(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155544
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】炭酸化処理した軽量気泡コンクリート粉末を用いた軽量気泡コンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 18/167 20230101AFI20241024BHJP
C04B 14/02 20060101ALI20241024BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20241024BHJP
C04B 28/18 20060101ALI20241024BHJP
C04B 38/02 20060101ALI20241024BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20241024BHJP
【FI】
C04B18/167
C04B14/02 B
C04B28/02
C04B28/18
C04B38/02 E
B09B3/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070342
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000185949
【氏名又は名称】クリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137970
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 康央
(72)【発明者】
【氏名】中川 清之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敬信
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴也
【テーマコード(参考)】
4D004
4G019
4G112
【Fターム(参考)】
4D004AA33
4D004BA02
4D004CA04
4D004CA22
4D004CA34
4D004CB13
4D004CB31
4D004CC01
4D004DA06
4G019HA05
4G019HC02
4G112PA30
4G112PE06
(57)【要約】
【課題】本発明は、壁材として使用している軽量気泡コンクリートのパネル強度を維持しながら、ALCリサイクル量がより多くても、内装壁材とでき、しかも、特別な測定装置が不要で工程管理が簡便であり、特別な焼成設備も必要とせずに、リサイクル原料を内割固形分で25質量%以上使用しても、リサイクル原料量の圧縮強度への変動を受けにくく、収縮率も小さく安定して保持できる、軽量気泡コンクリートの実現を課題とする。
【解決手段】軽量気泡コンクリート屑を1.2mm直径以下に粗粉砕し、20℃~80℃で炭酸化処理をした炭酸カルシウム含有する軽量気泡コンクリート用リサイクル原料を、内割固形分で軽量気泡コンクリート原料全体質量の2質量%から25質量%添加することを特徴とする軽量気泡コンクリートの製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量気泡コンクリート屑を1.2mm直径以下に粗粉砕し、20℃~80℃で炭酸化処理をした炭酸カルシウム含有する軽量気泡コンクリート用リサイクル原料の製造方法。
【請求項2】
軽量気泡コンクリート屑を1.2mm直径以下に粗粉砕し、20℃~80℃で炭酸化処理をした炭酸カルシウム含有する軽量気泡コンクリート用リサイクル原料を、内割固形分で軽量気泡コンクリート原料全体質量の2質量%から25質量%添加することを特徴とする軽量気泡コンクリートの製造方法。
【請求項3】
軽量気泡コンクリート屑が、オートクレーブ養生後の製造工程の養生屑であり、粗粉砕機がハンマークラッシャー、又はピンミルであり、炭酸化度を80%以上とすることを特徴とする前記軽量気泡コンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸化処理した軽量気泡コンクリート粉末を用いた軽量気泡コンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、軽量気泡コンクリート(以下、ALCと略称することあり。)は、珪酸質原料として、天然の珪石、珪砂等と、石灰質原料として、石灰石からの生石灰、セメント、石膏を主原料とし、水を加え、これらの混合スラリーに金属アルミニウム添加して発泡させ、半硬化状態とする1次養生で得られたグリーンケーキをピアノ線で所定寸法に切断した後に2次養生としてオートクレーブを用いた高温高圧下での水蒸気養生をすることによって得られる。
【0003】
得られた軽量気泡コンクリートは、各種成形品へと所定寸法に切削加工することによって、軽量気泡コンクリートパネルなどの建築材料として、各種外壁、間仕切り、屋根、床などに広い用途を有する。
【0004】
成形品への寸法調整に伴い製造現場では、切削加工による切削屑又は切断屑などの軽量気泡コンクリート屑が発生する。これは、軽量気泡コンクリート製造のリサイクル原料として再利用されている。しかし、リサイクル原料の添加量は、これを増量した場合に、軽量気泡コンクリート製品の圧縮強度が低下する現象があった。特許文献1では、余剰の軽量気泡コンクリートのリサイクル原料を内割固形分で10質量%から20質量%程度まで使用しても、リサイクル原料量の変動を受けにくく、従来品と同程度の圧縮強度を安定して保持できる。また、特許文献2では、軽量気泡コンクリート養生屑を800℃~1500℃の高温で焼成して珪酸質原料のみでなく、石灰質原料としても再使用することを検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6644184号号公報
【特許文献2】特開平05-319876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、先行特許文献1の方法では、ALCのリサイクル量は、内割固形分で25質量%程度が限度で、20質量%以上の使用には、考慮すべき対策が必要であった。先行特許文献2の方法では、リサイクルには有効性の検討以外に、高温処理の特別な設備と多くの熱エネルギーを要するという難点があった。
【0007】
そこで、本発明は、軽量気泡コンクリートの圧縮強度を維持しながら、ALCのリサイクル量がより多くても、建築材とでき、しかも、特別な測定装置が不要で工程管理が簡便であり、特別な焼成設備も必要とせずに、リサイクル原料を内割固形分で25質量%以上使用しても、リサイクル原料量の圧縮強度への変動を受けにくく、ALC製品の収縮率も小さく安定して保持できる、軽量気泡コンクリートの製造法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、鋭意検討の結果、次発明を提供するものである。
[1] 軽量気泡コンクリート屑を1.2mm直径以下に粗粉砕し、20℃~80℃で炭酸化処理をした炭酸カルシウム含有する軽量気泡コンクリート用リサイクル原料の製造方法、を提供する。
[2] 軽量気泡コンクリート屑を1.2mm直径以下に粗粉砕し、20℃~80℃で炭酸化処理をした炭酸カルシウム含有する軽量気泡コンクリート用リサイクル原料を、内割固形分で軽量気泡コンクリート原料全体質量の2質量%から25質量%添加することを特徴とする軽量気泡コンクリートの製造方法を、提供する。
[3] 軽量気泡コンクリート屑が、オートクレーブ養生後の製造工程の養生屑であり、粗粉砕機がハンマークラッシャー、又はピンミルであり、炭酸化度を80%以上とすることを特徴とする前記軽量気泡コンクリートの製造方法を、提供する。
【0009】
軽量気泡コンクリート屑
ここで、軽量気泡コンクリート屑とは、軽量気泡コンクリート製造工程で発生する養生した余剰物であり、オートクレーブ養生後の切削加工による切削端材、切削屑又は切断屑、寸法不合格品、その破片である。オートクレーブ養生前の半硬化体の切断屑は含まず、軽量気泡コンクリート施工後解体による軽量気泡コンクリート屑も含む。
【0010】
粗砕
前記軽量気泡コンクリート屑は、ハンマークラッシャー、ピンミルなど圧壊力の小さな粗粉砕機を使用して、粗砕する。直径1.2mm以下(1.2mm篩全通)の粉末とすることが好ましい。例えば、ハンマークラッシャーの、スクリーンの目開きを1.2mmとして、直径1.2mm以下の粗砕物は直ちに回収できる方式が好ましい。あまり粉砕してしまうと次の炭酸化のばらつきが生じて所定の加熱温度、加熱時間の制御が容易でなくなるからである。
【0011】
炭酸化処理 時間
直径1.2mm全通とした軽量気泡コンクリート屑を炭酸化処理する。炭酸化の方法は、粉砕後に二酸化炭素を接触させる方法でも良く、炭酸化ガスは二酸化炭素であれば良い。リサイクル粉末の粉砕中に行うこともできる。炭酸ガスは、セメント工場における石灰石由来の炭酸ガスを用いることができ、カーボンフリー、カーボンリサイクル、カーボン固定に多大の寄与が可能となる。上記炭酸ガス雰囲気における炭酸ガス濃度は、処理時間の短縮化、及び、炭酸ガス雰囲気の形成の容易性の観点から、好ましくは、4~40体積%、より好ましくは5~30体積%である。該濃度が4体積%未満であると、炭酸化処理に時間がかかり問題となる。処理を行う際の温度は、処理時間の短縮化の観点から、反応温度は、20~80℃までとし、好ましくは30~60℃位である。結晶形態の単一相を得る条件とも関連する。該温度が20℃未満であると、炭酸カルシウムを生成するのに多大な時間を要するので好ましくない。該温度が80℃を超えると、熱エネルギーのコストが増大して好ましくない。更に、固体二酸化炭素(ドライアイス)を発生源に用いて炭酸化することができる。このときは、100体積%に近い炭酸ガス雰囲気が得られるが、反応容器内温度は、20~80℃までとし、好ましくは30~60℃である。
【0012】
また、炭酸化処理を行う際の相対湿度は、処理時間の短縮化、及び、目的とする相対湿度の調整の容易性の観点から、好ましくは2~100%、より好ましくは40~95%、特に好ましくは50~80%である。該湿度が2%未満であると、炭酸カルシウムを生成するのに多大に間を要するので好ましくない。処理を行う時間は、処理条件により異なるが、極端に短いとALC中の炭酸カルシウムの含有率が少なくなる場合がある。なお、処理圧力を高くすることで、より短時間での炭酸化処理を行うことができる。
【0013】
こうして、ALCリサイクル粉末の炭酸化度が80%以上とする処理ができる。ALCリサイクル粉末中のCaO質量%から、セッコウ中のCaO質量%を差し引くとトバモライト中のCaO質量%となる。トバモライト中のCaO質量%の全てがCaCO3になるために必要な「理論CO2質量%」に対して、炭酸化処理したALCリサイクル粉末の600℃から800℃時での脱CO2の吸熱反応による質量減少率から算出した「実際のCO2量%」の割合が炭酸化度である。炭酸化度は、82%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。増量による強度特性と収縮特性が向上するからである。
【0014】
軽量気泡コンクリート屑の炭酸化により生成した炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイト、バテライトである。炭酸化に関し、箱型処理容器等、通常の処理容器をもちいることができる。いずれの炭酸カルシウムを有する軽量気泡コンクリート屑でもほぼ同様のリサイクル特性を有する。
【0015】
軽量気泡コンクリート屑のリサイクル適性
炭酸化と脱水により、トバモライトは、炭酸カルシウムとシリカに変化するが、軽量気泡コンクリート屑の空隙形状、全体形状、かさ密度の変化は小さい。
図1、
図2に、炭酸化前後の軽量気泡コンクリート屑の1.2mm径以上の粒を含む粗砕物のSEM像を示した。
【0016】
図3に、炭酸化前後の軽量気泡コンクリート屑のX線回折チャ-トを示した。石英ピークを基準に、トバモライトの回折ピーク強度が消えて、カルサイトの回折ピークが出現している。
図4では、カルサイトの他にバテライトの回折ピークも出現している。
【0017】
このとき、炭酸カルシウムの結晶形態から、軽量気泡コンクリート屑のリサイクル適合性を直ちに決定できない。即ち、
図3の炭酸化軽量気泡コンクリート屑も、
図4の炭酸化気泡コンクリート屑でも粒度調整の条件でリサイクル適合性が発揮できるからである。軽量気泡コンクリート中の炭酸化カルシウムの形態は、カルサイト、バテライト、アラゴナイトのいずれでも良い。
【0018】
これらの走査型電子顕微鏡の画像でも、リサイクル適性に関連する外観上の変化を見出すことは困難であることを確認した。
【0019】
以上、軽量気泡コンクリート屑のリサイクル適性は、所定の粗粉砕、炭酸化・加熱を、所定の粒度調整での粗粉砕条件、炭酸化・加熱条件で行って得られるのもので、この適性を有する軽量気泡コンクリート屑を、その構造又は特性のみにより直接特定することが困難である。
【0020】
トバモライトの炭酸化と脱水と炭酸化ALC屑の混合率の適正化により安定したリサイクル適性が発揮できる。
【0021】
原料 調合割合
炭酸化軽量気泡コンクリート屑の所定量を用いて、軽量気泡コンクリートを製造した。原料の混合割合は、炭酸化軽量気泡コンクリート屑5~25質量%、珪石35~73質量%、生石灰6~12質量%、セメント15~25質量%、石膏1~3質量%とし、この混合物全体に対してアルミニウム粉0.06~0.1質量%と水とを加えてスラリーを調整した。水を後添加することが好ましい。特に、炭酸化軽量気泡コンクリート屑と珪石は乾式混合であることが好ましい。
【0022】
炭酸化処理したALCリサイクル粉末を用いると、主成分のトバモライトの炭酸化過程で、カルシウムがトバモライトから溶出し、シリカの表層部を硬化し、炭酸化後にトバモライトは、結晶水が解離するが、炭酸化による質量増加と、リサイクル粉末の収縮現象も加わり、硬化の要因となり得る。よって、単なる増量材から一種の骨材としての働きに変化し、強度低下を抑制すると考える。また、トバモライトは、結晶構造が安定な鉱物であるため寸法変化は小さいが、炭酸カルシウム及びシリカは、トバモライト以上に安定な鉱物であり、寸法変化は極めて小さいため、原料の割合が多くなれば、乾燥収縮率は低下すると推測できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、軽量気泡コンクリートの圧縮強度を維持しながら、ALCのリサイクル量がより多くても、建築材とでき、しかも、特別な測定装置が不要で工程管理が簡便であり、特別な焼成設備も必要とせずに、リサイクル原料を内割固形分で25質量%以上使用しても、リサイクル原料量の圧縮強度への変動を受けにくく、ALC製品の収縮率も小さく安定して保持できる、軽量気泡コンクリートの製造法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】炭酸化前の軽量気泡コンクリート屑のSEM像を示した図である。
【
図2】炭酸化後の軽量気泡コンクリート屑のSEM像を示した図である。
【
図3】炭酸化前後の軽量気泡コンクリート屑のX線回折チャ-トを例示した図である。
【
図4】炭酸化前後の軽量気泡コンクリート屑のX線回折チャ-トを例示した図である。
【
図5】炭酸化ALC粉末のリサイクル量(質量%)と圧縮強度の関係を例示した図である。
【
図6】炭酸化ALC粉末のリサイクル量(質量%)と収縮率の関係を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
原料と組成について
固形分原料:
炭酸化処理をおこなった1.2mm以下の粒径のリサイクル用軽量気泡コンクリート屑、
JFEミネラル社製珪石粉末、
吉澤社製生石灰粉末、
太平洋セメント社製早強ポルトランドセメント、
コクサイ商事社製二水石膏粉末、
アルミ粉末に対して、水を、固形原料に対し70質量%で混合したスラリーを、型枠に打設し、半硬化体を得た後、オートクレーブで養生することでALCパネルを得る。
【0026】
軽量気泡コンクリート屑の粗粉砕
軽量気泡コンクリート屑の粗粉砕にはハンマークラッシャーを用いた。
【0027】
炭酸化、加熱方法
粗粉砕した軽量気泡コンクリート屑の熱処理用容器には、ドラム容器を用いた。炭酸化条件は、二酸化炭素濃度40%、温度50℃、湿度10%で処理時間24hrである。
【0028】
本発明の軽量気泡コンクリートは次のような製造方法によって得られる。材料として、微粉砕工程を施した炭酸化軽量気泡コンクリート屑の他に、珪石、石英などの粉末のケイ酸質原料と、生石灰、ポルトランドセメントなどの粉末の石灰質原料、石膏、発泡剤を用い、これらに水を混合して混合スラリーと成し、これを型枠に入れる。次に発泡させるが、その方法はアルミニウムなどの金属粉末から成る発泡剤を用い、そのガス発生によって発泡させる。
【0029】
しかる後に、所定の寸法に切断した後、オートクレーブ蒸気養生で水熱反応させ、トバモライトを生成させる。なお、オートクレーブ養生条件は180℃、10気圧で行う。
【0030】
以上のような原料、条件、範囲、方法を適宜組み合わせることにより、本発明のような優れた圧縮強度を有する軽量気泡コンクリートを得ることができる。
【0031】
次に、本発明の軽量気泡コンクリートの実験例、比較例について述べる。固形分原料の内、炭酸化処理をおこなった1.2mm以下の粒径の軽量気泡コンクリート屑を0から30質量%、JFEミネラル社製珪石粉末を38から68質量%、吉澤社製生石灰粉末を10質量%、太平洋セメント社製早強ポルトランドセメント粉末を20質量%、コクサイ商事社製二水石膏粉末を2質量%、アルミ粉末を0.1質量部と水を固形原料に対し70質量%で混合したスラリーを、型枠に打設し、3時間後に半硬化体を得た後、180℃、10気圧のオートクレーブで6時間保持することで約300mm×約300mm×約300mmのALCブロックを得た。
【0032】
このALCブロックの中央部から、JIS A 5416に準じて、100mm×100mm×100mmの試験体を切出し、60℃の熱風乾燥機で含水率を10±2℃になるまで乾燥させたものを圧縮強度測定用の試験体とした。試験後に105℃の熱風乾燥機で絶乾状態にし、密度を求めた。
【0033】
圧縮強度試験は、JIS A 5416-2016に準拠し、試験体サイズは、100mm×100mm×100mmである。絶乾密度試験も、JIS A 5416-2016に準拠した。
【0034】
またALCブロックの中央部から、JIS A 5416に準じて、40mm×40mm×160mmの試験体を切出し、3日間、20℃の水中に水没させた後に、室温20℃、湿度60%の恒温室で、飽水状態からの乾燥収縮率を求めた。
【0035】
炭酸化処理したALCリサイクル粉末の炭酸化度を次手順で求めた。
1)EDX分析結果から炭酸化処理したALCリサイクル粉末中のCaO質量%とSO3質量%を求める。
2)前記SO3質量%からセッコウ中のCaO質量%を計算で求める。
3) ALCリサイクル粉末中のCaO質量%から、セッコウ中のCaO質量%の差がトバモライト中のCaO質量%となる。トバモライト中のCaO質量%の全てがCaCO3になるために必要な「理論CO2質量%」を計算で求める。
4)DTAで1)と同じ炭酸化処理したALCリサイクル粉末の600℃から800℃時での脱CO2の吸熱反応による質量減少率から「実際のCO2量%」を求める。
5)「炭酸化度=実際のCO2質量%/理論CO2質量%」である。
【0036】
【0037】
表1に、炭酸化処理したALC粉末(炭酸化度85.1%))及び非炭酸化ALC粉末の各ALC粉末リサイクル量のALCブロックの、絶乾密度、圧縮強度、乾燥収縮率を示した。
図5には、炭酸化ALC粉末のリサイクル量(質量%)と圧縮強度の関係を、
図6には、炭酸化ALC粉末のリサイクル量(質量%)と収縮率の関係を、それぞれ、非炭酸化ALC粉末をリサイクルしたブロックと対比して示した。
【0038】
ここで、炭酸化処理したALC粉末(炭酸化度85.1%)の固形原料中の割合が、乾燥状態で、5質量%から25質量%では、圧縮強度が維持できている。また、乾燥収縮率も低下傾向が確認でき性能が向上した。炭酸化処理したALCリサイクル粉末の割合が30%になると、気泡が安定しないという製造工程での不都合な面が生じた。