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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155546
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】切削液循環装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20241024BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20241024BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20241024BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20241024BHJP
【ＦＩ】
B23Q11/00 U
B23Q11/10 E
B01D35/02 E
B01D29/10 530B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023070345
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】笹山 開史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 幸夫
【テーマコード（参考）】
3C011
4D116
【Ｆターム（参考）】
3C011BB31
3C011EE09
4D116AA26
4D116BB01
4D116BC44
4D116BC48
4D116DD05
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR16
4D116TT02
4D116TT07
4D116UU09
4D116VV04
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】スラッジの滞留及び堆積を効果的に抑制する。
【解決手段】切削液循環装置１は、工作機械から排出される切削液を貯留するタンク槽２と、タンク槽２内に設けられ、切削液を濾過するドラムフィルタ３と、ドラムフィルタ３で濾過されたタンク槽２内の切削液を汲み上げる第１ポンプ４と、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタ７と、を含む。そして、タンク槽２内には、切削液が循環する環状流路３２と、その環状流路３２の内側に設けた仕切板２５によって囲まれる中央空間３１とが形成されて、２次フィルタ７で濾過された切削液は中央空間３１へ供給されると共に、仕切板２５には、環状流路３２と連通して中央空間３１内の切削液を環状流路３２へ流入させる開口部３３が形成されている。
【選択図】図１
【解決手段】切削液循環装置１は、工作機械から排出される切削液を貯留するタンク槽２と、タンク槽２内に設けられ、切削液を濾過するドラムフィルタ３と、ドラムフィルタ３で濾過されたタンク槽２内の切削液を汲み上げる第１ポンプ４と、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタ７と、を含む。そして、タンク槽２内には、切削液が循環する環状流路３２と、その環状流路３２の内側に設けた仕切板２５によって囲まれる中央空間３１とが形成されて、２次フィルタ７で濾過された切削液は中央空間３１へ供給されると共に、仕切板２５には、環状流路３２と連通して中央空間３１内の切削液を環状流路３２へ流入させる開口部３３が形成されている。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械から排出される切削液を貯留するタンク槽と、
前記タンク槽内に設けられ、切削液を濾過する１次フィルタと、
前記１次フィルタで濾過された前記タンク槽内の切削液を汲み上げる第１ポンプと、
前記第１ポンプで汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタと、を含み、
前記タンク槽内には、切削液が循環する環状流路と、その環状流路の内側に設けた仕切板によって囲まれる中央空間とが形成されて、前記２次フィルタで濾過された切削液は前記中央空間へ供給されると共に、
前記仕切板には、前記環状流路と連通して前記中央空間内の切削液を前記環状流路へ流入させる開口部が形成されていることを特徴とする切削液循環装置。
前記タンク槽内に設けられ、切削液を濾過する１次フィルタと、
前記１次フィルタで濾過された前記タンク槽内の切削液を汲み上げる第１ポンプと、
前記第１ポンプで汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタと、を含み、
前記タンク槽内には、切削液が循環する環状流路と、その環状流路の内側に設けた仕切板によって囲まれる中央空間とが形成されて、前記２次フィルタで濾過された切削液は前記中央空間へ供給されると共に、
前記仕切板には、前記環状流路と連通して前記中央空間内の切削液を前記環状流路へ流入させる開口部が形成されていることを特徴とする切削液循環装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記仕切板の下端から開口形成されていることを特徴とする請求項１に記載の切削液循環装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記下端を含む前記仕切板の下部に形成されていることを特徴とする請求項２に記載の切削液循環装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記開口部から前記環状流路へ流入する切削液の流速と、前記環状流路を流れる切削液の流速とが等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項２に記載の切削液循環装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記開口部から前記環状流路へ流入する切削液の流速と、前記環状流路を流れる切削液の流速とが、少なくとも前記工作機械のアイドル状態で等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項４に記載の切削液循環装置。
【請求項6】
前記１次フィルタは、軸方向に直交する端面に濾過後の切削液の出口が形成されたドラムフィルタであり、前記ドラムフィルタと前記環状流路とは、前記軸方向に隣接配置されて、前記出口から流出する切削液が直接前記環状流路へ流れ込み可能となっていることを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の切削液循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械から排出される切削液を貯留して濾過し、工作機械に再供給する切削液循環装置に関する。なお、切削液は、クーラントとも称され、切削液循環装置は、スラッジレスタンクとも称される。
【背景技術】
【0002】
工作機械に併設される装置として切削液循環装置が知られている。切削液循環装置は、工作機械の加工室に供給されて工作機械から排出された切削液から、切粉等の不純物であるスラッジを分離し、濾過後の切削液を再び工作機械に供給して再使用させる。
このような切削液循環装置は、人の手による清掃やメンテナンスが必要で、清掃やメンテナンスを怠ると、加工室内の洗浄効果が十分に得られず、最悪の場合機械の破損に繋がる。
そこで、切削液循環装置の例として、特許文献１には、工作機械から排出されたクーラントをタンクで貯留して濾過した後、工作機械に戻すようにしたクーラントシステムが開示されている。このシステムでは、工作機械から回収タンクに排出されたクーラントを、ポンプで汲み上げて一次濾過装置で濾過した後、外周クーラント槽と中央クーラント槽とに仕切られた一次タンクの中央クーラント槽に供給する。中央クーラント槽のクーラントは、ポンプで汲み上げられて二次濾過装置で浄化された後、二次タンクに貯留されて工作機械に送られる。二次タンクでオーバーフローしたクーラントは、一次タンクの外周クーラント槽に供給されて、中央クーラント槽との間の仕切部材に設けられたスリットを介して中央クーラント槽に移動するようになっている。
このような切削液循環装置は、人の手による清掃やメンテナンスが必要で、清掃やメンテナンスを怠ると、加工室内の洗浄効果が十分に得られず、最悪の場合機械の破損に繋がる。
そこで、切削液循環装置の例として、特許文献１には、工作機械から排出されたクーラントをタンクで貯留して濾過した後、工作機械に戻すようにしたクーラントシステムが開示されている。このシステムでは、工作機械から回収タンクに排出されたクーラントを、ポンプで汲み上げて一次濾過装置で濾過した後、外周クーラント槽と中央クーラント槽とに仕切られた一次タンクの中央クーラント槽に供給する。中央クーラント槽のクーラントは、ポンプで汲み上げられて二次濾過装置で浄化された後、二次タンクに貯留されて工作機械に送られる。二次タンクでオーバーフローしたクーラントは、一次タンクの外周クーラント槽に供給されて、中央クーラント槽との間の仕切部材に設けられたスリットを介して中央クーラント槽に移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第５９３０９３８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献１のクーラントシステムは、一次タンクの中央クーラント槽に浄化前のクーラントが貯留されるため、中央クーラント槽にスラッジが滞留して堆積しやすくなる。よって、中央クーラント槽からクーラントを汲み上げるポンプの故障の原因になり、メンテナンスの頻度も多くなってしまう。
【0005】
そこで、本開示は、スラッジの滞留及び堆積を効果的に抑制することができる切削液循環装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、工作機械から排出される切削液を貯留するタンク槽と、
前記タンク槽内に設けられ、切削液を濾過する１次フィルタと、
前記１次フィルタで濾過された前記タンク槽内の切削液を汲み上げる第１ポンプと、
前記第１ポンプで汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタと、を含む。
そして、前記タンク槽内には、切削液が循環する環状流路と、その環状流路の内側に設けた仕切板によって囲まれる中央空間とが形成されて、前記２次フィルタで濾過された切削液は前記中央空間へ供給されると共に、
前記仕切板には、前記環状流路と連通して前記中央空間内の切削液を前記環状流路へ流入させる開口部が形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記仕切板の下端から開口形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記下端を含む前記仕切板の下部に形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記開口部から前記環状流路へ流入する切削液の流速と、前記環状流路を流れる切削液の流速とが等しくなるように形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記開口部から前記環状流路へ流入する切削液の流速と、前記環状流路を流れる切削液の流速とが、少なくとも前記工作機械のアイドル状態で等しくなるように形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記１次フィルタは、軸方向に直交する端面に濾過後の切削液の出口が形成されたドラムフィルタであり、前記ドラムフィルタと前記環状流路とは、前記軸方向に隣接配置されて、前記出口から流出する切削液が直接前記環状流路へ流れ込み可能となっていることを特徴とする。
前記タンク槽内に設けられ、切削液を濾過する１次フィルタと、
前記１次フィルタで濾過された前記タンク槽内の切削液を汲み上げる第１ポンプと、
前記第１ポンプで汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタと、を含む。
そして、前記タンク槽内には、切削液が循環する環状流路と、その環状流路の内側に設けた仕切板によって囲まれる中央空間とが形成されて、前記２次フィルタで濾過された切削液は前記中央空間へ供給されると共に、
前記仕切板には、前記環状流路と連通して前記中央空間内の切削液を前記環状流路へ流入させる開口部が形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記仕切板の下端から開口形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記下端を含む前記仕切板の下部に形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記開口部から前記環状流路へ流入する切削液の流速と、前記環状流路を流れる切削液の流速とが等しくなるように形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記開口部は、前記開口部から前記環状流路へ流入する切削液の流速と、前記環状流路を流れる切削液の流速とが、少なくとも前記工作機械のアイドル状態で等しくなるように形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記１次フィルタは、軸方向に直交する端面に濾過後の切削液の出口が形成されたドラムフィルタであり、前記ドラムフィルタと前記環状流路とは、前記軸方向に隣接配置されて、前記出口から流出する切削液が直接前記環状流路へ流れ込み可能となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、切削液が１次フィルタと２次フィルタとを順番に通過して中央空間に戻されて環状流路に合流する循環が繰り返される。よって、タンク槽でのスラッジの滞留及び堆積を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】切削液循環装置の斜視図である。
【図2】切削液循環装置におけるドラムフィルタの出口部分での水平断面図である。
【図3】変更例１の切削液循環装置の斜視図である。
【図4】変更例１の切削液循環装置におけるドラムフィルタの出口部分での水平断面図である。
【図5】変更例２の切削液循環装置の斜視図である。
【図6】変更例２の切削液循環装置におけるドラムフィルタの出口部分での水平断面図である。
【図7】変更例３の切削液循環装置の斜視図である。
【図8】変更例３の切削液循環装置におけるドラムフィルタの出口部分での水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１は、切削液循環装置の一例を示す斜視図、図２は、図１におけるドラムフィルタの出口部分での水平断面図である。切削液循環装置１は、タンク槽２と、ドラムフィルタ３と、第１ポンプ４と、第２ポンプ５と、第３ポンプ６と、２次フィルタ７とを備えている。ここでは便宜上図１での右上側、図２での上側を前方として前後左右の向きを規定する。
タンク槽２は、周囲が外壁１０で囲まれる有底槽である。外壁１０は、左右方向に延びる前壁１１及び後壁１２と、前後方向に延びる左壁１３及び右壁１４とを有する平面視横長矩形状となっている。
タンク槽２内には、コンベヤ１５が設置されている。コンベヤ１５には、図示しない工作機械で使用されて切粉等のスラッジを含む切削液が排出される。コンベヤ１５は、タンク槽２内の左寄りで左壁１３及び後壁１２との間に所定間隔をおいて前後方向に配置されている。よって、左壁１３との間でコンベヤ１５の左側には、前後方向に延びる左側流路１６が形成されている。また、後壁１２との間でコンベヤ１５の後側には、左側流路１６の後端と繋がって右方向に延びる後側流路１７が形成されている。コンベヤ１５の右側でタンク槽２内には、後側流路１７と連通する平面視横長矩形状の貯留領域２０が形成されている。
図１は、切削液循環装置の一例を示す斜視図、図２は、図１におけるドラムフィルタの出口部分での水平断面図である。切削液循環装置１は、タンク槽２と、ドラムフィルタ３と、第１ポンプ４と、第２ポンプ５と、第３ポンプ６と、２次フィルタ７とを備えている。ここでは便宜上図１での右上側、図２での上側を前方として前後左右の向きを規定する。
タンク槽２は、周囲が外壁１０で囲まれる有底槽である。外壁１０は、左右方向に延びる前壁１１及び後壁１２と、前後方向に延びる左壁１３及び右壁１４とを有する平面視横長矩形状となっている。
タンク槽２内には、コンベヤ１５が設置されている。コンベヤ１５には、図示しない工作機械で使用されて切粉等のスラッジを含む切削液が排出される。コンベヤ１５は、タンク槽２内の左寄りで左壁１３及び後壁１２との間に所定間隔をおいて前後方向に配置されている。よって、左壁１３との間でコンベヤ１５の左側には、前後方向に延びる左側流路１６が形成されている。また、後壁１２との間でコンベヤ１５の後側には、左側流路１６の後端と繋がって右方向に延びる後側流路１７が形成されている。コンベヤ１５の右側でタンク槽２内には、後側流路１７と連通する平面視横長矩形状の貯留領域２０が形成されている。
【0010】
ドラムフィルタ３は、コンベヤ１５内の下部で軸方向を左右方向とした向きで設置されている。ドラムフィルタ３は、外周面のフィルタ部で切削液を濾過して所定の大きさ以上のスラッジを取り除く。取り除かれたスラッジは、コンベヤ１５によって外部に排出される。
ドラムフィルタ３で濾過された切削液は、ドラムフィルタ３の左右両端から排出される。コンベヤ１５の左右の側面には、ドラムフィルタ３から排出される切削液をタンク槽２内に排出する出口２１，２１が設けられている。左側の出口２１から排出される切削液は、左側流路１６に流入する。右側の出口２１から排出される切削液は、貯留領域２０に流入する。ドラムフィルタ３は、本開示の１次フィルタの一例である。
ドラムフィルタ３で濾過された切削液は、ドラムフィルタ３の左右両端から排出される。コンベヤ１５の左右の側面には、ドラムフィルタ３から排出される切削液をタンク槽２内に排出する出口２１，２１が設けられている。左側の出口２１から排出される切削液は、左側流路１６に流入する。右側の出口２１から排出される切削液は、貯留領域２０に流入する。ドラムフィルタ３は、本開示の１次フィルタの一例である。
【0011】
貯留領域２０において、前側左右の角部には、角部を面取りする格好で角部整流板２２，２２が設けられている。また、コンベヤ１５の後部右側面には、後側整流板２３が設けられている。後側整流板２３は、コンベヤ１５の右側の出口２１よりも後方位置から右側へ突出している。後側整流板２３とコンベヤ１５の右側面とで形成される角部にも、角部整流板２２が設けられている。後側整流板２３と後壁１２との間には、後側流路１７と延長状に繋がって右方向へ延びる合流流路２４が形成されている。
貯留領域２０内の中央には、仕切板２５が設けられている。仕切板２５は、前板２６と、後板２７と、左板２８と、右板２９と、４つの傾斜板３０，３０・・とを備えている。前板２６は、前壁１１の後方で前壁１１と平行に左右方向へ延びている。後板２７は、後壁１２及び後側整流板２３の前方で後壁１２と平行に左右方向へ延びている。左板２８は、コンベヤ１５の右側でコンベヤ１５の右側面と平行に前後方向へ延びている。右板２９は、右壁１４の左側で右壁１４と平行に前後方向へ延びている。傾斜板３０は、周方向で隣接する各板同士を繋いでいる。
貯留領域２０内の中央には、仕切板２５が設けられている。仕切板２５は、前板２６と、後板２７と、左板２８と、右板２９と、４つの傾斜板３０，３０・・とを備えている。前板２６は、前壁１１の後方で前壁１１と平行に左右方向へ延びている。後板２７は、後壁１２及び後側整流板２３の前方で後壁１２と平行に左右方向へ延びている。左板２８は、コンベヤ１５の右側でコンベヤ１５の右側面と平行に前後方向へ延びている。右板２９は、右壁１４の左側で右壁１４と平行に前後方向へ延びている。傾斜板３０は、周方向で隣接する各板同士を繋いでいる。
【0012】
よって、仕切板２５は、平面視で左右方向に延びるループ状となって、貯留領域２０の中央に、中央空間３１を仕切形成している。また、後側整流板２３の前側には、仕切板２５の周囲を周回する環状流路３２が形成される。環状流路３２は、後側整流板２３の右側で合流流路２４と繋がっている。
仕切板２５において、後板２７の左側端部には、開口部３３が形成されている。開口部３３は、後板２７の下端から所定高さで矩形に切り欠き形成されて、タンク槽２内に貯留される切削液の液面よりも下側で開口するアンダーフローとなっている。この開口部３３により、中央空間３１は環状流路３２と連通する。左板２８と後板２７とを繋ぐ傾斜板３０は、後板２７を越えて開口部３３の後側まで突出する延長部３４を備えている。
開口部３３により、中央空間３１内の切削液は、環状流路３２へ流れ込むことができる。ここで、開口部３３の開口面積は、開口部３３を通過する切削液の流速と、環状流路３２を流れる切削液の流速とが少なくとも工作機械のアイドル状態で等しくなるように設定されている。
仕切板２５において、後板２７の左側端部には、開口部３３が形成されている。開口部３３は、後板２７の下端から所定高さで矩形に切り欠き形成されて、タンク槽２内に貯留される切削液の液面よりも下側で開口するアンダーフローとなっている。この開口部３３により、中央空間３１は環状流路３２と連通する。左板２８と後板２７とを繋ぐ傾斜板３０は、後板２７を越えて開口部３３の後側まで突出する延長部３４を備えている。
開口部３３により、中央空間３１内の切削液は、環状流路３２へ流れ込むことができる。ここで、開口部３３の開口面積は、開口部３３を通過する切削液の流速と、環状流路３２を流れる切削液の流速とが少なくとも工作機械のアイドル状態で等しくなるように設定されている。
【0013】
第１ポンプ４は、貯留領域２０の後側右の角部に配置されている。第１ポンプ４は、図示しない配管を介して、ドラムフィルタ３内の図示しない洗浄ノズルと、２次フィルタ７と、第１助勢ノズル３５及び第２助勢ノズル３６と接続されている。
よって、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液の一部は、洗浄ノズルからドラムフィルタ３の外周面に内部から噴出されてドラムフィルタ３を洗浄する。
また、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液の他の一部は、２次フィルタ７に送られて濾過される。２次フィルタ７は、タンク槽２の外部に設置されるサイクロンフィルタで、図示しない配管を介して、中央空間３１内の右側に設けられた吐出口３７と接続されている。吐出口３７は、左向きに配置されている。
さらに、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液の残りの一部は、第１、第２助勢ノズル３５，３６からタンク槽２内に戻される。第１助勢ノズル３５は、タンク槽２の後側左の角部で右向きに設けられている。第２助勢ノズル３６は、貯留領域２０における前壁１１と前板２６との間で左向きに設けられている。
よって、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液の一部は、洗浄ノズルからドラムフィルタ３の外周面に内部から噴出されてドラムフィルタ３を洗浄する。
また、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液の他の一部は、２次フィルタ７に送られて濾過される。２次フィルタ７は、タンク槽２の外部に設置されるサイクロンフィルタで、図示しない配管を介して、中央空間３１内の右側に設けられた吐出口３７と接続されている。吐出口３７は、左向きに配置されている。
さらに、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液の残りの一部は、第１、第２助勢ノズル３５，３６からタンク槽２内に戻される。第１助勢ノズル３５は、タンク槽２の後側左の角部で右向きに設けられている。第２助勢ノズル３６は、貯留領域２０における前壁１１と前板２６との間で左向きに設けられている。
【0014】
第２ポンプ５は、後側整流板２３の右側で合流流路２４と環状流路３２との間に配置されている。第２ポンプ５は、図示しない配管を介して工作機械に接続されて、貯留領域２０内の切削液を工作機械の加工室に供給可能となっている。
第３ポンプ６は、中央空間３１内の左側に配置されている。第３ポンプ６で汲み上げられた切削液は、図示しない配管を介して工作機械の主軸に供給される。
第３ポンプ６は、中央空間３１内の左側に配置されている。第３ポンプ６で汲み上げられた切削液は、図示しない配管を介して工作機械の主軸に供給される。
【0015】
以上の如く構成された切削液循環装置１において、工作機械からコンベヤ１５に回収された切削液は、ドラムフィルタ３を通過して濾過された後、左右の出口２１，２１から左側流路１６と貯留領域２０とに排出される。よって、貯留領域２０では、右側の出口２１から仕切板２５の後側で環状流路３２に切削液が流れ込むため、環状流路３２には、図２に矢印で示すように左回りでの切削液の流れが生じる。同時に、左側の出口２１から流れ込む切削液により、左側流路１６を前方から後方へ流れた後、後側流路１７を左から右へ流れて合流流路２４に至り、環状流路３２と合流する流れが生じる。
【0016】
そして、第１ポンプ４が稼働すると、汲み上げられた切削液の一部は、ドラムフィルタ３の内部で洗浄ノズルから噴出されてドラムフィルタ３を洗浄した後、左右の出口２１，２１からタンク槽２に戻される。切削液の他の一部は、２次フィルタ７で濾過されて吐出口３７から中央空間３１内に戻される。切削液の残りの一部は、第１、第２助勢ノズル３５，３６から吐出される。
よって、タンク槽２内では、第１助勢ノズル３５によって後側流路１７及び合流流路２４の流れが助勢されると共に、第２助勢ノズル３６によって環状流路３２の流れが助勢される。
また、中央空間３１では、右から左への切削液の流れが生じる。中央空間３１は比較的面積が小さく、流速も速くはないが、２次フィルタ７で濾過された切削液が流れ込むため、スラッジの堆積は生じにくい。
中央空間３１内の切削液は、開口部３３から延長部３４に沿って環状流路３２へ流れ込んで環状流路３２の流れを助勢する。第１ポンプ４の稼働中は開口部３３から常に切削液が流れ込むため、環状流路３２内のスラッジを含んだ切削液が中央空間３１内に浸入しにくくなっている。
よって、タンク槽２内では、第１助勢ノズル３５によって後側流路１７及び合流流路２４の流れが助勢されると共に、第２助勢ノズル３６によって環状流路３２の流れが助勢される。
また、中央空間３１では、右から左への切削液の流れが生じる。中央空間３１は比較的面積が小さく、流速も速くはないが、２次フィルタ７で濾過された切削液が流れ込むため、スラッジの堆積は生じにくい。
中央空間３１内の切削液は、開口部３３から延長部３４に沿って環状流路３２へ流れ込んで環状流路３２の流れを助勢する。第１ポンプ４の稼働中は開口部３３から常に切削液が流れ込むため、環状流路３２内のスラッジを含んだ切削液が中央空間３１内に浸入しにくくなっている。
【0017】
第２ポンプ５が稼働すると、汲み上げられた切削液は、加工室内に供給される。
第３ポンプ６が稼働すると、汲み上げられた切削液は、主軸に装着した工具から噴出される。ここでの切削液は、２次フィルタ７で濾過されたクリーンなものであるため、供給流路での切粉詰まりが生じにくくなる。
なお、環状流路３２から中央空間３１への切削液の逆流を防止するため、第３ポンプ６から工作機械へ供給する切削液の量は、２次フィルタ７で濾過されて吐出口３７から吐出される量未満に制限されている。
第３ポンプ６が稼働すると、汲み上げられた切削液は、主軸に装着した工具から噴出される。ここでの切削液は、２次フィルタ７で濾過されたクリーンなものであるため、供給流路での切粉詰まりが生じにくくなる。
なお、環状流路３２から中央空間３１への切削液の逆流を防止するため、第３ポンプ６から工作機械へ供給する切削液の量は、２次フィルタ７で濾過されて吐出口３７から吐出される量未満に制限されている。
【0018】
このように、切削液循環装置１は、工作機械から排出される切削液を貯留するタンク槽２と、タンク槽２内に設けられ、切削液を濾過するドラムフィルタ３と、ドラムフィルタ３で濾過されたタンク槽２内の切削液を汲み上げる第１ポンプ４と、第１ポンプ４で汲み上げられた切削液を濾過する２次フィルタ７と、を含む。
そして、タンク槽２内には、切削液が循環する環状流路３２と、その環状流路３２の内側に設けた仕切板２５によって囲まれる中央空間３１とが形成されて、２次フィルタ７で濾過された切削液は中央空間３１へ供給されると共に、仕切板２５には、環状流路３２と連通して中央空間３１内の切削液を環状流路３２へ流入させる開口部３３が形成されている。
この構成によれば、切削液がドラムフィルタ３と２次フィルタ７とを順番に通過して中央空間３１に戻されて環状流路３２に合流する循環が繰り返される。よって、タンク槽２でのスラッジの滞留及び堆積を効果的に抑制することができる。
そして、タンク槽２内には、切削液が循環する環状流路３２と、その環状流路３２の内側に設けた仕切板２５によって囲まれる中央空間３１とが形成されて、２次フィルタ７で濾過された切削液は中央空間３１へ供給されると共に、仕切板２５には、環状流路３２と連通して中央空間３１内の切削液を環状流路３２へ流入させる開口部３３が形成されている。
この構成によれば、切削液がドラムフィルタ３と２次フィルタ７とを順番に通過して中央空間３１に戻されて環状流路３２に合流する循環が繰り返される。よって、タンク槽２でのスラッジの滞留及び堆積を効果的に抑制することができる。
【0019】
開口部３３は、仕切板２５の下端から開口形成されているので、切削液が中央空間３１から環状流路３２に流れ込む際のタンク槽２の底部でのスラッジの滞留及び堆積をより効果的に抑制することができる。
開口部３３は、仕切板２５の下端を含む仕切板２５の下部に形成されているので、切削液はアンダーフローで環状流路３２に流れ込み、スラッジの滞留及び堆積防止に効果的となる。
開口部３３は、開口部３３から環状流路３２へ流入する切削液の流速と、環状流路３２を流れる切削液の流速とが等しくなるように形成されている。
よって、環状流路３２での切削液の流れを阻害することなく中央空間３１から環状流路３２へ切削液を合流させることができる。
開口部３３は、開口部３３から環状流路３２へ流入する切削液の流速と、環状流路３２を流れる切削液の流速とが、少なくとも工作機械のアイドル状態で等しくなるように形成されている。
よって、最も切削液の貯留量が少なく、流れも遅くなるアイドル状態でのスラッジの滞留及び堆積を抑制できる。
開口部３３は、仕切板２５の下端を含む仕切板２５の下部に形成されているので、切削液はアンダーフローで環状流路３２に流れ込み、スラッジの滞留及び堆積防止に効果的となる。
開口部３３は、開口部３３から環状流路３２へ流入する切削液の流速と、環状流路３２を流れる切削液の流速とが等しくなるように形成されている。
よって、環状流路３２での切削液の流れを阻害することなく中央空間３１から環状流路３２へ切削液を合流させることができる。
開口部３３は、開口部３３から環状流路３２へ流入する切削液の流速と、環状流路３２を流れる切削液の流速とが、少なくとも工作機械のアイドル状態で等しくなるように形成されている。
よって、最も切削液の貯留量が少なく、流れも遅くなるアイドル状態でのスラッジの滞留及び堆積を抑制できる。
【0020】
１次フィルタを、軸方向に直交する端面に濾過後の切削液の出口が形成されたドラムフィルタ３として、ドラムフィルタ３と環状流路３２とをドラムフィルタ３の軸方向に隣接配置し、ドラムフィルタ３の出口から流出する切削液が直接環状流路３２へ流れ込み可能となっている。
よって、工作機械から流れ込む切削液はポンプを用いることなくドラムフィルタ３で濾過できる。また、ドラムフィルタ３から流出する切削液により環状流路３２の流れを助勢可能となる。
よって、工作機械から流れ込む切削液はポンプを用いることなくドラムフィルタ３で濾過できる。また、ドラムフィルタ３から流出する切削液により環状流路３２の流れを助勢可能となる。
【0021】
なお、上記形態では、開口部を仕切板の下部に形成してアンダーフローとしているが、開口部の構造はこの形態に限らない。以下、変更例を説明する。
図３及び図４は、仕切板２５の後板２７の左端を傾斜板３０から離して、後板２７の高さ方向の全域を開口部３３ａとした変更例１を示している。
この変更例１によれば、中央空間３１から環状流路３２へ流れ込む切削液の量が多くなり、環状流路３２での流れの助勢効果が向上すると共に、環状流路３２から中央空間３１への切削液の逆流防止効果も向上する。
図５及び図６は、仕切板２５の前後２箇所に、アンダーフローとなる開口部３３ｂ，３３ｂを設けた変更例２を示している。ここでは前板２６及び後板２７の途中に、左端部よりも右端部が前側となる傾斜部４０，４０を形成して、各傾斜部４０の下部に、所定高さで矩形に切り欠き形成される開口部３３ｂを設けている。前板２６における傾斜部４０の左側では、傾斜部４０を越えて右側へ突出する延長部４１が形成されている。後板２７における傾斜部４０の右側にも、傾斜部４０を越えて左側へ突出する延長部４１が形成されている。
この変更例２によれば、中央空間３１内の切削液が前後２箇所の開口部３３ｂ，３３ｂから環状流路３２の流れ方向に流出するため、環状流路３２の流れへの助勢効果が高くなる。
図７及び図８は、仕切板２５の前後２箇所に、前板２６及び後板２７の高さ方向の全域を開口部３３ｃ，３３ｃとした変更例３を示している。ここでは前板２６及び後板２７の途中を分断して仕切板２５の左側部分よりも右側部分を前寄りに配置することで、前板２６では左向きに開口し、後板２７では右向きに開口する開口部３３ｃをそれぞれ形成している。
この変更例３においても、中央空間３１内の切削液が前後２箇所の開口部３３ｃ，３３ｃから環状流路３２の流れ方向に流出するため、環状流路３２の流れへの助勢効果が高くなる。
図３及び図４は、仕切板２５の後板２７の左端を傾斜板３０から離して、後板２７の高さ方向の全域を開口部３３ａとした変更例１を示している。
この変更例１によれば、中央空間３１から環状流路３２へ流れ込む切削液の量が多くなり、環状流路３２での流れの助勢効果が向上すると共に、環状流路３２から中央空間３１への切削液の逆流防止効果も向上する。
図５及び図６は、仕切板２５の前後２箇所に、アンダーフローとなる開口部３３ｂ，３３ｂを設けた変更例２を示している。ここでは前板２６及び後板２７の途中に、左端部よりも右端部が前側となる傾斜部４０，４０を形成して、各傾斜部４０の下部に、所定高さで矩形に切り欠き形成される開口部３３ｂを設けている。前板２６における傾斜部４０の左側では、傾斜部４０を越えて右側へ突出する延長部４１が形成されている。後板２７における傾斜部４０の右側にも、傾斜部４０を越えて左側へ突出する延長部４１が形成されている。
この変更例２によれば、中央空間３１内の切削液が前後２箇所の開口部３３ｂ，３３ｂから環状流路３２の流れ方向に流出するため、環状流路３２の流れへの助勢効果が高くなる。
図７及び図８は、仕切板２５の前後２箇所に、前板２６及び後板２７の高さ方向の全域を開口部３３ｃ，３３ｃとした変更例３を示している。ここでは前板２６及び後板２７の途中を分断して仕切板２５の左側部分よりも右側部分を前寄りに配置することで、前板２６では左向きに開口し、後板２７では右向きに開口する開口部３３ｃをそれぞれ形成している。
この変更例３においても、中央空間３１内の切削液が前後２箇所の開口部３３ｃ，３３ｃから環状流路３２の流れ方向に流出するため、環状流路３２の流れへの助勢効果が高くなる。
【0022】
各形態及び各変更例に共通して、環状流路の流れ方向は逆、すなわち右回りであってもよい。この場合、吐出口及び第３ポンプの位置も左右逆となり、開口部も左右逆となる。コンベヤもタンク槽の右側寄りに配置して、ドラムフィルタから流出する切削液を左側の出口から環状流路に合流させてもよい。
開口部は、仕切板に３箇所以上設けてもよい。構造が異なる上記形態及び変更例１～３の開口部を組み合わせて採用してもよい。開口部の位置も適宜変更できる。開口部は、仕切板の左板や右板に設けてもよい。
仕切板及びタンク槽の平面視形状も適宜変更可能である。平面視正方形や多角形、正円形、長円形、楕円形等も採用できる。
ポンプの位置や数も適宜変更できる。上記形態では、第１ポンプを第１、第２助勢ノズル、１次フィルタ、２次フィルタそれぞれへの切削液の供給用としているが、第１、第２助勢ノズルへの供給用と、１次フィルタへの供給用とでそれぞれ別のポンプを用いてもよい。
１次フィルタは、ドラムフィルタに限らない。コンベヤ設置槽をタンク槽と別に設けて、コンベヤ設置槽からポンプで汲み上げた切削液をタンク槽に設けた１次フィルタで濾過してもよい。
開口部は、仕切板に３箇所以上設けてもよい。構造が異なる上記形態及び変更例１～３の開口部を組み合わせて採用してもよい。開口部の位置も適宜変更できる。開口部は、仕切板の左板や右板に設けてもよい。
仕切板及びタンク槽の平面視形状も適宜変更可能である。平面視正方形や多角形、正円形、長円形、楕円形等も採用できる。
ポンプの位置や数も適宜変更できる。上記形態では、第１ポンプを第１、第２助勢ノズル、１次フィルタ、２次フィルタそれぞれへの切削液の供給用としているが、第１、第２助勢ノズルへの供給用と、１次フィルタへの供給用とでそれぞれ別のポンプを用いてもよい。
１次フィルタは、ドラムフィルタに限らない。コンベヤ設置槽をタンク槽と別に設けて、コンベヤ設置槽からポンプで汲み上げた切削液をタンク槽に設けた１次フィルタで濾過してもよい。
【符号の説明】
【0023】
１・・切削液循環装置、２・・タンク槽、３・・ドラムフィルタ、４・・第１ポンプ、５・・第２ポンプ、６・・第３ポンプ、７・・２次フィルタ、１０・・外壁、１５・・コンベヤ、１６・・左側流路、１７・・後側流路、２０・・貯留領域、２１・・出口、２４・・合流流路、２５・・仕切板、３１・・中央空間、３２・・環状流路、３３，３３ａ～３３ｃ・・開口部、３５・・第１助勢ノズル、３６・・第２助勢ノズル、３７・・吐出口。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】