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  • 特開-吸収性物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155483
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20241024BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61F13/15 141
A61F13/534
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070240
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 涼太
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BB22
3B200DA14
3B200DB02
3B200DB12
(57)【要約】
【課題】通常の尿臭や便臭のみならず、高齢者特有の尿臭気に含まれるアセトアルデヒド等の中性成分に対しても、高い消臭効果を持つ吸収性物品を提供する。
【解決手段】液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体と、を備える吸収性物品であって、吸収体は、アニオン交換基を有する化合物が含まれる消臭剤で処理された第一消臭薄葉紙を備えることを特徴とする、吸収性物品を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、アニオン交換基を有する化合物が含まれる消臭剤で処理された第一消臭薄葉紙を備えることを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体は更に、金属含有セルロース繊維を含む第二消臭薄葉紙を備えることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第一消臭薄葉紙は、前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、
前記第二消臭薄葉紙は、前記吸収体と前記バックシートの間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第一消臭薄葉紙は、薄葉紙に前記消臭剤を含む水溶液を噴霧処理したものであり、
前記第一消臭薄葉紙における前記消臭剤の含有量は、薄葉紙100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第一消臭薄葉紙は、薄葉紙に前記消臭剤を担持した粒子を混錬処理したものであり、
前記粒子における前記消臭剤の含有量は、粒子100重量部に対して10重量部以上50重量部以下であり、
前記第一消臭薄葉紙における前記粒子の含有量は、薄葉紙100重量部に対して0.1重量部以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭薄葉紙を備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、乳幼児用や老人用を問わず、様々なタイプの吸収性物品が販売されている。
【0003】
これらの吸収性物品は、体液を吸収するだけでなく、体液が発する臭気を吸収したり、他の芳香で打ち消したりする等の効果を有する、いわゆる消臭機能を有することも求められている。
【0004】
消臭機能を備える吸収性物品の先行技術文献として、例えば特許文献1には、消臭性の官能基を備えたグラフト重合体を含む水溶性の消臭剤で処理された親水性繊維を含むことにより、粉体状の消臭剤を用いた場合に比べその単位重量あたりの消臭機能が大きいので消臭剤の重量を減らすことができ、かつ、消臭機能に優れるだけでなく、消臭剤を特に固定する必要もなく容易に吸収性物品に複合化でき、審美性に優れ清潔感のある、吸収性物品が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子を含有する単層のシートを含んで構成される薄葉紙であって、パルプ繊維のフリーネスは450ml以上680ml以下であり、活性炭は、平均粒径が1μm以上15μm以下、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が体積基準で5%未満であり、かつ該活性炭の含有率は、単層のシートの坪量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下であり、金属担持多孔質粒子は、活性炭に比して平均粒径が大きく、単層のシートの明度L値は55以上80以下である薄葉紙が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-210520号公報
【特許文献2】特表2014-070288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の消臭機能を備える吸収性物品は、吸収体や吸収体用の素材に消臭剤を添加したり、消臭機能を有する素材を用いたりして、尿臭や便臭を低減するものが提供されている。
【0008】
しかし、特許文献1は、尿臭に含まれるアセトアルデヒドを、アミノ基を代表とするアニオン交換基を利用して消臭しているが、便臭についての記述はない。
また、特許文献2は、活性炭と金属担持の抗菌効果によって、尿臭や便臭の成分であるアンモニア、メルカプタン、アルデヒド等の悪臭全般に消臭効果を期待できる。しかし、高齢者の尿はホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等の中性成分を多く含むが、それらの中性成分に対する消臭効果は十分ではなかった。
【0009】
よって、従来の消臭機能を有する吸収性物品では、通常の尿臭や便臭に加えて、高齢者特有のホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等の中性成分に由来する尿臭には十分な消臭効果を発揮できなかった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、通常の尿臭や便臭のみならず、高齢者特有の尿臭気に含まれるアセトアルデヒド等の中性成分に対しても、高い消臭効果を持つ吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は鋭意検討を行い、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置される吸収体と、を備える吸収性物品において、吸収体が、アニオン交換基を有する化合物が含まれる消臭剤で処理された第一消臭薄葉紙を備えることで、通常の尿臭や便臭のみならず、高齢者特有の尿臭気に含まれるアセトアルデヒド等の中性成分に対しても、高い消臭効果を持つ吸収性物品とすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体と、を備える吸収性物品であって、前記吸収体は、アニオン交換基を有する化合物が含まれる消臭剤で処理された第一消臭薄葉紙を備えることを特徴とする、吸収性物品である。
【0013】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記吸収体は更に、金属含有セルロース繊維を含む第二消臭薄葉紙を備えることを特徴とするものである。
【0014】
(3)本発明の第3の態様は、(2)に記載の吸収性物品であって、前記第一消臭薄葉紙は、前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、前記第二消臭薄葉紙は、前記吸収体と前記バックシートの間に配置されることを特徴とするものである。
【0015】
(4)本発明の第4の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記第一消臭薄葉紙は、薄葉紙に前記消臭剤を含む水溶液を噴霧処理したものであり、前記第一消臭薄葉紙における前記消臭剤の含有量は、薄葉紙100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下であることを特徴とするものである。
【0016】
(5)本発明の第5の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記第一消臭薄葉紙は、薄葉紙に前記消臭剤を担持した粒子を混錬処理したものであり、前記粒子における前記消臭剤の含有量は、粒子100重量部に対して10重量部以上50重量部以下であり、前記第一消臭薄葉紙における前記粒子の含有量は、薄葉紙100重量部に対して0.1重量部以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通常の尿臭や便臭のみならず、高齢者特有の尿臭気に含まれるアセトアルデヒド等の中性成分に対しても、高い消臭効果を持つ吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態に係る吸収性物品の模式的な平面図である。
図2図1のX-X切断線における幅方向の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、第一実施形態に係る吸収性物品1について、図面を参照しつつ説明する。本明細書では次のように定義する。吸収性物品1の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性物品1を身体に装着した状態をいう。長手方向は、吸収性物品1を着用したときに着用者の前後にわたる方向であり、図中のY軸に平行な方向である。幅方向は長手方向に対して直交する方向であり、図中のX軸に平行な方向である。厚み方向とは長手方向及び幅方向を含む一平面(例えば図1に示す平面)に対して略垂直な方向であり、図中のZ軸に平行な方向である。
さらに、吸収性物品1を身体に着用したときに、着用者の肌に当接するか又は該肌を臨む表面を肌側面、着用者の衣類に接触するか又は該衣類を臨む表面を非肌側面、とする。また、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。
【0020】
<吸収性物品>
図1は、吸収性物品1の模式的な平面図であり、図2は吸収性物品1の幅方向断面図である。各図は、吸収性物品1の各構成部材の形状、寸法やその大小関係を規定するものではない。また、各構成部材の寸法は、吸収性物品1の用途、着用者の年齢や体型等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態の吸収性物品1は、液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート30と、トップシート10及びバックシート30の間に配置される吸収体20と、を備える。
【0022】
吸収性物品1の図1に示す展開時の長手方向寸法は例えば750mm以上850mm以下であり、幅方向寸法は例えば500mm以上770mm以下である。この展開時寸法を有する吸収性物品1は、必要に応じて所定領域に外装体や弾性伸縮部材を配設した後、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の各種サイズの成人用の吸収性物品1とすることができる。吸収性物品1は、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁用使い捨ておむつ等として利用できる。
以下、本発明の第一実施形態に係る吸収性物品1の各構成部材について、更に詳細に説明する。
【0023】
(トップシート)
トップシート10は、体液が吸収体20へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布など公知の親水性不織布等を使用できる。また、トップシート10には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート10には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
強度及び加工性の点から、トップシート10の坪量は、10g/m以上40g/m以下であることが好ましく、15g/m以上35g/m以下であることがより好ましい。トップシート10の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体20へと誘導するために必要とされる、吸収体20を覆う形状であればよい。
【0024】
(バックシート)
バックシート30は、吸収体20が保持する体液が漏れないような液不透過性の基材を特に限定なく使用できる。例えば、不織布、樹脂フィルム、これらの2種以上の積層体である複層シート等が挙げられる。不織布としては、製法が特に限定されることはなく、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの積層体である複合シート等が挙げられる。また、着用時の蒸れを防止するために、バックシート30は、透湿性を有することが好ましい。透湿性を付与する方法としては、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシート30に穿孔のためのエンボス加工を施すことが挙げられる。
バックシート30の坪量は特に限定されないが、10g/m以上40g/m以下であることが好ましく、15g/m以上35g/m以下であることがより好ましい。
【0025】
(吸収体)
本発明の実施形態に係る吸収体20は、例えば、吸収基材と、吸収基材に担持される吸収成分と、を含む。吸収基材としては、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に含まれる吸収基材を特に限定なく使用でき、例えば、フラッフパルプ、親水性シート等が挙げられる。フラッフパルプとしては、例えば、木材パルプ、合成繊維や、合成樹脂繊維等の非木材パルプ等の綿状の解繊物等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。また、アセテートトウの開繊体を吸収基材として使用できる。
吸収成分としても公知のものを特に限定なく使用でき、例えば、高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下「SAP」ともいう)が挙げられる。高吸収性ポリマーとしては公知のものを使用でき、その中でも面積当たりの体液吸収量等の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。
【0026】
吸収体20は、例えば、上記の吸収基材及び吸収成分を用いて、単層又は複層のシート状に構成される。これらの中でも、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプのウェブの親水性繊維マトリックスをSAP粒子と混合して形成したものが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体20の形状を安定させるために、親水性のキャリアシートで吸収体20を包んでもよい(図示しない)。さらに、体液の拡散をコントロールすると共に、使用者の体型に応じて吸収体20が容易に変形するようになるため、吸収体20の表面にエンボス加工を施してもよい。
吸収体20中の高吸収性ポリマーの坪量は特に限定されないが、例えば100g/m以上300g/m以下の範囲である。
【0027】
(消臭薄葉紙)
また、吸収体20は、アニオン交換基を有する化合物が含まれる消臭剤で処理された第一消臭薄葉紙21を備える。
第一消臭薄葉紙21を備えることにより、本発明の第一実施形態に係る吸収性物品1は、通常の尿臭や便臭のみならず、高齢者特有の尿臭気に含まれるアセトアルデヒド等の中性成分に対しても、高い消臭効果を発揮することができる。
なお、アニオン交換基としては、アミノ基を含んでよい。このような消臭剤は、例えば、上述のアニオン交換基を有する化合物をグラフト重合により単糖若しくはオリゴ糖の側鎖に結合させて作ることができる。ここで、単糖とは、例えばグルコースを含むものであり、オリゴ糖とは、ショ糖を含むものである。また、グラフト重合とは、熱・光等のエネルギーにより化合物に結合を起こさせる重合をいい、放射線によるグラフト重合を含んでよい。
【0028】
本発明に関する消臭剤としては、例えば、臭い(特に尿臭)に対して効果を示す水溶性の消臭剤を含んでよい。また、臭成分と考えられるアルデヒド類、低級脂肪酸類等に対して吸着効果があるもの(例えば、アニオン交換基[アミノ基(-NH)等])を持つ化合物を含んでよい。具体的には、2-エタノールアミンを原料として放射線グラフト重合により得られた物質を含んでよい。また、放射線グラフト重合によって作られたイオン交換型消臭剤を含んでよい。このようなイオン交換型消臭剤は、放射線グラフト重合して得られた化合物を含んでよく、例えば、液状陰イオン交換体であるポリヒドロキシエチルメタクリラートエタノールアミン共重合体グルコースを含んでよい。
【0029】
薄葉紙の材料としては、通常のパルプ繊維を主体としている。ここで、「主体としている」とは、薄葉紙におけるパルプ繊維の含有率が50質量%以上であることを意味する。
パルプ繊維としては、親水性表面を有する繊維であって、その湿潤状態において、繊維どうしが互いに高い自由度を有する薄葉紙を形成できるものであれば、特に制限無く用いることができる。そのようなパルプ繊維としては、天然セルロース繊維(親水性セルロース繊維)が挙げられる。より具体的には、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維;藁、竹、ケナフ、麻、コットン等の非木材パルプ等が挙げられる。特にNBKP及びLBKP、とりわけNBKPは、比較的繊維長が長くて強度が得られ易く、また、これを用いた薄葉紙は繊維間の空隙率が大きくて液透過性に優れるため、本発明においてパルプ繊維として好ましく用いられる。
また、薄葉紙は、パルプ繊維として、少なくともNBKPを含有していることが好ましく、必要に応じ、パルプ繊維として更に、LBKPを含有していることが好ましい。薄葉紙において、LBKPとNBKPとの含有質量比は、NBKP:LBKP=100/0~70/30であることが好ましく、100/0~90/10であることが更に好ましい。
【0030】
第一消臭薄葉紙21は、薄葉紙に消臭剤を含む水溶液を噴霧処理したものであるか、又は薄葉紙に消臭剤を担持した粒子を混錬処理したものであることが好ましい。上記のいずれかの処理で消臭剤を含ませることにより、第一消臭薄葉紙21に確実に消臭機能を付与することができる。
【0031】
薄葉紙に消臭剤を含む水溶液を噴霧処理したものである場合、第一消臭薄葉紙21における消臭剤の含有量は、薄葉紙100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上5重量部以下であることがより好ましい。
また、薄葉紙に消臭剤を担持した粒子を混錬処理したものである場合、粒子における消臭剤の含有量は、粒子100重量部に対して20重量部以上40重量部以下であることが好ましく、10重量部以上50重量部以下であることが好ましい。さらに、第一消臭薄葉紙21における粒子の含有量は、薄葉紙100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましい。
第一消臭薄葉紙21において、含有する消臭剤が少ないと十分な消臭性能を発揮できない一方で、多過ぎると後述する第二消臭薄葉紙22に含まれる金属含有セルロース繊維による消臭機能を妨げてしまうおそれがある。上記の数値範囲内とすることにより、最も効果的に消臭性能を発現できる吸収性物品1とすることができる。
【0032】
また、吸収体20は更に、金属含有セルロース繊維を含む第二消臭薄葉紙22を備えることが好ましい。第二消臭薄葉紙22を備えることにより、本発明の第一実施形態に係る吸収性物品1は、アルデヒド等の中性成分以外にも、尿臭や便臭の成分であるアンモニア、メルカプタン等の悪臭全般により高い消臭効果を発揮することができる。
なお、含有する金属は、金属又は金属イオンを担持(含有)している多孔質粒子(金属担持多孔質粒子)としてセルロース繊維に混在していることが好ましい。
【0033】
本発明で用いられる金属担持多孔質粒子において、金属を担持する無機の多孔質粒子としては、例えば、銀カンクリナイト、銀ゼオライト、銅ゼオライト、酸化亜鉛、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。特に好ましい金属担持無機多孔質粒子は、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物である。
また、金属を担持する有機の多孔質粒子としては、例えば、2,6-ジフェニルーp-フェニレンオキサイドベースポリマー、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体、ジビニルベンゼン-2-ビニルピリジン共重合体等が挙げられる。そのようなビニル共重合粒子(有機多孔質粒子)に担持(含有)される金属イオンとしては、例えば、銀イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、コバルトイオン、ジルコニウムイオン、セリウムイオン、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオン、白金イオン等が挙げられ、銀イオン、亜鉛イオンが好ましい。
【0034】
さらに、第二消臭薄葉紙22における薄葉紙の材料としては、セルロース繊維が主体であるが、第一消臭薄葉紙21との相乗効果を発揮するために、第一消臭薄葉紙21と同じ材料であることが好ましい。
第二消臭薄葉紙22における金属担持多孔質粒子(金属担持無機多孔質粒子、金属担持有機多孔質粒子)の含有率は、消臭と抗菌機能の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。上限は特に限定されないが、10質量部以下であることが好ましい。
【0035】
なお、図2に示すように、第一消臭薄葉紙21は、トップシート10と吸収体20の間に配置されることが好ましく、第二消臭薄葉紙22は、吸収体20とバックシート30の間に配置されることが好ましい。
このように第一消臭薄葉紙21及び第二消臭薄葉紙22を配置することで、第二消臭薄葉紙22に含まれる金属イオンの活性を、第一消臭薄葉紙21に含まれるアニオン交換基が妨げるのを防ぐことができる。更に、硫化水素やメチルメルカプタンよりもモル質量の高いアセトアルデヒドを、効率的に消臭することができる。
【0036】
(立体ギャザー)
また、本発明の第一実施形態に係る吸収性物品1は、トップシート10の肌側面側に、立体ギャザー40を備えていてもよい。
立体ギャザー40は、例えば、体液の横漏れ等を防止するために設けられる。本発明の実施形態に係る立体ギャザー40は、幅方向一端がバックシート30の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って固定され、幅方向途中部がトップシート10の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って固定され、幅方向他端が自由端であるシート部材40bと、幅方向他端(自由端)付近に長手方向に沿って配設され、幅方向他端に起立性を付与する弾性伸縮部材40aと、を含む。起立性を有する幅方向他端は、着用者の体型に合わせて伸縮自在かつ変形可能である。
【0037】
シート部材40bには例えば各種不織布を限定なく使用でき、弾性伸縮部材40aには例えば糸ゴム等の一般的な弾性伸縮部材を特に限定なく使用できる。なお、シート部材40bの幅方向一端(固定端)は、バックシート30の肌側面の幅方向両端付近、トップシート10の周縁とバックシート30の周縁とを接合し、吸収体20を内包する袋体の幅方向両端付近、トップシート10の肌側面の幅方向両端付近、バックシート30の非肌側面の幅方向両端付近のいずれかに、長手方向に沿って固定してもよい。また、本実施形態の吸収性物品1は、立体ギャザー40を含まない実施形態をも包含する。
【0038】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1は、従来の吸収性物品と同様にして作製できる。例えば、バックシート30、第二消臭薄葉紙22、吸収体20、第一消臭薄葉紙21、トップシート10をこの順番に積層し、これらを所定の順序で長手方向に接合する工程と、立体ギャザー40をシート部材40bの幅方向一端をバックシート30の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って接合し、かつ、幅方向途中部をトップシート10の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って接合する工程と、を含む製造方法により、吸収性物品1が得られる。こうして得られる吸収性物品1は、所定の順序で折り畳んで袋詰めすることにより、製品化される。
【0039】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0040】
1 吸収性物品
10 トップシート
20 吸収体
21、22 消臭薄葉紙
30 バックシート
40 立体ギャザー
40a 弾性伸縮部材
40b シート部材
図1
図2