(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001555
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】積層フィルム及び包装体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20231227BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100284
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】大矢 善亨
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AB02
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3E086AD19
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3E086BB90
3E086CA01
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4F100AK07
4F100AK07B
4F100AK07C
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4F100JL14
4F100JL14D
4F100JN21
(57)【要約】
【課題】包装体を製造可能な樹脂フィルムであって、低温で成形したときに光沢性の低下を抑制できる樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムを用いた包装体の提供。
【解決手段】少なくとも外層11を備えた積層フィルム1であって、外層11は積層フィルム1の一方の最表層であり、外層11が、融点が132~146℃のプロピレン系重合体を含む、積層フィルム1。積層フィルム1を備えた包装体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも外層を備えた積層フィルムであって、
前記外層は、前記積層フィルムの一方の最表層であり、
前記外層が、融点が132~146℃のプロピレン系重合体を含む、積層フィルム。
【請求項2】
前記プロピレン系重合体がプロピレン-エチレンランダム共重合体である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記積層フィルムを絞り深さ30mm、絞り直径100mm、成形温度80℃、成形時間1秒の条件で、深絞り成形して得られた成形体について、前記外層側の外部から、JIS Z 8741に準拠してグロスを測定したとき、前記グロスが90%以上である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記積層フィルムが、さらに、前記外層側とは反対側の最表層としてイージーピール層を備えており、
前記イージーピール層が、エチレン系重合体及びプロピレン系重合体を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記積層フィルムが、さらに、前記イージーピール層に隣接する緩衝層を備えており、
前記緩衝層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項4に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記緩衝層が、前記低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンとして、バイオマス由来の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項5に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記積層フィルムが、さらに、ポリアミドを含む耐ピンホール層を備えている、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記積層フィルムが、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む酸素バリア層を備えている、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の積層フィルムを備えた、包装体。
【請求項10】
前記包装体が、蓋材及び底材を備え、
前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、
前記底材が前記積層フィルムからなる、請求項9に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食肉加工品をはじめとする各種の食品は、例えば、樹脂フィルムで構成された底材と蓋材を用い、蓋材と底材の間で被包装物(食品)を挟み、蓋材と底材を加熱シールすることにより、被包装物を包装する。底材としては、被包装物の収納部を構成するための凹部が形成されたものを用いることもある。そして、収納部となる部位を真空引きすることによって、真空包装することもある。このような用途の包装体を構成するのに適した樹脂フィルムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被包装物である食品には、熱に弱いものがあり、その場合には、蓋材と底材を加熱シールするときのシール温度は、通常よりも低くする必要がある。このような低温シールに用いる底材は、樹脂フィルムを加熱成形することで製造するが、成形温度も低くする必要がある。しかし、樹脂フィルムには、通常よりも低い温度で成形したときに、成形体の光沢性が低下してしまうものがある。このような成形体を用いて、食品を包装して得られた包装体は、光沢性が低いことによって、食品を鮮明に視認できず、外観(見栄え)が劣ってしまう。これに対して、特許文献1で開示されている樹脂フィルムは、このような問題点の解決を課題としていない。
【0005】
本発明は、包装体を製造可能な樹脂フィルムであって、低温で成形したときに光沢性の低下を抑制できる樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムを用いた包装体と、を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1] 少なくとも外層を備えた積層フィルムであって、前記外層は、前記積層フィルムの一方の最表層であり、前記外層が、融点が132~146℃のプロピレン系重合体を含む、積層フィルム。
[2] 前記プロピレン系重合体がプロピレン-エチレンランダム共重合体である、[1]に記載の積層フィルム。
[3] 前記積層フィルムを絞り深さ30mm、絞り直径100mm、成形温度80℃、成形時間1秒の条件で、深絞り成形して得られた成形体について、前記外層側の外部から、JIS Z 8741に準拠してグロスを測定したとき、前記グロスが90%以上である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
【0007】
[4] 前記積層フィルムが、さらに、前記外層側とは反対側の最表層としてイージーピール層を備えており、前記イージーピール層が、エチレン系重合体及びプロピレン系重合体を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5] 前記積層フィルムが、さらに、前記イージーピール層に隣接する緩衝層を備えており、前記緩衝層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、[4]に記載の積層フィルム。
[6] 前記緩衝層が、前記低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンとして、バイオマス由来の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを含む、[5]に記載の積層フィルム。
【0008】
[7] 前記積層フィルムが、さらに、ポリアミドを含む耐ピンホール層を備えている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[8] 前記積層フィルムが、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む酸素バリア層を備えている、[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[9] [1]~[8]のいずれか一項に記載の積層フィルムを備えた、包装体。
[10] 前記包装体が、蓋材及び底材を備え、前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記底材が前記積層フィルムからなる、[9]に記載の包装体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装体を製造可能な樹脂フィルムであって、低温で成形したときに光沢性の低下を抑制できる樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムを用いた包装体と、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る積層フィルムのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る積層フィルムのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<<積層フィルム>>
本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、少なくとも外層を備えた積層フィルムであって、前記外層は、前記積層フィルムの一方の最表層であり、前記外層が、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(本明細書においては、「プロピレン系重合体(a)」と称することがある)を含む。
本実施形態の積層フィルム中の前記外層が、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(a)を含んでいることにより、前記積層フィルムを低温で成形しても、得られる成形体の光沢性の低下が抑制される。例えば、プロピレン系重合体として、融点が132~146℃の範囲から外れるものを含む外層を備えた積層フィルムを低温で成形した場合には、得られる成形体の光沢性は低下してしまう。
【0012】
本明細書において、低温成形とは、概ね100℃以下の温度で成形することを意味する。
【0013】
本実施形態の積層フィルムは、食品を包装するのに好適であり、例えば、食品を真空包装するのにも好適である。
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0015】
図1は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、外層11を備えており、外層11は、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(a)(PP系重合体(a))を含んでいる。外層11は、積層フィルム1の一方の最表層である。
【0016】
積層フィルム1は、さらに、外層11側とは反対側の最表層としてシーラント層12を備えている。
積層フィルム1は、さらに、外層11とシーラント層12との間に、耐ピンホール層13を備えている。
積層フィルム1は、さらに、シーラント層12と耐ピンホール層13との間に接着層16(本明細書においては、「第1接着層161」と称することがある)を備え、耐ピンホール層13と外層11との間に接着層16(本明細書においては、「第2接着層162」と称することがある)を備えている。
【0017】
すなわち、積層フィルム1は、シーラント層12、接着層16(第1接着層161)、耐ピンホール層13、接着層16(第2接着層162)及び外層11がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
【0018】
外層11の一方の面(シーラント層12側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)11aは、積層フィルム1の一方の最表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)1aであり、露出面である。
【0019】
シーラント層12の一方の面(外層11側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)12bは、積層フィルム1の他方の最表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)1bであり、露出面である。
積層フィルム1同士を、その中のシーラント層12において加熱シールするか、又は、積層フィルム1を、その中のシーラント層12において、他のフィルム又はシートと加熱シールすることにより、包装体を構成できる。
シーラント層12の第2面12bは、シーラント層12同士の、又は他のフィルム又はシートとのシール面となる。
【0020】
積層フィルム1において、シーラント層12と耐ピンホール層13との間に配置されている接着層16(第1接着層161)は、シーラント層12と耐ピンホール層13とを接着し、耐ピンホール層13と外層11との間に配置されている接着層16(第2接着層162)は、耐ピンホール層13と外層11とを接着している。
これら2層の接着層16(第1接着層161及び第2接着層162)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
図2は、本実施形態の積層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
なお、
図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0022】
ここに示す積層フィルム2は、耐ピンホール層13のシーラント層12側、より具体的には、第1接着層161と耐ピンホール層13との間に、さらに、酸素バリア層14を備えている。
すなわち、積層フィルム2は、シーラント層12、接着層16(第1接着層161)、酸素バリア層14、耐ピンホール層13、接着層16(第2接着層162)及び外層11がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
外層11の一方の面(第1面)11aは、積層フィルム2の一方の最表面(第1面)2aであり、露出面である。
シーラント層12の一方の面(第2面)12bは、積層フィルム2の他方の最表面(第2面)2bであり、露出面である。
【0023】
図3は、本実施形態の積層フィルムのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム3は、シーラント層12の耐ピンホール層13側、より具体的には、シーラント層12と第1接着層161との間に、さらに、緩衝層15を備えている。
すなわち、積層フィルム3は、シーラント層12、緩衝層15、接着層16(第1接着層161)、酸素バリア層14、耐ピンホール層13、接着層16(第2接着層162)及び外層11がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
外層11の一方の面(第1面)11aは、積層フィルム3の一方の最表面(第1面)3aであり、露出面である。
シーラント層12の一方の面(第2面)12bは、積層フィルム3の他方の最表面(第2面)3bであり、露出面である。
【0024】
図4は、本実施形態の積層フィルムのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム4は、
図3に示す積層フィルム3において、酸素バリア層14を省略した構成を有する。
すなわち、積層フィルム4は、シーラント層12、緩衝層15、接着層16(第1接着層161)、耐ピンホール層13、接着層16(第2接着層162)及び外層11がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
外層11の一方の面(第1面)11aは、積層フィルム4の一方の最表面(第1面)4aであり、露出面である。
シーラント層12の一方の面(第2面)12bは、積層フィルム4の他方の最表面(第2面)4bであり、露出面である。
【0025】
本実施形態の積層フィルムは、積層フィルム1~積層フィルム4に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、積層フィルム1~積層フィルム4において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、積層フィルム3が備えている層として、シーラント層12、緩衝層15、第1接着層161、酸素バリア層14、耐ピンホール層13、第2接着層162及び外層11が挙げられるが、本実施形態の積層フィルムは、これら以外の他の層を備えていてもよい。
本実施形態の積層フィルムは、2層以上であり、少なくとも外層を備えていればよく、外層とシーラント層を備えていることが好ましく、外層、とシーラント層と、のいずれにも該当しない層は、任意の構成であってよい。
【0026】
以下、本実施形態の積層フィルムについて、より詳細に説明する。
【0027】
<外層>
前記外層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、外層11)は、剛性を有し、前記積層フィルムを構成する、外層以外の層を保護するための層である。
外層は、前記積層フィルムの一方の最表層であり、前記積層フィルムを構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
【0028】
外層は、透明性を有することが好ましい。
【0029】
外層は、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(プロピレン系重合体(a))を含む。
本明細書において、「プロピレン系重合体」とは、外層の場合に限らず、少なくともプロピレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、プロピレンから誘導された構成単位のみを有するホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)であってもよいし、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するプロピレン系共重合体であってもよい。
【0030】
本明細書においては、特に断りのない限り、樹脂の融点は、JIS K 7121-1987に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)法によって測定した値を意味する。
【0031】
外層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、rPP)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、bPP)等のプロピレン-エチレン共重合体が挙げられる。
【0032】
外層が含む前記プロピレン系重合体(a)(PP系重合体(a))の融点は、132~146℃であり、例えば、132~140℃、及び132~136℃のいずれかであってもよいし、136~146℃、及び140~146℃のいずれかであってもよいし、136~140℃であってもよい。融点が上述のいずれかの範囲であるプロピレン系重合体(a)を外層が含んでいることによって、前記積層フィルムを低温で成形しても、得られる成形体の光沢性がより高くなる。さらに、前記プロピレン系重合体(a)の融点が前記下限値以上であることで、外層の耐熱性がより高くなる。
【0033】
外層が含む前記プロピレン系重合体(a)のメルトフローレート(MFR)は、2g/10min以上であることが好ましく、例えば、3.4g/10min以上、及び5g/10min以上のいずれかであってもよい。
外層が含む前記プロピレン系重合体(a)のメルトフローレート(MFR)は、9g/10min以下であることが好ましく、例えば、6g/10min以下、及び3.4g/10min以下のいずれかであってもよい。
一実施形態において、外層が含む前記プロピレン系重合体(a)のメルトフローレート(MFR)は、例えば、2~9g/10min、2~6g/10min、及び2~3.4g/10minのいずれかであってもよいし、3.4~9g/10min、及び3.4~6g/10minのいずれかであってもよいし、5~9g/10minであってもよい。ただし、これらは、前記メルトフローレートの一例である。
MFRが上述のいずれかの範囲であるプロピレン系重合体(a)を外層が含んでいることによって、前記積層フィルムを低温で成形しても、得られる成形体の光沢性がより高くなる。さらに、前記プロピレン系重合体(a)のMFRが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形時に、成形用の熱板上での異物の付着がより抑制され、成形設備の汚染を高度に抑制できる。
【0034】
本明細書においては、特に断りのない限り、MFRとは、JIS K 6922-1に準拠して測定した値を意味する。
【0035】
外層が含む前記プロピレン系重合体(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0036】
外層が含む前記プロピレン系重合体(a)は、前記プロピレン系共重合体であることが好ましく、プロピレン-エチレン共重合体であることがより好ましく、プロピレン-エチレンランダム共重合体であることがさらに好ましい。このようなプロピレン系重合体(a)を用いることで、前記積層フィルムを低温で成形しても、得られる成形体の光沢性がより高くなる。
【0037】
外層は、前記プロピレン系重合体(a)のみを含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体(a)からなるものであってもよい)し、前記プロピレン系重合体(a)と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体(a)と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0038】
外層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記プロピレン系重合体(a)に該当しない樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、融点が132℃未満のプロピレン系重合体、融点が146℃超のプロピレン系重合体、プロピレン系重合体(融点が132~146℃の前記プロピレン系重合体(a)、融点が132℃未満のプロピレン系重合体、及び融点が146℃超のプロピレン系重合体)以外の樹脂等が挙げられる。
【0039】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0040】
外層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0041】
外層において、外層の総質量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体(a)の含有量(質量部)の割合([外層の、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(a)の含有量(質量部)]/[外層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムを低温で成形しても、得られる成形体の光沢性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体(a)の含有量(質量部)の割合([外層形成用組成物の、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(a)の含有量(質量部)]/[外層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0042】
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
【0043】
外層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0044】
本明細書においては、外層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0045】
積層フィルム全体の厚さに対する、外層の厚さの割合([外層の厚さ]/[積層フィルム全体の厚さ]×100)は、10~40%であることが好ましく、15~35%であることがより好ましく、20~30%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、外層の剛性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「外層の厚さ」とは、外層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる外層の厚さとは、外層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0046】
<シーラント層>
前記シーラント層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、シーラント層12)は、前記積層フィルムのシール対象物と、シールするための層である。
シーラント層は、前記積層フィルムの他方の最表層であり、前記積層フィルムを構成する各層の積層方向において、他方の最も外側に配置されている。
【0047】
シーラント層は、透明性を有することが好ましい。
【0048】
シーラント層は、非イージーピール型シーラント層であってもよいし、イージーピール型シーラント層(イージーピール層)であってもよい。すなわち、前記積層フィルムは、外層側とは反対側の最表層として非イージーピール型シーラント層を備えていてもよいし、外層側とは反対側の最表層としてイージーピール層を備えていてもよい。
前記非イージーピール型シーラント層は、完全シール型シーラント層(ピールが困難なシーラント層)であってもよいし、軽度のピール性を有するシーラント層であってもよい。
【0049】
[非イージーピール型シーラント層]
前記非イージーピール型シーラント層としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、アイオノマー(ION)、ポリエチレン系コポリマー等のエチレン系重合体(本明細書においては、「エチレン系重合体(a)」と称することがある)を含むシーラント層が挙げられる。
これらのうち、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むシーラント層は、軽度のピール性を有するシーラント層として好適である。
【0050】
本明細書において、「エチレン系重合体」とは、非イージーピール型シーラント層の場合に限らず、少なくともエチレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、エチレンから誘導された構成単位のみを有するポリエチレン(エチレン単独重合体、PE)であってもよいし、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するエチレン系共重合体であってもよい。
【0051】
前記非イージーピール型シーラント層が含む前記ポリエチレン(PE)としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレンが挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)は、いずれも、低密度ポリエチレン(LDPE)の1種である。
【0052】
本明細書において、低密度ポリエチレン(LDPE)とは、密度が0.91g/cm3以上、0.93g/cm3未満であるポリエチレンを意味する。
中密度ポリエチレン(MDPE)とは、密度が0.93g/cm3以上、0.942g/cm3未満であるポリエチレンを意味する。
高密度ポリエチレン(HDPE)とは、密度が0.942g/cm3以上であるポリエチレンを意味する。
【0053】
本明細書において、「アイオノマー」とは、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂を意味する。
前記金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。本明細書において、金属イオンがナトリウムイオンである場合のアイオノマーを「ナトリウム系アイオノマー」と称し、金属イオンが亜鉛イオンである場合のアイオノマーを「亜鉛系アイオノマー」と称することがある。
【0054】
非イージーピール型シーラント層が含むエチレン系重合体(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0055】
非イージーピール型シーラント層は、エチレン系重合体(a)のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン系重合体(a)からなるものであってもよい)し、エチレン系重合体(a)と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン系重合体(a)と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0056】
非イージーピール型シーラント層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、エチレン系重合体(a)に該当しない樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0057】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、外層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
【0058】
非イージーピール型シーラント層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0059】
非イージーピール型シーラント層にいて、非イージーピール型シーラント層の総質量(質量部)に対する、エチレン系重合体(a)の含有量(質量部)の割合([非イージーピール型シーラント層のエチレン系重合体(a)の含有量(質量部)]/[非イージーピール型シーラント層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、非イージーピール型シーラント層のシール能がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述するシーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン系重合体(a)の含有量(質量部)の割合([シーラント層形成用組成物のエチレン系重合体(a)の含有量(質量部)]/[シーラント層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0060】
[イージーピール層]
前記イージーピール層としては、凝集破壊による剥離性を示す層が挙げられる。
凝集破壊による剥離性を示すイージーピール層としては、例えば、非相溶性の2種のポリオレフィンを含む層が挙げられる。
【0061】
イージーピール層が含む、非相溶性の2種のポリオレフィンとしては、例えば、エチレン系重合体(本明細書においては、「エチレン系重合体(b)」と称することがある)及びプロピレン系重合体(本明細書においては、「プロピレン系重合体(b)」と称することがある)が挙げられる。
すなわち、イージーピール層としては、例えば、エチレン系重合体(b)及びプロピレン系重合体(b)を含む層が挙げられる。
【0062】
イージーピール層が含む前記エチレン系重合体(b)としては、ポリエチレン(エチレン単独重合体、PE)と、エチレン系共重合体と、が挙げられる。
【0063】
イージーピール層が含む前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
【0064】
イージーピール層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
イージーピール層が含む前記アイオノマーとしては、例えば、外層が含むアイオノマーと同様のものが挙げられる。
【0065】
イージーピール層は、前記エチレン系重合体(b)として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。このようなイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
【0066】
イージーピール層が含む前記プロピレン系重合体(b)としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)と、プロピレン系共重合体と、が挙げられる。
【0067】
イージーピール層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、rPP)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、bPP)等のプロピレン-エチレン共重合体が挙げられる。
【0068】
イージーピール層は、前記プロピレン系重合体(b)として、ホモポリプロピレン及びプロピレン-エチレンランダム共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。このようなイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
【0069】
イージーピール層が含む、イージーピール性を発現する成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、イージーピール性を発現する成分が、上述の非相溶性の2種のポリオレフィンである場合、イージーピール層が含むこれらポリオレフィンは、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0070】
前記積層フィルムは、前記外層側とは反対側の最表層としてイージーピール層を備えており、前記イージーピール層が、エチレン系重合体(b)及びプロピレン系重合体(b)を含んでいることが好ましい。このようなイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
【0071】
イージーピール層において、前記エチレン系重合体(b)及びプロピレン系重合体(b)の合計含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体(b)の含有量(質量部)の割合([イージーピール層のエチレン系重合体(b)の含有量(質量部)]/([イージーピール層のエチレン系重合体(b)の含有量(質量部)]+[イージーピール層のプロピレン系重合体(b)の含有量(質量部)])×100)は、10~90質量%であることが好ましく、例えば、30~90質量%、50~90質量%、65~90質量%、及び75~90質量%のいずれかであってもよいし、60~75質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性がより良好となる。前記割合が前記上限値以下であることで、ピール強度がより安定する。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、前記エチレン系重合体(b)及びプロピレン系重合体(b)の合計含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体(b)の含有量(質量部)の割合([イージーピール層形成用組成物のエチレン系重合体(b)の含有量(質量部)]/([イージーピール層形成用組成物のエチレン系重合体(b)の含有量(質量部)]+[イージーピール層形成用組成物のプロピレン系重合体(b)の含有量(質量部)])×100)、と同じである。
【0072】
イージーピール層は、イージーピール性を発現する成分(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィン)のみを含んでいてもよい(すなわち、イージーピール性を発現する成分からなるものであってもよい)し、イージーピール性を発現する成分と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、イージーピール性を発現する成分と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0073】
イージーピール層が含む前記他の成分は、イージーピール性を損なわない限り、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、イージーピール性を発現する成分に該当しない樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0074】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、外層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
【0075】
イージーピール層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0076】
イージーピール層において、イージーピール層の総質量(質量部)に対する、イージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([イージーピール層のイージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)]/[イージーピール層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性がより良好となる。ここで、「イージーピール性を発現する成分」としては、例えば、上述の「非相溶性の2種のポリオレフィン」が挙げられる。その場合、イージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)とは、非相溶性の2種のポリオレフィンの合計含有量である。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、イージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([イージーピール層形成用組成物のイージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)]/[イージーピール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0077】
シーラント層(非イージーピール型シーラント層、イージーピール層)は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。シーラント層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0078】
積層フィルム全体の厚さに対する、シーラント層の厚さの割合([シーラント層の厚さ]/[積層フィルム全体の厚さ]×100)は、2~50%であることが好ましく、3~45%であることがより好ましく、4~40%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、シーラント層の剥離強度がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「シーラント層の厚さ」とは、シーラント層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるシーラント層の厚さとは、シーラント層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0079】
<耐ピンホール層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記外層と前記シーラント層との間に、耐ピンホール層を備えていることが好ましい。
前記耐ピンホール層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、耐ピンホール層13)は、高強度であり、積層フィルムにおいてピンホールの発生を抑制し(耐ピンホール性を有し)、積層フィルムの構造を保護するための層である。
【0080】
耐ピンホール層は、透明性を有することが好ましい。
【0081】
耐ピンホール層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
【0082】
耐ピンホール層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0083】
耐ピンホール層が含む前記樹脂としては、例えば、ポリアミド等が挙げられる。すなわち、積層フィルムは、さらに、ポリアミドを含む耐ピンホール層を備えていることが好ましい。
【0084】
耐ピンホール層が含む前記ポリアミドとしては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応で得られたナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
【0085】
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。
【0086】
前記アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
【0087】
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0088】
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0089】
前記ポリアミドとして、より具体的には、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
【0090】
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6-ナイロン(本明細書においては、「Ny6」と略記することがある)、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
【0091】
耐ピンホール層は、ポリアミドのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリアミドからなるものであってもよい)し、ポリアミドと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリアミドと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0092】
耐ピンホール層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、ポリアミド以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0093】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、外層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
【0094】
耐ピンホール層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0095】
耐ピンホール層がポリアミドを含む場合、耐ピンホール層において、耐ピンホール層の総質量(質量部)に対する、ポリアミドの含有量(質量部)の割合([耐ピンホール層のポリアミドの含有量(質量部)]/[耐ピンホール層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、耐ピンホール層(積層フィルム)の耐ピンホール性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する耐ピンホール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリアミドの含有量(質量部)の割合([耐ピンホール層形成用組成物のポリアミドの含有量(質量部)])/[耐ピンホール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0096】
耐ピンホール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。耐ピンホール層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0097】
積層フィルム全体の厚さに対する、耐ピンホール層の厚さの割合([耐ピンホール層の厚さ]/[積層フィルム全体の厚さ]×100)は、10~40%であることが好ましく、15~35%であることがより好ましく、20~30%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、耐ピンホール層の耐ピンホール性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「耐ピンホール層の厚さ」とは、耐ピンホール層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる耐ピンホール層の厚さとは、耐ピンホール層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0098】
<酸素バリア層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記外層と前記シーラント層との間に、酸素バリア層を備えていてもよい。
前記酸素バリア層(
図2~
図3に示す積層フィルム2~3においては、酸素バリア層14)は、酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を有し、積層フィルムに酸素バリア性を付与するための層である。
【0099】
酸素バリア層は、透明性を有することが好ましい。
【0100】
酸素バリア層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
【0101】
酸素バリア層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0102】
酸素バリア層が含む前記樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)等が挙げられる。すなわち、積層フィルムは、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む酸素バリア層を備えていてもよい。
【0103】
酸素バリア層が含むエチレン-ビニルアルコール共重合体において、エチレン-ビニルアルコール共重合体中の構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合(本明細書においては、「エチレンの共重合比率」と称することがある)は、30~50モル%であることが好ましく、例えば、30~40モル%であってもよい。
【0104】
酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなるものであってもよい)し、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0105】
酸素バリア層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0106】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、外層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
【0107】
酸素バリア層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0108】
酸素バリア層がエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む場合、酸素バリア層において、酸素バリア層の総質量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合([酸素バリア層のエチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)]/[酸素バリア層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合([酸素バリア層形成用組成物のエチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)])/[酸素バリア層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0109】
酸素バリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0110】
積層フィルム全体の厚さに対する、酸素バリア層の厚さの割合([酸素バリア層の厚さ]/[積層フィルム全体の厚さ]×100)は、1~20%であることが好ましく、3~15%であることがより好ましく、5~10%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層の強度がより高くなるとともに、積層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「酸素バリア層の厚さ」とは、酸素バリア層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層の厚さとは、酸素バリア層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0111】
<緩衝層>
本実施形態の積層フィルムは、前記シーラント層として前記イージーピール層を備えている場合、さらに、前記イージーピール層(前記シーラント層)に隣接する緩衝層を備えていることが好ましい。
本実施形態の積層フィルムは、前記シーラント層として前記非イージーピール型シーラント層を備えている場合、前記非イージーピール型シーラント層(前記シーラント層)に隣接する緩衝層を備えていてもよい。
前記緩衝層(
図3~
図4に示す積層フィルム3~積層フィルム4においては、緩衝層15)は、前記積層フィルムと、他のフィルムと、をシールすることにより包装体を製造するとき、前記シーラント層(前記イージーピール層、前記非イージーピール型シーラント層)における均等なシールを可能とすることによって、シーラント層でのシール強度のばらつきを抑制するための層である。緩衝層のこのような効果は、シーラント層がイージーピール層である場合に、より大きくなる。
【0112】
緩衝層は、透明性を有することが好ましい。
【0113】
緩衝層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
【0114】
緩衝層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0115】
緩衝層が含む前記樹脂としては、例えば、エチレン系重合体(本明細書においては、「エチレン系重合体(c)」と称することがある)等が挙げられる。
すなわち、緩衝層が含む前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン(エチレン単独重合体)及びエチレン系共重合体等が挙げられる。
【0116】
緩衝層が含む前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
【0117】
緩衝層が含む前記ポリエチレンは、通常の石油由来のポリエチレンであってもよいし、バイオマス由来のポリエチレンであってもよい。すなわち、緩衝層は、前記エチレン系重合体(c)として、バイオマス由来のポリエチレンを含んでいてもよい。
前記バイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリエチレンが挙げられる。
緩衝層が含むバイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
【0118】
緩衝層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
緩衝層が含む前記アイオノマーとしては、例えば、外層が含むアイオノマーと同様のものが挙げられる。
【0119】
緩衝層が含むエチレン系重合体(c)は、緩衝層が奏する上述の効果がより高くなる点から、ポリエチレンであることが好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。前記積層フィルムは、シーラント層としてイージーピール層を備えている場合、さらに、イージーピール層に隣接する緩衝層を備えており、緩衝層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいることが、より好ましく、その場合には、緩衝層が、前記低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンとして、バイオマス由来の低密度ポリエチレン、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン、又はバイオマス由来のメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいることが、さらに好ましい。
【0120】
緩衝層は、前記エチレン系重合体(c)のみを含んでいてもよい(すなわち、前記エチレン系重合体(c)からなるものであってもよい)し、前記エチレン系重合体(c)と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記エチレン系重合体(c)と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0121】
緩衝層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記エチレン系重合体(c)以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0122】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、外層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
【0123】
緩衝層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0124】
緩衝層が前記エチレン系重合体(c)を含む場合、緩衝層において、緩衝層の総質量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体(c)の含有量(質量部)の割合([緩衝層のエチレン系重合体(c)の含有量(質量部)]/[緩衝層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、緩衝層が奏する上述の効果がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する緩衝層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体(c)の含有量(質量部)の割合([緩衝層形成用組成物のエチレン系重合体(c)の含有量(質量部)])/[緩衝層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0125】
緩衝層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。緩衝層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0126】
積層フィルム全体の厚さに対する、緩衝層の厚さの割合([緩衝層の厚さ]/[積層フィルム全体の厚さ]×100)は、15~45%であることが好ましく、18~40%であることがより好ましく、20~35%であることがさらに好ましい。緩衝層の厚さの割合が前記下限値以上であることで、緩衝層の強度がより高くなるとともに、緩衝層が奏する上述の効果がより高くなる。緩衝層の厚さの割合が前記上限値以下であることで、緩衝層(積層フィルム)の柔軟性がより高くなる。
ここで、「緩衝層の厚さ」とは、緩衝層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる緩衝層の厚さとは、緩衝層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0127】
<接着層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記外層と前記シーラント層との間に、接着層を備えていてもよい。
前記接着層は、積層フィルムにおいて、隣接する2層を接着するための層であり、接着性を発現する成分を含む。接着層を備えた積層フィルムは、その構造がより安定する。
【0128】
積層フィルムにおける接着層の配置位置は、積層フィルムの最表層とならない位置であれば、特に限定されない。
積層フィルムにおける接着層の配置位置は、1箇所であってもよいし、2箇所以上であってもよい。積層フィルムにおける接着層の配置位置が、2箇所以上である場合には、これら2箇所以上の接着層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「2箇所以上の接着層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての接着層が同一であってもよいし、すべての接着層が異なっていてもよいし、一部の接着層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「接着層が互いに異なる」とは、「接着層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0129】
積層フィルムは、例えば、外層と耐ピンホール層との間に接着層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、外層11と耐ピンホール層13との間の第2接着層162)を備えていてもよいし、シーラント層と耐ピンホール層との間に接着層(
図1に示す積層フィルム1においては、シーラント層12と耐ピンホール層13との間の第1接着層161)を備えていてもよいし、シーラント層と酸素バリア層との間に接着層(
図2に示す積層フィルム2においては、シーラント層12と酸素バリア層14との間の第1接着層161)を備えていてもよいし、緩衝層と酸素バリア層との間に接着層(
図3に示す積層フィルム3においては、緩衝層15と酸素バリア層14との間の第1接着層161)を備えていてもよいし、緩衝層と耐ピンホール層との間に接着層(
図4に示す積層フィルム4においては、緩衝層15と耐ピンホール層13との間の第1接着層161)を備えていてもよい。ただし、これらは、接着層の配置位置の一例である。
【0130】
接着層は、透明性を有することが好ましい。
【0131】
接着層は、接着性樹脂を含む樹脂層である(接着性を発現する成分として接着性樹脂を含む)ことが好ましい。
【0132】
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン等が挙げられる。
前記ポリオレフィンは、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、例えば、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリオレフィンは、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0133】
接着層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、シーラント層が含むものとして先に説明したエチレン系共重合体(エチレン系重合体(b)としてのエチレン系共重合体)、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられ、例えば、イージーピール層が含むものとして先に説明したプロピレン系共重合体(プロピレン系重合体(b)としてのプロピレン系共重合体)も挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
【0134】
接着層が含む、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0135】
接着層は、その接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)以外に、他の成分を含んでいてもよい。
接着層が含む前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
【0136】
接着層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0137】
接着層において、接着層の総質量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([接着層の接着性を発現する成分の含有量(質量部)]/[接着層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([接着層形成用組成物の接着性を発現する成分の含有量(質量部)])/[接着層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0138】
1箇所あたりの接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0139】
1箇所あたりの接着層の厚さは、特に限定されないが、0.1~25μmであることが好ましく、例えば、1~20μm、及び2~15μmのいずれかであってもよい。接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着層はより優れた接着性を有する。接着層の厚さが前記上限値以下であることで、接着層が過剰な厚さとなることが避けられる。
ここで、「接着層の厚さ」とは、接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0140】
<他の層>
前記他の層の種類、配置数及び配置位置は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、積層フィルムが備えている前記他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0141】
前記他の層は、その1種あたり、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0142】
前記他の層の厚さは、その種類に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
【0143】
積層フィルムは、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための接着層(例えば、
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4中の第1接着層161又は第2接着層162と同様の層等)をさらに備えていてもよい。
【0144】
積層フィルムの厚さは、特に限定されないが、90~260μmであることが好ましく、120~230μmであることがより好ましく、150~200μmであることがさらに好ましい。積層フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、積層フィルムを用いて得られた包装体において、被包装物の保存安定性がより高くなるとともに、前記包装体の構造を安定して維持する特性がより高くなる。積層フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、積層フィルムの成形性がより高くなる。
【0145】
積層フィルムが備えているすべての層が透明性を有することによって、積層フィルムが透明性を有すること、すなわち、積層フィルムは透明積層フィルムであることが好ましい。このような積層フィルムを用いて得られた包装体においては、積層フィルムを介して、被包装物を容易に視認できる。
【0146】
本実施形態の積層フィルムを低温で成形しても、得られる成形体の光沢性の低下が抑制される。これは、積層フィルム中の外層が、融点が132~146℃のプロピレン系重合体(a)を含んでいるためである。例えば、融点が146℃超のプロピレン系重合体を用いた場合には、このような高融点のプロピレン系重合体には結晶化領域が多く、この結晶化領域が低温成形時に延伸されることで、結晶化領域に対応した成形体の表面が荒れてしまい、その結果、成形体の光沢性が低下してしまうと推測される。一方、融点が132℃未満の低融点のプロピレン系重合体を用いた場合には、低温成形時に、成形を行うための熱板又は金型の表面の荒れが外層の表面に転写されることで、成形体の表面が荒れてしまい、その結果、成形体の光沢性が低下してしまうと推測される。これに対して、本実施形態の積層フィルムにおいては、融点が132~146℃という特定範囲のプロピレン系重合体(a)を用いることで、これらの不具合が抑制され、その結果、低温で成形しても、得られる成形体の光沢性の低下が抑制されると推測される。
【0147】
本実施形態の前記積層フィルムを絞り深さ30mm、絞り直径100mm、成形温度80℃、成形時間1秒の条件で、深絞り成形して得られた成形体について、積層フィルム中の外層側の外部から、JIS Z 8741に準拠してグロスを測定したとき、前記グロスを90%以上とすることが可能であり、例えば、92%以上、及び94%以上のいずれかとすることも可能である。
一方、前記グロスが96%以下である成形体は、比較的容易に製造可能である。
【0148】
本実施形態の積層フィルムは、各種包装体を構成するのに好適であり、なかでも、低温で成形することにより底材とするのに特に好適であり、例えば、低温で深絞り成形することにより底材としてもよいし、真空包装用の底材としてもよい。このような場合の包装対象物としては、例えば、食品等が挙げられる。
すなわち、本実施形態の積層フィルムは、食品の包装用としてより好適である。
【0149】
本実施形態の積層フィルムを加熱成形するときの成形温度は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、100℃以下であることが好ましく、例えば、95℃以下、90℃以下、及び85℃以下のいずれかであってもよい。成形温度がこのような範囲で低くなるほど、成形体の光沢性の低下を抑制する効果が高くなる傾向にある。さらに、加熱成形に用いる熱板への積層フィルムの付着が抑制される。
前記成形温度は、60℃以上であることが好ましく、例えば、65℃以上、70℃以上、及び75℃以上のいずれかであってもよい。成形温度がこのような範囲であることで、積層フィルムの成形性(例えば、成形体の金型に対する追従性)を損なうことなく、成形体の光沢性の低下を抑制できる。
前記成形温度は、例えば、60~100℃、60~95℃、60~90℃、及び60~85℃以下のいずれかであってもよいし、65~100℃、65~95℃、65~90℃、及び65~85℃以下のいずれかであってもよいし、70~100℃、70~95℃、70~90℃、及び70~85℃以下のいずれかであってもよいし、75~100℃、75~95℃、75~90℃、及び75~85℃以下のいずれかであってもよい。
【0150】
<<積層フィルムの製造方法>>
本実施形態の積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
【0151】
また、本実施形態の積層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を、積層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、積層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
【0152】
また、本実施形態の積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層(第1接着層、第2接着層)を形成可能なものを用いてもよい。
【0153】
また、本実施形態の積層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
【0154】
本実施形態の積層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、積層フィルム中のいずれかの層(フィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
【0155】
製造方法がいずれの場合であっても、前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分(構成材料)を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
【0156】
外層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、外層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、プロピレン系重合体(a)(融点が132~146℃のプロピレン系重合体)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0157】
シーラント層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、シーラント層12)が非イージーピール型シーラント層である場合、シーラント層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「シーラント層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、エチレン系重合体(a)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
シーラント層がイージーピール層である場合、シーラント層を形成するための樹脂組成物(シーラント層形成用組成物)としては、例えば、イージーピール性を発現する成分(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィン)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0158】
耐ピンホール層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、耐ピンホール層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「耐ピンホール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、ポリアミド)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0159】
酸素バリア層(
図2~
図3に示す積層フィルム2~積層フィルム3においては、酸素バリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0160】
緩衝層(
図3~
図4に示す積層フィルム3~積層フィルム4においては、緩衝層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「緩衝層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、エチレン系重合体(c))と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0161】
接着層(
図1~
図4に示す積層フィルム1~積層フィルム4においては、第1接着層161又は第2接着層162)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述の接着性を発現する成分と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0162】
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、上述の本発明の一実施形態に係る積層フィルムを備えている。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムの成形体を備えていることが好ましく、前記積層フィルムの低温成形体を備えていることがより好ましい。
本実施形態の包装体中の、前記積層フィルムの低温成形部に相当する部位では、その光沢性の低下が抑制される。その結果、被包装物を鮮明に視認でき、包装体は外観(見栄え)に優れる。
本実施形態の包装体は、食品の包装用として好適であり、食品の真空包装用としても好適である。
【0163】
本実施形態の包装体の包装対象物である食品は、特に限定されない。前記食品としては、例えば、生肉、生魚、生野菜等の生鮮食品;ハム、ウインナー、ベーコン、ハンバーグ等の食肉加工品をはじめとする各種加工食品等、公知のものが挙げられる。
【0164】
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記底材が前記積層フィルムからなる包装体が挙げられる。このような包装体においては、前記底材が前記積層フィルムの成形体であることが好ましく、前記積層フィルムの低温成形体であることがより好ましい。このような包装体においては、前記蓋材が前記積層フィルムからなるものであってもよい。
【0165】
底材が前記積層フィルムからなる場合、底材は深絞り成形体であってもよい。
【0166】
図5は、本実施形態の包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体10は、底材1’及び蓋材8を備えて構成されている。
底材1’は、
図1に示す積層フィルム1の成形体である。
図5においては、底材1’を構成している積層フィルム1中の各層の区別を省略している。
【0167】
蓋材8は、積層フィルム1をはじめとする、上述の本発明の一実施形態に係る積層フィルムで構成されていてもよいし、それ以外の公知の蓋材であってもよい。
公知の蓋材8としては、例えば、単層又は多層の樹脂フィルムからなる蓋材が挙げられる。
【0168】
包装体10は、真空包装体であってもよい。
【0169】
蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、シール面であり、前記第1面8aの一部と、底材1’(積層フィルム1)中のシーラント層12の第2面12bの一部と、がシールにより密着している。
図5中、蓋材8の第1面8aと、底材1’(積層フィルム1)中のシーラント層12の第2面12bと、が直接接触している部位が、シール部である。そして、蓋材8の第1面8aと、シーラント層12の第2面12bと、の間の離間している領域が、収納部10aとなっている。そして、この収納部10a内に、被包装物(換言すると、収容物又は包装対象物)9が収納されている。
【0170】
図5においては、包装体10の収納部10a内において、被包装物9と底材1’との間、並びに、被包装物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間は、被包装物9を収納した状態の包装体10において、存在しないこともある。
【0171】
包装体10において、底材1’の平坦部の厚さは、先に説明した前記積層フィルムの厚さと同じである。底材1’の露出面は、積層フィルム1中の外層11の第1面11aである。
【0172】
包装体10において、蓋材8の厚さは、特に限定されないが、50~150μmであることが好ましい。蓋材8の厚さが前記下限値以上であることで、蓋材8の強度がより向上する。蓋材8の厚さが前記上限値以下であることで、蓋材8の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「蓋材8の厚さ」とは、蓋材8全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる蓋材8の厚さとは、蓋材8を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0173】
被包装物9は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、先に「包装対象物」として説明した食品等が挙げられる。
【0174】
本実施形態の包装体は、
図5に示す包装体10に限定されず、例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、
図5に示す包装体10において、一部の構成が変更、削除又は追加された包装体であってもよい。
例えば、
図5においては、底材が
図1に示す積層フィルム1を用いて構成されている場合の包装体10を示しているが、本実施形態の包装体においては、底材が積層フィルム1以外の前記積層フィルム(例えば、
図2に示す積層フィルム2、
図3に示す積層フィルム3、又は
図4に示す積層フィルム4)を用いて構成されていてもよい。
【0175】
<<包装体の製造方法>>
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて、前記包装対象物を包装することにより、製造できる。そして、本実施形態の包装体は、従来のフィルムに代えて、前記積層フィルムを用いる点を除けば、従来の包装体の場合と同じ方法で製造できる。
【0176】
例えば、前記積層フィルムを用いて得られた底材と、蓋材と、を備えた真空包装体は、前記積層フィルムを成形することにより、前記収納部を形成するための凹部を備えた底材を作製し、前記底材中のシーラント層の第2面(換言すると、前記蓋材とシールする側の面)上に、前記包装対象物を載置し、前記底材の前記面と、前記包装対象物とに、これらの上部から前記蓋材を被せ、前記底材と前記蓋材との間の前記包装対象物が配置されている領域を真空引し、前記包装対象物が配置されていない領域において、前記底材と前記蓋材とを加熱シールすることにより、製造できる。
【0177】
加熱シール時の真空引きによる、前記包装対象物が配置されている領域の圧力は、5000Pa(50mbar)以下であることが好ましい。前記圧力が前記上限値以下であることで、被包装物(換言すると、収容物又は包装対象物)の保存適性がより高い包装体が得られる。
【0178】
加熱シール時のシール温度は、特に限定されないが、100~140℃であることが好ましい。前記シール温度がこのような範囲であることで、包装体のより適切なシール強度が得られる。そして、シーラント層がイージーピール層である場合には、前記シール温度が前記下限値以上であることで、例えば、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなり、前記シール温度が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
【0179】
加熱シール時のシール時間は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、1~30秒であることが好ましい。前記シール時間がこのような範囲であることで、包装体のより適切なシール強度が得られる。そして、シーラント層がイージーピール層である場合には、前記シール時間が前記下限値以上であることで、例えば、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなり、前記シール時間が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
【0180】
加熱シール時のシール圧力は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、0.1~1MPaであることが好ましい。前記シール圧力がこのような範囲であることで、包装体のより適切なシール強度が得られる。そして、シーラント層がイージーピール層である場合には、前記シール圧力が前記下限値以上であることで、例えば、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなり、前記シール圧力が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
【0181】
前記底材は、前記積層フィルムを加熱成形することで作製できる。積層フィルムを加熱成形するときの成形温度は、先に説明したとおりである。このときの成形温度が低くても、得られる成形体の光沢性の低下が抑制される。
【実施例0182】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0183】
各実施例又は比較例で用いた樹脂は、以下のとおりである。
LDPE(1):低密度ポリエチレン(ブラスケム社製「SEB853」、密度0.923g/cm3)
LDPE(2):低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「F222NH」、密度0.922g/cm3)
LDPE(3):低密度ポリエチレン(住友化学社製「L211」、密度0.924g/cm3)
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製「ウルトゼックス2022L」、密度0.919g/cm3)
mLLDPE:メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm3)
rPP(1):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレンランダム共重合体、住友化学社製「ノーブレン(登録商標)FH3315」、融点143℃、MFR3g/10min)
rPP(2):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレンランダム共重合体、住友化学社製「ノーブレン(登録商標)FL331G5」、融点138℃、MFR7.8g/10min)
rPP(3):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレンランダム共重合体、住友化学社製「ノーブレン(登録商標)FS3611」、融点132℃、MFR3.5g/10min)
rPP(4):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレンランダム共重合体、住友化学社製「ノーブレン(登録商標)FL6737」、融点130℃、MFR6g/10min)
rPP(5):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレンランダム共重合体、住友化学社製「ノーブレン(登録商標)S131」、融点132℃)
hPP(1):ホモポリプロピレン(住友化学社製「ノーブレン(登録商標)WF836DG3」、融点158℃、MFR7g/10min)
hPP(2):ホモポリプロピレン(住友化学社製「ノーブレン(登録商標)FS2011DG2」、融点158℃、MFR2.5g/10min)
tPP:ポリプロピレンターポリマー(プロピレン-ブテン-エチレン3元共重合体、住友化学社製「ノーブレン(登録商標)FL8115」、融点148℃、MFR7.5g/10min)
Ny6:6-ナイロン(宇部興産社製「1030B」)
EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「J171B」、前記エチレンの共重合比率32モル%)
変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン(接着性樹脂、三井化学社製「アドマー(登録商標)NF536」)
変性PP:酸変性ポリプロピレン(接着性樹脂、三井化学社製「アドマー(登録商標)QF551」)
【0184】
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、
図1に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、シーラント層を構成する樹脂として、前記mLLDPEを用意し、耐ピンホール層を構成する樹脂として、前記Ny6を用意し、外層を構成する樹脂として、前記rPP(1)を用意し、第1接着層を構成する接着性樹脂として、前記変性PEを用意し、第2接着層を構成する接着性樹脂として、前記変性PPを用意した。
【0185】
ダイの温度を250℃とし、前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記rPP(1)とを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(非イージーピール型シーラント層、厚さ52.5μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ37.5μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ45μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
【0186】
<<積層フィルムの評価>>
<成形体のグロスの測定>
金型を用いて、上記で得られた底材用の積層フィルムを、その外層側が凸状となる(そのシーラント層側が凹状となる)ように、絞り深さ30mm、絞り直径100mm、成形温度80℃、成形時間1秒の条件で、深絞り成形することにより、成形体を製造した。
得られた成形体について、外層側の外部から、JIS Z 8741に準拠してグロスを測定した。結果を表1に示す。
【0187】
<成形体の金型に対する追従性の評価>
上記の成形体のグロスの測定時に、同時に、下記基準に従って、成形体の金型に対する追従性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:成形体の光沢性が高く、成形体の金型に対する追従性が高い。
B:成形体の光沢性がやや低く、成形体の金型に対する追従性が、Aの場合よりも低い。
C:成形体の光沢性が低く、成形体の金型に対する追従性が最も低い。
【0188】
<<包装体の製造>>
<蓋材の製造>
前記LLDPEを用いて、Tダイ押出法により、LLDPEフィルム(厚さ40μm)を作製した。
2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、厚さ20μm)と、2軸延伸ナイロンフィルム(ONyフィルム、厚さ15μm)と、上記で得られたLLDPEフィルム(厚さ40μm)と、をこの積層順で、ドライラミネート法で貼り合わせることにより、前記OPPフィルムからなる外層(厚さ20μm)と、前記ONyフィルムからなる中間層(厚さ15μm)と、前記LLDPEフィルムからなるシーラント層(厚さ40μm)と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、積層フィルム(蓋材、厚さ75μm)を作製した。
【0189】
<底材の製造>
深絞り成形機(ムルチバック社製「R-535」)を用いて、別途、上記で得られた底材用の積層フィルムを、成形温度80℃、成形時間1秒の条件で深絞り成形し、凹部を形成することにより、包装体用の底材を作製した。
【0190】
<包装体の製造>
上記で得られた底材の凹部内に食品(鶏胸肉加工品、100g)を配置し、前記蓋材のシーラント層と、前記底材(積層フィルム)のシーラント層と、を対向させて、前記蓋材と前記底材の間で前記食品を挟み、前記蓋材及び底材によって形成された収納部の内部を、時間1秒の条件で真空脱気した。次いで、前記蓋材及び底材の周縁部を、シール温度130℃、シール時間2秒の条件で加熱シールすることにより、包装体(真空包装体、深絞り包装体)を製造した。最終的に、前記収納部(凹部内)の圧力は、15MPaとした。
【0191】
<<包装体の評価>>
<外観の評価>
上記で得られた包装体の外観を、底材側から目視観察し、下記基準に従って、包装体の外観を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:食品が変形しておらず、包装体の外観が優れている。
B:食品がやや変形しており、包装体の外観がAの場合よりも劣っている。
C:食品が大きく変形しており、包装体の外観が最も劣っている。
【0192】
<<積層フィルムの製造及び評価、包装体の製造及び評価>>
[実施例2]
酸素バリア層を構成する樹脂として、前記EVOHを用意し、緩衝層を構成する樹脂として、前記LDPE(1)を用意し、外層を構成する樹脂として、前記rPP(2)を用意した。
ダイの温度を250℃とし、前記mLLDPEと、前記LDPE(1)と、前記変性PEと、前記EVOHと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記rPP(2)とを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(非イージーピール型シーラント層、厚さ22.5μm)、緩衝層(厚さ30μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、酸素バリア層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ30μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ45μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図3に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
この得られた積層フィルムを実施例1の場合と同じ方法で評価し、この得られた積層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、包装体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0193】
[実施例3]
外層を構成する樹脂として、前記rPP(3)を用意し、緩衝層を構成する樹脂として、前記mLLDPEを用意した。
前記LDPE(2)(70質量部)と、前記rPP(5)(30質量部)と、を常温下で混合することにより、イージーピール層形成用組成物(1)を製造した。
ダイの温度を250℃とし、前記イージーピール層形成用組成物(1)と、前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記EVOHと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記rPP(3)とを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(イージーピール層、厚さ7.5μm)、緩衝層(厚さ45μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、酸素バリア層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ30μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ45μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図3に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
この得られた積層フィルムを実施例1の場合と同じ方法で評価し、この得られた積層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、包装体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0194】
[比較例1]
外層を構成する樹脂として、前記hPP(1)を用意した。
そして、前記rPP(1)に代えて、前記hPP(1)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、シーラント層(非イージーピール型シーラント層、厚さ52.5μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ37.5μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ45μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図1に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
この得られた積層フィルムを実施例1の場合と同じ方法で評価し、この得られた積層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、包装体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0195】
[比較例2]
外層を構成する樹脂として、前記tPPを用意した。
ダイの温度を250℃とし、前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記EVOHと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記tPPとを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(非イージーピール型シーラント層、厚さ52.5μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、酸素バリア層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ30μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ45μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図2に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
この得られた積層フィルムを実施例1の場合と同じ方法で評価し、この得られた積層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、包装体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0196】
[比較例3]
外層を構成する樹脂として、前記rPP(4)を用意した。
そして、前記rPP(3)に代えて、前記rPP(4)を用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、シーラント層(イージーピール層、厚さ7.5μm)、緩衝層(厚さ45μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、酸素バリア層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ30μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ45μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図3に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
この得られた積層フィルムを実施例1の場合と同じ方法で評価し、この得られた積層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、包装体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0197】
【0198】
【0199】
上記結果から明らかなように、実施例1~3においては、積層フィルムを低温で成形して得られた成形体のグロスが90%以上(90~94%)であり、これら成形体の光沢性が高かった。そして、これを反映して、実施例1~3においては、包装体の外観が優れていた。さらに、実施例1~3においては、成形体の金型に対する追従性が高く、積層フィルムはより優れた特性を有していた。
【0200】
実施例1~3においては、積層フィルム中の外層が、樹脂としてrPP(rPP(1)~rPP(3))、すなわちプロピレン系重合体(a)を含んでおり、これらrPPの融点は132~143℃であり、これらrPPのMFRは3~7.8g/10minであった。
【0201】
これに対して、比較例1~3においては、積層フィルムを低温で成形して得られた成形体のグロスが88%以下(62~88%)であり、これら成形体の光沢性が低かった。
【0202】
比較例1~2においては、積層フィルム中の外層が、樹脂としてhPP(1)又はtPPを含んでおり、これらPP系樹脂の融点は148℃以上(148~158℃)あった。
比較例3においては、積層フィルム中の外層が、樹脂としてrPP(rPP(4))を含んでいたが、このrPPの融点は130℃であり、このrPPはプロピレン系重合体(a)ではなかった。
【0203】
さらに、比較例2においては、成形体の金型に対する追従性も低く、積層フィルムの特性が劣っており、包装体の外観も劣っていた。
比較例1においては、成形体の金型に対する追従性が最も低く、積層フィルムの特性が最も劣っており、包装体の外観も最も劣っていた。
比較例1~2においては、積層フィルム中の外層が、樹脂として、rPPではなく、それ以外のPP系樹脂を含んでいた。比較例1~2は、比較例3よりも、成形体の光沢性が低かった。
【0204】
[実施例4]
<<積層フィルムの製造>>
緩衝層を構成する樹脂として、前記LLDPEを用意し、耐ピンホール層を構成する樹脂として、前記Ny6を用意し、シーラント層を構成する樹脂として、前記LDPE(3)、及び前記hPP(2)を用意した。
前記LDPE(3)(80質量部)と前記hPP(2)(20質量部)を常温下で混合することにより、イージーピール層形成用組成物(2)を製造した。
ダイの温度を250℃とし、前記イージーピール層形成用組成物(2)と、前記LLDPEと、前記変性PEと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記rPP(2)とを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(イージーピール層、厚さ10.5μm)、緩衝層(厚さ42μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、耐ピンホール層(厚さ42μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ40.5μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図4に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
【0205】
<<積層フィルムの評価>>
<成形体のグロスの測定>
金型を用いて、上記で得られた底材用の積層フィルムを、絞り深さ30mm、絞り直径100mm、成形温度60℃、成形時間1秒の条件で、深絞り成形することにより、成形体を製造した。さらに、成形温度を60℃に代えて、70℃、80℃、90℃及び100℃とした点以外は、上記と同じ方法で、成形体を製造した。すなわち、成形温度が異なる成形体を、5種製造した。
得られたこれら成形体について、外層側の外部から、JIS Z 8741に準拠してグロスを測定した。結果を表3に示す。
【0206】
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[比較例4]
ダイの温度を250℃とし、前記イージーピール層形成用組成物(2)と、前記LLDPEと、前記変性PEと、前記EVOHと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記tPPとを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(イージーピール層、厚さ10.5μm)、緩衝層(厚さ45μm)、第1接着層(厚さ7.5μm)、酸素バリア層(厚さ9μm)、耐ピンホール層(厚さ30μm)、第2接着層(厚さ7.5μm)及び外層(厚さ40.5μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、
図3に示す構成の底材用の積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
この得られた積層フィルムを実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0207】
【0208】
上記結果から明らかなように、実施例4においては、積層フィルムの成形温度が100℃以下の範囲で、得られた成形体のグロスが91%以上(91~95%)であり、これら成形体の光沢性が高かった。すなわち、積層フィルムを幅広い範囲で、低温で成形しても、いずれも得られた成形体の光沢性が高かった。
【0209】
実施例4においては、積層フィルム中の外層が、樹脂としてrPP(rPP(2))を含んでおり、このrPPの融点は138℃であり、このrPPのMFRは7.8g/10minであった。
【0210】
これに対して、比較例4においては、積層フィルムの成形温度が100℃以下の範囲で、得られた成形体のグロスが75%以下(54~75%)であり、これら成形体の光沢性が低かった。そして、成形温度が低いほど、成形体の光沢性が低くなる傾向が、顕著であった。
比較例4においては、積層フィルム中の外層が、樹脂としてtPPを含んでおり、このPP系樹脂の融点は148℃あった。