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特開2024-155484位置情報決定プログラム、位置情報決定装置及び位置情報決定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155484
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】位置情報決定プログラム、位置情報決定装置及び位置情報決定システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/42 20100101AFI20241024BHJP
   G01S 19/19 20100101ALI20241024BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01S19/42
G01S19/19
A63B71/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070242
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 智由
(72)【発明者】
【氏名】半野 宏和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 健一
(72)【発明者】
【氏名】片岡 研一
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062BB02
5J062BB05
5J062CC07
5J062HH03
(57)【要約】
【課題】位置情報の欠落を抑制することを課題とする。
【解決手段】位置情報決定プログラムは、レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、
前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする位置情報決定プログラム。
【請求項2】
前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち測位の精度の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報決定プログラム。
【請求項3】
前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち測位時における前記測位衛星の補足数の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報決定プログラム。
【請求項4】
前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち過去の直近における測位の精度の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報決定プログラム。
【請求項5】
前記決定する処理は、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報の平均値を前記移動体の位置情報として算出する処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報決定プログラム。
【請求項6】
前記複数のセンサおよび前記コンピュータの間を接続するネットワークは、異なる複数の通信キャリアを含んで構築される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の位置情報決定プログラム。
【請求項7】
レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、
前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、
処理を実行する制御部を含む位置情報決定装置。
【請求項8】
レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサと、
前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する位置情報決定装置と、
を有することを特徴とする位置情報決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報決定プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送やビデオ通話などでは、映像データの上に別の映像データを重ねて表示するオーバーレイ技術が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-197365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オーバーレイ技術は、視点等が異なる各映像データを用いて、レース状況をリアルタイムに表示するテレビ放送などに使用されることがある。例えば、レース状況の映像データと、選手等の表示対象の位置関係を直線で表した位置データとをオーバーレイ表示することがある。
【0005】
しかしながら、上記オーバーレイ表示の技術では、選手等の位置情報を測位するセンサと、位置情報を用いてオーバーレイ表示等を実行するマシンとの間を接続するネットワークが輻輳する場合、伝送の遅延やエラーなどが発生し、位置情報が欠落する側面がある。
【0006】
例えば、競馬の例で言えば、G1(Grade1)等のビッグレースの開催時には、5万人を超える来場者が携帯端末装置を使用することで、携帯電話網が輻輳し、同携帯電話網をデータ伝送に用いるセンサからの通信にも伝送の遅延やエラーの影響が発生しやすくなる。
【0007】
なお、ここでは、選手等の位置情報が表示される利用シーンの例として、オーバーレイ表示を例に挙げたが、他の利用シーン、例えばレースが行われるコースが模式化されたマップ上に位置情報が表示される場合にも同様の課題が生じ得る。
【0008】
1つの側面では、本発明は、位置情報の欠落を抑制できる位置情報決定プログラム、位置情報決定装置及び位置情報決定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、位置情報決定プログラムは、レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
位置情報の欠落を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1にかかるシステムの全体構成を説明する図である。
図2図2は、実施例1にかかるオーバーレイ表示の例を説明する図である。
図3図3は、センサの取付例を示す図である。
図4図4は、ネットワークの構築例を示す図である。
図5図5は、ネットワークの構築例を示す図である。
図6図6は、実施例1にかかる位置測位装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、対応関係データの一例を説明する図である。
図8図8は、センサログの一例を説明する図である。
図9図9は、位置情報の一例を説明する図である。
図10図10は、位置情報決定の処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、実施例1にかかるオーバーレイ装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図12図12は、設定データDBに記憶される情報の例を示す図である。
図13図13は、コース設定を説明する図である。
図14図14は、コース設定の読み込み後の事前準備を説明する図である。
図15図15は、競走馬が位置する区間の特定を説明する図である。
図16図16は、競走馬が直線区間に位置する場合の位置情報の算出を説明する図である。
図17図17は、競走馬が曲線区間に位置する場合の位置情報の算出を説明する図である。
図18図18は、オーバーレイ画像の例を説明する図である。
図19図19は、オーバーレイ画像生成の処理の流れを示すフローチャートである。
図20図20は、ハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本願に係る位置情報決定プログラム、位置情報決定装置及び位置情報決定システムの実施例について説明する。各実施例には、あくまで1つの例や側面を示すに過ぎず、このような例示により数値や機能の範囲、利用シーンなどは限定されない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例0013】
<全体構成>
図1は、実施例1にかかるシステムの全体構成を説明する図である。図1に示すシステムは、テレビ局等が放送するレースの映像データに重畳させるオーバーレイ画像を生成するシステムの一例である。
【0014】
以下、本実施例では、コースで移動する移動体の一例である競走馬による競馬を例にして説明するが、これに限定されない。例えば、陸上競技、競輪、競艇、カーレース、トライアスロン、競歩、学校の徒競走など、直線と曲線とを含むコースで行われる各種レースを対象とすることができる。また、オーバーレイ画像は、テレビ放送に限定されるものではなく、例えばインターネット放送、SNS(Social Networking Service)などを用いたライブ放送などの各種放送に適用することができる。
【0015】
図1に示すように、システムは、測位衛星1、基準局2、移動体の一例である競走馬3に取り付けられるセンサ5、位置測位装置10、オーバーレイ装置20を有し、各装置はネットワークNWを介して接続される。
【0016】
例えば、ネットワークNWには、有線や無線を問わず様々なネットワークを採用することができ、例えば4G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)により実現される携帯電話網を採用することができる。
【0017】
以下、あくまで一例として、ネットワークNWが閉域ネットワークとして実現される例を挙げるが、これは例示であって、ネットワークNWはインターネットに接続されることとしてもよい。
【0018】
測位衛星1は、位置測定に用いられる電波をセンサ5に送信する人工衛星の一例である。基準局2は、競走馬の位置特定の際に基準位置となる装置であり、例えば競馬場において緯度と経度とが予め分かっている場所に設置される。各センサ5は、衛星電波を受信して位置測位を実行する測位センサの一例であり、いわゆる観測点に対応する。このように、図1には、移動体の位置測位を実現する測位システムの例として、RTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)が示されている。
【0019】
位置測位装置10は、各競走馬3に取り付けられた各センサ5から位置情報を収集して保持する情報処理装置の一例である。オーバーレイ装置20は、オーバーレイ画像を生成して出力する情報処理装置の一例である。
【0020】
このようなシステム構成において、基準局2は、閉域LTEサービスが提供される携帯電話網を介して、位置測位装置10と常時通信して定期的に位置補正用の各種データを位置測位装置10に送信する(S1)。位置測位装置10は、基準局2から送信されるデータをもとに補正情報を生成し、閉域LTEサービスを介して各センサ5に配信する(S2)。
【0021】
センサ5は、測位衛星1から衛星情報を受信する(S3)。続いて、センサ5は、位置測位装置10から得た補正情報と、測位衛星1から受信した衛星情報とを用いて、GNSS時刻に同期した正確な時刻と自己の位置情報を算出し、これらを含む測位情報を閉域ネットワークNWを介して位置測位装置10に送信する(S4)。このような測位情報には、位置情報やGNSS同期時刻の他、位置情報の測位の精度やセンサ5が補足する測位衛星1の数などが含まれてよい。
【0022】
位置測位装置10は、センサ5から測位情報(時刻、位置情報などを含む)を受信し(S5)、受信データを本体に格納したり、受信データを画面に表示させたりするとともに、受信データをオーバーレイ装置20に提供する(S6)。
【0023】
そして、オーバーレイ装置20は、位置測定装置10から受信したセンサ5の受信データ(時刻、位置情報を含む)を用いて、直線と曲線とを考慮した各競走馬3の位置を正確に算出し、各競走馬3の位置を相対的に表したオーバーレイ画像を生成する(S7)。
【0024】
例えば、オーバーレイ装置20は、直線区間と曲線区間とを有するコース上に、位置情報が既知である複数のチェックポイントと、複数のチェックポイントを順番に結ぶ各直線を設定する。オーバーレイ装置20は、コースでレースを行う各競走馬3に取り付けられたセンサ5から、各競走馬3の位置情報を取得し、各競走馬3の位置情報を第1の位置情報とし、この第1の位置情報を各直線に近似させた第2の位置情報を算出する。オーバーレイ装置20は、複数のチェックポイントの位置情報と第2の位置情報を用いて、各競走馬3の相対的な位置を特定する。
【0025】
このようにしてオーバーレイ装置20が生成したオーバーレイ画像は、テレビ放送を行う映像システム等に送信された後、映像システムによって、レースのリアルタイム状況を撮像したレースの映像データに重畳されてテレビ放送される。
【0026】
図2は、実施例1にかかるオーバーレイ表示の例を説明する図である。図2に示すように、テレビ放送では、レースのリアルタイムの状況であるレース映像50aに、オーバーレイ装置20が生成したオーバーレイ画像51が重畳されたレースの映像データ50が放送される。
【0027】
<課題の一側面>
上記の背景技術の欄で説明した通り、上記オーバーレイ表示の技術では、センサ5および位置測位装置10の間を接続するネットワークNWが輻輳する場合、伝送の遅延やエラーなどが発生し、位置情報が欠落する側面がある。
【0028】
とりわけ、G1などのビッグレースの開催時には、5万人を超える来場者が携帯端末装置を使用することで、携帯電話網が輻輳し、同携帯電話網をデータ伝送に用いるセンサ5からの通信にも伝送の遅延やエラーの影響が発生しやすくなる。
【0029】
<課題解決アプローチの一側面>
そこで、本実施例では、ネットワークNWのデータ伝送の信頼性を高める側面から、位置測位装置10に位置情報を伝送するセンサ5が多重化される。以下、多重化の例として、1頭の競走馬3につき2つのセンサ5が取り付けられる二重化の例を挙げるが、1頭の競走馬3につき3つ以上のセンサ5が取り付けられる三重化以上のセンサ配置が採用されることとしてもよい。
【0030】
例えば、上記の二重化に用いられる2つのセンサ5は、競走馬3のゼッケンにある左右のポケットに挿入することができる。図3は、センサ5の取付例を示す図である。図3には、競走馬3に装着されるゼッケン4の表側を真上の視点から見た上面図が競走馬3の進行方向を図中の上方向に対応させた状態で示されている。このようなゼッケン4は、ゼッケン4の左右の中心線が競走馬3の背骨に対応する状態で装着される。このため、ゼッケン4の図中の下側および左側がゼッケン4の装着時の競走馬3の下側および左側に対応するとともに、ゼッケン4の図中の下側および右側がゼッケン4の装着時の競走馬3の下側および右側に対応する。
【0031】
ここで、図3には、ゼッケン4の裏側に設けられる左ポケット4Lおよび右ポケット4Rがゼッケン4の表側から透視されたシルエットが破線で示されている。これら左ポケット4Lおよび右ポケット4Rの各々にセンサ5が挿入されることにより、1頭の競走馬3の左右に2つのセンサ5が取り付けられる。
【0032】
このように競走馬3の左右に2つのセンサ5が取り付けられた場合、複数の競走馬3同士が近接する状態でも各競走馬3の位置を区別できる。例えば、2頭の競走馬3が左右に近接する状態で並走する場合、左側を走行する競走馬3の右ポケット4Rに挿入されたセンサ5と、右側を走行する競走馬3の左ポケット4Lに挿入されたセンサ5とが近接する。このような場合でも、左側を走行する競走馬3の左ポケット4Lに挿入されたセンサ5が測位する位置情報と、右側を走行する競走馬3の右ポケット4Rに挿入されたセンサ5が測位する位置情報とにより、並走する左右の競走馬3の位置を区別できる。
【0033】
さらに、センサ5の測位精度を向上させる側面から、ゼッケン4の装着時にセンサ5の筐体の水平面が水平方向に近付く位置に左ポケット4Lおよび右ポケット4Rを設置することができる。
【0034】
なお、図3には、競走馬3の左右にセンサ5が取り付けられる例を挙げたが、センサ5の取付方法はこれに限定されない。例えば、競走馬3の前後または上下にセンサ5が取り付けられてもよいし、競走馬3の上下左右、左右前後、上下前後、あるいは上下左右前後にセンサ5が取り付けられることとしてもよい。また、センサ5が取り付けられる対象は、ゼッケン4に限らず、鞍などの他の装着物であってもよいし、競走馬3に限らず、騎手であってもよい。
【0035】
さらに、ネットワークNWのデータ伝送の信頼性をさらに高める側面から、センサ5および位置測位装置10の間のデータ伝送は、センサ5および位置測位装置10の間のチャネル単位で異なる複数の通信キャリアにより実現されてよい。
【0036】
図4は、ネットワークNWの構築例を示す図である。図4に示すように、ネットワークNWは、キャリアAに対応する閉域ネットワークNW1およびキャリアBに対応する閉域ネットワークNW1により構築される。例えば、閉域ネットワークNW1には、基準局2A、競走馬3の左ポケット4Lに取り付けられるセンサ5Aおよび位置測位装置10Aが含まれる。これら基準局2A、センサ5Aおよび位置測位装置10Aが有する通信モジュールには、キャリアAのSIM(Subscriber Identity Module card)カードが搭載される。また、閉域ネットワークNW2には、基準局2B、競走馬3の右ポケット4Rに取り付けられるセンサ5Bおよび位置測位装置10Bが含まれる。これら基準局2B、センサ5Bおよび位置測位装置10Bが有する通信モジュールには、キャリアBのSIMカードが搭載される。
【0037】
この他、ネットワークNWは、異なる複数の通信キャリアに対応する通信モジュールを同一のネットワークで取り扱うことが可能であるIoT(Internet of Things)向けのネットワークにより実現することができる。
【0038】
図5は、ネットワークNWの構築例を示す図である。図5に示すように、ネットワークNWには、基準局2、競走馬3の左ポケット4Lに取り付けられるセンサ5A、競走馬3の右ポケット4Rに取り付けられるセンサ5B、および、位置測位装置10が接続される。これらのうち、センサ5Aおよび位置測位装置10が有する通信モジュールには、キャリアAのSIMカードが搭載される一方で、基準局2およびセンサ5Bが有する通信モジュールには、キャリアBのSIMカードが搭載される。このように異なる複数の通信キャリアを同一の通信システムで取り扱い可能であるマルチキャリア対応の閉域ネットワークとしてネットワークNWを構築することで、基準局2および位置測位装置10を通信キャリアごとに設置せずともよい。
【0039】
なお、図5には、センサ5および位置測位装置10の間のデータ伝送が異なる通信キャリアにより実現される例を挙げたが、同一の通信キャリアにより実現されることを妨げない。
【0040】
<機能構成>
図6は、実施例1にかかる位置測位装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、位置測位装置10は、通信部11と、記憶部13と、制御部15とを有する。
【0041】
通信部11は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部11は、各センサ5から位置情報やGNSS同期時刻などを含む測位情報などを受信し、各競走馬の位置情報をオーバーレイ装置20へ送信する。
【0042】
記憶部13は、各種データや制御部15が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えばメモリやプロセッサなどにより実現される。この記憶部13は、対応関係データ13A、センサログDB13B、位置情報DB13Cを記憶する。
【0043】
対応関係データ13Aは、センサ5と、競走馬3との対応関係が定義されたデータである。図7は、対応関係データ13Aの一例を説明する図である。図7に示すように、対応関係データ13Aは、センサ5の識別情報の一例である「センサ番号」と、競走馬3の識別情報の一例である「馬番」とが対応付けられたデータであってよい。例えば、図7に示す対応関係データ13Aのうち1行目のエントリの例で言えば、キャリアA対応の通信モジュールを搭載するセンサ5A1が馬番「01」の競走馬3の左ポケット4Lに取り付けられたことをコンピュータに識別させることができる。また、2行目のエントリの例で言えば、キャリアB対応の通信モジュールを搭載するセンサ5B1が馬番「01」の競走馬3の右ポケット4Rに取り付けられたことをコンピュータに識別させることができる。さらに、3行目のエントリの例で言えば、キャリアA対応の通信モジュールを搭載するセンサ5A2が馬番「02」の競走馬3の左ポケット4Lに取り付けられたことをコンピュータに識別させることができる。また、4行目のエントリの例で言えば、キャリアB対応の通信モジュールを搭載するセンサ5B2が馬番「02」の競走馬3の右ポケット4Rに取り付けられたことをコンピュータに識別させることができる。
【0044】
センサログDB13Bは、各センサ5から取得されるデータのログを記憶するデータベースである。例えば、センサログDB13Bは、センサ5ごとに当該センサ5の位置情報の時系列データを対応付けて記憶する。図8は、センサログの一例を説明する図である。図8には、1つのセンサ5の位置情報の時系列データが抜粋して示されるとともに、当該センサ5のサンプリング周期が0.1秒である例が示されている。さらに、図8には、レースの開始日時が15時40分00秒である例が示されている。図8に示すように、センサログDB13Bには、15時40分00秒から1秒周期の間隔で緯度および経度の2つの座標を含む位置情報が記憶されている。
【0045】
位置情報DB13Cは、各競走馬3の位置情報を記憶するデータベースである。例えば、位置情報DB13Cは、競走馬3の識別情報の一例である馬番ごとに当該馬番の競走馬3の位置情報の時系列データを対応付けて記憶する。図9は、位置情報の一例を説明する図である。図9に示すように、位置情報DB13Cには、馬番ごとに当該馬番に対応する競走馬3の各時刻における位置情報、例えば緯度および経度の2つの座標を含む位置情報が記憶されている。ここで、上述の通り、1頭の競走馬につき2つのセンサ5の各々から位置情報が取得されるので、1頭の競走馬につき計2つの位置情報が取得される。このような側面から、2つの位置情報のうちいずれか1つの位置情報が選択されるか、あるいは2つの位置情報が合成されることにより1つの位置情報が決定された上で当該位置情報が各時刻のカラムに格納される。
【0046】
制御部15は、位置測位装置10全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。この制御部15は、位置情報取得部15A、位置情報決定部15B、位置情報出力部15Cを有する。なお、位置情報取得部15A、位置情報決定部15B、位置情報出力部15Cは、プロセッサが有する電子回路やプロセッサが実行するプロセスなどにより実現される。
【0047】
位置情報取得部15Aは、センサ5からセンサ5により測定された位置情報を含む測位情報を取得する処理部である。例えば、位置情報取得部15Aは、センサ5ごとにセンサ5が任意のサンプリング周期で測位する位置情報を含む測位情報をネットワークNWを介して取得する。このように取得された位置情報は、センサ5ごとにセンサログDB13Bに格納される。
【0048】
位置情報決定部15Bは、競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々における位置情報のGNSS測位状況に応じて、複数のセンサ5から取得された複数の位置情報から競走馬3の位置情報を決定する処理部である。
【0049】
より詳細には、位置情報決定部15Bは、センサ5のサンプリング周期に対応する間隔で、K頭の競走馬3のごとに次のような処理を実行する。すなわち、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5のうち2つ以上のセンサ5から位置情報の取得が成功したか否かを判定する。
【0050】
このとき、1つのセンサ5からしか位置情報の取得が成功しなかった場合、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功したセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する。
【0051】
一方、2つ以上のセンサ5から位置情報の取得が成功した場合、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々から取得された測位情報のうちGNSS測位の精度情報を比較する。
【0052】
このようなGNSS測位の精度情報は、精度が複数の段階に区分けされてよい。あくまで一例として、GNSS測位の精度は、精度が高いものから順に、Fix解に対応する「Fix」、Float解に対応する「Float」、相対測位に対応する「Differential GPS」、単独測位に対応する「Single GPS」の4段階に分類できる。
【0053】
すなわち、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間でGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在するか否かを判定する。このとき、GNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在しない場合、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で最高となる精度で測位するセンサ5を1つに絞り込むことができる。この場合、位置情報決定部15Bは、GNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する。
【0054】
例えば、図7に示す馬番「01」の競走馬3に取り付けられたセンサ5A1およびセンサ5B1の例で言えば、センサ5A1のGNSS測位の精度が「Fix」であり、センサ5B1のGNSS測位の精度が「Float」である場合、センサ5A1から取得された位置情報が馬番「01」の競走馬3の位置情報として決定される。
【0055】
このとき、GNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在する場合、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々から取得された測位情報のうちGNSS測位時に補足された測位衛星1の数を比較する。
【0056】
すなわち、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間でGNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5が複数存在するか否かを判定する。このとき、GNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5が複数存在しない場合、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で最高となる測位衛星1の補足数で測位するセンサ5を1つに絞り込むことができる。この場合、位置情報決定部15Bは、GNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する。
【0057】
例えば、図7に示す馬番「01」の競走馬3に取り付けられたセンサ5A1およびセンサ5B1の例で言えば、センサ5A1における測位衛星1の補足数が「2」であり、センサ5B1における測位衛星1の補足数が「5」である場合、センサ5B1から取得された位置情報が馬番「01」の競走馬3の位置情報として決定される。
【0058】
また、GNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5が複数存在する場合、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々から取得された測位情報のうち過去の直近におけるGNSS測位の精度情報を比較する。
【0059】
すなわち、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在するか否かを判定する。このとき、過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在しない場合、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で過去の直近における最高となる精度で測位するセンサ5を1つに絞り込むことができる。この場合、位置情報決定部15Bは、過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する。
【0060】
例えば、図7に示す馬番「01」の競走馬3に取り付けられたセンサ5A1およびセンサ5B1の例で言えば、1時刻前におけるセンサ5A1のGNSS測位の精度が「Fix」であり、1時刻前におけるセンサ5B1のGNSS測位の精度が「Float」である場合、センサ5A1から取得された位置情報が馬番「01」の競走馬3の位置情報として決定される。
【0061】
一方、過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在する場合、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5から取得された複数の位置情報を合成することができる。
【0062】
例えば、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5から取得された複数の位置情報の統計値、例えば平均値をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として算出する。
【0063】
このように競走馬3ごとに決定された位置情報は、位置情報DB13Cに格納される。
【0064】
位置情報出力部15Cは、位置情報決定部15Bにより決定された各競走馬3の位置情報をオーバーレイ装置20へ出力する処理部である。このように位置測位装置10からオーバーレイ装置20への位置情報の伝送の他、位置情報出力部15Cは、位置測位装置10が有する表示部(不図示)などに各競走馬3の位置情報を表示出力させることもできる。
【0065】
<位置測位装置10の処理の流れ>
図10は、位置情報決定の処理の流れを示すフローチャートである。図10に示す処理は、センサ5のサンプリング周期に対応する間隔で実行することができる。
【0066】
図10に示すように、位置情報決定部15Bは、競走馬3の数Kに対応する回数の分、下記のステップS101から下記のステップS110までの処理を反復するループ処理1を実行する。なお、図10には、下記のステップS101から下記のステップS110までの処理が反復される例を挙げるが、K頭の競走馬3ごとに下記のステップS101から下記のステップS110までの処理を並列して実行することもできる。
【0067】
すなわち、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5のうち2つ以上のセンサ5から位置情報の取得が成功したか否かを判定する(ステップS101)。
【0068】
そして、1つのセンサ5からしか位置情報の取得が成功しなかった場合(ステップS101No)、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功したセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する(ステップS102)。
【0069】
一方、2つ以上のセンサ5から位置情報の取得が成功した場合(ステップS101Yes)、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々から取得された測位情報のうちGNSS測位の精度情報を比較する。すなわち、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間でGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在するか否かを判定する(ステップS103)。
【0070】
このとき、GNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在しない場合(ステップS103No)、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で最高となる精度で測位するセンサ5を1つに絞り込むことができる。この場合、位置情報決定部15Bは、GNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する(ステップS104)。
【0071】
また、GNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在する場合(ステップS103Yes)、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々から取得された測位情報のうちGNSS測位時に補足された測位衛星1の数を比較する。すなわち、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間でGNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5が複数存在するか否かを判定する(ステップS105)。
【0072】
このとき、GNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5が複数存在しない場合(ステップS105No)、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で最高となる測位衛星1の補足数で測位するセンサ5を1つに絞り込むことができる。この場合、位置情報決定部15Bは、GNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する(ステップS106)。
【0073】
また、GNSS測位時における測位衛星1の補足数の順位が最高となるセンサ5が複数存在する場合(ステップS105Yes)、位置情報決定部15Bは、k番目の馬番の競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々から取得された測位情報のうち過去の直近におけるGNSS測位の精度情報を比較する。すなわち、位置情報決定部15Bは、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在するか否かを判定する(ステップS107)。
【0074】
このとき、過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在しない場合(ステップS107No)、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5の間で過去の直近における最高となる精度で測位するセンサ5を1つに絞り込むことができる。この場合、位置情報決定部15Bは、過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5から取得された位置情報をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として選択する(ステップS108)。
【0075】
一方、過去の直近におけるGNSS測位の精度の順位が最高となるセンサ5が複数存在する場合(ステップS107Yes)、位置情報の取得に成功した複数のセンサ5から取得された複数の位置情報の統計値、例えば平均値をk番目の馬番の競走馬3の位置情報として算出する(ステップS110)。
【0076】
このようなループ処理1が反復されることにより、競走馬3ごとに位置情報が決定される。そして、競走馬3ごとに決定された位置情報は、位置情報DB13Cに格納したり、オーバーレイ装置20へ出力したりすることができる。
【0077】
<機能構成>
図11は、実施例1にかかるオーバーレイ装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。図11に示すように、オーバーレイ装置20は、通信部21、記憶部23、制御部25を有する。
【0078】
通信部11は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部11は、位置測定装置4から各競走馬3の受信データ(時刻、位置情報)などを受信し、映像システムなどの指定された宛先に、制御部25により生成されるオーバーレイ画像を送信する。
【0079】
記憶部23は、各種データや制御部25が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えばメモリやプロセッサなどにより実現される。この記憶部23は、設定データDB23A、位置情報DB23B、オーバーレイ画像DB23Cを記憶する。
【0080】
設定データDB23Aは、オーバーレイ表示に利用する、予め設定された各種設定情報を記憶するデータベースである。ここで記憶される情報は、管理者等が格納してもよく、制御部25が処理開始に指定された格納先が読み出してもよい。また、ここで記憶される情報は、競馬場ごとに設定される。
【0081】
図12は、設定データDB23Aに記憶される情報の例を示す図である。図12に示すように、設定データDB12Aは、馬情報、チェックポイント情報、区間情報などを記憶する。
【0082】
馬情報は、各競走馬3に関する情報である。例えば、馬情報は、「馬名、馬番、帽色」などを記憶する。「馬名」は、センサ5が取り付けられた競走馬(出走馬)の名前である。「馬番」は、出走馬に割り当てられた番号である。「帽色」は、騎手がレースの際かぶるヘルメットの色である。図12の例では、馬名「馬名AA」の競走馬3は、馬番が「1」であり、帽色が「白色」であることが示される。
【0083】
チェックポイント情報は、レース中の競走馬3の進行方向や位置特定に用いる、コース上に設定したチェックポイントに関する情報である。例えば、チェックポイント情報は、「チェックポイント、位置情報」などを記憶する。ここで記憶される「チェックポイント」は、コース上に設定されたチェックポイントを識別する情報であり、「位置情報」は、各チェックポイントの位置情報(緯度経度)である。図12の例では、チェックポイントp1は、「緯度=X1、経度=Y1」の位置に設置されていることが示されている。
【0084】
区間情報は、チェックポイント間の区間に関する情報である。例えば、チェックポイント情報は、「区間、情報」などを記憶する。ここで記憶される「区間」は、どのチェックポイント間かを示す情報であり、「情報」は、区間が直線か曲線かを示す情報である。図12の例では、チェックポイントp1とp2の間の区間が直線であり、チェックポイントp2とp3の間の区間が曲線であることが示されている。
【0085】
図11に戻り、位置情報DB23Bは、各競走馬3の位置情報を記憶するデータベースである。例えば、位置情報DB23Bは、競走馬3ごとに、位置測定装置10から取得した時刻順で、位置測定装置10から取得した位置情報を記憶する。
【0086】
また、位置情報DB23Bは、後述する制御部25がオーバーレイ画像生成のために算出した各競走馬3の位置情報も記憶する。例えば、位置情報DB23Bは、競走馬3ごとに、時系列で、制御部25が算出した位置情報を記憶する。
【0087】
オーバーレイ画像DB23Cは、テレビ放送されるレース映像に重畳させるオーバーレイ画像のデータを記憶するデータベースである。例えば、オーバーレイ画像DB23Cは、生成された時系列順でオーバーレイ画像を記憶する。
【0088】
制御部25は、オーバーレイ装置20全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。この制御部25は、位置情報取得部25A、位置算出部25B、画像生成部25C、画像出力部25Dを有する。なお、位置情報取得部25A、位置算出部25B、画像生成部25C、画像出力部25Dは、プロセッサが有する電子回路やプロセッサが実行するプロセスなどにより実現される。
【0089】
位置情報取得部25Aは、各競走馬3の位置情報を取得する処理部である。例えば、位置情報取得部25Aは、位置測定装置10から各競走馬3の位置情報を取得する。そして、位置情報取得部25Aは、取得した位置情報を位置情報DB23Bに格納する。
【0090】
位置算出部25Bは、位置情報取得部25Aにより取得された各競走馬3の位置情報(正確な時刻を含む)を用いて、直線区間と曲線区間とを考慮した各競走馬の位置を正確に算出する処理部である。具体的には、位置算出部25Bは、位置情報(緯度経度)からメートル座標に変換し、変換したメートル座標を用いて各競走馬3の位置を算出する。
【0091】
例えば、位置算出部25Bは、経緯度1分あたりの距離の算出や、経緯度からの単位変換については公知の技術を用いることができる。一例を挙げると、位置算出部25Bは、位置情報取得部25Aら取得した各競走馬3の位置情報であって度単位の緯度経度を、式(1)と式(2)とを用いて、メートル座標に変換する。
【0092】
緯度1度あたりの距離(メートル)=Ry/360・・・式(1)
ただし、Ryは、地球の子午線周囲(メートル)であり、例えば40,009,000である。
経度1度あたりの距離(メートル)=Rx×cosθ/360・・・式(2)
ただし、Rxは、地球の赤道周囲(メートル)であり、例えば40,075,000である。θは、競馬場の緯度(ラジアン)であり、コース設定ファイルの最大緯度と最小緯度の平均値を使用する。なお、ラジアンは、度×π/180で算出される。
【0093】
そして、位置算出部25Bは、各競走馬3のメートル座標を用いて、競走馬3がどの区間に位置するかの特定、チェックポイントを用いた進行方向の算出、競走馬が直線区間に位置する場合の横位置と走行距離の算出、競走馬が曲線区間に場合の横位置と走行距離の算出などを実行する。このようにして、位置算出部25Bは、各競走馬3の位置を算出する。なお、詳細は、後述する。また、横位置とは、競馬でいう横のポジションを示し、進行方向(縦のポジション)と垂直の方向である。
【0094】
画像生成部25Cは、位置算出部25Bにより算出された各競走馬の位置情報を用いて、オーバーレイ画像を生成する処理部である。具体的には、画像生成部25Cは、位置情報取得部25Aにより位置情報が取得される時刻ごとに、位置算出部25Bにより算出された各競走馬の位置情報を用いて、各競走馬の相対位置を特定する。そして、画像生成部25Cは、各競走馬の相対位置を直線状に表したオーバーレイ画像を生成する。その後、画像生成部25Cは、時系列順でオーバーレイ画像をオーバーレイ画像DB23Cに格納する。
【0095】
画像出力部25Dは、オーバーレイ画像を出力する処理部である。具体的には、画像出力部25Dは、オーバーレイ画像DB23Cに記憶されるオーバーレイ画像を時系列で読み出して、順次、映像システムに送信する。
【0096】
<具体例>
図13から図17を用いて、位置算出部25Bが、式(1)と式(2)を用いて各競走馬3の緯度経度をメートル座標に変換した後に実行する各競走馬3の位置算出について説明する。すなわち、後述される位置算出は、メートル座標で実行される。また、位置算出部25Bは、各競走馬3について位置が測定されるたびに、後述する位置算出を実行する。また、位置算出部25Bは、各競走馬3について算出される位置を、センサ5により測定された時刻によって結びつけることができるので、ある時刻における各競走馬3の位置を特定することができる。
【0097】
<<設定>>
まず、位置算出部25Bは、レースのコース設定を設定データDB23A等から読み込む。図13は、コース設定を説明する図である。図13に示すように、位置算出部25Bは、コース上に設定されたチェックポイントp1、p2、p3、p4、p5、p6の緯度経度を読み込む。なお、チェックポイントp1は、スタート地点に設定され、チェックポイントp6は、ゴール地点に設定される。なお、各チェックポイントは、コースの最も内側に設定する必要はなく、コース上で緯度経度が既知である場所でよく、設置する位置を限定するものではない。
【0098】
また、位置算出部25Bは、チェックポイント間の区間の情報を読み込む。具体的には、位置算出部25Bは、チェックポイントp1-p2の区間1を「直線」、チェックポイントp2-p3の区間2を「曲線」、チェックポイントp3-p4の区間3を「曲線」、チェックポイントp4-p5の区間4を「曲線」、チェックポイントp5-p6の区間5を「直線」として読み込む。なお、チェックポイントの数は一例であり、例えば曲線区間を細かく設定するために、曲線区間に多くのチェックポイントを設定することもできる。
【0099】
<<事前準備>>
次に、位置算出部25Bは、コース設定後の事前準備を実行する。図14は、コース設定の読み込み後の事前準備を説明する図である。図14に示すように、位置算出部25Bは、各チェックポイントを順番に結ぶ直線を設定する。具体的には、位置算出部25Bは、チェックポイントp1-p2を結ぶ直線d1を設定し、チェックポイントp2-p3を結ぶ直線d2を設定し、チェックポイントp3-p4を結ぶ直線d3を設定し、チェックポイントp4-p5を結ぶ直線d4を設定し、チェックポイントp5-p6を結ぶ直線d5を設定する。
【0100】
続いて、位置算出部25Bは、各チェックポイントの境界線を算出する。具体的には、位置算出部25Bは、直線区間の一端である各チェックポイントについて、当該直線区間と垂直かつチェックポイントを通る直線を境界線に設定する。また、位置算出部25Bは、曲線区間上に位置する各チェックポイントについて、各直線のうち当該チェックポイントを一端とする2つの直線がなす角度を2分割する方向で当該チェックポイントを通る直線を境界線に設定する。
【0101】
例えば、位置算出部25Bは、チェックポイントが並ぶ方向(コースと平行方向もしくは進行方向)に対して前もしくは後ろが直線区間であるチェックポイントp1、p2、p5、p6それぞれについて、その直線区間と垂直かつそのチェックポイントを通る直線を境界線とする。すなわち、位置算出部25Bは、チェックポイントp1に対して境界線b1、チェックポイントp2に対して境界線b2、チェックポイントp5に対して境界線b5、チェックポイントp6に対して境界線b6を設定する。
【0102】
また、位置算出部25Bは、前と後ろの両方が曲線区間であるチェックポイントについては、前後の直線の角度を2分割する方向でチェックポイントp3とp4を通る直線を境界線とする。すなわち、位置算出部25Bは、チェックポイントp3については、直線d2と直線d3とがなる角度を2分割する直線を境界線b3に設定する。同様に、位置算出部25Bは、チェックポイントp4については、直線d3と直線d4とがなる角度を2分割する直線を境界線b4に設定する。
【0103】
続いて、位置算出部25Bは、各チェックポイントの進行方向を算出する。具体的には、位置算出部25Bは、直線区間の一端であるチェックポイントに対して、次のチェックポイントへ向かう単位ベクトルを進行方向に設定する。位置算出部25Bは、曲線区間上のチェックポイントに対して、境界線により分けられる領域のうち次のチェックポイントを含む領域側で境界線と垂直な方向の単位ベクトルを進行方向に設定する。
【0104】
例えば、位置算出部25Bは、チェックポイントp1については、次のチェックポイントp2へ向かう単位ベクトルv1を進行方向に設定し、チェックポイントp2については、境界線b2と次のチェックポイントp3側の垂直な方向の単位ベクトルv2を進行方向に設定する。位置算出部25Bは、チェックポイントp3については、境界線b3と次のチェックポイントp4側の垂直な方向の単位ベクトルv3を進行方向に設定し、チェックポイントp4については、境界線b4と次のチェックポイントp5側の垂直な方向の単位ベクトルv4を進行方向に設定する。位置算出部25Bは、チェックポイントp5については、次のチェックポイントp6へ向かう単位ベクトルv5を進行方向に設定する。なお、最終チェックポイントp6について進行方向の設定は不要である。
【0105】
続いて、位置算出部25Bは、境界線の交点を曲線区間の中心点として算出する。例えば、位置算出部25Bは、チェックポイントp2とp3とを両端とする曲線区間2について、チェックポイントp2の境界線b2と、チェックポイントp3の境界線b3との交点c2を、曲線区間2の中心点として算出する。同様に、位置算出部25Bは、チェックポイントp3とp4とを両端とする曲線区間3について、チェックポイントp3の境界線b3と、チェックポイントp4の境界線b4との交点c3を、曲線区間3の中心点として算出する。また、位置算出部25Bは、チェックポイントp4とp5とを両端とする曲線区間4について、チェックポイントp4の境界線b4と、チェックポイントp5の境界線b5との交点c4を、曲線区間4の中心点として算出する。
【0106】
<<競走馬が位置する区間の特定>>
次に、位置算出部25Bは、競走馬がどの区間に位置するかを特定する。図15は、競走馬が位置する区間の特定を説明する図である。具体的には、位置算出部25Bは、競走馬3がチェックポイントp1からスタートすることから、最初は区間1に各競走馬3が位置すると特定する。その後、位置算出部25Bは、競走馬3がどのチェックポイントの境界線を通過したかにより、次の区間に競走馬が入ったか否かを判定する。具体的には、位置算出部25Bは、次のチェックポイントから競走馬3へ向かうベクトルと、次のチェックポイントの進行方向を示すベクトル(以下では進行方向ベクトルと記載する場合がある)との内積が正の値の場合に、競走馬3が次にチェックポイントの区間に入ったと判定する。
【0107】
例えば、図15に示すように、位置算出部25Bは、競走馬3の現在位置がh1の場合、チェックポイントp1の次のチェックポイントp2からh1に向かうベクトルvh1と、チェックポイントp2の進行方向ベクトルv2との内積を算出する。この場合、位置算出部25Bは、vh1とv2とのなす角が90度以上であることから、内積(vh1×v2)は0未満となり、競走馬3は境界線b2を通過しておらず区間1に位置すると判定する。
【0108】
一方、位置算出部25Bは、競走馬3の現在位置がh2の場合、チェックポイントp1の次のチェックポイントp2からh1に向かうベクトルvh2と、チェックポイントp2の進行方向ベクトルv2との内積を算出する。この場合、位置算出部25Bは、vh1とv2とのなす角が90度未満であることから、内積(vh1×v2)は0より大きくなり、競走馬3は境界線b2を通過し区間2に位置すると判定する。
【0109】
<<競走馬の位置算出>>
次に、位置算出部25Bは、競走馬3が走行距離と横位置とを算出する。具体的には、位置算出部25Bは、位置測位装置10から取得された競走馬3の位置情報を第1の位置情報とし、当該第1の位置情報を、コース上に設定したチェックポイント間のいずれかの直線に近似させた各第2の位置情報に変換する。そして、位置算出部25Bは、複数のチェックポイントの位置情報と各競走馬3に対応する各第2の位置情報を用いて、各競走馬3の相対的な位置を特定する。
【0110】
例えば、位置算出部25Bは、競走馬3が直線区間に位置する場合は、位置する直線区間の直線との位置関係に基づき、走行距離と横位置とを算出する。一方で、位置算出部25Bは、競走馬3が曲線区間に位置する場合は、位置する曲線区間に設定された直線に競走馬の位置を近似させて、近似させた位置とチェックポイントとの位置関係に基づき、走行距離と横位置とを算出する。
【0111】
図16は、競走馬3が直線区間に位置する場合の位置情報の算出を説明する図である。位置算出部25Bは、走行距離として、競走馬3が通過済みである最新のチェックポイントから競走馬3へのベクトルと最新のチェックポイントの進行方向ベクトルとの内積により走行距離を算出する。また、位置算出部25Bは、横位置として、競走馬3が通過済みである最新のチェックポイントから競走馬3へのベクトルと最新のチェックポイントの進行方向ベクトルを90度回転させたベクトルとの内積により、進行方向に対して垂直方向の横位置を算出する。
【0112】
例えば、図16に示すように、競走馬3がチェックポイントp1-p2間の直線区間1のh1に位置する場合、位置算出部25Bは、チェックポイントp1から競走馬3の位置h1へのベクトルvh1と、チェックポイントp1の進行方向ベクトルv1との内積(vh1×v1)により算出される値を、走行距離と算出する。すなわち、位置算出部25Bは、チェックポイントp1から直線区間d1上のxまでの距離を走行距離と算出する。
【0113】
また、位置算出部25Bは、チェックポイントp1から競走馬3の位置h1へのベクトルvh1と、チェックポイントp1の進行方向ベクトルv1を右に(進行方向に対して時計周りに)90度回転させたベクトルv1´との内積により、競走馬3の横位置を算出する。すなわち、位置算出部25Bは、直線区間d1上のxからh1までの距離を横位置と算出する。なお、ここでは、一例として、オーバーレイ画像の画面描画時、競走馬3が右に進んでいく右向きを基準としており、画面のy座標は下向きが正のため、進行方向ベクトルを右に回転させている。
【0114】
図17は、競走馬3が曲線区間に位置する場合の位置情報の算出を説明する図である。位置算出部25Bは、走行距離として、競走馬と中心点とを結んだ直線と、曲線区間の両端のチェックポイント間を結んだ直線との交点を算出し、競走馬3が通過済みである最新のチェックポイントから交点への距離を走行距離として算出する。また、位置算出部25Bは、横位置として、上記交点と競走馬3までの距離を算出し、進行方向に向かってチェックポイント間の直線のどの位置にいるかにより、横位置を決定する。
【0115】
例えば、図17に示すように、競走馬3がチェックポイントp3-p4間の曲線区間3のh3に位置する場合、位置算出部25Bは、競走馬3の位置h3から区間3の中心点c3への直線と、区間3内に設定された直線d3との交点xを算出する。そして、位置算出部25Bは、競走馬3が通過済みである最新のチェックポイントp3から交点xまでの距離を走行距離と算出する。
【0116】
また、位置算出部25Bは、交点xから競走馬3の位置h3までの距離を算出する。そして、位置算出部25Bは、チェックポイントp3からp4へのベクトルと、チェックポイントp3から競走馬の位置h3へのベクトルとの外積を算出し、競走馬h3の位置が直線d3の内側に位置するか外側に位置するかを判定する。なお、図17におけるh3は、外側に位置する例を示しており、外側とは、直線からコースの中心とは反対側の領域を指す。そして、位置算出部25Bは、外積が負の値である場合、直線d3の左側に位置すると判定し、算出された上記距離に「-1」を乗算した値を横位置とする。一方、位置算出部25Bは、外積が正の値である場合、直線d3の右側に位置すると判定し、算出された上記距離をそのまま横位置とする。
【0117】
上述したように、位置算出部25Bは、直線と曲線とを有するコース上に設定したチェックポイントp1からp6を用いて、コース全体を直線d1、d2、d3、d4、d5によるコースに近似する。そして、位置算出部25Bは、各競走馬3がどの直線のどの位置に位置するかを算出することで、各時刻における各競走馬3の位置を算出する。また、位置算出部25Bは、各チェックポイントおよび各チェックポイントの進行方向を用いて、チェックポイントを通過した時刻とチェックポイントからどの距離に位置するかを特定することで、競走馬3の順番(現在の順位)を特定する。
【0118】
このようにして、位置算出部25Bは、時刻ごとに、各競走馬3のメートル座標や走行距離などを含む位置情報を算出して、画像生成部25Cに出力する。
【0119】
<<オーバーレイ画像の生成>>
その後、画像生成部25Cは、時刻ごとに位置算出部25Bから入力される各競走馬3の位置情報を用いて、オーバーレイ画像を生成する。図18は、オーバーレイ画像の例を説明する図である。図18に示すように、画像生成部25Cは、ある時刻におけるオーバーレイ画像を生成する場合に、先頭の競走馬を特定し、先頭の競走馬からの各競走馬の相対位置を特定する。なお、位置算出部25Bは、よりゴールに近いチェックポイントを通過している競走馬が上の順位となるように各競走馬をソートするとともに、通過したチェックポイントが同じ場合は、その区間内で進行方向の距離が大きい競走馬が上の順位となるようにソートすることで、先頭馬を判定する。
【0120】
そして、画像生成部25Cは、各競走馬3の相対位置を各競走馬3の帽色や馬番を用いて表したオーバーレイ画像を生成する。このようにして生成された各時刻におけるオーバーレイ画像(画像データ)は、画像出力部25Dにより映像システムに送信され、映像システムによって、レース映像に重畳されることでオーバーレイ表示が行われる。
【0121】
<処理の流れ>
図19は、オーバーレイ画像生成の処理の流れを示すフローチャートである。図19に示すように、オーバーレイ装置20の位置算出部25Bは、処理開始が指示されると(S201:Yes)、設定データDB23Aから設定情報を読み込む(S202)。
【0122】
続いて、位置算出部25Bは、各チェックポイントの境界線を算出し(S203)、各チェックポイントの進行方向を算出し(S204)、各曲線区間の中心点を算出する(S205)。
【0123】
このようにして事前準備が終了した後、位置算出部25Bは、位置測位装置10から各競走馬3の位置情報が取得されると(S206:Yes)、各競走馬3が位置する区間を特定する(S207)。続いて、位置算出部25Bは、各競走馬3について走行距離を含む位置情報を算出する(S208)。
【0124】
そして、画像生成部25Cは、先頭馬および各競走馬の相対位置を特定し、相対位置が表されるオーバーレイ画像を生成する(S209)。その後、画像出力部25Dは、生成されたオーバーレイ画像を映像システム等の宛先に出力する(S210)。
【0125】
ここで、レースが継続中は(S211:No)、S206以降が繰り返され、レースが終了すると(S211:Yes)、オーバーレイ画像生成の処理が終了される。
【0126】
<効果の一側面>
上述してきたように、本実施例に係る位置測位装置10は、競走馬3に取り付けられた複数のセンサ5の各々における位置情報のGNSS測位状況に応じて、複数のセンサ5から取得された複数の位置情報から競走馬3の位置情報を決定する。このように多重化された複数のセンサ5から位置情報を取得するので、ネットワークNWのデータ伝送の信頼性が高まる。したがって、本実施例に係る位置測位装置10によれば、位置情報の欠落を抑制できる。さらに、本実施例に係る位置測位装置10では、複数のセンサ5から取得された複数の位置情報のうちいずれか1つを選択したり、あるいは複数の位置情報を合成したりすることにより、競走馬3の位置情報を決定する。それ故、本実施例に係る位置測位装置10によれば、位置情報の精度向上も実現できる。
【実施例0127】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0128】
(数値等)
上記実施例で用いた数値例、競走馬数、コースの形状、チェックポイントや基準局2等の設定位置や数等は、あくまで一例であり、任意に変更することができる。また、各フローチャートで説明した処理の流れも矛盾のない範囲内で適宜変更することができる。
【0129】
また、オーバーレイ装置20が生成した各競走馬の位置関係を直線上で表した画像は、オーバーレイ表示以外にも用いることができる。例えば、当該画像は、レースの解析、コースの設計、当該画像のみの表示など、様々な用途に用いることができる。
【0130】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0131】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、位置測位装置10とオーバーレイ装置20とを同一の装置で実現することもできる。
【0132】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0133】
(ハードウェア)
図20は、ハードウェア構成例を説明する図である。図20に示すように、位置測位装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図20に示した各部は、バス等で相互に接続される。なお、これら以外にもディスプレイやタッチパネルなどを有することができる。
【0134】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を行う。HDD10bは、図6に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0135】
プロセッサ10dは、図6に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図6等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、位置測位装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、位置情報取得部15A、位置情報決定部15B、位置情報出力部15C等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、位置情報取得部15A、位置情報決定部15B、位置情報出力部15C等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0136】
このように、位置測位装置10は、プログラムを読み出して実行することでオーバーレイ方法を実行する情報処理装置として動作する。また、位置測位装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、位置測位装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、上記実施例が同様に適用されてもよい。
【0137】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されてもよい。
【0138】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0139】
(付記1)レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、
前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする位置情報決定プログラム。
【0140】
(付記2)前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち測位の精度の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の位置情報決定プログラム。
【0141】
(付記3)前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち測位時における前記測位衛星の補足数の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の位置情報決定プログラム。
【0142】
(付記4)前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち過去の直近における測位の精度の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の位置情報決定プログラム。
【0143】
(付記5)前記決定する処理は、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報の平均値を前記移動体の位置情報として算出する処理を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の位置情報決定プログラム。
【0144】
(付記6)前記複数のセンサおよび前記コンピュータの間を接続するネットワークは、異なる複数の通信キャリアを含んで構築される、
ことを特徴とする付記1に記載の位置情報決定プログラム。
【0145】
(付記7)レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、
前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、
処理を実行する制御部を含む位置情報決定装置。
【0146】
(付記8)前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち測位の精度の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする付記7に記載の位置情報決定装置。
【0147】
(付記9)前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち測位時における前記測位衛星の補足数の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする付記7に記載の位置情報決定装置。
【0148】
(付記10)前記決定する処理は、前記複数のセンサのうち過去の直近における測位の精度の順位が最高となるセンサから取得された位置情報を前記移動体の位置情報として選択する処理を含む、
ことを特徴とする付記7に記載の位置情報決定装置。
【0149】
(付記11)前記決定する処理は、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報の平均値を前記移動体の位置情報として算出する処理を含む、
ことを特徴とする付記7に記載の位置情報決定装置。
【0150】
(付記12)前記複数のセンサおよび前記コンピュータの間を接続するネットワークは、異なる複数の通信キャリアを含んで構築される、
ことを特徴とする付記7に記載の位置情報決定装置。
【0151】
(付記13)レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサと、
前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する位置情報決定装置と、
を有することを特徴とする位置情報決定システム。
【0152】
(付記14)レースが行われるコースを移動する移動体に取り付けられた複数のセンサから、前記複数のセンサの各々が測位衛星から受信する時刻情報に基づいて測位する位置情報を取得し、
前記複数のセンサの各々における位置情報の測位状況に応じて、前記複数のセンサから取得された複数の位置情報から前記移動体の位置情報を決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする位置情報決定方法。
【符号の説明】
【0153】

10 位置測位装置
11 通信部
13 記憶部
13A 対応関係データ
13B センサログDB
13C 位置情報DB
15 制御部
15A 位置情報取得部
15B 位置情報決定部
15C 位置情報出力部
20 オーバーレイ装置
21 通信部
23 記憶部
23A 設定データDB
23B 位置情報DB
23C オーバーレイ画像DB
25 制御部
25A 位置情報取得部
25B 位置算出部
25C 画像生成部
25D 画像出力部
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