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特開2024-155517地図更新装置、地図更新方法、および地図更新用コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155517
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】地図更新装置、地図更新方法、および地図更新用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/10 20060101AFI20241024BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241024BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20241024BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20241024BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20241024BHJP
【FI】
G09B29/10 Z
G01C21/26 B
G08G1/01 A
G08G1/13
G06F16/909
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070299
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】高野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】万代 悠作
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B175
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB11
2C032HC08
2C032HD29
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB21
2F129BB33
2F129BB49
2F129BB56
2F129FF02
2F129FF20
2F129GG17
2F129HH20
2F129HH21
5B175DA03
5B175GA04
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】地図情報の更新に要する時間を短縮する。
【解決手段】地図更新装置は、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する範囲を示す位置条件と、を表す位置情報を、地図記憶部に記憶し、地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される複数点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定し、複数の参照点のそれぞれについて、1以上の位置条件のうち、所定期間内の複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の代表位置として地図情報を更新する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を記憶する地図記憶部と、
前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する判定部と、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する更新部と、
を備える地図更新装置。
【請求項2】
前記1以上の位置条件は、前記複数の参照点のうち第1の参照点に対応する第1の位置条件と、前記第1の位置条件と異なる第2の位置条件とを有し、
前記更新部は、前記所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された前記第1の参照点の位置が前記第1の位置条件を満たさないと判定され、かつ、前記第2の位置条件を満たすと判定される割合が前記更新条件を満足する場合、前記第2の位置条件により表される位置を、前記第1の参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する、
請求項1に記載の地図更新装置。
【請求項3】
前記第1の位置条件は、前記車両が走行している道路区間に含まれる複数の車線のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、前記複数の車線のうち前記走行車線と異なる他の車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
請求項2に記載の地図更新装置。
【請求項4】
前記第1の位置条件は、前記車両が走行している道路区間に含まれる複数の車両のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、過去において前記走行車線を区画していた車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
請求項2に記載の地図更新装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記更新条件を満足する位置条件を、当該参照点に対応する位置条件として前記地図情報を更新する請求項1に記載の地図更新装置。
【請求項6】
前記位置条件は、前記複数の参照点のそれぞれが存在する確率を位置ごとに示す確率分布であり、
前記判定部は、前記複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記1以上の位置条件のそれぞれに対応する確率分布における異常値に該当しないか否かに応じて、当該位置条件を満たすか否かを判定する、請求項1に記載の地図更新装置。
【請求項7】
地図更新装置が、
地図記憶部に記憶された、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を参照して、前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定し、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する、
ことを含む地図更新方法。
【請求項8】
地図記憶部に記憶された、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を参照して、前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定することと、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新することと、
をプロセッサに実行させる地図更新用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地図情報を更新する地図更新装置、地図更新方法、および地図更新用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたセンサにより取得される車両の周辺の車線区画線といった地物を表す周辺データを車両から収集し、収集された周辺データを用いて、地物を高い精度で表す高精度地図を生成する地図生成装置が知られている。生成された高精度地図は、車両の自動運転制御に使用される。
【0003】
車線区画線として高精度地図に表される道路形状が工事等により変化した場合、道路形状の変化に基づいて高精度地図を迅速に更新することが求められる。工事等による道路形状の変化が一時的なものの場合、高精度地図には、工事前の道路形状から工事中の道路形状への変化に対応する更新と、工事中の道路形状から工事後の道路形状への変化に対応する更新とが行われる。
【0004】
特許文献1に記載の地図データ更新システムでは、車載端末が地図更新サーバから更新用の地図データを取得して車載端末の地図データを更新する。一時的な道路変化開始後の更新データがある状態では、地図更新サーバは、更新データを一時的に利用することを指示するとともに更新データを配信する。一時的な道路変化終了後の更新データがある状態では、地図更新サーバは、一時的な道路変化開始前の地図データを利用することを指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-46203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地図サーバは、車両から収集する周辺データから道路の形状の変化を検出し、変化後の形状を表す地図データを生成する。道路の形状が変化してから変化後の形状を表す地図データを生成するまでには、変化を検出するために十分な数の周辺データを収集する必要があり、新たに作成される道路を表す地図データの生成と同程度の時間を要する。
【0007】
本開示は、地図情報の更新に要する時間を短縮することができる地図更新装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を記憶する地図記憶部と、
前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する判定部と、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する更新部と、
を備える地図更新装置。
【0010】
(2)前記1以上の位置条件は、前記複数の参照点のうち第1の参照点に対応する第1の位置条件と、前記第1の位置条件と異なる第2の位置条件とを有し、
前記更新部は、前記所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された前記第1の参照点の位置が前記第1の位置条件を満たさないと判定され、かつ、前記第2の位置条件を満たすと判定される割合が前記更新条件を満足する場合、前記第2の位置条件により表される位置を、前記第1の参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する、
上記(1)に記載の地図更新装置。
【0011】
(3)前記第1の位置条件は、前記車両が走行している道路区間に含まれる複数の車線のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、前記複数の車線のうち前記走行車線と異なる他の車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
上記(2)に記載の地図更新装置。
【0012】
(4)前記第1の位置条件は、前記車両が走行している道路区間に含まれる複数の車両のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、過去において前記走行車線を区画していた車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
上記(2)に記載の地図更新装置。
【0013】
(5)前記更新部は、前記更新条件を満足する位置条件を、当該参照点に対応する位置条件として前記地図情報を更新する上記(1)-(4)のいずれか一つに記載の地図更新装置。
【0014】
(6)前記位置条件は、前記複数の参照点のそれぞれが存在する確率を位置ごとに示す確率分布であり、
前記判定部は、前記複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記1以上の位置条件のそれぞれに対応する確率分布における異常値に該当しないか否かに応じて、当該位置条件を満たすか否かを判定する、上記(1)-(5)のいずれか一つに記載の地図更新装置。
【0015】
(7)地図更新装置が、
地図記憶部に記憶された、所定の地物に対応する複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を参照して、前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定し、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する、
ことを含む地図更新方法。
【0016】
(8)
地図記憶部に記憶された、所定の地物に対応する複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を参照して、前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定することと、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新することと、
をプロセッサに実行させる地図更新用コンピュータプログラム。
【0017】
本開示にかかる地図更新装置によれば、地図情報の更新に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】地図更新システムの概略構成図である。
図2】車両の概略構成図である。
図3】地図更新装置のハードウェア構成図である。
図4】地図情報の例を説明する図である。
図5】道路状況の第1の例を説明する図である。
図6】地図更新装置が有するプロセッサの機能ブロック図である。
図7】道路状況の第2の例を説明する図である。
図8】地図更新処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、地図情報の更新に要する時間を短縮することができる地図更新装置について詳細に説明する。地図更新装置は、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する範囲を示す位置条件と、を表す位置情報を、地図記憶部に記憶している。
【0020】
地図更新装置は、地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される複数点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する。
【0021】
そして、地図更新装置は、複数の参照点のそれぞれについて、1以上の位置条件のうち、所定期間内の複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の代表位置として地図情報を更新する。
【0022】
図1は、地図更新システムの概略構成図である。本実施形態では、地図更新システム1は、複数の車両2と、地図更新装置3とを有する。複数の車両2のそれぞれは、地図更新装置3が接続される通信ネットワークNWにゲートウェイ(不図示)などを介して接続される無線基地局WBSにアクセスすることで、無線基地局WBSおよび通信ネットワークNWを介して地図更新装置3と通信可能に接続される。以下では、複数の車両2のうち一の車両を「車両2」ともいう。地図更新システム1において、複数の無線基地局WBSが通信ネットワークNWに接続されていてもよい。
【0023】
図2は、車両2の概略構成図である。
【0024】
車両2は、周辺カメラ21と、データ通信モジュール(Data Communication Module, DCM)22と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機23と、ストレージ装置24と、ECU(Electronic Control Unit)25とを有する。周辺カメラ21、データ通信モジュール22、GNSS受信機23、およびストレージ装置24と、ECU25とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0025】
周辺カメラ21は、車両2の周辺状況に応じた周辺画像を生成するためのセンサの一例である。周辺カメラ21は、CCDあるいはC-MOSなど、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系とを有する。周辺カメラ21は、例えば車室内の前方上部に、前方を向けて配置される。周辺カメラ21は、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとにフロントガラスまたはリヤガラスを介して車両2の周辺の状況を撮影し、周辺の状況が表された周辺画像を出力する。
【0026】
データ通信モジュール22は、通信機器の一例であり、いわゆる4G(4th Generation)または5G(5th Generation)といった所定の無線通信規格に準拠した無線通信処理を実行する機器である。データ通信モジュール22は、例えば、無線基地局WBSにアクセスすることで、無線基地局WBSおよび通信ネットワークNWを介して地図更新装置3と通信可能に接続される。データ通信モジュール22は、ECU25から受け取った周辺データをアップリンクの無線信号に含め、その無線信号を無線基地局WBSへ送信することで、周辺データを地図更新装置3へ送信する。なお、データ通信モジュール22は、ECU25の一部として実装されてもよい。
【0027】
GNSS受信機23は、測位センサの一例であり、不図示のGNSSアンテナにより所定の周期ごとにGNSS衛星からのGNSS信号を受信し、受信したGNSS信号に基づいて車両2の自己位置を測位する。GNSS受信機23は、所定の周期ごとに、GNSS信号に基づく車両2の自己位置の測位結果を表す測位信号を、車内ネットワークを介してECU25へ出力する。
【0028】
ストレージ装置24は、車両記憶装置の一例であり、例えば、不揮発性の半導体メモリ、またはハードディスク装置を有する。ストレージ装置24は、所定の道路区間に存在する所定の地物について、地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置を表す車両地図情報を記憶する。車両地図情報は、地図更新装置3により更新される地図情報の全部または一部であってもよい。また、ストレージ装置24は、周辺カメラ21が出力する周辺データを、所定時間分、一時記憶する。
【0029】
ECU25は、ECU25を車内ネットワークへ接続するための通信インタフェース回路と、各種データおよびプログラムを記憶するメモリと、メモリに記憶されたプログラムに従って処理を実行するプロセッサとを備える。
【0030】
ECU25は、通信インタフェース回路を介して、周辺カメラ21により生成された周辺画像を取得する。ECU25は、予め画像から地物を検出するよう学習された識別器に周辺画像を入力することにより、周辺画像から周辺の地物を検出する。
【0031】
識別器は、例えば、YOLO(You Only Look Once)、SSD(Single Shot MultiBox Detector)といった、入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の畳み込み層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とすることができる。車線区画線などの検出対象となる地物が表された多数の画像を教師データとして用いて、誤差逆伝搬法といった所定の学習手法に従って予めCNNの学習を行うことにより、CNNは地物を検出する識別器として動作する。
【0032】
ECU25は、周辺画像から検出された地物の位置とストレージ装置24から読み出した地物の位置とをマッチングすることで、周辺画像が生成されたときの車両2の位置および方位を推定する。なお、ECU25は、車両2の位置および方位を、GNSS受信機23から受信した測位信号に表される自車位置および車両2に搭載された方位センサ(不図示)から取得される方位情報により特定してもよい。
【0033】
車線区画線において、交差点、合流点といった基準地点から所定間隔(例えば50m)ずつ離間した位置に設けられる参照点を検出するため、ECU25は、車両2の位置から進行方向に所定距離(例えば5m)前方の位置と、車両地図情報に記憶された参照点の代表位置との間隔が最小となる位置に車両2が到達した時点で周辺カメラ21により生成された周辺画像を特定する。当該周辺画像において、車両2の位置から進行方向に所定距離前方における車線区画線の位置を検出することにより、ECU25は、車線区画線に設けられる参照点の位置を検出することができる。所定間隔は、地図情報において予め定められている。所定距離は、周辺カメラ21の光学系の焦点距離、撮影方向といった撮影パラメータに応じて予め定められ、メモリに保存される。
【0034】
ECU25は、周辺画像における参照点の位置を推定する。ECU25は、推定された参照点の位置を、車両2の位置および方位と、周辺カメラ21の撮影パラメータと、高精度地図に含まれる車線区画線の間隔とを用いて、世界座標系における位置に変換する。
【0035】
ECU25は、所定の参照点の識別子および位置のそれぞれを示すデータを、車線区画線を含む状況が表された周辺データとしてデータ通信モジュール22を介して地図更新装置3に送信する。
【0036】
ECU25は、周辺画像と、車両2の位置および方位と、周辺カメラ21の撮影パラメータとを周辺データとして地図更新装置3に送信してもよい。この場合、地図更新装置3は、周辺データに基づいて参照点の位置を算出する。
【0037】
図3は、地図更新装置3のハードウェア構成図である。地図更新装置3は、通信インタフェース31と、ストレージ装置32と、メモリ33と、プロセッサ34とを有する。
【0038】
通信インタフェース31は、通信部の一例であり、地図更新装置3を通信ネットワークNWに接続するためのインタフェース回路を有する。通信インタフェース31は、通信ネットワークNWを介して他の機器と通信可能に構成される。すなわち、通信インタフェース31は、通信ネットワークNWを介して他の機器から受信したデータ等をプロセッサ34に渡す。また、通信インタフェース31は、プロセッサ34から受け取ったデータ等を、通信ネットワークNWを介して他の機器に送信する。
【0039】
ストレージ装置32は、地図記憶部の一例であり、例えばハードディスク装置または不揮発性の半導体メモリ装置などの記憶装置を有する。ストレージ装置32は、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を記憶する。ストレージ装置32は、車両2から受信する複数の周辺データを記憶してもよい。地図記憶部は、地図更新装置3と通信可能に接続された別体のストレージ装置であってもよい。
【0040】
図4は地図情報の例を説明する図であり、図5は道路状況の第1の例を説明する図である。道路状況の第1の例では、車線L1-L2、中央分離帯M、および、車線L3-L4を有する道路の状況が表される。
【0041】
図4に示す地図情報321において、参照点A1、A2は、図4に示す車線L1を区画する一対の車線区画線のうち一方の車線区画線L1-1についての参照点である。車線区画線は地図情報として地図記憶部に記憶される地物の一例である。車線区画線についての参照点は、例えば、その道路における交差点、合流点といった基準地点から所定間隔ずつ離間した位置に設けられる。同様に、参照点B1、B2は、車線L1を区画する車線区画線のうち他方の車線区画線L1-2についての参照点である。
【0042】
図5の例では、車線L1を区画する車線区画線のうち他方の車線区画線L1-2についての参照点B1、B2は、車線L2を区画する車線区画線のうち一方の車線区画線L2-1に対応する参照点としても用いられる。しかしながら、車線L2を区画する車線区画線のうち一方の車線区画線L2-1についての参照点は、車線L1を区画する車線区画線のうち他方の車線区画線L1-2についての参照点と別に設けられてもよい。
【0043】
図4に示す地図情報321において、参照点A1には、代表位置(A1X,A1Y)および位置条件PCA1が対応づけられる。代表位置は、地図情報に基づく地図の生成にあたり当該参照点が存在するものと扱われる位置である。代表位置(A1X,A1Y)において、A1Xは参照点の緯度を示し、A1Yは参照点の経度を示す。
【0044】
位置条件PCA1は、参照点A1の存在する範囲を示す条件である。位置条件PCA1は、車両2が取得する周辺データに表される当該参照点が存在する確率を位置ごとに示す確率分布であってよい。位置条件は、車両2から受信した地物の状況を表す周辺データに基づいて設定されてよい。図4に示すように、地図情報321には、参照点A1-F1に対応して、位置条件PCA1-PCF1が記憶されている。代表位置は、位置条件として設定される確率分布における算術平均値、中央値といった統計的代表値であってよい。
【0045】
図3に戻り、メモリ33は、記憶部の他の一例であり、揮発性の半導体メモリおよび不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ33は、プロセッサ34による処理に用いられる各種データ、例えば所定の位置条件により表される位置を参照点の代表位置として地図情報321を更新するか否かを判定するための更新条件等を記憶する。また、メモリ33は、各種アプリケーションプログラム、例えば地図情報321を更新する地図更新用コンピュータプログラム等を記憶する。
【0046】
プロセッサ34は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を有する。プロセッサ34は、論理演算ユニットあるいは数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。
【0047】
図6は、地図更新装置3が有するプロセッサ34の機能ブロック図である。
【0048】
地図更新装置3のプロセッサ34は、機能ブロックとして、判定部341と、更新部342とを有する。プロセッサ34が有するこれらの各部は、プロセッサ34上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。プロセッサ34の各部の機能を実現するコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータが読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ34が有するこれらの各部、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとして地図更新装置3に実装されてもよい。
【0049】
判定部341は、地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、ストレージ装置32に記憶された1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する。
【0050】
判定部341は、ストレージ装置32から、複数の周辺データのうち一の周辺データを読み出す。判定部341は、読み出した周辺データに表される参照点を特定する。
【0051】
判定部341は、地図情報から、読み出した周辺データに表される参照点に対応する代表位置から所定範囲(例えば100m)内の位置に代表位置を有する1以上の位置条件を選択する。そして、判定部341は、読み出した周辺データに表される参照点が、選択された1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する。判定部341は、参照点ごとに、選択された1以上の位置条件のそれぞれについての判定結果を、メモリ33に一時保存する。
【0052】
車両2が取得する周辺データに表される当該参照点が存在する確率を位置ごとに示す確率分布が位置条件として設定されている場合、判定部341は、読み出した参照点の位置が、選択された1以上の位置条件のそれぞれに対応する確率分布における異常値に該当しないか否かに応じて、当該位置条件を満たすか否かを判定してよい。判定部341は、例えば、位置条件として設定される確率分布を正規分布に近似した場合における、平均値±標準偏差×2といった正常範囲から外れる位置を異常値とし、このような位置を有する参照点を、位置条件を満たさないと判定する。異常値に該当するか否かの判定は、スミルノフ・グラブス検定、パーセンタイル値による判定といった既存の手法を適用してよい。
【0053】
図5に示す道路状況の第1の例において、車両2の周辺カメラ21による検出範囲DRに存在する参照点を表す周辺データには、参照点A1に対応する位置A1′および参照点B1に対応する位置B1′が含まれる。判定部341は、参照点A1の代表位置(A1X,A1Y)から所定距離内に代表位置を有する位置条件PCA1-PCF1を選択する。
【0054】
参照点A1を第1の参照点とし、第1の参照点に対応する位置条件PCA1を第1の位置条件とし、第1の位置条件と異なる位置条件PCD1を第2の位置条件とする。図5に示す道路状況の第1の例において、第1の位置条件は、車両2が走行している道路に含まれる車線L1-L4のうち車両2が走行している車線L1を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である。第2の位置条件は、車両2が走行している道路に含まれる車線L1-L4のうち車両2が走行していない車線L3を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である。
【0055】
周辺データに表される位置A1′は、第1の位置条件の正常範囲NRA1から外れていない。そのため、判定部341は、位置A1′が第1の位置条件を満たすと判定する。また、周辺データに表される位置A1′は、第2の位置条件の正常範囲NRD1から外れている。そのため、判定部341は、位置A1′が第2の位置条件を満たさないと判定する。
【0056】
図7は、道路状況の第2の例を説明する図である。道路状況の第2の例は、図5に示す道路状況の第1の例における車線L1、L2が工事等の理由により途中から閉鎖され、車線L3の一部が車線L1に変更された状況を表している。
【0057】
図7に示す道路状況の第2の例において、車両2の周辺カメラ21による検出範囲DRに存在する参照点を表す周辺データには、参照点A2に対応する位置A2′および参照点B2に対応する位置B2′が含まれる。判定部341は、参照点A2の代表位置(A2X,A2Y)から所定距離内に代表位置を有する位置条件PCA2-PCF2を選択する。
【0058】
参照点A2を第1の参照点とし、第1の参照点に対応する位置条件PCA2を第1の位置条件とし、第1の参照条件と異なる位置条件PCD2を第2の位置条件とする。図7に示す道路状況の第2の例において、第1の位置条件は、車両2が走行している道路に含まれる車線L1-L4のうち車両2が走行している車線L1を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である。第2の位置条件は、車両2が走行している道路に含まれる車線L1-L4のうち車両2が走行していない車線L3を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である。
【0059】
周辺データに表される位置A2′は、第1の位置条件の正常範囲NRA2から外れていない。そのため、判定部341は、位置A2′が第1の位置条件を満たすと判定する。また、周辺データに表される位置A2′は、第2の位置条件の正常範囲NRD2から外れている。そのため、判定部341は、位置A2′が第2の位置条件を満たさないと判定する。
【0060】
図6に戻り、更新部342は、複数の参照点のそれぞれについて、1以上の位置条件のうち、所定期間内の複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判断される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の代表位置として地図情報を更新する。
【0061】
所定期間は、参照点の存在する道路区間について周辺データが取得される頻度に応じて予め設定され、例えば1週間である。更新条件は、例えば、所定期間内の複数の周辺データのそれぞれに表された参照点の位置が位置条件を満たすと判断される割合が更新閾値(例えば60%)より大きい、のように設定される。
【0062】
図7に示す道路状況の第2の例において、参照点A2に対応づけられた位置条件PCA2は、道路形状が変更される前に取得された周辺データから検出された参照点の位置の分布を表している。車両2は、変更された道路形状に従って走行し、直前の参照点A1から所定距離離間した設けられた参照点として、道路形状が変更される前の車線L3を区画する車線区画線に対応する位置を検出する。
【0063】
道路形状が変更される前は、周辺データに表された参照点の位置は、原則として、位置条件PCA2を満たし、位置条件PCD2を満たさない。道路形状が変更されて時間が経過すると、変更された道路形状に従って走行する車両2により取得され、位置条件PCA2を満たさず位置条件PCD2を満たす参照点の位置を表す周辺データが増加する。所定期間が経過して、複数の周辺データに表された参照点の位置が位置条件PCD2を満たす割合が十分大きくなって更新条件を満足すると、更新部342は、位置条件PCD2により表される位置を、参照点A2の代表位置として地図情報321を更新する。
【0064】
参照点A2を第1の参照点とし、第1の参照点に対応する位置条件PCA2を第1の位置条件とし、第1の位置条件と異なる位置条件PCD2を第2の位置条件とする。この場合、更新部342は、所定期間内の複数の周辺データのそれぞれに表された第1の参照点の位置が、第1の位置条件を満たさないと判定され、かつ、第2の位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する場合、第2の位置条件により表される位置を、第1の参照点の代表位置として地図情報321を更新してもよい。
【0065】
更新部342は、地図情報321の更新において、参照点の代表位置として更新される位置を表す位置条件を、当該参照点の位置条件として地図情報321を更新してもよい。
【0066】
図8は、地図更新処理のフローチャートである。地図更新装置3のプロセッサ34は、複数の周辺データのそれぞれに表される複数の参照点のそれぞれについて、図7に示す地図更新処理を実行する。
【0067】
まず、プロセッサ34の判定部341は、複数の周辺データのそれぞれに表される複数の参照点から一の参照点を特定する(ステップS1)
【0068】
次に、判定部341は、ストレージ装置32に記憶された地図情報321から、特定された一の参照点に対応する1以上の位置条件を選択する(ステップS2)。
【0069】
続いて、判定部341は、特定された一の参照点の位置が、選択された1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定し、判定結果をメモリ33に一時保存する(ステップS3)。
【0070】
プロセッサ34の更新部342は、選択された1以上の位置条件に、所定期間内の複数の周辺データのそれぞれに表された一の参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する位置条件があるか否かを判定する(ステップS4)。更新条件を満足する位置条件がない場合(ステップS4:N)、更新部342は、その周辺データに表されるその参照点についての地図更新処理を終了する。
【0071】
更新条件を満足する位置条件がある場合(ステップS4:Y)、更新部342は、更新条件を満足する位置条件に対応する代表位置を、一の参照点の位置として地図情報321を更新し(ステップS5)、その周辺データに表されるその参照点についての地図更新処理を終了する。
【0072】
このように地図更新処理を実行することにより、地図更新装置3は、位置条件を作成するために周辺データを新たに蓄積する必要がないため、地図情報の更新に要する時間を短縮し、最新の道路形状を表した地図情報を車両等に提供することができる。
【0073】
本実施形態では、ある車線を他の車線の一部に変更する道路形状の変更に応じて、走行車線を区画する車線区画線の参照点に関連づけられた位置条件を、他の車線を区画する車線区画線の参照点として関連づけられていた位置条件で更新する例を説明した。しかし、本開示にかかる地図更新装置3により地図情報の更新に要する時間を短縮することができる道路形状の変更は、本実施形態の例示に限定されない。例えば、図7に示す道路状況の第2の例における道路形状が、図5に示す道路形状の第1の例における道路形状に再変更される場合を考える。この場合、位置条件PCD2は車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点D2に関連づけられた位置条件であり、位置条件PCA2は、過去において走行車線を区画していた車線区画線の位置を示す参照点A2に関連づけられた位置条件である。地図更新装置3は、位置条件PCD2を第1の位置条件、位置条件PCA2を第2の位置条件として地図更新処理を実行することにより、位置条件PCA2により表される位置を、形状変更により新たに走行車線を区画することとなった車線区画線の位置を示す参照点A2の代表位置として地図情報を更新することができる。
【0074】
また、本開示の地図更新装置3は、地図情報において、車線区画線以外の地物、例えば停止線、速度表示といった路面標示、踏切、トンネル等についても、車線区画線と同様に、更新に要する時間を短縮することができる。
【0075】
本実施形態では、参照点の位置が緯度および経度といった二次元で表される例を説明した。本開示にかかる地図更新装置は、参照点の位置が緯度、経度、および高度といった三次元で表される場合であっても、同様に取り扱うことができる。
【0076】
当業者は、本開示の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0077】
3 地図更新装置
341 判定部
342 更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(3)前記第1の位置条件は、車両が走行している道路区間に含まれる複数の車線のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、前記複数の車線のうち前記走行車線と異なる他の車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
上記(2)に記載の地図更新装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(4)前記第1の位置条件は、車両が走行している道路区間に含まれる複数の車線のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、過去において前記走行車線を区画していた車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
上記(2)に記載の地図更新装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
以下、図面を参照して、地図情報の更新に要する時間を短縮することができる地図更新装置について詳細に説明する。地図更新装置は、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を、地図記憶部に記憶している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
地図更新装置は、地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
図4に示す地図情報321において、参照点A1、A2は、図に示す車線L1を区画する一対の車線区画線のうち一方の車線区画線L1-1についての参照点である。車線区画線は地図情報として地図記憶部に記憶される地物の一例である。車線区画線についての参照点は、例えば、その道路における交差点、合流点といった基準地点から所定間隔ずつ離間した位置に設けられる。同様に、参照点B1、B2は、車線L1を区画する車線区画線のうち他方の車線区画線L1-2についての参照点である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
図5に示す道路状況の第1の例において、車両2の周辺カメラ21による検出範囲DRに存在する参照点を表す周辺データには、参照点A1に対応する位置A1′および参照点B1に対応する位置B1′が含まれる。判定部341は、参照点A1の代表位置(A1X,A1Y)から所定範囲内に代表位置を有する位置条件PCA1-PCF1を選択する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
図7に示す道路状況の第2の例において、車両2の周辺カメラ21による検出範囲DRに存在する参照点を表す周辺データには、参照点A2に対応する位置A2′および参照点B2に対応する位置B2′が含まれる。判定部341は、参照点A2の代表位置(A2X,A2Y)から所定範囲内に代表位置を有する位置条件PCA2-PCF2を選択する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
参照点A2を第1の参照点とし、第1の参照点に対応する位置条件PCA2を第1の位置条件とし、第1の位置条件と異なる位置条件PCD2を第2の位置条件とする。図7に示す道路状況の第2の例において、第1の位置条件は、車両2が走行している道路に含まれる車線L1-L4のうち車両2が走行している車線L1を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である。第2の位置条件は、車両2が走行している道路に含まれる車線L1-L4のうち車両2が走行していない車線L3を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
本実施形態では、他の車線の一部走行線に変更する道路形状の変更に応じて、走行車線を区画する車線区画線の参照点に関連づけられた位置条件を、他の車線を区画する車線区画線の参照点として関連づけられていた位置条件で更新する例を説明した。しかし、本開示にかかる地図更新装置3により地図情報の更新に要する時間を短縮することができる道路形状の変更は、本実施形態の例示に限定されない。例えば、図7に示す道路状況の第2の例における道路形状が、図5に示す道路状況の第1の例における道路形状に再変更される場合を考える。この場合、位置条件PCD2は車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点D2に関連づけられた位置条件であり、位置条件PCA2は、過去において走行車線を区画していた車線区画線の位置を示す参照点A2に関連づけられた位置条件である。地図更新装置3は、位置条件PCD2を第1の位置条件、位置条件PCA2を第2の位置条件として地図更新処理を実行することにより、位置条件PCA2により表される位置を、形状変更により新たに走行車線を区画することとなった車線区画線の位置を示す参照点A2の代表位置として地図情報を更新することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を記憶する地図記憶部と、
前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定する判定部と、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する更新部と、
を備える地図更新装置。
【請求項2】
前記1以上の位置条件は、前記複数の参照点のうち第1の参照点に対応する第1の位置条件と、前記第1の位置条件と異なる第2の位置条件とを有し、
前記更新部は、前記所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された前記第1の参照点の位置が前記第1の位置条件を満たさないと判定され、かつ、前記第2の位置条件を満たすと判定される割合が前記更新条件を満足する場合、前記第2の位置条件により表される位置を、前記第1の参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する、
請求項1に記載の地図更新装置。
【請求項3】
前記第1の位置条件は、車両が走行している道路区間に含まれる複数の車線のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、前記複数の車線のうち前記走行車線と異なる他の車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
請求項2に記載の地図更新装置。
【請求項4】
前記第1の位置条件は、車両が走行している道路区間に含まれる複数の車線のうち前記車両が走行している走行車線を区画する車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件であり、
前記第2の位置条件は、過去において前記走行車線を区画していた車線区画線の位置を示す参照点に関連づけられている位置条件である、
請求項2に記載の地図更新装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記更新条件を満足する位置条件を、当該参照点に対応する位置条件として前記地図情報を更新する請求項1に記載の地図更新装置。
【請求項6】
前記位置条件は、前記複数の参照点のそれぞれが存在する確率を位置ごとに示す確率分布であり、
前記判定部は、前記複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記1以上の位置条件のそれぞれに対応する確率分布における異常値に該当しないか否かに応じて、当該位置条件を満たすか否かを判定する、請求項1に記載の地図更新装置。
【請求項7】
地図更新装置が、
地図記憶部に記憶された、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を参照して、前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定し、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新する、
ことを含む地図更新方法。
【請求項8】
地図記憶部に記憶された、所定の地物についての複数の参照点のそれぞれの代表位置と、当該参照点の存在する位置の範囲を示す位置条件と、を表す地図情報を参照して、前記地物を含む状況が表された複数の周辺データのそれぞれに表される前記複数の参照点のそれぞれについて、当該参照点の位置が、前記地図情報に表される1以上の位置条件のそれぞれを満たすか否かを判定することと、
前記複数の参照点のそれぞれについて、前記1以上の位置条件のうち、所定期間内の前記複数の周辺データのそれぞれに表された当該参照点の位置が当該位置条件を満たすと判定される割合が更新条件を満足する当該位置条件により表される位置を、当該参照点の前記代表位置として前記地図情報を更新することと、
をプロセッサに実行させる地図更新用コンピュータプログラム。