(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015548
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】料金収受システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240130BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240130BHJP
G08G 1/015 20060101ALI20240130BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G07B15/00 510
G06Q50/10
G08G1/015 A
G08G1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117663
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】520119253
【氏名又は名称】吉原 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和男
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA11
3E127CA13
3E127CA18
3E127CA41
3E127CA48
3E127CA59
3E127CA61
3E127EA03
3E127EA12
3E127FA19
3E127FA20
5H181AA01
5H181BB05
5H181BB15
5H181CC04
5H181EE07
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】料金所で車両のナンバープレートを識別出来なかった場合でも、車両を特定し運転者に対して料金を課金する技術を提供する。
【解決手段】車両のナンバープレートを識別出来なかった場合、車種推定部9により車両の形状から車種を推定、推定された車種と車両の色から、車両抽出部10により該当する車両を抽出、ナンバープレートの識別に失敗した車両が通過した課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局3と通信していた携帯電話番号を取得し、車両抽出部10が抽出した該当する車両の運転者の携帯電話番号と突合し、運転者を特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
課金ポイントと、請求システムを備え、
前記課金ポイントは前記課金ポイントを通過した車両の画像を撮影する撮影部を備え、
前記撮影部が撮影した車両の画像を前記請求システムに通知する通知部を備え、
前記請求システムは、車両の車種、色、ナンバープレートからなる車両情報と、車両の運転者の料金請求手段と携帯電話番号が登録された運転者情報登録部を備え、
前記課金ポイントの前記通知部から通知された前記課金ポイントを通過した車両の画像から、ナンバープレートを識別する識別部を備え、
前記識別部が、車両のナンバープレートを識別出来なかった場合、前記課金ポイントの前記撮影部で撮影された車両の画像の形状から車種を推定する車種推定部を備え、
前記車種推定部が推定した車種、前記課金ポイントの前記撮影部で撮影された車両の画像の色から、前記運転者登録部に登録されている車両から該当する車両を抽出する車両抽出部を備え、
車両の画像が撮影された前記課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局と車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を取得する携帯電話番号取得部を備え、
前記車両抽出部が抽出した車両の運転者として前記車両登録部に登録されている者の携帯電話番号と、前記携帯電話番号取得部が取得した車両の画像が撮影された課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局と、車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を突合し、合致する携帯電話番号の登録者を運転者として特定する運転者特定部を備え、
前記運転者特定部が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の前記運転者情報登録部に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える
事を特徴とする料金収受システム。
【請求項2】
前記請求システムの前記運転者特定部が携帯電話番号を突合した際に複数の携帯電話番号が合致した場合、前記運転者特定部の突合により合致した携帯電話番号が通信していた携帯電話基地局の位置座標と時刻の履歴を取得し、通信していた携帯電話基地局の位置座標と時刻の履歴から移動経路を推定する移動経路推定部を備え、
前記移動経路推定部が推定した移動経路から、運転者を特定する運転者特定部を備え、
前記運転者特定部が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の前記運転者情報登録部に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える
事を特徴とする請求項1に記載の料金収受システム。
【請求項3】
前記請求システムの前記移動経路推定部が推定した移動経路から前記運転者特定部が運転者を1人に絞り込めなかった場合に、識別部が車両の画像からナンバープレートの識別に失敗したのと同一の課金ポイントで、ナンバープレートの識別に成功した車両の運転者を除外する運転者特定部を備え、
前記運転者特定部が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の前記運転者情報登録部に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える
事を特徴とする請求項2に記載の料金収受システム。
【請求項4】
前記請求システムの前記識別部が、前記課金ポイントの前記撮影部が撮影した車両の画像からナンバープレートを識別した際、当該車両の運転者として前記運転者情報登録部に複数の運転者が登録されている場合には、前記運転者登録部に当該車両の運転者として登録されている者の携帯電話番号が通信している携帯電話基地局の位置座標を取得し、ナンバープレートの識別に用いられた車両の画像が撮影された時刻に、車両の画像が撮影された課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局と通信していた携帯電話番号の所持者を運転者として特定する運転者特定部を備える
事を特徴とする請求項1に記載の料金収受システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路や駐車場の料金所を通過した車両のナンバープレートをカメラで識別し、車両の運転者に対して電子的に料金を課金する際、カメラでナンバープレートを識別出来なかった場合に、車両の運転者を識別し、車両の運転者に対して電子的に料金を課金する方法となる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、課金ポイントを通過した車両から車両の識別情報に基づき電子的に料金を課金する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在普及している有料道路の料金所を通過した車両に対して電子的に料金を課金する技術は、料金ゲート、車載器、ETCカードが必要で、ETCカードが必要なため利用率が100%に達していないし、車載器へのETCカードの入れ忘れ、接触不良、有効期限切れ、料金ゲートへの誤侵入等で料金ゲートを通過出来ない車両が頻繁に発生するため、料金ゲート通過時は車両を十分に減速させる必要があるし、車両が通過出来なかった場合に備えて料金ゲート付近に人が常駐する必要があり、料金所の設営と運営に多額のコストがかかっている。
【0005】
駐車場で利用者に料金を請求する仕組みは、ETCカードが不要なため無人化が進んでいるが、料金ゲートや料金支払い機は必要となる。
【0006】
運転免許所有者に自身又は家族が所有し、運転する機会のある車両のナンバープレートと、電子的な料金支払い方法の登録を義務付ければ、有料道路の料金所を通過した車両のナンバープレートをカメラにより識別し、有料道路の利用料を請求出来るようになるため、ETCカードが不要となり電子的な課金システムの利用率100%を達成でき、料金ゲートが不要となるため、人が常駐する必要も無くなり、料金所の設営と運営にかかるコストを減らす事が出来る。
【0007】
また、駐車場に設置されたカメラにより車両のナンバープレートが識別され、駐車場の利用料が駐車時間に応じて自動的に請求されれば、運転者の利便性は向上し、設備投資や維持メンテナンスのためのコストを減らす事が出来る。
【0008】
しかしながら、有料道路や駐車場の料金所で車両のナンバープレートを識別出来なかった場合、料金を課金する事が出来ないため、料金所で車両のナンバープレートを識別出来なかった場合でも、車両を特定し運転者に対して料金を課金する技術が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係わる料金収受システムは、課金ポイントと、請求システムを備え、前記課金ポイントは前記課金ポイントを通過した車両の画像を撮影する撮影部を備え、前記撮影部が撮影した車両の画像を前記請求システムに通知する通知部を備え、前記請求システムは、車両の車種、色、ナンバープレートからなる車両情報と、車両の運転者の料金請求手段と携帯電話番号が登録された運転者情報登録部を備え、前記課金ポイントの前記通知部から通知された前記課金ポイントを通過した車両の画像から、ナンバープレートを識別する識別部を備え、前記識別部がナンバープレートを識別した場合には、識別したナンバープレートの車両の運転者として前記運転者情報登録部に登録されている者の料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える。
【0010】
前記請求システムの前記識別部が、車両のナンバープレートを識別出来なかった場合、前記請求システムは、前記課金ポイントの前記撮影部で撮影された車両の画像の形状から車種を推定する車種推定部を備え、前記車種推定部が推定した車種、前記課金ポイントの前記撮影部で撮影された車両の画像の色から、前記運転者登録部に登録されている車両から該当する車両を抽出する車両抽出部を備え、車両の画像が撮影された前記課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局と車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を取得する携帯電話番号取得部を備え、前記車両抽出部が抽出した車両の運転者として前記車両登録部に登録されている者の携帯電話番号と、前記携帯電話番号取得部が取得した車両の画像が撮影された課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局と、車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を突合し、合致する携帯電話番号の登録者を運転者として特定する運転者特定部を備え、前記運転者特定部が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の前記運転者情報登録部に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える。
【0011】
前記請求システムの前記運転者特定部が携帯電話番号を突合した際に複数の携帯電話番号が合致した場合、前記運転者特定部の突合により合致した携帯電話番号が通信していた携帯電話基地局の位置座標と時刻の履歴を取得し、通信していた携帯電話基地局の位置座標と時刻のの履歴から移動経路を推定する移動経路推定部を備え、前記移動経路推定部が推定した移動経路から、運転者を特定する運転者特定部を備え、前記運転者特定部が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の前記運転者情報登録部に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える。
【0012】
前記請求システムは、前記移動経路推定部が推定した移動経路から前記運転者特定部が運転者を1人に絞り込めなかった場合に、前記識別部が車両の画像からナンバープレートの識別に失敗したのと同一の課金ポイントで、ナンバープレートの識別に成功した車両の運転者を除外する運転者特定部を備え、前記運転者特定部が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の前記運転者情報登録部に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部を備える。
【0013】
前記請求システムの前記識別部が、前記課金ポイントの前記撮影部が撮影した車両の画像からナンバープレートを識別した際、当該車両の運転者として前記運転者情報登録部に複数の運転者が登録されている場合には、前記運転者登録部に当該車両の運転者として登録されている者の携帯電話番号が通信している携帯電話基地局の位置座標を取得し、ナンバープレートの識別に用いられた車両の画像が撮影された時刻に、車両の画像が撮影された課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局と通信していた携帯電話番号の所持者を運転者として特定する運転者特定部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る料金収受システムによれば、課金ポイントを通過した車両のナンバープレートをカメラで識別し料金を電子的に請求する場合において、ナンバープレートを識別出来なかった場合でも、効果的に料金を課金する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係わる料金収受システムの概略構成を説明する図。
【
図2】本発明の実施例に係わる料金収受システムによる処理の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係わる料金収受システムの実施例について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、料金収受システムの概略攻勢を説明する図である。
【0018】
料金収受システム100では、課金ポイント1、請求システム2、携帯電話基地局3が接続される。
【0019】
課金ポイント1は、撮影部4、通知部5を含む。
【0020】
請求システム2は、運転者登録部6、識別部7、請求部8、車種推定部9、車両抽出部10、携帯電話番号取得部11、運転者特定部12、移動経路推定部13を含む。
【0021】
有料道路の料金所でETCカード以外の方法で電子的に料金を請求する場合、車両のナンバープレートを識別し車両の運転者として登録されている者に電子的に料金を請求することが出来れば、設備投資や維持管理に係わる負担を減らせるし、運転者側の負担も減らす事が出来る。また、駐車場においても、車両のナンバープレートを識別し車両の運転者として登録されている者に電子的に料金が課金されれば、運転者の利便性は向上し、設備投資や維持管理に係わる負担を減らす事が出来る。
【0022】
このため、料金収受システム100は、課金ポイント1と、請求システム2を備え、課金ポイント1は課金ポイント1を通過した車両の画像を撮影する撮影部4を備え、撮影部4が撮影した車両の画像を請求システム2に通知する通知部5を備え、請求システム2は、車両の車種、色、ナンバープレートからなる車両情報と、車両の運転者の料金請求手段と携帯電話番号が登録された運転者情報登録部6を備え、課金ポイント1の通知部5から通知された課金ポイント1を通過した車両の画像から、ナンバープレートを識別する識別部7を備え、識別部7がナンバープレートを識別した場合には、識別したナンバープレートの車両の運転者として運転者情報登録部6に登録されている者の料金請求手段に対して、料金を請求する請求部8を備える。
【0023】
請求システム2の識別部7が、ナンバープレートの識別を失敗する原因として、ナンバープレートの回転、折り曲げ、カバーの取付、変形、汚れ、積雪があげられる。ナンバープレートの回転、折り曲げ、カバーの取付、変形は法律違反であるため、故意に行う者は少ない。ナンバープレートが識別困難になるほど汚れるのは、泥濘路等を走行する車両に限られるので、道路の舗装率が高い国や地域においては一部の車両に限られる。積雪によりナンバープレートが識別困難となる事は積雪時には頻繁に発生するが、字光式ナンバープレートが普及すれば、積雪時でもナンバープレートの識別は可能となる。
【0024】
字光式ナンバープレートが普及していく過程では、積雪時にナンバープレートの識別に失敗する事例が多発すると考えられるため、請求システム2の識別部7がナンバープレートの識別に失敗した場合に、請求システム2が運転者を特定する手段が必要となる。
【0025】
このため、請求システム2の識別部7が、課金ポイント1の撮影部4が撮影した車両の画像から、車両のナンバープレートを識別出来なかった場合、請求システム2は、課金ポイント1の撮影部4で撮影された車両の画像の形状から車種を推定する車種推定部9を備え、車種推定部9が推定した車種、課金ポイント1の撮影部4で撮影された車両の画像の色から、運転者登録部6に登録されている車両から該当する車両を抽出する車両抽出部10を備え、車両の画像が撮影された課金ポイントと一定距離内の携帯電話基地局3と車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を取得する携帯電話番号取得部11を備え、車両抽出部10が抽出した車両の運転者として車両登録部6に登録されている者の携帯電話番号と、携帯電話番号取得部11が取得した車両の画像が撮影された課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局3と、車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を突合し、合致する携帯電話番号の登録者を運転者として特定する運転者特定部12を備え、運転者特定部12が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の運転者情報登録部6に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部8を備える。
【0026】
運転者として登録していない車両を運転している、携帯電話を所持せずに外出した、携帯電話の電源が入っていない等の理由で、請求システム2の運転者特定部12が、車両抽出部10が抽出した車両の運転者として車両登録部6に登録されている者の携帯電話番号と、携帯電話番号取得部11が取得した車両の画像が撮影された課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局3と、車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を突合した場合に、携帯電話番号が1つも合致しない事が想定される。
【0027】
この様な場合には、Nシステムでナンバー識別に失敗した車両を追跡する等の対応が必要となるため、警察に協力を依頼する事が望ましい。
【0028】
交通量の多い場所では、同一車種同一色の車両が複数走行している事が想定されるため、請求システム2の運転者特定部12が、車両抽出部10が抽出した車両の運転者として車両登録部6に登録されている者の携帯電話番号と、携帯電話番号取得部11が取得した車両の画像が撮影された課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局3と、車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を突合した場合に、複数の携帯電話番号が合致してしまう事が想定される。
【0029】
このため、請求システム2の運転者特定部12の携帯電話番号の突合により複数の携帯電話番号が合致した場合、運転者特定部12の突合により合致した携帯電話番号が通信していた携帯電話基地局3の位置座標と時刻の履歴を取得し、通信していた前記携帯電話基地局の位置座標と時刻の履歴から移動経路を推定する移動経路推定部13を備え、移動経路推定部13が推定した移動経路から、運転者を特定する運転者特定部12を備え、運転者特定部12が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の運転者情報登録部6に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部8を備える。
【0030】
携帯電話基地局3の位置座標ではなく、携帯電話のGPS座標を取得した方が正確に運転者の位置情報を取得する事が出来るが、携帯電話のGPS座標はユーザーの同意が無ければ取得出来ない。「GPS座標の取得はアプリを利用中のみ許可」と設定しているユーザーも多いため、携帯電話のGPS座標を取得する場合、ナンバープレートの識別に失敗した車両の運転者候補にGPS座標の取得を許可してもらえるよう、プッシュ通知を送る必要がある。
【0031】
この様なプッシュ通知を送ると、偽のプッシュ通知を送りGPS座標を不正に取得しようとする者があらわる事が懸念されるし、運転中の携帯電話の操作は法律で禁止されているため、この様なプッシュ通知を運転者に送信する事は好ましくないため、携帯電話が通信している携帯電話基地局3の位置座標を取得する。
【0032】
衛星インターネットが普及し、携帯電話が衛星を経由して通信するようになった場合には、携帯電話が通信している衛星から携帯電話のGPS座標を取得する事が望ましく、この場合には、衛星から携帯電話のGPS座標を取得するための法的要件が整理される必要がある。
【0033】
交通量の多い場所では、同一車種同一色の車両が同じ経路を同じ時刻に移動している事も想定されるが、同じ経路を移動している車両は課金ポイント1の撮影部4により車両画像が撮影され、請求システム2の識別部7で車両の画像からナンバープレートの識別が行われている可能性が高い。
【0034】
このため、請求システム2は、移動経路推定部13が推定した移動経路から運転者特定部12が運転者を1人に絞り込めなかった場合に、識別部7が車両の画像からナンバープレートの識別に失敗したのと同一の課金ポイント1で、ナンバープレートの識別に成功した車両の運転者を除外する運転者特定部12を備え、運転者特定部12が運転者を1人に特定した場合には、運転者として特定された者の運転者情報登録部6に登録された料金請求手段に対して、料金を請求する請求部8を備える。
【0035】
請求システム2の運転者特定部12により、この様な処理を行う事で、同一車種同一色の車両が同一の課金ポイントで、ほぼ同一の時刻にナンバープレートの識別に失敗しない限り、ナンバープレートの識別に失敗しても運転者を特定する事が出来る。
【0036】
同一車種同一色の車両が同一の課金ポイントで、ほぼ同一の時刻にナンバープレートの識別に失敗した場合でも、車両の形状は、年式やグレード、装着しているオプションによって細かな差異があるため、請求システム2の車種推定部9が同一車種と推定しても、オペレーターが車両画像を比較した場合には差異が見つかる可能性が高い。このため、請求システム2の識別部7でナンバープレートの識別に失敗した車両の画像をオペレーターが確認し、請求システム2の車両推定部9が識別出来なかった細かな形状の差異に基づき、識別に失敗した車両の画像と運転者登録部6に登録されている運転者との紐づけ行う。
【0037】
オペレーターが請求システム2の運転者特定部12が特定出来なかった運転者を特定する手順は、以下の内容を想定しているため、警察の協力が必要となる。最初にオペレーターは、車両の年式やグレード、装着しているオプション等の細かな形状の差異から車両を識別、対象車両が異なる移動経路を走行していた時間まで遡って携帯電話基地局の通信履歴を取得、異なる移動経路を走行している地点で、Nシステムでナンバー識別に失敗した車両を抽出、その車両の画像を取得し車両の識別を行う。
【0038】
また、請求システム2の識別部7が、課金ポイント1の撮影部で撮影された車両の画像からナンバープレートの識別に成功した場合にも、請求システム2の運転者登録部6に当該車両の運転者が複数名、登録されている場合に、誰に料金を請求すべきか判断出来ない場合がある。
【0039】
このため、請求システム2の識別部7が、課金ポイント1の撮影部4が撮影した車両の画像からナンバープレートを識別した際、当該車両の運転者として運転者情報登録部6に複数の運転者が登録されている場合には、運転者登録部6に当該車両の運転者として登録されている者の携帯電話番号から、携帯電話が現在通信している携帯電話基地局3の位置座標を取得し、ナンバープレートの識別に用いられた車両の画像が撮影された時刻に、車両の画像が撮影された課金ポイント1と最も近い携帯電話基地局3と通信していた携帯電話番号の所持者を運転者として特定する運転者特定部12を備える。
【0040】
請求システム2の運転者登録部6に当該車両の運転者として登録している者が、同じ車両に同乗している事もあるため、請求システム2の運転者特定部12が当該車両の運転者として登録されている複数の者の携帯電話番号について、ナンバープレートの識別に用いられた車両の画像が撮影された課金ポイント1と最も近い携帯電話基地局3と通信していた携帯電話番号の所持者を照会した場合に、複数の携帯電話番号が課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局3と通信していた事が明らかになった際は、運転者登録部6に登録されている者のうち、最も料金請求が優先順位の高い者の料金請求手段に対して、料金を請求する請求部8を備える。
【0041】
個人が管理している車両の場合には、上述したように請求システム2の請求部8が運転者に料金を請求するが、法人が管理する車両は、車検証上の使用者である法人に対して請求システム2の請求部8が料金を請求し、車検証上の使用者である法人が運転者に対して料金を請求する方法は、法人に一任する事を想定している。
【0042】
以上が、料金収受システム100の構成についての説明である。以下では、
図2のフローチャートに基づき、料金収受システムの動作について説明する。ステップS1、S2は課金ポイント1による処理、ステップS3~S18は請求システム2による処理となる。
【0043】
ステップS1では、課金ポイント1の撮影部4が課金ポイント1を通過した車両の画像を撮影し、ステップS2では、課金ポイント1の撮影部4が撮影した車両の画像を通知部5が請求システム2に通知する。
【0044】
ステップS3では、請求システム2の識別部7が、課金ポイント1の通知部5から通知された車両の画像からナンバープレートの識別を行い、ナンバープレートの識別に成功した場合には、ステップS4に進み、識別に失敗した場合には、ステップS9に進む。
【0045】
ステップS4では、ナンバープレートの識別に成功した車両の運転者として請求システム2の運転者登録部6に登録されている者の数が1名の場合には、ステップS5に進み、複数名の場合には、ステップS6に進む。
【0046】
ステップS5では、請求システム2の請求部8が、運転者登録部6に登録された料金請求手段に基づき、料金を請求する。
【0047】
ステップS6では、請求システム2の運転者特定部12が、ナンバープレートの識別に成功した車両の運転者として運転者登録部6に登録されている複数の者の携帯電話番号が、課金ポイント1で車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話基地局3の位置座標を取得し、ステップS7では、課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局と通信していた携帯電話番号が1つの場合には、ステップS5に進み、複数の場合には、S8に進む。
【0048】
ステップS8では、課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局3と通信していた複数の携帯電話番号について、請求システム2の運転者登録部6に登録されている料金請求の優先順位を確認する。
【0049】
ステップS9では、請求システム2の車種推定部9が、課金ポイント1の通知部5から通知された車両の画像の形状から車種を推定し、ステップS10では、請求システム2の車両抽出部10が車種推定部9が推定した車種と、課金ポイント1の通知部5から通知された車両の画像の色から、該当する車両の運転者として登録されている者の携帯電話番号を運転者登録部6に登録されている情報から抽出する。
【0050】
ステップS11では、請求システム2の携帯電話番号取得部11が、識別部7がナンバープレートの識別に失敗した車両の画像が撮影された課金ポイント1の一定距離内の携帯電話基地局3と、車両画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号を取得する。
【0051】
ステップS12では、請求システム2の運転者特定部12が、携帯電話番号取得部11が取得した識別部7がナンバープレートの識別に失敗した車両の画像が撮影された課金ポイント1と一定距離内の携帯電話基地局3と、車両の画像が撮影された時刻に通信していた携帯電話番号と、車両抽出部10が抽出した車両の運転者として運転者登録部6に登録されている者の携帯電話番号を突合し、ステップS13では、請求システム2の運転者特定部12が、運転者を1人に特定出来た場合にはステップS5に進み、運転者の候補が1人も見つからない場合にはステップS14に進み、運転者の候補が複数居る場合にはステップS15に進む。
【0052】
ステップS14では、警察に協力を依頼する。
【0053】
ステップS15では、請求システム2の移動経路推定部13が、運転者特定部12が特定した複数の運転者候補の携帯電話番号が通信していた携帯電話基地局3の位置座標と時刻の履歴を取得し移動経路を推定、ステップS16では、請求システム2の運転者特定部12が、移動経路推定部13が推定した移動経路から、運転者の絞込を行い、運転者が1人に特定出来た場合、ステップS5に進み、運転者の候補が複数居る場合には、ステップS17に進む。
【0054】
ステップS17では、請求システム2の運転者特定部12が、識別部7が車両画像からナンバープレートの識別に失敗したのと同一の課金ポイント1で、識別に成功した車両の運転者を除外し、ステップS18では、請求システム2の運転者特定部12が、運転者を1人に特定出来たら、ステップS5に進み、運転者の候補が複数居る場合には、ステップS14に進む。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る料金収受システムによれば、課金ポイントを通過した車両のナンバープレートをカメラで識別し料金を電子的に請求する場合において、ナンバープレートを識別出来なかった場合に、料金を課金するのに好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 課金ポイント
2 請求システム
3 携帯電話基地局
4 撮影部
5 通知部
6 運転者情報登録部
7 識別部
8 請求部
9 車種推定部
10 車両抽出部
11 携帯電話番号取得部
12 運転者特定部
13 移動経路推定部