(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155499
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ポリマー処理装置、プログラム及びポリマー処理方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/08 20060101AFI20241024BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20241024BHJP
B29K 27/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
B29B17/02
B29K27:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070260
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】広崎 真司
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA13
4F401CA25
4F401CA56
4F401CB26
4F401DB01
4F401EA56
4F401EA62
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリマーリサイクル処理及び溶媒リサイクル処理を効率化する。
【解決手段】混合器104と、混合器に接続された濾過器108と、濾過器に接続された溶媒分離器112と、を備えるポリマー処理装置1であって、混合器はポリ塩化ビニリデン及び不純物を含む第1組成物とポリ塩化ビニリデンを溶解し、かつ不純物を溶解しない溶媒とを混合することにより第2組成物を生成し、濾過器は第2組成物を濾過することにより不純物を除去した第3組成物を通過させ、溶媒分離器は第1排出口及び第2排出口を備えるシリンダーとシリンダーの内部に第3組成物を取り込む取込口とシリンダーの内部を加熱する加熱器とシリンダーの内部で第3組成物を攪拌しながら第1排出口に向かって押し出すスクリューとを備え、第2排出口は加熱器により蒸発させた溶媒を排出し、第1排出口は第3組成物から溶媒を分離したリサイクルポリマーを排出する、ポリマー処理装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合器と、前記混合器に接続された濾過器と、前記濾過器に接続された溶媒分離器と、を備えるポリマー処理装置であって、
前記混合器は、ポリ塩化ビニリデン及び不純物を含む第1組成物と、前記ポリ塩化ビニリデンを溶解し、かつ、前記不純物を溶解しない溶媒と、を混合することにより第2組成物を生成し、
前記濾過器は、前記第2組成物を濾過することにより、前記不純物を除去した第3組成物を通過させ、
前記溶媒分離器は、
第1排出口及び第2排出口を備えるシリンダーと、
前記シリンダーの内部に前記第3組成物を取り込む取込口と、
前記シリンダーの内部を加熱する加熱器と、
前記シリンダーの内部で前記第3組成物を攪拌しながら前記第1排出口に向かって押し出すスクリューと、
を備え、
前記第2排出口は、前記加熱器により蒸発させた前記溶媒を排出し、
前記第1排出口は、前記第3組成物から前記溶媒を分離したリサイクルポリマーを排出する、
ポリマー処理装置。
【請求項2】
前記混合器が混合する前記溶媒は、前記第2排出口から排出された前記溶媒を含む、請求項1に記載のポリマー処理装置。
【請求項3】
コンピュータをさらに備え、当該コンピュータは、
前記リサイクルポリマーに関する第1リサイクル情報を取得する第1取得手段と、
前記第1リサイクル情報が前記ポリ塩化ビニリデンのリサイクルの目標に関する第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記第1リサイクル情報が前記第1条件を満たすように、前記溶媒の量又は組成を制御する第1制御手段と、
として機能する、請求項1に記載のポリマー処理装置。
【請求項4】
前記第1リサイクル情報は、前記第1組成物の量と、前記リサイクルポリマーの量と、の差に関する情報を含む、請求項3に記載のポリマー処理装置。
【請求項5】
前記第1リサイクル情報は、前記第1組成物に関する情報と、前記リサイクルポリマーに関する情報と、の少なくとも一方を含み、
前記第1判定手段は、前記第1組成物に関する情報にはよらず、前記リサイクルポリマーに関する情報に基づいて、前記第1リサイクル情報が前記第1条件を満たすか否かを判定する、請求項3に記載のポリマー処理装置。
【請求項6】
前記溶媒は、それぞれが当該溶媒の原料である複数の原料溶媒を所定の割合で混合する溶媒生成器から得られ、
前記第1制御手段は、前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記所定の割合を変更する、請求項3に記載のポリマー処理装置。
【請求項7】
コンピュータをさらに備え、当該コンピュータは、
前記第2排出口から排出された前記溶媒に関する第2リサイクル情報を取得する第2取得手段と、
前記第2リサイクル情報が前記溶媒のリサイクルの目標に関する第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記第2リサイクル情報が前記第2条件を満たすように、前記加熱器による加熱を制御する第2制御手段と、
として機能する、請求項1に記載のポリマー処理装置。
【請求項8】
前記溶媒は、テトラヒドロフランを含む、請求項1に記載のポリマー処理装置。
【請求項9】
前記溶媒分離器は、前記シリンダーの内部に複数のスクリューを備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のポリマー処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載のポリマー処理装置が備えるコンピュータを、
前記リサイクルポリマーに関する第1リサイクル情報を取得する第1取得手段と、
前記第1リサイクル情報が前記ポリ塩化ビニリデンのリサイクルの目標に関する第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記第1リサイクル情報が前記第1条件を満たすように、前記溶媒の量又は組成を制御する第1制御手段と、
として機能させる、プログラム。
【請求項11】
請求項1に記載のポリマー処理装置が備えるコンピュータを、
前記第2排出口から排出された前記溶媒に関する第2リサイクル情報を取得する第2取得手段と、
前記第2リサイクル情報が前記溶媒のリサイクルの目標に関する第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記第2リサイクル情報が前記第2条件を満たすように、前記加熱器による加熱を制御する第2制御手段と、
として機能させる、プログラム。
【請求項12】
混合器と、前記混合器に接続された濾過器と、前記濾過器に接続された溶媒分離器と、を備える装置によるポリマー処理方法であって、
前記混合器により、ポリ塩化ビニリデン及び不純物を含む第1組成物と、前記ポリ塩化ビニリデンを溶解し、かつ、前記不純物を溶解しない溶媒と、を混合することにより第2組成物を生成するステップと、
前記第2組成物を前記濾過器で濾過することにより前記不純物を除去した第3組成物を得るステップと、
前記溶媒分離器が備えるシリンダーの内部に、前記第3組成物を取り込むステップであって、前記シリンダーは、第1排出口及び第2排出口を備える、ステップと、
前記溶媒分離器が備える加熱器により、前記シリンダーの内部を加熱するステップと、
前記溶媒分離器が備えるスクリューにより、前記シリンダーの内部で前記第3組成物を攪拌しながら前記第1排出口に向かって押し出すステップと、
前記加熱器により蒸発させた前記溶媒を前記第2排出口から排出するステップと、
前記第3組成物から前記溶媒を分離したリサイクルポリマーを前記第1排出口から排出するステップと、
を含む、ポリマー処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー処理装置、プログラム及びポリマー処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラスチックのリサイクルに関する技術であって、該プラスチックと該プラスチックを溶解することができる溶媒とを接触させる工程、及び該溶媒に溶解した該プラスチックを相分離剤の存在下に非溶剤を用いて沈殿させる工程を含み、該相分離剤が、該溶媒と相溶性があり、該非溶剤と相溶性がなく、該プラスチックと該溶媒とを接触させるときにも存在し、該プラスチックの該溶媒による溶解を改善させる技術が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、ポリ塩化ビニリデンフィルム材を処理再生するにおいてN-メチル-2-ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンから選ばれる芳香族水溶性溶剤を40~90重量%、テルペン系炭化水素((C5H8)n n=1以上の正の整数)10~60重量%から基本的になる混合溶剤にて浸漬処理して上記フィルム基材を溶解した後、水又は水を少なくとも50%含む(C1~C4)低級一価アルコールを元の混合溶剤の5~20%添加して溶解した塩化ビニリデンフィルム素材を固形分として再生することを特徴とする塩化ビニリデンフィルム素材の再生法に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003―528191号公報
【特許文献2】特開2008―056882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術では、ポリマーのリサイクル処理を十分に効率化することができない。
【0006】
特に、特許文献1及び2に記載された技術によっては、塩素系樹脂及び不純物を含む組成物から、当該塩素系樹脂を回収する処理(以下では、「ポリマーリサイクル処理」と称する)を十分に効率化することができない。また、当該処理において使用する溶媒を回収する処理(以下では、「溶媒リサイクル処理」と称する)を十分に効率化することもできない。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、ポリマーリサイクル処理及び溶媒リサイクル処理を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るポリマー処理装置は、混合器と、混合器に接続された濾過器と、濾過器に接続された溶媒分離器と、を備えるポリマー処理装置であって、混合器は、ポリ塩化ビニリデン及び不純物を含む第1組成物と、ポリ塩化ビニリデンを溶解し、かつ、不純物を溶解しない溶媒と、を混合することにより第2組成物を生成し、濾過器は、第2組成物を濾過することにより、不純物を除去した第3組成物を通過させ、溶媒分離器は、第1排出口及び第2排出口を備えるシリンダーと、シリンダーの内部に第3組成物を取り込む取込口と、シリンダーの内部を加熱する加熱器と、シリンダーの内部で第3組成物を攪拌しながら第1排出口に向かって押し出すスクリューと、を備え、第2排出口は、加熱器により蒸発させた溶媒を排出し、第1排出口は、第3組成物から溶媒を分離したリサイクルポリマーを排出する。
【0009】
本発明の他の一態様に係るプログラムは、上記のポリマー処理装置が備えるコンピュータを、リサイクルポリマーに関する第1リサイクル情報を取得する第1取得手段と、第1リサイクル情報がポリ塩化ビニリデンのリサイクルの目標に関する第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、第1判定手段の判定結果に基づいて、第1リサイクル情報が第1条件を満たすように、溶媒の量又は組成を制御する第1制御手段と、として機能させる。
【0010】
本発明の他の一態様に係るプログラムは、上記のポリマー処理装置が備えるコンピュータを、第2排出口から排出された溶媒に関する第2リサイクル情報を取得する第2取得手段と、第2リサイクル情報が溶媒のリサイクルの目標に関する第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段の判定結果に基づいて、第2リサイクル情報が第2条件を満たすように、加熱器による加熱を制御する第2制御手段と、として機能させる。
【0011】
本発明の他の一態様に係るポリマー処理装置は、混合器と、混合器に接続された濾過器と、濾過器に接続された溶媒分離器と、を備える装置によるポリマー処理方法であって、混合器により、ポリ塩化ビニリデン及び不純物を含む第1組成物と、ポリ塩化ビニリデンを溶解し、かつ、不純物を溶解しない溶媒と、を混合することにより第2組成物を生成するステップと、第2組成物を濾過器で濾過することにより不純物を除去した第3組成物を得るステップと、溶媒分離器が備えるシリンダーの内部に、第3組成物を取り込むステップであって、シリンダーは、第1排出口及び第2排出口を備える、ステップと、溶媒分離器が備える加熱器により、シリンダーの内部を加熱するステップと、溶媒分離器が備えるスクリューにより、シリンダーの内部で第3組成物を攪拌しながら第1排出口に向かって押し出すステップと、加熱器により蒸発させた溶媒を第2排出口から排出するステップと、第3組成物から溶媒を分離したリサイクルポリマーを第1排出口から排出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ポリマーリサイクル処理及び溶媒リサイクル処理を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るポリマー処理装置の構成及び動作を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るポリマー処理装置の構成及び動作を示す図である。
【
図3】第2実施形態に係るポリマー処理装置の構成及び動作を示す図である。
【
図4】第2実施形態に係るポリマー処理装置が備えるコンピュータの動作を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係るポリマー処理装置が備えるコンピュータの動作を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るポリマー処理装置が備えるコンピュータの動作を示す図である。
【
図7】ポリマー処理装置が備えるコンピュータのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態として、第1実施形態及び第2実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0015】
第1実施形態に係るポリマー処理装置1は、本発明の基礎的な構成に係るものであり、ポリ塩化ビニリデン50及び不純物52を含む第1組成物からポリ塩化ビニリデン50を回収するポリマーリサイクル処理を行う装置である。第1実施形態に係るポリマー処理装置1は、さらに、ポリマーリサイクル処理のために使用する溶媒54を回収及び再利用する溶媒リサイクル処理を行う。以下では、ポリマー処理装置1により回収するポリ塩化ビニリデン50を「リサイクルポリマー」と称し、ポリマーリサイクル処理の過程で回収する溶媒54を「リサイクル溶媒」と称する。
【0016】
第2実施形態に係るポリマー処理装置1は、第1実施形態に係るポリマー処理装置1の構成に加えて、フィードバック制御を行うコンピュータ30を備える。コンピュータ30は、ポリマーリサイクル処理の効率に関する情報に基づいて、使用する溶媒54の量又は組成をフィードバック制御により変更する。コンピュータ30は、さらに、溶媒リサイクル処理の効率に関する情報に基づいて、溶媒分離器112の動作をフィードバック制御により変更する。
【0017】
本発明において、「器」、「部」、「手段」、「装置」及び「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「器」、「部」、「手段」、「装置」及び「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「器」、「部」、「手段」、「装置」及び「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段及び装置、ソフトウェアにより実現されても、2つ以上の「器」、「部」、「手段」、「装置」及び「システム」の機能が1つの物理的手段、装置、ソフトウェアにより実現されてもよい。
【0018】
以下で説明する実施形態において、ポリマーリサイクル処理を効率化することは、リサイクルポリマーの収量、ポリマーリサイクル処理に使用する原料の消費量及び単位時間あたりの第1組成物の処理量等の少なくとも一部を改善することをいう。また、溶媒リサイクル処理を効率化することは、ポリマー処理装置1に供給する溶媒54の量及びリサイクル溶媒の回収量等の少なくとも一部を改善することをいう。
【0019】
<1.第1実施形態>
図1を参照して、第1実施形態に係るポリマー処理装置1の構成の一例について説明する。第1実施形態に係るポリマー処理装置1は、第1組成物容器100、溶媒容器102、混合器104、第2組成物容器106、濾過器108、第3組成物容器110、溶媒分離器112及びリサイクルポリマー容器114を含む。
【0020】
―第1組成物容器100―
第1組成物容器100は、第1組成物を貯蔵し、混合器104に対して供給する容器である。第1組成物は、ポリ塩化ビニリデン50及び不純物52を含む。第1組成物に含まれるポリ塩化ビニリデン50は、純粋なポリ塩化ビニリデン50であってもよく、分子鎖の少なくとも一部が化学的に変質したポリ塩化ビニリデン50であってもよい。不純物52は、第1組成物のうち、ポリ塩化ビニリデン50以外の物質である。不純物52は、例えば、廃棄されたポリ塩化ビニリデン50に付着していた食品の破片等である。ポリマー処理装置1は、第1組成物から不純物52を取り除き、ポリ塩化ビニリデン50を回収することを目的とする装置である。
【0021】
―溶媒容器102―
溶媒容器102は、溶媒54を貯蔵し、混合器104に対して供給する容器である。溶媒54は、ポリ塩化ビニリデン50を溶解し、かつ、不純物52を溶解しない液体である。溶媒54の一例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルイミダゾリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、ブタノン、1,4-ジオキサン、イソヘキサン、芳香族溶剤(クロルベンゼン、トルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(トリクレン、パークレン、メチレンクロライド)、テルペン系炭化水素等が挙げられる。溶媒54は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0022】
なお、ここで、テルペン系炭化水素は、臭気抑制の観点から加えられる溶剤であってもよい。テルペン系炭化水素は、例えば、D-リモネン、P-ミルセン、α-ピネン等の柑橘系オイル成分が挙げられる。
【0023】
上記のなかでも、テトラヒドロフランはポリ塩化ビニリデン50を溶解しやすく、60℃程度の低い沸点を有するため、ポリマーリサイクル処理及び溶媒リサイクル処理のためには特に好適である。
【0024】
さらに、溶媒54を複数用いる場合の比率は特に制限されず、具体的には、溶媒54の極性と第1組成物の極性が似通う場合に第1組成物は効率よく溶媒54に対して溶解するため、第1組成物の極性に応じて上記比率を変更してもよい。上記比率の変更は、例えば、後述するコンピュータ30のフィードバック制御により行われる。
【0025】
―混合器104―
混合器104は、第1組成物容器100から供給された第1組成物と、溶媒容器102から供給された溶媒54とを混合することにより第2組成物を生成する部分である。混合器104は、溶媒54に対して第1組成物を単に浸漬するものであってもよく、撹拌器等により溶媒54及び第1組成物を混合するものであってもよい。混合器104は、第2組成物を第2組成物容器106に供給する。
【0026】
―第2組成物容器106―
第2組成物容器106は、混合器104から供給された第2組成物を貯蔵し、濾過器108に供給する部分である。第2組成物は、溶媒54に対して溶解したポリ塩化ビニリデン50である溶解済ポリ塩化ビニリデン50a、不純物52及び溶媒54を含む。また、第2組成物は、溶媒54内で溶け残っているポリ塩化ビニリデン50である未溶解ポリ塩化ビニリデン50bを含んでもよい。未溶解ポリ塩化ビニリデン50bは、例えば、溶媒54の量が少なく溶け切らなかったポリ塩化ビニリデン50であってもよいし、リサイクル等に供される過程で変性したことにより溶媒54に溶解しなくなったポリ塩化ビニリデン50であってもよい。
【0027】
―濾過器108―
濾過器108は、第2組成物容器106から供給された第2組成物を濾過することにより、不純物52を除去し、第3組成物を通過させる部分である。濾過器108は、第3組成物容器110に対して第3組成物を供給する。また、この際に第2組成物が未溶解ポリ塩化ビニリデン50bを含む場合には、未溶解ポリ塩化ビニリデン50bも分離されてもよい。これにより、変性して未溶解となったポリ塩化ビニリデンも併せて除去することが可能となり、最終的に回収されるポリ塩化ビニリデン50の品質がより向上する傾向にある。
【0028】
―第3組成物容器110―
第3組成物容器110は、濾過器108から供給された第3組成物を貯蔵し、溶媒分離器112に対して供給する部分である。第3組成物は、溶解済ポリ塩化ビニリデン50a及び溶媒54を含む。第3組成物容器110には、溶解済ポリ塩化ビニリデン50aをポリ塩化ビニリデン50として析出させるための貧溶媒が添加されてもよい。
【0029】
貧溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2,2-ジメチルエタノールなどのアルコール類が挙げられる。
【0030】
―溶媒分離器112―
溶媒分離器112は、第3組成物から溶媒54を分離する部分である。
図2を参照して、溶媒分離器112の構成の一例について説明する。
図2は、溶媒分離器112の概念図である。
【0031】
溶媒分離器112は、シリンダー112c、取込口112d、加熱器112e及びスクリュー112fを備える。
【0032】
溶媒分離器112は、取込口112dからシリンダー112cの内部に第3組成物を取り込み、当該第3組成物をスクリュー112fで攪拌しながらシリンダー112cが備える第1排出口112aに向かって押し出す。加熱器112eは、シリンダー112cの内部を溶媒54が蒸発する温度で加熱する。蒸発した溶媒54は、シリンダー112cが備える第2排出口112bから排出される。一方で、第3組成物から溶媒54を蒸発させることによって得られたリサイクルポリマーは、第1排出口112aから排出される。溶媒分離器112は、スクリュー112f及び加熱器112cによって第3組成物を乾燥させる押出機であるということもできる。
【0033】
第1排出口112aから排出されたリサイクルポリマーは、リサイクルポリマー容器114に収容される。一方で、第2排出口112bから排出された溶媒54は、凝縮させられた後に溶媒容器102に回収される。
【0034】
以上をまとめると、第1実施形態に係るポリマー処理装置1は、混合器104と、混合器104に接続された濾過器108と、濾過器108に接続された溶媒分離器112と、を備えるポリマー処理装置1であって、混合器104は、ポリ塩化ビニリデン50及び不純物52を含む第1組成物と、ポリ塩化ビニリデン50を溶解し、かつ、不純物52を溶解しない溶媒54と、を混合することにより第2組成物を生成し、濾過器108は、第2組成物を濾過することにより、不純物52を除去した第3組成物を通過させ、溶媒分離器112は、第1排出口112a及び第2排出口112bを備えるシリンダー112cと、シリンダー112cの内部に第3組成物を取り込む取込口112dと、シリンダー112cの内部を加熱する加熱器112eと、シリンダー112cの内部で第3組成物を攪拌しながら第1排出口112aに向かって押し出すスクリュー112fと、を備え、第2排出口112bは、加熱器112eにより蒸発させた溶媒54を排出し、第1排出口112aは、第3組成物から溶媒54を分離したリサイクルポリマーを排出する。
【0035】
また、溶媒分離器112の態様は上記に限られず、例えば、前述した様に貧溶媒を添加して、析出したポリ塩化ビニリデン50を分離することで、溶媒を回収してもよい。また、そのようにして回収した溶媒を蒸留することで、より純度の高い溶媒回収を行ってもよい。あるいは、スチームストリッピングのような公知の固液分離手段により、ポリ塩化ビニリデン50と溶剤を分離してもよい。
【0036】
このようにして分離した原料溶媒は、溶媒54として再利用してもよい。さらに、分離した溶媒が複数の溶媒成分を含む場合には、溶媒を蒸留その他公知の手段によって原料溶媒ごとに分離してもよい。
【0037】
ポリマー処理装置1によれば、ポリマーリサイクル処理及び溶媒リサイクル処理を効率化することができる。
【0038】
溶媒54を乾燥させる処理をバッチ的に実行する場合、大型の設備及び長い処理時間を要する。そのため、溶媒54を乾燥させる処理は、従来のポリマーリサイクル処理における処理時間のボトルネックになることがあった。
【0039】
これに対して、ポリマー処理装置1は、スクリュー112f及び加熱器112eを備える溶媒分離器112によりリサイクルポリマーを連続的に排出することができるため、溶媒54を乾燥させ、リサイクルポリマーを得る処理を高速で実行することができる。これにより、ポリマーリサイクル処理のボトルネックを解消することができる。
【0040】
<2.第2実施形態>
図3を参照して、第2実施形態に係るポリマー処理装置1の構成の一例について説明する。第2実施形態に係るポリマー処理装置1は、第1実施形態に係るポリマー処理装置1の構成に加えて、溶媒54を生成する溶媒生成器124及びフィードバック制御を行うコンピュータ30を備える。以下では、溶媒生成器124及びコンピュータ30について説明する。
【0041】
―溶媒生成器124―
溶媒生成器124は、それぞれが溶媒54の原料である複数の原料溶媒を所定の割合で混合することにより生成する部分である。具体的には、溶媒生成器124は、上記した溶媒54を生成するためにそれぞれの溶媒54の原料を混合する。例えば、溶媒生成器124は、メチルエチルケトン、イソヘキサンをそれぞれ所定の割合で混合することにより、上記溶媒54を生成する。
【0042】
―コンピュータ30―
コンピュータ30は、各種プログラムを実行することにより、取得手段140、判定手段142及び制御手段144として機能する。なお、当該各種プログラムは、ポリマー処理装置1が備える記憶部(図示しない)に記憶されたものであってもよく、外部の装置から受信したものであってもよい。また、コンピュータ30は、ポリマー処理装置1に含まれる他の部分や、ポリマー処理装置1とは異なる装置と通信ネットワークを介して各種情報を送受信することができる。以下では、各手段について説明する。
【0043】
[取得手段140]
取得手段140は、リサイクルポリマーに関するポリマーリサイクル情報と、リサイクル溶媒に関する溶媒リサイクル情報とを取得する。取得手段140は、ポリマーリサイクル情報を取得する第1取得手段140aと、溶媒リサイクル情報を取得する第2取得手段140bとを含むということもできる。なお、第2実施形態において、情報を取得することは、当該情報をコンピュータ30上で処理可能な状態にすることをいう。情報を取得することは、例えば、他の装置や部分から当該情報を受信すること及び当該情報を記憶部から読み出すこと等である。ポリマーリサイクル情報及び溶媒リサイクル情報は、それぞれ第1リサイクル情報及び第2リサイクル情報ということもできる。
【0044】
ポリマーリサイクル情報は、ポリマーリサイクル処理の効率を示す情報を含む。具体的には、ポリマーリサイクル情報は、第1組成物に関する情報と、リサイクルポリマーに関する情報との少なくとも一方を含む。ポリマーリサイクル情報は、例えば、第1組成物容器100から混合器104に対して供給された第1組成物の量と、溶媒分離器112の第1排出口112aから排出されたリサイクルポリマーの量と、の差に関する情報である。なお、差は、差分、割合、大小関係及びこれらの組み合わせ等により表現されてもよい。
【0045】
ポリマーリサイクル情報は、第1組成物の量及びリサイクルポリマーの量の少なくとも一方を測定するセンサから取得されてもよい。
【0046】
第1組成物の量を測定するセンサは、例えば、第1組成物容器100に取り付けられ、混合器104に供給した第1組成物の量を測定してもよい。第1組成物の量を測定するセンサは、例えば、混合器104に取り付けられ、第1組成物容器100から供給された第1組成物の量を測定してもよい。
【0047】
リサイクルポリマーの量を測定するセンサは、例えば、溶媒分離器112の第1排出口112aに取り付けられ、単位時間あたりに排出されたリサイクルポリマーの量を測定してもよい。リサイクルポリマーの量を測定するセンサは、他にも、例えば、リサイクルポリマー容器114に取り付けられ、単位時間あたりの内容量の変化に基づいてリサイクルポリマーの量を測定してもよい。なお、「量」は、質量、密度、体積及び物質量等によって表されてもよい。
【0048】
溶媒リサイクル情報は、溶媒リサイクル処理の効率を示す情報を含む。溶媒リサイクル情報は、例えば、溶媒容器102から混合器104に対して供給された溶媒54の量と、溶媒分離器112の第2排出口112bから排出された溶媒54の量と、の差に関する情報である。
【0049】
溶媒リサイクル情報は、リサイクル溶媒の量を測定するセンサから取得されてもよい。センサは、例えば、溶媒分離器112の第2排出口112bに取り付けられ、単位時間あたりに排出されたリサイクル溶媒の量を測定してもよい。センサは、他にも、例えば、溶媒容器102に取り付けられ、単位時間あたりの溶媒分離器112からの流入量に基づいてリサイクル溶媒の量を測定してもよい。
【0050】
[判定手段142]
判定手段142は、ポリマーリサイクル情報がポリ塩化ビニリデン50のリサイクルの目標に関するポリマーリサイクル処理条件を満たすか否か、及び、溶媒リサイクル情報が溶媒54のリサイクルの目標に関する溶媒リサイクル条件を満たすか否かを判定する。判定手段142は、ポリマーリサイクル条件に関する判定を行う第1判定手段142aと、溶媒リサイクル条件に関する判定を行う第2判定手段142bとを含むということもできる。なお、ポリマーリサイクル条件及び溶媒リサイクル条件は、それぞれ第1条件及び第2条件ということもできる。
【0051】
ポリマーリサイクル条件は、ポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たし、かつ、ポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たさないことであってもよい。ポリマーリサイクル処理に関する最低条件は、リサイクルポリマーを十分に回収できているか否かを判定するための条件である。ポリマーリサイクル処理に関する過剰条件は、リサイクルポリマーを十分以上に回収することができており、コストを削減する余地があるか否かを判定するための条件である。
【0052】
すなわち、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たし、かつ、ポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たさない場合、リサイクルポリマーの収量と、ポリマーリサイクル処理に要するコストとが両立している状態であるといえる。一方で、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たしていない場合、又は、ポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たしている場合には、ポリマー処理装置1の動作を変更する必要がある状態であるといえる。
【0053】
ポリマーリサイクル処理に関する最低条件及び過剰条件に基づくポリマー処理装置1の制御の一例については、後述する。
【0054】
同様に、溶媒リサイクル条件は、溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たし、かつ、溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たさないことであってもよい。溶媒リサイクル処理に関する最低条件は、リサイクル溶媒を十分に回収できているか否かを判定するための条件である。溶媒リサイクル処理に関する過剰条件は、リサイクル溶媒を十分以上に回収することができており、コストを削減する余地があるか否かを判定するための条件である。
【0055】
すなわち、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たし、かつ、溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たさない場合、リサイクル溶媒の収量と、溶媒リサイクル処理に要するコストとが両立している状態であるといえる。一方で、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たしていない場合、又は、溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たしている場合には、ポリマー処理装置1の動作を変更する必要がある状態であるといえる。
【0056】
溶媒リサイクル処理に関する最低条件及び過剰条件に基づくポリマー処理装置1の制御の一例については、後述する。
【0057】
[制御手段144]
制御手段144は、第1判定手段142aの判定結果に基づいて、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル条件を満たすように溶媒54の量又は組成を制御するとともに、第2判定手段142bの判定結果に基づいて、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル条件を満たすように加熱器112eによる加熱を制御する。制御手段144は、溶媒54の量又は組成を制御する第1制御手段144a及び加熱器112eによる加熱を制御する第2制御手段144bを含むということもできる。
【0058】
第1制御手段144aは、溶媒容器102が混合器104に対して供給する溶媒54の量を増加又は減少させる。また、第1制御手段144aは、溶媒生成器124が混合する原料溶媒の割合を変更する。第1制御手段144aによる制御の一例については、後述する。
【0059】
第2制御手段144bは、溶媒分離器112の加熱器112eの温度を上昇又は低下させる。第2制御手段144bによる制御の一例については、後述する。
【0060】
以下では、
図4―
図6を参照して、コンピュータ30の動作の一例について説明する。
【0061】
[第1制御手段144aの動作の一例]
図4は、コンピュータ30がポリマーリサイクル処理の効率に関してポリマー処理装置1を制御する動作の一例を示すフローチャートである。
【0062】
まず、ポリマー処理装置1は、第1取得手段140aにより、ポリマーリサイクル情報を取得する(S100)。この例では、ポリマーリサイクル情報は、第1組成物容器100が混合器104に供給した第1組成物の質量に対する、第1排出口112aから排出されたリサイクルポリマーの質量の比率(以下では、「ポリマーリサイクル比率」と称する)に関する情報を含むものとする。
【0063】
次に、ポリマー処理装置1は、第1判定手段142aにより、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たすか否かを判定する(S102)。この例では、第1判定手段142aは、ポリマーリサイクル比率が第1閾値以下である場合に、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たしていないと判定するものとする。
【0064】
ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たしていないと判定された場合(S102 NO)、ポリマー処理装置1は、第1制御手段144aにより、使用する溶媒54の量を増加させるか、溶媒54の組成を変更する(S104)。
【0065】
ポリマーリサイクル比率は、第1組成物の量に対して十分な量の溶媒54を使用しなかった場合に低下する。具体的には、第1組成物の量に対して十分な量の溶媒54を使用しなかった場合、混合器104内でポリ塩化ビニリデン50が溶け残り、第2組成物内に多くの未溶解ポリ塩化ビニリデン50bが含まれることになる。未溶解ポリ塩化ビニリデン50bは濾過器108で除去されるため、最終的に得られるリサイクルポリマーの量が減少する。すなわち、第1制御手段144aが使用する溶媒54の量を増加させることにより、第2組成物に含まれることになる未溶解ポリ塩化ビニリデン50bの量を減少させ、ポリマーリサイクル比率を上昇させることができる。
【0066】
ポリマーリサイクル比率は、他にも、良溶媒の比率が低い溶媒54を使用した場合に低下する。良溶媒の比率が低い溶媒54を使用した場合にも、上記と同様に混合器104内でポリ塩化ビニリデン50が溶け残り、第2組成物内に多くの未溶解ポリ塩化ビニリデン50bが含まれることになるからである。すなわち、第1制御手段144aが溶媒54を生成するための原料溶媒の割合を変更し、溶媒54のポリ塩化ビニリデン50の溶解性を変化させることにより、第2組成物に含まれることになる未溶解ポリ塩化ビニリデン50bの量を減少させ、ポリマーリサイクル比率を上昇させることができる。
【0067】
ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たしていると判定された場合(S102 YES)、ポリマー処理装置1は、第1判定手段142aにより、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たすか否かを判定する(S106)。この例では、第1判定手段142aは、ポリマーリサイクル比率が第2閾値以上である場合に、ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たしていると判定するものとする。
【0068】
ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たしていないと判定された場合(S106 NO)、コンピュータ30は動作を終了する。
【0069】
ポリマーリサイクル情報がポリマーリサイクル処理に関する過剰条件を満たしていると判定された場合(S106 YES)、ポリマー処理装置1は、第1制御手段144aにより、使用する溶媒54の量を減少させる(S108)。
【0070】
第1制御手段144aが使用する溶媒54の量を減少させることにより、ポリマーリサイクル処理に要するコストを削減できる場合がある。溶媒分離器112において必要となる熱エネルギーは溶媒54の量に比例するため、例えば、ポリマーリサイクル比率が90%の状態において、使用する溶媒54の量を半分にしたとしてもポリマーリサイクル比率を90%近い状態に維持できるのであれば、ポリマーリサイクル比率を低下させてでも使用する溶媒54の量を減らしたほうがコスト削減によるメリットが大きいと考えられる。
【0071】
図5を参照して、
図4に示したコンピュータ30の動作を別の観点から説明する。
図5は、各時刻におけるポリマーリサイクル比率の推移の一例を示したグラフである。コンピュータ30は、ポリマーリサイクル比率が第1閾値以下かつ第2閾値以上である状態を維持するように、ポリマー処理装置1を制御する。以下では、その制御方法について具体的に説明する。
【0072】
まず、時点T0において、ポリマーリサイクル比率は第1閾値より小さく、ポリマーリサイクル情報はポリマーリサイクル処理に関する最低条件を満たさないとする。
図4を参照すると、このような状況においては第1制御手段144aはステップS102において説明した処理を実行することにより、ポリマーリサイクル比率が上昇するようにポリマー処理装置1を制御する。その結果として、時点T0から時点T1にかけて、ポリマーリサイクル比率は上昇するものとする。
【0073】
次に、時点T1において、ポリマーリサイクル比率は第1閾値より高くなるとする。このような状況において、制御手段144はポリマー処理装置1の動作に変更を加えないが、混合器104に供給される第1組成物の量や組成の推移等により、ポリマーリサイクル比率は変化しうる。
【0074】
この例では、時点T2において、ポリマーリサイクル比率は第2閾値を上回るものとする。このような状況においては、第1制御手段144aは使用する溶媒54の量を減少させる。その結果として、時点T2から時点T3にかけて、ポリマーリサイクル比率は低下するものとする。なお、ポリマーリサイクル比率が第2閾値を上回るのは、典型的には、ポリマーリサイクル処理が十分以上に実行できており、コストを削減する余地がある場合である。したがって、このようにポリマーリサイクル比率が十分以上に高い場合には使用する溶媒54の量を減少させることで、ポリマーリサイクル処理をコストの観点から効率化することができる。
【0075】
時点T4では、時点T1と同様に、第1制御手段144aはポリマーリサイクル比率が上昇するようにポリマー処理装置1を制御する。また、時点T5では、時点T2と同様に、コストを削減するようにポリマー処理装置1を制御する。
【0076】
ポリマーリサイクル処理に要するコストと、ポリマーリサイクル比率とはトレードオフの関係にある。具体的には、使用する溶媒54の量を減少させた場合、溶媒分離器112において必要となる熱エネルギーが減少するためコストを削減することはできるが、未溶解ポリ塩化ビニリデン50bが増加するためポリマーリサイクル比率は低下する。一方で、使用する溶媒54の量を増加させた場合、未溶解ポリ塩化ビニリデン50bが減少するためポリマーリサイクル比率を高めることができるが、溶媒分離器112において必要となる熱エネルギーが増加するためコストは増加する。
図4―
図5を参照して説明したように、第1制御手段144aによれば、ポリマーリサイクル処理に要するコストと、ポリマーリサイクル比率とを両立することができる。
【0077】
[第2制御手段144bの動作の一例]
図6は、コンピュータ30が溶媒リサイクル処理の効率に関してポリマー処理装置1を制御する動作の一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、ポリマー処理装置1は、第2取得手段140bにより、溶媒リサイクル情報を取得する(S200)。この例では、溶媒リサイクル情報は、溶媒容器102が混合器104に供給した溶媒54の質量に対する、第2排出口112bから排出されたリサイクル溶媒の質量の比率(以下では、「溶媒リサイクル比率」と称する)に関する情報を含むものとする。
【0079】
次に、ポリマー処理装置1は、第2判定手段142bにより、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たすか否かを判定する(S202)。この例では、第2判定手段142bは、溶媒リサイクル比率が第3閾値以下である場合に、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たしていないと判定するものとする。
【0080】
溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たしていないと判定された場合(S202 NO)、ポリマー処理装置1は、第2制御手段144bにより、加熱器112eの温度を上昇させる(S204)。
【0081】
溶媒リサイクル比率は、使用する溶媒54の量に対して加熱器112eによる加熱が不足していた場合に低下する。具体的には、使用する溶媒54の量に対して加熱器112eによる加熱が不足していた場合、溶媒分離器112において溶媒54が十分に蒸発せず、回収されないままリサイクルポリマーとともに第1排出口112aから排出される。すなわち、第2制御手段144bが加熱器112eの温度を上昇させることにより、より多くの溶媒54を溶媒分離器112において蒸発させ、溶媒リサイクル比率を上昇させることができる。
【0082】
溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する最低条件を満たしていると判定された場合(S202 YES)、ポリマー処理装置1は、第2判定手段142bにより、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たすか否かを判定する(S206)。この例では、第2判定手段142bは、溶媒リサイクル比率が第4閾値以上である場合に、溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たしていると判定するものとする。
【0083】
溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たしていないと判定された場合(S206 NO)、コンピュータ30は動作を終了する。
【0084】
溶媒リサイクル情報が溶媒リサイクル処理に関する過剰条件を満たしていると判定された場合(S206 YES)、ポリマー処理装置1は、第2制御手段144bにより、加熱器112eの温度を低下させる(S208)。
【0085】
第2制御手段144bが加熱器112eの温度を低下させることにより、溶媒リサイクル処理に要するコストを削減できる。
【0086】
溶媒リサイクル処理に要するコストと、溶媒リサイクル比率とはトレードオフの関係にある。具体的には、加熱器112eの温度を低下させた場合、コストを削減することはできるが、溶媒分離器112において蒸発する溶媒54が減少するため溶媒リサイクル比率は低下する。一方で、加熱器112eの温度を上昇させた場合、溶媒分離器112において蒸発する溶媒54が増加するため、溶媒リサイクル比率は上昇するが、コストは増加する。
図6を参照して説明したように、第2制御手段144bによれば、溶媒リサイクル処理に要するコストと、溶媒リサイクル比率とを両立することができる。
【0087】
[第1制御手段144aと第2制御手段144bとの協働の一例]
第1制御手段144aと第2制御手段144bとが協働することにより、ポリマーリサイクル処理及び溶媒リサイクル処理をさらに効率化することができる。
【0088】
例えば、第1制御手段144aが使用する溶媒54の量を増加させると(S104a参照)、ポリマーリサイクル比率は上昇するが、溶媒分離器112に流入する溶媒54が増加することにより、一時的に溶媒リサイクル比率は低下する。このとき、増加分の溶媒54も溶媒分離器112において蒸発させるために、第2制御手段144bは加熱器112eの温度を上昇させる(S204参照)。これにより、溶媒リサイクル比率は再度上昇する。すなわち、第1制御手段144a及び第2制御手段144bが協働することにより、ポリマーリサイクル比率及び溶媒リサイクル比率を両立することができる。
【0089】
他にも、例えば、第1制御手段144aが使用する溶媒54の量を減少させると(S108参照)、溶媒分離器112に流入する溶媒54が減少することにより、一時的に溶媒リサイクル比率は上昇する。このとき、減少分の溶媒54は溶媒分離器112において蒸発させる必要がなくなるため、第2制御手段144bは加熱器112eの温度を低下させる(S208参照)。これにより、溶媒リサイクル比率は再度上昇するが、加熱に要するコストを削減することができる。すなわち、第1制御手段144a及び第2制御手段144bが協働することにより、コストを効率よく削減することができる。
【0090】
一般的に、第1組成物に含まれる不純物52の量を事前に知ることはできない。また、処理工程の都合上、単位時間あたりに処理すべき第1組成物の量は変動しうる。これに対して、第2実施形態に係るポリマー処理装置1は、第1組成物の組成及び量に応じて適応的に動作を変更することができるため、ポリマーリサイクル比率及び溶媒リサイクル比率の維持、及び、コストの最小化を実現することができる。
【0091】
<3.コンピュータ30のハードウェア構成>
図7を参照して、上述してきたコンピュータ30のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0092】
図7に示すように、コンピュータ30は、プロセッサ300と、記憶装置302と、入力I/F304と、データI/F306と、通信I/F308、及び表示装置310を含む。
【0093】
プロセッサ300は、記憶装置302に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ30における様々な処理を制御する。例えば、コンピュータ30が機能する各種手段は、記憶装置302に記憶されたプログラムを、プロセッサ300が実行することにより実現可能である。
【0094】
記憶装置302は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。RAMは、プロセッサ300によって実行されるプログラムのプログラムコード及びプログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0095】
記憶装置302は、他にも、例えばハードディスクドライブ(HDD)及びフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置302は、オペレーティングシステム及び上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。当該各種プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。このようなプログラム及びデータは、必要に応じて記憶装置302にロードされることにより、プロセッサ300から参照される。
【0096】
入力I/F304は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F304の具体例としては、カメラ、ボタン、マイク、キーボード、マウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F304は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ30に接続されてもよい。
【0097】
データI/F306は、コンピュータ30の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F306の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F306は、コンピュータ30の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F306は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ30へと接続される。
【0098】
通信I/F308は、コンピュータ30の外部の装置と有線または無線により、通信ネットワークを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F308は、コンピュータ30の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F308は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ30に接続される。
【0099】
表示装置310は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置310の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置310は、コンピュータ30の外部に設けられてもよい。その場合、表示装置310は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ30に接続される。また、入力I/F304としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置310は、入力I/F304と一体化して構成することが可能である。
【0100】
<4.変形例>
上記実施形態では、第1判定手段142aは、ポリマーリサイクル比率がポリマーリサイクル処理に関する最低条件及び過剰条件を満たすか否かを判定したが、これに限られない。具体的には、第1判定手段142aは、入力した物質である第1組成物に関する情報にはよらず、出力された物質であるリサイクルポリマーに関する情報に基づいて、ポリマーリサイクル処理に関する最低条件及び過剰条件が満たされるか否かを判定してもよい。例えば、ポリマーリサイクル情報が「リサイクルポリマーに付着している溶媒54の量」に関する情報を含み、かつ、第1判定手段142aがリサイクルポリマーに基準量以上の溶媒54が付着していると判定した場合、第1制御手段144aは、使用する溶媒54の量を減少させてもよい。
【0101】
上記実施形態において、溶媒分離器112はシリンダー112cの内部にスクリューを備えるとして説明したが、当該スクリューは複数本あってもよい。例えば、溶媒分離器112は、二軸押出機及び八軸押出機等であってもよい。これにより、溶媒分離器112は第3組成物をさらに効率よく攪拌することができ、溶媒54が加熱器112eによって均等に熱せられるため、より効率的に溶媒54を回収することができるようになる。
【0102】
<5.その他の実施形態>
ポリマー処理装置1は、複数の装置からなる装置であってもよい。また、ポリマー処理装置1は、他の装置の一部であってもよい。コンピュータ30は、取得手段140、判定手段142及び制御手段144として機能する制御部と、ポリマー処理装置1の動作に必要な各種情報を記憶する記憶部と、他の装置との通信を行うネットワークインタフェース部と、が互いに電気的に接続された情報処理装置に含まれるものであってもよい。また、上記実施形態で説明したプログラムは、複数の装置を協働して動作させるものであってもよい。
【0103】
上記実施形態において、ある部分と他の部分とが接続されていることは、直接的に接続されている状態に限らず、間接的に接続されている状態も含む。間接的に接続されている状態とは、ある部分から他の部分に対して何らかの物質を供給することができる状態を含む。例えば、上記実施形態において、混合器104と、濾過器108と、溶媒分離器112とは接続されているといえる。
【0104】
上記実施形態で説明した技術的事項は、当業者の知識に基づいて、組み換えること、組み合わせること及び一部を切り出して利用することができる。
【0105】
以下のような実施形態も、本発明に含まれる。
【0106】
[付記1]
本発明の一態様に係るポリマー処理装置1は、混合器104と、混合器104に接続された濾過器108と、濾過器108に接続された溶媒分離器112と、を備えるポリマー処理装置1であって、混合器104は、ポリ塩化ビニリデン50及び不純物52を含む第1組成物と、ポリ塩化ビニリデン50を溶解し、かつ、不純物52を溶解しない溶媒54と、を混合することにより第2組成物を生成し、濾過器108は、第2組成物を濾過することにより、不純物52を除去した第3組成物を通過させ、溶媒分離器112は、第1排出口112a及び第2排出口112bを備えるシリンダー112cと、シリンダー112cの内部に第3組成物を取り込む取込口112dと、シリンダー112cの内部を加熱する加熱器112eと、シリンダー112cの内部で第3組成物を攪拌しながら第1排出口112aに向かって押し出すスクリュー112fと、を備え、第2排出口112bは、加熱器112eにより蒸発させた溶媒54を排出し、第1排出口112aは、第3組成物から溶媒54を分離したリサイクルポリマーを排出する。
【0107】
[付記2]
付記1のポリマー処理装置1において、混合器104が混合する溶媒54は、第2排出口112bから排出された溶媒54を含んでもよい。
【0108】
[付記3]
付記1又は付記2のポリマー処理装置1は、コンピュータ30をさらに備え、当該コンピュータ30は、リサイクルポリマーに関する第1リサイクル情報を取得する第1取得手段140aと、第1リサイクル情報がポリ塩化ビニリデン50のリサイクルの目標に関する第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段142aと、第1判定手段142aの判定結果に基づいて、第1リサイクル情報が第1条件を満たすように、溶媒54の量又は組成を制御する第1制御手段144aと、として機能してもよい。
【0109】
[付記4]
付記3のポリマー処理装置1において、第1リサイクル情報は、第1組成物の量と、リサイクルポリマーの量と、の差に関する情報を含んでもよい。
【0110】
[付記5]
付記3のポリマー処理装置1において、第1リサイクル情報は、第1組成物に関する情報と、リサイクルポリマーに関する情報と、の少なくとも一方を含んでもよく、第1判定手段142aは、第1組成物に関する情報にはよらず、リサイクルポリマーに関する情報に基づいて、リサイクル情報が第1条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0111】
[付記6]
付記3のポリマー処理装置1において、溶媒54は、それぞれが当該溶媒54の原料である複数の原料溶媒を所定の割合で混合する溶媒54生成器から得られてもよく、第1制御手段144aは、第1判定手段142aの判定結果に基づいて、所定の割合を変更してもよい。
【0112】
[付記7]
付記1から付記6のいずれか一つのポリマー処理装置1は、コンピュータ30をさらに備え、当該コンピュータ30は、第2排出口112bから排出された溶媒54に関する第2リサイクル情報を取得する第2取得手段140bと、第2リサイクル情報が溶媒54のリサイクルの目標に関する第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段142bと、第2判定手段142bの判定結果に基づいて、第2リサイクル情報が第2条件を満たすように、加熱器112eによる加熱を制御する第2制御手段144bと、として機能してもよい。
【0113】
[付記8]
付記1から付記7のいずれか一つのポリマー処理装置1において、溶媒54は、テトラヒドロフランを含んでもよい。
【0114】
[付記9]
付記1から付記8のいずれか一つのポリマー処理装置1において、溶媒分離器112は、シリンダー112cの内部に複数のスクリュー112fを備えてもよい。
【0115】
[付記10]
本発明の他の一態様に係るプログラムは、付記1から付記9のいずれか一つのポリマー処理装置1が備えるコンピュータ30を、リサイクルポリマーに関する第1リサイクル情報を取得する第1取得手段140aと、第1リサイクル情報がポリ塩化ビニリデン50のリサイクルの目標に関する第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段142aと、第1判定手段142aの判定結果に基づいて、第1リサイクル情報が第1条件を満たすように、溶媒54の量又は組成を制御する第1制御手段144aと、として機能させる。
【0116】
[付記11]
本発明の他の一態様に係るプログラムは、付記1から付記9のいずれか一つのポリマー処理装置1が備えるコンピュータ30を、第2排出口112bから排出された溶媒54に関する第2リサイクル情報を取得する第2取得手段140bと、第2リサイクル情報が溶媒54のリサイクルの目標に関する第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段142bと、第2判定手段142bの判定結果に基づいて、第2リサイクル情報が第2条件を満たすように、加熱器112eによる加熱を制御する第2制御手段144bと、として機能させる。
【0117】
[付記12]
本発明の他の一態様に係るポリマー処理方法は、混合器104と、混合器104に接続された濾過器108と、濾過器108に接続された溶媒分離器112と、を備える装置によるポリマー処理方法であって、混合器104により、ポリ塩化ビニリデン50及び不純物52を含む第1組成物と、ポリ塩化ビニリデン50を溶解し、かつ、不純物52を溶解しない溶媒54と、を混合することにより第2組成物を生成するステップと、第2組成物を濾過器108で濾過することにより不純物52を除去した第3組成物を得るステップと、溶媒分離器112が備えるシリンダー112cの内部に、第3組成物を取り込むステップであって、シリンダー112cは、第1排出口112a及び第2排出口112bを備える、ステップと、溶媒分離器112が備える加熱器112eにより、シリンダー112cの内部を加熱するステップと、溶媒分離器112が備えるスクリュー112fにより、シリンダー112cの内部で第3組成物を攪拌しながら第1排出口112aに向かって押し出すステップと、加熱器112eにより蒸発させた溶媒54を第2排出口112bから排出するステップと、第3組成物から溶媒54を分離したリサイクルポリマーを第1排出口112aから排出するステップと、を含む。
【符号の説明】
【0118】
1…ポリマー処理装置、30…コンピュータ、50…ポリ塩化ビニリデン、52…不純物、54…溶媒、104…混合器、108…濾過器、112…溶媒分離器、112a…第1排出口、112b…第2排出口、112c…シリンダー、112c…加熱器、112d…取込口、112e…加熱器、112f…スクリュー、124…溶媒生成器、140a…第1取得手段、140b…第2取得手段、142a…第1判定手段、142b…第2判定手段、144a…第1制御手段、144b…第2制御手段