(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155502
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ナトリウム冷却高速炉の電気ペネトレーション構造
(51)【国際特許分類】
G21D 1/00 20060101AFI20241024BHJP
G21C 13/036 20060101ALI20241024BHJP
G21C 11/02 20060101ALI20241024BHJP
G21F 1/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G21D1/00 M
G21C13/036
G21C11/02 200
G21F1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070266
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】307041573
【氏名又は名称】三菱FBRシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】平松 貴志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】黒木 博▲徳▼
(57)【要約】
【課題】耐熱性及び放射線遮蔽性に優れた電気ペネトレーション構造を提供する。
【解決手段】この電気ペネトレーション構造S100は、原子炉容器10を収容する格納容器20の壁又はナトリウムを冷却材とする機器若しくは配管を収容する部屋の壁を貫通するように設けられたスリーブ31と、スリーブ31の内部に設けられ、格納容器20の内側に面する内側端面及び格納容器の外側に面する外側端面を有する中空の筒状胴体35と、筒状胴体35の内部に通された無機絶縁ケーブル70と、筒状胴体35に配置され、内側端面側から外側端面側に放射線が通過するのを遮蔽する、酸化ビスマスで形成された放射線遮蔽板40とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉容器を収容する格納容器の壁又はナトリウムを冷却材とする機器若しくは配管を収容する部屋の壁を貫通するように設けられたスリーブと、
前記スリーブの内部に設けられ、前記格納容器の内側に面する内側端面及び前記格納容器の外側に面する外側端面を有する中空の筒状胴体と、
前記筒状胴体の内部に通された無機絶縁ケーブルと、
前記筒状胴体に配置され、前記内側端面側から前記外側端面側に放射線が通過するのを遮蔽する、酸化ビスマスで形成された放射線遮蔽板と、
を有する、電気ペネトレーション構造。
【請求項2】
前記放射線遮蔽板として、
前記筒状胴体の前記内側端面に近い側に配置された第1放射線遮蔽板と、
前記第1放射線遮蔽板から前記筒状胴体の軸線方向に離れた位置に配置された第2放射線遮蔽板とが設けられている、
請求項1に記載の電気ペネトレーション構造。
【請求項3】
前記第1放射線遮蔽板及び前記第2放射線遮蔽板は、前記無機絶縁ケーブルが通される貫通孔を有し、
前記第1放射線遮蔽板の前記貫通孔と、前記第2放射線遮蔽板の前記貫通孔とが同一直線上に位置していない、
請求項2に記載の電気ペネトレーション構造。
【請求項4】
前記筒状胴体は、
前記外側端面に配置された端板を有し、前記端板には、前記無機絶縁ケーブルが通される筒状スリーブが形成されており、
前記筒状スリーブの端面と、前記無機絶縁ケーブルのシースとが溶接により固定されている、
請求項1又は2に記載の電気ペネトレーション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウム冷却高速炉の電気ペネトレーション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子炉格納容器やナトリウム冷却材機器室の隔壁を貫通する電気配線は、放射線の遮蔽及び気密性の確保のため、電気ペネトレーションと呼ばれる電気配線貫通構造の内部を通過するように配線される。特許文献1には、高温及び高圧の条件下での性能が維持されるように、中空の胴体内に配置されるケーブルを無機絶縁ケーブルとした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばナトリウムのような高温の冷却材が原子炉容器やナトリウム冷却材機器、配管から漏洩した場合における耐熱性及び放射線の遮蔽性能の観点で、従来の構造では改善の余地が残されていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び放射線遮蔽性に優れた電気ペネトレーション構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態の電気ペネトレーション構造は、原子炉容器を収容する格納容器の壁又はナトリウムを冷却材とする機器若しくは配管を収容する部屋の壁を貫通するように設けられたスリーブと、前記スリーブの内部に設けられ、前記格納容器の内側に面する内側端面及び前記格納容器の外側に面する外側端面を有する中空の筒状胴体と、前記筒状胴体の内部に通された無機絶縁ケーブルと、前記筒状胴体に配置され、前記内側端面側から前記外側端面側に放射線が通過するのを遮蔽する、酸化ビスマスで形成された放射線遮蔽板と、を有する。
【0007】
前記放射線遮蔽板として、前記筒状胴体の前記内側端面に近い側に配置された第1放射線遮蔽板と、前記第1放射線遮蔽板から前記筒状胴体の軸線方向に離れた位置に配置された第2放射線遮蔽板とが設けられていてもよい。
【0008】
前記第1放射線遮蔽板及び前記第2放射線遮蔽板は、前記無機絶縁ケーブルが通される貫通孔を有し、前記第1放射線遮蔽板の前記貫通孔と、前記第2放射線遮蔽板の前記貫通孔とが同一直線上に位置していてもよい。
【0009】
前記筒状胴体は、前記外側端面に配置された端板を有し、前記端板には、前記無機絶縁ケーブルが通される筒状スリーブが形成されており、前記筒状スリーブの端面と、前記無機絶縁ケーブルのシースとが溶接により固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐熱性及び放射線遮蔽性に優れた電気ペネトレーション構造を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一形態のナトリウム冷却高速炉の電気ペネトレーション構造を含む高速炉を模式的に示す図である。
【
図2】電気ペネトレーション構造を示す断面図である。
【
図3】端板におけるケーブルの固定構造を示す断面図である。
【
図4】電気ペネトレーション構造の変形例を示す図である。
【
図5】複数の複数のケーブルが通された端板の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一形態のナトリウム冷却高速炉の電気ペネトレーション構造を含む高速炉を模式的に示す図である。
図2は、電気ペネトレーション構造を示す断面図である。
【0013】
図1の高速炉1は、主要な構成要素として、原子炉容器10と、格納容器20と、電気ペネトレーション構造S100とを備えている。本実施形態の構成は、原子炉容器10の冷却材であるナトリウムが漏洩した場合であっても、ナトリウム及び放射線が外部に放出されるのを防止するために、酸化ビスマス製の遮蔽材が設けられた電気ペネトレーション構造S100が設けられていることを特徴の1つとする。
【0014】
原子炉容器10は、炉心11を冷却材15とともに収容する容器である。原子炉容器10は、タンク型の高速炉1では主容器とも呼ばれ、例えば15m~20m程度の直径を有する。
【0015】
炉心11は、核燃料である燃料集合体及び制御棒(いずれも不図示)を有する。冷却材15は、本実施形態ではナトリウムであり、炉心11を冷却する。冷却材15は、原子炉容器10内に配置された不図示のポンプの作用によって、原子炉容器10内において循環する。高速炉1の運転時のナトリウム冷却材の温度は一例として500℃以上である。
【0016】
原子炉容器10には、計器18が設けられている。
図1では、1つの計器18のみが描かれているが、原子炉容器10には原子炉容器10及びその内部に収容された要素の各種状態を計測する複数の計器18が設けられている。具体的には、計器18は、例えば、温度計、流量計、圧力計及び液位計などである。計器18は、計測信号をケーブル70経由で外部に伝送する。
【0017】
格納容器20は、原子炉容器10を包囲する容器である。
図1では、格納容器20が原子炉容器10を包囲しているが、格納容器20は、ナトリウムを冷却材とする他の機器を収容する容器であってもよい。格納容器20は、ナトリウムを冷却材とするそのような他の機器を、原子炉容器10とともに収容するものであってもよい。格納容器20は、例えば、ナトリウムを冷却材とする他の機器が配置された窒素雰囲気室を収容するものであってもよい。
【0018】
電気ペネトレーション構造S100は、計器18に接続されたケーブル70や、格納容器20内の機器に外部から電力を供給するためのケーブルが通される構造体である。以下では計器18に接続されたケーブル70を例として説明する。電気ペネトレーション構造S100は、
図2に示すように、スリーブ31と、筒状胴体35と、ケーブル70と、放射線遮蔽板40とを有する。
【0019】
スリーブ31及び筒状胴体35はいずれも金属製である。スリーブ31は、筒状に形成されている。スリーブ31は、例えば円筒である。スリーブ31は格納容器20の壁21を貫通するように設けられている。スリーブ31は、一例として、その軸線が壁21の厚み方向と並行になる向きで壁21に固定されている。
【0020】
筒状胴体35は、筒体36、端板37A、及び端板37Bを有している。筒状胴体35は、スリーブ31の内部に設けられた中空の部材であり、密閉された内部空間を形成する。筒状胴体35内には、窒素ガスが封入され、圧力計により内部の圧力が計測される。
【0021】
筒体36は、スリーブ31の内部に配置される大きさに形成されている。筒体36は、
図2の例では、スリーブ31の軸方向の長さよりも長く形成されている。
【0022】
端板37Aは、筒体36の一端(図示左側)の開口部を塞ぐように筒体36に固定されている。端板37Aは、筒状胴体35における、格納容器20の内側に面する内側端面を構成している。端板37Bも端板37Aと同様の構造を有する。端板37Bは、筒体36の他端(図示右側)の開口部を塞ぐように筒体36に固定されている。端板37Bは、筒状胴体35における、格納容器20の外側に面する外側端面を構成している。
【0023】
筒状胴体35のスリーブ31に対する固定方式は特定の構造に限定されない。筒状胴体35は、
図2に示すように、例えばスリーブ31と筒状胴体35との間に設けられた固定部材51によってスリーブ31に固定される。固定部材51は、この例では端板37Bに近い側の端部付近に設けられている。端板37Aに近い側の端部付近では、スリーブ31と筒状胴体35との間にOリング52が設けられている。
【0024】
ケーブル70は、上述したように、計器18に接続されたケーブルである。ケーブル70は、例えば無機絶縁(Mineral Insulation:MI)ケーブルであり、内部の芯線が、酸化マグネシウムなどの無機絶縁物と、さらに保護管であるシースとによって覆われた構成を有している。シースは、例えば、SUS304製の金属製シースである。ケーブル70は、電気ペネトレーション構造S100を通じて格納容器20の内部から外部へと引き出される。
図2では、1本のケーブル70のみが示されているが、図示されているケーブル70と同様に形成された複数のケーブルが筒状胴体35内に通されていてもよい。
【0025】
ケーブル70は、
図2に示すように、電気ペネトレーション構造S100のうち筒状胴体35の内部に通される。ケーブル70は、筒状胴体35の延在方向に沿うような向きに延在している。具体的には、ケーブル70は、一方の端板37Aを貫通し、筒体36の内部において延在し、他方の端板37Aを貫通して格納容器20の外部に延び出している。
【0026】
ケーブル70は、筒状胴体35の内部を真っ直ぐに延在していてもよいが、本実施形態では、ケーブル70は、部分的に湾曲した態様で延在している。ケーブル70は、第1部分71、屈曲部72、第2部分73、屈曲部74及び第3部分75を有する。第1部分71、第2部分73及び第3部分75は、直線状に延在する部分である。第1部分71は、端板37Aを貫通している。
【0027】
第2部分73は、屈曲部72を介して第1部分71につながっている。第2部分73は、第1部分71の軸線上には位置しないように、オフセットした位置に延在している。第3部分75は、屈曲部74を介して第2部分73につながっている。第3部分75も、第2部分73の軸線上には位置しないように、オフセットした位置に延在している。第3部分75と第1部分71とは、本実施形態では、一例として同軸上に位置しているが、本発明においては、第3部分75と第1部分71とが同軸上に位置していなくてもよい。
【0028】
放射線遮蔽板40は、放射線が通過するのを遮蔽する部材である。放射線遮蔽板40は、この例では、筒状胴体35の端板37Aに近い側に配置されている。放射線遮蔽板40は、一例として円筒の筒状胴体35の内部に嵌め込まれる円盤形状の部材である。放射線遮蔽板40は、ケーブル70の第1部分71が通される貫通孔40hを有している。貫通孔40hは、放射線遮蔽板40の厚み方向に延在するように形成されている。
【0029】
放射線遮蔽板40は、十分な放射線の遮蔽性と耐熱性とを有する材質で形成されている。放射線遮蔽板40は、本実施形態では酸化ビスマス(Bi2O3)で形成されている。放射線遮蔽板40が、例えば鉛の場合、鉛の融点は327.5℃程度であるため、500℃以上となるナトリウム冷却材に対して耐熱性が不十分である。これに対して、放射線遮蔽板40が酸化ビスマス製の場合、酸化ビスマスの融点は817℃程度であるため、ナトリウム冷却材に対して十分な耐熱性を有する。
【0030】
放射線遮蔽板40は、
図2に示すように、この例では、内側の端面40aがスリーブ31の端面よりも格納容器20の内側に向かって突出している。放射線遮蔽板40のうち端面40aとは反対側の端面40bは、Oリング52が配置された位置よりも外側(図示右側)に位置している。
【0031】
上記のように、本実施形態の電気ペネトレーション構造S100では、酸化ビスマスで形成され、放射線が端板37A側から端板37B側に通過するのを遮断する放射線遮蔽板40が設けられている。この放射線遮蔽板40は、十分な放射線遮蔽性を有するとともに、ナトリウム冷却材に対する耐熱性も備えている。したがって、ナトリウムのような高温の冷却材が仮に漏洩した場合であっても、電気ペネトレーション構造S100が破損せず、外部に放射線が漏出することが防止される。
【0032】
(端板におけるケーブル70の固定構造)
図3は、端板におけるケーブル70の固定構造を示す断面図である。なお、
図3では複数のケーブル70が設けられた構成が示されている。このような固定構造は、本実施形態では端板37Aと端板37Bとの両方に設けられているが、以下では、端板37Bを例として説明する。
【0033】
端板37Bには筒状スリーブ39が設けられている。筒状スリーブ39は、例えば円筒であり、端板37Bに対して垂直に延在する向きに固定されている。筒状スリーブ39の内部にはケーブル70が通される。
【0034】
ケーブル70を筒状スリーブ39に対して固定するためには、例えば、筒状スリーブ39の全周をかしめたり、締付け具を用いたりすることも考えられるが、本実施形態では、溶接によりケーブル70と筒状スリーブ39とが固定されている。具体的には、筒状スリーブ39の端板37Bから遠い側の端面と、ケーブル70のシースの外周面とが溶接により固定されている。
【0035】
このような溶接による固定の場合、溶接部Wが筒状スリーブ39の端面付近に形成されるため、筒状スリーブ39をかしめる方式や、締付け具を用いてケーブル70を筒状スリーブ39に固定する方式と比較して構成を小型化することができる。なお溶接部Wは、筒状スリーブ39の直径より小さな直径に形成されていることが一形態において好ましい。
【0036】
(電気ペネトレーション構造S100の効果)
以上説明したように、本実施形態の電気ペネトレーション構造S100によれば、筒状胴体35に酸化ビスマス製の放射線遮蔽板40が設けられているため、放射線が外部へと放出されることが防止され、また、仮に高温のナトリウム冷却材が漏洩した場合であっても、放射線遮蔽板40は十分な耐熱性を有しているので電気ペネトレーション構造S100の外部に放射線が漏出することが防止される。
【0037】
<変形例1>
図4は、電気ペネトレーション構造の変形例を示す図である。
図4の電気ペネトレーション構造S101は、放射線遮蔽板40として、第1放射線遮蔽板41と、第2放射線遮蔽板42とを有している。その他の構造は、上述した電気ペネトレーション構造S100と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0038】
第1放射線遮蔽板41は、端板37Aに近い側に配置されている。第1放射線遮蔽板41は、一例として、上述した放射線遮蔽板40と同様の形状であり、材質も同じである。第2放射線遮蔽板42は、第1放射線遮蔽板41から筒状胴体35の軸線方向に離れた位置に配置されている。第2放射線遮蔽板42は、第1放射線遮蔽板41と同様、酸化ビスマス製である。第2放射線遮蔽板42には、ケーブル70が通される貫通孔42hが形成されている。第1放射線遮蔽板41と第2放射線遮蔽板42との間には、例えば、窒素が充填されている。
【0039】
第1放射線遮蔽板41及び第2放射線遮蔽板42は、第1放射線遮蔽板41の貫通孔41hと、第2放射線遮蔽板42の貫通孔42hとが同一直線上に位置しないように設けられている。このように、一方の遮蔽板の貫通孔と他方の遮蔽板の貫通孔とが同一直線上に位置しない構成によれば、貫通孔の延在方向(ここでは遮蔽板の厚み方向)に貫通孔41hとケーブル70との隙間を通って進む放射線を第2放射線遮蔽板42で効果的に遮蔽することができる。
【0040】
電気ペネトレーション構造S101の組立てに関し、例えば、まず第2放射線遮蔽板42に対してケーブル70が通され、その後、屈曲部72及び屈曲部74が形成された後、第1部分71が第1放射線遮蔽板41及び端板37Aに通され、第3部分75が端板37Bに通されてもよい。このような手順の結果、一例として、屈曲部72は第1放射線遮蔽板41と第2放射線遮蔽板42との間の空間に位置し、屈曲部74は第2放射線遮蔽板44と端板37Bとの間の空間に位置している。
【0041】
なお、第1放射線遮蔽板41が複数の貫通孔41hを有し、第2放射線遮蔽板42が複数の貫通孔42hを有する場合であっても、第1放射線遮蔽板41の貫通孔41hと第2放射線遮蔽板42の貫通孔42hとが同一直線上に位置していないことが一形態において好ましい。第1放射線遮蔽板41は、第2放射線遮蔽板42の厚みと同一であってもよいし、第2放射線遮蔽板42よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0042】
<変形例2>
図5は、複数のケーブルが通された端板の例を示す図である。
図5では端板37Bが例示されている。複数のケーブル70は例えば
図5のような配置で設けられていてもよい。この例では、端板37Bの中心に1本のケーブル70が通されている。また、端板37Bの中心を中心とする複数の同心円のそれぞれに所定の本数ずつケーブル70が配置されている。
図3を参照して説明したような、溶接を用いたケーブル70の固定によれば、
図5のように高密度で複数のケーブル70を配置することが可能となる。
【0043】
(他の変形態様)
以上、
図4では、2つの放射線遮蔽板が設けられた構造を例示したが、電気ペネトレーション構造は、3つ以上の複数の放射線遮蔽板を有していてもよい。上記の実施形態では、電気ペネトレーション構造が格納容器に設けられた構成を例示したが、電気ペネトレーション構造は、ナトリウムである冷却材が通過する配管を収容する部屋の壁に設けられてもよい。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0045】
1 高速炉
10 原子炉容器
11 炉心
15 冷却材
18 計器
20 格納容器
21 壁
31 スリーブ
35 筒状胴体
36 筒体
37A 端板
37B 端板
39 筒状スリーブ
40 放射線遮蔽板
40a 端面
40b 端面
40h 貫通孔
41 第1放射線遮蔽板
41h 貫通孔
42 第2放射線遮蔽板
42h 貫通孔
51 固定部材
52 Oリング
70 ケーブル
71 第1部分
72 屈曲部
73 第2部分
74 屈曲部
75 第3部分
S100、S101 電気ペネトレーション構造
W 溶接部