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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155554
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】情報処理装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241024BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070356
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 景太
(72)【発明者】
【氏名】柿野 友成
(72)【発明者】
【氏名】竹野 唯志
(72)【発明者】
【氏名】ミヤ タンダル
(72)【発明者】
【氏名】神谷 卓也
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】貼付物によって定まる値引額又は割引率を動的に変えることで貼付物を貼り替える作業を不要にする。
【解決手段】情報処理装置は、記憶手段と、取得手段と、出力手段と、を備える。記憶手段は、値引対象の商品に貼付される貼付物と関連付けて、当該貼付物が貼付された商品毎に、時間経過に応じて変動する値引要素のパターンと、当該パターンの運用開始時点とを記憶する。取得手段は、貼付物が貼付された商品毎に、当該商品に対して記憶されたパターンの運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素を基に、現時点における当該商品の値引情報を取得する。出力手段は、取得手段により商品毎に取得した値引情報を出力する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
値引対象の商品に貼付される貼付物と関連付けて、当該貼付物が貼付された商品毎に、時間経過に応じて変動する値引要素のパターンと、当該パターンの運用開始時点とを記憶する記憶手段と、
前記貼付物が貼付された商品毎に、当該商品に対して記憶された前記パターンの運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素を基に、現時点における当該商品の値引情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により商品毎に取得した値引情報を出力する出力手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記値引要素のパターンには、
日数を単位として値引要素が変動する日数タイプと、
時間を単位として値引要素が変動する時間タイプと、
があり、
前記取得手段は、
前記貼付物が貼付された商品に対して記憶されたパターンが前記日数タイプである場合には、当該パターンの前記運用開始時点における日付から現在の日付までの経過日数を求めてその経過日数に応じた値引要素を取得し、
前記貼付物が貼付された商品に対して記憶されたパターンが前記時間タイプである場合には、当該パターンの前記運用開始時点における時刻から現在の時刻までの経過時間を求めてその経過時間に応じた値引要素を取得する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記値引要素のパターンには、
時間経過に応じて値引額が変動する値引タイプと、
時間経過に応じて割引率が変動する割引タイプと、
があり、
前記取得手段は、
前記貼付物が貼付された商品に対して記憶されたパターンが前記値引タイプである場合には、当該パターンの前記運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素を現時点における当該商品の値引額として取得し、
前記貼付物が貼付された商品に対して記憶されたパターンが前記割引タイプである場合には、当該パターンの前記運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素を現時点における当該商品の割引率として取得する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、
前記貼付物が貼付された商品毎に、前記運用開始時点からの時間経過量が当該商品に対して設定された上限を超えると当該商品の値引情報を取得しない、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得手段により商品毎に取得した値引情報と各商品に貼付された前記貼付物の画像とから前記商品毎に値引画像を作成する作成手段、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記作成手段により商品毎に作成された前記値引画像を、当該商品の販売情報が表示される電子棚札に出力する、請求項1乃至4のうちいずれか一記載の情報処理装置。
【請求項6】
値引対象の商品に貼付される貼付物と関連付けて、当該貼付物が貼付された商品毎に、時間経過に応じて変動する値引要素のパターンと、当該パターンの運用開始時点とを記憶する情報処理装置のコンピュータを、
前記貼付物が貼付された商品毎に、当該商品に対して記憶された前記パターンの運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素を基に、現時点における当該商品の値引情報を取得する取得手段、
前記取得手段により商品毎に取得した値引情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、ドラッグストア等の店舗では、値引の対象となる商品に、値引額又は割引率を表記したシール等の貼付物を貼付することが行われている。貼付物が貼付された商品は、その貼付物に表記された値引額又は割引率で定価よりも値引されて販売される。
【0003】
通常、値引の対象となる商品は、消費期限又は賞味期限が近付いた商品、あるいは在庫処分の対象となった商品等である。これらの商品を値引して販売することにより、売れ残りによるロスを低減できる。このような効果は、消費期限又は賞味期限までの残り時間、あるいは在庫処分までの残り時間が少なくなるに従い値引額又は割引率によって決まる値引の額を大きくすることで、さらに高くなると考えられる。しかしながら、値引の額を大きくするためには、貼付物を貼り替える作業が必要となるため煩雑となり、効率が悪い。その上、値引の対象となる1つの商品に対して2種類以上の貼付物が必要となるため、多くの貼付物が必要となり、コストの面でもさらなる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-074013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、貼付物によって定まる値引の額を動的に変えることで貼付物を貼り替える作業を不要にでき、作業の効率化及び低コスト化を図り得る情報処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、情報処理装置は、記憶手段と、取得手段と、出力手段とを備える。記憶手段は、値引対象の商品に貼付される貼付物と関連付けて、当該貼付物が貼付された商品毎に、時間経過に応じて変動する値引要素のパターンと、当該パターンの運用開始時点とを記憶する。取得手段は、貼付物が貼付された商品毎に、当該商品に対して記憶されたパターンの運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素を基に、現時点における当該商品の値引情報を取得する。出力手段は、取得手段により商品毎に取得した値引情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態の店舗が備えるシステムの構成図である。
図2図2は、商品棚に値引対象の商品と値引対象外の商品とが陳列された状態を示す模式図である。
図3図3は、電子棚札のディスプレイに表示される画像の一例である。
図4図4は、棚札レコードの主要なデータ構造を示す模式図である。
図5図5は、商品レコードの主要なデータ構造を示す模式図である。
図6図6は、シールレコードの主要なデータ構造を示す模式図である。
図7図7は、POSサーバの要部回路構成を示すブロック図である。
図8図8は、パターンテーブルのデータ構造を示す模式図である。
図9図9は、シール別テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図10図10は、担当者端末の要部回路構成を示すブロック図である。
図11図11は、担当者端末のプロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図12図12は、POSサーバのプロセッサが実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図13図13は、POSサーバのプロセッサが実行する第2の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図14図14は、図13における現在値更新処理の手順を具体的に示す流れ図である。
図15図15は、図13における棚札表示処理の手順を具体的に示す流れ図である。
図16図16は、シール別テーブルに記憶されるデータの遷移例を示す図である。
図17図17は、図16に示したシール別テーブル62のデータの遷移に応じて作成される値引画像の例を示す図である。
図18図18は、電子棚札のディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図19図19は、POSサーバのプロセッサが実行する第3の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、貼付物によって定まる値引の額を動的に変えることで貼付物を貼り替える作業を不要にでき、作業の効率化及び低コスト化を図り得る情報処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施形態は、電子棚札システムを導入したスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア等の店舗に構築されるPOS(Point Of Sales)システムのPOSサーバに情報処理装置としての機能を適用した場合である。
【0009】
[店舗システムの構成説明]
図1は、本実施形態の店舗が備えるシステムの構成図である。店舗は、POSシステム10と電子棚札システム20とを備える。
【0010】
POSシステム10は、複数台のPOS端末11と、各POS端末11を一元的に制御するPOSサーバ12とを含み、各POS端末11とPOSサーバ12とを通信ネットワーク13で接続してなる。POSシステム10は、各POS端末11で登録された各商品の販売データを随時POSサーバ12で収集し集計して、店舗全体の売上、在庫等をリアルタイムに管理するようにしたものである。このようなPOSシステム10の基本構成については周知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0011】
電子棚札システム20は、複数個の電子棚札21と、各電子棚札21を一元的に制御する棚札サーバ22とを含み、各電子棚札21と棚札サーバ22とを無線LAN23で接続してなる。各電子棚札21は、商品名、価格等の商品情報を表示可能な電子機器であり、商品棚に取り付けられて使用される。電子棚札システム20は、棚札サーバ22の制御により、各電子棚札21に当該電子棚札21が取り付けられた商品棚に陳列されている商品の商品情報を表示するようにしたものである。このような電子棚札システム20の基本構成についても周知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0012】
POSシステム10のPOSサーバ12と、電子棚札システム20の棚札サーバ22とは、サーバ間ネットワーク30によって接続されている。このような接続により、POSサーバ12と棚札サーバ22とは、双方向のデータ通信が可能である。
【0013】
さて、本実施形態の店舗では、消費期限又は賞味期限が近付いた商品、あるいは在庫処分の対象となった商品を値引対象とする。そして、値引対象となった商品には所定の貼付物を貼付して、値引対象外の商品と区別する。貼付物は、粘着面を有するシールとする。そこで以下では、貼付物を値引シールと表す。
【0014】
図2は、商品棚SLFに陳列されている同一品目の商品G(Ga,Gb,Gc,Gd)のうち、商品Ga、商品Gb及び商品Gcが値引対象の商品であり、商品Gdが値引対象外の商品である場合を例示している。図示するように、値引対象の商品Ga、商品Gb及び商品Gcには、値引シールL(La,Lb,Lc)が貼付されている。値引対象外の商品Gdには、値引シールLが貼付されていない。したがって消費者は、商品Gdは値引対象外であり、商品Ga、商品Gb及び商品Gcは値引対象であることを知り得る。
【0015】
値引シールLaと値引シールLbと値引シールLcは、種類の異なるシールである。値引シールLa、値引シールLb及び値引シールLcは、粘着面とは反対側の面(表面)のデザインを変えることで、種類を識別可能としている。図2においては、表面に文字「A」がデザインされた値引シールLaと、表面に文字「B」がデザインされた値引シールLbと、表面に「C」がデザインされた値引シールLcとを示している。値引シールLa、値引シールLb及び値引シールLcの表面には、その値引シールLによって定まる値引額又は割引率が表記されていない。値引額又は割引率は、商品棚SLFに設けられた電子棚札21に表示される。
【0016】
図3は、電子棚札21に表示される画像210の一例である。図示するように電子棚札21には、商品名211と、価格212と、バーコード213とを配置した画像210が表示されている。商品名211は、当該電子棚札21が設けられた商品棚SLFに陳列されている商品の固有名称である。価格212は、その商品の定価である。バーコード213は、その商品に付されたバーコードと同一のものである。各商品には、それぞれ固有の商品コードが設定されており、商品コードを表すバーコードが付されて販売されている。なお、バーコード213は、電子的に読み取り可能なコードであればよく、例えば二次元コードであってもよい。
【0017】
画像210は、空白領域214を含む。空白領域214は、商品に貼付された値引シールLによって定まる値引額又は割引率を表示するための領域である。詳細は後述するが、値引シールLの画像とその値引シールLによって定まる値引額又は割引率の値引情報を表示した値引画像が空白領域214に表示される。消費者は、値引画像の値引シールLが貼付された商品は、その値引画像に表示された値引情報で値引販売されていることを知り得る。
【0018】
ところで本実施形態の店舗では、値引対象の商品の消費期限又は賞味期限までの残り時間、あるいは在庫処分までの残り時間が少なくなるに従い値引の額が大きくなるように、値引シールLによって定まる値引額又は割引率を変化させる。ただし、値引額又は割引率が変化しても、値引シールLを貼り替えることはしない。本実施形態では、値引対象の商品に貼付された値引シールLによって定まる値引額又は割引率を、時間の経過に応じて動的に変える。
【0019】
例えば、図2に示される商品Gは、消費期限までの残りの日数が2日になると値引対象となる商品である。そして、残りの日数が2日の場合には10円値引され、残りの日数が1日になると20円値引され、残りの日数が0日になると30円値引されると仮定する。
【0020】
今、商品Gaが消費期限までの残りの日数が2日の商品であり、商品Gbが消費期限までの残りの日数が1日の商品であり、商品Gcが消費期限までの残りの日数が0日の商品であるとする。この場合、商品Gaに貼付された値引シールLaによって定まる値引額は10円であり、商品Gbに貼付された値引シールLbによって定まる値引額は20円であり、商品Gcに貼付された値引シールLcによって定まる値引額は30円である。したがって、電子棚札21の領域214には、値引シールLaによって定まる値引額が10円であることを示す値引画像と、値引シールLbによって定まる値引額が20円であることを示す値引画像と、値引シールLcによって定まる値引額が30円であることを示す値引画像が表示される。
【0021】
そして翌日になると、商品Gaは消費期限までの残りの日数が1日となり、商品Gbは消費期限までの残りの日数が0日となる。商品Gcは、消費期限が切れたため廃棄される。その結果、商品Gaに貼付された値引シールLaによって定まる値引額は20円となり、商品Gbに貼付された値引シールLbによって定まる値引額は30円となる。そして電子棚札21の領域214には、値引シールLaによって定まる値引額が20円であることを示す値引画像と、値引シールLbによって定まる値引額が30円であることを示す値引画像とが表示される。このような動作は、POSサーバ12が有する値引シールの管理機能によって実現される。値引シールの管理機能については後で詳細に説明する。
【0022】
図1の説明に戻る。
店舗は、1乃至複数台の担当者端末40を備える。担当者端末40は、商品棚SLFが設置された売場を巡回し、値引対象となる商品に値引シールLを貼付する作業を行う担当者が携帯する情報端末である。担当者端末40は、無線通信機能を有しており、POSシステム10の通信ネットワーク13に接続されたアクセスポイント14との間で無線通信を行うことができる。
【0023】
棚札サーバ22は、棚札マスタ51を有する。棚札マスタ51は、電子棚札21毎に作成される棚札レコード511(図4を参照)の集合体である。
【0024】
POSサーバ12は、商品マスタ52とシールマスタ53とを有する。商品マスタ52は、店舗で販売される商品の品目毎に作成される商品レコード521(図5を参照)の集合体である。シールマスタ53は、店舗で使用される値引シールLの種類毎に作成されるシールレコード531(図6を参照)の集合体である。
【0025】
図4は、棚札レコード511の主要なデータ構造を示す模式図である。棚札レコード511は、棚札ID、商品コード、表示データ、通信アドレス等の項目データで構成される。棚札IDは、電子棚札21毎に設定された一意の識別情報である。各電子棚札21のメモリには、当該電子棚札21に対して設定された固有の棚札IDが記憶されている。商品コードは、棚札IDによって識別される電子棚札21が設けられた商品棚SLFに陳列されている商品の識別コードである。表示データは、商品コードによって識別される商品について電子棚札21に表示されるデータである。例えば商品名211、価格212、バーコード213等が表示データとなる。表示データは、POSサーバ12からサーバ間ネットワーク30を介して配信され、棚札レコード511に記述される。通信アドレスは、棚札IDによって識別される電子棚札21が有するIP(Internet Protocol)アドレスである。
【0026】
図5は、商品レコード521の主要なデータ構造を示す模式図である。商品レコード521は、商品コード、商品名、単価、部門、対象フラグF、パターン番号PN、上限要素Tmax等の項目データで構成される。単価は、商品コードで識別される商品1点当たりの価格である。単価は、定価であるともいえる。部門は、商品コードで識別される商品が属する商品分類である。対象フラグFは、商品コードで識別される商品が値引対象となる商品であるか否かを識別する1ビットデータである。消費期限又は賞味期限が近付いた商品、あるいは在庫処分の対象となった商品が全て値引対象になるとは限らない。例えば、新発売の商品等のように特定の条件を満たす商品は値引対象としない場合がある。本実施形態では、値引対象とならない商品の対象フラグFを“0”とする。値引対象となる商品の対象フラグFを“1”とする。パターン番号PN及び上限要素Tmaxについては後述する説明の中で明らかにする。
【0027】
POSサーバ12は、例えば商品レコード521の単価が変更されると、その商品レコードの商品コード(バーコード)、商品名及び単価で電子棚札21に対する表示データを生成する。そしてPOSサーバ12は、表示データを商品コードと関連付けて棚札サーバ22に送信する。表示データを受信した棚札サーバ22は、その表示データと関連付けられた商品コードを含む棚札レコード511の表示データを書き換える。かくして、当該棚札レコード511の棚札IDで識別される電子棚札21の価格が変更される。
【0028】
図6は、シールレコード531の主要なデータ構造を示す模式図である。シールレコード531は、シールID、シール画像データ、テーブル識別名等の項目データで構成される。シールIDは、種類の異なる値引シールLを識別するために値引シールL毎に設定された一意の識別情報である。シール画像データは、シールIDで特定される値引シールLの表面にデザインされた画像のデータである。テーブル識別名は、シール別テーブル62(図7を参照)に設定される識別名のデータである。シール別テーブル62については後述する。
【0029】
POSサーバ12は、シールレコード531のシール画像データを基に値引画像を生成する。そしてPOSサーバ12は、値引画像を商品コードと関連付けて棚札サーバ22に送信する。値引画像を受信した棚札サーバ22は、その値引画像と関連付けられた商品コードを含む棚札レコード511の棚札IDを取得する。そして棚札サーバ22は、取得した棚札IDで識別される電子棚札21の空白領域214に値引画像を表示させる。
【0030】
[POSサーバの構成説明]
図7は、POSサーバ12の要部回路構成を示すブロック図である。POSサーバ12は、プロセッサ121、メインメモリ122、補助記憶デバイス123、時計124、第1通信インターフェース125、第2通信インターフェース126及びシステム伝送路127等を備える。システム伝送路127は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路127は、プロセッサ121と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0031】
POSサーバ12は、プロセッサ121と、メインメモリ122、補助記憶デバイス123、時計124、第1通信インターフェース125及び第2通信インターフェース126とを、システム伝送路127で接続することにより、コンピュータを構成する。
【0032】
プロセッサ121は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ121は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POSサーバ12としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ121は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ121は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサである。
【0033】
メインメモリ122は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ122は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ122は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ122は、プロセッサ121が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ122は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ121によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0034】
補助記憶デバイス123は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス123となり得る。補助記憶デバイス123は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ121での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス123は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0035】
時計124は、日付と時刻を計時する。プロセッサ121は、時計124によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0036】
第1通信インターフェース125は、サーバ間ネットワーク30で接続された棚札サーバ22との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0037】
第2通信インターフェース126は、通信ネットワーク13に接続された各機器との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。すなわち第2通信インターフェース126は、各POS端末11とデータ通信を行う。また第2通信インターフェース126は、アクセスポイント14を介して担当者端末40とデータ通信を行う。
【0038】
かかる構成のPOSサーバ12は、値引シールの管理機能を実現するために、補助記憶デバイス123の記憶領域に、パターンテーブル61としての領域と、シール別テーブル62としての領域とを確保している。
【0039】
図8は、パターンテーブル61のデータ構造を示す模式図である。パターンテーブル61は、パターン番号PNのカラムと、タイプのカラムと、単位のカラムと、複数の値引要素T0~TEのカラムとからなる。
【0040】
複数の値引要素T0~TEは、時間の経過に応じて変動する値引額又は割引率のパターンを示す値である。値引額又は割引率は、時間の経過に伴い値引要素T0、値引要素T1、値引要素T2の順に、値引要素TEまでその値が動的に変化する。値引要素T0~TEの値は任意である。少なくとも全ての値引要素T0~TEが同じ値を取らなければよい。換言すれば、少なくとも1つの値引要素の値が異なるものは別パターンとしてパターンテーブル61に記述される。なお、値引要素T0~TEの数は、図8に示されている11個に限定されない。11個未満であってもよいし、12個以上であってもよい。
【0041】
パターン番号は、パターンテーブル61に記述された値引要素T0~TEのパターン毎に割り当てられる一連番号である。パターン番号は、“1”から始まる連続番号である。パターン番号のカラムには、対応する値引要素T0~TEのパターンに対して割り当てられたパターン番号が記述される。
【0042】
値引要素T0~TEのパターンには、日数を単位として変動する日数タイプと、時間を単位として変動する時間タイプとがある。本実施形態では、日数タイプを“D”で表し、時間タイプを“H”で表す。タイプのカラムには、対応する値引要素T0~TEのパターンが日数を単位として変動する日数タイプである場合には“D”が記述され、時間を単位として変動する時間タイプである場合には“H”が記述される。
【0043】
値引要素T0~TEのパターンには、時間経過に応じて値引額が変動する値引タイプと、時間経過に応じて割引率が変動する割引タイプとがある。値引タイプの場合、値引要素T0~TEの値は円(YEN)を単位とした値である。割引タイプの場合、値引要素T0~TEの値は百分率(%)を単位とした値である。単位のカラムには、対応する値引要素T0~TEが値引額である値引タイプである場合には“YEN”が記述され、割引率である割引タイプである場合には“%”が記述される。
【0044】
例えば図8において、パターン番号PNが“1”の値引要素T0~TEのパターンは、日付タイプであり、かつ、値引タイプである。したがって値引要素T0~TEは、日数の経過に応じて変動する値引額を示している。すなわち、初日の値引要素T0は値引額10円を示しており、1日経過後の値引要素T1は値引額20円を示している。以後、同様であり、2日経過後の値引要素T2は値引額30円を示しており、3日経過後の値引要素T3は値引額40円を示している。そして、最終日の値引要素TEは、値引額100円を示している。
【0045】
例えば図8において、パターン番号PNが“2”の値引要素T0~TEのパターンは、時間タイプであり、かつ、割引タイプである。したがって値引要素T0~TEは、時間の経過に応じて変動する割引率を示している。すなわち、最初の値引要素T0は割引率5%を示しており、1時間経過後の値引要素T1も割引率5%を示している。以後、同様であり、2時間経過後の値引要素T2と3時間経過後の値引要素T3は割引率10%を示している。そして、最終時間の値引要素TEは割引率30%を示している。
【0046】
なお、値引要素T0~TEのパターンは、日付の経過に応じて割引率が変動する日付タイプと割引タイプのものであってもよいし、時間の経過に応じて値引額が変動する時間タイプと値引タイプのものであってもよい。
【0047】
図9は、シール別テーブル62のデータ構造を示す模式図である。シール別テーブル62は、値引対象の商品に付される値引シールLの種類毎に作成されたデータテーブルである。例えば値引シールLが、値引シールLa、値引シールLb及び値引シールLcの3種類である場合には、値引シールLa用のシール別テーブル62と、値引シールLb用のシール別テーブル62と、値引シールLc用のシール別テーブル62とが作成される。なお、値引シールLの種類は3種類に限定されないのは言うまでもないことである。
【0048】
シール別テーブル62は、テーブル番号と識別名とを記述するためのエリアを有する。そしてテーブル番号のエリアには、各シール別テーブル62にそれぞれ割り当てられたテーブル番号Kが記述される。テーブル番号は、“1”から始まる連続番号である。識別名のエリアには、そのシール別テーブル62に対応した値引シールLのシールレコード531に記述されているテーブル識別名SEALnnnが記述される。例えば、テーブル番号Kを“1”としたシール別テーブル62が値引シールLa用のデータテーブルであった場合には、値引シールLaのシールIDを含むシールレコード531のテーブル識別名が記述される。テーブル番号Kを“2”としたシール別テーブル62が値引シールLb用のデータテーブルであった場合には、値引シールLbのシールIDを含むシールレコード531のテーブル識別名が記述される。
【0049】
シール別テーブル62は、レコード番号Rのカラムと、商品コードのカラムと、パターン番号PNのカラムと、開始日時のカラムと、上限要素Tmaxのカラムと、有効値引要素Txのカラムと、現在値のカラムとを有する。レコード番号Rのカラムには、“1”から始まる連続番号がレコード番号Rとして記述される。商品コードのカラムには、シール別テーブル62の識別名を含むシールレコード531のシールIDで特定される値引シールLが付された商品の商品コードが記述される。
【0050】
パターン番号PNのカラムには、値引シールLが付された商品に対して動的に変化する値引要素L0~LEのパターンに割り当てられたパターン番号が記述される。値引対象の商品の商品レコード521には、その商品に適合する値引要素L0~LEのパターンに割り当てられたパターン番号PNが設定されている。例えば、図8のパターンテーブル61を参照すると、消費期限までの残り日数が1日経過する毎に10円ずつ値引される商品に対しては、パターン番号PNが“1”の値引要素L0~LEのパターンが適合する。したがって、この商品の商品レコード521には、パターン番号PNとして“1”が設定される。同様に、消費期限までの残り時間が2時間を経過する毎に5%ずつ割引される商品に対しては、パターン番号PNが“2”の値引要素L0~LEのパターンが適合する。したがって、この商品の商品レコード521には、パターン番号PNとして“2”が設定される。通常、パターン番号PNのカラムには、商品レコード521のパターン番号PNが記述される。
【0051】
開始日時のカラムには、値引シールLが付された商品の値引が開始される日時が記述される。通常、値引対象の商品は、値引シールLが付された時点で値引が開始される。したがって、開始日時のカラムには、値引シールLが付された時点の日時が記述される。
【0052】
上限要素Tmaxのカラムには、値引要素T0~TEのうち上限となる値引要素が記述される。例えば、消費期限までの残り日数が2日になると値引対象となる商品の場合には、初日から2日目までの値引要素T0~T2は使用されるが、3日目以降の値引要素T3~TEは使用されない。したがって、この商品の商品レコード521には、上限要素Tmaxとして値引要素T2が設定されている。同様に、例えば消費期限までの残り時間が6時間になると値引対象となる商品の場合には、6時間経過するまでの値引要素T0~T5は使用されるが、7時間経過した後の値引要素T6~TEは使用されない。したがって、この商品の商品レコード521には、上限要素Tmaxとして値引要素T5が設定されている。通常、上限要素Tmaxのカラムには、商品レコード521の上限要素Tmaxが記述される。
【0053】
有効値引要素Txのカラムには、パターン番号PNで特定される値引要素T0~TEのパターンのうち、開始日時からの経過時間又は経過日数に対応した値引要素が記述される。例えばパターン番号PNで特定される値引要素T0~TEのパターンが日数タイプである場合には、開始日時から1日が経過すると、値引要素T1が有効値引要素Txとして記述される。例えばパターン番号PNで特定される値引要素T0~TEのパターンが時間タイプである場合には、開始日時から1時間が経過すると、値引要素T1が有効値引要素Txとして記述される。以後、開始日時から2日が経過した場合、あるいは2時間が経過した場合も同様である。
【0054】
現在値のカラムには、パターン番号PNで特定される値引要素T0~TEのパターンのうち、有効値引要素Txの値が記述される。例えば、図8に示すパターンテーブル61のパターン番号PN=“1”で特定される値引要素T0~TEのパターンのうち、有効値引要素Txが“T1”である場合には、現在値“10”が記述される。例えば、図8に示すパターンテーブル61のパターン番号PN=“2”で特定される値引要素T0~TEのパターンのうち、有効値引要素Txが“T1”である場合には、現在値“5”が記述される。
【0055】
図7の説明に戻る。
POSサーバ12は、値引シールの管理機能を実現するために、記憶手段63、取得手段64、作成手段65及び出力手段66としての機能をプロセッサ121に持たせている。
【0056】
記憶手段63は、値引対象の商品に貼付される貼付物、すなわち値引シールLと関連付けて、当該値引シールLが貼付された商品毎に、時間経過に応じて変動する値引要素のパターンと、当該パターンの運用開始時点とを記憶する機能である。時間経過に応じて変動する値引要素のパターンは、パターン番号である。パターンの運用開始時点は、開始日時である。記憶手段63は、値引シールLが貼付された商品の商品コードと関連付けてパターン番号と開始日時とをシール別テーブル62において記憶する機能である。
【0057】
取得手段64は、値引シールLが貼付された商品毎に、当該商品に対して記憶されたパターンの運用開始時点からの時間経過に応じた値引要素T0~TEを基に、現時点における当該商品の値引情報を取得する機能である。取得手段64は、パターンが値引タイプの場合には、値引要素の値を値引額として取得する。取得手段64は、パターンが割引タイプの場合には、値引要素の値を割引率として取得する。
【0058】
作成手段65は、取得手段64により商品毎に取得した値引情報と各商品に貼付された値引シールの画像とから商品毎に値引画像を作成する機能である。
【0059】
出力手段66は、取得手段64により商品毎に取得した値引情報を出力する機能である。出力手段66は、作成手段65により作成した値引画像を出力してもよい。値引情報の出力先は、例えば棚札サーバ22である。
【0060】
このような記憶手段63、取得手段64、作成手段65及び出力手段66としての機能は、プロセッサ121がメインメモリ122又は補助記憶デバイス123に記憶された所定のアプリケーションプログラムに従って実行する第1乃至第3の情報処理によって実現される。第1乃至第3の情報処理については後述する。
【0061】
アプリケーションプログラムをメインメモリ122又は補助記憶デバイス123にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体にアプリケーションプログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信によりアプリケーションプログラムを配信して、メインメモリ122又は補助記憶デバイス123にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0062】
[担当者端末の構成説明]
図10は、担当者端末40の要部回路構成を示すブロック図である。担当者端末40は、プロセッサ401、メインメモリ402、補助記憶デバイス403、時計404、無線ユニット405、タッチパネル406、カメラ407、スキャナ408及びシステム伝送路409を有する。担当者端末40は、プロセッサ401とメインメモリ402、補助記憶デバイス403、時計404及び無線ユニット405とをシステム伝送路409で接続することによりコンピュータを構成する。さらにシステム伝送路409に、タッチパネル406、カメラ407及びスキャナ408のデバイスを接続して、担当者端末40を構成している。
【0063】
タッチパネル406は、担当者端末40のユーザである担当者に必要なデータを表示し、その担当者によるデータの入力を受け付けるためのデバイスである。カメラ407は、値引の対象となる商品に貼付される値引シールLを撮影するためのデバイスである。スキャナ408は、値引シールLを貼付した商品のバーコードを読み取るためのデバイスである。
【0064】
[店舗システムの動作説明]
はじめに、記憶手段63に係る動作について、図11及び図12の流れ図を用いて説明する。図11は、担当者端末40のプロセッサ401が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。図12は、POSサーバ12のプロセッサ121が実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。なお、以下に説明する情報処理の手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その手順は限定されるものではない。
【0065】
値引対象となる商品に値引シールLを貼付する作業を行う担当者は、担当者端末40を携帯して商品棚が設置された売場を巡回する。そして、値引対象となる商品を見つけると、担当者は、その商品に値引シールLを貼付する。例えば、消費期限までの残りの日数が2日になると値引対象となる商品が陳列されている商品棚SLFに消費期限までの残りの日数が2日の商品を見つけると、担当者は、その商品に値引シールLを貼付する。その際、担当者は、商品棚SLFに陳列されている同一品目の商品には貼付されていない種類の値引シールLを選んで貼付する。値引シールLを貼付した担当者は、担当者端末40のカメラ407で値引シールLを撮影する。また担当者は、値引シールLを貼付した商品の商品名,価格等が表示されている電子棚札21のバーコード213をスキャナ408で読み取る。
【0066】
このような操作を受けて、担当者端末40のプロセッサ401は、図11の流れ図に示す手順の情報処理を実行する。また、POSサーバ12のプロセッサ121は、図12の流れ図に示す情報処理を実行する。
【0067】
プロセッサ401は、図11のACT1としてカメラ407で撮影された値引シールLの画像データを取得する。そしてプロセッサ401は、ACT2としてシール問合せコマンドの送信を制御する。この制御により、無線ユニット405を介してシール問合せコマンドが無線送信される。シール問合せコマンドは、アクセスポイント14で受信され、POSサーバ12へと送られる。シール問合せコマンドには、ACT1において取得した値引シールLの画像データが含まれている。
【0068】
POSサーバ12のプロセッサ121は、図12のACT21としてシール問合せコマンドを待ち受けている。第2通信インターフェース126を介してシール問合せコマンドを受信すると、プロセッサ121は、ACT21からACT22へと進む。プロセッサ121は、ACT22としてシール問合せコマンドに含まれている値引シールLの画像データと、シールマスタ53に保存されている各シールレコード531のシール画像データとを照合する。そしてプロセッサ121は、ACT23として値引シールLの画像データと一致するシール画像データが存在するか否かを確認する。
【0069】
値引シールLの画像データと一致するシール画像データが存在しない場合には、プロセッサ121は、ACT23からACT24へと進む。プロセッサ121は、ACT24として否定応答の送信を制御する。この制御により、第2通信インターフェース126から否定応答の信号が送信される。否定応答の信号は、アクセスポイント14を経由して値引シール問合せコマンド送信元の担当者端末40へと送信される。否定応答の送信を制御したプロセッサ121は、図12の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0070】
一方、値引シールLの画像データと一致するシール画像データが存在する場合には、プロセッサ121は、ACT23からACT25へと進む。プロセッサ121は、ACT25として当該シール画像データを含むシールレコード531からシールIDを取得する。そしてプロセッサ121は、ACT26として肯定応答の送信を制御する。この制御により、第2通信インターフェース126から肯定応答の信号が送信される。肯定応答の信号は、アクセスポイント14を経由して値引シール問合せコマンド送信元の担当者端末40へと送信される。肯定応答の信号には、ACT25において取得したシールIDが含まれる。
【0071】
図11のACT2において、値引シール問合せコマンドの送信を制御した担当者端末40のプロセッサ401は、ACT3として応答信号を待ち受ける。無線ユニット405を介して否定応答の信号を受信すると、プロセッサ401は、エラー処理を行う。エラー処理は、例えば値引シールが正しく撮影されなかったことを担当者に通知するメッセージをタッチパネル406に表示させる処理である。
【0072】
これに対し、肯定応答の信号を受信した場合には、プロセッサ401は、ACT3からACT4へと進む。プロセッサ401は、ACT4として肯定応答の信号に含まれるシールIDをメインメモリ402で記憶する。次いで、プロセッサ401は、ACT5として商品コードを取得する。すなわちプロセッサ401は、スキャナ408で読み取ったバーコードのデータから商品コードを取得する。そしてプロセッサ401は、ACT5として商品問合せコマンドの送信を制御する。この制御により、無線ユニット405を介して商品問合せコマンドが無線送信される。商品問合せコマンドは、アクセスポイント14で受信され、POSサーバ12へと送られる。商品問合せコマンドには、ACT5において取得した商品コードが含まれている。
【0073】
図12のACT26において肯定応答の送信を制御したPOSサーバ12のプロセッサ121は、ACT27として商品問合せコマンドを待ち受ける。第2通信インターフェース126を介して商品問合せコマンドを受信すると、プロセッサ121は、ACT27からACT28へと進む。プロセッサ121は、ACT28として商品問合せコマンドに含まれている商品コードで商品マスタ52を検索し、当該商品コードが記述された商品レコード521の対象フラグFを取得する。プロセッサ121は、ACT29として対象フラグFの値をチェックする。対象フラグFの値が“0”、すなわち当該商品コードで識別される商品が値引対象外の商品である場合には、プロセッサ121は、ACT30として否定応答の送信を制御する。この制御により、第2通信インターフェース126から否定応答の信号が送信される。否定応答の信号は、アクセスポイント14を経由して商品問合せコマンド送信元の担当者端末40へと送信される。否定応答の送信を制御したプロセッサ121は、図12の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0074】
一方、対象フラグFの値が“1”、すなわち当該商品コードで識別される商品が値引対象の商品である場合には、プロセッサ121は、ACT29からACT31へと進む。プロセッサ121は、ACT31として当該商品コードが記述された商品レコード521からパターン番号PNと上限要素Tmaxとを取得する。そしてプロセッサ121は、ACT32として肯定応答の送信を制御する。この制御により、第2通信インターフェース126から肯定応答の信号が送信される。肯定応答の信号は、アクセスポイント14を経由して商品問合せコマンド送信元の担当者端末40へと送信される。肯定応答の信号には、商品問合せコマンドの商品コードと、ACT31において取得したパターン番号PN及び上限要素Tmaxとが含まれる。
【0075】
図11のACT6において、商品問合せコマンドの送信を制御した担当者端末40のプロセッサ401は、ACT7として応答信号を待ち受ける。無線ユニット405を介して否定応答の信号を受信すると、プロセッサ401は、エラー処理を行う。エラー処理は、例えば値引対象外の商品であることを担当者に通知するメッセージをタッチパネル406に表示させる処理である。
【0076】
これに対し、肯定応答の信号を受信した場合には、プロセッサ401は、ACT7からACT8へと進む。プロセッサ401は、ACT8として肯定応答の信号に含まれる商品コード、パターン番号PN及び上限要素Tmaxをメインメモリ402で記憶する。次いで、プロセッサ401は、ACT9としてパターン番号PN又は上限要素Tmaxの変更が指示されたか否かを確認する。
【0077】
商品問合せコマンドに対してPOSサーバ12から肯定応答があると、担当者端末40のタッチパネル406には肯定応答の信号に含まれるパターン番号PNと上限要素Tmaxとが表示される。このパターン番号PN及び上限要素Tmaxは、値引シールLを貼付した商品に対して予め設定された既定の値である。例えば、値引要素T0~TEのパターンを既定の値から変更する場合、担当者は、タッチパネル406に表示されたパターン番号PNを変更するための操作を行う。例えば、上限要素Tmaxを既定の値から変更する場合、担当者は、タッチパネル406に表示された上限要素Tmaxを変更するための操作を行う。
【0078】
タッチパネル406への入力操作によりパターン番号PN及び上限要素Tmaxの少なくとも一方が変更されると、プロセッサ401は、ACT9からACT10へと進む。プロセッサ401は、ACT10としてメインメモリ402で記憶したパターン番号PNと上限要素Tmaxとを変更する。そしてプロセッサ401は、ACT11へと進む。
【0079】
一方、規定値のパターン番号PN及び上限要素Tmaxをそのまま活用する場合には、担当者は、タッチパネル406に表示されている実行ボタンをタッチする。プロセッサ401は、実行ボタンがタッチされたことを検知すると、ACT9からACT11へと進む。
【0080】
プロセッサ401は、ACT11として保存イベントの送信を制御する。この制御により、無線ユニット405を介して保存イベントが無線送信される。保存イベントは、アクセスポイント14で受信され、POSサーバ12へと送られる。保存イベントには、メインメモリ402で記憶したシールID、商品コード、パターン番号PN及び上限要素Tmaxが含まれている。したがって、ACT9において実行ボタンが入力された場合には、規定値のパターン番号PN及び上限要素Tmaxを含む保存イベントが送信される。パターン番号PN及び上限要素Tmaxの少なくとも一方が変更された場合には、変更後のパターン番号PN及び上限要素Tmaxを含む保存イベントが送信される。保存イベントの送信を制御したプロセッサ401は、図11の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0081】
図12のACT32において肯定応答の送信を制御したPOSサーバ12のプロセッサ121は、ACT33として保存イベントを待ち受ける。第2通信インターフェース126を介して保存イベントを受信すると、プロセッサ121は、ACT33からACT34へと進む。プロセッサ121は、ACT34として保存イベントに含まれているシールIDでシールマスタ53を検索し、当該シールIDを含むシールレコード531からテーブル識別名を取得する。そしてプロセッサ121は、ACT35としてそのテーブル識別名が記述されたシール別テーブル62に、レコード番号R、商品コード、パターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値を記述する。
【0082】
レコード番号Rは、当該シール別テーブル62のレコード番号のカラムにレコード番号が記述されていない場合には、“1”である。レコード番号Rは、当該シール別テーブル62のレコード番号のカラムにレコード番号が記述されている場合には、そのレコード番号の次の値である。例えば、レコード番号Rとして“1”が記述されている場合には、“2”がレコード番号として記述される。レコード番号Rとして“1”と“2”が記述されている場合には、“3” がレコード番号として記述される。商品コード、パターン番号PN、及び上限要素Tmaxは、保存イベントの情報である。開始日時は、時計124によって計時されている現時点の日付及び時刻である。有効値引要素Txは、初期値のT0である。現在値は、パターン番号PNによって特定されるパターンの値引要素T0~TEのうち有効値引要素Txの値、つまりは値引要素T0の値である。
【0083】
ACT35の処理を終えたプロセッサ121は、図12の流れ図で示す手順の情報処理を終了する。ここにプロセッサ121は、ACT34及びACT35の処理により、記憶手段63としての機能を実現する。
【0084】
このように、値引対象の商品に値引シールLを貼付した担当者が、担当者端末40を操作して、その値引シールLをカメラ407で撮影するとともにその商品のバーコードをスキャナ408で読み取ると、当該値引シールLに対応したシール別テーブル62に、レコード番号R、商品コード、パターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値が記述される。このような動作は、担当者が、担当者端末40を操作して、値引対象の商品に貼付した値引シールLをカメラ407で撮影するとともにその商品のバーコードをスキャナ408で読み取る毎に繰り返される。
【0085】
したがって、同じ種類の値引シールLを異なる商品に貼付した場合には、1つのシール別テーブル62に、一連のレコード番号と関連付けて、各商品の商品コードと、その商品に対するパターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値とが記述されることとなる。また、種類の異なる値引シールLを同一品目の商品に貼付した場合には、値引シールLの種類にそれぞれ対応した複数のシール別テーブル62に、一連のレコード番号と関連付けて、同一品目の商品コードと、その商品に対するパターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値とが記述されることとなる。
【0086】
次に、取得手段64、作成手段65及び出力手段66に係る動作について、図13乃至図18の流れ図を用いて説明する。図13は、POSサーバ12のプロセッサ121が実行する第2の情報処理の要部手順を示す流れ図である。図14は、図13における現在値更新処理の手順を具体的に示す流れ図である。図15は、図13における棚札表示処理の手順を具体的に示す流れ図である。なお、以下に説明する情報処理の手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その手順は限定されるものではない。
【0087】
POSサーバ12のプロセッサ121は、例えば時計124が1分を計時する毎に、図13の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ121は、ACT41としてカウンタKを“0”にリセットする。次いでプロセッサ121は、ACT42としてカウンタKを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ121は、ACT43としてカウンタKが最大値Kmaxを超えたか否かを判定する。カウンタKは、シール別テーブル62のテーブル番号Kをカウントするためのものである。よって、最大値Kmaxは、シール別テーブル62に設定されているテーブル番号Kの最大値となる。すなわちテーブル番号Kの最大値は、値引シールLの種類数であるとも言える。
【0088】
カウンタKを“0”にリセットした現段階では、カウンタKは最大値Kmaxを超えていない。プロセッサ121は、ACT43からACT44へと進む。プロセッサ121は、ACT44としてテーブル番号Kのシール別テーブル62を検索する。プロセッサ121は、ACT45としてそのシール別テーブル62に、レコード番号R、商品コード、パターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値のデータが記述されているか否かを確認する。データが記述されていない場合、プロセッサ121は、ACT42へと戻る。プロセッサ121は、ACT42以降の処理を前述したのと同様に実行する。すなわちプロセッサ121は、カウンタKをさらに“1”だけカウントアップする。そして、カウンタKが最大値Kmaxを超えていない場合には、プロセッサ121は、テーブル番号Kのシール別テーブル62を検索する。
【0089】
検索したシール別テーブル62に、レコード番号R、商品コード、パターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値のデータが記述されている場合には、プロセッサ121は、ACT45からACT46へと進む。プロセッサ121は、ACT46としてカウンタRを“0”にリセットする。次いでプロセッサ121は、ACT47としてカウンタRを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ121は、ACT48としてカウンタRが最大値Rmaxを超えたか否かを判定する。カウンタRは、シール別テーブル62のレコード番号Rをカウントするためのものである。よって、最大値Rmaxは、検索したシール別テーブル62に記述されたレコード番号Rの最大値である。
【0090】
カウンタRを“0”にリセットした現段階では、カウンタRは最大値Rmaxを超えていない。プロセッサ121は、ACT48からACT49へと進む。プロセッサ121は、ACT49としてシール別テーブル62からレコード番号Rのデータ、すなわち商品コード、パターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値を取得する。以下では、シール別テーブル62から取得したレコード番号Rのデータを処理データと称する。
【0091】
プロセッサ121は、ACT50として処理データを基に現在値更新処理を実行する。またプロセッサ121は、ACT51として処理データを基に棚札表示処理を実行する。現在値更新処理及び棚札表示処理については、後で詳細に説明する。
【0092】
現在値更新処理及び棚札表示処理を終えたプロセッサ121は、ACT47へと戻る。プロセッサ121は、ACT47以降の処理を前述したのと同様に実行する。すなわちプロセッサ121は、カウンタRをさらに“1”だけカウントアップする。そしてカウンタRが最大値Rmaxを超えていない場合には、プロセッサ121は、シール別テーブル62からレコード番号Rの処理データを取得し、その処理データで現在値更新処理及び棚札表示処理を実行する。
【0093】
かくしてプロセッサ121は、カウンタRが最大値Rmaxを超えるまで、シール別テーブル62からレコード番号Rの処理データを取得し、その処理データで現在値更新処理及び棚札表示処理を実行する処理を繰り返す。そして、カウンタRが最大値Rmaxを超えると、プロセッサ121は、ACT48からACT52へと進む。プロセッサ121は、ACT52としてシール別テーブル62から現在値が“0”のデータ、つまりはレコード番号R、商品コード、パターン番号PN、開始日時、上限要素Tmax、有効値引要素Tx及び現在値を削除する。なお、シール別テーブル62に残ったデータは、レコード番号Rが“1”からの連続番号となるようにソートされる。
【0094】
ACT52の処理を終えたプロセッサ121は、ACT42へと戻る。プロセッサ121は、カウンタKをさらに“1”だけカウントアップする。そして、カウンタKが最大値Kmaxを超えていないことを確認すると、プロセッサ121は、ACT44以降の処理を前述したのと同様に実行する。かくしてプロセッサ121は、カウンタKが最大値Kmaxを超えるまで、カウンタKをカウントアップする毎にACT44乃至ACT52の処理を繰り返し実行する。そして、カウンタKが最大値Kmaxを超えると、プロセッサ121は、この割込み処理を終了する。すなわちプロセッサ121は、全てのシール別テーブル62に対してACT44乃至ACT52の処理を実行する。
【0095】
次に、現在値更新処理の具体的な手順について、図14を用いて説明する。プロセッサ121は、図13のACT50において現在値更新処理に入ると、先ず、ACT61として処理データから開始日時を取得する。またプロセッサ121は、ACT62として処理データのパターン番号PNでパターンテーブル61を検索して、当該パターン番号PNに対して設定されたタイプを取得する。
【0096】
プロセッサ121は、ACT63として取得したタイプが“D”、すなわち日付タイプであるか、タイプが“H”、すなわち時間タイプであるかを識別する。日付タイプの場合には、プロセッサ121は、ACT63からACT64へと進む。プロセッサ121は、ACT64として開始日時の日付から時計124によって計時されている現在の日付までの経過日数dを算出する。これに対し、時間タイプの場合には、プロセッサ121は、ACT63からACT65へと進む。プロセッサ121は、ACT65として開始日時の時刻から時計124によって計時されている現在の時刻までの経過時間hを算出する。
【0097】
ACT64又はACT65の処理を終えると、プロセッサ121は、ACT66へと進む。プロセッサ121は、ACT66として処理データの有効値引要素Txを更新するか否かを判定する。有効値引要素Txの“x”が経過日数d又は経過時間hと等しい場合には、更新は不要である。これに対し、有効値引要素Txの“x”が経過日数d又は経過時間hよりも小さい場合には、更新が必要である。
【0098】
更新が必要である場合には、プロセッサ121は、ACT66からACT67へと進む。プロセッサ121は、ACT67として処理データの有効値引要素Txを更新する。すなわち、日付タイプの場合には、値引要素Tdを有効値引要素とする。時間タイプの場合には、値引要素Thを有効値引要素とする。値引要素Tdとは、複数の値引要素T0~TEの“0”~“E”を“n”とした場合、“n”が経過日数dと一致している値引要素である。同様に、値引要素Thとは、“n”が経過時間hと一致している値引要素である。
【0099】
一方、ACT66において、更新が不要の場合には、プロセッサ121は、ACT67の処理をスキップする。ACT67の処理を終えるかスキップすると、プロセッサ121は、ACT68へと進む。プロセッサ121は、ACT68として有効値引要素Txが上限要素Tmaxを超えたか否かを確認する。
【0100】
有効値引要素Txが上限要素Tmaxを超えていない場合、プロセッサ121は、ACT68からACT69へと進む。プロセッサ121は、ACT69として処理データのパターン番号PNでパターンテーブル61を検索して、当該パターン番号PNに対応した単位と有効値引要素Txの値とを取得する。プロセッサ121は、ACT70として単位と有効値引要素Txの値とから現在値を特定する。例えば単位が“YEN”である場合には、プロセッサ121は、有効値引要素Txの値を値引額の現在値として特定する。単位が“%”である場合には、プロセッサ121は、有効値引要素Txの値を割引率の現在値として特定する。現在値を特定したならば、プロセッサ121は、ACT71として処理データの現在値をACT70の処理で取得した現在値に更新する。
【0101】
一方、有効値引要素Txが上限要素Tmaxを超えた場合には、プロセッサ121は、ACT68からACT72へと進む。プロセッサ121は、ACT72として処理データの現在値を“0”に更新する。
【0102】
ACT71又はACT72において現在値を更新すると、プロセッサ121は、現在値更新処理を抜ける。プロセッサ121は、棚札表示処理に入る。
【0103】
次に、棚札表示処理の具体的な手順について、図15を用いて説明する。プロセッサ121は、図13のACT51において棚札表示処理に入ると、先ず、ACT81として直前の現在値更新処理で更新した現在値を取得する。そしてプロセッサ121は、ACT82としてその現在値が“0”よりも大きい値であるか否かを確認する。現在値が“0”の場合、プロセッサ121は、棚札表示処理を抜ける。
【0104】
一方、現在値が“0”よりも大きい値である場合には、プロセッサ121は、ACT82からACT83へと進む。プロセッサ121は、ACT83として処理データが記述されているテーブル番号Kのシール別テーブル62から識別名を取得する。そしてプロセッサ121は、ACT84としてその識別名でシールマスタ53を検索して、当該識別名を含むシールレコード531からシール画像データを取得する。
【0105】
シール画像データを取得したプロセッサ121は、ACT85へと進む。プロセッサ121は、ACT85として値引画像を作成する。値引画像は、ACT84において取得したシール画像データとACT81において取得した現在値とを組み合わせたものである。
【0106】
値引画像を作成したプロセッサ121は、ACT86へと進む。プロセッサ121は、ACT86として処理データから商品コードを取得する。そしてプロセッサ121は、ACT87としてその商品コードと値引画像のデータとを棚札サーバ22に送信するように制御する。この制御により、第1通信インターフェース125から棚札サーバ22に商品コードと値引画像のデータとが送信される。
【0107】
このデータを受信した棚札サーバ22は、商品コードで棚札マスタ51を検索し、その商品コードを含む棚札レコード511から棚札IDと通信アドレスを取得する。そして棚札サーバ22は、通信アドレスを宛先として棚札IDで識別される電子棚札21に値引画像のデータを送信する。これにより、電子棚札21の空白領域214に値引画像が表示される。
【0108】
商品コードと値引画像のデータを送信し終えたプロセッサ121は、棚札表示処理を抜ける。ここに、プロセッサ121は、図14のACT61乃至ACT71の処理により取得手段64としての機能を実現する。またプロセッサ121は、図15のACT81乃至ACT85の処理により作成手段65としての機能を実現する。またプロセッサ121は、図15のACT86及びACT87の処理により出力手段66としての機能を実現する。
【0109】
[具体例の説明]
次に、図16乃至図18を用いて、本実施形態の具体例について説明する。
図16は、1種類のシール別テーブル62に記憶される処理データの遷移例を示す図である。図17は、図16に示した処理データの遷移に応じて作成される値引画像の例を示す図である。図18は、電子棚札21の一表示例を示す図である。
【0110】
先ず、担当者が、1月2日午前10時00分に、値引シールLaを商品Gに貼付した場合を想定する。なお、値引シールLa用のシール別テーブル62のテーブル識別名を「SEAL100」とする。また、商品Gの商品コードを“123456789”とし、商品名を「AAAAAA」とする。
【0111】
商品Gは、消費期限までの残り日数が2日になると定価から10円を値引し、残り日数が1日になると定価から20円を値引し、残り日数が0日、つまりは消費期限の当日になると定価から30円を値引する商品とする。この場合、図8に示すパターンテーブル61の例を参照すると、商品Gの商品レコード521には、対象フラグFとして“1”が設定されており、パターン番号PNとして“1”が設定されており、上限要素Tmaxとして“3”が設定されている。
【0112】
商品Gが陳列されている商品棚SLFをチェックし、消費期限までの残り日数が2日の商品Gを見つけた担当者は、その商品Gに値引シールLaを貼付する。そして担当者は、担当者端末40のカメラ407で値引シールLaを撮影するとともに商品Gのバーコードをスキャナ408で読み取る。
【0113】
そうすることにより、図16のシール別テーブル例621に示すように、テーブル識別名「SEAL100」が記述されたテーブル番号“1”のシール別テーブル62には、レコード番号R=“1”と関連付けて、商品コード=“123456789”、パターン番号PN=“1”、開始日時=“01021000”、上限要素Tmax=“3”、有効値引要素Tx=“0”、現在値=“10”が記述される。
【0114】
レコード番号R=“1”のデータが記述されると、棚札表示処理においては、図17の画像例71に示すように、値引画像81が作成される。値引画像81は、値引シールLaの値引シール画像91と、現在値“10”を値引額とする値引情報92とを組み合わせたものである。値引画像81は、商品Gの商品コード“123456789”が設定された棚札IDの電子棚札21に表示される。したがって、電子棚札21の値引画像81を確認した消費者は、値引シール画像91の値引シールLaが貼付された商品Gは、10円値引の商品であることを知り得る。
【0115】
次に、担当者が、1月2日午後4時00分に、同じ種類の値引シールLaを商品Pに貼付した場合を想定する。なお、商品Pの商品コードを“987654321”とする。
【0116】
商品Pは、消費期限までの残り時間が6時間に達すると定価の5%を割引し、残り時間が4時間に達すると定価の10%を割引し、残り時間が2時間に達すると定価の15%を割引するものとする。この場合、図8に示すパターンテーブル61の例を参照すると、商品Pの商品レコード521には、対象フラグFとして“1”が設定されており、パターン番号PNとして“2”が設定されており、上限要素Tmaxとして“6”が設定されている。
【0117】
商品Pが陳列されている商品棚SLFをチェックし、消費期限までの残り時間が6時間に達した商品Pを見つけた担当者は、その商品Pに値引シールLaを貼付する。そして担当者は、担当者端末40のカメラ407で値引シールLaを撮影するとともに商品Pのバーコードをスキャナ408で読み取る。
【0118】
そうすることにより、図16のシール別テーブル例622に示すように、テーブル識別名「SEAL100」が記述されたテーブル番号“1”のシール別テーブル62には、レコード番号R=“2”と関連付けて、商品コード=“987654321”、パターン番号PN=“2”、開始日時=“01021600”、上限要素Tmax=“6”、有効値引要素Tx=“0”、現在値=“5”が記述される。なお、日付はまだ更新されていないので、商品Gに対するレコード番号R=1のデータに変化はない。
【0119】
レコード番号R=“2”のデータが記述されると、棚札表示処理においては、図17の画像例72に示すように、値引画像81に加えて値引画像82が作成される。値引画像82は、値引シールLaの値引シール画像91と、現在値“5”を割引率とする値引情報93とを組み合わせたものである。値引画像82は、商品Pの商品コード“987654321”が設定された棚札IDの電子棚札21に表示される。したがって、電子棚札21の値引画像82を確認した消費者は、値引シール画像91の値引シールLaが貼付された商品Pは、5%割引の商品であることを知り得る。
【0120】
その後、1月2日午後4時00分になると、レコード番号R=“2”の有効値引要素Txが“0”から“1”に変更される。しかし、パターン番号PN=“2”のパターンの値引要素T1の値は“5”であるので、現在値は変わらない。したがって、棚札表示処理において作成される値引画像は、値引画像81と値引画像82である。
【0121】
その後、1月2日午後6時00分になると、図16のシール別テーブル例623に示すように、レコード番号R=“2”の有効値引要素Txが“1”から“2”に変更される。このとき、パターン番号PN=“2”のパターンの値引要素T2の値は“10”であるので、現在値が“10”に更新される。その結果、図17の画像例73に示すように、値引画像82に代わって値引画像83が作成される。値引画像83は、値引シールLaの値引シール画像91と、現在値“10”を割引額とする値引情報94とを組み合わせたものである。値引画像83は、商品Pの商品コード“98765421”が設定された棚札IDの電子棚札21に表示される。したがって、電子棚札21の値引画像83を確認した消費者は、値引シール画像91の値引シールLaが貼付された商品Pは、10%割引の商品であることを知り得る。
【0122】
その後、1月2日午後10時00分になると、図16のシール別テーブル例624に示すように、レコード番号R=2の有効値引要素Txが“6”に変更され、上限要素Tmaxと一致する。その結果、現在値が“0”に更新されるので、レコード番号R=“2”のデータは削除される。かくして、図17の画像例71に示すように、棚札表示処理で作成される値引画像は、商品Gに対する値引画像81だけとなる。その結果、商品Pの商品コード“987654321”が設定された棚札IDの電子棚札21からは値引画像が消去される。なお、値引シールLaが貼付された商品Pは消費期限となったため廃棄される。因みに、商品Pを消費期限となる前に廃棄しても、運用上は問題ない。
【0123】
その後、1月3日午前0時00分になると、図16のシール別テーブル例625に示すように、レコード番号R=“1”の有効値引要素Txが“0”から“1”に変更される。このとき、パターン番号PN=“1”のパターンの値引要素T1の値は“20”であるので、現在値が“20”に更新される。その結果、図17の画像例74に示すように、値引画像81に代わって値引画像84が作成される。値引画像84は、値引シールLaの値引シール画像91と、現在値“20”を値引額とする値引情報95とを組み合わせたものである。値引画像84は、商品Gの商品コード“123456789”が設定された棚札IDの電子棚札21に表示される。したがって、電子棚札21の値引画像84を確認した消費者は、値引シール画像91の値引シールLaが貼付された商品Gは、20円値引の商品であることを知り得る。
【0124】
ところで、1月3日午前0時以降、例えば午前10時00分に担当者が、値引シールLaの貼られていない商品Gの中に消費期限までの残り日数が2日になった商品Gを見つけたとする。以後、この商品を商品Gxと表す。その場合、担当者は値引シールLaとは別の値引シールLbを商品Gxに貼付する。そして担当者は、値引シールLbの画像を担当者端末40のカメラ407で撮影するとともに、商品Gxのバーコード213をスキャナ408で読み取る。
【0125】
そうすると、値引シールLbのテーブル識別名が記述されたシール別テーブルには、レコード番号R=“1”と関連付けて、商品コード=“123456789”、パターン番号PN=“1”、開始日時=“01031000”、上限要素Tmax=“3”、有効値引要素Tx=“0”、現在値=“10”が記述される。
【0126】
レコード番号R=“1”のデータが記述されると、棚札表示処理においては、値引画像85(図18を参照)が作成される。値引画像85は、値引シールLbの値引シール画像96と、現在値“10”を値引額とする値引情報97とを組み合わせたものである。値引画像85は、図18に示すように、商品Gzの商品コード“123456789”が設定された棚札IDの電子棚札21に表示される。この電子棚札21には、商品Gに対する値引画像84も表示されている。したがって、値引画像84及び値引画像85を確認した消費者は、値引シール画像91の値引シールLaが貼付された商品Gは20円値引の商品であり、値引シール画像96の値引シールLbが貼付された商品Gxは10円値引の商品であることを知り得る。
【0127】
[商品登録時におけるPOSサーバの動作説明]
最後に、POS端末11で客が購入する商品の登録が行われた際のPOSサーバ12の主要な動作について、図19の流れ図を用いて説明する。図19は、POSサーバ12のプロセッサ121が実行する第3の情報処理の要部手順を示す流れ図である。なお、以下に説明する情報処理の手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その手順は限定されるものではない。
【0128】
POS端末11において客が購入する商品が登録されると、POS端末11からPOSサーバ12に商品コードの問合せコマンドが送信される。問合せコマンドには、客が購入した商品の商品コードが含まれる。また、その商品に値引シールLが貼付されている場合には、その値引シールLの画像データも含まれる。
【0129】
POSサーバ12のプロセッサ121は、図19のACT91において商品コードの問合せコマンドを待ち受けている。第2通信インターフェース126を介して問合せコマンドを受信すると、プロセッサ121は、ACT92としてその問合せコマンドから商品コードを取得する。そしてプロセッサ121は、その商品コードで商品マスタ52を検索して、当該商品コードを含む商品レコード521から商品名、単価等の商品データを取得する。
【0130】
プロセッサ121は、ACT94として問合せコマンドに値引シールLの画像データが含まれているか否かを確認する。画像データが含まれていない場合、プロセッサ121は、ACT94からACT102へと進む。ACT102の処理については後述する。
【0131】
問合せコマンドに値引シールLの画像データが含まれている場合には、プロセッサ121は、ACT94からACT95へと進む。プロセッサ121は、ACT95としてシールマスタ53を検索して、当該画像データを含むシールレコード531からテーブル識別名を取得する。そしてプロセッサ121は、ACT96として当該テーブル識別名が記述されたシール別テーブル62を検索する。プロセッサ121は、ACT97として問合せコマンドから取得した商品コードが当該シール別テーブル62に記述されているか否かを確認する。該当する商品コードがシール別テーブル62に記述されていない場合には、プロセッサ121は、ACT97からACT102へと進む。
【0132】
一方、該当する商品コードがシール別テーブル62に記述されている場合には、プロセッサ121は、ACT97からACT98へと進む。プロセッサ121は、ACT98としてシール別テーブル62から当該商品コードと関連付けて記述されているパターン番号PNを取得する。そしてプロセッサ121は、ACT99としてパターンテーブル61を検索して当該パターン番号PNと関連付けて記述されている単位を取得する。
【0133】
またプロセッサ121は、ACT100としてシール別テーブル62から当該商品コードと関連付けて記述されている現在値を取得する。そしてプロセッサ121は、ACT101としてその現在値とACT99の処理で取得した単位とから値引情報を生成する。すなわち、単位が“YEN”である場合には、プロセッサ121は、現在値を値引額とした値引情報を生成する。単位が“%”である場合には、プロセッサ121は、現在値を割引率とした値引情報を生成する。その後、プロセッサ121は、ACT102へと進む。
【0134】
このように、ACT94において値引シール画像が無いと判定されるか、ACT97において商品コードが無いと判定されるか、ACT101において値引情報が生成されると、プロセッサ121は、ACT102の処理へと進む。プロセッサ121は、ACT102として応答データを送信するように制御する。この制御により、第2通信インターフェース126を介して応答データが送信される。応答データは、問合せコマンド送信元のPOS端末11で受信される。
【0135】
ACT94において値引シール画像が無いと判定された場合、及び、ACT97において商品コードが無いと判定された場合には、応答データは、ACT93の処理で取得した商品データを含むデータである。一方、ACT101において値引情報が生成された場合には、応答データは、ACT93の処理で取得した商品データとACT101の処理で生成した値引情報とを含むデータである。応答データの送信を制御したプロセッサ121は、図19の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0136】
因みに、応答データを受信したPOS端末11は、その応答データに含まれている商品データに基づいて商品販売データの登録処理を実行する。また、その応答データに値引情報が含まれている場合には、POS端末11は、登録処理した商品販売データについてその値引情報で値引処理を実行する。例えば、値引情報が値引額を示す場合には、POS端末11は、登録処理した商品販売データの販売金額から値引額を値引する処理を実行する。例えば、値引情報が割引率を示す場合には、POS端末11は、登録処理した商品販売データの単価と割引率とから割引額を算出し、販売金額から割引額を値引する処理を実行する。
【0137】
[実施形態の効果説明]
以上詳述したように、本実施形態によれば、商品に貼付された値引シールLによって特定される値引額又は割引率を時間経過に応じて動的に変更することができる。したがって、値引対象商品の消費期限又は賞味期限までの残り時間、あるいは在庫処分までの残り時間が少なくなるに従い値引の額を大きく運用を、値引シールLを貼り替えることなく容易に実現することができる。その結果、値引シールLを貼り替える作業が不要になるため、作業の効率化を図ることができる。また、貼り替えによって値引シールLが無駄になることがないので、低コスト化を図ることができる。
【0138】
また、本実施形態によれば、一種類の値引シールLを、日数を単位として値引の額を変動させたい商品だけでなく、時間を単位として値引の額を変動させたい商品にも適用することができる。さらには、一種類の値引シールLを、時間経過に応じて値引額を大きくしたい商品だけでなく、割引率を大きくしたい商品にも適用することができる。したがって、店舗全体で必要となる値引シールLの種類を少なくできるので、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0139】
[他の実施形態]
前記実施形態では、値引対象の商品に貼付される貼付物を、粘着面を有する値引シールLとした。貼付物は値引シールLに限定されない。貼付物は、例えば接着剤によって商品に接着される紙片等であってもよい。
【0140】
前記実施形態では、値引シールLを貼付した担当者は、担当者端末40のカメラ407で値引シールLを撮影した。この点に関しては、例えば担当者端末40のタッチパネル406に値引シールLのリストを表示し、担当者がそのリストから商品に貼付した値引シールLを選択するようにしてもよい。そうすることにより、担当者端末40からカメラ407を省略できる。
【0141】
前記実施形態では、値引シールLを貼付した担当者は、電子棚札21のバーコード213をスキャナ408で読み取った。この点に関しては、例えば値引シールLを貼付した商品に付されているバーコードをスキャナ408で読み取るようにしてもよい。そうすることにより、電子棚札21に表示される画像からバーコード213を省略できる。
【0142】
前記実施形態では、POSサーバ12に情報処理装置としての機能を持たせる場合を例示した。情報処理装置としての機能は、POSサーバ12以外のコンピュータに持たせてもよい。例えば、複数台のPOS端末11のうち任意の1台に情報処理装置としての機能を持たせてもよい。
【0143】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
10…POSシステム、11…POS端末、12…POSサーバ、13…通信ネットワーク、14…アクセスポイント、20…電子棚札システム、21…電子棚札、22…棚札サーバ、23…無線LAN、30…サーバ間ネットワーク、40…担当者端末、51…棚札マスタ、52…商品マスタ、53…シールマスタ、61…パターンテーブル、62…シール別テーブル、63…記憶手段、64…取得手段、65…作成手段、66…出力手段、81~85…値引画像、121,401…プロセッサ、122,402…メインメモリ、123,403…補助記憶デバイス、124,404…時計、125…第1通信インターフェース、126…第2通信インターフェース、405…無線ユニット、406…タッチパネル、407…カメラ、408…スキャナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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