(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155577
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20241024BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070410
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛 一也
(72)【発明者】
【氏名】宮内 健
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024GX02
5C024HX23
(57)【要約】
【課題】最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、大きな飽和と小さなダークノイズを実現することが可能で、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの性能を効率的に向上させることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供する。
【解決手段】読み出し部80は、出力ノードFDと第1の蓄積ノードND1と第2の蓄積ノードND2とを結合状態に保持してオーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、出力ノードFDと第2の蓄積ノードND2とを非結合状態に保持して蓄積電荷信号読み出し動作を制御し、読み出しシーケンスにおいて、オーバーフロー電荷信号の読み出し動作を、出力ノードFDでの電荷結合なしで蓄積電荷信号の読み出し動作の前に行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異なる変換利得で少なくとも1回読み取ることが可能な画素が配置された画素部と、
前記画素部の前記画素から変換利得に応じて画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の蓄積ノードを有する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、
前記出力ノードに接続された接続素子と、
前記接続素子を介して前記出力ノードの電荷を蓄積可能な第2の蓄積ノードを含み、前記光電変換素子の蓄積容量を超えた信号電荷量を蓄積できる蓄積容量素子と、を少なくとも含み、
前記読み出し部は、
オーバーフロー電荷信号および前記光電変換素子の蓄積電荷信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号を出力するアナログデジタル変換部(ADC)と、
別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADCから出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部と、
を含み、
前記読み出し部は、
前記出力ノードと前記第1の蓄積ノードと前記第2の蓄積ノードとを結合状態に保持して前記オーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、
前記出力ノードと前記第2の蓄積ノードとを非結合状態に保持して前記蓄積電荷信号読み出し動作を制御する
固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素において、
光電荷は、前記第1の蓄積ノードが満たされた後に、第2の蓄積が行われる前記第1の蓄積ノードおよび前記出力ノードに蓄積され、高変換利得(HCG)によって読み出され、
オーバーフロー電荷は、前記出力ノードおよび前記第1の蓄積ノードに結合可能な前記第2の蓄積ノードに独立してグローバルに格納され、前記高変換利得より低い低変換利得(LCG)によって読み出される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記読み出し部は、
読み出しシーケンスにおいて、
前記オーバーフロー電荷信号の読み出し動作を、前記出力ノードでの電荷結合なしで前記蓄積電荷信号の読み出し動作の前に行う
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記画素は、
前記出力ノードをリセット電位にリセット可能なリセット素子を含み、
前記読み出し部は、
前記読み出しシーケンスにおいて、
低変換利得信号読み出し処理、低変換利得リセット読み出し処理、高変換利得リセット読み出し処理、および高変換利得信号読み出し処理を順次行う
請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記画素において、
オーバーフロー電荷は、前記第1の蓄積ノードに接続された電荷排出パスによってスキミングされる
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記ADCは、
前記画素の前記出力バッファ部から出力される各信号に対して1回のフレーム期間において利得の異なる少なくとも1回以上のAD変換が可能である
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記画素または前記読み出し部は、
少なくとも画素ごとにオフセット補正が実施できるように、前記蓄積電荷信号を一時的に書き込める冗長メモリを含む
請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記蓄積電荷信号のデジタル変換結果を一時保管する前記冗長メモリが、画素ごと、カラムごと、またはチップ外部に設けられている
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素内に配置されたメモリは、信号量に応じて取り込み信号を選択可能となるようにフラグビットが形成されている
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記デジタル演算処理部は、
デジタル的に前記画素ごとに飽和バラツキ補正および利得補正を実施し各信号の線形化のための信号処理が可能である
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記デジタル演算処理部は、
前記蓄積電荷信号と前記オーバーフロー電荷信号の電荷の総量が混合され、2つの蓄積ノード間で信号領域が欠落することなく線形の光応答を持つように混合され、個々の前記画素のデジタルコードに冗長なデジタルメモリデータが追加される
請求項10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記第2の蓄積ノードに蓄積されるオーバーフロー電荷は、その信号量に応じた所定の電圧に達する時間をデジタル変換されている
請求項11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
デジタル画素として形成される前記画素は、前記光電変換素子の蓄積電荷量がコード化され、前記第2の蓄積ノードにおけるオーバーフロー電荷に対応する量がそれ自体のタイムコードでコード化される
請求項12に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記第2の蓄積ノードのオーバーフロー電荷信号は、独立に任意の時間に読み出すことが可能である
請求項1から13のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記画素は、
少なくとも2つの蓄積ノードを前記出力ノードに結合して前記出力ノードを共有し、結合された前記光電変換素子のオーバーフロー電荷を前記第2の蓄積ノードに蓄積することが可能である
請求項1から13のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異なる変換利得で少なくとも1回読み取ることが可能な画素が配置された画素部と、
前記画素部の前記画素から変換利得に応じて画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の蓄積ノードを有する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、
前記出力ノードに接続された接続素子と、
前記接続素子を介して前記出力ノードの電荷を蓄積可能な第2の蓄積ノードを含み、前記光電変換素子の蓄積容量を超えた信号電荷量を蓄積できる蓄積容量素子と、を少なくとも含み、
前記読み出し部は、
オーバーフロー電荷信号および前記光電変換素子の蓄積電荷信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号を出力するアナログデジタル変換部(ADC)と、
別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADCから出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部と、を含む、
固体撮像装置の駆動方法であって、
前記読み出し部において、前記出力ノードと前記第1の蓄積ノードと前記第2の蓄積ノードとを結合状態に保持して前記オーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、
前記出力ノードと前記第2の蓄積ノードとを非結合状態に保持して前記蓄積電荷信号読み出し動作を制御し、
読み出しシーケンスにおいて、前記オーバーフロー電荷信号の読み出し動作を、前記出力ノードでの電荷混合なしで前記蓄積電荷信号の読み出し動作の前に行う。
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項17】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異なる変換利得で少なくとも1回読み取ることが可能な画素が配置された画素部と、
前記画素部の前記画素から変換利得に応じて画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の蓄積ノードを有する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、
前記出力ノードに接続された接続素子と、
前記接続素子を介して前記出力ノードの電荷を蓄積可能な第2の蓄積ノードを含み、前記光電変換素子の蓄積容量を超えた信号電荷量を蓄積できる蓄積容量素子と、を少なくとも含み、
前記読み出し部は、
オーバーフロー電荷信号および前記光電変換素子の蓄積電荷信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号を出力するアナログデジタル変換部(ADC)と、
別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADCから出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部と、
を含み、
前記読み出し部は、
前記出力ノードと前記第1の蓄積ノードと前記第2の蓄積ノードとを結合状態に保持して前記オーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、
前記出力ノードと前記第2の蓄積ノードとを非結合状態に保持して前記蓄積電荷信号読み出し動作を制御する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサの各画素は、基本構成として、たとえば1個のフォトダイオードに対して、転送素子としての転送トランジスタ、リセット素子としてのリセットトランジスタ、ソースフォロワ素子(増幅素子)としてのソースフォロワトランジスタ、および選択素子としての選択トランジスタの4素子を能動素子として含んで構成される。
【0005】
このようなCMOSイメージセンサ(CIS)は、画素のダイナミックレンジを向上させる種々の特徴的な構造を採用して構成可能である。
【0006】
高ダイナミックレンジ化のアプローチの一つとして、横型オーバーフロー蓄積容量(LOFIC: Lateral Overflow Integration Capacitor)の構成を挙げることができる(たとえば特許文献1、2参照)。
【0007】
LOFIC構成の画素は、上述した基本的構成に、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタおよび蓄積接続素子としての蓄積トランジスタが追加されており、同一露光時間にフォトダイオードから溢れた過飽和電荷(オーバーフロー電荷)を捨てずに蓄積キャパシタに蓄積する。
【0008】
このLOFIC画素は、フローティングディフュージョンFDの容量による高変換利得(HCG)と、フローティングディフュージョンの容量および蓄積キャパシタのLOFIC容量による低変換利得(LCG)の2種類を持つことができる。
すなわち、LOFIC画素では、低変換利得(LCG)信号と高変換利得(HCG)信号をそれぞれ使用して、大きな飽和と小さなダークノイズを実現する。
【0009】
ところで、CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードで生成しかつ蓄積した光電荷を、画素毎あるいは行毎に順次走査して読み出す動作が行われる。
この順次走査、すなわち、電子シャッタとしてローリングシャッタを採用した場合は、光電荷を蓄積する露光の開始時間、および終了時間を全ての画素で一致させることができない。そのため、順次走査の場合、動被写体の撮像時に撮像画像に歪みが生じるという問題がある。
【0010】
そこで、画像歪みが許容できない、高速に動く被写体の撮像や、撮像画像の同時性を必要とするセンシング用途では、電子シャッタとして、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタが採用される。
【0011】
電子シャッタとしてグローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサは、画素内に、たとえば、読み出し部から読み出された信号を信号保持キャパシタに保持する信号保持部が設けられている。
グローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサでは、フォトダイオードから電荷を電圧信号として一斉に信号保持部の信号保持キャパシタにアナログ的なサンプルホールド動作により蓄積し、そののち順次読み出すことにより、画像全体の同時性を確保している(たとえば、非特許文献1参照)。
【0012】
そして、高ダイナミックレンジを持つ高画質のCMOSイメージセンサのグローバルシャッタ機能を備えた画素としては、VMGS(電圧モードグローバルシャッタ)画素、およびCMGS(電荷モードグローバルシャッタ)画素が知られている。
【0013】
これらのうち、VMGS画素は、CMGS画素と比較して、シャッタ効率が高く、寄生光の感度(Parasitic Light Sensitivity : PLS)が低いという利点がある。
【0014】
近年、特にマシンビジョンやIoT(Internet Of Thing)分野において、グローバルシャッタ(GS)CMOSイメージセンサ(CIS)の需要が高まっている。
これらの分野では、GS機能だけでなく、単一露光(シングルエクスポージャ)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンスも強く求められている。
【0015】
また近年、CMOSイメージセンサにおいては、画素数の増加に伴い、画素サイズの微細化の要求が高まり、これに対応すべく、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する複数画素共有技術が提案されている(たとえば特許文献3または4参照)。
【0016】
特許文献3には、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを2組のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する2画素共有構造を有するCMOSイメージセンサの画素の一例が示されている。
また、特許文献4には、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを4組のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する4画素共有構造を有するCMOSイメージセンサの画素の一例が示されている。
【0017】
共有画素PXL1は、素子の形成領域として、中央部分の中央領域CTAR1、並びに、中央領域CTAR1を挟んで両側(Y方向)の第1の領域FSAR1および第2の領域SCAR1を含んで、矩形領域RCT1が割り当てられている。
共有画素のレイアウトは、基本的に、素子形成領域の中央部分にフローティングディフュージョンFDが配置され、このフローティングディフュージョンFDを中心として複数の光電変換素子であるフォトダイオードPDが放射状に配置される。
【0018】
たとえば、2画素共有構造の場合、中央領域CTAR1には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
なお、これらの左右等の配置は、一例であって図示する例であることを問わない。
【0019】
第1の領域FSAR1には、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Trが隣接するように形成されている。
第1の転送トランジスタTG0-Trが中央領域CTAR1側にフローティングディフュージョンFDと接続するように矩形状に形成されている。
【0020】
第2の領域SCAR1には、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Trが形成されている。
第2の転送トランジスタTG1-Trが中央領域CTAR1側にフローティングディフュージョンFDと接続するように形成されている。
【0021】
このような構成を採用することにより、画素構成要素を2つ、4つの複数の画素で共通化できるため、1画素当たりのフォトダイオードPDのサイズを最大化できることから、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となる。
【0022】
また、共有FD構造を有することから、フォトダイオードPD間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるDTI(Deep Trench Isolation)技術が適用される。
この場合、共有FD領域の下では、完全なディープトレンチ分離を行うためのフルDTIの代わりに、サブディープトレンチ分離を行うためのサブDTIが使用される。
【0023】
また、列並列出力型CMOSイメージセンサの画素信号読み出し(出力)回路については実に様々なものが提案されている。
それらの中で、その最も進んだ回路のひとつが、列(カラム)毎にアナログ-デジタル変換器(ADC(Analog digital converter))を備え、画素信号をデジタル信号として取り出す回路である(たとえば特許文献5,6参照)。
【0024】
この列並列ADC搭載CMOSイメージセンサ(カラムAD方式CMOSイメージセンサ)では、比較器(コンパレータ)はいわゆるRAMP波と画素信号の比較をして、後段のカウンタでデジタルCDSを行うことによりAD変換を行う。
【0025】
しかしながら、この種のCMOSイメージセンサは、信号の高速転送が可能であるが、グローバルシャッタ読み出しができないという不利益がある。
【0026】
これに対して、各画素に比較器を含むADC(さらにはメモリ部)を配置して、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタをも実現可能にするデジタル画素(ピクセル)センサが提案されている(たとえば特許文献7,8参照)。
【0027】
上述した従来のデジタル画素センサを備えたCMOSイメージセンサでは、グローバルシャッタ機能を実現することは可能であり、また、各画素に比較器を含むADCを配置して、所定の読み出しモードによって広ダイナミックレンジ化を図ることが可能である。
【0028】
なお、ダイナミックレンジを拡大させる方法としては、たとえば、イメージセンサの同一の画素から蓄積時間の異なる2種類の信号を読み出し、この2種類の信号を組み合わせて、ダイナミックレンジを拡大させる方法や、高感度の画素でダイナミックレンジの小さい信号と、低感度でダイナミックレンジを拡大した信号を組み合わせてダイナミックレンジを拡大させる方法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2005-328493号公報
【特許文献2】WO 2005/083790
【特許文献3】特開2007-81033号公報
【特許文献4】特開2013-627895号公報
【特許文献5】特開2005-278135号公報
【特許文献6】特開2005-295346号公報
【特許文献7】US 7164114 B2 FIG、4
【特許文献8】US 2010/0181464 A1
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】J. Aoki, et al., “A Rolling-Shutter Distortion-Free 3D Stacked Image Sensor with -160dB Parasitic Light Sensitivity In-Pixel Storage Node” ISSCC 2013 / SESSION 27 / IMAGE SENSORS / 27.3.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
しかしながら、上記したCMOSイメージセンサには、以下に示すような不利益がある。
【0032】
LOFICを用いた飽和点最適化技術が適用されたシングルチップのワイドダイナミックレンジ (DR) CMOSイメージセンサは、可視波長帯の良好な色再現性と高感度で実証されている。
LOFICアーキテクチャに基づくLOFIC型CMOSイメージセンサは、ダイナミックレンジを最大化するために感度に応じて各カラー画素(ピクセル)の静電容量値が最適化される。
【0033】
しかしながら、LOFICには、高変換利得(HCG)信号と低変換利得(LCG)信号の結合(接合)点におけるSNRの低下という重要な問題がある。
すなわち、LOFIC構成のみでは、LCG信号のkTCノイズを取り除くことができないため、HCG信号とLCG信号の結合点におけるSNRが低下する。
【0034】
高変換利得(HCG)信号と低変換利得(LCG)信号の信号方向は互いに逆方向であり、低変換利得(LCC)による読み出し処理において、読み出しリセット信号VRSLのリセットノイズは読み出し輝度信号VSIGのリセットノイズとは異なるため、差動ダブルサンプリング(DDS)と呼ばれる減算処理ではリセットノイズを除去することは困難である。
【0035】
以下に、LOFIC型CMOSイメージセンサの課題についてさらに詳述する。
【0036】
LOFIC(ラテラル オーバーフロー インテグレーション キャパシタ)構成は、フォトダイオードPDのPDノードからオーバーフロー電荷を利用して、光応答のダイナミックレンジを高める機能を有する。
LOFIC構成において、オーバーフロー電荷は、PDノードとフローティングディフュージョンFDのFDノードに個別に保存することができる。これにより、LOFIC構成においては、FDノードの電荷量(Qfd)をPDノードの電荷量(Qpd)に加算することができる。
ただし、フォトダイオードPDにはばらつきがあるため、PDノードの電荷量QpdとFDノードの電荷量Qfdの間の信号ギャップを回避するために電荷混合方式が提案されている。
【0037】
しかしながら、LOFIC構成において、強い光強度の下での実際の使用では、フローティングディフュージョンFDの電荷はフォトダイオードPDからフローティングディフュージョンFDへの電荷転送マージンによって制限され、これによりFDノードでの信号スイングが制限される。
【0038】
また、ダイナミックレンジをさらに拡張するために、各画素のLOFICの蓄積キャパシタCSの容量値を、必要なダイナミックレンジに応じて大きくすることができる。
ただし、蓄積キャパシタCSの容量の増加に伴い、PDノードの電荷量QpdとFDノードの電荷量Qfdの接続点でSNRが低下する。
また、蓄積キャパシタCSのサイズに応じて画素サイズが大きくなり、これにより、蓄積キャパシタCSサイズの制限を受ける。
【0039】
また、ダイナミックレンジを拡張するための別のアプローチとして、デュアル利得変換読み出し動作を挙げることができる。
デュアル変換利得動作の一例である2ステップLOFIC動作は、ダイナミックレンジ自体を拡張することができる。ただし、拡張にはキャパシタ領域が必要なため、画素セルサイズには領域的なペナルティがある。
【0040】
このように、主要な画素性能である、1.ダイナミックレンジ、2.SNR低下、3.ダークノイズ、4.画素サイズの間にはトレードオフがある。
【0041】
また、デジタル画素センサ(DPS)を備えたCMOSイメージセンサは、蓄積期間中に光生成された電荷を蓄積するためのピンフォトダイオード、フォトダイオードからの電荷を蓄積するためのフローティングディフュージョン(FD)ノード、および少なくとも4つのトランジスタを含む光電変換回路(光電変換読み出し部)と、アナログデジタル変換器(ADC)と記憶装置とを含む特定用途向け回路であって、グローバルシャッタ動作が実現できるように光電変換回路に電気的に接続された特定用途向け回路と、を有し、フォトダイオードPDの蓄積容量を超えるオーバーフロー電荷が、蓄積中にFDノードに蓄積され、フォトダイオードPDの電荷は、蓄積期間の終わりにFDノードに転送される。
【0042】
ADCは、蓄積期間中にオーバーフロー電荷に対応する第1の電圧をデジタル化するために第1のモードで動作し、蓄積期間の終了後にFDノードに転送された電荷に対応する第2の電圧をデジタル化するための蓄積期間に第2のモードで動作するように構成され、ADCは、ADCの第1のモード中に時変基準電圧を受信する比較器を備える。
【0043】
しかしながら、上述した従来のデジタル画素センサを備えたCMOSイメージセンサの一例では、画素内に比較器(コンパレータ)およびデジタルメモリの多くのトランジスタを実装する必要があるため、画素サイズを小さくすることは一般的に困難である。
このように、上述した従来のデジタル画素センサを備えたCMOSイメージセンサでは、比較器(コンパレータ)およびデジタルメモリの縮小化は困難で、画素サイズが律速され、広ダイナミックレンジ化には限界がある。
【0044】
(第1のモードおよび第2のモード動作時のノイズ)
また、デジタル化される対応する光電荷は共有メモリに格納される。各動作モードでデジタル化されたデータは、2つの異なるモードでデータのルートを識別できるフラグビット付きのメモリデバイスに格納することができる。
第2のモードにおけるFPNおよび時間の両方の主なノイズ成分は、アナログ/デジタル変換器(ADC)を含む特定用途向け回路によって引き起こされる。 特に、最初のモードの2つの異なるモード間のFPNのノイズは、PD飽和の変動によって支配される。
【0045】
このような場合に、改善すべき主要な画素性能は、2つのモードの接合点におけるSNR低下、およびダークノイズがある。
【0046】
本発明は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
さらに本発明は、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、大きな飽和と小さなダークノイズを実現することが可能で、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの性能を効率的に向上させることができる固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0047】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異なる変換利得で少なくとも1回読み取ることが可能な画素が配置された画素部と、前記画素部の前記画素から変換利得に応じて画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の蓄積ノードを有する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、前記出力ノードに接続された接続素子と、前記接続素子を介して前記出力ノードの電荷を蓄積可能な第2の蓄積ノードを含み、前記光電変換素子の蓄積容量を超えた信号電荷量を蓄積できる蓄積容量素子と、を少なくとも含み、前記読み出し部は、オーバーフロー電荷信号および前記光電変換素子の蓄積電荷信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号を出力するアナログデジタル変換部(ADC)と、別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADCから出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部と、を含み、前記読み出し部は、前記出力ノードと前記第1の蓄積ノードと前記第2の蓄積ノードとを結合状態に保持して前記オーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、前記出力ノードと前記第2の蓄積ノードとを非結合状態に保持して前記蓄積電荷信号読み出し動作を制御する。
【0048】
本発明の第2の観点は、光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異なる変換利得で少なくとも1回読み取ることが可能な画素が配置された画素部と、前記画素部の前記画素から変換利得に応じて画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の蓄積ノードを有する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、前記出力ノードに接続された接続素子と、前記接続素子を介して前記出力ノードの電荷を蓄積可能な第2の蓄積ノードを含み、前記光電変換素子の蓄積容量を超えた信号電荷量を蓄積できる蓄積容量素子と、を少なくとも含み、前記読み出し部は、オーバーフロー電荷信号および前記光電変換素子の蓄積電荷信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号を出力するアナログデジタル変換部(ADC)と、別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADCから出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部と、を含む、固体撮像装置の駆動方法であって、前記読み出し部において、前記出力ノードと前記第1の蓄積ノードと前記第2の蓄積ノードとを結合状態に保持して前記オーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、前記出力ノードと前記第2の蓄積ノードとを非結合状態に保持して前記蓄積電荷信号読み出し動作を制御し、読み出しシーケンスにおいて、前記オーバーフロー電荷信号の読み出し動作を、前記出力ノードでの電荷混合なしで前記蓄積電荷信号の読み出し動作の前に行う。
【0049】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異なる変換利得で少なくとも1回読み取ることが可能な画素が配置された画素部と、前記画素部の前記画素から変換利得に応じて画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の蓄積ノードを有する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、前記出力ノードに接続された接続素子と、前記接続素子を介して前記出力ノードの電荷を蓄積可能な第2の蓄積ノードを含み、前記光電変換素子の蓄積容量を超えた信号電荷量を蓄積できる蓄積容量素子と、を少なくとも含み、前記読み出し部は、オーバーフロー電荷信号および前記光電変換素子の蓄積電荷信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号を出力するアナログデジタル変換部(ADC)と、別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADCから出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部と、を含み、前記読み出し部は、前記出力ノードと前記第1の蓄積ノードと前記第2の蓄積ノードとを結合状態に保持して前記オーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、前記出力ノードと前記第2の蓄積ノードとを非結合状態に保持して前記蓄積電荷信号読み出し動作を制御する。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能となる。
さらに本発明によれば、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、大きな飽和と小さなダークノイズを実現することが可能で、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素の一例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびカラム読み出し回路に適用されるADC(アナログデジタル変換部)の構成例を示す回路図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびカラム読み出し回路に接続されるデジタル演算処理部(ISP)の構成例を示すブロック図である。
【
図5】は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作例を示す図であって、画素の回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【
図6】本第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびデジタル演算処理部における読み出し処理、並びに、電荷混合および線形化処理の第1例について説明するための図である。
【
図7】デジタルドメインでの電荷混合におけるレベルダイアグラムおよび光応答例を示す図である。
【
図8】デジタルドメインの電荷混合における予想される光応答プロットの一例を示す図である。
【
図9】
図6に示す本第1の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームの第1例を説明するための図である。
【
図10】
図9の本第1の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す第1図である。
【
図11】
図9の本第1の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す第2図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびデジタル演算処理部における読み出し処理、並びに、電荷混合および線形化処理の第2例について説明するための図である。
【
図13】フォトダイオードPDおよびフローティングディフュージョンFDの光電荷に対するFDノードでの光応答の一例を示す図である。
【
図14】デジタルドメインと電荷ドメインの電荷混合を比較するための性能概要を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る共有画素の4つのフォトダイオード、転送トランジスタ、並びに、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタの配置例を示す簡略平面図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な読み出し動作例を示す図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICおよびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【
図19】線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図21】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素を採用した場合の、通常の操作での推定ダイナミックレンジ性能を参考として示す図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素の一例を示す回路図である。
【
図23】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素に採用可能なLOFIC時、PD電荷信号読み出し、FDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートである。
【
図24】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDR時の読み出し動作例を示すタイミングチャートである。
【
図25】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の一例を示す回路図である。
【
図26】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第1例に含まれる非共有画素のレイアウト例を示す図である。
【
図27】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の第2例を示す回路図である。
【
図28】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第2例に含まれる非共有画素のレイアウト例を示す図である。
【
図29】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の第3例を示すレイアウト図および回路図である。
【
図30】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な読み出し動作例を示す図である。
【
図31】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICおよびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【
図32】本第4の実施形態の線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す図である。
【
図33】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なスキミングング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図34】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素を採用した場合の、通常の操作での推定ダイナミックレンジ性能を参考として示す図である。
【
図35】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第1例を示す図であって、画素の第1回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【
図36】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第1例における読み出し信号の接合点とADCウィンドウでの2QDPS信号ギャップにおける光応答特性を示す図である。
【
図37】本発明の第5の実施形態に係るデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す第1図である。
【
図38】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびデジタル演算処理部におけるメモリ処理、並びに、電荷混合および線形化処理について説明するための図である。
【
図39】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第2例を示す図であって、画素の第2回路例およびタイミングチャートを関連付けて示す図である。
【
図40】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置10のカラム読み出し回路およびデジタル演算処理部におけるメモリ処理、並びに、電荷混合および線形化処理の第2例について説明するための図である。
【
図41】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第3例を示す図であって、画素の第3回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【
図42】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置に係るデジタル画素センサ(DPS)の画素に対する冗長メモリ割り当てオプションの概要を示す図である。
【
図43】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0053】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素の一例を示す回路図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびカラム読み出し回路に適用されるADC(アナログデジタル変換部)の構成例を示す回路図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびカラム読み出し回路に接続されるデジタル演算処理部の構成例を示すブロック図である。
【0054】
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0055】
この固体撮像装置10は、
図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、タイミング制御回路60およびデジタル演算処理部(ISP)70を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、タイミング制御回路60、およびデジタル演算処理部70により画素信号の読み出し部80が構成される。
【0056】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10、後で詳述するように、画素部20に行列状に配列される画素200(または画素部20)は、光電変換により生成した電荷を蓄積し、蓄積した光電荷を異な変換利得、たとえば第1の変換利得(高変換利得:HCG)および第2の変換利得(低変換利得:LCG)で少なくとも1回読み取ることが可能に形成されている。
そして、読み出し部80の制御の下、画素部20の画素200から変換利得に応じて画素信号が読み出される。
【0057】
本実施形態において、画素200から読み出される信号は、後段でCDS(相関二重サンプリング)を行うことから、第1のリセット信号VRST1(以下、N1と表記する場合もある)と、蓄積電荷信号SACとしての第1の輝度信号VSIG1(以下、S1と表記する場合もある)、並びに、第2のリセット信号VRST2(以下、N2と表記する場合もある)と、オーバーフロー電荷信号SOVとしての第2の輝度信号VSIG2(以下、S2と表記する場合もある)の2組のリセット信号VRST(N1,N2)および輝度信号VSIG(S1,S2)である。
【0058】
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、画素のダイナミックレンジを向上させる特徴的な構造として、LOFIC(横型オーバーフロー蓄積容量)構成が採用されている。
【0059】
LOFIC構成の画素は、フォトダイオード(PD)、フローティングディフュージョン(FD)、転送トランジスタ(TG)、リセットトランジスタ(RST)、ソースフォロワトランジスタ(SF)を含む基本的構成に、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタ(CS)および蓄積接続素子としての蓄積トランジスタ(BIN)が追加されており、同一露光時間にフォトダイオードから溢れた過飽和電荷(オーバーフロー電荷)を捨てずに蓄積キャパシタ(CS)に蓄積する。
【0060】
このLOFIC画素は、フローティングディフュージョンFDの容量Cfd1による変換利得(高利得側:1/Cfd1に比例)と、フローティングディフュージョンの容量Cfd1+蓄積キャパシタCSのLOFIC容量Cloficによる変換利得(低利得側:1/(Cfd1+Clofic)に比例)の2種類を持つことができる。
すなわち、LOFIC画素では、低変換利得(LCG)信号と高変換利得(HCG)信号をそれぞれ使用して、大きな飽和と小さなダークノイズを実現する。
【0061】
本第1の実施形態の固体撮像装置10にいては、オーバーフロー電荷信号SOVに関連する第2の輝度信号S2および第2のリセット信号N2が低変換利得(LCG)をもって読み出され、蓄積電荷信号SACに関連する第1の輝度信号S1および第1のリセット信号N1が高変換利得(HCG)をもって読み出される。
【0062】
本第1の実施形態において、読み出し部80は、オーバーフロー電荷信号SOVおよびフォトダイオード(光電変換素子)PDの蓄積電荷信号SACを、アナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行ってデジタル化したオーバーフロー電荷信号DOVおよび蓄積電荷信号DACを出力するアナログデジタル変換部(ADC)410と、カラムADC420と、別ノードで蓄積されるためにゲインとオフセットが異なる、ADC410から出力されたオーバーフロー電荷信号および蓄積電荷信号の線形化処理を行うデジタル演算処理部70と、を有している。
読み出し部80は、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDと、フォトダイオードPDの第1の蓄積ノードND1と、蓄積キャパシタCSの第2の蓄積ノードND2とを結合状態に保持してオーバーフロー電荷信号読み出し動作を制御し、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDと、蓄積キャパシタCSの第2の蓄積ノードND2とを非結合状態に保持して蓄積電荷信号読み出し動作を制御する。
【0063】
本第1の実施形態では、読み出し部80は、読み出しシーケンスにおいて、オーバーフロー電荷信号SOVの読み出し動作を、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDでの電荷混合なしで蓄積電荷信号SACの読み出し動作の前に行うように読み出し制御を行う。
そして、本第1の実施形態において、読み出し部80は、読み出しシーケンスにおいて、低変換利得信号読み出し処理LCGSIG、低変換利得リセット読み出し処理LCGRST、高変換利得リセット読み出し処理HCGRST、および高変換利得信号読み出し処理HCGSIGを順次行うように制御する。
【0064】
画素200において、オーバーフロー電荷は、フォトダイオードPDの第1の蓄積ノードND1に接続された電荷排出パスによってスキミングされるように構成することが可能である。
【0065】
また、ADC410は、画素200の出力バッファ部211から出力される各信号に対して1回のフレーム期間において利得の異なる少なくとも1回以上のAD変換が可能である。
【0066】
また、画素200または読み出し部80は、少なくとも画素ごとにオフセット補正が実施できるように、蓄積電荷信号SACを一時的に書き込める冗長メモリRMEMを含む。
また、本第1の実施形態においては、蓄積電荷信号SACのデジタル変換結果を一時保管するメモリMEMが、画素ごと、カラムごと、またはチップ外部に設けられている。
また、画素200内に配置されたメモリは信号量に応じて取り込み信号を自動的に選択可能となるようにフラグビットFLGが形成されている。
【0067】
本第1の実施形態において、デジタル演算処理部70は、デジタル的に画素ごとに飽和バラツキ補正および利得補正(ゲイン補正)を実施しそれぞれの信号の線形のための信号処理が可能である。
デジタル演算処理部70は、蓄積電荷信号DACとオーバーフロー電荷信号DOVの電荷の総量が混合され、2つの第1の蓄積ノードND1と第2の蓄積ノードND2間で信号領域が欠落することなく線形の光応答を持つように混合され、個々の画素のデジタルコードに冗長なデジタルメモリデータが追加される。
【0068】
そして、本実施形態に係る固体撮像装置10の画素200は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能となるように、そして、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、大きな飽和と小さなダークノイズを実現することが可能で、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となるように、以下に示すような特徴的な構成が採用されている。
【0069】
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素200や画素部20、読み出し部80のAD変換部410を含むカラム読み出し回路40、デジタル演算処理部70等の特徴的な構成の概要を説明した後、画素構成、読み出し部80のAD変換部410を含むカラム読み出し回路40、デジタル演算処理部70の構成、機能等の詳細について順を追って説明する。
【0070】
(本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素、カラム読み出し系等の特徴的な構成の概要)
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、画素200では、フォトダイオードPDからの飽和した信号はフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)され、フローティングディフュージョンFDに対応する静電容量を持つ蓄積(結合)キャパシタCSにオーバーフロー電荷を保存できる。転送トランジスタ(TG―Tr)はフォトダイオードPDのPDノードとしての第1の蓄積ノードND1に蓄えられた電荷を転送できる。
【0071】
画素200は、
図2に示すように、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD、フォトダイオードPD、転送トランジスタ(TG-Tr)、リセットトランジスタ(RST-Tr)、ビニングトランジスタ(BIN―Tr)、ソースフォロワトランジスタ(SF―Tr)を含んで構成されている。
フォトダイオードPDは、転送トランジスタTG-TrがフローティングディフュージョンFDへの電荷転送に接続されている埋め込み型フォトダイオードによって形成されている。
リセットトランジスタRST-Trは、電荷転送の前に強制的にフローティングディフュージョンFDをリセットレベル(Vrst)にするために接続される。
画素200においては、フォトダイオードPDで光電気変換された電子はフォトダイオードPDの第1の蓄積ノードND1に蓄積され、転送トランジスタTG―Trによって出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0072】
読み出し部80は、読み出しシーケンスは、フローティングディフュージョンFDのオーバーフロー電荷信号(Qfd)の読み出しで開始できる。
その後、2番目のPD信号(Qpd)の読み出しが続く。
したがって、光電荷の総量はフォトダイオードPDの電荷量とフローティングディフュージョンFDの電荷量の合計(Qpd + Qfd)となる。
【0073】
蓄積された光電荷信号のそれぞれは、
図3および
図4に示すように、列(カラム)または画素単位のADC410の各信号のメモリMEM(SIG)421、MEM(RST)422のそれぞれを使用して、単一フレームで読み出すことが可能である。
フローティングディフュージョンFDの複数の変換利得読み出しは、低照度(FDの高変換利得とPD電荷量の少ないアナログ利得(ゲイン))から明光(FDの低変換利得と多量のオーバーフローFD電荷のアナログ利得(ゲイン)までの信号範囲カバーを確保するために行われる。
このシーケンスにより、より優れたダイナミック レンジと低照度SNR性能が実現される。
【0074】
AD変換とデジタルCDSは、蓄積された光電荷のそれぞれに対して対応する変換利得で行われ、QpdとQfdの電荷量に対応するリセット信号(N1、N2)と、輝度信号とリセット信号の混合信号(S1+N1、S2+N2)をデジタル化する。
これらのデジタルコードは、画素、列、およびフレームドメイン内のメモリに格納された各画素データに対して、デジタル演算処理部70において操作が行われるポストデータ処理の後に線形化が可能である。
【0075】
本第1の実施形態の固体撮像装置10のデジタル演算処理部70は、オーバーフロー電荷とPD電荷を別ノードで蓄積されているために、利得とオフセットが異なるそれぞれの信号の線形処理化後に発生する画素ごとの信号ギャップを最小化する構成を有している。
【0076】
本第1の実施形態のデジタル演算処理部70は、蓄積された電荷のそれぞれを線形化するために、
図4に示すように、利得調整部710、CDS処理部720、デジタル電荷混合線形化部730、およびデータバッファ740を含んで構成されている。
【0077】
デジタル演算処理部70は、蓄積された電荷のそれぞれを線形化するために、まず、利得調整部710によりデジタルドメインの信号利得がグローバルに調整される。
その後、対応するオフセット値が追加され、フォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFDの2つの異なる格納データ間の接合点が固定される。
蓄積されたPD電荷には多少のばらつきがあるが、PDノードとFDノードに蓄積された2つの電荷の線形化で滑らかな信号接続が得られる。
これは、すべてのPD電荷が冗長性を保持して、個々のフルウェル容量をADCウィンドウに収めるために保持できるためである。
つまり、オーバーフロー電荷の開始点がフォトダイオードPDの飽和量に合うように画素ごとに信号演算を行うことができれば、Qfd(i,j) + Qpd(i,j) の電荷蓄積ごとのリニアな信号特性が得られる。
【0078】
(本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素200、カラム読み出し系400、デジタル演算処理部70等の特徴的な構成の具体例)
以上、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素、カラム読み出し系、デジタル演算処理部等の特徴的な構成の概要について説明した。
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素200、カラム読み出し系400、デジタル演算処理部70等の特徴的な構成の具体例について順を追って説明する。
【0079】
(本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素等の特徴的な構成の概要)
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、画素200は、フォトダイオードPDを含んで構成され、フォトダイオードPDで飽和した第1の飽和信号がフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)され、フローティングディフュージョンFDに対応する静電容量を持つ蓄積(結合)キャパシタCSにオーバーフロー電荷を保存できる。転送トランジスタ(TG-Tr)はフォトダイオードPDのPDノード(第1の蓄積ノードND1)に蓄えられた電荷を転送できる。
【0080】
フォトダイオードPDには、転送ゲートとしての転送トランジスタTG-Trが接続されており、転送トランジスタTG―TrはフォトダイオードPDのPDノードに蓄えられた電荷をフローティングディフュージョンFDに転送可能である。
【0081】
画素200は、フォトダイオードPDの他に、フローティングディフュージョンFD、転送トランジスタTG-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、ビニング(BIN)トランジスタBIN-Tr、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF-Trを含んで構成されている。
【0082】
フォトダイオードPDは、転送トランジスタTG-TrがフローティングディフュージョンFDへの電荷転送経路に接続されている埋め込み型フォトダイオードによって形成される。
なお、光電気変換された電子はフォトダイオードPDに蓄積され、転送トランジスタTG-TrによってフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0083】
蓄積された光電荷信号のそれぞれは、列または画素単位のADCの各信号用のメモリのペアを使用して、単一フレームで読み出すことができる。
複数ノードのマルチ利得読み出しにより、低照度(高ゲイン)から明光(低ゲイン)まで信号範囲を確保できるダイナミックレンジの拡張が可能である。
【0084】
AD変換は、蓄積された光電荷ごとに発生する可能性があり、少なくとも複数のAD変換が異なる変換利得(変換ゲイン)に利用可能である。
これらのデジタルコードは、ポストデータ処理後に線形化されたコードにすることができる。
【0085】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、画素部20において、画素として光電変換読み出し部210を含み、カラム読み出し回路40は、AD(アナログデジタル)変換部410、およびメモリ部420を含み、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。なお、固体撮像装置10は、グローバルシャッタの動作機能を持つように構成されてもよい。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、画素配列の各列(カラム)にAD(アナログデジタル)変換部410を有しており、AD変換部410は、光電変換読み出し部により読み出される電圧信号と参照電圧とを比較し、読み出される電圧信号VSIG,VRSTに対してアナログデジタル(AD)変換処理を行い、デジタル化した比較結果信号を出力する比較器(コンパレータ)411を有している。
【0086】
比較器411は、読み出し部80の制御の下、蓄積期間(露光期間)にフォトダイオードPDから出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理と、蓄積期間後の転送期間に出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに転送されたフォトダイオードPDの蓄積電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理と、を行う。
【0087】
なお、本実施形態においては、第2の比較処理中に不規則な強い光がフォトダイオードPDに入射したとしても、フォトダイオードPDから不要な電荷をフローティングディフュージョンFD領域外に放出し、光電変換素子からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローしてFDレベルが変動することを防止するシャッタゲート(SG)を有していてもよい。
これにより、第2の比較処理中に、不規則な強い光がフォトダイオードPDに入射したとしてもFDレベルが変動することを防止し、正常なAD変換処理を実現可能となる。
【0088】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20および画素の構成および機能、それらに関連したカラム読み出し回路40、デジタル演算処理部70の読み出し構成、読み出し処理等について詳述する。
【0089】
(画素200の構成例)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素回路の一例を示している。
【0090】
画素部20は、複数の画素200がN行M列の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0091】
本第1の実施形態に係る画素200は、光電変換読み出し部210を含み、カラム読み出し回路40は、AD変換部410、およびメモリ部420を含んで構成されている。
【0092】
画素200の光電変換読み出し部210は、フォトダイオード(光電変換素子)PDと1つの画素内アンプとを含んで構成される。
【0093】
フォトダイオードPDは、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する。
フォトダイオードPDの第1の蓄積ノードND1とフローティングディフュージョンFDとの間に転送素子としての転送トランジスタTG-Trが接続されている。
【0094】
そして、光電変換読み出し部210は、一つの出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに対応して、リセット素子としてのリセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Tr、蓄積素子としての蓄積トランジスタBIN-Tr、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS、および読み出しノードND3をそれぞれ一つずつ有する。
なお、光電変換読み出し部210は、さらに選択素子としての選択トランジスタSEL-Trを有する構成をとり得る。
【0095】
そして、本第1の実施形態においては、ソースフォロワトランジスタSF-Trおよび読み出しノードND3を含んで出力バッファ部211が構成されている。
また、蓄積トランジスタBIN-Trおよび蓄積キャパシタCSを含んで利得切換部212が構成されている。
【0096】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、出力バッファ部211の読み出しノードND3がAD変換部410の入力部に接続されている。
光電変換読み出し部210は、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号VRST,VSIGをAD変換部410に出力する。
【0097】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、読み出し部80の制御の下、光電変換素子としてのフォトダイオードPDの第1の蓄積ノードND1の蓄積電荷、並びに、蓄積キャパシタCSの第2の蓄積ノードND2に対して、たとえばLOFIC読み出しモードRMLによる読み出しを行う。
【0098】
たとえば、光電変換読み出し部210は、AD変換部410の第1の比較処理期間PCMP1において、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPDから出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSIG(VRST)を出力する。
【0099】
さらに、光電変換読み出し部210は、第2の比較処理期間PCMP2において、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)をAD変換部410に出力する。
【0100】
フォトダイオードPDは、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0101】
各画素200において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による界面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0102】
光電変換読み出し部210の転送トランジスタTG-Trは、フォトダイオードPDの第1の蓄積ノードND1とフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG-Trは、制御信号TGがハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD0で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
なお、フォトダイオードPDおよびフローティングディフュージョンFDが所定のリセット電位にリセットされた後、転送トランジスタTG-Trは、制御信号TGがロー(L)レベルの非導通状態となり、フォトダイオードPDは蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が転送トランジスタTG―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFDに溢れ出す。
【0103】
リセットトランジスタRST-Trは、電源電圧VAAPIXの電源線VaapixとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源電圧VAAPIXの電源線Vaapixの電位(Vrst)にリセットする。
【0104】
接続素子としての蓄積トランジスタBIN―Trは、フローティングディフュージョンFDとリセットトランジスタRST―Trとの間に接続され、その接続ノードとしての第2の蓄積ノードND2と基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタCSが接続されている。
蓄積トランジスタBIN-Trは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号BINにより制御される。
蓄積トランジスタBIN-Trは、制御信号BINがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDと蓄積キャパシタCSとを接続する。
【0105】
本第1の実施形態では、読み出し部80は、画素の読み出しシーケンスにおいて、オーバーフロー電荷信号SOVの読み出し動作を、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDでの電荷混合なしで蓄積電荷信号SACの読み出し動作の前に行うように読み出し制御を行う。
そして、本第1の実施形態において、読み出し部80は、読み出しシーケンスにおいて、低変換利得信号読み出し処理LCGSIG、低変換利得リセット読み出し処理LCGRST、高変換利得リセット読み出し処理HCGRST、および高変換利得信号読み出し処理HCGSIGを順次行うように制御する。
【0106】
第2の変換利得信号読み出し処理LCGSIG時または第2の変換利得リセット読み出し処理LCGRST時には、蓄積トランジスタBIN-Trは導通状態に保持され、出力ノードであるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷を共有させて読み出し処理が実行される。
第2変換利得リセット読み出し処理LCGRST時には、リセットトランジスタRST-Trおよび蓄積トランジスタBIN-Trが導通状態に保持され、出力ノードNDであるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷をクリアさせて読み出し処理が実行される。
第1の変換利得リセット信号読み出し処理HCGSIG時または第1の変換利得信号読み出し処理HCGSIG時には、蓄積トランジスタBIN-Trは非導通状態に保持され、出力ノードであるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷を分離させて読み出し処理が実行される。
【0107】
ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Trは、ソースが読み出しノードND3に接続され、ドレイン側が電源線Vaapixに接続され、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。
そして、出力バッファ部211を形成する読み出しノードND3は、AD変換部410の入力部に接続された信号線LSGN1に接続されている。
読み出しノードND3が接続された信号線LSGN1と基準電位VSS(たとえばGND)の間に電流源素子が接続されている。
そして、読み出しノードND3とAD変換部410の入力部間の信号線LSGN1は、電流源素子により駆動される。
【0108】
AD変換部410は、光電変換読み出し部210により出力されるアナログの電圧信号VSIGを、所定の傾きを持たせて変化させたランプ波形または固定電圧の参照電圧VREFと比較して、デジタル信号に変換する機能する。
【0109】
AD変換部410は、
図3に示すように、比較器(COMP)411、入力側の結合キャパシタCC、アナログ利得バッファ412,出力側の負荷キャパシタCL1、およびリセットスイッチSW-RSTを含んで構成されている。
【0110】
比較器411は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に出力された電圧信号VSIGが供給され、第2の入力端子としての非反転入力端子(+)に参照電圧VREFが供給され、電圧信号VSTと参照電圧VREFとを比較し、デジタル化した比較結果信号SCMPを出力するAD変換処理(比較処理)を行う。
【0111】
比較器411は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に結合キャパシタCC1が接続されており、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211とAD変換部410の比較器411の入力部をAC結合することにより、低ノイズ化を図り、低照度時に高SNRを実現可能なように構成されている。
【0112】
また、比較器411は、出力端子と第1の入力端子としての反転入力端子(-)との間にリセットスイッチSW-RSTが接続され、出力端子と基準電位VSSとの間に負荷キャパシタCL1が接続されている。
【0113】
基本的に、AD変換部410においては、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に読み出されたアナログ信号(電位VSIG)は比較器411で参照電圧VREF、たとえばある傾きを持った線形に変化するスロープ波形であるランプ信号RAMPと比較される。
このとき、たとえば比較器411と同様に列毎に配置された図示しないカウンタが動作しており、ランプ波形のあるランプ信号RAMPとカウンタ値が一対一の対応を取りながら変化することで電圧信号VSIGをデジタル信号に変換する。
基本的に、AD変換部410は、参照電圧VREF(たとえばランプ信号RAMP)の変化は電圧の変化を時間の変化に変換するものであり、その時間をある周期(クロック)で数えることでデジタル値に変換する。
そして、アナログ信号VSIGとランプ信号RAMP(参照電圧VREF)が交わったとき、比較器411の出力が反転し、図示しないカウンタの入力クロックを停止し、または、入力を停止していたクロックを図示しないカウンタに入力し、そのときのカウンタの値(データ)がメモリ部420に記憶されてAD変換を完了させる。
以上のAD変換期間終了後、メモリ部420に格納されたデータ(信号)はカラム読み出し力回路40からデジタル演算処理部70に出力され、所定の信号処理により2次元画像が生成される。
【0114】
メモリ部420はSRAMやDRAMにより構成され、デジタル変換された信号が供給され、フォトコンバージョン符号に対応し、画素アレイ周辺のカラム読み出し回路40の外部IOバッファにより読み出すことができる。
本例では、メモリ部420は、比較器411の出力に2つのメモリ421,422が接続されている。
【0115】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通して画素200の光電変換読み出し部210の駆動を行う。
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じて、各比較器411に対して、比較処理に準じて設定される参照電圧VREFを供給する。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0116】
カラム読み出し回路40は、画素部20の各カラム(列)出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0117】
カラム読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0118】
カラム読み出し回路40は、たとえば
図3および
図4に示すように、上記したAD変換部410を複数採用し、画素部20の各列出力の読み出し信号VSIGをデジタル信号に変換する、いわゆるカラムAD変換部410を含んで構成されてもよい。
【0119】
タイミング制御回路50は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0120】
本第1の実施形態において、読み出し部80は、画素200からの画素信号の読み出し制御を行う。
【0121】
次に、第1の実施形態における画素信号の読み出し動作方法についてさらに説明する。
本第1の実施形態において、画素に採用可能な読み出し動作方法としては、たとえば、次の第1のケースと第2のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0122】
第1のケースは、単一露光(シングルエクスポージャー)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンス時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、フォトダイオードPDの電荷を高変換利得HCGで読み出し、フローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0123】
第2のケースは、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、フォトダイオードPDの電荷を高変換利得HCGで読み出し、フローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0124】
図5(A)、(B)、および(C)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作例を示す図であって、画素の回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【0125】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、フォトダイオードPDを読み出し対象としてLOFICによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、本第1の実施形態では、読み出し部80は、画素の読み出しシーケンスにおいて、オーバーフロー電荷信号SOVの読み出し動作を、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDでの電荷混合なしで蓄積電荷信号SACの読み出し動作の前に行うように読み出し制御を行う。
そして、本第1の実施形態において、読み出し部80は、読み出しシーケンスにおいて、低変換利得信号読み出し処理LCGSIG、低変換利得リセット読み出し処理LCGRST、高変換利得リセット読み出し処理HCGRST、および高変換利得信号読み出し処理HCGSIGを順次行うように制御する。
【0126】
以上、第1の実施形態に係る固体撮像装置10として、画素を含む固体撮像装置の特徴的な構成、機能、読み出し方法について説明した。
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10のデジタル演算処理部70における電荷混合および線形化処理の具体例について説明する。
【0127】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し回路およびカラム読み出し回路に接続されるデジタル演算処理部の構成例を示すブロック図である。
図6は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10のデジタル演算処理部70における電荷混合および線形化処理の第1例について説明するための図である。
【0128】
本第1の実施形態の固体撮像装置10のデジタル演算処理部70は、オーバーフロー電荷とPD電荷を別ノードで蓄積されているために、利得とオフセットが異なるそれぞれの信号の線形処理化後に発生する画素ごとの信号ギャップを最小化する構成を有している。
【0129】
本第1の実施形態のデジタル演算処理部70は、
図4に関連付けて説明したように、蓄積された電荷のそれぞれを線形化するために、
図4に示すように、利得調整部710、CDS処理部720、デジタル電荷混合線形化部730、およびデータバッファ740を含んで構成されている。
【0130】
デジタル演算処理部70は、蓄積された電荷のそれぞれを線形化するために、まず、利得調整部710によりデジタルドメインの信号利得がグローバルに調整される。
その後、CDS処理部720で対応するオフセット値が追加され、デジタル電荷混合線形化部730でフォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFDの2つの異なる格納データ間の接合点が固定される。
蓄積されたPD電荷には多少のばらつきがあるが、PDノードとFDノードに蓄積された2つの電荷の線形化で滑らかな信号接続が得られる。
これは、すべてのPD電荷が冗長性を保持して、個々のフルウェル容量をADCウィンドウに収めるために保持できるためである。
つまり、オーバーフロー電荷の開始点がフォトダイオードPDの飽和量に合うように画素ごとに信号演算を行うことにより、Qfd(i,j) + Qpd(i,j) の電荷蓄積ごとのリニアな信号特性が得られる。
【0131】
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10のデジタル演算処理部70における電荷混合および線形化処理に関する光応答特性や特徴的な構成の具体例について順を追って説明する。
【0132】
図7(A)~(C)は、デジタルドメインでの電荷結合におけるレベル準位図および光
応答例を示す図である。
【0133】
図7(A)において、PD信号に相当する光電荷はFDノードで飽和レベルまで高利得で変で換される。
LOFIC信号に相当するオーバーフロー電荷は、PD電荷飽和後にFDノードに蓄積および変換される。
フローティングディフュージョンFDの電荷はオーバーフロー充電限界まで蓄えることができる。
【0134】
図7(B)は、画素利得(ピクセルゲイン)とそのFDノードのスイング並びにアナログ利得とADCノードのスイングを示している。
画素利得(ピクセルゲイン)とそのFDノードのスイングの場合、高変換利得(HCG)で1V、低変換利得(LCG)でオーバーフロー用のLOFIC信号として2Vとなる。
アナログ利得とADCノードのスイングの場合、HCGで850mV@x1V、LCGで850mV@x2Vとなる。
【0135】
図7(C)は照度とFDノードとの関係を示している。
図において、Qpdは飽和までCg[uV/e-] が続く線形応答を示し、QfdはフォトダイオードPD飽和後の線形応答開始および開始点を示しており、個々のPD飽和に依存する。Qfdの開始信号付近のFPNは、フォトダイオードPDの飽和変動に対応している。線形応答に続いて Cg [uV/e-] が飽和からオーバーフロー飽和限界まで続く。
【0136】
図8(A)および(B)は、デジタルドメインの電荷混合における予想される光応答プロットの一例を示す図である。
図8(A)は電荷ドメインでの電荷混合における光応答プロットを示し、
図8(B)はデジタルドメインでの電荷混合における光応答プロットを示している。
【0137】
(電荷ドメインでの電荷混合)
この場合の対象は、PD信号の電圧レベルとFDノードの混合電荷である。
PD信号はフォトダイオードPDの飽和レベルまで変換利得 [uV/e-] により光電荷 [e-] に応じて増加する。
LOFIC信号は、電荷転送限界まで変換利得[uV/e-]で光電荷[e-]に応じて増加する。
電荷転送のFDノードの最大制限を超えるオーバーフロー電荷が発生すると、電荷転送ラグが不完全なPDの電荷転送を引き起こす。
【0138】
(デジタル領域での電荷混合)
この場合、PD信号は、フォトダイオードPDの飽和レベルまで変換利得[uV/e-] により光電荷 [e-] に応じて増加する。
LOFIC信号は、フォトダイオードPDが飽和後、変換ゲイン[uV/e-]で光電荷[e-]に応じて増加する。
オーバーフロー電荷 (Qfd) の信号読み出しは、FDノードでの電荷混合なしでPD信号 (Qpd) の前に行われる。
蓄積された光電荷の読み出しは独立して行われ、AD 変換後にデジタルドメインで混合される。
したがって、本第1の実施形態のように、デジタル領域で電荷混合を行うことにより、電荷転送のFDノードの最大制限を超えるオーバーフロー電荷が発生すると、電荷転送ラグが不完全なPDの電荷転送を引き起こすといった事象の発生を防止することができる。
【0139】
図9(A)および(B)は、
図6に示す本第1の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームの第1例を説明するための図である。
図9(A)は比較例としてFDドメインでの電荷混処理を示し、
図9(B)がデジタルドメインでの電荷混合処理を示している。
図10(A)~(D)は、
図9(B)の本第1の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す第1図である。
図11(A)~(D)は、
図9(B)の本第1の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す第2図である。
【0140】
図10(A)~(D)は、デジタル化された信号の演算方法を示しており、S1,N1はPD信号のリセットおよび信号レベルのデジタル化されたそれぞれのレベルの光電変換特性を示し、S2,N2はオーバーフロー電荷信号のリセットおよび信号レベルのデジタル化されたそれぞれのレベルの光電変換特性を示している。
図9および
図10は、デジタル演算処理部70により、デジタル変換後のPD蓄積電荷信号S1、リセット信号N1、オーバーフロー電荷蓄積信号S2、リセット信号N2をそれぞれ利得(ゲイン)補正処理、オフセット補正処理の演算処理が行われる。
ここでは、原理的に本来的に生じる画素ごとに、デジタル処理後に発生するオフセットバラツキ(飽和信号バラツキ、回路のオフセットバラツキなど)のデジタルドメインでの補正処理が行われる。
【0141】
図10(A)および
図11(A)は、照度とAD変換後のデジタルナンバー(DN)のロウコードを示し、上側がPD電荷信号を、下側がオーバーフロー電荷信号を示している。
図10(B)および
図11(B)においては、利得(ゲイン)調整後(×α)、LCGコードのダークオフセットが調整される。信号S1,S2のダークフレーム減算が行われる。
図10(C)および
図11(C)においては、LCGのオフセットが調整される。信号S1,S2のダークオフセット減算が行われる。負の値の場合、数値は「0」に切り捨てられる。
図10(D)および
図11(D)においては、デジタルドメインでの電荷混合処理が行われる。このとき、利得(ゲイン)調整でS2がS1に追加される。
または、利得とともに、S1あるいはS2が選択され、ペデスタルが調整される。
【0142】
図12は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のデジタル演算処理部における電荷混合および線形化処理の第2例について説明するための図である。
【0143】
この第2例のデジタル演算処理部70aが、
図6および
図11に示すデジタル演算処理部70と異なる点は、デジタルドメインでの処理がペデスタル調整を含むCDS処理とデジタル電荷混同および線形化処理である。
【0144】
本第2例によれば、第1例と同様に、蓄積された光電荷の読み出しは独立して行われ、AD変換後にデジタルドメインで混合される。
したがって、本第1の実施形態のように、デジタル領域で電荷混合を行うことにより、電荷転送のFDノードの最大制限を超えるオーバーフロー電荷が発生すると、電荷転送ラグが不完全なPDの電荷転送を引き起こすといった事象の発生を防止することができる。
【0145】
ここで、デジタルドメイン電荷混合方式について
図13に関連付けて説明する。
図13は、フォトダイオードPDおよびフローティングディフュージョンFDの光電荷に対するFDノードでの光応答の一例を示す図である。
【0146】
600Ke- でFDノードが飽和すると仮定すると、電荷ドメインと比較して、デジタルドメイン電荷混合方式は、FDノードのスイングがさらに拡大できるため、蓄積キャパシタCSの容量を小さくすることができる。
この小さい 容量Csの結果として、遷移点の信号電荷は、電荷ドメイン混合方式の場合よりも高くなる可能性がある。
したがって、この確認により、SNRドロップがより低く、より高いCg動作が実行可能になる。さらに、低ノイズ性能を実現することができる。
【0147】
(性能概要:デジタルドメインと電荷ドメインの電荷混合比較)
次に、デジタルドメインと電荷ドメインの電荷混合について、
図14に関連付けて比較して考察する。
図14は、デジタルドメインと電荷ドメインの電荷混合を比較するための性能概要を示す図である。
図14において、性能指数として、低変換、高変換利得比(CSキャップゲイン)切り替え例(#1は単一ゲイン、#2は2段のゲイン)、低電圧、画素サイズ、接合点でのSNRドロップ、ダイナミックレンジ、ダークノイズ性能が例示されている。
【0148】
CSキャップゲイン、低電圧に関して、デジタルドメインでの信号混合で完全電荷転送がないため、より低いスイングが可能である。
画素サイズに関しては、デジタルドメインの信号混合で電荷転送がないため、より高いスイングのためのCSキャップ領域の削減を図ることができる。
接合点でのSNRの低下に関しては、画素単位の信号の線形化が劣化する可能性がある。
ダイナミックレンジに関しては、FDノードスイングを広げるために拡張することができる。
ダークノイズ性能に関しては、上記により低利得時のFD部蓄積容量を実効的に減らせktcノイズレベル減らせ接続点でのSNR劣化が抑制できるので、PD充電の高変換利得動作のデジタルドメインでの混合で優れている。
【0149】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10によれば、オーバーフロー電荷とPD電荷を別ノードで蓄積されているために、利得とオフセットが異なるそれぞれの信号の線形処理化後に発生する画素ごとの信号ギャップを最小化することができることから、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本第1の実施形態によれば、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能となる。
さらに本第1の実施形態によれば、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、大きな飽和と小さなダークノイズを実現することが可能で、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となる。
【0150】
(第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
図15は、2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、すべてのオーバーフロー信号を使用している場合のシステム例を示している。
【0151】
本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aが上述した第1の実施形態に係る固体撮像装置1の画素200と異なる点は、次の通りである
【0152】
第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素200は、1つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを占有する。
【0153】
これに対して、第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aは、1つのフォトダイオードPD0に、さらに3つのフォトダイオードPD1、PD2、PD3を加えた4つのフォトダイオードPD0~PD3で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する。
具体的には、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aは、第1の転送トランジスタTG0-Trに接続された第1のフォトダイオードPD0と、第2の転送トランジスタTG1-Trに接続された第2のフォトダイオードPD1と、第3の転送トランジスタTG2-Trに接続された第3のフォトダイオードPD2と、第4の転送トランジスタTG3-Trに接続された第4のフォトダイオードPD3と、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第3の転送トランジスタTG2-Tr、および第4の転送トランジスタTG3-Trに接続されたフローティングディフュージョンFDと、第1のフォトダイオードPD0に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trと、第2のフォトダイオードPD1に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trと、第3のフォトダイオードPD2に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第3のシャッタゲートトランジスタSG2-Trと、第4のフォトダイオードPD3に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trとを備えている。
【0154】
FD共有画素200Aのレイアウトは、第1のフォトダイオードPD0,第2のフォトダイオードPD1、第3のフォトダイオードPD2、および第4のフォトダイオードPD3を含んで形成され、PD0~PD3の飽和信号SAT0~SAT3のすべてがフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)され、転送トランジスタTG(シャッタゲートトランジスタSG)の反対側は、それ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出することができる。
また、フォトダイオードPD0~PD3の飽和信号SAT0~SAT3の少なくとも1つがフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)されるように構成されているが、転送トランジスタTG(シャッタゲートトランジスタSG)の反対側はそれ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出できる。
【0155】
共有画素200Aは、各フォトダイオードPD0~PD3にはそれぞれ2つの電荷転送用トランジスタが接続されており、蓄積された電荷を排出し、蓄積時間を個別に制御できる。
また、共有画素200Aは、対応するFD共有PD上にカラーフィルタが形成される。たとえば、RGB,Gフィルタのカラーフィルタ構成は、FD共有PDの2x2ブロックに適用される。
また、共有FD構造のため、フォトダイオードPD0~PD3間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャル フルDTIを使用したBSI(Back Sided Isolations) 構造上にピクセルを形成することができる。
【0156】
(共有画素200Aの4つのPD、1つのFD等の配置例)
次に、共有画素200Aのレイアウト例について説明する。
図16(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る共有画素の4つのフォトダイオード、転送トランジスタ、並びに、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタの配置例を示す簡略平面図である。
【0157】
本例では、共有画素200Aの4つのフォトダイオードPD0,PD1,PD2,PD3、転送トランジスタTG0-Tr,TG1-Tr,TG2-Tr,TG3-Tr、シャッタゲートトランジスタSG0-Tr,SG1-Tr,SG2-Tr,SG3-Tr、並びに、1つのフローティングディフュージョンFD、蓄積トランジスタBIN-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワトランジスタSF-Tr、および選択トランジスタSEL-Trの配置例について説明する。
なお、以下の説明において、各素子の左右等の配置位置は、一例であって図示する例であることを問わない。
【0158】
共有画素200Aは、素子の形成領域として、中央部分の中央領域CTAR20、並びに、中央領域CTAR20を挟んで両側(Y方向)の第1の領域FSAR20および第2の領域SCAR20を含んで、矩形領域RCT20が割り当てられている。
【0159】
第1の領域FSAR20には、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、並びに、第3のフォトダイオードPD2、第3の転送トランジスタTG2-Tr、第3のシャッタゲートトランジスタSG2-TrがX方向に隣接するように形成されている。
図16の例では、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが第1の領域FSAR20の図中左側(左半分の領域)に形成され、第3のフォトダイオードPD2、第3の転送トランジスタTG2-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが第1の領域FSAR20の図中右側(右半分の領域)に形成されている。
第1の転送トランジスタTG0-Trおよび第3の転送トランジスタTG2-Trが中央領域CTAR20側に、平面視して三角形状に形成されている。
第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trおよび第3のシャッタゲートトランジスタSG2-Trが外側矩形領域RCTの角部側に、平面視して三角形状に形成されている。
【0160】
第2の領域SCAR20には、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Tr、並びに、第4のフォトダイオードPD3、第4の転送トランジスタTG3-Tr、第4のシャッタゲートトランジスタSG3-TrがX方向に隣接するように形成されている。
図16の例では、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trが第2の領域SCAR20の図中左側(左半分の領域)に形成され、第4のフォトダイオードPD3、第4の転送トランジスタTG3-Tr、第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trが第2の領域CSAR20の図中右側(右半分の領域)に形成されている。
第2の転送トランジスタTG1-Trおよび第4の転送トランジスタTG3-Trが中央領域CTAR20側に、平面視して三角形状に形成されている。
第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trおよび第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trが外側矩形領域RCTの角部側に、平面視して三角形状に形成されている。
【0161】
図16(A)の例では、第1の領域FSAR20には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0162】
図16(B)の例では、中央領域CTAR20には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0163】
図16(C)の例では、第2の領域SCAR20には、そのX方向の図中右側に、フローティングディフュージョンFD、蓄積トランジスタBIN-Tr、リセットトランジスタRST-Trが形成され、第1の領域FSAR20の上左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0164】
これらの画素レイアウトにおいて、4つのフォトダイオードPD0~PD3は4つの対応する転送トランジスタTG0-Tr~TG3-Trを介して1つのフローティングディフュージョンFDに結合される。
オーバーフローの方向は、転送トランジスタTGの下のチャネル形成によって歪曲される可能性がある。
PD領域のいずれかに配置された画素トランジスタコンポーネントは、そのPDサイズを調整して、そのスペースを確保できる。
【0165】
次に、第2の実施形態における画素信号の読み出し動作方法についてさらに説明する。
図17(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な読み出し動作例を示す図である。
【0166】
共有画素に採用可能な読み出し動作方法としては、たとえば、
図17(A)、(B)、および(C)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0167】
図17(A)に記載のケースは、全画素読み出しまたはビニング時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はシングル利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGまたは低変換利得(第2の変換利得)LCGのいずれかが適用される。
この場合の読み出し対象は、第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1のいずれかである。
【0168】
図17(B)に記載のケースは、単一露光(シングルエクスポージャー)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンス時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2に第2のフォトダイオードPD1の電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0169】
図17(C)に記載のケースは、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0170】
図18(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICおよびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【0171】
共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の読み出し動作方法としては、たとえば、
図18(A)、(B)および(C)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0172】
図18(A)は、オーバーフロー電荷を含むフローティングディフュージョンFDを読み出す方法を例示している。
図18(B)は、フォトダイオードPDの電荷を高変換利得により読み出す方法を例示している。
図18(C)は、フォトダイオードPDの電荷を低変換利得により読み出す方法を例示している。
【0173】
図19(A)~(D)は、線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す図である。
【0174】
図19(A)は、本第2の実施形態のカラム読み出し回路400Aおよびデジタル演算処理部70Aで行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す等価回路を示している。
カラム読み出し回路400Aにおいて、フローティングディフュージョンFDのオーバーフロー電荷信号、高変換利得(第1の変換利得)HCGによるPD電荷信号、および低変換利得(第2の変換利得)LCGによるPD電荷信号がデジタル化されてデジタル演算処理部70A供給される。
デジタル演算処理部70Aにおいては、オーバーフロー電荷信号と低変換利得(LCG)によるPD電荷信号とを利得調整を伴いつつ第1処理aとしての第1の線形化処理が行われる。
そして、第1の線形化処理による電荷信号と高変換利得(HCG)によるPD電荷信号とを利得調整を伴いつつ第2処理としての第2の線形化処理が行われる。
【0175】
図19(B)は、照度とAD変換後のデジタルナンバー(DN)のロウコードを示し、上側がPD電荷信号を、下側がオーバーフロー電荷信号を示している。
図19(C)においては、利得(ゲイン)調整後(×α)、LCGコードのダークオフセットが調整される。信号S1,S2のダークフレーム減算が行われる。
図19(D)においては、LCGのオフセットが調整される。信号S1,S2のダークオフセット減算が行われる。負の値の場合、数値は「0」に切り捨てられる。
図19(C)および
図19(D)においては、デジタルドメインでの電荷混合処理が行われる。このとき、利得(ゲイン)調整でS2がS1に追加される。
【0176】
図20(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【0177】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、フローティングディフュージョンFDを読み出し対象として、低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(FD)が行われる。
次に、所定の、たとえば第1のフォトダイオードPD0を読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、第1のフォトダイオードPD0に対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD)、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD)が順を追って行われる。
次に、フローティングディフュージョンFDを読み出し対象として、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(FD)が行われる。
【0178】
図21は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素を採用した場合の、通常の操作での推定ダイナミックレンジ性能を参考として示す図である。
図21において、Total DR Max [db]: 20x log (最大累積フォト電荷/ノイズ) 最大処理電荷、対応ノード (Q): (PD または FD) の累積フォト電荷、対応ノイズ Tnoise: 読み出しノイズ(TemporalNoise)を示している。
図21からわかるように、本第2の実施形態に係る固体撮像装置は、従来のビニング方式を採用した比較して、十分に高いダイナミックレンジ性能を得ることが可能となる。
【0179】
以上説明したように、本第2の実施形態において、共有FD画素のレイアウトは、第1~第4のフォトダイオードPD0~PD3により構成され、PD飽和信号のすべてがフローティングディフュージョンFDに完全に転送 (オーバーフロー) され、転送ゲートTG(SG) の反対側は、それ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出可能である。
画素は、FD共有PDおよび上記第1の実施形態で説明した他の構成要素から構成される。各フォトダイオードPD0~PD3には2つの転送ゲートが接続されており、蓄積された電荷を排出して蓄積時間を個別に制御できる。
この構成により、共有PDのビニング機能を使用することができる。さらに、2x2 ビニングでは、すべてのオーバーフロー電荷がFDノードに完全に拡張されて保存される。
また、読み出しシーケンスは、第1の実施形態と同様のシーケンスを採用でき、本第2の実施形態では、複数利得読み出しシーケンスが示されている。
【0180】
次に、第3の実施形態(変形例)として外部FDのオーバーフロー電荷ストレージについて説明する。
【0181】
(第3の実施形態)
図22(A)および(B)は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素の一例を示す回路図である。
【0182】
図22の非FD共有画素200Bは、アンチブルーミングAB機能およびPLS軽減機能を伴うFDビニング機能を使用可能で、変換利得(CG)としてはトリプルCGが採用される。
図22(A)の非FD共有画素200B-1は、隣接の画素間にタイドスイッチ(tide switch)TDSを有しており、
図22(B)の非FD共有画素200B-2は、隣接の画素間にタイドスイッチTDSを有していない。
【0183】
非FD共有画素200Bを採用する固体撮像装置10Bにおいては、オーバーフロー電荷は独立して保存される。
また、FDノードは、頻繁に使用される画素に関連付けることができる。
【0184】
図23、
図24には、第3の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素に採用可能な読み出し動作例のタイミングチャートが、各読み出し処理とともに示されている。
【0185】
図23は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素に採用可能なLOFIC時、PD電荷信号読み出し、FDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであ。
【0186】
本例では、FDノードでの電荷混合のための隣接画素とのタイドスイッチTDSが設けられている
本例の読み出し処理においては、LOFIC時の読み出し利得である低変換利得(LCG)が適用され、低変換利得輝度信号読み出し処理LCG(LOFIC)SIG(FD)が行われ、次いで、低変換利得リセット信号読み出し処理LCG(LOFIC)RST(PD)が行われる。
【0187】
図24は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の非FD共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDR時の読み出し動作例を示すタイミングチャートである。
【0188】
本例の読み出し処理においては、LOFIC時の読み出し利得である低変換利得(LCG)が適用され、低変換利得輝度信号読み出し処理LCG(LOFIC)SIG(FD)が行われ、次いで、低変換利得リセット信号読み出し処理LCG(LOFIC)RST(PD)が行われる。
次に、所定の、フォトダイオードPDを読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、フォトダイオードPDに対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD)、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD)が順を追って行われる。
【0189】
本例では、LOFIC信号とPD信号をデジタルドメインで加算する。すなわち、FDノードで加算せず後で加算する。これは、SNRGAP対策となる。
また、本例によれば、オーバーフロー電荷信号を完全3Tモードとして読み出せるためFDスウィングが十分にとれ飽和も倍化できる。
【0190】
以上説明したように、本第3の実施形態において、非共有FD画素のレイアウトは、PD飽和信号のすべてがフローティングディフュージョンFDに完全に転送 (オーバーフロー) され、転送ゲートTG(SG) の反対側は、それ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出可能である。
画素は、非FD共有PDおよび上記第1の実施形態で説明した他の構成要素から構成される。各フォトダイオードには2つの転送ゲートが接続されており、蓄積された電荷を排出して蓄積時間を個別に制御できる。
この構成により、非共有FDのビニング機能を使用することができる。さらに、2x2 ビニングでは、すべてのオーバーフロー電荷がFDノードに完全に拡張されて保存される。このビニングでは、必要に応じてFDノードが拡張されてさらなる低利得の動作が可能である。
また、読み出しシーケンスは、第1の実施形態と同様のシーケンスを採用でき、本第3の実施形態では、複数利得読み出しシーケンスが示されている。さらに、FDをPD信号の一時蓄積ノードとしてグローバル的に画素アレイ全体を同時に読み出せることから、ディストーションがない画像を得ることができる。
【0191】
次に、第4の実施形態(変形例)としてフリッカーノイズ軽減のためのオーバーフロー電荷スキミングについて説明する。
【0192】
(第4の実施形態)
図25は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の第1例を示す回路図である。
図26は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第1例に含まれる非共有画素のレイアウト例を示す図である。
【0193】
本第4の実施形態に係る第1例の画素200Cが前述した第1の実施形態の画素200と異なる点は以下の通りである。
【0194】
すなわち、本第4の実施形態の第1例の画素200Cは、フォトダイオードPDの電荷蓄積ノードND1と電源電位VAAPIXの電源線Vaapixとの間に、アンチブルーミングAB機能を併せ持つ電荷オーバーフローゲート素子としてのシャッタゲートトランジスタSG-Trが接続されている。シャッタゲートトランジスタSG-Trは、制御線を通じて印加される制御信号SG1により制御される。
シャッタゲートトランジスタSG-Trは、制御信号SGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDの電荷蓄積ノードND1と所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パス(経路)を形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0195】
なお、転送トランジスタTG-TrとシャッタゲートトランジスタSG-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0196】
画素200Cにおいて、オーバーフローゲートとしてのシャッタゲートトランジスタSG1-TrはフォトダイオードPDに結合され、オーバーフロー電荷をスキミングする。オーバーフロー電荷をオーバーフローゲート数で等分することで、スキミングエラーを抑えることができる。
この構成により、検出可能なオーバーフロー電荷が増加し、結果としてダイナミックレンジDRが拡張され、従来のスキミング型センサ操作と比較して、スキミングエラーによるSNR低下を抑えられる。
読み出しシーケンスとしては前述の第1の実施形態と同様のシーケンスを採用可能である。
【0197】
図27は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の第2例を示す回路図である。
図28は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第2例に含まれる非共有画素のレイアウト例を示す図である。
【0198】
本第4の実施形態に係る第2例の画素200Dが前述した第1の実施形態の画素200と異なる点は以下の通りである。
【0199】
すなわち、本第4の実施形態の第2例の画素200Dは、フォトダイオードPDの電荷蓄積ノードND1と電源電位VAAPIXの電源線Vaapixとの間に、アンチブルーミングAB機能を併せ持つ電荷オーバーフローゲート素子としての3つのシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、SG1-Tr、SG2-Trが並列に接続されている。シャッタゲートトランジスタSG0-Tr、SG1-Tr、SG2-Trは、それぞれ制御線を通じて印加される制御信号SG0,SG1、SG2により制御される。
シャッタゲートトランジスタSG-Trは、制御信号SGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDの電荷蓄積ノードND1と所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パス(経路)を形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0200】
なお、転送トランジスタTG0-Tr、TG1-Tr、TG2-TrとシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、SG1-Tr、SG2-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0201】
画素200Dは、FD共有PDおよび第1の実施形態で説明した他の構成要素から構成される。
2番目のオーバーフローゲートとしてのシャッタゲートトランジスタSG1-TrはフォトダイオードPDに結合され、オーバーフロー電荷をスキミングする。オーバーフロー電荷をオーバーフローゲート数で等分することで、スキミングエラーを抑えることができる。
この構成により、検出可能なオーバーフロー電荷が増加し、結果としてダイナミックレンジDRが拡張され、従来のスキミング型センサ操作と比較して、スキミングエラーによるSNR低下を抑えられる。
読み出しシーケンスとしては前述の第1の実施形態と同様のシーケンスを採用可能である。
【0202】
図29(A)および(B)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の第3例を示すレイアウト図および回路図である。
なお、
図29(A)のレイアウトはすでに説明した
図16(B)と同様であるため、ここでのその詳細な説明は省略する。
【0203】
本第4の実施形態に係る第3例の画素200Eが前述した第1の実施形態の画素200と異なる点は以下の通りである。
【0204】
第2の実施形態の画素200Aにおいては、フォトダイオードPDのオーバーフロー電荷の流れる方向が転送トランジスタTG0-Tr~TG3-Trを介してフローティングディフュージョンFDに向かう方向である。
【0205】
これに対して、本第4の実施形態の第3例の画素200Eにおいては、フォトダイオードPDのオーバーフロー電荷の流れる方向がシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、SG1-Tr、SG2-Tr、SG3-Trを介して電源電位(固定電位)VAAPIXに向かう方向であり、フォトダイオードPDの電荷蓄積ノードと所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パス(経路)を形成し、オーバーフロー電荷をドレイン側(固定電位VAAPIX側)に放出させる。
【0206】
なお、転送トランジスタTG0-Tr、TG1-Tr、TG2-Tr、TG3-TrとシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、SG1-Tr、SG2-Tr、SG3-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0207】
画素200Eにおいては、2番目のオーバーフローゲートとしてのシャッタゲートトランジスタSG1-TrはフォトダイオードPDに結合され、オーバーフロー電荷をスキミングする。オーバーフロー電荷をオーバーフローゲート数で等分することで、スキミングエラーを抑えることができる。
この構成により、検出可能なオーバーフロー電荷が増加し、結果としてダイナミックレンジDRが拡張され、従来のスキミング型センサ操作と比較して、スキミングエラーによるSNR低下を抑えられる。
読み出しシーケンスとしては前述の第1の実施形態と同様のシーケンスを採用可能である。
【0208】
次に、第4の実施形態における画素信号の読み出し動作方法についてさらに説明する。
図30(A)、(B)、および(C)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な読み出し動作例を示す図である。
【0209】
共有画素に採用可能な読み出し動作方法としては、たとえば、
図30(A)、(B)、および(C)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0210】
図30(A)に記載のケースは、たとえば全画素読み出しまたはビニング時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はシングル利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGまたは低変換利得(第2の変換利得)LCGのいずれかが適用される。
この場合の読み出し対象は、たとえば第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1のいずれかである。
【0211】
図30(B)に記載のケースは、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0212】
図30(C)に記載のケースは、LOFICスキミング時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0213】
図31(A)、(B)、および(C)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICおよびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【0214】
共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の読み出し動作方法としては、たとえば、
図31(A)、(B)および(C)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0215】
図31(A)は、オーバーフロー電荷を含むフローティングディフュージョンFDを読み出す方法を例示している。
図31(B)は、フォトダイオードPDの電荷を高変換利得により読み出す方法を例示している。
図31(C)は、フォトダイオードPDの電荷を低変換利得により読み出す方法を例示している。
【0216】
図32(A)~(D)は、本第4の実施形態の線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す図である。
【0217】
図32(A)は、本第4の実施形態のカラム読み出し回路400Cおよびデジタル演算処理部70Cで行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す等価回路を示している。
カラム読み出し回路400Cにおいて、フローティングディフュージョンFDのオーバーフロー電荷信号、高変換利得(第1の変換利得)HCGによるPD電荷信号、および低変換利得(第2の変換利得)LCGによるPD電荷信号がデジタル化されてデジタル演算処理部70A供給される。
デジタル演算処理部70Cにおいては、オーバーフロー電荷信号と低変換利得(LCG)によるPD電荷信号とを利得調整を伴いつつ第1処理aとしての第1の線形化処理が行われる。
そして、第1の線形化処理による電荷信号と高変換利得(HCG)によるPD電荷信号とを利得調整を伴いつつ第2処理としての第2の線形化処理が行われる。
【0218】
図32(B)は、照度とAD変換後のデジタルナンバー(DN)のロウコードを示し、上側がPD電荷信号を、下側がオーバーフロー電荷信号を示している。
図32(C)においては、利得(ゲイン)調整後(×α)、LCGコードのダークオフセットが調整される。信号S1,S2のダークフレーム減算が行われる。
図32(D)においては、LCGのオフセットが調整される。信号S1,S2のダークオフセット減算が行われる。負の値の場合、数値は「0」に切り捨てられる。
図32(C)および
図32(D)においては、デジタルドメインでの電荷混合処理が行われる。このとき、利得(ゲイン)調整でS2がS1に追加される。
【0219】
図33(A)および(B)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なスキミングング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【0220】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、フローティングディフュージョンFDを読み出し対象として、低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(FD)が行われる。
次に、所定の、たとえば第1のフォトダイオードPD0を読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、第1のフォトダイオードPD0に対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD)、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD)が順を追って行われる。
次に、フローティングディフュージョンFDを読み出し対象として、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(FD)が行われる。
【0221】
図34は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素を採用した場合の、通常の操作での推定ダイナミックレンジ性能を参考として示す図である。
図34において、Total DR Max [db]: 20x log (最大累積フォト電荷/ノイズ) 最大処理電荷、対応ノード (Q): (PD または FD) の累積フォト電荷、対応ノイズ Tnoise: 読み出しノイズ(TemporalNoise)を示している。
【0222】
図34からわかるように、本第4の実施形態に係る固体撮像装置は、従来のスキミング方式を採用した固体撮像装置と比較して、十分に高いダイナミックレンジ性能を得ることが可能となる。
【0223】
以上説明したように、本第4の実施形態において、画素200Eにおいては、2番目のオーバーフローゲートとしてのシャッタゲートトランジスタSG1-TrはフォトダイオードPDに結合され、オーバーフロー電荷をスキミングする。オーバーフロー電荷をオーバーフローゲート数で等分することで、スキミングエラーを抑えることができる。
この構成により、検出可能なオーバーフロー電荷が増加し、結果としてダイナミックレンジDRが拡張され、従来のスキミング型センサ操作と比較して、スキミングエラーによるSNR低下を抑えられる。
読み出しシーケンスとしては前述の第1の実施形態あるいは第2の実施形態と同様のシーケンスを採用可能である。
【0224】
次に、第5の実施形態(変形例)として、画素ごとに複数セット、たとえば3セットのインピクセルメモリが配置された場合の画素回路系のブロック構成例、並びに、データ処理例について説明する。
【0225】
(第5の実施形態)
図35(A)、(B)、および(C)は、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第1例を示す図であって、画素の第1回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
図36(A)および(B)は、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第1例における読み出し信号の接合点とADCウィンドウでの2QDPS信号ギャップにおける光応答特性を示す図である。
図37(A)~(D)は、本第5の実施形態のデジタル演算処理部で行われるオーバーフロー(FD)電荷とPD電荷の電荷混合スキームをより詳細に示す第1図である。
図38は、本第5の実施形態に係る固体撮像装置10のカラム読み出し回路400およびデジタル演算処理部70におけるメモリ処理、並びに、電荷混合および線形化処理について説明するための図である。
【0226】
図37(A)~(D)は、デジタル化された信号の演算方法を示しており、S1,N1はPD信号のリセットおよび信号レベルのデジタル化されたそれぞれのレベルの光電変換特性を示し、S2はオーバーフロー電荷信号の信号レベルのデジタル化されたそれぞれのレベルの光電変換特性を示している。
図37および
図38は、デジタル演算処理部70Fにより、デジタル変換後のPD蓄積電荷信号S1、リセット信号N1、オーバーフロー電荷蓄積信号S2をそれぞれ利得(ゲイン)補正処理、オフセット補正処理の演算処理が行われる。
ここでは、原理的に本来的に生じる画素ごとに、デジタル処理後に発生するオフセットバラツキ(飽和信号バラツキ、回路のオフセットバラツキなど)のデジタルドメインでの補正処理が行われる。
【0227】
本例では、読み出し回路40FのAD変換部410およびメモリ部420が画素200F内に形成されている。
メモリ部420は、第1メモリ421,第2メモリ422,第3メモリ423の3つの画素内メモリが配置されており、メモリコントローラ424によりアクセスが制御される。
第1メモリ421はオーバーフロー電荷コードS2を記憶し、第2メモリ422はPD0の電荷のADCコードを記憶し、第3メモリ423はADCのノイズのデコーダおよびオフセットレベルを記憶するように、メモリコントローラ424により制御される。
【0228】
また、
図36(A)および(B)において、「S1」はFDノードを介したフォトダイオードPDの光電荷のリニアADC変換コード示している。
「N1」はADCのダークノイズを示している。
「S2」は照度に対応するコードを反転する時間領域のオーバーフロー電荷の検出時間を示している。ADCコードの開始点は、フォトダイオードPDのオーバーフロー点に対応している。
「Ss」は飽和の開始点に相関する個々の飽和信号を示している。
【0229】
ここで、本第5の実施形態に係る
図38に示す固体撮像装置の画素に3つのメモリを採用した場合の第1例のdd読み出し動作に関するデータ処理について説明する。
【0230】
本例においては、画素ごとに3セットの3セットのインピクセルメモリが配置される。
第1メモリ421は、対応するFDノードのオーバーフロー電荷のコード (S2) をフリップするまでの時間を保持する。
第2メモリ422は、PDの蓄積ノードに保存された光電荷の対応するN1成分を含むADCコード(S1) を保持する。
これには、画素内ADC(N1)のノイズのデータコード、飽和の開始点に相関する個々の飽和信号Ssが含まれる場合がある。
第3メモリ423は、画素内 ADC(N1) のノイズのデータコードのみを保持する。
【0231】
第1メモリ421と第2メモリ422により信号S2の画素間の変動は、S2オフセット変動の元である独自のPDフルウェル(PD Full well )に基づいて画素セル単位のオフセット減算を行うことで除去することができる。
第3メモリ423は、画素内 ADC(N1) のノイズのデータコードのみを保持する。第2メモリ422データCDS処理により、S1から飽和特性バラツキに対応するオーバーフロー電荷の検出時間ばらつき(ΔSs)を排除することができる。
【0232】
次に、本第5の実施形態に係る
図39、
図40に示す固体撮像装置の画素にFPNキャンセル用のメモリを採用した場合の読み出し動作(第2例)に関するデータ処理について説明する。
【0233】
図39(A)および(B)は、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第2例を示す図であって、画素の第2回路例およびタイミングチャートを関連付けて示す図である。
図40は、本第5の実施形態に係る固体撮像装置10のカラム読み出し回路400およびデジタル演算処理部70におけるメモリ処理、並びに、電荷混合および線形化処理の第2例について説明するための図である。
【0234】
図39においては、FPNキャンセル用の外部メモリ425を使用した画素メモリ書き込み制御内の画素回路が示されている。
本例では、第1メモリ421にデータの書き込み等が行われる。第2メモリ422にはフラグビットが形成される。第3メモリ423にはロックビット形成される。
【0235】
次に、本第5の実施形態に係る
図40に示す固体撮像装置の画素に外部メモリ425を採用した場合の読み出し動作(第2例)に関するデータ処理について説明する。
【0236】
本例においては、画素あたり1セットのインピクセルメモリと1セットのフラグメモリFLGが配置される。
画素内メモリ421~423は、画素内 ADC(N1) のノイズのデータコードを含む可能性があるフォトダイオードPDの蓄積ノード(PDノード)に保存された光電荷のコード (S2) または所定の飽和蓄積電荷に対応するADC コード (S1) をフリップする時間を保持する。
フラグメモリFLGは、メモリ状態(S1 + N1)または1ビットメモリのコード (S2)を示す。
【0237】
2組の外部フレームメモリ425はノイズリダクションに使用される。
第1メモリ421および第2メモリ423はN1 および Ss 値を保持する。
信号S2の画素間の変動は、S2 オフセット変動の元である独自のPDフルウェル( PD Full well )に基づいて画素単位のオフセット減算を行うことで除去することができる。
【0238】
図41(A)、(B)、および(C)は、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の画素に採用可能な読み出し動作の第3例を示す図であって、画素の第3回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【0239】
本例では、メモリ部420は一つのフラグメモリ(FLG)422,2組のロックメモリ423-1、423-3、バンクメモリ421-1,421-2を含んで構成されている。
【0240】
図42(A)、(B)、および(C)は、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置に係るデジタル画素センサ(DPS)の画素に対する冗長メモリ割り当てオプションの概要を示す図である。
【0241】
図42(A)の例ではセンサチップSNCの画素内に画素内メモリが3セット配置されている。
図42(B)の例ではセンサチップSNCの画素内に画素内メモリが1セット配置され、オフチップOFCに外部メモリが2セット配置されている。
図42(C)の例ではセンサチップSNCの画素内にフラグビットを持つ画素内メモリが2セット配置されている。
【0242】
以上説明したように、本第5の実施形態の画素200F~200Jにおいては、画素ごとにADCおよび複数セット、たとえば3セットのインピクセルメモリが配置され、それぞれの画素において冗長なメモリを用いて個別にデジタル化された、画素毎のダークオフセットノイズ、オーバーフロー電荷、蓄積電荷の演算処理を実施することから、従来のDPS動作と比較、画素毎の蓄積電荷のばらつきによるSNR低下を抑えることが可能となる。
【0243】
以上説明した固体撮像装置10,10A~10Jは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0244】
図43は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載し
た電子機器の構成の一例を示す図である。
【0245】
本電子機器900は、
図43に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10A~10Jが適用可能なCMOSイメージセンサ910を有する。
さらに、電子機器900は、このCMOSイメージセンサ910の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)920を有する。
電子機器900は、CMOSイメージセンサ910の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)930を有する。
【0246】
信号処理回路930は、CMOSイメージセンサ910の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路930で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0247】
上述したように、CMOSイメージセンサ910として、前述した固体撮像装置10,10A~10Jを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0248】
10,10A~10J・・・固体撮像装置、20・・・画素部、PD・・・フォトダイオード、PD1・・・第2のフォトダイオード、PD2・・・第3のフォトダイオード、PD3・・・第4のフォトダイオード、TG-Tr・・・転送トランジスタ、TG1-Tr・・・第2の転送トランジスタ、TG2-Tr・・・第3の転送トランジスタ、TG3-Tr・・・第4の転送トランジスタ、SG0-Tr・・・第1のシャッタゲートトランジスタ、SG1-Tr・・・第2のシャッタゲートトランジスタ、SG2-Tr・・・第3のシャッタゲートトランジスタ、SG3-Tr・・・第4のシャッタゲートトランジスタ、FD・・・フローティングディフュージョン、RST-Tr・・・リセットトランジスタ、SF-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、BIN-Tr・・・蓄積トランジスタ、CS・・・蓄積キャパシタ、200,200A~200J・・・画素、220・・・光電変換読み出し部、30・・・垂直走査回路、40・・・カラム読み出し回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70,70A~70G・・・デジタル演算処理部、710・・・利得調整部、720・・CDS処理部、730、デジタル電荷混合線形化部、740・・・データバッファ、80・・・読み出し部、900・・・電子機器、910・・・CMOSイメージセンサ、920・・・光学系、930・・・信号処理回路(PRC)。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
【特許文献1】特開2005-328493号公報
【特許文献2】WO 2005/083790
【特許文献3】特開2007-81033号公報
【特許文献4】特開2013-62789号公報
【特許文献5】特開2005-278135号公報
【特許文献6】特開2005-295346号公報
【特許文献7】US 7164114 B2 FIG、4
【特許文献8】US 2010/0181464 A1
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】