト210Aから遠くに位置する。複数の第二シェル220Bのそれぞれは、U字状の形状であり、U字状を構成する開口部分が第二コンタクト210Bの近くに位置し、U字状を構成する底部分が第二コンタクト210Bから遠くに位置する。そして、複数の第一シェル220Aの底部分と複数の第二シェル220Bの底部分とは、接触している。即ち、複数の第一シェル220Aのそれぞれは、複数対の第一コンタクト210Aを複数対の第二コンタクト210Bから離れる方向に開いていてもよく、複数の第二シェル220Bのそれぞれは、複数対の第二コンタクト210Bを複数対の第一コンタクト210Aから離れる方向に開いていてもよい。複数対の第一コンタクト210Aと複数対の第二コンタクト210Bとの間にスペースを設けなくても、第一シェル220Aと第二シェル220Bとによって電磁波による相互干渉を抑制した上で、複数対の第一コンタクト210Aを複数対の第一コンタクト120(相手第一コンタクト)にそれぞれ接触させ、複数対の第二コンタクト210Bを複数対の第二コンタクト130(相手第二コンタクト)にそれぞれ接触させることができる。従って、プラグコネクタ3の小型化と、シールド性能との両立を図ることができる。
【0034】
図5は、図2中のV-V線に沿った断面図である。図5に示すように、プラグコネクタ3がリセプタクルコネクタ2に嵌合した状態においては、リセプタクルコネクタ2の複数のシェル140が、複数対の第一コンタクト210Aと複数の第二コンタクト210Bとを、直交方向D3に並ぶ一対の第一コンタクト210A及び一対の第二コンタクト210Bごとに収容する。収容先のシェル140内において、一対の第一コンタクト210Aは一対の第一コンタクト120にそれぞれ接触し、一対の第二コンタクト210Bは一対の第二コンタクト130にそれぞれ接触する。一対の第一コンタクト210A及び一対の第二コンタクト210Bをそれぞれ収容する。第一シェル220A及び第二シェル220Bは、収容先のシェル140の内部の受入空間S1に入る仕切部244を有する。受入空間S1に入った仕切部244は、シェル140の内部を、一対の第一コンタクト210A及び一対の第一コンタクト120が収容される第一収容空間S11と、一対の第二コンタクト210B及び一対の第二コンタクト130が収容される第二収容空間S12とに仕切る。
【0035】
このようにして、複数の受入空間S1にそれぞれ入る複数の仕切部244によって、複数のシェル140のそれぞれの内部が、一対の第一コンタクト120を収容する第一収容空間S11と、一対の第二コンタクト130を収容する第二収容空間S12とに仕切られる。リセプタクルコネクタ2によれば、第一列の複数対の第一コンタクト120と、第二列の複数対の第二コンタクト130とが、複数のシェル140により、一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切られる。更に、プラグコネクタ3の複数の仕切部244によって、複数のシェルのそれぞれの内部が、一対の第一コンタクト120を収容する第一収容空間S11と、一対の第二コンタクト130を収容する第二収容空間S12とに仕切られる。これにより、シールド性能が向上する。また、リセプタクルコネクタ2の構成要素と、プラグコネクタ3の構成要素とを併用することで、シールドの占有スペースを削減し、より多くのスペースを信号伝送に割り当てることができる。従って、並列に伝送可能な信号の数と、シールド性能との両立に有効である。
【0036】
仕切部244は、配列方向D2において互いに逆向きで、収容先のシェル140の内面に接触する一対のシェル接触部243を有してもよい。シェル140と仕切部244との間の遮蔽性を向上させることで、シールド性能を更に向上させることができる。
【0037】
第一シェル220A及び第二シェル220Bが仕切部244を有することは、第一シェル220A及び第二シェル220Bの少なくとも一方が仕切部244を有することを意味する。第一シェル220Aが仕切部244を有して第二シェル220Bが仕切部244を有しなくてもよく、第二シェル220Bが仕切部244を有して第一シェル220Aが仕切部244を有しなくてもよい。第一シェル220A及び第二シェル220Bのそれぞれが仕切部244を有し、第一収容空間S11と第二収容空間S12とが、第一シェル220Aの仕切部244と第二シェル220Bの仕切部244とによって二重に仕切られてもよい。第一収容空間S11と第二収容空間S12との間のシールド性能を更に向上させることができる。
【0038】
複数のシェル140のそれぞれは、受入空間S1に入った仕切部244にそれぞれが接触するように、配列方向D2において互いに対向する一対のシェル接触部144を有してもよい。一対のシェル接触部144は、仕切部244の一対のシェル接触部243にそれぞれ接触する。第一シェル220A及び第二シェル220Bのそれぞれが仕切部244を有する場合、一対のシェル接触部144のそれぞれは、第一シェル220Aの仕切部244と、第二シェル220Bの仕切部244との両方に接触する。
【0039】
図6は、図2中のVI-VI線に沿う断面図である。図6に示すように、リセプタクルコネクタ2の一対の第一コンタクト120のそれぞれは、回路基板10に近付く方に向かって延びて、プラグコネクタ3の第一コンタクト210Aに接触する第一接触部123を有してもよい。リセプタクルコネクタ2の一対の第二コンタクト130のそれぞれは、回路基板10から遠ざかる方に向かって延びて、プラグコネクタ3の第二コンタクト210Bに接触する第二接触部133を有してもよい。
【0040】
上述したように、第一シェル220A及び第二シェル220Bのそれぞれは、直交方向D3において、一対の第一コンタクト210Aと一対の第二コンタクト210Bとを互いに逆の位置関係となるように開いていてもよい。具体的には、第一シェル220Aは、U字状を構成する開口部分がそれを構成する底部分よりも回路基板10から離れた位置になるよう配置され、一対の第一コンタクト210Aは、第一シェル220Aの開口部分に配置されていてもよい。また、第二シェル220Bは、U字状を構成する開口部分がそれを構成する底部分よりも回路基板10に近い位置になるよう配置され、一対の第二コンタクト210Bは、第二シェル220Bの開口部分に配置されていてもよい。一対の第一コンタクト210Aのそれぞれは、第一シェル220Aが開く方向(U字状を構成する底部分からそれを構成する開口部分に向かう方向)において第一コンタクト120に接触する第一接触部211Aを有し、一対の第二コンタクト210Bのそれぞれは、第二シェル220Bが開く方向(U字状を構成する底部分からそれを構成する開口部分に向かう方向)において第二コンタクト130に接触する第二接触部211Bを有してもよい。複数対の第一コンタクト210Aと複数対の第二コンタクト210Bとの間にスペースを設けなくても、第一シェル220Aと第二シェル220Bとによって電磁波による相互干渉を抑制した上で、複数対の第一コンタクト210Aを複数対の第一コンタクト120にそれぞれ接触させ、複数対の第二コンタクト210Bを複数対の第二コンタクト130にそれぞれ接触させることができる。従って、コネクタの小型化と、シールド性能との両立を図ることができる。
【0041】
リセプタクルコネクタ2の複数対の第一コンタクト120のそれぞれは、回路基板10の第一信号ライン11に接続される第一接続部124を更に有してもよい。複数対の第二コンタクト130のそれぞれは、回路基板10の第二信号ライン12に接続される第二接続部134を更に有してもよい。
【0042】
複数のシェル140のそれぞれは、嵌合方向D1において、少なくとも第一接触部123と第二接触部133とを収容してもよい。複数のシェル140のそれぞれは、嵌合方向D1において、第一接続部124と第二接続部134とを更に収容してもよい。シールド性能を更に向上させることができる。
【0043】
プラグコネクタ3の複数対の第一コンタクト210Aのそれぞれは、第一電線30Aに接続される第一接続部212Aを更に有してもよい。第二コンタクト210Bのそれぞれは、第二電線30Bに接続される第二接続部212Bを更に有してもよい。
【0044】
第一電線30Aは、導電性の信号導体31と、信号導体31を被覆する絶縁性のインナーシース32とを有する。同様に、第二電線30Bも、信号導体31と、インナーシース32とを有する。第一シールドケーブル20Aは、一対の第一電線30Aを被覆する導電性の外部導体21と、外部導体21を被覆する絶縁性のアウターシース22とを有する。同様に、第二シールドケーブル20Bも、一対の第二電線30Bを被覆する導電性の外部導体21と、外部導体21を被覆する絶縁性のアウターシース22とを有する。
【0045】
プラグコネクタ3への接続のために、第一シールドケーブル20Aの端部には、一対の第一電線30Aのそれぞれの信号導体31が露出した第一露出部と、外部導体21が露出した第二露出部とが形成される。第一露出部の信号導体31は、半田付け等によって第一接続部212Aに接続される。第二露出部の外部導体21は、半田付け等によって、第一シェル220Aと共に後述の第一ベースプレート250Aに接続される。
【0046】
同様に、第二シールドケーブル20Bの端部にも、第一露出部と第二露出部とが形成される。第一露出部の信号導体31は、半田付け等によって第二接続部212Bに接続される。第二露出部の外部導体21は、半田付け等によって、第二シェル220Bと共に後述の第二ベースプレート250Bに接続される。
【0047】
図1に戻り、コネクタシステム1は、ロック部材280を更に備える。ロック部材280は、リセプタクルコネクタ2にプラグコネクタ3が嵌合した状態にて、リセプタクルコネクタ2からプラグコネクタ3が外れることを防ぐ。ロック部材280は、一対のアーム281と、ホールドバー282とを有する。一対のアーム281は、配列方向D2に沿った軸線283まわりに回転可能となるように、配列方向D2におけるプラグコネクタ3の両端部にそれぞれ取り付けられる。一対のアーム281のそれぞれは、軸線283から遠ざかる方向に延びている。ホールドバー282は、配列方向D2に沿って延び、一対のアーム281の端部を連結する。
【0048】
リセプタクルコネクタ2にプラグコネクタ3が嵌合した後、一対のアーム281を軸線283まわりに回転させることで、図2に示すように、プラグコネクタ3から見てリセプタクルコネクタ2の背後にホールドバー282を配置することができる。リセプタクルコネクタ2の背後に配置されたホールドバー282は、嵌合方向D1に沿ってリセプタクルコネクタ2から遠ざかる方向へのプラグコネクタ3の変位に抗するので、リセプタクルコネクタ2からのプラグコネクタ3の外れが防がれる。一対のアーム281を軸線283まわりに回転させることで、リセプタクルコネクタ2の背後からホールドバー282を退避させれば、リセプタクルコネクタ2からプラグコネクタ3を外すことが可能となる。
【0049】
以下、リセプタクルコネクタ2及びプラグコネクタ3のそれぞれの構成を更に例示する。〔リセプタクルコネクタ〕図7は、リセプタクルコネクタ2の分解斜視図である。上述したように、リセプタクルコネクタ2は、複数対の第一コンタクト120と、複数対の第二コンタクト130と、複数のシェル140とを備えるが、図7においては、一対の第一コンタクト120と、一対の第二コンタクト130と、一つのシェル140のみを取り外した状態を示している。
【0050】
図7に示すように、リセプタクルコネクタ2は、ハウジング110と、複数対の第一コンタクト120と、複数対の第二コンタクト130と、複数のシェル140と、アウターカバー150とを備える。ハウジング110は、樹脂等の絶縁性の材料により形成されており、複数対の第一コンタクト120と、複数対の第二コンタクト130と、複数のシェル140とを互いに絶縁された状態に保持する。ハウジング110は、回路基板10に向かう対向面110aと、回路基板10から遠ざかる方に向かう反対面110bと、嵌合方向D1に沿ってプラグコネクタ3に向かう前面110cと、嵌合方向D1に沿ってプラグコネクタ3から遠ざかる方に向かう背面110dとを有する。
【0051】
複数対の第一コンタクト120のそれぞれは、銅等の金属材料により形成されており、第一挿入部121と、第一脚部122とを有する。第一挿入部121は、背面110dから前面110cに向かってハウジング110に挿入される。ハウジング110に挿入される第一挿入部121の端部には、上述した第一接触部123が形成されている。第一脚部122は、第一挿入部121に対し屈曲して回路基板10に向かって延びる。第一脚部122の端部には、上述した第一接続部124が形成されている。
【0052】
複数対の第二コンタクト130のそれぞれは、銅等の金属材料により形成されており、第二挿入部131と、第二脚部132とを有する。第二挿入部131は、背面110dから前面110cに向かってハウジング110に挿入される。ハウジング110に挿入される第二挿入部131の端部には、上述した第二接触部133が形成されている。第二脚部132は、第二挿入部131に対し屈曲して回路基板10に向かって延びる。第二脚部132の端部には、上述した第二接続部134が形成されている。第二挿入部131は、第一挿入部121と回路基板10との間に位置する。また、第二接続部134は第一接続部124よりも前方に配置される。このため、第二挿入部131の長さは第一挿入部121の長さよりも短く、第二脚部132の長さは第一脚部122の長さよりも短い。
【0053】
複数のシェル140のそれぞれは、銅等の金属材料により形成されており、センタープレート141と、一対の仕切プレート142とを有する。センタープレート141は、反対面110bに対向する。一対の仕切プレート142は、それぞれセンタープレート141に対し屈曲して回路基板10に向かって延びており、配列方向D2に沿って互いに対向する。一対の仕切プレート142のそれぞれの、回路基板10に向かう端部には、上述のシェル接続部143が形成されている。
【0054】
一対の仕切プレート142のそれぞれは、反対面110bから対向面110aに向かってハウジング110に挿入され、隣り合う二対の第一コンタクト120同士の間を仕切り、隣り合う二対の第二コンタクト130同士の間も仕切る。シェル接続部143は、グラウンドパターン13に接続可能となるように対向面110aに達している。
【0055】
アウターカバー150は、銅等の金属材料により形成されており、ハウジング110の外表面を少なくとも部分的に覆う。例えばアウターカバー150は、カバープレート151と、一対のサイドプレート152とを有する。カバープレート151は、複数のシェル140のセンタープレート141よりも外から反対面110bを覆う。一対のサイドプレート152は、配列方向D2におけるカバープレート151の両端部から回路基板10に向かってそれぞれ伸び、配列方向D2におけるハウジング110の両端面を覆う。
【0056】
一対のサイドプレート152のそれぞれの、回路基板10に向かう端部には、回路基板10のグラウンドパターン13に接続されるカバー接続部153が形成されている。一対のサイドプレート152のそれぞれには、配列方向D2に沿ってハウジング110から遠ざかる方に向かう凸部154が形成されている。一対のサイドプレート152の凸部154は、上述のようにロック部材280のホールドバー282がリセプタクルコネクタ2の背後に配置された状態にて、一対のアーム281にそれぞれ引っ掛かり、ロック部材280の外れを防ぐ。
【0057】
図8はハウジング110単体を前面110cと反対面110bより、同じく図9は対向面110aと背面110dより視た斜視図である。図8及び図9に示すように、ハウジング110は、嵌合穴111と、接続空間112と、保持壁113とを有する。図8に示すように、嵌合穴111は、嵌合方向D1に沿って、プラグコネクタ3に向かうように開口する。例えば嵌合穴111は前面110cに開口し、配列方向D2に沿って広がっている。図9に示すように、接続空間112は、嵌合方向D1に沿って嵌合穴111とは逆向きに開口し、更に回路基板10に向かって開口する。例えば嵌合穴111は、背面110dと反対面110bとに開口し、配列方向D2に沿って広がっている。保持壁113は、嵌合穴111と接続空間112との間を仕切り、複数対の第一コンタクト120と複数対の第二コンタクト130とを保持する.例えば保持壁113は、配列方向D2に沿って並ぶ複数対の第一挿入孔114と、複数対の第一挿入孔114と対向面110aとの間で配列方向D2に沿って並ぶ複数対の第二挿入孔115とを有する。
【0058】
複数対の第一挿入孔114には、背面110dから前面110cに向かって、複数対の第一コンタクト120の第一挿入部121がそれぞれ挿入される。第一挿入部121の端部の第一接触部123は嵌合穴111に収容される。第一脚部122と、第一脚部122の端部の第一接続部124とは、接続空間112に収容される。
【0059】
複数対の第二挿入孔115には、背面110dから前面110cに向かって、複数対の第二コンタクト130の第二挿入部131がそれぞれ挿入される。第二挿入部131の端部の第二接触部133は嵌合穴111に収容される。第二脚部132と、第二接触部133の端部の第二接続部134とは、接続空間112に収容される。
【0060】
ハウジング110は、配列方向D2に沿って並ぶ複数の仕切孔116を更に有する。複数の仕切孔116のそれぞれは、対向面110aと反対面110bとの間を貫通している。配列方向D2における両端の仕切孔116は、複数のシェル140の配列において両端に位置する仕切プレート142をそれぞれ受け入れる。両端の仕切孔116以外の仕切孔116のそれぞれは、隣り合うシェル140同士の間で重なり合う仕切プレート142を受け入れる(図7参照)。このように、複数の仕切孔116に収容された複数のシェル140は、嵌合穴111と、接続空間112と、保持壁113とのそれぞれを、直交方向D3に並ぶ一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切る、第一接触部123と第二接触部133とが収容される嵌合穴111から、第一接続部124と第二接続部134とが収容される接続空間112までを、複数のシェル140によって、直交方向D3に並ぶ一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切ることによって、シールド性能を更に向上させることができる。
【0061】
複数のシェル140のそれぞれにおいて、一対の仕切プレート142のうち嵌合穴111に位置する部分の間に、上述した受入空間S1が形成される。また、一対の仕切プレート142のうち嵌合穴111に位置する部分の少なくとも一部が、一対のシェル接触部144となる。
【0062】
ハウジング110は、配列方向D2に沿って並ぶ複数の補強壁117を更に有してもよい。複数の補強壁117は、接続空間112内を、直交方向D3に並ぶ一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切るように、保持壁113から背面110dに向かって突出している。両端の仕切孔116以外の仕切孔116は、複数の補強壁117内にそれぞれ形成される。
【0063】
嵌合方向D1において、第二接続部134は第一接続部124と保持壁113との間に位置する(図6参照)。複数対の第二コンタクト130のうち嵌合穴111に収容される部分の長さが、複数対の第二コンタクト130のうち接続空間112に収容される部分の長さよりも長くてもよい。第一コンタクト120と第二コンタクト130とが仕切部244により仕切られることなく同一空間に共存する区間を短くすることで、シールド性能を更に向上させることができる。
【0064】
リセプタクルコネクタ2は、例えば以下の手順により組立可能である。まず、ハウジング110の複数対の第二挿入孔115に対し、背面110dから前面110cに向かって、複数対の第二コンタクト130の第二挿入部131をそれぞれ挿入し、複数対の第二コンタクト130の第二接触部133を嵌合穴111に収容し、複数対の第二コンタクト130の第二接続部134を接続空間112に収容する。次に、ハウジング110の複数対の第一挿入孔114に対し、背面110dから前面110cに向かって、複数対の第一コンタクト120の第一挿入部121をそれぞれ挿入し、複数対の第一コンタクト120の第一接触部123を嵌合穴111に収容し、複数対の第一コンタクト120の第一接続部124を接続空間112に収容する。次に、複数のシェル140を、反対面110bから対向面110aに向かって、複数の仕切孔116にそれぞれ挿入する。その後、反対面110bから対向面110aに向かってアウターカバー150をハウジング110に被せる。
【0065】
〔プラグコネクタ〕
図10は、プラグコネクタ3の分解斜視図である。図10に示すように、プラグコネクタ3は、第一コネクタ200Aと、第二コネクタ200Bと、導電性のカバー300とを有する。第一コネクタ200Aは、上述した複数対の第一コンタクト210Aと、複数の第一シェル220Aとをユニット化したものである。第二コネクタ200Bは、上述した複数対の第二コンタクト210Bと、複数の第二シェル220Bとをユニット化したものである。第一コネクタ200Aと、第二コネクタ200Bとは、直交方向D3において重なり合う。カバー300は、重なり合った第一コネクタ200Aと第二コネクタ200Bとを包囲して、第一コネクタ200Aと第二コネクタ200Bとを一体化する。第一コネクタ200Aと第二コネクタ200Bとは、重なり合った状態にて、嵌合方向D1に沿ってリセプタクルコネクタ2に嵌合する。
【0066】
以下、それぞれの構成を説明する。各構成の説明においては、嵌合方向D1に沿ってプラグコネクタ3に向かう方を「前方」とする。第一コネクタ200Aの説明においては、第二コネクタ200Bに向かう方を「内方」とし、第二コネクタ200Bから遠ざかる方を「外方」という。第二コネクタ200Bの説明においては、第一コネクタ200Aに向かう方を「内方」とし、第一コネクタ200Aから遠ざかる方を「外方」という。
【0067】
(第一コネクタ)
図11は、第一コネクタの分解斜視図である。図11に示すように、第一コネクタ200Aは、複数対の第一コンタクト210Aと、第一ハウジング260Aと、第一ベースプレート250Aと、複数の第一シェル220Aと、を有する。配列方向D2に沿って並ぶ複数対の第一コンタクト210Aのそれぞれは、銅等の金属材料により形成されており、嵌合方向D1に沿って延びている。前方へ向かう第一コンタクト210Aの先端部には、上述した第一接触部211Aが形成されている。後方へ向かう第一コンタクト210Aの基端部には、上述した第一接続部212Aが形成されている。
【0068】
第一ハウジング260Aは、樹脂等の絶縁性の材料により形成されている。第一ハウジング260Aは配列方向D2に沿って延び、複数の第一コンタクト210Aを保持する。第一ハウジング260Aは、複数対の第一コンタクト210Aの第一接触部211Aを外方に露出させ、複数対の第一コンタクト210Aの第一接続部212Aを内方に露出させる。複数対の第一コンタクト210Aの第一接続部212Aには、内方から、複数対の第一電線30Aの信号導体31が半田付け等により接続される。
【0069】
第一ベースプレート250Aは、銅などの金属材料により形成されており、配列方向D2に沿って延び、複数の第一シールドケーブル20Aの外部導体21に外方から接続される。第一ベースプレート250Aは、複数の第一コンタクト210Aから絶縁された状態で第一ハウジング260Aに保持される。
【0070】
図12に示すように、第一ベースプレート250Aは、配列方向D2における両端部に一対のベース接続部251を有する。一対のベース接続部251のそれぞれは、外方に露出するように第一ベースプレート250Aに保持され、カバー300に接続される。第一ベースプレート250Aは、一対のベース接続部251の間に、配列方向D2に沿って並ぶ複数の開口252と、複数対の開口253とを有する。複数の開口252は、複数の第一シールドケーブル20Aに対応する。複数の開口252のそれぞれは、対応する第一シールドケーブル20Aの外部導体21を外方に露出させるように開口している。第一ベースプレート250Aは、複数の開口252を介して、外方から複数の第一シールドケーブル20Aに半田付け等により接続される。
【0071】
複数対の開口253は、複数の第一シールドケーブル20Aにそれぞれ対応し、複数の開口252にそれぞれ対応する。複数対の開口253のそれぞれは、対応する開口252が、配列方向D2において開口253と開口253との間に位置するように形成されている。複数対の開口253には、後述するように、複数の第一シェル220Aを第一ベースプレート250Aに接続するのに用いられる。
【0072】
図13に示すように複数の第一シェル220Aのそれぞれは、ベース部230と、エンド部240とを有する。複数の第一シェル220Aのベース部230は、複数の第一シールドケーブル20Aの外部導体21をそれぞれ包囲して第一ベースプレート250Aに固定される。例えばベース部230は、一対のベース側壁部231と、ベース連結壁部232とを有する。ベース連結壁部232は、内方から第一ベースプレート250Aに対向する。一対のベース側壁部231は、それぞれベース連結壁部232に対し屈曲して第一ベースプレート250Aに向かって延び、配列方向D2に沿って互いに対向する。一対のベース側壁部231の間には、対応する第一シールドケーブル20Aのシールドケーブル20が収容される。
【0073】
一対のベース側壁部231のそれぞれの、第一ベースプレート250Aに向かう端部には固定片233が形成されている。一対のベース側壁部231の固定片233は、一対の開口253にそれぞれ入り込み、外方から半田付け等により第一ベースプレート250Aに固定(接続)される。これにより、第一シェル220Aが、第一ベースプレート250Aを介して第一ハウジング260Aに保持されることとなる。
【0074】
エンド部240は、嵌合方向D1に沿ってベース部230から前方に延びて、一対の第一コンタクト210Aを包囲する。例えばエンド部240は、一対のエンド側壁部241と、エンド連結壁部242とを有する。エンド連結壁部242はベース連結壁部232に連なる。一対のエンド側壁部241は、エンド連結壁部242に対し屈曲して外方に向かって延び、一対のベース側壁部231にそれぞれ連なる。一対のエンド側壁部241は、配列方向D2に沿って互いに対向する。
【0075】
配列方向D2における一対のベース側壁部231の間隔に比較して、配列方向D2における一対のエンド側壁部241の間隔は小さい。ベース部230内には第一シールドケーブル20Aの外部導体21が存在するのに対し、エンド部240内には第一シールドケーブル20Aの外部導体21が存在しない。外部導体21が存在する位置における一対のベース側壁部231の間隔に比較して、外部導体21が存在しない位置における一対のエンド側壁部241の間隔を小さくすることによって、一対の第一電線30Aと、一対の第一電線30Aを包囲するグラウンド電位の金属体との配置関係の均一性を向上させ、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0076】
一対のベース側壁部231は、一対のシェル接触部243をそれぞれ有する。一対のシェル接触部243は、外力の付与によって弾性変形して互いに近付き、外力の除去によって互いに遠ざかる。エンド部240の少なくとも一部は上述の受入空間S1に入り込み、仕切部244となる。一対のシェル接触部243は、一対の仕切プレート142の内面に接する。一対の仕切プレート142のうち、一対のシェル接触部243にそれぞれ接触する部分が一対のシェル接触部144となる。
【0077】
図14及び図15に示すように、第一ハウジング260Aは、第一ハウジングベース261と、複数の第一突出部262と、一対の第一ベース保持部264と、一対の第一ガイド263とを有する。第一ハウジングベース261は、配列方向D2に沿って延びる。複数の第一突出部262は配列方向D2に沿って並び、第一ハウジングベース261から前方及び内方に突出する。複数の第一突出部262は、複数対の第一コンタクト210Aを対ごとに保持し、複数の第一シェル220Aにそれぞれ収容される。複数の第一突出部262のそれぞれは、第一接触部211Aが外方に露出するように一対の第一コンタクト210Aを保持し、第一シェル220Aのエンド部240に外方から入り込む。一対の第一コンタクト210Aの第一接続部212Aは、第一突出部262から後方に突出し、第一ハウジングベース261の内方に位置する(図6参照)。
【0078】
一対の第一ベース保持部264は、配列方向D2における第一ハウジングベース261の両端部から、内方及び後方に突出し、一対のベース接続部251が外方に露出するように、第一ベースプレート250Aの両端部をそれぞれ保持する。一対の第一ガイド263は、一対の第一ベース保持部264から前方にそれぞれ突出している。配列方向D2において、複数の第一突出部262は一対の第一ガイド263の間に位置している。一対の第一ガイド263は、複数の第一突出部262よりも前方に突出している。プラグコネクタ3をリセプタクルコネクタ2に嵌合させる際に、一対の第一ガイド263は、複数の第一突出部262よりも先にプラグコネクタ3内に進入し、複数の第一突出部262をプラグコネクタ3内に案内する。
【0079】
第一ハウジング260Aは、後述の第二ハウジング260Bと対向する第一嵌合部265を有する。例えば第一ハウジング260Aは、内方に向かって突出するように一対の第一ガイド263にそれぞれ形成された一対の凸部を第一嵌合部265として有する。
【0080】
(第二コネクタ)
図16は、第二コネクタの分解斜視図である。図16に示すように、第二コネクタ200Bは、複数対の第二コンタクト210Bと、第二ハウジング260Bと、第二ベースプレート250Bと、複数の第二シェル220Bと、を有する。第二コネクタ200Bの構造は、第一コネクタ200Aの構造と同じであり、複数対の第二コンタクト210Bが第一コネクタ200Aにおける複数対の第一コンタクト210Aに対応し、第二ハウジング260Bが第一コネクタ200Aにおける第一ハウジング260Aに対応し、第二ベースプレート250Bが第一コネクタ200Aにおける第一ベースプレート250Aに対応する。複数の第二シェル220Bが第一コネクタ200Aにおける複数の第一シェル220Aに対応する。複数対の第二コンタクト210Bのそれぞれは、複数対の第一コンタクト210Aのそれぞれと同一の部品であり、前方へ向かう第二コンタクト210Bの先端部には、上述した第二接触部211Bが形成されている。後方へ向かう第二コンタクト210Bの基端部には、上述した第二接続部212Bが形成されている。第二ベースプレート250Bは第一ベースプレート250Aと同一の部品であり、複数の第二シェル220Bのそれぞれは、複数の第一シェル220Aのそれぞれと同一の部品である。
【0081】
第二コネクタ200Bにおける第二ハウジング260Bの機能は、第一コネクタ200Aにおける第一ハウジング260Aの機能と共通するが、第二ハウジング260Bは第一ハウジング260Aと同一の部品ではない。第二ハウジング260Bは、樹脂等の絶縁性の材料により形成されている。第二ハウジング260Bは配列方向D2に沿って延び、複数の第二コンタクト210Bを保持する。第二ハウジング260Bは、複数対の第二コンタクト210Bの第二接触部211Bを外方に露出させる。複数対の第二コンタクト210Bの第二接続部212Bを内方に露出させる複数対の第二コンタクト210Bの第二接続部212Bには、内方から、複数対の第二電線30Bの信号導体31が半田付け等により接続される。
【0082】
第二ベースプレート250Bは、複数の第二コンタクト210Bから絶縁された状態で第二ハウジング260Bに保持され、複数の第二シールドケーブル20Bの外部導体21に外方から接続される。
【0083】
図17及び図18に示すように、第二ハウジング260Bは、第一ハウジング260Aと同様に、第二ハウジングベース271と、複数の第二突出部272と、一対の第二ベース保持部274と、一対の第二ガイド273とを有する。第二ハウジングベース271は、配列方向D2に沿って延びる。複数の第二突出部272は、配列方向D2に沿って並び、第二ハウジングベース271から前方及び内方に突出する。複数の第二突出部272は、複数対の第二コンタクト210Bを対ごとに保持し、複数の第二シェル220Bにそれぞれ収容される。複数の第二突出部272のそれぞれは、第二接触部211Bが外方に露出するように一対の第二コンタクト210Bを保持し、第二シェル220Bのエンド部240に外方から入り込む。一対の第二コンタクト210Bの第二接続部212Bは、第二突出部272から後方に突出し、第二ハウジングベース271の内方に位置する(図6参照)。
【0084】
一対の第二ベース保持部274は、配列方向D2における第二ハウジングベース271の両端部から、内方及び後方に突出し、一対の第二ハウジングベース271が外方に露出するように、第二ベースプレート250Bの両端部をそれぞれ保持する。一対の第二ガイド273は、一対の第二ベース保持部274から前方にそれぞれ突出している。配列方向D2において、複数の第二突出部272は一対の第二ガイド273の間に位置している。一対の第二ガイド273は、複数の第二突出部272よりも前方に突出している。プラグコネクタ3をリセプタクルコネクタ2に嵌合させる際に、一対の第二ガイド273は、複数の第二突出部272よりも先にプラグコネクタ3内に進入し、複数の第二突出部272をプラグコネクタ3内に案内する。
【0085】
直交方向D3において、一対の第二ガイド273の厚さは、一対の第一ガイド263の厚さと異なっている。例えば直交方向D3における一対の第二ガイド273の厚さは、直交方向D3における一対の第一ガイド263の厚さよりも大きい。
【0086】
第二ハウジング260Bは、第一ハウジング260Aと対向する第二嵌合部275を有する。例えば第二ハウジング260Bは、内方に向かって開口するように、一対の第二ガイド273にそれぞれ形成された一対の凹部を第二嵌合部275として有し、第二嵌合部275である一対の凹部に、第一嵌合部265である一対の凸部がそれぞれ嵌合する。なお、第一嵌合部265が凹部であり、第二嵌合部275が凸部であってもよい。
【0087】
(アウターカバー)
図10に戻り、カバー300は、第一アウターカバー310Aと、第二アウターカバー310Bとを有する。第一アウターカバー310Aは、銅等の金属材料により形成され、カバープレート311と、一対のサイドプレート312とを有する。カバープレート311は配列方向D2に沿って延び外方から第一ハウジング260Aを覆う。
【0088】
一対のサイドプレート312は、配列方向D2におけるカバープレート311の両端に連なり、配列方向D2における第一ハウジング260A及び第二ハウジング260Bの両端面をそれぞれ覆う。カバープレート311は、配列方向D2における両端近傍に、一対の接続開孔313をそれぞれ有する。一対の接続開孔313は、第一ベースプレート250Aの一対のベース接続部251をそれぞれ外方に露出させる。カバープレート311は、一対の接続開孔313を介して、外方から半田付け等により第一ベースプレート250Aの一対のベース接続部251にそれぞれ固定(接続)される。
【0089】
カバープレート311は、一対の接続開孔313の間において、第一ベースプレート250Aに接触するカバー接続部314を更に有してもよい。カバー接続部314は、一対の接続開孔313の間において内方に延び、第一ベースプレート250Aに接触する。
【0090】
一対のサイドプレート312には、一対の軸受スリット315がそれぞれ設けられている。一対の軸受スリット315は、カバープレート311から離れる方向に向かって開いている。
【0091】
第二アウターカバー310Bは、第一アウターカバー310Aと同様に、銅等の金属材料により形成され、カバープレート311と、一対の接続開孔313とを有する。カバープレート311は、配列方向D2に沿って延び外方から第二ハウジング260Bを覆う。
【0092】
一対のサイドプレート312は、配列方向D2におけるカバープレート311の両端に連なり、配列方向D2において、第一アウターカバー310Aの一対のサイドプレート312とそれぞれ重なり、半田付け等により第一アウターカバー310Aの一対のサイドプレート312にそれぞれ固定(接続)される。カバープレート311は、配列方向D2における両端近傍に、一対の接続開孔313をそれぞれ有する。一対の接続開孔313は、第二ベースプレート250Bの一対のベース接続部251をそれぞれ外方に露出させる。カバープレート311は、一対の接続開孔313を介して、外方から半田付け等により第二ベースプレート250Bの一対のベース接続部251にそれぞれ固定(接続)される。
【0093】
カバープレート311は、一対の接続開孔313の間において、第二ベースプレート250Bに接触するカバー接続部314を更に有してもよい。カバー接続部314は、一対の接続開孔313の間において内方に延び、第二ベースプレート250Bに接触する。
【0094】
一対のサイドプレート312には、一対の軸受スリット315がそれぞれ設けられている。一対の軸受スリット315は、カバープレート311から離れる方向に向かって開いている。第二アウターカバー310Bの一対の軸受スリット315と、第一アウターカバー310Aの一対の軸受スリット315とによって、ロック部材280の一対のアーム281の軸受孔が形成される。
【0095】
第二アウターカバー310Bは、第一アウターカバー310Aと同一部品であってもよい。この場合、第二アウターカバー310Bの一対のサイドプレート312と、第一アウターカバー310Aの一対のサイドプレート312とは、配列方向D2において交互に並ぶように重なる(図4参照)。
【0096】
(組み立て手順)
プラグコネクタ3は、以下の手順により組立可能である。まず、樹脂材料のインサート成型等により、複数対の第一コンタクト210Aと、第一ベースプレート250Aと、第一ハウジング260Aとが一体化された第一ユニットとを形成する。同様に、樹脂材料のインサート成型等により、複数対の第二コンタクト210Bと、第二ベースプレート250Bと、第二ハウジング260Bとが一体化された第二ユニットとを形成する。次に、第一ユニットの複数対の第一コンタクト210Aに、複数対の第一電線30Aの信号導体31をそれぞれ接続する。同様に、第二ユニットの複数対の第二コンタクト210Bに、複数対の第二電線30Bの信号導体31をそれぞれ接続する。次に、複数対の第一電線30Aの信号導体31がそれぞれ接続された複数対の第一コンタクト210Aを対ごとに包囲するように、複数の第一シェル220Aを第一ユニットに取りつける。同様に、複数対の第二電線30Bの信号導体31がそれぞれ接続された複数対の第二コンタクト210Bを対ごとに包囲するように、複数の第二シェル220Bを第二ユニットに取りつける。次に、複数対の第一コンタクト210Aと複数対の第二コンタクト210Bと直交方向D3で互いに平行に並ぶように、第一ハウジング260Aと第二ハウジング260Bとを組み合わせ、カバー300により一体化する。次に、プラグコネクタ3にロック部材280を取り付ける。
【0097】
〔まとめ〕
以上に例示した実施形態は、以下の構成を含む。
(1) 回路基板に設けられ、回路基板に平行な嵌合方向D1に沿って相手コネクタ3と嵌合するコネクタ2であって、回路基板に平行で嵌合方向D1に垂直な配列方向D2に沿って並び、回路基板の複数対の第一信号ラインにそれぞれ接続される複数対の第一コンタクト120と、複数対の第一コンタクト120と回路基板との間において配列方向D2に沿って並び、回路基板の複数対の第二信号ラインにそれぞれ接続される複数対の第二コンタクト130と、配列方向D2に沿って並び、嵌合方向D1まわりに、複数対の第一コンタクト120と複数対の第二コンタクト130とを、一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに包囲する導電性の複数のシェル140と、相手コネクタ3に設けられる導電性の複数の仕切部244をそれぞれ受け入れるように、複数のシェル140内にそれぞれ設けられる複数の受入空間S1と、を備え、複数の受入空間S1にそれぞれ入る複数の仕切部244によって、複数のシェル140のそれぞれの内部が、一対の第一コンタクト120を収容する第一収容空間S11と、一対の第二コンタクト130を収容する第二収容空間S12とに仕切られる、コネクタ2。
複数対のコンタクトが二列に配列される構成において、第一列の複数対の第一コンタクト120と、第二列の複数対の第二コンタクト130とが、複数のシェル140により、一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切られる。更に、相手コネクタ3の複数の仕切部244によって、複数のシェル140のそれぞれの内部が、一対の第一コンタクト120を収容する第一収容空間S11と、一対の第二コンタクト130を収容する第二収容空間S12とに仕切られる。これにより、シールド性能が向上する。また、コネクタ2自体の構成要素と、相手コネクタ3の構成要素とを併用することで、シールドの占有スペースを削減し、より多くのスペースを信号伝送に割り当てることができる。従って、並列に伝送可能な信号の数と、シールド性能との両立に有効である。
【0098】
(2) 複数のシェル140のそれぞれは、受入空間S1に入った相手コネクタ3の仕切部244にそれぞれが接触するように、配列方向D2において互いに対向する一対のシェル接触部144を有する、(1)記載のコネクタ2。
シェル140と仕切部244との間の遮蔽性を向上させることで、シールド性能を更に向上させることができる。
【0099】
(3) 一対の第一コンタクト120のそれぞれは、回路基板に近付く方において相手コネクタ3の相手第一コンタクト210Aに接触する第一接触部123を有し、一対の第二コンタクト130のそれぞれは、回路基板から遠ざかる方において相手コネクタ3の相手第二コンタクト210Bに接触する第二接触部133を有し、複数のシェル140のそれぞれは、少なくとも第一接触部123と第二接触部133とを収容する、(1)又は(2)記載のコネクタ2。
複数対の相手第一コンタクト210Aと複数対の相手第二コンタクト210Bとの間にスペースを設けなくても、複数のシェル140と複数の仕切部244とによって電磁波による相互干渉を抑制した上で、複数対の第一コンタクト120を複数対の相手第一コンタクト210Aにそれぞれ接触させ、複数対の第二コンタクト130を複数対の相手第二コンタクト210Bにそれぞれ接触させることができる。従って、コネクタ2を更に小型化することができる。
【0100】
(4) 複数対の第一コンタクト120のそれぞれは、回路基板の第一信号ラインに接続される第一接続部124を更に有し、複数対の第二コンタクト130のそれぞれは、回路基板の第二信号ラインに接続される第二接続部134を更に有し、複数のシェル140のそれぞれは、第一接続部124と第二接続部134とを更に収容する、(3)記載のコネクタ2。
シールド性能を更に向上させることができる。
【0101】
(5) 複数対の第一コンタクト120と、複数対の第二コンタクト130と、複数のシェル140とを保持する絶縁性のハウジング110を更に備え、ハウジング110は、嵌合方向D1に沿い相手コネクタ3に向かう方向に開いた嵌合穴111と、嵌合方向D1に沿って嵌合穴111とは逆向きに開き、更に回路基板に向かう方向に開いた接続空間112と、嵌合穴111と接続空間112との間を仕切り、複数対の第一コンタクト120と複数対の第二コンタクト130とを保持する保持壁113と、を有し、第一接触部123と第二接触部133とは嵌合穴111に収容され、第一接続部124と第二接続部134とは接続空間112に収容され、複数のシェル140は、嵌合穴111と、接続空間112と、保持壁113とのそれぞれを、一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切る、(4)記載のコネクタ2。
第一接触部123と第二接触部133とが収容される嵌合穴111から、第一接続部124と第二接続部134とが収容される接続空間112までを、複数のシェル140によって一対の第一コンタクト120及び一対の第二コンタクト130ごとに仕切ることによって、シールド性能を更に向上させることができる。
【0102】
(6) 嵌合方向D1において、第二接続部134は第一接続部124と保持壁113との間に位置し、複数対の第二コンタクト130のうち嵌合穴111に収容される部分の長さが、複数対の第二コンタクト130のうち接続空間112に収容される部分の長さよりも長い、(5)記載のコネクタ2。
第一コンタクト120と第二コンタクト130とが仕切部244により仕切られることなく同一空間に共存する区間を短くすることで、シールド性能を更に向上させることができる。
【0103】
(7) 複数のシェル140のそれぞれは、回路基板に向かって開いており、回路基板のグラウンドパターンに接続される一対のシェル接続部143を、回路基板に向かう配列方向D2の両端にそれぞれ有する、(1)~(6)のいずれか記載のコネクタ2。
回路基板のグランドパターンもシールドの構成要素として利用することで、シールドの占有スペースを更に削減することができる。
【0104】
(8) (1)記載のコネクタ2と、相手コネクタ3と、を備え、相手コネクタ3は、複数対の第一電線30Aにそれぞれ接続される導電性の複数対の相手第一コンタクト210Aと、複数対の第二電線30Bにそれぞれ接続される導電性の複数対の相手第二コンタクト210Bと、嵌合方向D1まわりに、複数対の相手第一コンタクト210Aを対ごとに包囲する導電性の複数の相手第一シェル220Aと、嵌合方向D1まわりに、複数対の相手第二コンタクト210Bを対ごとに包囲する導電性の複数の相手第二シェル220Bと、を備え、複数のシェル140は、複数対の相手第一コンタクト210Aと複数対の相手第二コンタクト210Bとを、一対の相手第一コンタクト210A及び一対の相手第二コンタクト210Bごとに収容し、複数のシェル140のそれぞれにおいて、一対の第一コンタクト120が一対の相手第一コンタクト210Aにそれぞれ接触し、一対の第二コンタクト130が一対の相手第二コンタクト210Bにそれぞれ接触し、一対の相手第一コンタクト210A及び一対の相手第二コンタクト210Bをそれぞれ収容する相手第一シェル220A及び相手第二シェル220Bは、一対の相手第一コンタクト210Aと一対の相手第二コンタクト210Bとを受け入れるシェル140の受入空間S1に入って第一収容空間S11と第二収容空間S12とを仕切る仕切部244を有する、コネクタシステム1。
【0105】
(9) 一対の相手第一コンタクト210Aと一対の相手第二コンタクト210Bとを収容するシェル140は、配列方向D2において互いに対向し、受入空間S1に入った仕切部244にそれぞれが接触する一対のシェル接触部144を有する、(8)記載のコネクタシステム1。
【0106】
(10) 相手第一シェル220A及び相手第二シェル220Bのそれぞれが仕切部244を有し、第一収容空間S11と第二収容空間S12とが、相手第一シェル220Aの仕切部244と相手第二シェル220Bの仕切部244とによって二重に仕切られ、一対のシェル接触部144のそれぞれが、相手第一シェル220Aの仕切部244と、相手第二シェル220Bの仕切部244との両方に接触する、(9)記載のコネクタシステム1。
【0107】
(11) 相手第一シェル220A及び相手第二シェル220Bのそれぞれは、嵌合方向D1と配列方向D2とに垂直な方向において、一対の相手第一コンタクト210Aと一対の相手第二コンタクト210Bとを互いに逆の位置関係となるように開き、一対の第一コンタクト120は、相手第一シェル220Aが開く方向において一対の相手第一コンタクト210Aにそれぞれ接触し、一対の第二コンタクト130は、相手第二シェル220Bが開く方向において一対の相手第二コンタクト210Bにそれぞれ接触する、(8)~(10)のいずれか記載のコネクタシステム1。
【0108】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0109】
1…コネクタシステム、2…コネクタ、3…相手コネクタ、D1…嵌合方向、D2…配列方向、S1…受入空間、244…仕切部、S11…第一収容空間、S12…第二収容空間、30A…第一電線、30B…第二電線、110…ハウジング、120…第一コンタクト、123…第一接触部、124…第一接続部、130…第二コンタクト、133…第二接触部、134…第二接続部、140…シェル、143…シェル接続部、144…シェル接触部、111…嵌合穴、112…接続空間、113…保持壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18