(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015549
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240130BHJP
A01K 23/00 20060101ALI20240130BHJP
A01K 1/015 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A01K1/01 801G
A01K23/00 Z
A01K1/015 B
A01K1/015 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117664
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA08
2B101GB01
2B101GB06
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】動物の大きさに応じて仕切部材の高さを変えることができる動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ1は、本体容器10、及び仕切部材20を備えている。本体容器10は、底面部10a及び側面部10bを有している。仕切部材20は、本体容器10の内部空間を上部空間S1と下部空間S2とに区画している。仕切部材20は、尿を通過させる貫通孔22を有している。仕切部材20は、仕切部材20の上面を押す力が加わると下方に変位するように構成されている。仕切部材20の上面を押す力が大きくなるにつれて仕切部材20の下方への変位量が大きくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び側面部を有する本体容器と、
尿を通過させる貫通孔を有し、前記本体容器の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部材と、を備え、
前記仕切部材は、当該仕切部材の上面を押す力が加わると下方に変位するように構成されており、
前記力が大きくなるにつれて前記仕切部材の下方への変位量が大きくなることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の前記変位量の最大値は、5cm以上である動物用トイレ。
【請求項3】
請求項2に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の前記変位量の最大値は、10cm以上である動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材を下から支持する弾性部材を備える動物用トイレ。
【請求項5】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、平面視で、前記仕切部材の前記貫通孔と重ならないように設けられている動物用トイレ。
【請求項6】
請求項5に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、平面視で、当該弾性部材の全体が前記仕切部材の周辺部と重なるように設けられている動物用トイレ。
【請求項7】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材の下端は、前記本体容器の前記底面部から離間している動物用トイレ。
【請求項8】
請求項7に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器は、前記側面部から当該本体容器の内側に突出し、前記弾性部材を下から支持する突出部を有する動物用トイレ。
【請求項9】
請求項8に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器の高さ方向について、前記突出部から前記底面部までの距離は、2cm以上である動物用トイレ。
【請求項10】
請求項8に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材の前記下端が固定され、当該弾性部材と前記突出部との間に介在する第1の介在部材を備える動物用トイレ。
【請求項11】
請求項10に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、前記第1の介在部材を介して前記突出部上に載置されている動物用トイレ。
【請求項12】
請求項10に記載の動物用トイレにおいて、
前記突出部の上面には、前記第1の介在部材と嵌合する第1の凹部が形成されている動物用トイレ。
【請求項13】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、前記本体容器に固定されていない動物用トイレ。
【請求項14】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材の上端が固定され、当該弾性部材と前記仕切部材との間に介在する第2の介在部材を備える動物用トイレ。
【請求項15】
請求項14に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、前記第2の介在部材を介して前記弾性部材上に載置されている動物用トイレ。
【請求項16】
請求項14に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の下面には、前記第2の介在部材と嵌合する第2の凹部が形成されている動物用トイレ。
【請求項17】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、前記仕切部材に固定されていない動物用トイレ。
【請求項18】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記弾性部材は、圧縮コイルばねである動物用トイレ。
【請求項19】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
複数の前記弾性部材を備える動物用トイレ。
【請求項20】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、箱状をしている動物用トイレ。
【請求項21】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記上部空間に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。
【請求項22】
請求項21に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする動物用トイレ。
【請求項23】
請求項22に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物のみからなる動物用トイレ。
【請求項24】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記下部空間に配設され、前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。
【請求項25】
請求項24に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体容器の前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体容器に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、本体容器、及び尿を通過させる貫通孔を有する仕切部材(簀子)を備えている。仕切部材は、本体容器内の所定の位置に配設されており、本体容器の内部を上下に区画している。仕切部材上には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。仕切部材の下方には、吸水性シートが配設されている。本体容器に排泄された尿は、粒状体どうしの隙間、及び仕切部材の貫通孔を通過した後、吸水性シートに吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仕切部材の適度な高さは、当該動物用トイレを使用する動物の体の大きさによって異なる。比較的大きい動物に対しては仕切部材の位置を比較的低くし、比較的小さい動物に対しては仕切部材の位置を比較的高くすることが好ましい。しかしながら、従来の動物用トイレにおいては、仕切部材が本体容器内の所定の位置に据えられているため、動物の大きさに応じて仕切部材の高さを変えることができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動物の大きさに応じて仕切部材の高さを変えることができる動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動物用トイレは、底面部及び側面部を有する本体容器と、尿を通過させる貫通孔を有し、上記本体容器の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部材と、を備え、上記仕切部材は、当該仕切部材の上面を押す力が加わると下方に変位するように構成されており、上記力が大きくなるにつれて上記仕切部材の下方への変位量が大きくなることを特徴とする。
【0007】
この動物用トイレにおいては、仕切部材の上面を押す力が加わると、仕切部材が下方に変位する。そして、当該力が大きくなるにつれて、仕切部材の下方への変位量が大きくなる。この場合、排泄する動物の体重が重いほど、仕切部材が下方に大きく変位することになる。これにより、比較的大きい(体重が重い)動物が排泄するときは仕切部材の位置を比較的低くし、比較的小さい(体重が軽い)動物が排泄するときは仕切部材の位置を比較的高くすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動物の大きさに応じて仕切部材の高さを変えることができる動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。
【
図7】弾性部材30について説明するための模式図である。
【
図9】
図1の動物用トイレの効果を説明するための図である。
【
図10】
図1の動物用トイレの効果を説明するための図である。
【
図11】仕切部材20の変形例を説明するための端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。動物用トイレ1は、本体容器10、仕切部材20、弾性部材30、複数の粒状体40、吸水性シート50、及び引出部60を備えている。動物用トイレ1は、例えば猫用トイレである。本体容器10は、1つの箱状の容器からなり、底面部10a及び側面部10bを有している。本体容器10は、排泄された尿を受ける。本体容器10の外形は、略直方体である。本体容器10の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0012】
図2及び
図3は、それぞれ、本体容器10を示す端面図及び正面図である。本体容器10の側面部10bには、引出部60を抜き挿しするための開口12が形成されている。開口12は、底面部10aの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口12の横方向(
図3の左右方向)の長さは、本体容器10の横幅(内寸)に略等しく、例えば20cm以上40cm以下である。開口12の縦方向(
図3の上下方向)の長さは、例えば2cm以上5cm以下である。
【0013】
図4は、本体容器10を示す平面図である。側面部10bの内周は、平面視で、略矩形状をしている。ここで、略矩形とは、矩形に限らず、角丸四角形のように矩形に近い形状も含む趣旨である。本体容器10は、突出部14を有している。突出部14は、側面部10bから本体容器10の内側に突出している。突出部14の突出長さd1(当該突出部14が接続された側面部10bの内面に垂直な方向の長さ)は、例えば15mm以上30mm以下である。突出部14は、弾性部材30を下から支持する。突出部14は、平面視で、略矩形状をしている。突出部14の上面には、凹部16(第1の凹部)が形成されている。凹部16は、平面視で、略矩形状をしている。凹部16は、後述する介在部材32と嵌合する。
【0014】
突出部14は、本体容器10の底面部10aから離間している。本体容器10の高さ方向について、突出部14から底面部10aまでの距離d2(
図2参照)は、2cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがより好ましい。本実施形態において距離d2は、開口12の縦方向の長さに等しい。本実施形態においては、複数(具体的には8つ)の突出部14が設けられている。これらのうち4つの突出部14は、平面視で、本体容器10の四隅に位置している。残りの4つの突出部14は、平面視で、隣り合う2つの隅の中間に位置している。突出部14は、側面部10bと一体に成形されてもよいし、側面部10bと別々に成形された後に側面部10bに取り付けられてもよい。
【0015】
図5は、仕切部材20を示す平面図である。同図は、仕切部材20の上面を示している。仕切部材20は、本体容器10の内部空間を上部空間S1と下部空間S2とに区画している。上部空間S1は、仕切部材20の上方に存在し、複数の粒状体40が敷設される空間である。下部空間S2は、仕切部材20の下方に存在し、尿が溜まる空間である。仕切部材20は、板状の部材からなる。仕切部材20は、平面視で、略矩形状をしている。仕切部材20は、底面部10aと略平行に配置されている。仕切部材20は、本体容器10に固定されていない。仕切部材20は、本体容器10に対して着脱可能である。
【0016】
仕切部材20は、尿を通過させる貫通孔22を有している。貫通孔22は、尿を通過させる一方で、各粒状体40を通過させない。仕切部材20は、複数の貫通孔22を有している。複数の貫通孔22は、仕切部材20において二次元的に配列されている。各貫通孔22の平面形状は、円形である。各貫通孔22の径は、例えば2mm以上4mm以下である。
【0017】
仕切部材20の上面は、中央部20a及び周辺部20bからなる。中央部20aは、仮想的な矩形R1で囲まれた領域である。矩形R1は、仕切部材20に設けられた全ての貫通孔22を包含し得る矩形のうち、最小の面積を有するものである。周辺部20bは、仕切部材20の上面のうち中央部20a以外の部分(矩形R1の外側の部分)である。
【0018】
図6は、仕切部材20を示す底面図である。同図は、仕切部材20の下面を示している。仕切部材20の下面には、凹部24(第2の凹部)が形成されている。凹部24は、平面視で、略矩形状をしている。凹部24は、後述する介在部材34と嵌合する。凹部24は、平面視で、凹部24の全体が周辺部20bと重なるように設けられている。本実施形態においては、複数(具体的には8つ)の凹部24が形成されている。これらの凹部24は、平面視で、8つの凹部16のそれぞれに重なる位置に設けられている。仕切部材20の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0019】
図1に戻って、弾性部材30は、仕切部材20を下から支持している。本実施形態において弾性部材30は、圧縮コイルばねである。同図においては、弾性部材30を模式的に示している。弾性部材30は、本体容器10の高さ方向(
図1の上下方向)に伸縮するように配置されている。弾性部材30の下端は、介在部材32(第1の介在部材)に固定されている(
図7参照)。介在部材32は、弾性部材30と本体容器10(突出部14)との間に介在する。介在部材32は、平面視で、略矩形状をしている。弾性部材30は、介在部材32を介して突出部14上に載置されている。このとき、介在部材32は、突出部14の凹部16と嵌合した状態にある。弾性部材30の上端は、介在部材34(第2の介在部材)に固定されている(
図7参照)。介在部材34は、弾性部材30と仕切部材20との間に介在する。介在部材34は、平面視で、略矩形状をしている。仕切部材20は、介在部材34を介して弾性部材30上に載置されている。このとき、介在部材34は、仕切部材20の凹部24と嵌合した状態にある。介在部材32,34の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0020】
弾性部材30は、介在部材32及び介在部材34がそれぞれ凹部16及び凹部24に嵌合した状態で、本体容器10内に配置されている。このとき、弾性部材30の下端は、本体容器10の底面部10aから離間している。弾性部材30は、本体容器10及び仕切部材20の何れにも固定されていない。すなわち、介在部材32と凹部16とは、互いに嵌合しているだけであって、互いに固定はされていない。同様に、介在部材34と凹部24とは、互いに嵌合しているだけであって、互いに固定はされていない。弾性部材30は、平面視で、仕切部材20の貫通孔22と重ならないように設けられている。弾性部材30は、平面視で、弾性部材30の全体が仕切部材20の周辺部20bと重なるように設けられている。本実施形態においては、複数(具体的には8つ)の弾性部材30が設けられている。これらの弾性部材30は、8つの突出部14(凹部16)と8つの凹部24との間にそれぞれ配置されている。
【0021】
このようにして、仕切部材20は、仕切部材20の上面を押す力(鉛直下向きの力)が加わると下方に変位するように構成されている。仕切部材20の上面を押す力が大きくなるにつれて、仕切部材20の下方への変位量は大きくなる。仕切部材20は、本体容器10の高さ方向について所定の可動域内で上下動することが可能である。仕切部材20は、上記可動域の最上点に位置するとき(仕切部材20上に何も載置されていないとき)でも、本体容器10(側面部10b)の上端には達しない。また、仕切部材20は、上記可動域の最下点に位置するとき(弾性部材30が限界まで収縮したとき)でも、吸水性シート50には触れない。すなわち、仕切部材20は、本体容器10の上端及び吸水性シート50の双方から離間した状態を常に維持する。
【0022】
仕切部材20の変位量の最大値は、5cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。ここで、仕切部材20の変位量の最大値は、仕切部材20が最上点に位置するときの高さと、仕切部材20が最下点に位置するときの高さとの差として定義される。
【0023】
上部空間S1には、排泄物(主に尿)を処理するための複数の粒状体40が敷設される。複数の粒状体40は、仕切部材20上に直接敷設される。各粒状体40は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体40の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体40の粒径は、当該粒状体40を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ1の使用時、粒状体40は、排泄された尿を直接に受けることになる。
【0024】
粒状体40は、疎水性を有している。すなわち、粒状体40は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。かかる疎水性を有する粒状体40は、吸水性を有する粒状体とは異なり、尿で濡れたときに粒状体どうしが接着して固まりを形成するということはない。
【0025】
粒状体40が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体40(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。このとき、ビーカー内の水量が18ml以上であれば、液通過率が60%以上となるため、粒状体40が疎水性を有するといえる。
【0026】
各粒状体40は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体40の主材料とは、粒状体40を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体40に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。各粒状体40は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0027】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、塩ビ壁紙分級物、印画紙、剥離紙、又はフラッフパルプが挙げられる。塩ビ壁紙分級物は、紙及びポリ塩化ビニルを含有する塩ビ壁紙からポリ塩化ビニルの一部が除去されてなる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣(茶殻、オカラ等)が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、又は紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)が挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ又はパルプスラッジが挙げられる。これらの材料には、疎水処理(撥水処理)が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
【0028】
粒状体40を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体40を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体40は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体40に疎水性を付与しやすくなる。石膏又は重曹の割合は、例えば、粒状体40の全体に対して5重量%以上50重量%未満とされる。
【0029】
粒状体40は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて造粒材料(粒状体40を構成する材料)を造粒することにより、粒状体40となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤(撥水剤)でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体40の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。
【0030】
下部空間S2には、吸水性シート50が配設される。吸水性シート50は、仕切部材20の貫通孔22を通過した尿を吸収する。すなわち、貫通孔22を通過した尿は、吸水性シート50に吸収された状態で下部空間S2に溜まる。
【0031】
図8は、引出部60を示す斜視図である。引出部60は、底板60a、前板60b、先板60c、及び一対の側板60dを有している。底板60aの大きさは、本体容器10の底面部10aの大きさに略等しい。前板60bは、開口12と略同一の形状及び大きさをしている。前板60bには、把手62が取り付けられている。引出部60は、側面部10bに形成された開口12を通じて、本体容器10に対して抜き挿しすることが可能である。引出部60には、吸水性シート50が収容される。すなわち、吸水性シート50は、引出部60に収容された状態で本体容器10内に配設される。引出部60の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0032】
動物用トイレ1の使用時、動物は、粒状体40上に乗った状態で本体容器10に排泄をする。排泄された尿は、粒状体40どうしの隙間を通り抜けた後、仕切部材20の貫通孔22を通じて、上部空間S1から下部空間S2へと移動する。下部空間S2に移動した尿は、吸水性シート50に吸収される。
【0033】
動物用トイレ1の効果を説明する。動物用トイレ1においては、仕切部材20の上面を押す力が加わると、仕切部材20が下方に変位する。そして、当該力が大きくなるにつれて、仕切部材20の下方への変位量が大きくなる。この場合、排泄する動物の体重が重いほど、仕切部材20が下方に大きく変位することになる。これにより、比較的大きい(体重が重い)動物が排泄するときは、
図9に示すように、仕切部材20の位置を比較的低くすることができる。一方、比較的小さい(体重が軽い)動物が排泄するときは、
図10に示すように、仕切部材20の位置を比較的高くすることができる。なお、
図9及び
図10においては、粒状体40上に乗っている動物の図示を省略している。したがって、動物の大きさに応じて仕切部材20の高さを変えることができる動物用トイレ1が実現されている。
【0034】
側面部10bのうち上部空間S1に面する部分は、動物が排泄するときの目隠しとして機能する。仕切部材20の位置が低くなるほど、上部空間S1が深くなり目隠しの高さが増すため、動物は安心して排泄することができる。その反面、上部空間S1が深いと、体の小さい動物が本体容器10に出入りしにくくなってしまう。かかる観点から、上述のように、比較的大きい動物に対しては仕切部材20の位置を比較的低くし、比較的小さい動物に対しては仕切部材20の位置を比較的高くすることが好ましい。この点、動物用トイレ1によれば、動物の大きさ(体重)に応じて仕切部材20の高さを自動的に調整することができる。
【0035】
様々な大きさの動物に対応するには、仕切部材20の変位量の最大値が大きい方が有利である。かかる観点から、仕切部材20の変位量の最大値は、5cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。他方、仕切部材20の変位量の最大値が大きすぎると、仕切部材20の可動域を本体容器10内に確保するのが困難になりかねない。かかる観点から、仕切部材20の変位量の最大値は、20cm以下であることが好ましい。
【0036】
仕切部材20は、弾性部材30によって下から支持されている。弾性部材30は、荷重(圧縮力)が大きくなるにつれて変形量(収縮量)が大きくなる性質を有する。このため、上記構成によれば、仕切部材20の上面を押す力が大きくなるにつれて仕切部材20の下方への変位量が大きくなる構成を容易に実現することができる。
【0037】
弾性部材30は、平面視で、仕切部材20の貫通孔22と重ならないように設けられている。この場合、貫通孔22の真下に弾性部材30が存在しないため、貫通孔22を通過した尿が弾性部材30にかかりにくくなる。
【0038】
弾性部材30は、平面視で、弾性部材30の全体が仕切部材20の周辺部20bと重なるように設けられている。この場合、仕切部材20の中央部20aの真下に弾性部材30が存在しないため、貫通孔22を通過した尿が弾性部材30に一層かかりにくくなる。
【0039】
弾性部材30の下端は、本体容器10の底面部10aから離間している。かかる構成は、弾性部材30が引出部60に干渉するのを防ぐのに適している。
【0040】
本体容器10は、側面部10bから本体容器10の内側に突出し、弾性部材30を下から支持する突出部14を有している。これにより、弾性部材30の下端が本体容器10の底面部10aから離間した構成を容易に実現することができる。
【0041】
引出部60を配置するのに充分なスペースを確保するには、突出部14から底面部10aまでの距離d2が大きい方が有利である。かかる観点から、距離d2は、2cm以上であることが好ましい。他方、距離d2が大きすぎると、仕切部材20の可動域を本体容器10内に充分に確保しにくくなってしまう。かかる観点から、距離d2は、10cm以下であることが好ましい。
【0042】
弾性部材30と突出部14との間には、弾性部材30の下端が固定された介在部材32が設けられている。これにより、弾性部材30が本体容器10に接続された状態を安定的に維持しやすくなる。
【0043】
弾性部材30は、介在部材32を介して突出部14上に載置されている。これにより、弾性部材30を本体容器10に固定することなく、弾性部材30の下端を所定の位置に留めておくことができる。
【0044】
実際、弾性部材30は、本体容器10に固定されていない。この場合、本体容器10に対して弾性部材30を容易に着脱することができる。このことは、本体容器10及び弾性部材30の清掃の便宜に資する。
【0045】
突出部14の上面には、介在部材32と嵌合する凹部16が形成されている。これにより、突出部14に対して弾性部材30の下端の位置がずれにくいようにすることができる。ただし、突出部14の上面に凹部16を設けることは、必須でない。
【0046】
弾性部材30と仕切部材20との間には、弾性部材30の上端が固定された介在部材34が設けられている。これにより、弾性部材30が仕切部材20に接続された状態を安定的に維持しやすくなる。
【0047】
仕切部材20は、介在部材34を介して弾性部材30上に載置されている。これにより、弾性部材30を仕切部材20に固定することなく、仕切部材20が弾性部材30によって下から支持された状態を維持することができる。
【0048】
実際、弾性部材30は、仕切部材20に固定されていない。この場合、仕切部材20に対して弾性部材30を容易に着脱することができる。このことは、仕切部材20及び弾性部材30の清掃の便宜に資する。
【0049】
仕切部材20の下面には、介在部材34と嵌合する凹部24が形成されている。これにより、仕切部材20に対して弾性部材30の上端の位置がずれにくいようにすることができる。ただし、仕切部材20の下面に凹部24を設けることは、必須でない。
【0050】
動物用トイレ1には、複数の弾性部材30が設けられている。このことは、仕切部材20を安定的に支持するのに有利である。
【0051】
各粒状体40は、疎水性を有している。この場合、粒状体40上に排泄された尿の大部分は、粒状体40に吸収されずに、粒状体40どうしの隙間を通り抜けていく。これにより、尿を下部空間S2まで速やかに導くことができる。
【0052】
各粒状体40が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体40を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体40の処分の便宜に資する。特に各粒状体40が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体40を得ることができる。
【0053】
下部空間S2には、吸水性シート50が配設されている。これにより、下部空間S2に溜まった尿を吸水性シート50内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。
【0054】
本体容器10に対して抜き挿しすることが可能な引出部60が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート50を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。
【0055】
猫は、犬等の他の動物と異なり、排泄後に排泄物を粒状体で隠す習性を有する。それゆえ、上部空間S1に複数の粒状体40が敷設される動物用トイレ1は、猫用トイレとして特に好適に用いることができる。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、仕切部材20が板状をしている場合を例示した。しかし、仕切部材20は、例えば
図11に示すように、箱状をしていてもよい。同図において仕切部材20は、底面部及び側面部を有している。貫通孔22は、底面部に形成されている。この場合、底面部の上面が「仕切部材20の上面」に相当する。このように仕切部材20が箱状をしている場合、排泄された尿が仕切部材20と側面部10bとの間に流れ込みにくいようにすることができる。
【0057】
上記実施形態においては、貫通孔22の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、貫通孔22の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。
【0058】
上記実施形態においては、弾性部材30がばね(圧縮コイルばね)である場合を例示した。しかし、弾性部材30としては、ばね以外の弾性体(例えばゴム)を用いてもよい。
【0059】
上記実施形態においては、弾性部材30と突出部14との間に介在部材32が設けられた場合を例示した。しかし、介在部材32を設けることは、必須でない。介在部材32を設けない場合、弾性部材30の下端は、突出部14に直接接続される。
【0060】
上記実施形態においては、弾性部材30と仕切部材20との間に介在部材34が設けられた場合を例示した。しかし、介在部材34を設けることは、必須でない。介在部材34を設けない場合、弾性部材30の上端は、仕切部材20に直接接続される。
【0061】
上記実施形態においては、引出部60が設けられた場合を例示した。しかし、引出部60を設けることは、必須でない。引出部60を設けない場合、吸水性シート50は、底面部10a上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部10bに開口12は設けられない。
【0062】
上記実施形態においては、本体容器10に吸水性シート50が配設される場合を例示した。しかし、本体容器10に吸水性シート50を配設することは、必須でない。吸水性シート50を配設しない場合、引出部60も設けられない。
【0063】
上記実施形態においては、本体容器10に突出部14が設けられた場合を例示した。しかし、本体容器10に突出部14を設けることは、必須でない。突出部14を設けない場合、弾性部材30の下端は、例えば、介在部材32を介して、あるいは直接に、本体容器10の底面部10aに接続される。
【符号の説明】
【0064】
1 動物用トイレ
10 本体容器
10a 底面部
10b 側面部
12 開口
14 突出部
16 凹部(第1の凹部)
20 仕切部材
20a 中央部
20b 周辺部
22 貫通孔
24 凹部(第2の凹部)
30 弾性部材
32 介在部材(第1の介在部材)
34 介在部材(第2の介在部材)
40 粒状体
50 吸水性シート
60 引出部
62 把手
S1 上部空間
S2 下部空間