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特開2024-155468超音波融着方法及び超音波融着システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155468
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】超音波融着方法及び超音波融着システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B29C65/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070206
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 保徳
(72)【発明者】
【氏名】可児 祐樹
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AK09
4F211AR06
4F211TA01
4F211TC03
4F211TD11
4F211TN08
4F211TN22
4F211TN23
4F211TQ05
4F211TQ09
(57)【要約】
【課題】被着体の融着強度を向上させる。
【解決手段】超音波により被着体同士を融着する超音波融着方法において、前記被着体は、熱可塑性樹脂を含み、超音波により前記被着体同士が接触する界面を加熱するステップと、界面加熱後において、前記被着体を加熱しながら、前記被着体を加圧するステップと、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波により被着体同士を融着する超音波融着方法において、
前記被着体は、熱可塑性樹脂を含み、
超音波により前記被着体同士が接触する界面を加熱するステップと、
界面加熱後において、前記被着体を加熱しながら、前記被着体を加圧するステップと、を実行する超音波融着方法。
【請求項2】
前記被着体を加圧するステップでは、前記被着体の加圧時における冷却速度が、界面加熱後から前記被着体の加圧前までの冷却速度に比して遅くなるように、前記被着体を加熱する請求項1に記載の超音波融着方法。
【請求項3】
前記界面を加熱するステップの実行後、前記被着体の前記界面は、前記熱可塑性樹脂の流動停止温度からガラス転移温度までの温度帯に保持された状態で冷却される請求項1に記載の超音波融着方法。
【請求項4】
前記界面を加熱するステップの後で、前記被着体を加圧するステップの前に実行され、界面加熱後の前記被着体を加熱するステップを、さらに実行する請求項1に記載の超音波融着方法。
【請求項5】
超音波により被着体同士を融着する超音波融着システムにおいて、
前記被着体は、熱可塑性樹脂を含み、
超音波により前記被着体同士が接触する界面を加熱する超音波融着装置と、
前記超音波融着装置による界面加熱後において、前記被着体を加熱しながら、前記被着体を加圧する加圧装置と、
前記超音波融着装置及び前記加圧装置に対して、前記被着体を相対的に移動させる移動装置と、を備え、
前記加圧装置は、前記被着体の移動方向において、前記超音波融着装置の後方に設けられる超音波融着システム。
【請求項6】
前記加圧装置は、
前記被着体を押圧する押圧面と前記押圧面の反対側に設けられる受圧面とを含む押圧部材と、
前記押圧部材の内部に収容されるヒータと、を有し、
前記押圧部材には、前記受圧面側に前記ヒータを収容する収容空間が形成されており、
前記収容空間は、前記受圧面への圧力付与時において、前記受圧面に接する部材と前記収容空間に収容される前記ヒータとの間に、隙間が形成される空間となっている請求項5に記載の超音波融着システム。
【請求項7】
前記加圧装置は、
前記被着体の加圧時における冷却速度が、前記超音波融着装置による界面加熱後から前記加圧装置による前記被着体の加圧前までの冷却速度に比して遅くなるように、前記被着体を加熱する請求項5に記載の超音波融着システム。
【請求項8】
前記被着体の前記界面は、前記熱可塑性樹脂の流動停止温度からガラス転移温度までの温度帯に保持された状態で冷却される請求項5に記載の超音波融着システム。
【請求項9】
前記超音波融着装置と前記加圧装置の間に設けられ、前記被着体を加熱する加熱装置を、さらに備える請求項5に記載の超音波融着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波融着方法及び超音波融着システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体同士を融着する超音波融着方法として、熱可塑性樹脂を含む被着体に超音波振動するホーン(超音波ソノトロード)を接触させ、ホーンにより被着体を加圧しながら、被着体の界面の熱可塑性樹脂を溶融させて接合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この超音波融着方法では、ホーンの前後に加圧装置があり、超音波融着の前後において、被着体を加圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0210360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような超音波融着方法により融着された被着体は、その融着強度が十分に得られない場合がある。これは、超音波融着後の被着体の加圧時において、被着体の加圧前における冷却速度が速く、被着体に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が低いものとなるからである。
【0005】
そこで、本開示は、被着体の融着強度を向上させることができる超音波融着方法及び超音波融着システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の超音波融着方法は、超音波により被着体同士を融着する超音波融着方法において、前記被着体は、熱可塑性樹脂を含み、超音波により前記被着体同士が接触する界面を加熱するステップと、界面加熱後において、前記被着体を加熱しながら、前記被着体を加圧するステップと、を実行する。
【0007】
本開示の超音波融着システムは、超音波により被着体同士を融着する超音波融着システムにおいて、前記被着体は、熱可塑性樹脂を含み、超音波により前記被着体同士が接触する界面を加熱する超音波融着装置と、前記超音波融着装置による界面加熱後において、前記被着体を加熱しながら、前記被着体を加圧する加圧装置と、前記超音波融着装置及び前記加圧装置に対して、前記被着体を相対的に移動させる移動装置と、を備え、前記加圧装置は、前記被着体の移動方向において、前記超音波融着装置の後方に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、被着体の融着強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る超音波融着システムを模式的に示す図である。
図2図2は、第一実施形態に係る超音波融着システムのヒータ周りの図である。
図3図3は、被着体の温度変化に関する図である。
図4図4は、第二実施形態に係る超音波融着システムを模式的に示す図である。
図5図5は、第三実施形態に係る超音波融着システムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0011】
[第一実施形態]
本実施形態に係る超音波融着方法及び超音波融着システム10は、超音波により被着体5同士を融着する方法及びシステムとなっている。図1は、第一実施形態に係る超音波融着システムを模式的に示す図である。図2は、第一実施形態に係る超音波融着システムのヒータ周りの図である。図3は、被着体の温度変化に関する図である。図1を参照して、超音波融着システム10について説明する。
【0012】
(超音波融着システム)
図1に示すように、超音波融着システム10は、超音波融着装置15と、加圧装置16と、移動装置と、を備えている。超音波融着装置15は、被着体5同士が接触する界面を超音波により加熱する装置である。加圧装置16は、超音波加熱後の被着体5同士を加圧する装置である。図示は省略するが、移動装置は、超音波融着装置15及び加圧装置16を、被着体5に対して相対的に移動させる装置である。移動装置は、移動方向の前方側に超音波融着装置15を位置させ、移動方向の後方側に加圧装置16を位置させている。
【0013】
被着体5は、熱可塑性樹脂を含む材料となっており、例えば、強化繊維に熱可塑性樹脂を含侵させた複合材である。被着体5は、例えば、板状に形成されている。なお、被着体5は、熱可塑性樹脂を含んでいれば、特に限定されず、強化繊維を省いたものであってもよい。
【0014】
超音波融着装置15は、ホーン18と図示しない超音波振動子とを有している。超音波融着装置15は、ホーン18の先端を被着体5に接触させると共に被着体5を加圧し、超音波振動子によりホーン18を振動させることで、被着体5同士が接触する界面を加熱している。
【0015】
加圧装置16は、押圧部材25を含む押圧部21と、押圧部21の内部に設けられるヒータ22とを有している。押圧部21は、被着体5に接触する部位となっており、加圧装置16からの圧力荷重を受けて、被着体5を押圧している。
【0016】
ここで、図2を参照して、押圧部21について、具体的に説明する。図2に示すように、押圧部21は、押圧部材25と、断熱材26と、ブラケット27と、締結部材28と、サーモジョイント29と、を含んでいる。
【0017】
押圧部材25は、熱伝導性の高い材料が用いられ、例えば、銅材が用いられている。押圧部材25は、被着体5を押圧する押圧面25aと、押圧面25aの反対側に設けられる受圧面25bとが形成されている。また、押圧部材25には、受圧面25b側にヒータ22を収容する収容空間25cが形成されている。収容空間25cは、押圧方向に直交する面内において、押圧部材25の中央に形成されており、受圧面25bに対して凹形状に没入して形成されている。このため、受圧面25bは、押圧部材25の周縁に位置して設けられる。
【0018】
収容空間25cは、受圧面25bへの圧力付与時において、受圧面25bに接する断熱材26と収容空間25cに収容されるヒータ22との間に、隙間が形成される大きさの空間となっている。この形成された隙間は、サーモジョイント29によって満たされており、サーモジョイント29は、後述するヒータ22の熱を、押圧部材25に伝達している。また、サーモジョイント29は、加圧装置16により付与される圧力荷重を許容するため、収容空間25cに収容されるヒータ22は、加圧装置16による圧力荷重が付与されないものとなっている。
【0019】
断熱材26は、押圧部材25の受圧面25bに接して設けられている。つまり、断熱材26は、ブラケット27と押圧部材25との間に設けられている。断熱材26は、押圧部材25からブラケット27への伝熱を抑制している。ブラケット27は、加圧装置16に対して着脱自在となっている。押圧部21は、ブラケット27を介して加圧装置16への着脱が行われる。締結部材28は、押圧部材25、断熱材26及びブラケット27を一体に締結している。
【0020】
ヒータ22は、押圧部材25の収容空間25cに設けられており、押圧部21に内蔵される加熱部として機能している。ヒータ22は、サーモジョイント29及び押圧部材25を介して被着体5に熱を与えている。
【0021】
(超音波融着方法)
次に、図1及び図3を参照して、上記の超音波融着システム10を用いた超音波融着方法について説明する。超音波融着方法では、被着体5に対して超音波融着装置15及び加圧装置16を連続的に移動させながら、超音波融着装置15及び加圧装置16による被着体5の加熱及び加圧を実行している。超音波融着方法において、超音波融着システム10は、超音波融着装置15により被着体5同士が接触する界面を加熱するステップS1を実行する。ステップS1の実行後、被着体5の界面が加熱された部位には、移動装置によって移動方向の前方側に移動した加圧装置16が位置する。この後、超音波融着システム10は、加圧装置16により界面が加熱された被着体5をヒータ22により加熱しながら、被着体5同士を両側から加圧して、被着体5同士を融着するステップS2を実行する。
【0022】
ここで、図3を参照して、超音波融着方法における被着体5の温度変化について説明する。図3は、縦軸が温度となっており、横軸が時間となっている。また、図3におけるT1は、本実施形態の超音波融着方法において変化する被着体5同士が接触する界面の温度であり、T2は、ヒータ22による加熱を行わない超音波融着方法において変化する被着体5の温度である。図3におけるHは、ヒータ22の加熱温度となっており、一定の温度となっている。図3に示すように、ステップS1では、超音波融着装置15により被着体5を所定温度まで加熱する。所定温度としては、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂が流動開始する流動開始温度以上の温度である。この後、ステップS2において、ヒータ22により被着体5を加熱していることから、温度T1は、温度T2に比して高い状態で推移する。つまり、ステップS2における被着体5の冷却速度は、ヒータ22による加熱を行わない場合の被着体5の冷却速度に比して遅くなっている。被着体5を加熱および加圧するステップS2は、被着体5の界面温度が主に流動停止温度Tsからガラス転移温度Tgまでの温度帯において行われる。ステップ2における加熱により、被着体5の界面温度が流動停止温度Tsからガラス転移温度Tgに変化するときの冷却速度が遅くなる。
【0023】
また、ステップS2では、被着体5の加圧時における冷却速度が、界面加熱後から被着体の加圧前までの冷却速度に比して遅くなるように、被着体5を加熱している。つまり、図3において、上記の温度帯において低下する温度T1となる被着体5の冷却速度は、被着体5の温度T1がピークとなる温度から流動停止温度Tsに至るまでの冷却速度に比して遅くなっている。
【0024】
[第二実施形態]
次に、図4を参照して、第二実施形態について説明する。図4は、第二実施形態に係る超音波融着システムを模式的に示す図である。なお、第二実施形態では、重複した記載を避けるべく、第一実施形態と異なる部分について説明し、第一実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0025】
(超音波融着システム)
第二実施形態の超音波融着システム30は、超音波融着装置15と加圧装置16の間に、被着体5を外部から加熱する加熱装置31を備えたシステムとなっている。第二実施形態では加圧装置16はヒータ22を備えていなくてもよい。
【0026】
加熱装置31は、ヒータであり、超音波融着装置15から加圧装置16へ向かって相対的に移動する被着体5を加熱している。加熱装置31は、超音波融着装置15から加圧装置16へ被着体5が向かうまでに、被着体5が過度に冷却されることを抑制している。
【0027】
(超音波融着方法)
第二実施形態の超音波融着システム30を用いた超音波融着方法では、第一実施形態のステップS1の実行後であって、ステップS2の実行前に、界面加熱後の被着体5を外部から加熱するステップS3を実行する。ステップS3における加熱は、熱可塑性樹脂の流動停止温度Tsからガラス転移温度Tgまでの温度帯に保持するような加熱となっている。
【0028】
[第三実施形態]
次に、図5を参照して、第三実施形態について説明する。図5は、第三実施形態に係る超音波融着システムを模式的に示す図である。なお、第三実施形態でも、重複した記載を避けるべく、第一及び第二実施形態と異なる部分について説明し、第一及び第二実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0029】
(超音波融着システム)
第三実施形態の超音波融着システム40は、第二実施形態と同様に、超音波融着装置15と加圧装置16の間に、被着体5を外部から加熱する加熱装置41を備えたシステムとなっている。第三実施形態でも加圧装置16はヒータ22を備えていなくてもよい。
【0030】
加熱装置41は、熱風Fを送風する送風装置であり、超音波融着装置15から加圧装置16へ向かって移動する被着体5を加熱している。加熱装置41は、超音波融着装置15から加圧装置16へ被着体5が向かうまでに、被着体5が過度に冷却されることを抑制している。
【0031】
なお、第三実施形態の超音波融着システム40を用いた超音波融着方法は、第二実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0032】
以上のように、第一実施形態から第三実施形態に記載の超音波融着システム10、30、40及び超音波融着方法は、例えば、以下のように把握される。
【0033】
第1の態様に係る超音波融着方法は、超音波により被着体5同士を融着する超音波融着方法において、前記被着体5は、熱可塑性樹脂を含み、超音波により前記被着体5同士が接触する界面を加熱するステップS1と、界面加熱後において、前記被着体5を加熱しながら、前記被着体5を加圧するステップS2と、を実行する。
【0034】
この構成によれば、被着体5の加圧時において被着体5を加熱することにより、被着体5の冷却速度を遅くすることができる。このため、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度を高めることができ、被着体5の融着強度を向上させることができる。
【0035】
第2の態様として、第1の態様に係る超音波融着方法において、前記被着体5を加圧するステップS2では、前記被着体5の加圧時における冷却速度が、界面加熱後から前記被着体5の加圧前までの冷却速度に比して遅くなるように、前記被着体5を加熱する。
【0036】
この構成によれば、被着体5の加圧時における冷却速度を十分に遅くすることで、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度をより高めることができ、被着体5の融着強度をより向上させることができる。
【0037】
第3の態様として、第1または第2の態様に係る超音波融着方法において、前記被着体5を加熱しながら加圧するステップS2は、前記被着体の前記界面温度が、主に前記熱可塑性樹脂の流動停止温度Tsからガラス転移温度Tgまでの温度帯において行われる。
【0038】
この構成によれば、上記の温度帯において被着体5の冷却速度を遅くすることができるため、熱可塑性樹脂の結晶化度を高めることができ、被着体5の融着強度をより向上させることができる。
【0039】
第4の態様として、第1から第3のいずれか1つの態様に係る超音波融着方法において、前記界面を加熱するステップS1の後で、前記被着体5を加圧するステップS2の前に実行され、界面加熱後の前記被着体5を加熱するステップS3を実行する。この場合、ステップS2においてヒータ22による加熱をしなくてもよい。
【0040】
この構成によれば、ステップS1からステップS2への移行時において、被着体5が過度に冷却されることを、ステップS3を実行することで抑制することができる。
【0041】
第5の態様に係る超音波融着システム10、30、40は、超音波により被着体5同士を融着する超音波融着システム10、30、40において、前記被着体5は、熱可塑性樹脂を含み、超音波により前記被着体5同士が接触する界面を加熱する超音波融着装置15と、前記超音波融着装置15による界面加熱後において、前記被着体5を加熱しながら、前記被着体5を加圧する加圧装置16と、前記超音波融着装置15及び前記加圧装置16に対して、前記被着体5を相対的に移動させる移動装置と、を備え、前記加圧装置16は、前記被着体5の移動方向において、前記超音波融着装置15の後方に設けられる。
【0042】
この構成によれば、被着体5の加圧時において被着体5を加熱することにより、界面加熱後の被着体5の冷却速度を遅くすることができる。このため、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度を高めることができ、被着体5の融着強度を向上させることができる。
【0043】
第6の態様として、第5の態様に係る超音波融着システム10、30、40において、前記加圧装置16は、前記被着体5を押圧する押圧面25aと前記押圧面25aの反対側に設けられる受圧面25bとを含む押圧部材25と、前記押圧部材25の内部に収容されるヒータ22と、を有し、前記押圧部材25には、前記受圧面側に前記ヒータ22を収容する収容空間25cが形成されており、前記収容空間25cは、前記受圧面25bへの圧力付与時において、前記受圧面25bに接する部材と前記収容空間25cに収容される前記ヒータ22との間に、隙間が形成される空間となっている。
【0044】
この構成によれば、被着体5への加圧時において、ヒータ22に負荷を与えることを抑制することができるため、ヒータ22の破損を防ぐことができ、ヒータ22による押圧部材25の加熱を好適に行うことができる。
【0045】
第7の態様として、第5または第6の態様に係る超音波融着システム10、30、40において、前記加圧装置16は、前記被着体5の加圧時における冷却速度が、前記超音波融着装置15による界面加熱後から前記加圧装置16による前記被着体5の加圧前までの冷却速度に比して遅くなるように、前記被着体5を加熱する。
【0046】
この構成によれば、被着体5の加圧時における冷却速度を十分に遅くすることで、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度をより高めることができ、被着体5の融着強度をより向上させることができる。
【0047】
第8の態様として、第5から第7のいずれか1つの態様に係る超音波融着システム10、30、40において、前記被着体5を加熱しながら加圧するステップS2は、主に前記被着体の前記界面温度が、前記熱可塑性樹脂の流動停止温度Tsからガラス転移温度Tgまでの温度帯において行われる。
【0048】
この構成によれば、上記の温度帯において被着体5の冷却速度を遅くすることができるため、熱可塑性樹脂の結晶化度を高めることができ、被着体5の融着強度をより向上させることができる。
【0049】
第9の態様として、第5から第8のいずれか1つの態様に係る超音波融着システム30、40において、前記超音波融着装置15と前記加圧装置16の間に設けられ、前記被着体5を加熱する加熱装置31、41を、さらに備える。この場合、前記加圧装置16はヒータ22を備えていなくてもよい。
【0050】
この構成によれば、超音波融着装置15から加圧装置16への被着体5の移動時において、被着体5が過度に冷却されることを、加熱装置31、41で加熱することにより抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
5 被着体
10 超音波融着システム
15 超音波融着装置
16 加圧装置
18 ホーン
21 押圧部
22 ヒータ
25 押圧部材
26 断熱材
27 ブラケット
28 締結部材
29 サーモジョイント
30 超音波融着システム(第二実施形態)
31 加熱装置(第二実施形態)
40 超音波融着システム(第三実施形態)
41 加熱装置(第三実施形態)
図1
図2
図3
図4
図5