(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155475
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/06 20060101AFI20241024BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L27/06 311C
H01L27/06 311B
H01L27/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070221
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 康弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】手島 紘明
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038BH06
5F038BH18
5F038EZ20
5F048AA03
5F048CC06
5F048CC10
5F048CC18
(57)【要約】
【課題】起動の際の寄生トランジスタによる誤動作の発生を防ぐ。
【解決手段】本開示の半導体装置は、高電位側電源端子及び低電位側電源端子から電源が供給される回路ブロックである特定回路ブロックと、高電位側入力端子、高電位側電源端子及び低電位側電源端子にエミッタ、ベース及びコレクタがそれぞれ接続される第1の寄生トランジスタと、低電位側入力端子、低電位側電源端子及び高電位側電源端子にエミッタ、ベース及びコレクタがそれぞれ接続されて第1の寄生トランジスタとサイリスタ接続される第2の寄生トランジスタと、低電位側入力端子及び低電位側電源端子にエミッタ及びベースがそれぞれ接続されるとともに特定回路ブロック内の配線にコレクタが接続される第3の寄生トランジスタと、低電位側電源端子及び高電位側電源端子の間に接続されて第2の寄生トランジスタのコレクタ電位をクランプするダイオードとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位側電源端子と、
低電位側電源端子と、
高電位側入力端子と、
前記高電位側入力端子に入力された電流が排出される低電位側入力端子と、
前記高電位側電源端子及び前記低電位側電源端子から電源が供給される回路ブロックである特定回路ブロックと、
前記高電位側入力端子、前記高電位側電源端子及び前記低電位側電源端子にエミッタ、ベース及びコレクタがそれぞれ接続される第1の寄生トランジスタと、
前記低電位側入力端子、前記低電位側電源端子及び前記高電位側電源端子にエミッタ、ベース及びコレクタがそれぞれ接続されて前記第1の寄生トランジスタとサイリスタ接続される第2の寄生トランジスタと、
前記低電位側入力端子及び前記低電位側電源端子にエミッタ及びベースがそれぞれ接続されるとともに前記特定回路ブロック内の配線にコレクタが接続される第3の寄生トランジスタと、
前記低電位側電源端子及び前記高電位側電源端子の間に接続されて前記第2の寄生トランジスタのコレクタ電位をクランプするダイオードと
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記特定回路ブロックは、基準電源回路の電源投入時における起動不良を防ぐ回路ブロックである請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の回路により構成された半導体装置は、消費電力が低い等の利点を有し、広く使用されている。一方、このCMOS型の回路は半導体基板にpウェル及びnウェルが配置されるため、半導体基板にpnpトランジスタ及びnpnトランジスタの寄生トランジスタが形成される。これらの寄生トランジスタがサイリスタ接続されて導通すると、半導体装置に異常な電流が流れる等の不具合を生じる。
【0003】
このような不具合の発生を防ぐ半導体装置が提案されている。例えば、特許文献1には、入力端子及び電源端子の間に保護用のダイオードを配置するとともにサイリスタ接続された寄生トランジスタに流れる電流を阻害する半導体領域(コンタクト領域)を配置した半導体装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の半導体装置では、半導体装置に電源が投入される起動時において入力端子に電圧が印加される場合に寄生トランジスタによる誤動作の発生を防ぐことができないという問題がある。起動時等の電源電圧が十分に立ち上がっていない状態では、保護用のダイオードがフローティング状態となって機能せず、半導体装置の入力端子に印加される電圧により寄生トランジスタが導通してしまうためである。
【0006】
そこで、本開示では、起動の際の寄生トランジスタによる誤動作の発生を防ぐ半導体装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る半導体装置は、高電位側電源端子と、低電位側電源端子と、高電位側入力端子と、上記高電位側入力端子に入力された電流が排出される低電位側入力端子と、上記高電位側電源端子及び上記低電位側電源端子から電源が供給される回路ブロックである特定回路ブロックと、上記高電位側入力端子、上記高電位側電源端子及び上記低電位側電源端子にエミッタ、ベース及びコレクタがそれぞれ接続される第1の寄生トランジスタと、上記低電位側入力端子、上記低電位側電源端子及び上記高電位側電源端子にエミッタ、ベース及びコレクタがそれぞれ接続されて上記第1の寄生トランジスタとサイリスタ接続される第2の寄生トランジスタと、上記低電位側入力端子及び上記低電位側電源端子にエミッタ及びベースがそれぞれ接続されるとともに上記特定回路ブロック内の配線にコレクタが接続される第3の寄生トランジスタと、上記低電位側電源端子及び上記高電位側電源端子の間に接続されて上記第2の寄生トランジスタのコレクタ電位をクランプするダイオードとを備える半導体装置である。
【0008】
また、上記半導体装置において、上記特定回路ブロックは、基準電源回路の電源投入時における起動不良を防ぐ回路ブロックであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
上述した半導体装置によれば、サイリスタ接続される第1の寄生トランジスタ及び第2の寄生トランジスタのうちの第2の寄生トランジスタのコレクタ電位をクランプするダイオードを配置することにより、第1の寄生トランジスタ及び第2の寄生トランジスタからなる回路の電流の増加を防ぐことができる。このため、第1の寄生トランジスタのコレクタ電流がベースに流入する第3の寄生トランジスタのコレクタ電流を低減することができる。第3の寄生トランジスタが等価的に接続される半導体装置の内部の回路ブロックの誤動作の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[半導体装置の構成]
図1は、本開示の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。同図は、半導体装置1の構成例を表す回路図である。半導体装置1は、例えば、センサからの信号に基づいて計測を行う装置である。半導体装置1は、高電位側電源端子11と、低電位側電源端子12と、高電位側入力端子13と、低電位側入力端子14と、受信回路30と、スタートアップ回路40と、基準電源回路50と、ダイオード21乃至25とを備える。なお、半導体装置1には、第1の寄生トランジスタ27、第2の寄生トランジスタ28及び第3の寄生トランジスタ29が含まれる。
【0013】
また、同図には、直列に接続された抵抗3及び定電流回路4からなる外部回路2を更に記載した。この外部回路2は、電流ループにより信号を入力する回路を想定したものである。定電流回路4のソース側端子は抵抗3を介して半導体装置1の高電位側入力端子13に接続される。定電流回路4のシンク側端子は半導体装置1の低電位側入力端子14に接続される。なお、同図の「IN+」は外部回路2と高電位側入力端子13とを接続する信号線IN+を表し、「IN-」は外部回路2と低電位側入力端子14とを接続する信号線IN-を表す。
【0014】
高電位側電源端子11及び低電位側電源端子12は、半導体装置1の動作に必要な電源が供給される端子である。同図の高電位側電源端子11及び低電位側電源端子12には、電源線Vdd及び電源線Vssがそれぞれ接続される。電源線Vdd及び電源線Vssは、例えば、15Vの電源電圧を供給する。
【0015】
高電位側入力端子13及び低電位側入力端子14は、外部回路2から信号が入力される端子である。高電位側入力端子13は外部回路2から見たシンク側端子に相当し、低電位側入力端子14は外部回路2から見たソース側端子に相当する。
【0016】
受信回路30は、高電位側入力端子13及び低電位側入力端子14に接続され、外部回路2から入力される信号を受信する回路である。この受信回路30は、受信した入力信号に応じた信号を生成し、半導体装置1の他の回路ブロック(不図示)に出力する。
【0017】
基準電源回路50は、半導体装置1の内部の回路の基準電圧を生成し、出力する回路である。この基準電源回路50には、バンドギャップリファレンス(BGR:Bandgap Reference)回路を適用することができる。このBGR回路は、抵抗及びバイポーラトランジスタからなる回路であり、入力された電源電圧から基準電圧、例えば、2.5Vの電圧を生成する回路である。
【0018】
スタートアップ回路40は、電源投入時に半導体装置1の回路の起動不良を防ぐ回路である。具体的には、このスタートアップ回路40は、基準電源回路50を構成するBGR回路の起動不良を防ぐ回路である。上述のように、BGR回路は、抵抗及びバイポーラトランジスタを含む回路により構成される。BGR回路の起動時において、抵抗の電流は直線的に増加し、バイポーラトランジスタの電流は指数関数的に増加する。これらの電流の交点がBGR回路の動作点となる。直線及び指数関数曲線は原点を含む2つの点で交わることから、BGR回路には、基準電圧を出力する正常な動作点の他に出力電流が略0の動作点であるゼロ点にて動作するモードが存在する。このゼロ点の状態は、デットロック状態と称される。スタートアップ回路40は、基準電源回路50のBGR回路がデットロック状態にならないように動作させる回路である。例えば、スタートアップ回路40には、BGR回路のバイポーラトランジスタに電流が流れる状態を保つ回路を適用することができる。
【0019】
同図には、スタートアップ回路40のうちのMOSトランジスタ41及びMOSトランジスタ42の回路を記載した。MOSトランジスタ41にはpチャネルMOSトランジスタを適用することができる。MOSトランジスタ42には、nチャネルMOSトランジスタを適用することができる。MOSトランジスタ41のソースは電源線Vddに接続され、ドレインはMOSトランジスタ42のドレインに接続される。MOSトランジスタ42のソースは、電源線Vssに接続される。ここで、MOSトランジスタ41のドレイン及びMOSトランジスタ42のドレインの間の配線を配線49と称する。この配線49は、電源線Vdd及び電源線Vssに接続されない配線である。配線49には、後述する第3の寄生トランジスタ29のコレクタが接続される。
【0020】
ダイオード21乃至24は、入力端子(高電位側入力端子13及び低電位側入力端子14)に接続される保護用のダイオードである。ダイオード21のアノードは低電位側入力端子14に接続され、カソードは電源線Vddに接続される。ダイオード22のアノードは電源線Vssに接続され、カソードは低電位側入力端子14に接続される。ダイオード23のアノードは高電位側入力端子13に接続され、カソードは電源線Vddに接続される。ダイオード24のアノードは電源線Vssに接続され、カソードは高電位側入力端子13に接続される。
【0021】
ダイオード21は、低電位側入力端子14に印加される電圧を電源線Vddにバイパスするダイオードである。ダイオード22は、低電位側入力端子14に印加される電圧を電源線Vssにバイパスするダイオードである。ダイオード23は、高電位側入力端子13に印加される電圧を電源線Vddにバイパスするダイオードである。ダイオード24は、高電位側入力端子13に印加される電圧を電源線Vssにバイパスするダイオードである。ダイオード21乃至24は、入力端子に印加される電圧により後述する寄生トランジスタに電流が流れることを防ぐダイオードである。ダイオード21乃至24には、pn接合ダイオードやショットキーバリアダイオードを適用することができる。
【0022】
ダイオード25は、電源線Vdd及び電源線Vssの間に接続されて後述する第2の寄生トランジスタ28のコレクタ電位をクランプするダイオードである。
【0023】
前述のように半導体装置1には、第1の寄生トランジスタ27、第2の寄生トランジスタ28及び第3の寄生トランジスタ29が含まれる。第1の寄生トランジスタ27はpnpトランジスタに該当し、第2の寄生トランジスタ28及び第3の寄生トランジスタ29はnpnトランジスタに該当する。第1の寄生トランジスタ27のエミッタは高電位側入力端子13に接続され、ベースは電源線Vddに接続され、コレクタは電源線Vssに接続される。第2の寄生トランジスタ28のエミッタは低電位側入力端子14に接続され、ベースは電源線Vssに接続され、コレクタは電源線Vddに接続される。第3の寄生トランジスタ29のエミッタは低電位側入力端子14に接続され、ベースは電源線Vssに接続され、コレクタは配線49に接続される。
【0024】
同図に表したように、第1の寄生トランジスタ27及び第2の寄生トランジスタ28は、サイリスタ接続される。具体的には、第1の寄生トランジスタ27のコレクタが第2の寄生トランジスタ28のベースに接続され、第2の寄生トランジスタ28のコレクタが第1の寄生トランジスタ27のベースに接続される。また、第1の寄生トランジスタ27のコレクタは、第3の寄生トランジスタ29のベースに更に接続される。外部回路2から入力される電圧により第1の寄生トランジスタ27及び第2の寄生トランジスタ28の少なくとも一方にベース電流が流れると、このベース電流が正帰還作用により増幅され、第1の寄生トランジスタ27及び第2の寄生トランジスタ28が飽和する導通状態になる。
【0025】
定常時においては、入力端子から第1の寄生トランジスタ27及び第2の寄生トランジスタ28のベース電流が供給される状態にはならない。ダイオード22及び23の作用により入力端子からの電流がバイパスされるためである。しかし、半導体装置1への電源の投入時においては、電源線Vdd及びVssにより供給される電源電圧が十分に立ち上がっていない状態になるため、ダイオード22及び23がフローティングに近い状態になる。この状態において外部回路2から高電位側入力端子13及び低電位側入力端子14に電圧が印加されると、第1の寄生トランジスタ27及び第2の寄生トランジスタ28にベース電流が流れ、第1の寄生トランジスタ27及び第2の寄生トランジスタ28が導通状態になる。
【0026】
また、第1の寄生トランジスタ27のコレクタ電流は、第3の寄生トランジスタ29のベースにも流れるため、スタートアップ回路40の配線49の電流が第3の寄生トランジスタ29により引き抜かれることとなる。このため、スタートアップ回路40の動作が阻害され、基準電源回路50がデットロック状態に陥ることとなり、半導体装置1が誤動作する。
【0027】
そこで、ダイオード25を配置して第2の寄生トランジスタ28のコレクタ電位をクランプし、第2の寄生トランジスタ28の飽和を防ぐ。ダイオード25は、第2の寄生トランジスタ28のベース及びコレクタ間に接続され、第2の寄生トランジスタ28のコレクタ電位が下がる際にベース電流を減少させる作用を有する。これにより、第2の寄生トランジスタ28のコレクタ電流の増加を防ぐとともに第1の寄生トランジスタ27のベース電流の増加を防ぐことができる。このため、第1の寄生トランジスタ27から第3の寄生トランジスタ29に供給されるベース電流が低減され、第3の寄生トランジスタ29のコレクタ電流も低減される。これにより、第3の寄生トランジスタ29による配線49からの電流の引き抜きが減少し、スタートアップ回路40の異常動作を防ぐことができる。
【0028】
[半導体装置の断面の構成]
図2は、本開示の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。同図は、半導体装置1の構成例を表す断面図である。同図の半導体装置1は、半導体基板100に形成される。半導体基板100は、例えば、シリコン(Si)により構成される半導体の基板である。同図には、ダイオード21乃至25、スタートアップ回路40のMOSトランジスタ42、第1の寄生トランジスタ27、第2の寄生トランジスタ28及び第3の寄生トランジスタ29を記載した。
【0029】
同図の半導体基板100の表面近傍には、p型のウェル領域110が配置される。このp型のウェル領域110にp型の半導体領域112、113、115、116、117及び119が配置される。これらのp型の半導体領域には、電源線Vssが接続される。また、p型のウェル領域101にn型のウェル領域101乃至105及びp型の半導体領域106が配置される。
【0030】
n型のウェル領域101には、p型の半導体領域111及び比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域121が配置される。n型の半導体領域121には電源線Vddが接続される。p型の半導体領域111には電源線Vssが接続される。また、p型の半導体領域111及びn型のウェル領域101はダイオード25を構成する。
【0031】
また、n型のウェル領域102には、比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域122が配置される。このn型の半導体領域122には、信号線IN-が接続される。p型のウェル領域110及びn型のウェル領域102は、ダイオード22を構成する。
【0032】
n型のウェル領域103には、比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域123及びp型の半導体領域114が配置される。n型の半導体領域123には、電源線Vddが接続される。p型の半導体領域114には、信号線IN-が接続される。p型の半導体領域114及びn型のウェル領域102は、ダイオード21を構成する。
【0033】
n型のウェル領域104には、比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域126が配置される。このn型の半導体領域126には、信号線IN+が接続される。また、p型のウェル領域110及びn型のウェル領域104は、ダイオード24を構成する。
【0034】
n型のウェル領域105には、比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域127及びp型の半導体領域118が配置される。n型の半導体領域127には、電源線Vddが接続される。p型の半導体領域118には、信号線IN+が接続される。p型の半導体領域118及びn型のウェル領域105は、ダイオード23を構成する。
【0035】
p型のウェル領域106には、比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域124および比較的高い不純物濃度に構成されるn型の半導体領域125が配置される。また、n型の半導体領域124及び125の間のp型のウェル領域106の上層にゲート絶縁膜(不図示)及びゲート電極130が配置される。n型の半導体領域124及び125並びにゲート電極130は、MOSトランジスタ42を構成する。なお、n型の半導体領域124及び125は、それぞれドレイン及びソースに該当する。また、n型の半導体領域125には、不図示の配線49が接続される。
【0036】
第1の寄生トランジスタ27は、p型の半導体領域118、n型のウェル領域105及びp型のウェル領域110により構成される。p型の半導体領域118、n型のウェル領域105及びp型のウェル領域110は、それぞれエミッタ、ベース及びコレクタに該当する。
【0037】
第2の寄生トランジスタ28は、n型のウェル領域103、p型のウェル領域110及びn型のウェル領域102により構成される。n型のウェル領域103、p型のウェル領域110及びn型のウェル領域102は、それぞれコレクタ、ベース及びエミッタに該当する。
【0038】
第3の寄生トランジスタ29は、n型の半導体領域125、p型のウェル領域110及びn型のウェル領域102により構成される。n型の半導体領域125、p型のウェル領域110及びn型のウェル領域102は、それぞれコレクタ、ベース及びエミッタに該当する。
【0039】
同図に表したように、第3の寄生トランジスタ29が第2の寄生トランジスタ28に近接して形成される場合には、第1の寄生トランジスタ27のコレクタ電流が第3の寄生トランジスタ29のベースに流入し、第3の寄生トランジスタ29に比較的大きな電流が流れてしまう。そこで、ダイオード25を配置して第2の寄生トランジスタ28のコレクタ電位をクランプし、第2の寄生トランジスタ28の飽和を防ぐ。これにより、第1の寄生トランジスタ27のコレクタ電流の増加が抑制され、第3の寄生トランジスタ29に供給されるベース電流が低減される。第3の寄生トランジスタ29による配線49からの電流の引き抜きが減少し、スタートアップ回路40の異常動作を防ぐことができる。半導体装置1の誤動作の発生を防ぐことが可能となる。
【0040】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、電源線Vssを使用していたが、接地線(GND)であっても良い。また、第3の寄生トランジスタ29は、スタートアップ回路40以外の回路ブロックに接続されても良い。また、外部回路2は、定電流回路4の代わりに電圧源を備える構成であっても良い。
【0041】
以上、実施形態の一例を説明したが、これらは例示であり、本実施形態は上記した説明に限定されるものではない。発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、実施形態の構成や詳細は、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0042】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 半導体装置
11 高電位側電源端子
12 低電位側電源端子
13 高電位側入力端子
14 低電位側入力端子
21~25 ダイオード
27 第1の寄生トランジスタ
28 第2の寄生トランジスタ
29 第3の寄生トランジスタ
40 スタートアップ回路
49 配線