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  • 特開-発電電力供給システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155549
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】発電電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20241024BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241024BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H02J7/35 E
H02J7/02 F
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070350
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】大島 正稔
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503AA07
5G503AA08
5G503BA05
5G503BB01
5G503CA08
5G503CC02
5G503CC08
5G503DA07
5G503DA18
5G503EA05
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】 発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しなくても、発電電力を無駄なく利用できる発電電力供給システムを提供する。
【解決手段】 自然エネルギーを基に発電して直流電力を出力する発電装置2と、発電電力を交流変換して負荷8に供給するパワーコンディショナ4と、発電装置2の発電電力により充電される蓄電装置5と、発電装置2の出力先をパワーコンディショナ4と蓄電装置5との間で切り替える切替装置3と、蓄電装置5の充放電を制御する制御部6とを有し、制御部6はパワーコンディショナ4の動作域を記憶し、発電装置2の発電電力が動作域に達しない場合は、発電装置2の出力先を蓄電装置5として蓄電装置5の充電を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを基に発電して直流電力を出力する発電装置の出力をパワーコンディショナを介して負荷に供給する発電電力供給システムであって、
前記自然エネルギーが、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのうちの少なくとも何れかであり、
前記発電装置の発電電力により充電される蓄電装置と、
前記発電装置の出力先を、前記パワーコンディショナと前記蓄電装置との間で切り替える切替装置と、
前記蓄電装置の充放電を制御する充放電制御部と、を有し、
前記充放電制御部は前記パワーコンディショナの動作域を記憶し、前記発電装置の発電電力が前記動作域に達しない場合は、前記発電装置の出力先を前記蓄電装置とすることを特徴とする発電電力供給システム。
【請求項2】
前記蓄電装置は、個々に蓄電機能を有する複数の蓄電素子により構成されると共に、
前記蓄電装置の蓄電電力を前記パワーコンディショナに出力する放電路と、
複数の前記蓄電素子同士の並列接続/直列接続を切り替える直並列切替手段と、を有し、
前記充放電制御部は、前記発電装置の発電電力が前記パワーコンディショナの動作域に達しない場合は、全ての前記蓄電素子を並列接続して前記発電電力により充電し、前記蓄電装置の充電量が所定の条件を満たしたら、前記蓄電素子を直列接続して前記パワーコンディショナに供給することを特徴とする請求項1記載の発電電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーを基に発電した電力をPCSを介して負荷に供給する発電電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムや風力発電システム等の自然エネルギー(再生可能エネルギーとも言う)を利用した発電システムが普及している。このような発電システムでは、自然エネルギーによる発電電力を負荷電力に応じて調整して負荷に供給した。
例えば特許文献1では、発電装置が水力を利用して発電し、その出力をインバータで直流変換してパワーコンディショナ(PCS)に供給している。そして、発電コントローラでインバータを制御してPCSへ供給する直流電圧を制御することで、変動する負荷に対して自然エネルギー発電の変化を対応させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-58026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発電システムで使用されるPCSは、一定の電力の出力を可能とするための動作域があり、PCSに供給する発電電力が小さくPCSの動作域を下回ると発電電力が負荷に供給されず無駄になる状態が発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しなくても、発電電力を無駄なく利用できる発電電力供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明に係る発電電力供給システムは、自然エネルギーを基に発電して直流電力を出力する発電装置の出力をパワーコンディショナを介して負荷に供給する発電電力供給システムであって、自然エネルギーが、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのうちの少なくとも何れかであり、発電装置の発電電力により充電される蓄電装置と、発電装置の出力先を、パワーコンディショナと蓄電装置との間で切り替える切替装置と、蓄電装置の充放電を制御する充放電制御部と、を有し、充放電制御部はパワーコンディショナの動作域を記憶し、発電装置の発電電力が動作域に達しない場合は、発電装置の出力先を蓄電装置とすることを特徴とする。
この構成によれば、発電装置の発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しない少量の場合は、発電電力が蓄電装置の充電に使用される。よって、発電装置の発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しなくても、無駄にする事無く利用可能であり、発電装置の利用効率を上げることができる。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、蓄電装置は、個々に蓄電機能を有する複数の蓄電素子により構成されると共に、蓄電装置の蓄電電力をパワーコンディショナに出力する放電路と、複数の蓄電素子同士の並列接続/直列接続を切り替える直並列切替手段と、を有し、充放電制御部は、発電装置の発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しない場合は、全ての蓄電素子を並列接続して発電電力により充電し、蓄電装置の充電量が所定の条件を満たしたら、蓄電素子を直列接続してパワーコンディショナに供給することを特徴とする。
この構成によれば、蓄電装置に充電された電力もパワーコンディショナに供給されるため、発電電力を無駄なく負荷の稼働に利用できる。そして、パワーコンディショナに供給する際には蓄電素子同士が直列接続されるため、パワーコンディショナを稼働させるに充分な電力を出力できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発電装置の発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しない少量の場合は、発電電力が蓄電装置の充電に使用される。よって、発電装置の発電電力がパワーコンディショナの動作域に達しなくても、無駄にする事無く利用可能であり、発電装置の利用効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る発電電力供給システムの一例を示すブロック図である。
図2】蓄電素子の接続形態を示す回路図で、蓄電素子を充電する充電モード状態を示している。
図3】発電電力供給システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る発電電力供給システムの一例を示すブロック図である。発電電力供給システム1は、図1に示すように発電装置2、発電電力を出力する電路を切り替える切替装置3、DC/AC変換を行って負荷8を駆動する交流電力を生成するPCS4、発電装置2の発電電力により充電される蓄電装置5、蓄電装置5の充放電を制御する制御部(充放電制御部)6等を備えている。
発電装置2とPCS4とは、切替装置3を介して主電路L1により接続されている。蓄電装置5は、充電路L2により切替装置3を介して発電装置2に接続され、放電路L3によりPCS4に接続されている。
【0011】
発電装置2は、太陽光発電装置、風力発電装置、水力発電装置、地熱発電装置、バイオマス発電装置の自然エネルギーを基に発電して直流電力を出力する装置であり、1種類或いは複数種類の自然エネルギーにより発電を行うものである。
自然エネルギーによる発電は発電電力の変動が大きいため、発電電力がPCS4により負荷8に供給可能な交流電力に変換できない小さい場合が発生する。このような電力を蓄電装置5に蓄電(充電)し、更に蓄電した電力は改めて負荷8に供給されるよう構成されている。
【0012】
制御部6は、発電装置2に設けた発電電力計測部2aから入手した発電電力情報と、蓄電装置5に設けられた蓄電電圧・放電電流計測部5aから入手した蓄電電圧情報及び放電電流情報と、記憶部6aに記憶されているPCS4の動作域、PCS動作良好域、及び設定放電電流との各情報を基に、蓄電装置5の充放電制御を実施する。
【0013】
図2は蓄電装置5の構成を示す回路図である。図2に示すように、蓄電装置5は複数の蓄電素子10を有し、主電路L1に対して並列に配置されている。そして、蓄電装置5の放電路L3には主電路L1との間を開閉する開閉器11が設けられており、切替装置3と開閉器11とで、蓄電装置5は主電路L1から分離可能に構成されている。
一方、切替装置3は、発電装置2の出力先をPCS4にする主電路L1と、蓄電装置5にする充電路L2との切り替えを実施する。
更に、個々の蓄電素子10には、連動して一斉に切替動作する直並列切替手段としての切替開閉器12が設けられ、蓄電素子10同士の直列/並列接続の切り替えを可能としている。
【0014】
これらの開閉手段(切替装置3、開閉器11、切替開閉器12)は、制御部6の制御により切り換え動作或いは開閉動作を実施する。尚、蓄電装置5が充電路L2に接続される際は、各蓄電素子10は並列接続され、放電路L3に接続される際は各蓄電素子10は直列接続されるよう切替開閉器12は制御される。
【0015】
蓄電素子10は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池が使用できるがキャパシタであっても良い。そして、その個数は蓄電電力供給先のPCS4の特性により決定される。PCS4の動作良好域が700Vであって、蓄電素子10の定格電圧が60Vであれば、12個の蓄電素子10が蓄電装置5に組み込まれる。12個の蓄電素子10を直列接続することで最大720Vの電圧を生成でき、PCS4に供給できる。
【0016】
上記の如く構成された発電電力供給システムは、以下のように動作する。但し、ここでは蓄電装置5の充放電を中心に説明する。
図3は蓄電素子10の充放電の流れを示すフローチャートであり、この図3を参照して説明する。システムは、最初にPCS4の動作域、蓄電装置5の放電電流の大きさ、PCS4の動作良好域等の条件が入力される(S1)。設定された数値は記憶部6aに記憶される。
これらの設定値は、接続されるPCS4の特性に応じて設定され、動作域は例えば200V以上(200V~1000V)として設定され、放電電流は例えば70A、PCS動作良好域は例えば49.7kW(70A×710V)以上として設定される。尚、ここでは、PCS4は710Vのときに最大変換効率で動作するとしている。
【0017】
設定値が入力されたら制御が開始され、各蓄電素子10の電圧、発電装置2の発電電力が計測(S2)される。またスタート時は、蓄電装置5を発電装置2及びPCS4から切り離して待機モード(S3)とする。具体的に、切替装置3の接点をa側に接続し、開閉器11の接点を開放する。
そして発電装置2の発電電力を監視し、PCS動作域に達しているか判断する(S4)。発電電力がPCS動作域より小さければ(S4でYES)、充電モードに移行(S5)して蓄電装置5の充電を行う。具体的に、切替装置3の接点をb側に接続し、開閉器11の接点は開放状態を維持する。更に、切替開閉器12の接点をa側に接続して蓄電素子10同士を並列接続して充電する。
図2がこの充電モード(S5)状態を示し、蓄電装置5の個々の蓄電素子10が発電装置2に対して並列接続され、充電が行われる。
一方、PCS動作域以上であれば(S4でNO)、待機状態を継続する。この場合、切替装置3の接点はa側に接続され、発電装置2の出力がPCS4に供給され、負荷8に供給される。
【0018】
蓄電装置5の充電中は充電量を監視する。具体的に、個々の蓄電素子10の電圧和×設定放電電流の数値が監視され、この数値がPCS動作良好域以上になったら、蓄電装置5を放電モードに移行させる(S6でYES)。具体的に、切替装置3の接点をa側に接続し、開閉器11を閉操作し、切替開閉器12の接点をb側に接続する。この制御により、直列接続された蓄電素子10の蓄電電力が放電され、放電電力がPCS4に供給される。
S6でPCS動作良好域未満であったら、次にPCS動作域と比較(S7)する。尚、PCS動作域は上述したようにPCS動作良好域より範囲が広い。
比較した結果、PCS動作域以下であったら(S7でNO)、充電モードを継続(S5)する。PCS動作域を超える数値であったら、待機モードに戻る(S3)。
【0019】
一方、放電モードに移行(S8)して放電が開始されたら、蓄電素子10の電圧と放電電流を監視し、蓄電素子電圧和×放電電流がPCS動作域を外れないか監視する(S9)。外れて小さくなったら、待機モードに戻る(S3)。
【0020】
このように、発電装置2の発電電力がPCS4の動作域に達しない少量の場合は、発電電力が蓄電装置5の充電に使用される。よって、発電装置2の発電電力がPCS4の動作域に達しなくても、無駄にする事無く利用可能であり、発電装置2の利用効率を上げることができる。
また、蓄電装置5に充電された電力もPCS4に供給されるため、発電電力を無駄なく負荷8の稼働に利用できる。そして、PCS4に供給する際には蓄電素子10は直列接続されるため、PCS4を稼働させるに充分な電力を出力できる。
【符号の説明】
【0021】
1・・発電電力供給システム、2・・発電装置、2a・・発電電力計測部、3・・切替装置、4・・パワーコンディショナ、5・・蓄電装置、5a・・蓄電電圧・放電電流計測部、6・・制御部(充放電制御部)、6a・・記憶部、8・・負荷、10・・蓄電素子、11・・開閉器、12・・切替開閉器(直並列切替手段)、L3・・放電路。
図1
図2
図3