(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155496
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】排ガス誘導構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/00 20100101AFI20241024BHJP
F01N 13/14 20100101ALI20241024BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F01N13/00 Z
F01N13/14
B60K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070257
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 一久
【テーマコード(参考)】
3D038
3G004
【Fターム(参考)】
3D038BA07
3D038BA11
3D038BB03
3D038BC20
3G004AA01
3G004DA21
3G004EA05
3G004EA06
(57)【要約】
【課題】排ガスによる車両部品への熱害を抑制する排ガス誘導構造を提供する。
【解決手段】車両のエンジンから排出される排ガスを誘導するための排ガス誘導構造は、車両の車長方向に設けられるサイドフレームと、エンジンからの排ガスを排出口から排出する排ガスパイプと、取付部材を介してサイドフレームに支持され、排ガスパイプの排出口近傍に配設される遮熱板と、を備え、排ガスパイプの排出口には、車両の後方、及び下方に向けて傾斜された第1整流部が設けられ、遮熱板は、第1整流部に沿って排出された排ガスに沿って傾斜された第2整流部、第2整流部に沿った排ガスを車両下方へ誘導可能に、第2整流部から車両下方へ延在された第3整流部を有し、第2整流部は、排出口より車両後方且つ下方に位置し、第2整流部及び第3整流部の車幅方向内側端部と、第1整流部の車幅方向内側端部が略同一平面上に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンから排出される排ガスを誘導するための排ガス誘導構造において、
前記車両の車長方向に設けられるサイドフレームと、
前記エンジンからの排ガスを排出口から排出する排ガスパイプと、
取付部材を介して前記サイドフレームに支持され、前記排ガスパイプの排出口近傍に配設される遮熱板と、を備え、
前記排ガスパイプの排出口には、前記車両の後方、及び下方に向けて傾斜された第1整流部が設けられ、
前記遮熱板は、
前記第1整流部に沿って排出された排ガスに沿って傾斜された第2整流部、前記第2整流部に沿った排ガスを車両下方へ誘導可能に、前記第2整流部から車両下方へ延在された第3整流部を有し、
前記第2整流部は、前記排出口より車両後方且つ下方に位置し、
前記第2整流部及び前記第3整流部の車幅方向内側端部と、前記第1整流部の車幅方向内側端部が略同一平面上に配置されている、
ことを特徴とする排ガス誘導構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス誘導構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンを備える車両は、そのエンジンからの排ガスを外部に排出するための排気通路が備えられる。排気通路の端部には、テールパイプと呼ばれる排気パイプが取り付けられている。例えば、特許文献1には、排ガスを浄化するための排ガス後処理装置(ATS:After Treatment System)にテールパイプが取り付けられた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テールパイプから排出される排ガスは、高温であるため、テールパイプの周辺に車両部品を配置する場合、排ガスによる熱害を考慮する必要がある。
【0005】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、排ガスによる車両部品への熱害を抑制する排ガス誘導構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様、又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係る排ガス誘導構造は、車両のエンジンから排出される排ガスを誘導するための排ガス誘導構造において、前記車両の車長方向に設けられるサイドフレームと、前記エンジンからの排ガスを排出口から排出する排ガスパイプと、取付部材を介して前記サイドフレームに支持され、前記排ガスパイプの排出口近傍に配設される遮熱板と、を備え、前記排ガスパイプの排出口には、前記車両の後方、及び下方に向けて傾斜された第1整流部が設けられ、前記遮熱板は、前記第1整流部に沿って排出された排ガスに沿って傾斜された第2整流部、前記第2整流部に沿った排ガスを車両下方へ誘導可能に、前記第2整流部から車両下方へ延在された第3整流部を有し、前記第2整流部は、前記排出口より車両後方且つ下方に位置し、前記第2整流部及び前記第3整流部の車幅方向内側端部と、前記第1整流部の車幅方向内側端部が略同一平面上に配置されている、ことを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、排ガスが排ガスパイプの排出口から排出される際に、まず第1整流部に沿って車両後方、及び下方に誘導され、続いて同様に傾斜した遮熱板の第2整流部に誘導され、第3整流部により車両下方に誘導される。このように排ガスを誘導することで、排ガスパイプの後方に位置する車両部品が排ガスに直接晒されるのを抑制することができる。これにより排ガスによる車両部品への熱害を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の排ガス誘導構造を有する車両の構成を示す概略図である。
【
図3】遮熱板の周辺を車幅方向に沿って車両の内側から見た概略図である。
【
図4】遮熱板の周辺を車両の前方内側から見た斜視図である。
【
図5】遮熱板の周辺を車両の後方外側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.車両の構成
図1は、本実施形態の排ガス誘導構造100を有する車両10の構成を示す概略図である。
図2は、
図1の一部を拡大した概略図である。
図2は、具体的に、後述する遮熱板90の周辺を拡大した概略図である。以下、
図1、及び
図2を参照して車両10の構成について説明する。なお、車両10の各種コンポーネントに関し、任意の方向での内側とは、その方向において車両10の中心に近い側を指し、任意の方向での外側とは、その方向において、車両10の中心から遠い側を指す。
【0011】
車両10は、エンジン式のトラックである。そして、車両10は、フレーム20、キャブ30、荷箱40、及び複数の車輪50等を備える。
【0012】
また、車両10は、駆動系の構成として、駆動源である内燃機関のエンジン60を有し、そのエンジン60の駆動力を車輪50に伝達するトランスミッション62、プロペラシャフト64、及びディファレンシャル66を備える。
【0013】
フレーム20は、左サイドフレーム22、右サイドフレーム24、及び複数のクロスメンバ26を含む。左サイドフレーム22、及び右サイドフレーム24は、車両10の車長方向(X方向)に延在し、互いに車幅方向(Y方向)に対して平行に配置される。
【0014】
複数のクロスメンバ26は、それぞれ車幅方向に延在し、左サイドフレーム22と、右サイドフレーム24とを連結する。これら左サイドフレーム22、右サイドフレーム24、及び複数のクロスメンバ26により、ラダー型のフレーム20を構成する。そして、フレーム20は、キャブ30、荷箱40、及びエンジン60等に加え、車両10に搭載されるその他の重量物を支持する。
【0015】
キャブ30は、運転席を含む構造体(図示は省略)であり、車両10の前方において、フレーム20の上部に設けられている。荷箱40は、荷物等が積載される構造体(図示は省略)であり、車両10の後方において、フレーム20の上部に設けられている。
【0016】
車輪50は、左右一対の前輪が操舵輪、左右一対の後輪が駆動輪である。また、車輪50は、アクスル52(車軸)を介してフレーム20に懸架され、車両10の重量を支持する。
【0017】
エンジン60は、車両10の走行用動力源としてのディーゼルエンジンであり、キャブ30の下部に配置されている。エンジン60で発生した駆動力は、トランスミッション62、プロペラシャフト64、及びディファレンシャル66等を介し、アクスル52の内部に伝えられ、車輪50を駆動させる。エンジン60には、吸気のための吸気通路と、排気のための排気通路が接続されている。
【0018】
本実施形態の車両10は、上記した構成要素に加え、エンジン60から排出される排ガスを浄化する排ガス後処理装置(ATS:After Treatment System)70を備える。ATS70は、本実施形態では右サイドフレーム24の車幅方向外側に設けられる。また、ATS70は、排気通路を構成する排気管72を介して、エンジン60と接続される。そのため、ATS70には、排気管72を介してエンジン60からの排ガスが供給される。
【0019】
ATS70は、図示しないディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)、及びSCR触媒(選択触媒還元:Selective Catalytic Reduction:)を含む。そして、ATS70は、DPFにより排ガス中の炭素等からなるパティキュレートマター(PM)を捕集すると共に、SCR触媒排ガスに含まれるNOxを無害なN2に還元することによって、エンジン60から供給される排ガスを浄化する。
【0020】
また、車両10は、エンジン60からの排ガスを車両10の外へ排出するテールパイプ80(排ガスパイプ)を備える。また、テールパイプ80は、マフラーとしての役割も担う。テールパイプ80の一端は、ATS70の排ガス出口部分と接続される。テールパイプ80の他端は、排ガスを外部に排出する排出口82(
図3~
図4参照)としての役割を担う。つまり、テールパイプ80からは、ATS70により浄化された排ガスが車両10の外へ排出される。
【0021】
さらに、車両10は、遮熱板90を備える。遮熱板90は、取付部材92(
図5参照)を介して右サイドフレーム24に支持され、テールパイプ80の排出口82近傍、具体的には、排出口82から排出される排ガスに晒される位置に設けられる。
図1、及び
図2に示す例では、遮熱板90は、車長方向において、テールパイプ80よりも後方に設けられる。
【0022】
なお、本実施形態では、テールパイプ80、及び遮熱板90は、エンジン60の排ガスを誘導するための排ガス誘導構造100に含まれる。
【0023】
2.排ガス誘導構造について
図3は、遮熱板90周辺を車幅方向に沿って車両10の内側から見た概略図である。
図4は、遮熱板90の周辺を車両10の前方内側から見た斜視図である。
図5は、遮熱板90の周辺を車両10の後方外側から見た斜視図である。なお、
図3、及び
図4において、破線は、排ガスの流れを示す。以下、
図2に加え、
図3~
図5も参照して、排ガス誘導構造100、及びそれに関連する構成、具体的には、ATS70、テールパイプ80、遮熱板90、及び取付部材92について説明する。
【0024】
ATS70は、取付部材(図示は省略)により、右サイドフレーム24の車幅方向での外側に支持される。また、テールパイプ80は、ATS70の側面、具体的には、車幅方向内側面、つまり右サイドフレーム24と対向する側面(左側面)から、車幅方向での内側へ延びつつ、途中で湾曲して車長方向に沿って車両10の後方へ延びる。つまり、テールパイプ80は、車高方向(Z方向)から見た場合に略L字状であり、ATS70と、右サイドフレーム24との間に位置する。
【0025】
さらに、テールパイプ80の排出口82には、第1整流部84が設けられる。第1整流部84は、第1整流部84自体の傾きに応じて、排ガスの排出方向を設定する。
【0026】
排ガスは、高温であるため、空気中において上昇する傾向にある。本実施形態では、排ガスが排出口82から排出された直後に、空気中で上昇するのを防止するよう、第1整流部84は、排出口82の上部から車両10の後方、及び下方に向けて傾斜している。これらのことから、排出口82から排出される排ガスは、第1整流部84に沿って車両10の後方、及び下方へ流れる。
【0027】
遮熱板90は、取付部材92により、右サイドフレーム24の車幅方向の外側に支持される。また、取付部材92は、右サイドフレーム24において、ATS70よりも車両後方側の側面に締結部材90a(例えばボルト及びナット)により固定される。取付部材92は、下方に延び、下部が車幅方向外側に屈曲している。そのため、取付部材92は、車長方向に沿って見た場合、略L字である。
【0028】
遮熱板90は、取付部材92の下部の前面にて、締結部材90b(例えばボルト及びナット)を介して固定されている。このように遮熱板90は、取付部材92により、テールパイプ80の排出口82の近傍に設けられる。そのため、上述したように、遮熱板90は、排出口82から排出される排ガスに晒されるよう、車長方向において、排出口82よりも後方、かつ下方に位置される。
【0029】
また、遮熱板90の車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一のXZ平面(車長方向の鉛直面)上に配置される。言い換えると、車幅方向に沿って見た場合、遮熱板90の車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一平面上に配置される。なお、遮熱板90と取付部材92は、一体的に形成されてもよい。
【0030】
遮熱板90は、少なくとも第2整流部94a、及び第3整流部94bを含む。本実施形態の遮熱板90は、第2整流部94a、及び第3整流部94bに加えて、第4整流部94c、及び第5整流部94dを含む。
【0031】
第2整流部94aは、板状部材である。第2整流部94aは、取付部材92の前面から前方に延びつつ、車両10の上方に向かって延びる。第2整流部94aは、ZY平面(車幅方向の鉛直面)に沿って延びる板状部材の上方端部が下方端部よりも前方に位置するように傾いたものである。
【0032】
また、第2整流部94aは、テールパイプ80の排出口82よりも後方、かつ、下方に位置する。なお、第2整流部94aについては、テールパイプ80の排出口82に対して、所定の間隔を有して後方に位置する。さらに、第2整流部94aに関し、車幅方向から見た場合に、テールパイプ80の第1整流部84の延長方向と、第2整流部94aの延長方向とが、略同一直線上にある。つまり、車幅方向から見た場合、第1整流部84の延長方向と、第2整流部94aの延長方向とが重なる。
【0033】
さらに、第2整流部94aに関し、その第2整流部94aの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一のXZ平面(車長方向の鉛直面)上に配置される。本実施形態においては
図1、2に示すように車高方向に沿って見た場合、第2整流部94aの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一平面上に配置される。また、第2整流部94aの車幅方向外側端部は、テールパイプ80よりも車両10の車幅方向外側に位置する。
【0034】
第3整流部94bは、第2整流部94aと同様に板状部材であって、ZY平面(車幅方向の鉛直面)に沿って延びる。また、第3整流部94bの上方端部は、第2整流部94aの下方端部と接続されている。つまり、第3整流部94bについては、第2整流部94aの下方端部から屈曲して車両10の下方へと延在していると言える。なお、第3整流部94bは、テールパイプ80の排出口82よりも後方、かつ、下方に位置する。また、車幅方向から見た場合、第2整流部94aと、第3整流部94bとが成す角は、鈍角である。
【0035】
さらに、第3整流部94bに関しても、その第3整流部94bの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一のXZ平面(車長方向の鉛直面)上に配置される。つまり、第2整流部94aと同様に、本実施形態においては、
図1、2に示すように車高方向に沿って見た場合、第3整流部94bの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一平面上に配置される。また、第3整流部94bの車幅方向外側端部は、テールパイプ80よりも車両10の車幅方向外側に位置する。
【0036】
遮熱板90は、傾いている第2整流部94aにより、第1整流部84に沿って流れる排ガスを受け、その排ガスを第3整流部94bへと誘導することができる。また、第2整流部94aによる誘導により排ガスが、車両10の上方に流れるのを抑制することができる。さらに、第3整流部94bによれば、第2整流部94aにより誘導された排ガスを車両10の下方へ誘導することができる。
【0037】
第4整流部94cは、板状部材であって、XZ平面(車長方向の鉛直面)に延びる。第4整流部94cの後方端部は、第2整流部94a、及び第3整流部94bの車幅方向での内側端部と接続される。第4整流部94cによれば、車幅方向において、排ガスが車両10の車幅方向内側に流れるのを抑制することができる。また、第4整流部94cは、第2整流部94aから第3整流部94bのそれぞれの車幅方向内側端部にかけて接続されていることで遮熱板90の強度を向上させることができる。
【0038】
さらに、第4整流部94cに関しても、その第4整流部94cの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一のXZ平面(車長方向の鉛直面)上に配置される。つまり、第2整流部94aと同様に、本実施形態においては、
図1、2に示すように車高方向に沿って見た場合、第4整流部94cの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一平面上に配置される。
【0039】
第5整流部94dは、板状部材であって、XY平面(水平面)に沿って延びる。第5整流部94dの後方端部は、第3整流部94bの下方端部と接続される。また、第5整流部94dに関し、その第5整流部94dの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一のXZ平面(車長方向の鉛直面)上に配置される。つまり、
図1、2に示すように車高方向に沿って見た場合、第5整流部94dの車幅方向内側端部と、テールパイプ80の第1整流部84の車幅方向内側端部とは、略同一平面上に配置される。
【0040】
また、車高方向から見て、第5整流部94dの第3整流部94bに対する車両10の前方への突出量は、第2整流部94aよりも少ない。第5整流部94dによれば、排ガスが車両10の下方に過度に流れるのを抑制することができる。
【0041】
第2整流部94a、第3整流部94b、第4整流部94c、及び第5整流部94dによれば、
図2~
図4に示すように、排ガスを車両10下方に誘導しつつ、車両10の外側に誘導することができる。
【0042】
このような、排ガス誘導構造100によれば、遮熱板90により排ガスを誘導することでテールパイプ80の排出口82よりも後方にある車両部品、例えば、車輪50(右後輪)が排ガスに直接晒されるのを抑制することができる。すなわち、排ガス誘導構造100によれば、排ガスによる車両部品への熱害を抑制することができる。
【0043】
また、遮熱板90が、第2整流部94a、第3整流部94bに加えて、第4整流部94c、及び第5整流部94dを含む場合、遮熱板90が、第2整流部94a、第3整流部94bだけを含む場合と比べて、排ガスをより拡散させることができる。つまり、特定の車両部品に排ガスが集中して当たることをより回避することができ、これにより車両部品の熱害をより抑制することができる。例えば、
図2~
図4に示すように、排ガスを車両10下方に誘導した後、車両10の内側に誘導するのであれば、車輪50への熱害をより抑制することができる。なお、
図2~
図4に示すように、排ガスを車両10の外側に誘導する場合、第2整流部94a、及び第3整流部94bの車幅方向外側端部は、車幅方向において、車両10の備える他の部品よりもその車両10の外側に位置するのが好ましい。
【0044】
また、遮熱板90の第2整流部94aについては、テールパイプ80に対して所定の間隔を設けて後方に位置している。そのため、例えば、排ガスの一部がその隙間から上方に流れたとしても、ATS70が、その排ガスに晒されるため、排ガスの有する熱をATS70に対して利用することができる。具体的には、排ガスの有する熱をATS70における触媒活性に利用することができる。
【0045】
なお、本実施形態で示した具体的な構成は、一例であり、本発明の態様は、本実施形態に示した構成に限定されるものではない。例えば、排出口82と、第2整流部94aとの間に設けられる隙間を省略し、第1整流部84と第2整流部94aとをより近づけてもよい。
【0046】
また、第4整流部94cについては、後方端部が、第2整流部94a、及び第3整流部94bの車幅方向での外側端部と接続されてもよい。この場合、排ガスは、車両10の下方へ誘導された後に、車両10の内側に向かって誘導される。
【0047】
さらに、遮熱板90については、第2整流部94a、及び第3整流部94bに加え、第4整流部94c、及び第5整流部94dの一方を含むような構成であってもよい。
【0048】
また、第2整流部94a、第3整流部94b、第4整流部94c、及び第5整流部94dの各々の接続箇所については、流線形とすることで、これらの境目を無くしもよい。このことによれば、排ガスの対流が防止され、効率的に排ガスを誘導することができる。
【0049】
なお、テールパイプ80のような構成を備えるような従来の車両に対して、別途、遮熱板90を設けるだけでも、排ガスによる車両部品への熱害が生じるのを防ぐことができる。遮熱板90については、例えば、金属製の板状部材み合わせることで作成することができるため、安価に部品への熱害対策を講じることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 車両
60 エンジン
80 テールパイプ(排ガスパイプ)
82 排出口
84 第1整流部
90 遮熱板
92 取付部材
94a 第2整流部
94b 第3整流部
94c 第4整流部
94d 第5整流部
100 排ガス誘導構造