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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155531
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】横型鍛造装置
(51)【国際特許分類】
   B21K 27/00 20060101AFI20241024BHJP
   B21K 27/06 20060101ALI20241024BHJP
   B23D 33/00 20060101ALI20241024BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B21K27/00 A
B21K27/06
B23D33/00 E
B23Q17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070322
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】西本 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】中根 巧
【テーマコード(参考)】
3C029
3C051
4E087
【Fターム(参考)】
3C029FF05
3C051EE06
4E087AA10
4E087CB01
4E087EA31
4E087EC11
4E087FB05
4E087GA09
(57)【要約】
【課題】継目部分が含まれる鍛造素材に対し強制廃却動作が実行されない不具合が発生したタイミングを特定することができる横型鍛造装置を提供する。
【解決手段】横型鍛造装置1は、連続的に供給された長尺の棒鋼Wを所定の寸法に切断して鍛造素材Sとし、複数段の鍛造加工部30にて鍛造加工するとともに、棒鋼間の継目部分が含まれる鍛造素材Sについては後続の鍛造加工部30に送ることなく廃却する強制廃却動作を実行する。横型鍛造装置1は、繰り返し実行される強制廃却動作の間隔時間を時系列に表示する記録表示装置13を備えている。記録表示装置13は、強制廃却動作を実行する際に発せられる強制廃却信号を取り込んで、強制廃却信号の出力状況を時系列にグラフ化して表示する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給された長尺の棒鋼を所定の寸法に切断して鍛造素材とし、複数段の鍛造加工部にて鍛造加工するとともに、棒鋼間の継目部分が含まれる前記鍛造素材については後続の前記鍛造加工部に送ることなく廃却する強制廃却動作を実行する横型鍛造装置であって、
繰り返し実行される前記強制廃却動作の間隔時間を時系列に表示する記録表示装置を備えている、横型鍛造装置。
【請求項2】
前記記録表示装置は、前記強制廃却動作を実行する際に発せられる強制廃却信号を取り込んで、前記強制廃却信号の出力状況を時系列にグラフ化して表示する、請求項1に記載の横型鍛造装置。
【請求項3】
前記記録表示装置は温度記録計としての機能を備えており、加熱された前記棒鋼の温度状況とともに前記強制廃却信号の出力状況を時系列にグラフ化して表示する、請求項2に記載の横型鍛造装置。
【請求項4】
所定時間毎に得られた良品および強制廃却品の数をカウントし、時間情報と関連付けて記憶部に保存する数量記録手段を備えるとともに、
前記記録表示装置は、前記記憶部に保存された数量記録の情報に基づいて良品数の累積値および前記強制廃却動作の間隔時間を時系列にグラフ化して表示する、請求項1に記載の横型鍛造装置。
【請求項5】
連続的に供給された長尺の棒鋼を所定の寸法に切断して鍛造素材とし、複数段の鍛造加工部にて鍛造加工するとともに、棒鋼間の継目部分が含まれる前記鍛造素材については後続の前記鍛造加工部に送ることなく廃却する強制廃却動作を実行する横型鍛造装置であって、
前記強制廃却動作を実行する際に発せられる強制廃却信号を取り込んで、直近に実行された複数回の強制廃却動作の間隔時間の平均値を算出し、該平均値を超えて強制廃却動作が実行されない場合に警報信号を出力する異常警告手段を備えている、横型鍛造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、横型鍛造装置に関し、詳しくは継目検出ミスに起因する不具合が発生したタイミングを特定するための構造に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
横型鍛造装置は、連続的に供給された長尺の棒鋼を所定の寸法に切断して鍛造素材とし、この鍛造素材を後続の複数段の鍛造加工部にて鍛造加工することで、短時間で大量の鍛造品を製造することができる。
【0003】
横型鍛造装置に対して連続的に棒鋼が供給された場合、先行する棒鋼と後続の棒鋼とのに跨って継目部分が存在する。横型鍛造装置では、通常、棒鋼間の継目部分が含まれる部位が切り出されて鍛造素材として後続の鍛造加工部に送られてしまうことを回避するため、継目部分をセンサで検出し、継目部分が含まれる鍛造素材については切断直後にこれを強制廃却する動作が実行されている(例えば下記特許文献1参照)。
ここで、一連の鍛造加工のために供給された棒鋼Wの数がnであった場合、図6で示すように、継目部分Jはn-1箇所存在することから、対象ロットの鍛造加工が終了した時点で、強制廃却動作回数NはN=n-1となる。例えば、棒鋼Wの数が200本の場合なら、強制廃却動作の回数は199回である。
【0004】
しかしながら、強制廃却の動作は、継目部分に存在する隙間が予めセンサで検出されたことを条件として実行されるものであるため、上流側で実施された加熱処理に起因した溶着により継目部分の隙間が消失した場合や、この隙間が酸化スケールにより覆われてしまった場合には、継目部分が検出されない継目検出ミスに起因して強制廃却動作が実行されない不具合の発生も想定される。
【0005】
強制廃却動作が実行されない不具合の発生は、対象ロットの加工が終了した後、「強制廃却動作回数N<棒鋼投入本数n-1」であることで事後的に判定することができるが、対象ロット中のどのタイミングで不具合が発生したかまでは分からないため、良品の中に混入した継目部分が含まれる鍛造品を特定し排除するためには、対象のロットの良品全数について磁粉探傷検査等の再検査を行わなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63-169213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情を背景とし、継目部分が含まれる鍛造素材に対し強制廃却動作が実行されない不具合が発生したタイミングを特定することができる横型鍛造装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而してこの発明の第1の局面の横型鍛造装置は次のように規定される。即ち、
連続的に供給された長尺の棒鋼を所定の寸法に切断して鍛造素材とし、複数段の鍛造加工部にて鍛造加工するとともに、棒鋼間の継目部分が含まれる前記鍛造素材については後続の前記鍛造加工部に送ることなく廃却する強制廃却動作を実行する横型鍛造装置であって、
繰り返し実行される前記強制廃却動作の間隔時間を時系列に表示する記録表示装置を備えている。
【0009】
同一のロットにおいて連続的に供給された長尺の棒鋼は、通常、同一の長さである。このため、正常に強制廃却動作が繰り返し実行されている間、強制廃却動作の間隔時間は一定である。上記の第1の局面の横型鍛造装置によれば、記録表示装置に、繰り返し実行される強制廃却動作の間隔時間が時系列に表示されているため、オペレータは記録表示装置に表示された情報から強制廃却動作の間隔時間が明らかに長くなっている箇所を見つけ出すことで、強制廃却動作が実行されない不具合が発生したタイミング(具体的には、不具合が発生した時刻)を事後的に特定することができる。このため良品の中に混入した不良品(継目部分が含まれた鍛造品)を特定し排除するための再検査の対象を、不具合が発生した時刻に加工された鍛造品に限定することでき、再検査の負担を軽減することができる。
【0010】
ここで前記記録表示装置は、前記強制廃却動作を実行する際に発せられる強制廃却信号を取り込んで、前記強制廃却信号の出力状況を時系列にグラフ化して表示することができる(第2の局面)。
グラフ化して表示すれば、強制廃却動作の間隔時間が明らかに長くなっている箇所が一見して分かり易く、継目検出ミスに起因する不具合が発生したタイミングの把握が容易である。
【0011】
また、この発明の横型鍛造装置では、前記記録表示装置として温度記録計を用いることができる。この場合、加熱された前記棒鋼の温度状況とともに前記強制廃却信号の出力状況を時系列にグラフ化して表示することができる(第3の局面)。
【0012】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1~第3の何れかの局面で規定の横型鍛造装置において、所定時間毎に得られた良品および強制廃却品の数をカウントし、時間情報と関連付けて記憶部に保存する数量記録手段を備えるとともに、
前記記録表示装置は、前記憶部に保存された数量記録の情報に基づいて良品数の累積値および前記強制廃却動作の間隔時間を時系列にグラフ化して表示する。
【0013】
このように規定された第4の局面の横型鍛造装置によれば、強制廃却動作の間隔時間が明らかに長くなっている箇所(強制廃却動作が実行されない不具合が発生した箇所)の前後において良品がカウントされているか否かが一見して分かり易く、良品の再検査が必要か否かを容易に把握することができる。
【0014】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
連続的に供給された長尺の棒鋼を所定の寸法に切断して鍛造素材とし、複数段の鍛造加工部にて鍛造加工するとともに、棒鋼間の継目部分が含まれる前記鍛造素材については後続の前記鍛造加工部に送ることなく廃却する強制廃却動作を実行する横型鍛造装置であって、
前記強制廃却動作を実行する際に発せられる強制廃却信号を取り込んで、直近に実行された複数回の強制廃却動作の間隔時間の平均値を算出し、該平均値を超えて強制廃却動作が実行されない場合に警報信号を出力する異常警告手段を備えている。
【0015】
このように規定された第5の局面の横型鍛造装置によれば、強制廃却動作が実行されない不具合が生じた時点で、異常の発生を速やかにオペレータに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の横型鍛造装置の概略構成を示した図である。
図2】同横型鍛造装置における強制廃却動作に関連する要素についてのブロック図である。
図3】棒鋼の温度状況とともに強制廃却信号の出力状況を示すグラフの一例を示した図である。
図4】記憶部に記憶される数量記録の情報の一例を示した図である。
図5】良品数の累積値および強制廃却動作の間隔時間を示すグラフの一例を示した図である。
図6】従来の横型鍛造装置における継目検出ミスに起因する不具合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明の一実施形態の横型鍛造装置の概略構成を示した図である。
同図において、1は横型鍛造装置で、自動給材装置3と、加熱装置7と、鍛造プレス機20と、一連の動作を管理する制御部50(図2参照)と、を備えており、連続的に供給された長尺の棒鋼Wから所定の寸法の鍛造素材Sを切り出し、鍛造素材Sを複数段の鍛造加工部30にて鍛造加工するものである。
【0018】
自動給材装置3は、上流側から送られてきた棒鋼Wを一時貯留する貯留テーブル4と、ローラコンベア部5とを備え、長尺の棒鋼Wをその長手方向を搬送方向とする態様で、1本ずつ加熱装置7に向けて搬送する。ここで本例では、長尺の棒鋼Wは全て同じ長さとされている。
【0019】
加熱装置7は、装入された棒鋼Wを所定の温度に加熱する。本例では棒鋼Wの搬送方向に沿って2基の加熱装置7が設けられている。加熱装置7により所定の温度に加熱された棒鋼Wは、フィードローラ8により順次、鍛造プレス機20に送られる。フィードローラ8は、モータ駆動により回転するとともに、その回転量に対応する出力信号がパルスジェネレータ9から制御部50に向けて出力されている。
【0020】
同図において、10は棒鋼Wの端面(棒鋼間の継目部分)を検出するための光電センサで、投光部10aと受光部10bとを備えている。
鍛造プレス機20に送られる棒鋼Wは、その後端が光電センサ10を通過するまでは、後続の棒鋼Wとの間に隙間を有する態様で移動するが、その後その隙間は徐々に小さくなり、最終的には先行する棒鋼Wの後端に後続の棒鋼Wの前端が当接した状態となって、これら棒鋼が一体的に鍛造プレス機20に向けて移動することとなる。
なお、12は加熱後の棒鋼Wの表面温度を測定するための温度センサである。温度センサ12は温度記録計13に接続されている。
【0021】
鍛造プレス機20は、切断部21と鍛造加工部30とを備えている。
切断部21は、固定刃22と移動刃24により棒鋼Wの先端部を所定の長さに切断する。切断部21は、ストッパ25を備えており、上述したフィードローラ8により(更には後続の棒鋼Wに押されることで)ストッパ25に当接する位置まで搬送された棒鋼Wを、クランプ23と固定刃22により固定し、移動刃24により棒鋼Wを掴んでこれを剪断方向に移動させ、所定寸法の鍛造素材Sを棒鋼Wの先端部から切り出す。
切り出された鍛造素材Sは図示を省略するトランスファ装置29にて把持され、後続の鍛造加工部30に搬送される。
【0022】
但し、継目部分が含まれる鍛造素材Sについては、後続の鍛造加工部30に送ることなく廃却する強制廃却動作が実行される。
本例では、鍛造素材Sの先端を規定するストッパ25の位置、鍛造素材Sの後端を規定する固定刃22および移動刃24による剪断位置、棒鋼Wの端面(継目部分)を検出する光電センサ10の位置、フィードローラ8による棒鋼の送り量等が既知であるため、制御部50において棒鋼間の継目部分がいつ切断部21に到達するかを推定することが可能であり、継目部分が切断部21に到達するタイミングで、制御部50は強制廃却信号を出力する。切断部21およびトランスファ装置29は、制御部50からの強制廃却信号を受けて、強制廃却信号が出力されている間に切り出された鍛造素材Sを次工程に搬送せずに、切断部21の下方に配置された廃却用コンベア28に落下させる。
なお、継目部分が含まれる鍛造素材Sを厳密に推定することが難しい場合は、一度の強制廃却信号においてその前後の鍛造素材Sも廃却するように設定することも可能である。
【0023】
鍛造プレス機20においては、切断部21に続いて、鍛造素材Sを鍛造加工するための複数(ここでは4段)の鍛造加工部30(30A、30B,30C,30D)が水平方向に一定間隔で並設されている。各鍛造加工部30は、鍛造プレス機20のフレーム側に固定されたダイ31と、ダイ31に対向して配置されたパンチ32とで構成されている。パンチ32は、図示を省略する主モータの動力により進退移動するラムの先端側に装着されており、かかるパンチ32がダイ31に対して進退し鍛造加工が行なわれる。
【0024】
切断部21で切り出された鍛造素材Sは、鍛造加工部30A、30B,30C,30Dに順次搬送されて鍛造加工される。鍛造加工が完了した鍛造品(良品)S1は搬出コンベア35により受け止められて、所定の回収容器38に回収される。詳しくは、同一ロットを構成する多数の鍛造品は、加工された時間帯毎にそれぞれ別の容器(例えば、同図における38-1~38-6)に回収される。
なお、搬出コンベア35の途中には鍛造品の搬出先を切替えるためのダンパ40が設けられており、良品とならない屑品(例えば調整運転時の鍛造品)については、ダンパ40を回動させて、第2搬出路41の側に送られる。
【0025】
図2は、横型鍛造装置における強制廃却動作に関連する要素についてのブロック図である。同図で示すように、鍛造加工に関連する動作を管理する制御部50には、光電センサ10、パルスジェネレータ9、各種操作を行うための操作部60、切断部21、トランスファ装置29、温度記録計13、表示部63、情報端末65、警報装置67が接続されている。この制御部50は、例えばCPU、RAM、HDD等の記憶装置、及び各種インターフェイスを備えた情報処理装置や、専用のハードウェアを用いて構成することができ、廃却動作制御手段52、異常警告手段53、数量記録手段54として機能する。
【0026】
廃却動作制御手段52は、光電センサ10およびパルスジェネレータ9からの信号に基づき、継目部分が含まれる鍛造素材Sが切り出されるタイミングを推測し、対象の鍛造素材Sが切断部21に到達するタイミングで強制廃却信号を出力する。また、対象ロットの加工が開始されてからの強制廃却動作回数(累積値)Nを表示部63に表示する。
また、かかる強制廃却信号は温度記録計13でも取り込まれ、温度記録計13では、図3で示すように、時間軸を横軸として、加熱された棒鋼の温度状況とともに強制廃却信号の出力状況がグラフで表示される。即ち、温度記録計13は本発明の記録表示装置に相当する。
【0027】
異常警告手段53は、廃却動作制御手段52から出力される強制廃却信号を受信し、直近過去5回の強制廃却動作の間隔時間の平均値を算出し、その後、平均値を超えても次の強制廃却動作が実行されない場合に異常があると判定し警報出力信号を警報装置67に向けて出力する。但し、警報出力信号を出力させる条件については、前記平均値の120%(また場合によっては前記平均値の130%)を超えても次の強制廃却動作が実行されない場合などに適宜変更可能である。
【0028】
数量記録手段54は、例えば図4で示すように、加工開始後、所定の時間に区切って(例えば1秒ごとに区切って)、良品、切り出し直後に強制廃却された強制廃却品、および、屑品(鍛造加工終了に第2搬出路41の側に送られた鍛造品)について、それぞれの数量をカウントし、時間情報と紐付けて記憶部57に記憶する。記憶部57に記憶された数量記録の情報は、必要に応じて情報端末65に出力可能とされている。
情報端末65は、例えば、タブレット端末またはパーソナルコンピュータのような端末装置を用いることができる。情報端末65は本発明の記録表示装置に相当し、記憶部57に記憶された数量記録の情報に基づいて、図5で示すように、良品数の累積値と強制廃却動作の間隔時間とを重複させたグラフを表示させることができる。
【0029】
以上のように構成された本実施形態の横型鍛造装置1によれば、連続的に供給された長尺の棒鋼Wを所定の寸法に切断して鍛造素材Sとし、複数段の鍛造加工部30にて鍛造加工して所定形状の鍛造品S1を得ることができる。また、継目部分が含まれる鍛造素材Sについては後続の鍛造加工部30に送ることなく廃却する強制廃却動作を実行することができる。
【0030】
また本実施形態の横型鍛造装置1では、対象ロットにおける一連の鍛造加工が終了した後、強制廃却動作回数Nと、自動給材装置3から供給された棒鋼Wの本数nとの関係が、N<n-1であった場合、即ち、継目部分が含まれる不良品が廃却されずに良品中に混入した可能性ある場合には、図3で示す強制廃却動作の間隔時間が表示されたグラフに基づいて、強制廃却動作の間隔時間が他の箇所P0よりも明らかに長く(約2倍長く)なっている箇所P1に対応するタイミング(時刻)において、強制廃却動作が実行されない不具合が発生したことを事後的に特定することができる。このため再検査が必要となる良品の範囲を、P1に対応する時刻に処理された鍛造品が収容された容器内のものに限定することができる。
【0031】
また本実施形態の横型鍛造装置1では、図5で示すグラフ、即ち数量記録の情報に基づいて良品数の累積値および強制廃却動作の間隔時間を時系列に示したグラフに基づいて、強制廃却動作が実行されない不具合が発生したタイミングを特定することも可能である。
図5の例によれば、強制廃却動作の間隔時間が他部に比べて約2倍の値を示している箇所P3およびP4に対応するタイミングにおいて、強制廃却動作が実行されない不具合が発生したことを事後的に特定することができる。
更に図5のグラフによれば、強制廃却動作が実行されない不具合が発生した箇所P3およびP4の前後において良品がカウントされているか否かが、良品数のグラフの傾きに基づいて一見して分かり易い。例えば、P3の前後においては良品がカウントされておりP3前後に処理された鍛造品の再検査が必要である一方、P4の前後においては良品がカウントされておらず再検査の必要が無いことが分かる。
【0032】
また本実施形態の横型鍛造装置1では、強制廃却動作を実行する際に発せられる強制廃却信号を取り込んで、直近過去5回の強制廃却動作の時間間隔の平均値を算出し、該平均値を超えても次の強制廃却動作が実行されない場合に警報信号を出力する異常警告手段53を備えており、強制廃却動作が実行されない不具合が生じた時点で、異常の発生を速やかにオペレータに知らせることができる。
【0033】
以上本実施形態の横型鍛造装置について詳しく説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では温度記録計13や情報端末65に強制廃却動作の間隔時間に関するグラフを表示されたが、これら以外の記録表示装置において強制廃却動作の間隔時間に関するグラフを表示させることも可能である。また上記実施形態では直近過去5回の強制廃却動作の間隔時間の平均値を異常判定時の閾値としているが、5回とは異なる複数回の平均値を閾値として採用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 横型鍛造装置
13 温度記録計(記録表示装置)
30 鍛造加工部
53 異常警告手段
54 数量記録手段
57 記憶部
65 情報端末(記録表示装置)
J 継目部分
S 鍛造素材
S1 良品(鍛造品)
W 棒鋼
図1
図2
図3
図4
図5
図6