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  • 特開-バスバー位置決め構造及び電気機器 図1
  • 特開-バスバー位置決め構造及び電気機器 図2
  • 特開-バスバー位置決め構造及び電気機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015550
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】バスバー位置決め構造及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240130BHJP
   H01R 9/18 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01R9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117666
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 佑典
【テーマコード(参考)】
5E086
5H770
【Fターム(参考)】
5E086CC22
5E086DD05
5E086LL04
5E086LL13
5E086LL17
5H770AA05
5H770AA24
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770QA12
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】バスバーの組み立て性の向上と共にバスバーを備える装置の省スペース化及びバスバーに流れる電流への影響の低減を図る。
【解決手段】バスバー位置決め構造1は、インバータ装置2の電気部品と接続する一対のバスバーP,Nが配置される端子台3と、この端子台3に突設されてバスバーP,Nの配置を位置決めすると共に締結具が螺着されるナット4と、を有する。バスバーP,Nには、ナット4の一端が挿入されると共に前記締結具が挿通される挿通孔P1,N1が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の電気部品と接続する一対のバスバーが配置される端子台と、
この端子台に突設されて前記バスバーの配置を位置決めすると共に締結具が螺着されるナットと、
を有し、
前記バスバーには、前記ナットの一端が挿入されると共に前記締結具が挿通される挿通孔が形成されたことを特徴とするバスバー位置決め構造。
【請求項2】
前記ナットの突出長さは、前記バスバーの厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項3】
前記電気機器は、インバータ装置であり、
前記電気部品は、前記インバータ装置のスイッチング素子と接続される直流コンデンサであること
を特徴する請求項1に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項4】
前記端子台は、前記電気部品の端子部であり、
前記電気機器は、インバータ装置であり、
前記電気部品は、直流コンデンサであること
を特徴する請求項1に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のバスバー位置決め構造を有することを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置等の電気機器に適用されるバスバーの位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置において直流コンデンサとスイッチング素子とが低インダクタンス且つ低インピーダンスのバスバーにより接続されることが多い。前記バスバーとしては例えば特許文献1の回転機駆動装置に適用されるサージ抑制用のバスバーが挙げられる。本バスバーによれば、スイッチング素子のスイッチング動作時のサージ電圧低減による過電圧破壊が抑制され、バスバーの低インピーダンス化による電力損失の低減、さらには、省スペース並びに低コストの効果が得られる。
【0003】
また、前記バスバーを前記直流コンデンサや前記スイッチング素子の端子にネジ固定する作業の際には、当該バスバーに位置決めピンを設けて固定すると当該ネジ固定の作業が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-140210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記バスバーに位置止めピンにより固定するためには、当該バスバーに位置止めピン用の貫通孔を確保しなければならない。
【0006】
前記バスバーに前記貫通孔が形成されると、当該バスバーのインダクタンス並びにインピーダンスが増大し、スイッチング素子のスイッチング動作時のサージ電圧を低減できなくなる、さらには、当該バスバーの電力損失を低減できなくなる、おそれがある。
【0007】
よって、前記バスバーに設ける位置決めピン穴は、前記バスバーのインダクタンス値やインピーダンス値を極力大きくしないために可能であれば位置決めピン用の穴を開ける以外の方法で位置を規制することが望ましい。
【0008】
本発明は、以上の事情を鑑み、バスバーの組み立て性の向上と共にバスバーを備える装置の省スペース化及びバスバーに流れる電流への影響の低減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の一態様は、電気機器の電気部品と接続する一対のバスバーが配置される端子台と、この端子台に突設されて前記バスバーの配置を位置決めすると共に締結具が螺着されるナットと、を有し、前記バスバーには、前記ナットの一端が挿入されると共に前記締結具が挿通される挿通孔が形成されたバスバー位置決め構造である。
【0010】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記ナットの突出長さは、前記バスバーの厚さよりも小さく設定される。
【0011】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記電気機器は、インバータ装置であり、前記電気部品は、前記インバータ装置のスイッチング素子と接続される直流コンデンサである。
【0012】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記端子台は、前記電気部品の端子部であり、前記電気機器は、インバータ装置であり、前記電気部品は、直流コンデンサである。
【0013】
本発明の一態様は、上記のバスバー位置決め構造を有する電気機器である。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、バスバーの組み立て性の向上と共にバスバーを備える装置の省スペース化及びバスバーに流れる電流への影響の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電気機器に適用された本発明の一態様であるバスバー位置決め構造の平面図。
図2】(a)図1のA-A断面図、(b)当該断面図の領域Bの拡大図。
図3図1のバスバーが接続されるパワーモジュールの基本回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1に示された本発明の一態様であるバスバー位置決め構造1は、電気機器の一例であるインバータ装置2の筐体20内の端子台3に適用される。
【0018】
バスバー位置決め構造1は、一対のバスバーP,Nが配置される端子台3と、この端子台3に突設されてバスバーP,Nの配置を位置決めすると共にバスバーP,Nと直流入力用ハーネス(図示省略)とを導通させる締結具が螺着される一対のナット4と、を有する。尚、直流入力用ハーネスは、インバータ装置2の外部にあるバッテリと端子台3とを接続する。これにより、インバータ装置2には直流電力が通電される。
【0019】
バスバーPは、例えば、直流入力用ハーネスのP極側とインバータ装置2の電気部品である図3に示した直流コンデンサCのP極側とを接続する。バスバーPの一端側には、端子台3から突出した一方のナット4の一端が挿入されると共に後述の締結具が挿通される挿通孔P1が形成される。バスバーPの他端側には、直流コンデンサCのP極端子との接続用の挿入孔P2(図示省略)が形成される。
【0020】
バスバーNは、例えば、直流入力用ハーネスのN極側と直流コンデンサCのN極側とを接続する。バスバーNの一端側には、端子台3から突出した他方のナット4の一端が挿入されると共に後述の締結具が挿通される挿通孔N1が形成される。バスバーNの他端側には、直流コンデンサCのN極端子との接続用の挿入孔N2(図示省略)が形成される。
【0021】
端子台3は、筐体20内に導入されたバスバーP,Nが配置される樹脂製の台座部30を有する。台座部30にはナット4が挿入固定される挿入孔31が形成される。
【0022】
一対のナット4には、例えば、バスバーP,Nと直流入力用ハーネスとを導通させる図示省略の締結具が螺着される。一方のナット4は、例えば、直流入力用ハーネスのP極側と導通する。他方のナット4は、例えば、直流入力用ハーネスのN極側と導通する。
【0023】
ナット4は、図2のように一端が鉛直に突出して台座部30の挿入孔31に挿入固定される。ナット4の突出長さLは、バスバーP,Nの厚さTよりも小さく設定される。一方のナット4には、バスバーP及び図示省略の直流入力用ハーネスのP側端子を端子台3に固定する締結具の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成される。他方のナット4には、バスバーN及び図示省略の直流入力用ハーネスのN側端子を端子台3に固定する締結具の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成される。尚、前記締結具には、当該締結具がナット4に螺着された際にバスバーP,Nの上面を押圧するワッシャが具備される。
【0024】
図1~3を参照してインバータ装置2の組み立て手順の一例について説明する。
【0025】
先ず、直流コンデンサCに接続されたバスバーP,Nが筐体20内の端子台3に配置される。すなわち、端子台3から突出した一方のナット4がバスバーPの挿通孔P1に挿入されると共に端子台3から突出した他方のナット4がバスバーNの挿通孔N1に挿入されて、バスバーP,Nが端子台3の台座部30に載置される。これにより、端子台3におけるバスバーP,Nの配置の位置決めが完了する。次いで、このバスバーP,Nの挿通孔P1,N1に挿入されたナット4に前記締結具が螺着されると当該締結具のワッシャが直流入力用ハーネスのP端子及びN端子を介してバスバーP,Nの上面を押圧してバスバーPと一方のナット4との導通及びバスバーNと他方のナット4との導通が確保される。そして、これにより、直流入力用ハーネスは一対のナット4を介して直流コンデンサCと導通する。
【0026】
以上のバスバー位置決め構造1によれば、バスバーP,Nを端子台3に固定する締結具が螺着されるナット4が端子台3から突出することで、バスバーP,Nとナット4の締結と共に、端子台3におけるバスバーP,Nの挿通孔P1,N1の位置が規定される。したがって、バスバーP,Nにおいて位置決めピンを通すための貫通孔が不要となるので、バスバーのインダクタンス、インピーダンスの低減が可能となる。
【0027】
また、バスバーP,Nの挿通孔P1,N1は、従来通りのバスバーP,Nと端子台3の接合用なので、バスバーP,Nのインダクタンス、インピーダンスの増大を回避できる。さらに、バスバーP,Nから突出しない程度にバスバーP,Nの挿通孔P1,N1に挿入されたナット4に前記締結具が螺着されるので従来の位置規制方法と比べて確実にバスバーP,Nと一対のナット4を締結できる。
【0028】
したがって、バスバー位置決め構造1によれば、バスバーP,Nの組立性の向上、バスバーP,Nのインダクタンス、インピーダンス、損失、発熱の増加の抑制が図られる。また、バスバーP,Nの低インダクタンス化によるスイッチング素子のサージ電圧の低減、バスバーP,Nの低インピーダンス化によりインバータ装置2の電力効率が向上する。よって、バスバーP,Nの組み立て性の向上と共にバスバーP,Nを備える装置の省スペース化及びバスバーP,Nに流れる電流への影響の低減を図ることができる。
【0029】
以上の実施形態は、独立の端子台3にナット4が突設されているが、端子台3の代わりに、パワーモジュール11や直流コンデンサCなどの電気部品の端子部に突設されたナットにバスバーP,Nを締結させる態様としてもよい(本態様では、前記電気部品の端子部を端子台とみなす)。また、バスバーP,Nを用いるインバータ以外の電気機器にも本発明のバスバー位置決め構造を適用できる。
【符号の説明】
【0030】
1…バスバー位置決め構造
2…インバータ装置、20…筐体
3…端子台、30…台座部、31…挿入孔
4…ナット、L…突出長さ
11…パワーモジュール、S1~S6…スイッチング素子
C…直流コンデンサ
P…バスバー、P1,P2…挿通孔
N…バスバー、N1,N2…挿通孔、T…厚さ、a…領域
図1
図2
図3