(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155481
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】印刷装置用脱臭ユニット
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241024BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241024BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G03G21/00 538
G03G21/16 147
A61L9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070235
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】村中 大翔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭洋
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 努
(72)【発明者】
【氏名】渥美 英敏
(72)【発明者】
【氏名】壽 直樹
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
4C180
【Fターム(参考)】
2H171FA03
2H171FA06
2H171FA28
2H171GA13
2H171GA40
2H171KA07
2H171KA25
2H171KA27
2H171NA05
2H171WA23
2H171WA27
2H270KA01
2H270SA01
2H270SB03
2H270SB14
2H270SB15
2H270SB16
2H270SC21
4C180AA02
4C180CC04
4C180DD09
4C180EA14X
4C180HH05
4C180JJ01
4C180LL20
4C180MM10
(57)【要約】
【課題】フィルターが有効的且つ効果的に活用できる、簡単な構成の印刷装置用脱臭ユニットを提供すること。
【解決手段】印刷装置のケーシング内に設置され、ケーシング内で発生した臭気を除去する印刷装置用脱臭ユニット10において、ケーシング内で発生した臭気を除去する臭気除去フィルター20と、両端に設けられる開口と、臭気除去フィルター20が通過する空気が流れる空気流路18とを有し、両端の開口のうち、一方の開口に臭気除去フィルター20が配置される筐体12と、臭気除去フィルター20から所定距離だけ離間されて配置されると共に、筐体12における両端の開口のうち、他方の開口に配置される板状部材22と、板状部材22に貫通形成された開口から筐体12内の空気を吸引するファン24と、を備え、ファン24によって吸引された空気の乱れを低減するために必要な体積が、空気流路100内に確保できるように、所定距離が設定されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置のケーシング内に設置され、該ケーシング内で発生した臭気を除去する印刷装置用脱臭ユニットにおいて、
前記ケーシング内で発生した臭気を除去する臭気除去フィルターと、
両端に設けられる開口と、前記臭気除去フィルターが通過する空気が流れる空気流路とを有し、前記両端の開口のうち、一方の開口に前記臭気除去フィルターが配置される筐体と、
前記臭気除去フィルターから所定距離だけ離間されて配置されると共に、前記筐体における両端の開口のうち、他方の開口に配置される板状部材と、
前記板状部材に貫通形成された開口から前記筐体内の空気を吸引するファンと、を備え、
前記ファンによって吸引された空気の乱れを低減するために必要な体積が、前記空気流路内に確保できるように、前記所定距離が設定されていることを特徴とする印刷装置用脱臭ユニット。
【請求項2】
前記筐体は、底板と、底板から立設される一対の側壁と、一対の側壁における各上端同士を連結する上板とを有しており、前記一対の側壁の少なくとも一方は、前記上端から側板に交差する方向に延設される重なり部を有しており、前記重なり部の重なり量を調整することにより一対の側壁の間における離間距離が調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置用脱臭ユニット
【請求項3】
前記板状部材は、上縁から折り曲げ部を介して前記板状部材と交差する方向に延設される上部フランジと、下縁から折り曲げ部を介して前記板状部材と交差する方向に延設される下部フランジとを備え、
前記上部フランジと下部フランジとの少なくとも一方は、前記折り曲げ部の内角が90度を超える角度に設定されることを特徴とする請求項1記載の印刷装置用脱臭ユニット。
【請求項4】
前記筐体は、前記一方の開口に設けられる気密部材と、前記一方の開口側より一方側に設けられ前記臭気除去フィルターが載置されるフィルター受け部と、前記フィルター受け部に載置される前記臭気除去フィルターを前記気密部材側へ付勢する付勢手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置用脱臭ユニット。
【請求項5】
前記付勢手段は、板バネであり、
該板バネは、弾性変形可能な板状の本体部と、前記本体部の先端側に設けられ、前記臭気除去フィルターの上部を係止する係止部と、本体部の基端側に設けられ前記筐体に固定される固定部とを備え、
前記フィルター受け部は、前記板バネの本体部と該フィルター受け部の前記筐体から離間する縁部に沿って上昇傾斜するガイド部を有し、
前記臭気除去フィルターは前記係止部により前記フィルター受け部に着脱可能な状態で固定されることを特徴とする請求項4記載の印刷装置用脱臭ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置用脱臭ユニット、特に、印刷装置内で発生した臭気を除去する印刷装置用脱臭ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に画像や文字を印刷する印刷装置では、印刷に使用するインクとして、例えば、顔料と有機溶剤とを含む溶剤インクや、顔料と紫外線硬化成分とを含む紫外線(UV)硬化インク等が用いられており、これらのインクは、印刷時に臭気を発生する。
【0003】
近年では、カフェ等の飲食を伴う様な商業的環境に印刷装置を設置する状況も生じており、このような環境下では、設置した印刷装置からの臭気を可及的に除去することが望まれる。この様な状況の下、臭気を除去してから印刷装置の外部へ排出する脱臭ユニットを備えた印刷装置が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1の画像形成装置は、検出部、消臭部、制御部を備え、検出器は複数種類の臭気を検出する。消臭部は、臭気の種類に応じた複数のフィルターを備え、フィルターを移動させる移動部を含む。制御部は、検出部の検出結果に基づいて、複数のフィルターから少なくとも1つのフィルターを選択し、移動部により選択したフィルターを臭気の排気経路に移動させ、臭気の種類に応じて脱臭するように構成されている。
【0005】
特許文献2の光効果型インクジェット記録装置は、インクを硬化させる紫外線エネルギー照射手段を有し、インクから発生した臭いを紫外線エネルギー照射手段により発生したオゾンを用いて脱臭するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-187872号公報
【特許文献2】特開2020-86360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている装置は、臭気に応じた複数のフィルターを備え、検出部の検出結果に基づいて選択されたフィルターを臭気の排気経路に移動させ、臭気の種類に応じて除去するように構成されているため、装置が大掛かりで複雑である。特許文献2に開示されている装置では、脱臭のためにオゾン脱臭装置を使用し、更にフィルターも使用する構成のため、装置が複雑である。これらの特許文献に開示された装置では、構成が複雑である上に、臭気を除去するフィルターが有効的且つ効果的に活用される構成であるとは言い難い。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、フィルターが有効的且つ効果的に活用できる、簡単な構成の印刷装置用脱臭ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の印刷装置用脱臭ユニットは、
印刷装置のケーシング内に設置され、該ケーシング内で発生した臭気を除去する印刷装置用脱臭ユニットにおいて、
前記ケーシング内で発生した臭気を除去する臭気除去フィルターと、
両端に設けられる開口と、前記臭気除去フィルターを通過する空気が流れる空気流路と、を有し、前記両端の開口のうち、一方の開口に前記臭気除去フィルターが配置される筐体と、
前記臭気除去フィルターから所定距離だけ離間されて配置されると共に、前記筐体における両端の開口のうち、他方の開口に配置される板状部材と、
前記板状部材に貫通形成された開口から前記筐体内の空気を吸引するファンと、を備え、
前記ファンによって吸引された空気の乱れを低減するために必要な体積が、前記空気流路内に確保できるように、前記所定距離が設定されていることを特徴とする。
【0010】
この構成により、板状部材に取り付けられたファンと臭気除去フィルターとは所定距離離間され、空気流路内の空気の乱れが低減され、ファンによって吸引された空気が、可及的に均一且つ臭気除去フィルターの全域を通過させることができる。したがって、臭気除去フィルターの機能を有効的且つ効果的に活用することができ、効率良く且つ長時間に亘り臭気を除去することが可能となる。また、1つの筐体に各構成部材が装着されて構成されており、シンプルで製造も容易且つ低廉にて行うことが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の印刷装置用脱臭ユニットによれば、臭気除去フィルターが有効的且つ効果的に活用され、印刷装置内で発生した臭気を効率良く除去することができる。したがって、本脱臭ユニットを搭載した印刷装置は、設置場所を問わず、例えばカフェ等の飲食を伴う様な商業的環境でも臭気を気にすることなく使用することが可能となる。これにより、印刷装置の適用エリアを拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の印刷装置用脱臭ユニットの一実施の形態に係り、脱臭ユニットの概略構成図である。
【
図4】
図1の脱臭ユニットの概略斜視図である。ただし、前側から見た図である。
【
図5】
図1の脱臭ユニットの概略斜視図である。ただし、後側から見た図である。
【
図6】
図4、
図5で示す脱臭ユニットにおいて、臭気除去フィルターの固定状態を示す説明図である。
【
図7】臭気除去フィルターの取り付け手順の説明図である。
【
図8】臭気除去フィルターの取り外し手順の説明図である。
【
図9】印刷装置内における脱臭ユニットの配置説明図である。
【
図10】印刷装置内における脱臭ユニットの配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の印刷装置用脱臭ユニットの一実施の形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の印刷装置用脱臭ユニット10の一実施の形態に係り、脱臭ユニット10の概略構成図である。本発明の脱臭ユニット10は、空気流路100を形成する略直方体で両端開口の筐体12、筐体12の一方側に取り付けられた臭気除去フィルター20、筐体12の他方側に取り付けられた板状部材22、この板状部材22に取り付けられたファン24を有する。このファン24により印刷装置のケーシング内の空気を臭気除去フィルター20を通して筐体12に引き込む構成になっている。したがって、筐体12による形成される空気流路100は、臭気除去フィルター20からファン24へと矢印で示した方向に形成される。本明細書では便宜上、臭気除去フィルター20の設置された側を前側、ファン24の設置された側を後側と称する。
【0015】
ここで、板状部材22に取り付けられたファン24と臭気除去フィルター20とは所定距離離間されており、これにより空気流路100内の空気の乱れが低減され、ファン24によって吸引された空気を可及的に均一且つ臭気除去フィルター20の全域を通過させることができる。これにより、臭気除去フィルター20の機能を有効的且つ効果的に活用することができる。なお、本実施の形態では、臭気除去フィルター20は、例えば、活性炭フィルターを用いている。
【0016】
図2及び
図3は、脱臭ユニット10の筐体12の組み立て説明図であり、
図2(a)は脱臭ユニット10の前側から見た正面図、
図2(b)は斜視図をそれぞれ示している。また、
図3(a)は、脱臭ユニット10の概略断面図、
図3(b)は、後側から見た斜視図を示している。
【0017】
筐体12は、上述のように両端開口とされ、一対の側壁12-1、12-2と、これら一対の側壁の上端同士を連結する上板12-3を有している。筐体12は、空気流路100を形成するものであり、本実施の形態では、底板を有しない形態として構成されている。底板は、後述する様に、印刷装置のケーシング34(
図9及び
図10参照乞)に筐体12を設置した時に、印刷装置32のケーシング34の底部が筐体12の底板を構成して機能することとなる。
【0018】
本実施の形態では、筐体12は、空気流路100の流れ方向に沿ったラインで分割された2つの筐体パーツを組み合わせて構成される。1つのパーツは側壁12-1が構成要素であり、もう一つのパーツは、側壁12-2と上板12-3が構成要素となる。そして、側壁12-1は、その上部に筐体12の流れ方向に直交する断面のサイズを調整可能とする重なり部14を有している。
【0019】
臭気除去フィルター20は、筐体12の一方の開口側に設置され、後述するように、筐体12が組み立てられた後に外側から装着される。
【0020】
この構成により、空気流路18を構成する筐体12は、側壁12-1と上板12-3の組み付けの互いの位置をずらすことで、すなわち、重なり部14の重なり量を調整することで、流れ方向に直交する断面のサイズを調整することが可能となっている。すなわち、臭気除去フィルター20の大きさに応じて、筐体12の一対の側壁12-1、12-2間の離間距離を変更することができ、組付け後の筐体12と臭気除去フィルター20の間の隙間を的確になくすことができる。また、後述するように、筐体12とファン24が取り付けられる板状部材22との間の隙間も的確になくすことができる。
【0021】
ここで、ファン24が取り付けられる板状部材22は、上縁から折り曲げ部22cを介して板状部材22と交差する方向に延設された上部フランジ22dと、下縁から折り曲げ部22cを介して板状部材22と交差する方向に延設された下部フランジ22eとを備えている。下部フランジ22eの空気流路100側における側面と折り曲げ部22bの上面との間で形成される内角が90度を超える角度となる様に設定されている(
図3(a)参照)。例えば、本実施の形態では90数度に調整されている。なお、ファン24は、板状部材22に形成された開口部22aに取り付けられる。
【0022】
下部フランジ22eの上記90度を超える角度付けにより、筐体12を印刷装置のケーシング34に設置した状態では、板状部材22の下部フランジ部22eは、印刷装置のケーシング36の底部に押し付けられた状態となり、板状部材22の上下方向の筐体12のサイズに対する寸法ばらつきを吸収し、機密性を良好に確保することができる。
【0023】
すなわち、壁板12-1と上板12-2の重なり部14、及び板状部材22の下部フランジ22eにより、筐体12のサイズは、その気流の出口側に取り付けられるファン設置用の板状部材22のサイズに的確に合わせることができる。これにより、ファン24と臭気除去フィルター20との間の空間の良好な密閉性を確保することが可能であり、臭気の除去の効率が更に向上する。
【0024】
図4は、脱臭ユニット10の前側から見た概略斜視図であり、
図5は、脱臭ユニット10の後側から見た概略斜視図である。ただし、図面の簡略化のために、
図4、
図5では、側壁12-2、上板12-3を省略して示している。
図6は、脱臭ユニット10を左右方向の略中央で切った概略断面を示しており、臭気除去フィルター20の筐体12への固定状態を示すものである。
【0025】
筐体12には、一方の開口(気流が流入する側の開口)に気密部材26が設けられており、一方の開口の縁部に沿う様に四角形の枠状に形成されており、例えば、柔軟性、弾力性に富んだ発泡シール材などで形成される。また、筐体12の一方の開口の下部には外方に延在するフィルター受け部28が設けられている。このフィルター受け部28には、臭気除去フィルター20が載置される。
【0026】
さらに、フィルター受け部28に載置された臭気除去フィルター20を気密部材26側へ付勢する付勢手段としての板バネ30が設けられている。すなわち、臭気除去フィルター20は、筐体12の一方の開口を塞ぐように、板バネ30により気密部材26側に押された状態で着脱可能に装着される。
【0027】
板バネ30は、弾性変形可能な所定幅の板状の本体部30aを有しており、この本体部30aの先端側には、V字型に折り曲げられた係止部30bが形成され、この係止部20cが臭気除去フィルター20の上部に係止され、臭気除去フィルター20を気密部材26側へ付勢するものである。また、本体部30aの基端側には、筐体12の上板12-3に固定するための固定部30cが設けられている。
【0028】
また、フィルター受け部28の先端側には、先端に向かって上昇傾斜するガイド部28aが設けられている。
【0029】
したがって、臭気除去フィルター20は、フィルター受け部28に載置された状態で、気密部材26を弾性変形させながら保持される。これにより一方の開口における空気流の漏れが防止され、臭気の除去効率の向上が図られる。更に、以下で詳述するように、臭気除去フィルター20の取り付け、取り外しは、ねじ等の固定用の部材を要することなく、簡単に付勢手段である板バネ30の付勢力によって安定した取付けが行われている。したがって、脱臭除去フィルター18を頻繁に交換する状況でも煩雑な作業を伴うことがない。
【0030】
図7は、臭気除去フィルター20の取り付け手順の説明図である。臭気除去フィルター20を筐体12に取り付ける際、臭気除去フィルター20をフィルター受け部28のガイド部28aの傾斜面上に載せて移動させてセットする。その際、板バネ30を持ち上げ、セット後に係止部30bを臭気除去フィルター20の上部に係止させる。すなわち、臭気除去フィルター20をフィルター受け部28上で垂直に立てた状態とし、板バネ30で付勢するものである。
【0031】
図8は、臭気除去フィルター20の取り外し手順の説明図である。臭気除去フィルター20を筐体12から取り外す際、板バネ30を上方に押し曲げ、臭気除去フィルター20をフィルター受け部28のガイド部28aに添わせて取り外すことができる。これにより、セッティングだけでなく取外し作業についても簡単に行うことが可能である。したがって、臭気除去フィルター20を頻繁に交換する状況でも、煩雑な作業を伴うことがない
【0032】
図9及び
図10は、脱臭ユニット10の印刷装置32のケーシング34内での配置を示しており、
図9はケーシング34の前側から視た図であり、
図10は同じくケーシング34の後側から視た図である。図示の様に、脱臭ユニット10は、ケーシング34の正面から見て左奥部の後壁部34aに当接させて設置される。脱臭ユニット10のファン24から排出される空気流がこのケーシング34の後壁部34aに設けられた排出孔34bから抜け出るように設置されている。このようにして、印刷装置32内で発生した臭気は、脱臭ユニット10により除去され、印刷装置32外に排出される。
なお、上述の様に、本実施の形態では筐体12は、底板を有しない形態として構成されているので、設置状態ではケーシング34の底部が筐体12の底板を構成して機能することとなる。
【0033】
本実施の形態の印刷装置用脱臭ユニット10によれば、板状部材22に取り付けられたファン24と臭気除去フィルター20とは所定距離離間されており、これにより空気流路100内の空気の乱れが低減され、ファン24によって吸引された空気は、可及的に均一且つ臭気除去フィルター20の全域を通過することとなる。したがって、臭気除去フィルター20の機能を有効的且つ効果的に活用することができ、効率良く且つ長時間に亘り臭気を除去することが可能となっている。また、印刷装置用脱臭ユニット10は1つの筐体12に各部材が装着されて構成されており、構造がシンプルで製造も容易且つ低廉である。
【0034】
また、筐体12は、底板(実施の形態ではケーシング34の底部が用いられている)と、底板から立設される一対の側壁12-1、12-2と、一対の側壁における各上端同士を連結する上板12-3とを有しており、側壁12-1は、上端から側板に交差する方向に延設される重なり部14を有し、重なり部14の重なり量を調整することにより一対の側壁の間における離間距離が調整可能に構成されているので、臭気除去フィルター20の大きさに応じて、筐体12の一対の側壁の間における離間距離を変更でき、筐体12の一方の開口を臭気除去フィルター20で隙間なく閉塞することができる。
【0035】
また、板状部材22は、上縁から折り曲げ部を介して板状部材22と交差する方向に延設される上部フランジ22cと、下縁から折り曲げ部を介して板状部材22と交差する方向に延設される下部フランジ22eとを備え、下部フランジ22eは、折り曲げ部の内角が90度を超える角度に設定されるので、筐体12を印刷装置のケーシング34に設置する際には、板状部材22の下部フランジ部22eは、印刷装置のケーシング36の底部に押し付けられた状態となり、板状部材22の上下方向の筐体12のサイズに対する寸法ばらつきを吸収し、機密性を良好に確保することができる。
【0036】
また、筐体12は、一方の開口に設けられる気密部材26と、一方の開口側より一方側に設けられ臭気除去フィルター20が載置されるフィルター受け部28と、フィルター受け部28に載置される臭気除去フィルター20を気密部材26側へ付勢する付勢手段とを有するので、臭気除去フィルター20は、筐体12の一方側の開口に気密部材26を圧縮させて取り付けられ、筐体12における空気流路100の気密性を確保することができる。
【0037】
また、付勢手段は、板バネ30であり、板バネ30は、弾性変形可能な板状の本体部30aと、本体部30aの先端側に設けられ、臭気除去フィルター20の上部を係止する係止部30bと、本体部の基端側に設けられ筐体12に固定される固定部30cとを備え、フィルター受け部28は、板バネ30の本体部30aとフィルター受け部28の筐体12から離間する縁部に沿って上昇傾斜するガイド部28aを有し、臭気除去フィルター20は係止部30bによりフィルター受け部28に着脱可能な状態で固定されるので、臭気除去フィルター20の筐体12への取り付けは、ねじ等の固定用の部材を要することなく、簡単に行うことができる。また、同様に筐体12からの取り外しも容易である。したがって、臭気除去フィルター20を頻繁に交換する状況でも煩雑な作業を伴うことがなく、交換作業も容易である。
【0038】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、付勢手段である板バネ30は、1つ使用しているが複数使用しても良い。また、気密部材26は、発泡シール材を例示したが、その他の柔軟性樹脂製部材を用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 印刷装置用脱臭ユニット
12 筐体
12-1、12-2 側壁
12-3 上板
14 重なり部
20 臭気除去フィルター
22 板状部材
22a 開口部
22b、22c 折り曲げ部
22d 上部フランジ
22e 下部フランジ
24 ファン
26 気密部材
28 フィルター受け部
28a ガイド部
30 板バネ
30a 本体部
30b 係止部
30c 固定部
32 印刷装置
34 ケーシング
34a 後壁部
34b 排出孔
100 空気流路