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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155504
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】実装システム及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070272
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉野 晋平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 誠一
(72)【発明者】
【氏名】古川 大介
(72)【発明者】
【氏名】海老原 悠人
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC04
5E353DD11
5E353EE51
5E353EE89
5E353GG01
5E353JJ13
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353QQ11
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板に対する部品の実装精度を向上させる。
【解決手段】実装システム1は、実装ヘッド2と、移動機構4と、制御部5と、撮像部3と、を備える。実装ヘッド2は、部品100を捕捉し、捕捉した部品100を基板200に実装する。移動機構4は、第1位置に向けて実装ヘッド2を移動させる。制御部5は、移動機構4の駆動を制御する。撮像部3は、実装ヘッド2が第2位置に到達すると撮像対象T1を撮像する。実装システム1は、トルク制限部53を更に備える。トルク制限部53は、制御部5が撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、移動機構4に含まれるモータのトルクを所定トルク値以下に制限する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を捕捉し、捕捉した前記部品を基板に実装する実装ヘッドと、
第1位置に向けて前記実装ヘッドを移動させる移動機構と、
前記移動機構の駆動を制御する制御部と、
前記基板に対する前記部品の実装位置、及び前記部品を供給する部品供給部における前記部品の吸着位置の少なくとも一方の撮像対象を撮像する撮像部と、を備え、
前記移動機構は、
モータを含み、前記モータにより前記実装ヘッドを移動させる駆動部を有し、
前記撮像部は、前記実装ヘッドが前記第1位置よりも手前の第2位置に到達すると前記撮像対象を撮像し、
前記制御部が前記撮像部による前記撮像対象の撮像結果に基づいて前記実装ヘッドを移動させる際に、前記モータのトルクを所定トルク値以下に制限するトルク制限部を更に備える、
実装システム。
【請求項2】
前記トルク制限部は、前記モータに供給される電流を前記所定トルク値に対応する所定電流値以下に制限する、
請求項1に記載の実装システム。
【請求項3】
前記トルク制限部は、前記撮像結果に基づく補正後の目標位置である第3位置に向けて前記実装ヘッドを移動させるための移動指令を生成し、生成した前記移動指令を前記駆動部に出力する、
請求項1に記載の実装システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮像結果に基づいて前記実装ヘッドを移動させる際に、前記トルク制限部からの前記移動指令に基づいて前記実装ヘッドを加速又は減速させる、
請求項3に記載の実装システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1位置と前記第2位置との間の距離である第1距離が、前記第3位置と前記第2位置との間の距離である第2距離よりも短い場合に、前記トルク制限部からの前記移動指令に基づいて前記実装ヘッドを加速させる、
請求項4に記載の実装システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1位置と前記第2位置との間の距離である第1距離が、前記第3位置と前記第2位置との間の距離である第2距離よりも長い場合に、前記トルク制限部からの前記移動指令に基づいて前記実装ヘッドを減速させる、
請求項4に記載の実装システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1位置と前記第2位置との間の距離である第1距離が、前記第3位置と前記第2位置との間の距離である第2距離よりも長い場合に、前記第1位置に到達するまで前記実装ヘッドを移動させた後、前記トルク制限部からの前記移動指令に基づいて前記第3位置に向けて前記実装ヘッドを移動させる、
請求項4に記載の実装システム。
【請求項8】
前記所定トルク値は、前記実装システムの少なくとも一部を含む実装装置ごとに予め決められている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項9】
前記所定トルク値は、前記実装ヘッドの種類に応じて変更される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1位置に向けて前記実装ヘッドを移動させるための第1移動指令を生成する第1制御部と、
前記トルク制限部に相当し、前記撮像結果に基づいて前記実装ヘッドを移動させるための第2移動指令を生成する第2制御部と、を含み、
前記撮像部は、前記撮像結果に基づく前記撮像対象の位置と前記第1位置とのずれ量を前記第2制御部に出力し、
前記第2位置までの第1移動区間では、前記第1制御部が前記駆動部に前記第1移動指令を出力し、
前記第2位置から前記第3位置までの第2移動区間では、前記第2制御部が前記駆動部に前記第2移動指令を出力する、
請求項3に記載の実装システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第3位置に向けて前記実装ヘッドを移動させ、
前記撮像部は、前記実装ヘッドが前記第3位置よりも手前の撮像位置である第4位置に到達すると前記撮像対象を撮像し、
前記制御部は、前記第4位置における前記撮像結果に基づく前記撮像対象の位置と前記第4位置との間の距離に対応する前記トルク指令値を前記駆動部に出力する、
請求項3に記載の実装システム。
【請求項12】
実装ヘッドが第1位置よりも手前の第2位置に到達すると、撮像部が、基板に対する部品の実装位置、及び前記部品を供給する部品供給部における前記部品の吸着位置の少なくとも一方の撮像対象を撮像する撮像ステップと、
前記撮像部による前記撮像対象の撮像結果に基づいて前記実装ヘッドが移動する際に、移動機構に含まれるモータのトルクを所定トルク値以下に制限するトルク制限ステップと、を有する、
実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に実装システム及び実装方法に関し、より詳細には、基板に部品を実装するための実装システム及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の部品実装装置は、部品を実装位置に移動させる実装ヘッドと、実装ヘッドの駆動を制御する制御部と、実装ヘッドに設置されたカメラモジュールと、を備える。特許文献1に記載の部品実装装置は、各軸モータと、各軸モータを駆動するモータ駆動部と、を更に備える。
【0003】
カメラモジュールは、実装ヘッドが上記実装位置に到着する前に上記実装位置を含む画像を撮像し、制御部は、上記画像に基づいて実装ヘッドの実装位置を変更する。また、制御部は、変更後の実装位置に対応する移動指令をモータ駆動部に出力し、モータ駆動部は、上記移動指令に基づいて各軸モータの出力を決定し、実装ヘッドを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/174598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の部品実装装置(実装システム)では、変更後の実装位置に実装ヘッドを移動させる際に、モータの出力が大きくなることで異音又は振動が発生する場合がある。上記異音又は振動は、特許文献1に記載の部品実装装置における、基板に対する部品の実装精度に影響する場合がある。
【0006】
本開示の目的は、異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板に対する部品の実装精度を向上させることが可能な実装システム及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る実装システムは、実装ヘッドと、移動機構と、制御部と、撮像部と、を備える。前記実装ヘッドは、部品を捕捉し、捕捉した前記部品を基板に実装する。前記移動機構は、第1位置に向けて前記実装ヘッドを移動させる。前記制御部は、前記移動機構の駆動を制御する。前記撮像部は、撮像対象を撮像する。前記撮像対象は、前記基板に対する前記部品の実装位置、及び前記部品を供給する部品供給部における前記部品の吸着位置の少なくとも一方である。前記移動機構は、駆動部を有する。前記駆動部は、モータを含み、前記モータにより前記実装ヘッドを移動させる。前記撮像部は、前記実装ヘッドが前記第1位置よりも手前の第2位置に到達すると前記撮像対象を撮像する。前記実装システムは、トルク制限部を更に備える。前記トルク制限部は、前記制御部が前記撮像部による前記撮像対象の撮像結果に基づいて前記実装ヘッドを移動させる際に、前記モータのトルクを所定トルク値以下に制限する。
【0008】
本開示の一態様に係る実装方法は、撮像ステップと、トルク制限ステップと、を有する。前記撮像ステップでは、実装ヘッドが第1位置よりも手前の第2位置に到達すると、撮像部が撮像対象を撮像する。前記撮像対象は、基板に対する部品の実装位置、及び前記部品を供給する部品供給部における前記部品の吸着位置の少なくとも一方である。前記トルク制限ステップでは、前記撮像部による前記撮像対象の撮像結果に基づいて前記実装ヘッドが移動する際に、移動機構に含まれるモータのトルクを所定トルク値以下に制限する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る実装システム及び実装方法によれば、異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板に対する部品の実装精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る実装システムの概略構成図である。
図2図2は、同上の実装システムの要部を示す斜視図である。
図3図3は、同上の実装システムのブロック図である。
図4図4は、同上の実装システムの構成を示す模式図である。
図5図5A図5Dは、同上の実装システムの実装動作を示す模式図である。
図6図6は、同上の実装システムにおける実装ヘッドの第1位置、第2位置及び第3位置の位置関係を示す側面図である。
図7図7Aは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの速度指令を示すグラフである。図7Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの位置変化を示すグラフである。
図8図8は、同上の実装システムにおける実装ヘッドの第1位置、第2位置及び第3位置の位置関係を示す別の側面図である。
図9図9Aは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の速度指令を示すグラフである。図9Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の位置変化を示すグラフである。
図10図10は、同上の実装システムの補正動作を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態1の変形例に係る実装システムの構成を示す模式図である。
図12図12Aは、実施形態2に係る実装システムにおける実装ヘッドの速度指令を示すグラフである。図12Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの位置変化を示すグラフである。
図13図13Aは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の速度指令を示すグラフである。図13Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の位置変化を示すグラフである。
図14図14は、同上の実装システムの補正動作を示すフローチャートである。
図15図15Aは、実施形態3に係る実装システムにおける実装ヘッドの速度指令を示すグラフである。図15Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの位置変化を示すグラフである。
図16図16Aは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の速度指令を示すグラフである。図16Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の位置変化を示すグラフである。
図17図17は、同上の実装システムの補正動作を示すフローチャートである。
図18図18Aは、実施形態4に係る実装システムにおける実装ヘッドの速度指令を示すグラフである。図18Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの位置変化を示すグラフである。
図19図19Aは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の速度指令を示すグラフである。図19Bは、同上の実装システムにおける実装ヘッドの別の位置変化を示すグラフである。
図20図20は、同上の実装システムの補正動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態1~4に係る実装システム及び実装方法について、図面を参照して説明する。下記の実施形態1~4において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態1~4で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態1~4に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係る実装システム1の概要について、図1図3を参照して説明する。
【0013】
実施形態1に係る実装システム1は、捕捉部22により捕捉した部品100を基板200に実装(装着)するための実装装置(以下、「実装装置1」ともいう。)である。実装システム1は、例えば、工場、研究所、事務所及び教育施設等の施設において、電子機器及び自動車等の種々の製品の製造のための作業に用いられる。
【0014】
実施形態1では、実装システム1が、工場での電子機器の製造に用いられる場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路基板を有する。これらの回路基板の製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板を含む)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品(電子部品を含む)が実装(装着)される。はんだ付け工程では、例えば、部品が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。実装システム1は、実装工程において、後述の捕捉部22によって部品100を捕捉する作業、及び捕捉部22によって捕捉した部品100を基板200に装着(実装)する作業を行う。
【0015】
このように、基板200への部品100の装着に用いられる実装システム1は、図1に示すように、実装ヘッド2と、撮像部3と、移動機構4と、制御部5と、搬送装置6と、複数の部品供給部7と、固定カメラ8と、基台9と、を備える。搬送装置6は、基台9上においてX軸方向(図1の紙面に垂直な方向)に延びた一対のコンベア機構61を有しており、基板200をX軸方向に搬送して所定の実装スペースに位置決めする。複数の部品供給部7は、基台9に連結される台車11のフィーダベース12にX軸方向に並んで取り付けられたテープフィーダを有する。複数の部品供給部7の各々は、リール13より供給されるキャリアテープ14をピッチ送りし、キャリアテープ14に保持されている部品100を部品供給口71に供給する。リール13は、台車11に保持されている。固定カメラ8は、基台9上に取り付けられており、上方を撮像する。基台9上には、後述する実装ヘッド2、撮像部3及び移動機構4が設けられている。
【0016】
基台9上には、一対の支持脚(図示せず)が設置されている。一対の支持脚は、X軸方向(図1の紙面に垂直な方向)における搬送装置6の両側に位置しており、Y軸方向に延びている。一対の支持脚には、それぞれガイドレール(Y軸駆動部412)が設けられており、ヘッドユニット21をX軸方向に移動可能な状態で保持する軸部材(X軸駆動部411)の両端部が一対のガイドレールに取り付けられている。各支持脚には、移動機構4のY軸モータ414(図3参照)が設けられており、Y軸モータ414により軸部材(X軸駆動部411)及びヘッドユニット21がガイドレール(Y軸駆動部412)に沿ってY軸方向に移動する。さらに、軸部材(X軸駆動部411)には、X軸方向に延びるガイド部材と、移動機構4のX軸モータ413(図3参照)が設けられており、X軸モータ413によってヘッドユニット21がガイド部材に沿ってX軸方向に移動する。
【0017】
実装ヘッド2は、部品100を捕捉可能な捕捉部22を有する。捕捉部22は、一例として吸着ノズルからなり、部品100を、解放(つまり捕捉を解除)可能な状態で捕捉する。実装システム1は、捕捉部22を部品供給部7の部品供給口71に近づけるように下降させて、捕捉部22に部品100を捕捉させる。また、実装システム1は、捕捉部22に部品100を捕捉させた状態で、捕捉部22を基板200に近づけるように下降させて、部品100を基板200に装着(実装)する。
【0018】
実施形態1に係る実装システム1は、図1図3に示すように、実装ヘッド2と、移動機構4と、制御部5と、撮像部3と、を備える。実装ヘッド2は、部品100を捕捉し、捕捉した部品100を基板200に実装する。移動機構4は、第1位置P11(図6及び図8参照)に向けて実装ヘッド2を移動させる。制御部5は、移動機構4の駆動を制御する。撮像部3は、撮像対象T1を撮像する。撮像対象T1は、基板200に対する部品100の実装位置P2、及び部品100を供給する部品供給部7における部品100の吸着位置P3の少なくとも一方である。移動機構4は、水平駆動部41(駆動部)を有する。水平駆動部41は、モータ(X軸モータ413及びY軸モータ414)を含み、モータによって実装ヘッド2を水平方向に移動させる。撮像部3は、実装ヘッド2が第1位置P11よりも手前の第2位置P12(図6及び図8参照)に到達すると撮像対象T1を撮像する。実装システム1は、トルク制限部53を更に備える。トルク制限部53は、制御部5が撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、上記モータのトルクを所定トルク値以下に制限する。
【0019】
実施形態1の水平駆動部41(X軸駆動部411、Y軸駆動部412)には、図示しない位置センサが装備されている。そして、実施形態1の制御部5は、位置センサからの位置情報に基づいて水平駆動部41のフィードバック制御を行っている。制御部5は、撮像部3による撮像結果に基づいて補正後の目標位置の指令値を生成することができる。しかしながら、実際の位置(位置センサから取得された位置情報)と補正後の目標位置の差が大きくなると、上記モータのトルクが大きくなる場合がある。実施形態1に係る実装システム1では、上記モータのトルクは、トルク制限部53によって所定トルク値以下に制限される。これにより、モータ(X軸モータ413及びY軸モータ414)の出力(トルク)が大きくなる(所定トルク値以上になる)ことを抑制することが可能となる。その結果、異音及び振動の少なくとも一方の発生を抑制することが可能となる。また、振動が抑制されることによって、基板200に対する部品100の実装精度を向上させることも可能となる。すなわち、実施形態1に係る実装システム1によれば、異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0020】
本開示において、「補正後の移動量」は、撮像部3の撮像画像から得られる実装ヘッド2の移動量であって、撮像部3の撮像開始位置である第2位置P12と、実装ヘッド2の補正後の目標位置である第3位置P13(図6及び図8参照)と、の間の距離(以下、「第2距離L2」という。)である。第2距離L2は、X軸方向における第2位置P12と第3位置P13との間の距離と、Y軸方向における第2位置P12と第3位置P13との間の距離と、を含む。実施形態1では、第2距離L2が、Y軸方向における第2位置P12と第3位置P13との間の距離である場合を例に説明する(図6及び図8参照)。
【0021】
(2)詳細
(2.1)前提
実施形態1では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム1が用いられる場合について説明する。つまり、部品100は、表面実装用の部品(SMD:Surface Mount Device)であって、基板200の実装面201上に配置されることをもって装着される。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム1が用いられてもよい。この場合には、部品100は、リード端子を有する挿入実装用の部品であり、基板200の孔にリード端子を挿入することをもって、基板200の実装面201上に装着される。すなわち、本開示でいう「基板に部品を装着する」とは、基板の実装面上に部品を配置することと、基板の孔に部品のリード端子を挿入することと、を含む。
【0022】
本開示でいう「撮像光軸」は、撮像部3で撮像される画像についての光軸であって、撮像部3を構成する撮像素子31及び光学系32によって定まる光軸である。つまり、撮像素子31の受光面の中心と、光学系32を通して撮像素子31の受光面の中心に結像する撮像領域R1(図6及び図8参照)内の部位と、を結ぶ直線が撮像部3の撮像光軸Ax1(図6及び図8参照)となる。
【0023】
本開示において、撮像部3の撮像画像は、静止画(静止画像)及び動画(動画像)を含む。さらに、「動画」は、コマ撮り等により得られる複数の静止画にて構成される撮像画像を含む。撮像部3の撮像画像は、撮像部3から出力されたデータそのものでなくてもよい。例えば、撮像部3の撮像画像は、必要に応じて適宜データの圧縮、他のデータ形式への変換、又は撮像部3の撮像画像から一部を切り出す加工、ピント調整、明度調整、若しくはコントラスト調整等の加工が施されていてもよい。実施形態1では一例として、撮像部3の撮像画像は、フルカラーの動画である。
【0024】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、基板200の表面に平行な軸を「X軸」及び「Y軸」とし、基板200の厚み方向に平行な軸を「Z軸」とする。さらに、Z軸に沿う両方向のうち一方向を上方向とし、他方向を下方向とする。例えば、捕捉部22が基板200に対向しているとき、基板200は、捕捉部22の下方に位置する。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は実装システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0025】
また、実装システム1には、冷却水の循環用のパイプ、電力供給用のケーブル及び空圧(正圧及び真空を含む)供給用のパイプ等が接続されるが、実施形態1では、これらの図示を適宜省略する。
【0026】
(2.2)全体構成
次に、実施形態1に係る実装システム1の各構成要素について、図1図4を参照して説明する。
【0027】
実施形態1に係る実装システム1は、図1図4に示すように、実装ヘッド2と、撮像部3と、移動機構4と、制御部5と、を備える。また、実装システム1は、搬送装置6と、複数の部品供給部7と、固定カメラ8と、を更に備える。ただし、搬送装置6、複数の部品供給部7及び固定カメラ8は、実装システム1に必須の構成ではない。つまり、搬送装置6、複数の部品供給部7及び固定カメラ8の全部又は一部は、実装システム1の構成要素に含まれなくてもよい。また、図2では、実装ヘッド2、撮像部3及び移動機構4のみを図示し、実装システム1のその他の構成要素の図示を適宜省略している。
【0028】
(2.2.1)実装ヘッド
実装ヘッド2は、部品100を捕捉し、捕捉した部品100を基板200に実装する。実装ヘッド2は、少なくとも1つの捕捉部22を有する。実施形態1では、実装ヘッド2は、1つの捕捉部22を有する。実装ヘッド2は、吸着位置P3(図1参照)に近づけるように捕捉部22を移動(下降)させ、吸着位置P3に位置する部品100を捕捉部22に捕捉させる。また、実装ヘッド2は、捕捉部22に部品100を捕捉させた状態で、基板200の実装面201上の実装位置P2(図1参照)に近づけるように捕捉部22を移動(下降)させ、実装位置P2に部品100を装着(実装)させる。つまり、実装ヘッド2は、捕捉部22を、吸着位置P3及び実装位置P2に向けて移動可能に保持する。
【0029】
捕捉部22は、例えば、吸着ノズルである。捕捉部22は、制御部5によって制御され、部品100を吸着(保持)する吸着状態と、部品100を解放(吸着を解除)する解放状態と、を切替可能である。ただし、捕捉部22は、吸着ノズルに限らず、例えば、ロボットハンド又はメカニカルチャックのように部品100をつかむ(摘む)ことによって捕捉(保持)する構成であってもよい。すなわち、本開示でいう「部品を捕捉する」は、部品を吸着することと、部品をつかむことと、を含む。
【0030】
捕捉部22による部品100の捕捉に関しては、実装ヘッド2は、動力としての空圧(真空)の供給を受けて動作する。つまり、実装ヘッド2は、捕捉部22に繋がる空圧(真空)の供給路上のバルブを開閉することによって、捕捉部22の吸着状態と、解放状態と、を切り替える。
【0031】
実装ヘッド2は、捕捉部22に加えて、捕捉部22を保持するヘッドユニット21を更に有する。実施形態1では、1つのヘッドユニット21に、1つの捕捉部22が取り付けられている。これにより、実装ヘッド2では、1つの部品100を保持(捕捉)可能である。
【0032】
ヘッドユニット21は、一例として、金属製であって、直方体状に形成されている。捕捉部22及び後述の鉛直駆動部42(図2参照)がヘッドユニット21に組み付けられることによって、ヘッドユニット21は捕捉部22及び鉛直駆動部42を保持する。実施形態1では、捕捉部22は、Z軸方向及び後述のθ方向への移動が可能な状態で、鉛直駆動部42を介してヘッドユニット21に間接的に保持される。実装ヘッド2は、ヘッドユニット21が後述の水平駆動部41(図2参照)にてX-Y平面内で移動させられることによって、X-Y平面内を移動する。ここでいう「X-Y平面」は、X軸及びY軸を含む平面であって、Z軸と直交する平面である。
【0033】
上述の構成によれば、実装ヘッド2は、吸着位置P3(図1参照)に近づくように捕捉部22を移動(下降)させ、吸着位置P3(部品供給口71)に位置する部品100を捕捉部22に捕捉させることが可能となる。また、実装ヘッド2は、捕捉部22に部品100を捕捉(吸着)させた状態で、基板200の実装面201上の実装位置P2(図1参照)に近づくように捕捉部22を移動(下降)させ、実装位置P2に部品100を装着(実装)することが可能となる。
【0034】
(2.2.2)撮像部
撮像部3は、撮像対象T1を撮像する。撮像対象T1は、実装位置P2及び吸着位置P3の少なくとも一方である。実装位置P2は、基板200の実装面201において部品100が実装される位置である。吸着位置P3は、部品100を供給する部品供給部7において部品100が吸着される位置である。実装システム1では、部品供給部7により部品100が部品供給口71に供給される。部品供給口71にある部品100の位置が吸着位置P3に相当する。図6に示すように、実装面201にはランド202が形成され、ランド202にはクリーム状のはんだが塗布されている。捕捉部22により、部品100はランド202上のはんだ上に実装される。ランド202の位置が実装位置P2に相当する。ここで、部品供給口71にある部品100の位置(吸着位置P3)がばらついたり、基板200に形成されたランド202(又はランド202に塗布されたはんだ)の位置(実装位置P2)がばらついたりすることがある。そこで、部品供給部7にある部品100、及び実装位置P2を撮像対象T1とし、ヘッド2の移動中に撮像部3が撮像対象T1を撮像する。実施形態1では、撮像対象T1が、実装位置P2(図6及び図8参照)である場合を例に説明する。
【0035】
撮像部3は、図1及び図2に示すように、実装ヘッド2のヘッドユニット21に固定されている。撮像部3は、例えば、動画を撮像するビデオカメラである。撮像部3は、実装ヘッド2が第1位置P11よりも手前の第2位置P12に到達すると撮像対象T1を撮像する。第1位置P11は、実装ヘッド2の動作開始時における目標位置であって、撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づく補正を行う前の目標位置である。第2位置P12は、撮像部3の撮像が開始される撮像開始位置である。図6及び図8の例では、撮像部3の撮像領域R1は、撮像対象T1として、基板200の実装面201上の実装位置P2を含む。なお、図6及び図8における「Ax1」は、撮像部3の撮像光軸である。
【0036】
撮像部3は、図3に示すように、撮像素子31と、光学系32と、を有する。光学系32は、撮像素子31に対して、撮像領域R1を撮像した撮像画像を結像する。
【0037】
撮像素子31は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)のようなイメージセンサである。撮像素子31は、受光面に結像した画像を電気信号に変換して出力する。
【0038】
光学系32は、1つ以上のレンズ及びミラー等を含んでいる。実施形態1では一例として、光学系32は、複数のレンズの組み合わせ(レンズ群)にて実現される。光学系32は、撮像領域R1からの光を撮像素子31の受光面に結像させる。なお、光学系32は、上述の構成に限定されない。
【0039】
具体的には、撮像部3は、図1及び図2に示すように、ヘッドユニット21の下方において、Z軸方向からの平面視で捕捉部22の側方に配置されている。このように、撮像部3は、捕捉部22と共にヘッドユニット21に取り付けられており、捕捉部22と共にX-Y平面を移動する。なお、撮像部3は、捕捉部22に対して相対的に移動するように構成されていてもよい。例えば、ヘッドユニット21は、撮像部3を移動させるための軸を備えていてもよい。
【0040】
さらに、撮像部3は、Z軸(鉛直方向)に対して交差する撮像光軸Ax1を有する(図6及び図8参照)。言い換えると、撮像部3の撮像光軸Ax1は、鉛直方向に対して斜めに延びている。つまり、撮像部3は、撮像部3の撮像方向が鉛直方向と交差するようにしてヘッドユニット21に固定されており、撮像対象T1を斜め上方から撮像する。これにより、実施形態1に係る実装システム1によれば、実装に要する時間を短縮して生産性を向上させることが可能となる。なお、水平方向はX-Y平面に沿った方向であり、鉛直方向は水平方向と直交する方向(Z軸に沿う方向)である。
【0041】
また、撮像部3は、撮像素子31及び光学系32に加えて、処理回路33を更に有する(図4参照)。処理回路33は、第2位置P12において得られた撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置を算出する。より詳細には、処理回路33は、上記撮像画像に基づいて、撮像対象T1の位置である第3位置P13と補正前の目標位置とのずれ量L0を算出する。処理回路33は、算出したずれ量L0を第2制御部52に出力する(図4参照)。すなわち、撮像部3は、第2位置P12における撮像結果に基づく撮像対象T1の位置(第3位置P13)と第1位置P11とのずれ量L0を第2制御部52に出力する。
【0042】
処理回路33は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、処理回路33として機能する。プログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0043】
(2.2.3)移動機構
移動機構4は、第1位置P11に向けて実装ヘッド2を移動させる。より詳細には、移動機構4は、捕捉部22及び撮像部3を含む実装ヘッド2を移動させるための機構である。実施形態1では、移動機構4は、ヘッドユニット21をX-Y平面内で水平方向に移動させ、捕捉部22をZ軸に沿う鉛直方向に移動させる。すなわち、移動機構4は、ヘッドユニット21をX軸方向及びY軸方向に移動させる。実施形態1では、捕捉部22及び撮像部3がヘッドユニット21に固定されているため、移動機構4は、捕捉部22及び撮像部3についてもヘッドユニット21と共にX軸方向及びY軸方向に移動させる。図1において、実装ヘッド2は、移動機構4によって、部品供給部7の部品供給口71の上方と、搬送装置6の実装スペースに位置決めされている基板200の上方との間を移動する。
【0044】
具体的には、移動機構4は、図2及び図3に示すように、水平駆動部41と、鉛直駆動部42と、を備える。
【0045】
水平駆動部41は、X軸駆動部411と、Y軸駆動部412と、を有する。X軸駆動部411は、実装ヘッド2をX軸方向に直進移動させる。Y軸駆動部412は、実装ヘッド2をY軸方向に直進移動させる。Y軸駆動部412は、実装ヘッド2を、X軸駆動部411ごとY軸に沿って移動させることで、実装ヘッド2をY軸方向に直進移動させる。X軸駆動部411は、X軸モータ413を含み、X軸モータ413を駆動する。Y軸駆動部412は、Y軸モータ414を含み、Y軸モータ414を駆動する。すなわち、移動機構4は、モータ(X軸モータ413及びY軸モータ414)を含む駆動部(水平駆動部41)を有する。X軸モータ413及びY軸モータ414の各々は、例えば、リニアモータである。したがって、実施形態1では、X軸駆動部411は、電力供給を受けてX軸モータ413で発生する駆動力により、実装ヘッド2をX軸方向に直進移動させる。また、Y軸駆動部412は、電力供給を受けてY軸モータ414で発生する駆動力により、実装ヘッド2をY軸方向に直進移動させる。
【0046】
鉛直駆動部42は、捕捉部22をZ軸方向に直進移動させる。さらに、鉛直駆動部42は、捕捉部22をZ軸方向に沿った軸線を中心とする回転方向(以下、「θ方向」という)に回転移動させる。すなわち、鉛直駆動部42は、捕捉部22をZ軸方向に直進移動させ、捕捉部22をθ方向に回転移動させるアクチュエータである。実施形態1では一例として、Z軸方向への捕捉部22の移動に関しては、鉛直駆動部42は、リニアモータで発生する駆動力にて駆動する。また、θ方向への捕捉部22の移動に関しては、鉛直駆動部42は、回転型モータで発生する駆動力にて駆動する。ここで、上述したように、実装ヘッド2のヘッドユニット21は、水平駆動部41によりX軸方向及びY軸方向に直進移動する。結果的に、ヘッドユニット21に取り付けられている捕捉部22は、水平駆動部41及び鉛直駆動部42によって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向に移動可能である。
【0047】
(2.2.4)制御部
制御部5は、実装システム1の各部を制御する。制御部5は、例えば、実装ヘッド2、撮像部3、移動機構4、搬送装置6、複数の部品供給部7及び固定カメラ8の各々と電気的に接続されている。制御部5は、移動機構4に制御信号を出力し、捕捉部22にて捕捉した部品100を基板200の実装面201に実装するように、移動機構4の駆動を制御する。また、制御部5は、撮像部3及び固定カメラ8に制御信号を出力し、撮像部3及び固定カメラ8の各々を制御したり、撮像部3及び固定カメラ8の各々の撮像画像を撮像部3及び固定カメラ8の各々から取得したりする。
【0048】
また、制御部5は、搬送装置6に制御信号を出力し、基板200が実装スペースに位置するように、搬送装置6を制御する。また、制御部5は、複数の部品供給部7に制御信号を出力し、各部品供給口71に部品100が位置するように、複数の部品供給部7を制御する。
【0049】
制御部5は、図1図3及び図4に示すように、第1制御部51と、第2制御部52と、を含む。
【0050】
第1制御部51は、図4に示すように、NCコントローラ16に含まれている。NCコントローラ16は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、NCコントローラ16として機能する。プログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0051】
第2制御部52は、図4に示すように、XY軸ドライバ15に含まれている。XY軸ドライバ15は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、XY軸ドライバ15として機能する。プログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0052】
NCコントローラ16に含まれている第1制御部51は、第1移動指令C1(図4参照)を生成する。第1移動指令C1は、第1位置P11に向けて実装ヘッド2を移動させるための指令である。また、第1移動指令C1は、補正前の目標位置である第1位置P11と補正後の目標位置である第3位置P13とが同じであって、補正が不要な場合における実装ヘッド2の移動指令である。第1制御部51は、生成した第1移動指令C1をXY軸ドライバ15に向けて出力する。すなわち、実装ヘッド2が第2位置P12に到達するまでの第1移動区間SE1(図7A参照)では、第1制御部51がXY軸ドライバ15に第1移動指令C1を出力する。また、第1制御部51は、第2位置P12から第3位置P13までの第2移動区間SE2(図7A参照)では、第1距離L1を第2制御部52に出力する。第1距離L1は、補正前の目標位置である第1位置P11と、撮像部3の撮像開始位置である第2位置P12と、の間の距離である。
【0053】
XY軸ドライバ15に含まれている第2制御部52は、第2移動指令C2を生成する。第2移動指令C2は、撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させるための指令である。第2制御部52は、生成した第2移動指令C2をXY軸ドライバ15に出力する。すなわち、第2位置P12から上記撮像結果に基づく補正後の目標位置である第3位置P13までの第2移動区間SE2(図7A参照)では、第2制御部52がXY軸ドライバ15に第2移動指令C2を出力する。
【0054】
ここで、第1移動指令C1及び第2移動指令C2には、実装ヘッド2の移動時における水平方向の移動距離、移動速度、移動加速度の少なくとも一つの指令値が含まれている。第1移動指令C1及び第2移動指令C2の各々に含まれている指令値は、モータ(X軸モータ413及びY軸モータ414)のトルクを所定トルク値以下にすることが可能な値である。XY軸ドライバ15は、トルクに応じた電流を各モータに供給することができる。つまり、第1移動指令C1及び第2移動指令C2の各々に含まれている指令値は、モータに供給される電流を所定電流値以下にすることが可能な値である。所定トルク値及び所定電流値は、モータよる異音又は振動を低減することが可能な値である。以下、本実施形態では、第1移動指令C1及び第2移動指令C2の各々に速度指令値が含まれるとして説明する。第2移動指令C2に含まれている速度指令値に従って、実装ヘッド2は補正後の目標位置である第3位置P13へ向けて移動する。その際にモータに供給される電流は、所定電流値以下である。所定電流値は、モータによる異音又は振動を低減することが可能な値である。すなわち、第2移動指令C2を出力する第2制御部52は、モータのトルクを所定トルク値以下に制限するトルク制限部53に相当する。つまり、実装システム1は、モータのトルクを所定トルク値以下に制限するトルク制限部53を更に備える。
【0055】
第2制御部52は、上述したように、トルク制限部53に相当する。したがって、第2制御部52(トルク制限部53)は、上記撮像結果に基づく補正後の目標位置である第3位置P13に向けて実装ヘッド2を移動させるための第2移動指令C2(移動指令)を生成する。そして、第2制御部52(トルク制限部53)は、生成した第2移動指令C2をXY軸ドライバ15に出力する。
【0056】
なお、異音又は振動が生じない正常範囲の境界である所定トルク値については、実装システム1にて事前に検証し、実装システム1ごとに予め決められていることが好ましい。すなわち、所定トルク値は、実装システム1の少なくとも一部を含む実装装置1ごとに予め決められていることが好ましい。実施形態1では、実装装置1は、実装システム1のすべてを含む。
【0057】
第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11基づく第1移動指令C1を生成する。より詳細には、第1制御部51は、第1位置P11に向けて実装ヘッド2が移動する際、図7Aの破線で示される速度変化となるような第1移動指令C1を生成する。
【0058】
第2制御部52は、補正後の目標位置である第3位置P13と第1位置P11との間のずれ量L0に基づく第2移動指令C2を生成する。より詳細には、第2制御部52は、図7Aの実線で示すように、第2位置P12から第3位置P13までの第2移動区間SE2における速度変化となるような第2移動指令C2を生成する。
【0059】
(2.2.5)搬送装置
搬送装置6は、基板200を搬送するための装置である。搬送装置6は、例えば、図1に示すように、一対のコンベア機構61を有する。搬送装置6は、一対のコンベア機構61によって、X軸方向(図1の紙面に垂直な方向)に基板200を搬送する。搬送装置6は、少なくとも実装ヘッド2の下方、つまりZ軸方向において捕捉部22と対向する実装スペースに基板200を搬送する。そして、搬送装置6は、実装ヘッド2による基板200への部品100の実装が完了するまでは、実装スペースに基板200を停止させる。
【0060】
(2.2.6)部品供給部
複数の部品供給部7の各々は、実装ヘッド2の捕捉部22によって捕捉される部品100を供給する。各部品供給部7は、一例として、キャリアテープ14に収容されている部品100を供給するテープフィーダを有する。各部品供給部7は、テープフィーダによってキャリアテープ14をY軸方向に送り出すことで、部品供給口71に部品100を移動させる。なお、各部品供給部7は、テープフィーダの代わりに、又はテープフィーダと共に、複数の部品100が載せ置かれたトレイを有していてもよい。また、各部品供給部7は、テープフィーダの代わりに、又はテープフィーダと共に、バルクフィーダを有していてもよい。
【0061】
(2.2.7)固定カメラ
固定カメラ(部品認識カメラ)8は、部品供給部7の部品供給口71の上方と、実装スペースに位置決めされている基板200の上方と、の間を移動している実装ヘッド2を下方から撮像する。したがって、固定カメラ8の撮像画像には、捕捉部22に捕捉された部品100が写っている。すなわち、固定カメラ8の撮像画像には、捕捉部22と部品100との相互の位置関係の情報、言い換えると捕捉部22に対する部品100のずれの情報が含まれている。
【0062】
なお、固定カメラ8は、部品供給口71から基板200に向けて移動している実装ヘッド2を下方から撮像することが好ましい。この場合、固定カメラ8は、常時撮像するのではなく、部品100を捕捉している捕捉部22が固定カメラ8の上方を通過するタイミングで撮像する。また、固定カメラ8は、部品供給口71の下方に設置されていてもよい。
【0063】
(2.2.8)その他
実装システム1は、上記構成に加えて、例えば、照明装置及び通信部を備えていてもよい。
【0064】
照明装置は、撮像部3の撮像領域R1(図6及び図8参照)を照明する。照明装置は、少なくとも撮像部3が撮像するタイミングで点灯すればよく、例えば、撮像部3の撮像タイミングに合わせて発光する。実施形態1では、撮像部3の撮像画像は、フルカラーの動画であるので、照明装置は、赤色又は青色等の可視光領域の波長域の光を出力する。実施形態1では一例として、照明装置は、LED(Light Emitting Diode)等の光源を複数有する。照明装置は、これら複数の光源を発光させることで、撮像部3の撮像領域R1を照らす。照明装置は、例えば、拡散型又は斜光型等の適宜の照明方式にて実現される。照明装置は、例えば、撮像部3と共に実装ヘッド2に固定される。
【0065】
通信部は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、上位システムと通信するように構成されている。これにより、実装システム1は、上位システムとの間でデータを授受することが可能である。
【0066】
(3)動作
(3.1)実装動作
実装システム1の実装動作について、図5A図5Dを参照して説明する。
【0067】
まず、図5Aでは、部品100を捕捉していない捕捉部22が部品供給部7の部品供給口71の上方に位置している。この状態から、捕捉部22は、矢印M1で示される鉛直方向に下降して、部品供給口71に位置する部品100を捕捉(保持)する捕捉動作を行う。その後、実装ヘッド2は、図5Bに示すように、捕捉部22に部品100を捕捉させた状態で、基板200に近付くように、矢印M2で示される水平方向に移動する。すなわち、部品100を捕捉している捕捉部22は、基板200に近付くように移動する。そして、実装ヘッド2は、図5Cに示すように、捕捉部22が基板200の上方にまで移動すると停止する。最後に、図5Dに示すように、捕捉部22が矢印M3で示される鉛直方向に下降して、基板200の実装面201上の実装位置P2(図6参照)に部品100を実装する実装動作を行う。なお、図5Bにおいて、実装ヘッド2が水平方向に移動しているときに、捕捉部22が下降を開始してもよい。
【0068】
(3.2)補正動作
実装システム1の補正動作について、図6図9Bを参照して説明する。
【0069】
(3.2.1)第3位置が第1位置よりも遠い場合
まず、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも遠い場合について、図6図7A及び図7Bを参照して説明する。図7Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図7Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図7Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図7Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0070】
図6の例では、実装ヘッド2は、Y軸方向に沿って左側から右側へ移動する。すなわち、図6の例では、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13は、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも右側に位置しており、図6の左側から見て第1位置P11よりも遠い。なお、撮像部3の撮像開始位置である第2位置P12は、第1位置P11よりも手前の位置である。したがって、図6の例では、Y軸方向における第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1は、Y軸方向における第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2よりも短い。
【0071】
制御部5の第1制御部51は、第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、速度V1を直線的に増加させる速度指令(加速指令)を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t4までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令(減速指令)を含む。
【0072】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて、撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。制御部5の第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図7Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t4のときに第1位置P11に到達する(図7Bの破線参照)。
【0073】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも遠い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。より詳細には、第2制御部52は、時刻t3のときの実装ヘッド2の速度V1が、時刻t2のときの第2速度V12よりも大きい第3速度V13となり、かつ時刻t3から時刻t4までの期間において速度V1が第3速度V13からゼロになるような第2移動指令C2を生成する。これにより、実装ヘッド2は、図7Aの実線で示される速度指令に従って第3位置P13に向かって移動し、時刻t4のときに第3位置P13に到達する(図7Bの実線参照)。
【0074】
ここで、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1までの期間における実装ヘッド2の第1加速度よりも大きい。これにより、第1加速度で第3位置P13に向かって移動する場合に比べて、部品100を吸着してから第3位置P13に到達するまでに要する時間を短縮することができる。ただし、第2加速度は、モータ(ここではY軸モータ414)による異音及び振動を低減可能な大きさである。第1加速度は、例えば、+3.5Gであり、第2加速度は、例えば、+3.9Gである。なお、第2加速度は、トルク制限部53によって制限されたトルクで定まるため、上述のように第1加速度よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0075】
また、時刻t3から時刻t4までの期間における第4加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における第3加速度よりも大きくてもよい。ただし、第4加速度は、モータ(ここではY軸モータ414)による異音及び振動を低減可能な大きさである。第3加速度は、例えば、-3.5Gであり、第4加速度は、例えば、-3.9Gである。
【0076】
このように、制御部5は、第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合に、トルク制限部53(第2制御部52)からの第2移動指令C2に基づいて実装ヘッド2を加速させる。つまり、制御部5は、撮像部3による撮像対象の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、トルク制限部53(実施形態1では第2制御部52)からの第2移動指令C2に基づいて実装ヘッド2を加速させる。なお、実装ヘッド2が第2移動指令C2に基づいて移動し、第3位置P13に到達する時刻は、時刻t4以前の時刻であってもよいし、時刻t4より後の時刻であってもよい。
【0077】
(3.2.2)第3位置が第1位置よりも近い場合
次に、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも近い場合について、図8図9A及び図9Bを参照して説明する。図9Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図9Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図9Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図9Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0078】
図8の例では、実装ヘッド2は、Y軸方向に沿って左側から右側へ移動する。すなわち、図8の例では、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13は、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも左側に位置しており、図8の左側から見て第1位置P11よりも近い。なお、撮像部3の撮像開始位置である第2位置P12は、第3位置P13よりも手前の位置である。したがって、図8の例では、Y軸方向における第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1は、Y軸方向における第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2よりも長い。
【0079】
制御部5の第1制御部51は、第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、速度V1を直線的に増加させる速度指令(加速指令)を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t4までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令(減速指令)を含む。
【0080】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて、撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。制御部5の第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図9Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t4のときに第1位置P11に到達する(図9Bの破線参照)。
【0081】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも近い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。より詳細には、第2制御部52は、時刻t2から時刻t3までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第2速度V12からゼロになるような第2移動指令C2を生成する。これにより、実装ヘッド2は、図9Aの実線で示される速度指令に従って第3位置P13に向かって移動し、時刻t3のときに第3位置P13に到達する(図9Bの実線参照)。結果的に、基板200に対する部品100の実装に要する時間を短縮することが可能となる。
【0082】
ここで、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における実装ヘッド2の第1加速度よりも大きい。これにより、第1加速度で第3位置P13に向かって移動する場合に比べて、部品100を吸着してから第3位置P13に到達するまでに要する時間を短縮することができる。ただし、第2加速度は、モータ(ここではY軸モータ414)による異音及び振動を低減可能な大きさである。第1加速度は、例えば、-3.5Gであり、第2加速度は、例えば、-3.9Gである。なお、第2加速度は、トルク制限部53によって制限されたトルクで定まるため、上述のように第1加速度よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0083】
このように、制御部5は、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合に、トルク制限部53(第2制御部52)からの第2移動指令C2に基づいて実装ヘッド2を減速させる。つまり、制御部5は、撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、トルク制限部53(第2制御部52)からの第2移動指令C2に基づいて実装ヘッド2を減速させる。
【0084】
(4)実装方法
次に、実施形態1に係る実装方法について、図10を参照して説明する。
【0085】
実施形態1に係る実装方法は、実施形態1に係る実装システム1に用いられる実装方法である。実装方法は、撮像ステップと、トルク制限ステップと、を有する。撮像ステップでは、実装ヘッド2が第1位置P11よりも手前の第2位置P12に到達すると、撮像部3が撮像対象T1を撮像する。撮像対象T1は、基板200に対する部品100の実装位置P2、及び部品100を供給する部品供給部7における部品100の吸着位置P3の少なくとも一方である。トルク制限ステップでは、撮像部3による撮像対象T1の撮像結果(撮像画像)に基づいて実装ヘッド2が移動する際に、移動機構4に含まれるモータ(ここではY軸モータ414)のトルクを所定トルク値以下に制限する。
【0086】
実施形態1の水平駆動部41(X軸駆動部411、Y軸駆動部412)には、図示しない位置センサが装備されている。そして、実施形態1の制御部5は、位置センサからの位置情報に基づいて水平駆動部41のフィードバック制御を行っている。制御部5は、撮像部3による撮像結果に基づいて補正後の目標位置の指令値を生成することができる。しかしながら、実際の位置(位置センサから取得された位置情報)と補正後の目標位置の差が大きくなると、上記モータのトルクが大きくなる場合がある。実施形態1に係る実装システム1では、上記モータのトルクは、トルク制限部53によって所定トルク値以下に制限される。これにより、モータ(X軸モータ413及びY軸モータ414)の出力(トルク)が大きくなる(所定トルク値以上になる)ことを抑制することが可能となる。
【0087】
実施形態1に係る実装方法では、モータ(ここではY軸モータ414)のトルクは、トルク制限ステップによって所定トルク値以下に制限される。これにより、モータ(ここではY軸モータ414)の出力が大きくなることを抑制することが可能となり、その結果、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減することが可能となる。また、モータによる振動が抑制されることによって、基板200に対する部品100の実装精度を向上させることも可能となる。すなわち、実施形態1に係る実装方法によれば、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0088】
図10は、実施形態1に係る実装システム1が実行する実装方法を表すフローチャートである。実装方法は、図10に示すS1~S9の各工程を含む。
【0089】
まず、実装ヘッド2は、時刻t1(図7A及び図9A参照)までの期間において、第1制御部51で生成された第1移動指令C1に従って加速移動する(S1)。次に、実装ヘッド2は、時刻t1から時刻t2(図7A及び図9A参照)までの期間において、第1移動指令C1に従って減速移動する(S2)。実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1の撮像を開始する(S3)。
【0090】
撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第1距離L1を算出し、算出した第1距離L1を第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて第2距離L2を算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、実装ヘッド2が第3位置P13に到達しているか否かを判定する(S4)。実装ヘッド2が第3位置P13に到達している場合(S4;Yes)、撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S9)。
【0091】
実装ヘッド2が第3位置P13に到達していない場合(S4;No)、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも小さいか否かを判定する(S5)。第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも小さい場合(S5;Yes)、加減速指令を生成する(S7)。加減速指令は、図7Aの実線で示されるように、時刻t2から時刻t3までの期間における加速指令と、時刻t3から時刻t4までの期間における減速指令と、を含む。一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2以上の場合(S5;No)、減速指令を生成する(S6)。減速指令は、図9Aの実線で示されるように、時刻t2から時刻t3までの期間における減速指令を含む。実装ヘッド2は、上述の減速指令又は加減速指令に従って第3位置P13へ向かって移動し(S8)、第3位置P13に到達するまでS4~S8を繰り返す。そして、実装ヘッド2が第3位置P13に到達すると(S4;Yes)、撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S9)。
【0092】
(5)効果
実施形態1に係る実装システム1では、撮像部3は、実装ヘッド2が第1位置P11よりも手前の第2位置P12に到達すると撮像対象T1を撮像している。トルク制限部53は、制御部5が撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、モータ(X軸モータ413及びY軸モータ414)のトルクを所定トルク値以下に制限している。これにより、モータの出力が大きくなることを抑制することが可能となり、その結果、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減することが可能となる。また、モータによる振動が抑制されることによって、基板200に対する部品100の実装精度を向上させることも可能となる。すなわち、実施形態1に係る実装システム1によれば、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0093】
また、実施形態1に係る実装システム1では、トルク制限部53は、上記撮像結果に基づいて第2移動指令C2を生成し、生成した第2移動指令C2を水平駆動部41に出力している。これにより、トルク指令値を所定トルク値以下に制限するだけの場合に比べて、補正後の目標位置である第3位置P13までの移動時間を短縮することが可能となる。
【0094】
また、実施形態1に係る実装システム1では、制御部5は、上記撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、第1距離L1と第2距離L2との比較結果に応じて実装ヘッド2を加速又は減速させている。これにより、実装ヘッド2を同じ速度で移動させる場合に比べて、補正後の目標位置である第3位置P13までの移動時間を短縮することが可能となり、その結果、生産性を向上させることが可能となる。
【0095】
(6)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る実装方法と同様の機能は、実装システム1、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0096】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0097】
(6.1)変形例1
実施形態1では、図4に示すように、XY軸ドライバ15の第2制御部52が、NCコントローラ16の第1制御部51からの第1距離L1、及び撮像部3の処理回路33からのずれ量L0に基づいて、第2移動指令C2を生成している。これに対して、図11に示すように、NCコントローラ16の第1制御部51が第2移動指令C2を生成してもよい。以下、変形例1に係る実装システム1について、図11を参照して説明する。
【0098】
変形例1に係る実装システム1では、図11に示すように、撮像部3の処理回路33は、NCコントローラ16の第1制御部51に対して、ずれ量L0を出力する。また、処理回路33は、XY軸ドライバ15に対してもずれ量L0を出力する。また、第1制御部51は、第1距離L1を算出する。第1制御部51は、第1距離L1とずれ量L0に基づいて第2移動指令C2を生成する。具体的には、第1制御部51は、第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合、第2移動指令C2として、実装ヘッド2を加減速させる加減速指令(図7A参照)を生成し、XY軸ドライバ15に向けて出力する。また、第1制御部51は、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合、第2移動指令C2として、実装ヘッド2を減速させる減速指令(図9A参照)を生成し、XY軸ドライバ15に向けて出力する。そして、XY軸ドライバ15は、NCコントローラ16から受け取った第2移動指令C2に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。なお、撮像部3の処理回路33は、NCコントローラ16に対して補正後の目標位置である第3位置P13を出力し、NCコントローラ16の第1制御部51においてずれ量L0を算出してもよい。
【0099】
ここで、第2移動指令C2に含まれている速度指令値は、モータ(ここではY軸モータ414)のトルクを所定トルク値以下に制限する値である。つまり、変形例1に係る実装システム1では、第1制御部51がトルク制限部53に相当する。
【0100】
変形例1に係る実装システム1では、NCコントローラ16の第1制御部51が第2移動指令C2を生成しているので、XY軸ドライバ15の第2制御部52が第2移動指令C2を生成しなくてもよく、実装システム1の構築がしやすい、という利点がある。
【0101】
また、変形例1に係る実装システム1においても、実施形態1に係る実装システム1と同様、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0102】
なお、変形例1に係る実装システム1は、第1制御部51とトルク制限部53との両方を備えていてもよい。
【0103】
また、変形例1では、撮像部3の処理回路33が、第1制御部51及び第2制御部52の両方にずれ量L0を出力しているが、処理回路33は、第1制御部51及び第2制御部52の一方に対して選択的にずれ量L0を出力するように構成されていてもよい。さらに、第2制御部52は、処理回路33からのずれ量L0を選択的に取得するように構成されていてもよい。
【0104】
(6.2)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0105】
本開示における実装システム1又は実装方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における実装システム1又は実装方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0106】
また、実装システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは実装システム1に必須の構成ではなく、実装システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、実装システム1の少なくとも一部の機能、例えば、制御部5の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0107】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている実装システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、実装ヘッド2と制御部5とに分散されている実装システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0108】
実施形態1では、撮像部3の撮像対象T1は、基板200への部品100の実装位置P2であるが、撮像部3の撮像対象T1は、例えば、部品供給部7における部品100の吸着位置P3であってもよいし、実装位置P2及び吸着位置P3の両方であってもよい。すなわち、撮像部3の撮像対象T1は、実装位置P2及び吸着位置P3の少なくとも一方であればよい。
【0109】
実施形態1では、所定トルク値は、実装装置1ごとに予め決められているが、所定トルク値は、例えば、実装ヘッド2の種類に応じて変更されてもよい。実装ヘッド2の種類は、例えば、実装ヘッド2の重量である。すなわち、実装ヘッド2の重量が大きくなるほど大きなトルクが必要になるため、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減可能な範囲で、実装ヘッド2の種類(重量)に応じて所定トルク値を変更してもよい。
【0110】
実施形態1では、撮像部3の撮像光軸Ax1は、基板200の法線方向に対して傾斜しているが、撮像部3の撮像光軸は、基板200の法線方向と平行であってもよい。
【0111】
実施形態1では、第1移動指令C1及び第2移動指令C2の各々が速度指令であるが、第1移動指令C1及び第2移動指令C2の各々は、速度指令に限らず、例えば、加速度指令であってもよいし、位置指令であってもよい。
【0112】
実施形態1では、第2制御部52がトルク制限部53に相当するが、第2制御部52とトルク制限部53との両方を備えていてもよい。
【0113】
実施形態1では、トルク制限部53により所定トルク値以下にトルクを制限しているが、トルク制限部53の代わりに、第2移動指令C2に含まれている指令値(例えば、実装ヘッド2の水平方向における移動距離、移動速度、移動加速度)を制限する制限部が設けられていてもよい。
【0114】
実施形態1では、制御部5は、第2移動指令C2を生成し、この第2移動指令C2に従って実装ヘッド2を補正後の目標位置である第3位置P13に向けて移動させている。これに対し、第2移動指令C2を生成せずに、実装ヘッド2を第3位置P13に向けて移動させてもよい。このように、第2移動指令C2を生成せずに実装ヘッド2を移動させる場合に、モータのトルクが大きくなる現象に対して、モータのトルクを所定トルク値以下に制限して実装ヘッド2の位置制御を行ってもよい。例えば、トルク制限部53を設けて、モータに供給される電流を所定電流値以下に制限することによりモータのトルクを所定トルク値以下に制限してもよい。例えば、制御部5はトルク制限部53としての電流制御器を備えていてもよい。ここで、「第2移動指令C2を生成せずに実装ヘッド2を移動させる」とは、XY軸ドライバ15による実装ヘッド2の位置制御において、補正後の目標位置(第3位置P13)の指令値を水平駆動部41(X軸駆動部411、Y軸駆動部412)に与え、実装ヘッド2を移動させることを意味する。そして、実装ヘッド2が補正後の目標位置(第3位置P13)に基づいて移動する際、モータに供給される電流はトルク制限部53により所定電流値以下に制限される。なお、XY軸ドライバ15は、実装ヘッド2の現在位置と目標位置の指令値とに基づいて、実装ヘッド2を位置制御する。水平駆動部41(X軸駆動部411、Y軸駆動部412)に設けられた位置センサからの水平方向の位置情報は、「実装ヘッド2の現在位置」に相当する。変形例に係る実装システム1では、トルク制限部53は、制御部5が撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づいて実装ヘッド2を移動させる際に、モータのトルクを所定トルク値以下に制限する。
【0115】
また、実施形態1では、トルク制限部53は制御部5に設けられているが、これに限定されない。例えば、水平駆動部41(駆動部)は、トルク制限部53としての公知のトルク・リミッタや安全クラッチを備えていてもよい。
【0116】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る実装システム1について、図12A図14を参照して説明する。実施形態2に係る実装システム1に関し、実施形態1に係る実装システム1(図1図4)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0117】
実施形態2に係る実装システム1は、第3位置P13までの残距離が所定値α1以下になると、制御部5が、第2移動指令C2に従わずに、補正後の目標位置の指令値に基づいて実装ヘッド2を移動させる点で、実施形態1に係る実装システム1と相違する。
【0118】
(1)構成
実施形態2に係る実装システム1は、実施形態1に係る実装システム1と同様、実装ヘッド2と、撮像部3と、移動機構4と、制御部5と、搬送装置6と、複数の部品供給部7と、固定カメラ8と、を備える。制御部5は、第1制御部51と、第2制御部52と、を含む。
【0119】
第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11までの第1移動指令C1を生成する。第1移動指令C1は、時刻t1のときに実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11となり、かつ時刻t4のときに実装ヘッド2の速度V1がゼロとなる速度指令を含む(図12Aの破線参照)。
【0120】
第2制御部52は、撮像部3の処理回路33からずれ量L0を取得し、第1制御部51から第1距離L1を取得し、かつ第1距離L1及びずれ量L0に基づいて第2距離L2を算出する。そして、第2制御部52は、第1距離L1及び第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合、第2移動指令C2は、時刻t3のときに実装ヘッド2の速度V1が第3速度V13となり、かつ時刻t3から時刻t4までの期間において速度V1が第4速度V14に向かって直線的に減速する速度指令を含む(図12Aの実線参照)。また、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合、第2移動指令C2は、時刻t2から時刻t3までの期間において実装ヘッド2の速度V1が、第2速度V12から第3速度V13に減速する速度指令を含む(図13Aの実線参照)。
【0121】
また、実施形態2では、制御部5は、第2移動指令C2(速度指令)に従わずに、補正後の目標位置の指令値に基づいて実装ヘッド2を移動させる。撮像部3は、実装ヘッド2が第4位置P14(図12B参照)に到達すると撮像対象T1を撮像する。第4位置P14は、第3位置P13よりも手前の撮像位置である。ここで、実装ヘッド2の現在位置と補正後の目標位置との差が大きいほど、実装ヘッド2が補正後の目標位置の指令値に基づいて移動する際にモータに発生するトルクは大きくなる。したがって、実装ヘッド2の現在位置と補正後の目標位置との差(残距離)に関して、異音又は振動が生じない正常範囲の境界である許容値を設定することができる。実装ヘッド2の現在位置と補正後の目標位置との差(残距離)が予め定められた所定値α1(許容値)以下である場合には、異音又は振動は生じない。例えば、第2制御部52(制御部5)は、第4位置P14における撮像部3の撮像画像に基づく撮像対象T1の位置(第3位置P13)と第4位置P14との間の距離(残距離)が所定値α1以下である場合、第2移動指令C2(速度指令)に従わずに、補正後の目標位置の指令値を移動機構4の水平駆動部41に出力する。ここでいう「実装ヘッド2の現在位置」は、実装ヘッド2が移動するXY平面上の位置であって、第4位置P14と対応する位置である。また、「補正後の目標位置」は、実装ヘッド2が移動するXY平面上の位置であって、第3位置P13に対応する位置である。ここで、上記撮像対象T1の位置と第4位置P14との間の距離(残距離)が所定値α1以下である場合、モータ(ここではY軸モータ414)のトルク値は、トルク制限部53によって制限されなくても所定トルク値以下になる。したがって、実施形態2では、第2制御部52は、残距離に対応したトルクを移動機構4のモータに発生させる電流をモータに供給する。これにより、高精度な位置補正が可能となる。
【0122】
(2)補正動作
実施形態2に係る実装システム1の補正動作について、図12A図13Bを参照して説明する。
【0123】
(2.1)第3位置が第1位置よりも遠い場合
まず、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも遠い場合について、図12A及び図12Bを参照して説明する。図12Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図12Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図12Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図12Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0124】
制御部5の第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、図12Aに示すように、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、速度V1を直線的に増加させる速度指令を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t6までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令を含む。
【0125】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。制御部5の第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図12Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t6のときに第1位置P11に到達する(図12Bの破線参照)。
【0126】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも遠い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第2移動指令C2は、時刻t2から時刻t3までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第2速度V12から第3速度V13になるように、速度V1を直線的に増加させる速度指令を含む。また、第2移動指令C2は、時刻t3から時刻t4までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第3速度V13から第4速度V14になるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令を含む。第3速度V13は、第2速度V12よりも大きい。また、第4速度V14は、第3速度V13よりも小さい。
【0127】
ここで、実施形態2に係る実装システム1では、時刻t4のときに実装ヘッド2が第4位置P14に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。第2制御部52は、撮像画像に基づいて第4位置P14と第3位置P13との間の距離(残距離)を算出する。第2制御部52は、上記残距離が所定値α1以下であるか否かを判定し、上記残距離が所定値α1以下である場合に、上記残距離に対応したトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給する。これにより、実装ヘッド2の速度V1は、時刻t5のときに第5速度V15になるように直線的に増加した後、時刻t6のときにゼロになるように直線的に減少し、時刻t6のときに実装ヘッド2が第3位置P13に到達する(図12Bの実線参照)。第5速度V15は、第4速度V14よりも大きい。
【0128】
また、実施形態2では、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1までの期間における実装ヘッド2の第1加速度よりも大きい。これにより、第1加速度で第3位置P13に向かって移動する場合に比べて、部品100を吸着してから第3位置P13に到達するまでに要する時間を短縮することができる。ただし、第2加速度は、モータ(ここではY軸モータ414)による異音及び振動を低減可能な大きさである。第1加速度は、例えば、+3.5Gであり、第2加速度は、例えば、+3.9Gである。なお、第2加速度は、トルク制限部53によって制限されたトルクで定まるため、上述のように第1加速度よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0129】
また、時刻t3から時刻t4までの期間における第4加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における第3加速度よりも大きくてもよい。ただし、第4加速度は、モータ(ここではY軸モータ414)による異音及び振動を低減可能な大きさである。第3加速度は、例えば、-3.5Gであり、第4加速度は、例えば、-3.9Gである。なお、実装ヘッド2が上記残距離に基づいて移動し、第3位置P13に到達する時刻は、時刻t6以前の時刻であってもよいし、時刻t6より後の時刻であってもよい。
【0130】
(2.2)第3位置が第1位置よりも近い場合
次に、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも近い場合について、図13A及び図13Bを参照して説明する。図13Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図13Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図13Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図13Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0131】
制御部5の第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、図13Aに示すように、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、速度V1を直線的に増加させる速度指令を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t6までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令を含む。
【0132】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図13Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t6のときに第1位置P11に到達する(図13Bの破線参照)。
【0133】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも近い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第2移動指令C2は、時刻t2から時刻t3までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第2速度V12から第3速度V13になるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令を含む。第3速度V13は、第2速度V12よりも小さい。また、第2速度V12は、第1速度V11よりも小さい。
【0134】
ここで、実施形態2に係る実装システム1では、時刻t3のときに実装ヘッド2が第4位置P14に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。第2制御部52は、撮像画像に基づいて第4位置P14と第3位置P13との間の距離(残距離)を算出する。第2制御部52は、上記残距離が所定値α1以下であるか否かを判定し、上記残距離が所定値α1以下である場合に、上記残距離に対応したトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給する。これにより、実装ヘッド2の速度V1は、時刻t4のときに第4速度V14になるように直線的に増加した後、時刻t5のときにゼロになるように直線的に減少し、時刻t5のときに実装ヘッド2が第3位置P13に到達する(図13Bの実線参照)。第4速度V14は、第2速度V12よりも小さく、かつ第3速度V13よりも大きい。
【0135】
ここで、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における実装ヘッド2の第1加速度よりも大きい。これにより、第1加速度で第3位置P13に向かって移動する場合に比べて、部品100を吸着してから第3位置P13に到達するまでに要する時間を短縮することができる。ただし、第2加速度は、モータ(ここではY軸モータ414)による異音及び振動を低減可能な大きさである。第1加速度は、例えば、-3.5Gであり、第2加速度は、例えば、-3.9Gである。なお、第2加速度は、トルク制限部53によって制限されたトルクで定まるため、上述のように第1加速度よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0136】
(3)実装方法
次に、実施形態2に係る実装方法について、図14を参照して説明する。
【0137】
図14は、実施形態2に係る実装システム1が実行する実装方法を表すフローチャートである。実装方法は、図14に示すS11~S21の各工程を含む。
【0138】
まず、実装ヘッド2は、時刻t1(図12A及び図13A参照)までの期間において、第1制御部51で生成された第1移動指令C1に従って加速移動する(S11)。次に、実装ヘッド2は、時刻t1から時刻t2(図12A及び図13A参照)までの期間において、第1移動指令C1に従って減速移動する(S12)。実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1の撮像を開始する(S13)。
【0139】
撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第1距離L1を算出し、算出した第1距離L1を第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて第2距離L2を算出する。第2制御部52は、第3位置P13までの残距離が所定値α1以下であるか否かを判定する(S14)。残距離が所定値α1よりも大きい場合(S14;No)、第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較する(S15)。第1距離L1が第2距離L2より小さい場合(S15;Yes)、第2制御部52は、補正後の目標位置である第3位置P13が補正前の目標位置である第1位置P11よりも遠いことから、加減速指令を生成する(S17)。一方、第1距離L1が第2距離L2より大きい場合(S15;No)、第2制御部52は、第3位置P13が第1位置P11よりも近いことから、減速指令を生成する(S16)。そして、実装ヘッド2は、上述の加減速指令又は減速指令に従って第3位置P13に向けて移動し(S18)、残距離が所定値α1以下になるまでS14~S18を繰り返す。残距離が所定値α1以下になると(S14;Yes)、第2制御部52は、残距離に対応するトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給する(S19)。実装ヘッド2は、移動機構4によって第3位置P13に到達するまで移動し(S20)、実装ヘッド2が第3位置P13に到達すると撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S21)。
【0140】
(4)効果
実施形態2に係る実装システム1によれば、実施形態1に係る実装システム1と同様、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0141】
また、実施形態2に係る実装システム1では、第2制御部52(制御部5)は、第4位置P14における撮像部3の撮像画像に基づく目標位置(第3位置P13)と第4位置P14との間の距離(残距離)に対応するトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給している。これにより、残距離に対応するトルクに応じた電流をモータに直接出力することになるので、高精度な位置補正が可能となる。
【0142】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る実装システム1について、図15A図17を参照して説明する。実施形態3に係る実装システム1に関し、実施形態1に係る実装システム1(図1図4)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0143】
実施形態3に係る実装システム1は、第2移動指令C2に基づく実装ヘッド2の加速度が、第1移動指令C1に基づく実装ヘッド2の加速度以下に制限される点で、実施形態1に係る実装システム1と相違する。
【0144】
(1)構成
実施形態3に係る実装システム1は、実施形態1に係る実装システム1と同様、実装ヘッド2と、撮像部3と、移動機構4と、制御部5と、搬送装置6と、複数の部品供給部7と、固定カメラ8と、を備える。制御部5は、第1制御部51と、第2制御部52と、を含む。
【0145】
第1制御部51は、第1位置P11までの第1移動指令C1を生成する。第1移動指令C1は、時刻t1のときに実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11となり、かつ時刻t4のときに実装ヘッド2の速度V1がゼロとなる速度指令を含む(図15Aの破線参照)。
【0146】
第2制御部52は、撮像部3の処理回路33からずれ量L0を取得し、第1制御部51から第1距離L1を取得し、かつ第1距離L1及びずれ量L0に基づいて第2距離L2を算出する。第2制御部52は、第1距離L1及び第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合、第2移動指令C2は、時刻t3のときに実装ヘッド2の速度V1が第3速度V13となり、かつ時刻t3から時刻t5までの期間において速度V1がゼロに向かって直線的に減速する速度指令を含む(図15Aの実線参照)。また、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合、第2移動指令C2は、時刻t2から時刻t3までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第2速度V12からゼロになり、時刻t3から時刻t4までの期間における速度V1が第3速度V13になり、かつ時刻t4から時刻t5までの期間における速度V1が第3速度V13からゼロになる速度指令を含む(図16Aの実線参照)。
【0147】
(2)補正動作
実施形態3に係る実装システム1の補正動作について、図15A図16Bを参照して説明する。
【0148】
(2.1)第3位置が第1位置よりも遠い場合
まず、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも遠い場合について、図15A及び図15Bを参照して説明する。図15Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図15Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図15Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図15Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0149】
制御部5の第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、直線的に速度V1を増加させる速度指令を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t4までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、直線的に速度V1を減少させる速度指令を含む。
【0150】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図15Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t4のときに第1位置P11に到達する(図15Bの破線参照)。
【0151】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも遠い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。より詳細には、第2制御部52は、図15Aの実線で示されるように、時刻t3のときの実装ヘッド2の速度V1が、時刻t2のときの第2速度V12よりも大きい第3速度V13となり、かつ時刻t3から時刻t5までの期間において速度V1が第3速度V13からゼロになるような第2移動指令C2を生成する。これにより、実装ヘッド2は、補正後の目標位置である第3位置P13に向けて移動し、時刻t5のときに第3位置P13に到達する(図15Bの実線参照)。
【0152】
ここで、実施形態3では、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1までの期間における実装ヘッド2の第1加速度以下に制限される。具体的には、第1加速度及び第2加速度の各々の絶対値は、例えば、3.5Gである。また、実施形態3では、時刻t3から時刻t5までの期間における第4加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における第3加速度以下に制限される。具体的には、第3加速度及び第4加速度の各々の絶対値は、例えば、3.5Gである。
【0153】
(2.2)第3位置が第1位置よりも近い場合
次に、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも近い場合について、図16A及び図16Bを参照して説明する。図16Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図16Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図16Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図16Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0154】
制御部5の第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、直線的に速度V1を増加させる速度指令を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t3までの期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、直線的に速度V1を減少させる速度指令を含む。
【0155】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図16Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t5のときに第1位置P11に到達する(図16Bの破線参照)。
【0156】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも近い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。ここで、実施形態3では、時刻t2から時刻t3までの期間における加速度、時刻t3から時刻t4までの期間における加速度、及び時刻t4から時刻t5までの期間における加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における加速度以下に制限される。このため、第2制御部52は、時刻t2から時刻t3までの期間について、第1制御部51から取得した第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、時刻t3のときに、補正前の目標位置である第1位置P11に到達する(図16Bの実線参照)。ここで、補正後の目標位置である第3位置P13は、第1位置P11よりも手前の位置であって、時刻t3の時点では第3位置P13を通過している。したがって、第2制御部52は、時刻t3から時刻t5までの期間においては、第2移動指令C2に従って移動機構4を駆動する。実装ヘッド2は、移動機構4によって第1位置P11から第3位置P13に向かって逆向きに移動し、時刻t5のときに第3位置P13に到達する(図16Bの実線参照)。
【0157】
(3)実装方法
次に、実施形態3に係る実装方法について、図17を参照して説明する。
【0158】
図17は、実施形態3に係る実装システム1が実行する実装方法を表すフローチャートである。実装方法は、図17に示すS31~S41の各工程を含む。
【0159】
まず、実装ヘッド2は、時刻t1(図15A及び図16A参照)までの期間において、第1制御部51で生成された第1移動指令C1に従って加速移動する(S31)。次に、実装ヘッド2は、時刻t1から時刻t2(図15A及び図16A参照)までの期間において、第1移動指令C1に従って減速移動する(S32)。実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1の撮像を開始する(S33)。
【0160】
撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第1距離L1を算出し、算出した第1距離L1を第2制御部52に出力する。第2制御部52は、ずれ量L0及び第1距離L1に基づいて第2距離L2を算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較することで、実装ヘッド2が第3位置P13に到達しているか否かを判定する(S34)。実装ヘッド2が第3位置P13に到達している場合(S34;Yes)、撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S41)。
【0161】
一方、実装ヘッド2が第3位置P13に到達していない場合(S34;No)、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも小さいか否かを判定する(S35)。第1距離L1が第2距離L2よりも小さい場合(S35;Yes)、第2制御部52は、第3位置P13が第1位置P11よりも遠いことから、加減速指令を生成する(S39)。実装ヘッド2は、加減速指令に従って第3位置P13に向かって移動し(S40)、第3位置P13に到達するまではS34、S35、S39、S40を繰り返す。そして、実装ヘッド2が第3位置P13に到達すると(S34;Yes)、撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S41)。
【0162】
また、実装ヘッド2が第3位置P13に到達しておらず(S34;No)、かつ第1距離L1が第2距離L2よりも大きい場合(S35;No)、第2制御部52は、第3位置P13が第1位置P11よりも近いことから、減速指令を生成し、実装ヘッド2は、減速指令に従って第1位置P11に到着するまで移動する(S36)。実装ヘッド2が第1位置P11に到着すると(S37)、第2制御部52は、第1位置P11と第3位置P13との間の距離を算出し(S38)、当該距離に基づいて加減速指令を生成する(S39)。実装ヘッド2は、加減速指令に従って第3位置P13に向けて移動し(S40)、第3位置P13に到達するまでS34~S40を繰り返す。そして、実装ヘッド2が第3位置P13に到達すると(S34;Yes)、撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S41)。
【0163】
(4)効果
実施形態3に係る実装システム1によれば、実施形態1に係る実装システム1と同様、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0164】
(実施形態4)
実施形態4に係る実装システム1について、図18A図20を参照して説明する。実施形態4に係る実装システム1に関し、実施形態1に係る実装システム1(図1図4)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0165】
実施形態4に係る実装システム1は、第3位置P13までの残距離が所定値α1以下になると、制御部5が、第2移動指令C2に従わずに、補正後の目標位置の指令値に基づいて実装ヘッド2を移動させる点で、実施形態1に係る実装システム1と相違する。また、実施形態4に係る実装システム1は、第2移動指令C2に基づく実装ヘッド2の加速度が、第1移動指令C1に基づく実装ヘッド2の加速度以下に制限される点で、実施形態1に係る実装システム1と相違する。
【0166】
(1)構成
実施形態4に係る実装システム1は、実施形態1に係る実装システム1と同様、実装ヘッド2と、撮像部3と、移動機構4と、制御部5と、搬送装置6と、複数の部品供給部7と、固定カメラ8と、を備える。制御部5は、第1制御部51と、第2制御部52と、を含む。
【0167】
第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11までの第1移動指令C1を生成する。第1移動指令C1は、時刻t1のときに実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11となり、かつ時刻t6のときに実装ヘッド2の速度V1がゼロとなる指令である(図18Aの破線参照)。
【0168】
第2制御部52は、撮像部3の処理回路33からずれ量L0を取得し、第1制御部51から第1距離L1を取得し、かつ第1距離L1及びずれ量L0に基づいて第2距離L2を算出する。第2制御部52は、第1距離L1及び第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合、第2移動指令C2は、時刻t3のときに実装ヘッド2の速度V1が第3速度V13となり、時刻t4のときに速度V1が第4速度V14となり、時刻t5のときに速度V1が第5速度V15となり、かつ時刻t7のときに速度V1がゼロとなる速度指令を含む(図18Aの実線参照)。また、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合、第2移動指令C2は、時刻t3のときに実装ヘッド2の速度V1が第3速度V13となり、時刻t4のときに速度V1が第4速度V14となり、時刻t5のときに速度V1がゼロとなる速度指令を含む(図19Aの実線参照)。
【0169】
また、実施形態4では、制御部5は、第2移動指令C2(速度指令)に従わずに、補正後の目標位置の指令値に基づいて実装ヘッド2を移動させる。撮像部3は、実装ヘッド2が第4位置P14(図18B及び図19B参照)に到達すると撮像対象T1を撮像する。第4位置P14は、第3位置P13より手前の撮像位置である。ここで、実装ヘッド2の現在位置と補正後の目標位置との差が大きいほど、実装ヘッド2が補正後の目標位置の指令値に基づいて移動する際にモータに発生するトルクは大きくなる。したがって、実装ヘッド2の現在位置と補正後の目標位置との差(残距離)に関して、異音又は振動が生じない正常範囲の境界である許容値を設定することができる。実装ヘッド2の現在位置と補正後の目標位置との差(残距離)が予め定められた所定値α1(許容値)以下である場合には、異音又は振動は生じない。例えば、第2制御部52(制御部5)は、第4位置P14における撮像部3による撮像対象T1の撮像結果に基づく撮像対象T1の位置(第3位置P13)と第4位置P14との間の距離(残距離)が所定値α1以下である場合、第2移動指令C2(速度指令)に従わずに、補正後の目標位置の指令値を移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に出力する。これにより、高精度な位置補正が可能となる。ここでいう「実装ヘッド2の現在位置」は、実装ヘッド2が移動するXY平面上の位置であって、第4位置P14と対応する位置である。また、「補正後の目標位置」は、実装ヘッド2が移動するXY平面上の位置であって、第3位置P13に対応する位置である。
【0170】
(2)補正動作
実施形態4に係る実装システム1の補正動作について、図18A図19Bを参照して説明する。
【0171】
(2.1)第3位置が第1位置よりも遠い場合
まず、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも遠い場合について、図18A及び図18Bを参照して説明する。図18Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図18Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図18Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図18Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0172】
制御部5の第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、図18Aに示すように、実装ヘッド2の速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間において実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、直線的に速度V1を増加させる速度指令を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t6の期間において実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、直線的に速度V1を減少させる速度指令を含む。
【0173】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図18Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t6のときに第1位置P11に到達する(図18Bの破線参照)。
【0174】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも短い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも遠い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第2移動指令C2は、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の速度V1が第2速度V12から第3速度V13になり、かつ時刻t3から時刻t4までの期間における速度V1が第3速度V13から第4速度V14になる速度指令を含む。第3速度V13は、第2速度V12よりも大きい。また、第4速度V14は、第2速度V12よりも小さい。
【0175】
ここで、実施形態4に係る実装システム1では、時刻t4のときに実装ヘッド2が第4位置P14に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。第2制御部52は、撮像画像に基づいて第4位置P14と第3位置P13との間の距離(残距離)を算出する。第2制御部52は、上記残距離が所定値α1以下であるか否かを判定し、上記残距離が所定値α1以下である場合に、上記残距離に対応したトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給する。これにより、実装ヘッド2の速度V1は、時刻t5のときに第5速度V15になるように直線的に増加した後、時刻t7のときにゼロになるように直線的に減少し、時刻t7のときに実装ヘッド2が第3位置P13に到達する(図18Bの実線参照)。
【0176】
ところで、実施形態4では、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1までの期間における実装ヘッド2の第1加速度以下に制限される。具体的には、第1加速度及び第2加速度の各々の絶対値は、例えば、3.5Gである。また、実施形態4では、時刻t3から時刻t4までの期間における第4加速度は、時刻t1から時刻t2までの期間における第3加速度以下に制限される。具体的には、第3加速度及び第4加速度の各々の絶対値は、例えば、3.5Gである。
【0177】
(2.2)第3位置が第1位置よりも近い場合
次に、補正後の実装ヘッド2の目標位置である第3位置P13が、補正前の実装ヘッド2の目標位置である第1位置P11よりも近い場合について、図19A及び図19Bを参照して説明する。図19Aにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表し、図19Aにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の速度指令を表している。また、図19Bにおける実線は、第1位置P11と第3位置P13とが異なる位置であって、補正が必要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表し、図19Bにおける破線は、第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置であって、補正が不要な場合の実装ヘッド2の位置変化を表している。
【0178】
制御部5の第1制御部51は、補正前の目標位置である第1位置P11に向けた第1移動指令C1を生成し、XY軸ドライバ15に出力する。XY軸ドライバ15は、第1移動指令C1に従って移動機構4を駆動し、実装ヘッド2を移動させる。第1移動指令C1は、図19Aに示すように、移動機構4に対する速度指令を含む。より詳細には、第1移動指令C1は、時刻t1までの期間における実装ヘッド2の速度V1がゼロから第1速度V11になるように、速度V1を直線的に増加させる速度指令を含む。また、第1移動指令C1は、時刻t1から時刻t6までの期間における実装ヘッド2の速度V1が第1速度V11からゼロになるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令を含む。
【0179】
まず、実装ヘッド2は、第1移動指令C1に従って、Y軸方向に沿って第1位置P11に向かって移動を開始する。時刻t2のときに、実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて撮像対象T1の位置である第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第2位置P12と第1位置P11との間の第1距離L1を算出して第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて、第2位置P12と第3位置P13との間の第2距離L2を上記補正後の移動量として算出する。第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較し、第1距離L1と第2距離L2とが同じである場合(第1位置P11と第3位置P13とが同じ位置である場合)、時刻t2以降についても第1移動指令C1に従って実装ヘッド2を移動させる。これにより、実装ヘッド2は、図19Aの破線で示される速度指令に従って第1位置P11に向かって移動し、時刻t6のときに第1位置P11に到達する(図19Bの破線参照)。
【0180】
一方、第2制御部52は、第1距離L1が第2距離L2よりも長い場合(第3位置P13が第1位置P11よりも近い場合)、第2距離L2に基づいて第2移動指令C2を生成する。第2移動指令C2は、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の速度V1が第2速度V12から第3速度V13になるように、速度V1を直線的に減少させる速度指令を含む。第3速度V13は、第2速度V12よりも小さい。また、第2速度V12は、第1速度V11よりも小さい。
【0181】
ここで、実施形態4に係る実装システム1では、時刻t3のときに実装ヘッド2が第4位置P14に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1(実装位置P2)を撮像する。第2制御部52は、撮像画像に基づいて第4位置P14と第3位置P13との間の距離(残距離)を算出する。第2制御部52は、上記残距離が所定値α1以下であるか否かを判定し、上記残距離が所定値α1以下である場合に、上記残距離に対応したトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給する。これにより、実装ヘッド2の速度V1は、時刻t4のときにゼロになった後、時刻t5のときに逆向きの第4速度V14になり、さらに時刻t6のときにゼロになって実装ヘッド2が第3位置P13に到達する(図19Bの実線参照)。
【0182】
ところで、実施形態4では、時刻t2から時刻t3までの期間における実装ヘッド2の第2加速度は、時刻t1までの期間における実装ヘッド2の第1加速度以下に制限される。具体的には、第1加速度及び第2加速度の各々の絶対値は、例えば、3.5Gである。
【0183】
(3)実装方法
次に、実施形態4に係る実装方法について、図20を参照して説明する。
【0184】
図20は、実施形態4に係る実装システム1が実行する実装方法を表すフローチャートである。実装方法は、図20に示すS51~S61の各工程を含む。
【0185】
まず、実装ヘッド2は、時刻t1(図18A及び図19A参照)までの期間において、第1制御部51で生成された第1移動指令C1に従って加速移動する(S51)。次に、実装ヘッド2は、時刻t1から時刻t2(図18A及び図19A参照)までの期間において、第1移動指令C1に従って減速移動する(S52)。実装ヘッド2が第2位置P12に到達すると、撮像部3は、撮像対象T1の撮像を開始する(S53)。
【0186】
撮像部3の処理回路33は、撮像画像に基づいて第3位置P13を取得し、第1位置P11と第3位置P13との間のずれ量L0を算出して第2制御部52に出力する。第1制御部51は、第1距離L1を算出し、算出した第1距離L1を第2制御部52に出力する。第2制御部52は、第1距離L1及びずれ量L0に基づいて第2距離L2を算出する。第2制御部52は、第3位置P13までの残距離が所定値α1以下であるか否かを判定する(S54)。上記残距離が所定α1よりも大きい場合(S54;No)、第2制御部52は、第1距離L1と第2距離L2とを比較する(S55)。第1距離L1が第2距離L2より小さい場合(S55;Yes)、第2制御部52は、補正後の目標位置である第3位置P13が補正前の目標位置である第1位置P11よりも遠いことから、加減速指令を生成する(S57)。一方、第1距離L1が第2距離L2より大きい場合(S55;No)、第2制御部52は、第3位置P13が第1位置P11よりも近いことから、減速指令を生成する(S56)。そして、実装ヘッド2は、上述の加減速指令又は減速指令に従って第3位置P13に向けて移動する(S58)。以降、S54~S58を繰り返し、上記残距離が所定値α1以下になると(S54;Yes)、第2制御部52は、上記残距離に対応するトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給する(S59)。実装ヘッド2は、移動機構4によって第3位置P13に到達するまで移動し(S60)、実装ヘッド2が第3位置P13に到達すると、撮像部3の撮像を終了し、補正動作が完了する(S61)。
【0187】
(4)効果
実施形態4に係る実装システム1によれば、実施形態1に係る実装システム1と同様、モータによる異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板200に対する部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0188】
また、実施形態4に係る実装システム1では、第2制御部52(制御部5)は、第4位置P14における撮像部3の撮像結果(撮像画像)に基づく撮像対象T1の位置(第3位置P13)と第4位置P14との間の距離(残距離)に対応するトルクを移動機構4のモータ(ここではY軸モータ414)に発生させる電流をモータに供給している。これにより、残距離に対応するトルクに応じた電流をモータに直接出力することになるので、高精度な位置補正が可能となる。
【0189】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0190】
第1の態様に係る実装システム(1)は、実装ヘッド(2)と、移動機構(4)と、制御部(5)と、撮像部(3)と、を備える。実装ヘッド(2)は、部品(100)を捕捉し、捕捉した部品(100)を基板(200)に実装する。移動機構(4)は、第1位置(P11)に向けて実装ヘッド(2)を移動させる。制御部(5)は、移動機構(4)の駆動を制御する。撮像部(3)は、撮像対象(T1)を撮像する。撮像対象(T1)は、基板(200)に対する部品(100)の実装位置(P2)、及び部品(100)を供給する部品供給部(7)における部品(100)の吸着位置(P3)の少なくとも一方である。移動機構(4)は、駆動部(411,412)を有する。駆動部(411,412)は、モータ(413,414)を含み、モータ(413,414)により実装ヘッド(2)を移動させる。撮像部(3)は、実装ヘッド(2)が第1位置(P11)よりも手前の第2位置(P12)に到達すると撮像対象(T1)を撮像する。実装システム(1)は、トルク制限部(53)を更に備える。トルク制限部(53)は、制御部(5)が撮像部(3)による撮像対象(T1)の撮像結果に基づいて実装ヘッド(2)が移動する際に、モータ(413,414)のトルクを所定トルク値以下に制限する。
【0191】
この態様において、撮像部(3)は、実装ヘッド(2)が第1位置(P11)よりも手前の第2位置(P12)に到達すると撮像対象(T1)を撮像する。トルク制限部(53)は、制御部(5)が撮像部(3)による撮像対象(T1)の撮像結果に基づいて実装ヘッド(2)を移動させる際に、モータ(413,414)のトルク所定トルク値以下に制限する。これにより、モータ(413,414)の出力が大きくなることを抑制することが可能となり、その結果、異音及び振動の少なくとも一方の発生を抑制することが可能となる。また、振動が抑制されることによって、基板(200)に対する部品(100)の実装精度を向上させることも可能となる。すなわち、この態様によれば、異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板(200)に対する部品(100)の実装精度を向上させることが可能となる。
【0192】
第2の態様に係る実装システム(1)では、第1の態様において、トルク制限部(53)は、モータ(413,414)に供給される電流を上記所定トルク値に対応する所定電流値以下に制限する。
【0193】
この態様によれば、トルク制限部(53)からの移動指令(C2)に基づいて実装ヘッド(2)を移動させる場合に比べて、実装システム(1)の簡素化を図ることが可能となる。
【0194】
第3の態様に係る実装システム(1)では、第1の態様において、トルク制限部(53)は、上記撮像結果に基づく補正後の目標位置である第3位置(P13)に向けて実装ヘッド(2)を移動させるための移動指令(C2)を生成し、生成した移動指令(C2)を駆動部(411,412)に出力する。
【0195】
この態様によれば、トルク指令値を所定トルク値以下に制限する場合に比べて、補正後の目標位置である第3位置(P13)までの移動時間を短縮することが可能となる。
【0196】
第4の態様に係る実装システム(1)では、第3の態様において、制御部(5)は、上記撮像結果に基づいて実装ヘッド(2)を移動させる際に、トルク制限部(53)からの移動指令(C2)に基づいて実装ヘッド(2)を加速又は減速させる。
【0197】
この態様によれば、実装ヘッド(2)を同じ速度で移動させる場合に比べて、補正後の目標位置である第3位置(P13)までの移動時間を短縮することが可能となり、その結果、生産性を向上させることが可能となる。
【0198】
第5の態様に係る実装システム(1)では、第4の態様において、制御部(5)は、第1距離(L1)が第2距離(L2)よりも短い場合に、トルク制限部(53)からの移動指令(C2)に基づいて実装ヘッド(2)を加速させる。第1距離(L1)は、第1位置(P11)と第2位置(P12)との間の距離である。第2距離(L2)は、第3位置(P13)と第2位置(P12)との間の距離である。
【0199】
この態様によれば、実装ヘッド(2)を同じ速度で移動させる場合に比べて第3位置(P13)までの移動時間を短縮することが可能となり、その結果、生産性を向上させることが可能となる。
【0200】
第6の態様に係る実装システム(1)では、第4の態様において、制御部(5)は、第1距離(L1)が第2距離(L2)よりも長い場合に、トルク制限部(53)からの移動指令(C2)に基づいて実装ヘッド(2)を減速させる。第1距離(L1)は、第1位置(P11)と第2位置(P12)との間の距離である。第2距離(L2)は、第3位置(P13)と第2位置(P12)との間の距離である。
【0201】
この態様によれば、実装ヘッド(2)を同じ速度で移動させる場合に比べて第3位置(P13)までの移動時間を短縮することが可能となり、その結果、生産性を向上させることが可能となる。
【0202】
第7の態様に係る実装システム(1)では、第4の態様において、制御部(5)は、第1距離(L1)が第2距離(L2)よりも長い場合に、第1位置(P11)に到達するまで実装ヘッド(2)を移動させた後、トルク制限部(53)からの移動指令(C2)に基づいて第3位置(P13)に向けて実装ヘッド(2)を移動させる。第1距離(L1)は、第1位置(P11)と第2位置(P12)との間の距離である。第2距離(L2)は、第3位置(P13)と第2位置(P12)との間の距離である。
【0203】
この態様によれば、異音及び振動の発生を更に抑制しつつ実装精度を更に向上させることが可能となる。
【0204】
第8の態様に係る実装システム(1)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、所定トルク値は、実装システム(1)の少なくとも一部を含む実装装置(1)ごとに予め決められている。
【0205】
この態様によれば、所定トルク値の設定が不要である。
【0206】
第9の態様に係る実装システム(1)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、所定トルク値は、実装ヘッド(2)の種類に応じて変更される。
【0207】
この態様によれば、実装ヘッド(2)の種類に応じて所定トルク値を変更することが可能となる。
【0208】
第10の態様に係る実装システム(1)では、第3~第9の態様のいずれか1つにおいて、制御部(5)は、第1制御部(51)と、第2制御部(52)と、を含む。第1制御部(51)は、第1位置(P11)に向けて実装ヘッド(2)を移動させるための第1移動指令(C1)を生成する。第2制御部(52)は、トルク制限部(53)に相当し、上記撮像結果に基づいて実装ヘッド(2)を移動させるための第2移動指令(C2)を生成する。撮像部(3)は、上記撮像結果に基づく撮像対象(T1)の位置と第1位置(P11)とのずれ量(L0)を第2制御部(52)に出力する。第2位置(P12)までの第1移動区間(SE1)では、第1制御部(51)が駆動部(411,412)に第1移動指令(C1)を出力する。第2位置(P12)から第3位置(P13)までの第2移動区間(SE2)では、第2制御部(52)が駆動部(411,412)に第2移動指令(C2)を出力する。
【0209】
この態様によれば、実装ヘッド(2)の応答性を向上させることが可能となる。
【0210】
第11の態様に係る実装システム(1)では、第3~第9の態様のいずれか1つにおいて、制御部(5)は、第3位置(P13)に向けて実装ヘッド(2)を移動させる。撮像部(3)は、実装ヘッド(2)が第3位置(P13)よりも手前の撮像位置である第4位置(P14)に到達すると撮像対象(T1)を撮像する。制御部(5)は、第4位置(P14)における上記撮像結果に基づく撮像対象(T1)の位置と第4位置(P14)との間の距離に対応するトルク指令値を駆動部(411,412)に出力する。
【0211】
この態様によれば、上記撮像結果に基づく距離に対応するトルク指令値を駆動部(411,412)に直接出力することになるので、高精度な位置補正が可能となる。
【0212】
第12の態様に係る実装方法は、撮像ステップと、トルク制限ステップと、を有する。撮像ステップでは、部品(100)を基板(200)に実装する実装ヘッド(2)が第1位置(P11)よりも手前の第2位置(P12)に到達すると、撮像部(3)が、撮像対象(T1)を撮像する。撮像対象(T1)は、基板(200)に対する部品(100)の実装位置(P2)、及び部品(100)を供給する部品供給部(7)における部品(100)の吸着位置(P3)の少なくとも一方である。トルク制限ステップでは、撮像部(3)による撮像対象(T1)の撮像結果に基づいて実装ヘッド(2)が移動する際に、移動機構(4)に含まれるモータ(413,414)のトルクを所定トルク値以下に制限する。
【0213】
この態様において、撮像ステップでは、実装ヘッド(2)が第1位置(P11)よりも手前の第2位置(P12)に到達すると撮像対象(T1)を撮像する。トルク制限ステップでは、撮像部(3)による撮像対象(T1)の撮像結果に基づいて実装ヘッド(2)が移動する際に、モータ(413,414)のトルクを所定トルク値以下に制限する。これにより、モータ(413,414)の出力が大きくなることを抑制することが可能となり、その結果、異音及び振動の少なくとも一方の発生を抑制することが可能となる。また、振動が抑制されることによって、基板(200)に対する部品(100)の実装精度を向上させることも可能となる。すなわち、この態様によれば、異音及び振動の少なくとも一方の発生を低減しつつ基板(200)に対する部品(100)の実装精度を向上させることが可能となる。
【0214】
第2~第11の態様に係る構成については、実装システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0215】
1 実装システム
2 実装ヘッド
3 撮像部
4 移動機構
5 制御部
7 部品供給部
51 第1制御部
52 第2制御部
53 トルク制限部
100 部品
200 基板
411 X軸駆動部(駆動部)
412 Y軸駆動部(駆動部)
413 X軸モータ(モータ)
414 Y軸モータ(モータ)
C1 第1移動指令
C2 第2移動指令(移動指令)
L1 第1距離
L2 第2距離
P11 第1位置
P12 第2位置
P13 第3位置
P14 第4位置
P2 実装位置
P3 吸着位置
SE1 第1移動区間
SE2 第2移動区間
T1 撮像対象
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図20