(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155582
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】速度測定装置及び速度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01P 3/68 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G01P3/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070419
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】古谷 雅
(57)【要約】
【課題】速度を正確に測定することができる速度測定装置を提供する。
【解決手段】移動する測定対象物10からの反射光を受光する両側テレセントリックレンズ4と、両側テレセントリックレンズ4を通過した反射光による像面に対して傾斜して配置された光検出器アレイ50と、光検出器アレイ50で受光された反射光を空間フィルタリングして得られる信号の周波数に基づき、測定対象物10の速度を測定する第1の速度測定部301と、第1の時間において光検出器アレイ50で撮像された反射光による第1の光分布と、第2の時間において光検出器アレイ50で撮像された反射光による第2の光分布と、を比較して、第1の時間から第2の時間の間における測定対象物の移動量を算出し、移動量に基づき、測定対象物10の速度を測定する第2の速度測定部302と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する測定対象物からの反射光を受光する両側テレセントリックレンズと、
前記両側テレセントリックレンズを通過した前記反射光による像面に対して傾斜して配置された光検出器アレイと、
前記光検出器アレイで受光された前記反射光を空間フィルタリングして得られる信号の周波数に基づき、前記測定対象物の第1の速度を測定する第1の速度測定部と、
第1の時間において前記光検出器アレイで撮像された前記反射光による第1の光分布と、第2の時間において前記光検出器アレイで撮像された前記反射光による第2の光分布と、を比較して、前記第1の時間から前記第2の時間の間における前記測定対象物の移動量を算出し、前記移動量に基づき、前記測定対象物の第2の速度を測定する第2の速度測定部と、
を備える、速度測定装置。
【請求項2】
前記第1の速度及び前記第2の速度の少なくともいずれかが閾値より速い場合、前記第1の速度を選択し、前記第1の速度及び前記第2の速度の少なくともいずれかが閾値より遅い場合、前記第2の速度を選択する、速度選択部をさらに備える、請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項3】
前記光検出器アレイが、複数の光検出器を備え、
前記閾値が、前記複数の光検出器の数、前記複数の光検出器の間隔、前記第1の速度測定部が前記光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、前記第2の速度測定部が前記光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び前記両側テレセントリックレンズの倍率の少なくともいずれかに基づいて設定されている、
請求項2に記載の速度測定装置。
【請求項4】
前記光検出器アレイが複数の光検出器を備え、
前記第1の速度測定部が、
前記複数の光検出器のうち、所定の個数の隣接する光検出器を所定の間隔をおいてグループ化した第1のグループの光検出器から出力された信号を合計する第1の信号合計部と、
前記第1の信号合計部で合計された信号の周波数を算出する周波数算出部と、
前記周波数に基づき、前記測定対象物の前記第1の速度を算出する第1の速度算出部と、
を備える、
請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項5】
前記光検出器アレイが複数の光検出器を備え、
前記第1の速度測定部が、
前記複数の光検出器のうち、所定の個数の隣接する光検出器を所定の間隔をおいてグループ化した第1のグループの光検出器から出力された信号を合計する第1の信号合計部と、
前記複数の光検出器のうち、前記第1のグループの光検出器以外の第2のグループの光検出器から出力された信号を合計する第2の信号合計部と、
前記第1の信号合計部で合計された信号と前記第2の信号合計部で合計された信号の差分信号を算出する差分信号算出部と、
前記差分信号の周波数を算出する周波数算出部と、
前記周波数に基づき、前記測定対象物の前記第1の速度を算出する第1の速度算出部と、
を備える、
請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項6】
前記光検出器アレイが複数の光検出器を備え、
前記第2の速度測定部が、
第1の時間に前記複数の光検出器が検出した前記反射光の光強度の分布を、第1の光分布として取得し、第2の時間に前記複数の光検出器が検出した前記反射光の光強度の分布を、第2の光分布として取得する光分布取得部と、
前記第1の光分布と前記第2の光分布に共通する共通部分を比較し、前記第1の光分布から前記第2の光分布への前記共通部分の移動量を算出する移動量算出部と、
前記移動量に基づき、前記測定対象物の前記第2の速度を算出する第2の速度算出部と、
を備える、
請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項7】
移動する測定対象物からの反射光を両側テレセントリックレンズで受光することと、
前記両側テレセントリックレンズを通過した前記反射光による像面に対して傾斜して配置された光検出器アレイで前記反射光を受光することと、
前記光検出器アレイで受光された前記反射光を空間フィルタリングして得られる信号の周波数に基づき、前記測定対象物の第1の速度を測定することと、
第1の時間において前記光検出器アレイで撮像された前記反射光による第1の光分布と、第2の時間において前記光検出器アレイで撮像された前記反射光による第2の光分布と、を比較して、前記第1の時間から前記第2の時間の間における前記測定対象物の移動量を算出し、前記移動量に基づき、前記測定対象物の第2の速度を測定することと、
を含む、速度測定方法。
【請求項8】
前記第1の速度及び前記第2の速度の少なくともいずれかが閾値より速い場合、前記第1の速度を選択し、前記第1の速度及び前記第2の速度の少なくともいずれかが閾値より遅い場合、前記第2の速度を選択することをさらに含む、請求項7に記載の速度測定方法。
【請求項9】
前記光検出器アレイが複数の光検出器を備え、
前記閾値が、前記複数の光検出器の数、前記複数の光検出器の間隔、前記第1の速度を測定する第1の速度測定部が前記光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、前記第2の速度を測定する第2の速度測定部が前記光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び前記両側テレセントリックレンズの倍率の少なくともいずれかに基づいて設定される、
請求項8に記載の速度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度測定装置及び速度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の移動速度を非接触で測定する方法が提案されてきている。特許文献1は、対象物からの光路長が互いに異なる位置に2つの空間フィルタを配置し、対象物からの反射光を2つの空間フィルタの両方に結像し、2つの空間フィルタでフィルタリングされた2つの信号の両方の周波数を用いて、対象物の移動速度を算出することを記載している。
【0003】
特許文献2は、複数のフォトダイオード素子と、複数のフォトダイオード素子におけるフォトダイオード素子のグループを順次走査する走査スイッチと、走査スイッチから得られる出力に基づき、被測定物の速度を算出する速度測定器を記載している。しかし、走査スイッチから得られる出力の波形は階段状であるため、出力から周波数を求める際にノイズが発生し、当該周波数から速度を正確に算出することができない。
【0004】
特許文献3は、測定対象物の基準画像データと測定画像データに共通する注目部分を抽出比較して、基準画像と測定画像のずれ量を求めることにより、測定対象の変位量を算出する変位測定装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭53-138381号公報
【特許文献2】実開昭60-65675号公報
【特許文献3】特開2001-241919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の空間フィルタを用いた非接触速度測定装置は、対象物と速度測定装置の間の距離が変動すると、対象物からの反射光が結像する位置が空間フィルタからずれるために、対象物の速度を正確に測定することができない。そこで、本発明は、対象物と速度測定装置の間の距離が変動しても対象物の速度を正確に測定することができる速度測定装置及び速度測定方法を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、対象物の速度が速い場合であっても、遅い場合であっても、対象物の速度を正確に測定することができる速度測定装置及び速度測定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る速度測定装置は、移動する測定対象物からの反射光を受光する両側テレセントリックレンズと、両側テレセントリックレンズを通過した反射光による像面に対して傾斜して配置された光検出器アレイと、光検出器アレイで受光された反射光を空間フィルタリングして得られる信号の周波数に基づき、測定対象物の第1の速度を測定する第1の速度測定部と、第1の時間において光検出器アレイで撮像された反射光による第1の光分布と、第2の時間において光検出器アレイで撮像された反射光による第2の光分布と、を比較して、第1の時間から第2の時間の間における測定対象物の移動量を算出し、移動量に基づき、測定対象物の第2の速度を測定する第2の速度測定部と、を備える。
【0008】
上記の速度測定装置は、第1の速度及び第2の速度の少なくともいずれかが閾値より速い場合、第1の速度を選択し、第1の速度及び第2の速度の少なくともいずれかが閾値より遅い場合、第2の速度を選択する、速度選択部をさらに備えていてもよい。
【0009】
上記の速度測定装置において、光検出器アレイが複数の光検出器を備えていてもよい。
【0010】
上記の速度測定装置において、閾値が、複数の光検出器の数、複数の光検出器の間隔、第1の速度測定部が光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、第2の速度測定部が光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び両側テレセントリックレンズの倍率の少なくともいずれかに基づいて設定されていてもよい。
【0011】
上記の速度測定装置において、第1の速度測定部が、複数の光検出器のうち、所定の個数の隣接する光検出器を所定の間隔をおいてグループ化した第1のグループの光検出器から出力された信号を合計する第1の信号合計部を備えていてもよい。
【0012】
上記の速度測定装置において、第1の速度測定部が、第1の信号合計部で合計された信号の周波数を算出する周波数算出部を備えていてもよい。
【0013】
上記の速度測定装置において、第1の速度測定部が、第1の信号合計部で合計された信号の周波数に基づき、測定対象物の第1の速度を算出する第1の速度算出部を備えていてもよい。
【0014】
上記の速度測定装置において、第1の速度測定部が、複数の光検出器のうち、第1のグループの光検出器以外の第2のグループの光検出器から出力された信号を合計する第2の信号合計部と、第1の信号合計部で合計された信号と第2の信号合計部で合計された信号の差分信号を算出する差分信号算出部と、を備えていてもよい。
【0015】
上記の速度測定装置において、第1の速度測定部が、差分信号の周波数を算出する周波数算出部を備えていてもよい。
【0016】
上記の速度測定装置において、第1の速度測定部が、差分信号の周波数に基づき、測定対象物の第1の速度を算出する第1の速度算出部を備えていてもよい。
【0017】
上記の速度測定装置において、第2の速度測定部が、第1の時間に複数の光検出器が検出した反射光の光強度の分布を、第1の光分布として取得し、第2の時間に複数の光検出器が検出した反射光の光強度の分布を、第2の光分布として取得する光分布取得部を備えていてもよい。
【0018】
上記の速度測定装置において、第2の速度測定部が、第1の光分布と第2の光分布に共通する共通部分を比較し、第1の光分布から第2の光分布への共通部分の移動量を算出する移動量算出部を備えていてもよい。
【0019】
上記の速度測定装置において、第2の速度測定部が、共通部分の移動量に基づき、測定対象物の第2の速度を算出する第2の速度算出部を備えていてもよい。
【0020】
本発明の態様に係る速度測定方法は、移動する測定対象物からの反射光を両側テレセントリックレンズで受光することと、両側テレセントリックレンズを通過した反射光による像面に対して傾斜して配置された光検出器アレイで反射光を受光することと、光検出器アレイで受光された反射光を空間フィルタリングして得られる信号の周波数に基づき、測定対象物の第1の速度を測定することと、第1の時間において光検出器アレイで撮像された反射光による第1の光分布と、第2の時間において光検出器アレイで撮像された反射光による第2の光分布と、を比較して、第1の時間から第2の時間の間における測定対象物の移動量を算出し、移動量に基づき、測定対象物の第2の速度を測定することと、を含む。
【0021】
上記の速度測定方法が、第1の速度及び第2の速度の少なくともいずれかが閾値より速い場合、第1の速度を選択し、第1の速度及び第2の速度の少なくともいずれかが閾値より遅い場合、第2の速度を選択することをさらに含んでいてもよい。
【0022】
上記の速度測定方法において、光検出器アレイが複数の光検出器を備えていてもよい。
【0023】
上記の速度測定方法において、閾値が、複数の光検出器の数、複数の光検出器の間隔、第1の速度を測定する第1の速度測定部が光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、第2の速度を測定する第2の速度測定部が光検出器アレイから信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び両側テレセントリックレンズの倍率の少なくともいずれかに基づいて設定されていてもよい。
【0024】
上記の速度測定方法において、第1の速度を測定することが、複数の光検出器のうち、所定の個数の隣接する光検出器を所定の間隔をおいてグループ化した第1のグループの光検出器から出力された信号を合計することを含んでいてもよい。
【0025】
上記の速度測定方法において、第1の速度を測定することが、第1のグループの光検出器から出力され、合計された信号の周波数を算出してもよい。
【0026】
上記の速度測定方法において、第1の速度を測定することが、第1のグループの光検出器から出力され、合計された信号の周波数に基づき、測定対象物の第1の速度を算出してもよい。
【0027】
上記の速度測定方法において、第1の速度を測定することが、複数の光検出器のうち、第1のグループの光検出器以外の第2のグループの光検出器から出力された信号を合計することと、第1の信号合計部で合計された信号と第2の信号合計部で合計された信号の差分信号を算出することと、を含んでいてもよい。
【0028】
上記の速度測定方法において、第1の速度を測定することが、差分信号の周波数を算出することを含んでいてもよい。
【0029】
上記の速度測定方法において、第1の速度を測定することが、差分信号の周波数に基づき、測定対象物の第1の速度を算出することを含んでいてもよい。
【0030】
上記の速度測定方法において、第2の速度を測定することが、第1の時間に複数の光検出器が検出した反射光の光強度の分布を、第1の光分布として取得し、第2の時間に複数の光検出器が検出した反射光の光強度の分布を、第2の光分布として取得することを含んでいてもよい。
【0031】
上記の速度測定方法において、第2の速度を測定することが、第1の光分布と第2の光分布に共通する共通部分を比較し、第1の光分布から第2の光分布への共通部分の移動量を算出することを含んでいてもよい。
【0032】
上記の速度測定方法において、第2の速度を測定することが、第1の光分布と第2の光分布に共通する共通部分の移動量に基づき、測定対象物の第2の速度を算出することを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、対象物と速度測定装置の間の距離が変動しても対象物の速度を正確に測定することができる速度測定装置及び速度測定方法を提供することができる。また、本発明は、対象物の速度が速い場合であっても、遅い場合であっても、対象物の速度を正確に測定することができる速度測定装置及び速度測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1(A)は、実施形態に係る速度測定装置を示す模式的上面図である。
図1(B)は、実施形態に係る速度測定装置を示す模式的側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る光検出器アレイを示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る2つの信号の強度の時間変化を示す模式的なグラフである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る2つの信号の強度の差分の信号の時間変化を示す模式的なグラフである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る信号の周波数スペクトルを示す模式的なグラフである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る信号から得られる共通部分の移動量と相関値の関係を示す模式的なグラフである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る速度測定装置を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0036】
実施形態に係る速度測定装置は、
図1に示すように、移動する測定対象物10からの反射光を受光する両側テレセントリックレンズ4と、両側テレセントリックレンズ4を通過した反射光による像面に対して傾斜して配置された光検出器アレイ50と、光検出器アレイ50で受光された反射光を空間フィルタリングして得られる信号の周波数に基づき、測定対象物10の第1の速度を測定する第1の速度測定部301と、第1の時間において光検出器アレイ50で撮像された反射光による第1の光分布と、第2の時間において光検出器アレイ50で撮像された反射光による第2の光分布と、を比較して、第1の時間から第2の時間の間における測定対象物の移動量を算出し、移動量に基づき、測定対象物10の第2の速度を測定する第2の速度測定部302と、を備える。第1の速度測定部301と第2の速度測定部302は、例えば、中央演算処理装置(CPU)300に含まれる。
【0037】
測定対象物10は、平行に移動する。測定対象物10は、速度測定装置に対して相対的に移動する。例えば、速度測定装置が静置され、測定対象物10が移動してもよいし、測定対象物10が静置され、速度測定装置が移動してもよい。速度測定装置が静置され、測定対象物10が移動する場合、測定対象物10の例としては、フィルム、及び不織布等が挙げられるが、特に限定されない。測定対象物10が静置され、速度測定装置が移動する場合、測定対象物10の例としては、路面が挙げられるが、特に限定されない。
【0038】
実施形態に係る速度測定装置は、測定対象物10に光を照射する光源30をさらに備えていてもよい。光源30としては、レーザー及び発光ダイオード(LED)が使用可能であるが、特に限定されない。光の強度は、例えば、一定である。実施形態に係る速度測定装置は、光源30が発した光を平行光にする照射用レンズ31をさらに備えていてもよい。光源30が光を照射することにより、測定対象物10から反射光が生じる。ただし、光源30が光を照射しなくとも、太陽光や周囲の照明光により測定対象物10から反射光が生じる場合は、光源30はなくてもよい。
【0039】
両側テレセントリックレンズ4は、測定対象物10からの反射光を集光する第1のレンズ40を備えていてもよい。第1のレンズ40は、例えば、光軸が測定対象物10に対して略垂直になるように配置される。第1のレンズ40の物体側の主光線は平行である。これにより、第1のレンズ40と測定対象物10の間の距離が変わっても、結像倍率は一定である。また、両側テレセントリックレンズ4は、第1のレンズ40で集光された反射光を平行光にする第2のレンズ41を備えていてもよい。例えば、第2のレンズ41は、光軸が測定対象物10に対して略垂直になるように配置される。第2のレンズ41の像側の主光線は平行である。これにより、第2のレンズ41と光検出器アレイ50の間の距離が変わっても、結像倍率は一定である。例えば、第1のレンズ40の光軸と第2のレンズ41の光軸は一致する。第1のレンズ40と第2のレンズ41の間に絞り61が配置されていてもよい。第1のレンズ40、第2のレンズ41、及び絞り61は、鏡筒71内に配置されていてもよい。両側テレセントリックレンズ4は、例えば、測定対象物10と光検出器アレイ50の間に配置される。
【0040】
光検出器アレイ50は、例えば、両側テレセントリックレンズ4の光軸に対して傾斜して配置される。光検出器アレイ50は、両側テレセントリックレンズ4を通過した反射光による像面に対して傾斜して配置されているため、光検出器アレイ50上の一部の領域で測定対象物10の像がクリアに結像し、光検出器アレイ50上の他の領域で測定対象物10の像がぼやけて結像する。
【0041】
光検出器アレイ50は、
図2に示すように、縞状に配置された複数の光検出器52A、52B、52C・・・を備える。複数の光検出器52A、52B、52C・・・のそれぞれは、画素であり得る。複数の光検出器52A、52B、52C・・・のそれぞれは、フォトダイオードであり得る。縞状に配置された複数の光検出器52A、52B、52C・・・は、空間フィルタをなしており、測定対象物10が移動する方向に、複数の光検出器52A、52B、52C・・・が並ぶように配置されている。。
【0042】
第1の速度測定部301は、空間フィルタ法により、第1の速度を測定する。第1の速度測定部301は、例えば、第1の信号合計部311と第2の信号合計部312を備える。
【0043】
第1の信号合計部311は、複数の光検出器52A、52B、52C・・・のうち、所定の個数の隣接する光検出器を所定の間隔をおいてグループ化した第1のグループの光検出器52A、52B、52E、52F、52I、52Jから出力された信号を合計する。第1の信号合計部311と、第1のグループの光検出器52A、52B、52E、52F、52I、52Jと、は、信号線で接続されている。第1の信号合計部311と、第1のグループの光検出器52A、52B、52E、52F、52I、52Jのそれぞれと、を接続する信号線には、スイッチが設けられていてもよい。
【0044】
なお、
図2に示す例においては、2個の隣接する光検出器を2個の光検出器に相当する間隔をおいてグループ化しているが、グループ化した光検出器における隣接する光検出器の数と、間隔は任意である。以下、グループ化した光検出器における隣接する光検出器に相当する距離と、間隔と、の合計をピッチという。例えば、2個の隣接する光検出器を2個の光検出器に相当する間隔をおいてグループ化している場合、グループ化した光検出器のピッチは、光検出器の4個分である。なお、後述するように、グループ化した光検出器のピッチが大きいほど、測定可能な最高速度が高くなり、グループ化した光検出器のピッチが小さいほど、測定速度の精度が高くなる。そのため、グループ化した光検出器のピッチは、測定対象物10の速度域に応じて適宜設定され得る。第1の信号合計部311が、第1のグループの光検出器のピッチを設定してもよい。
【0045】
第2の信号合計部312は、複数の光検出器52A、52B、52C・・・のうち、第1のグループの光検出器以外の第2のグループの光検出器52C、52D、52G、52H、52K、52Lから出力された信号を合計する。第2の信号合計部312と、第2のグループの光検出器52C、52D、52G、52H、52K、52Lと、は、信号線で接続されている。第2の信号合計部312と、第2のグループの光検出器52C、52D、52G、52H、52K、52Lのそれぞれと、を接続する信号線には、スイッチが設けられていてもよい。第1のグループと第2のグループが重複しない限り、第2のグループの光検出器における隣接する光検出器の数及び間隔は、例えば、第1のグループの光検出器における隣接する光検出器の数及び間隔と同じである。第2の信号合計部312が、第2のグループの光検出器のピッチを設定してもよい。
【0046】
第1の信号合計部311で合計された信号の例を、
図3のグラフの実線で示す。また、第2の信号合計部312で合計された信号の例を、
図3のグラフの破線で示す。第1の信号合計部311で合計された信号の周波数は、測定対象物10の速度と、第1のグループの光検出器のピッチに比例する。第2の信号合計部312で合計された信号の周波数は、第1の信号合計部311で合計された信号の周波数と同じであり、第2の信号合計部312で合計された信号の位相は、第1の信号合計部311で合計された信号の位相の逆相である。
【0047】
図2に示す第1の信号合計部311及び第2の信号合計部312には、差分信号算出部313が接続されている。差分信号算出部313は、
図4に例示するような、第1の信号合計部311で合計された信号と、第2の信号合計部312で合計された信号と、の差分信号を算出する。差分信号においては、第1の信号合計部311で合計された信号が含むバイアス成分と、第2の信号合計部312で合計された信号が含むバイアス成分が除去される。また、差分信号の振幅は、第1の信号合計部311で合計された信号の振幅の2倍であり、第2の信号合計部312で合計された信号の振幅の2倍である。
【0048】
図2に示す差分信号算出部313には、周波数算出部314が接続されている。周波数算出部314は、例えば、差分信号を所定の時間蓄積し、蓄積した差分信号を高速フーリエ変換(FFT)処理して、
図5に示すような周波数スペクトル(振幅スペクトル)を算出する。周波数スペクトルにおいて、ゼロ付近を除いて振幅のピークを与える正の周波数が、差分信号の周波数Fである。なお、スペクトルはパワースペクトルでもよい。
【0049】
図2に示す周波数算出部314には、第1の速度算出部315が接続されている。第1の速度算出部315は、例えば下記(1)式を用いて、測定対象物10の第1の速度V1を算出する。
V1=FP/M (1)
ここで、Pは、第1のグループにグループ化した光検出器のピッチであり、第2のグループにグループ化した光検出器のピッチである。Mは、両側テレセントリックレンズ4による倍率である。なお、第1の速度V1の算出には、信号の周波数Fの代わりに信号の周期を用いてもよい。
【0050】
第2の速度測定部302は、パターンマッチング法により、第2の速度を測定する。パターンマッチング法の例としては、特開2000-221139号公報に記載されている位相限定相関法が挙げられる。第2の速度測定部302は、例えば、光分布取得部321を備える。光分布取得部321は、例えば、複数の光検出器52A、52B、52C・・・のそれぞれから、光強度の信号を順次取得し、複数の光検出器52A、52B、52C・・・が検出した反射光による光強度の分布を算出する。光分布取得部321は、光強度の分布を画像として算出してもよい。光分布取得部321と、複数の光検出器52A、52B、52C・・・と、は、信号線で接続されている。光分布取得部321と、複数の光検出器52A、52B、52C・・・のそれぞれと、を接続する信号線には、スイッチが設けられていてもよい。
【0051】
光分布取得部321は、第1の時間に複数の光検出器52A、52B、52C・・・が検出した反射光による光強度の分布を、第1の光分布として、光分布記憶部322に保存する。第1の光分布は、例えば、f1(x)と表される。ここで、xは、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の番号又は位置である。第1の光分布は、画像であり得る。また、光分布取得部321は、第1の時間より後の第2の時間に複数の光検出器52A、52B、52C・・・が検出した反射光による光強度の分布を、第2の光分布として、光分布記憶部322に保存する。第2の光分布は、例えば、f2(x)と表される。第2の光分布は、画像であり得る。
【0052】
光分布記憶部322には、移動量算出部323が接続されている。移動量算出部323は、光分布記憶部322から第1の光分布と第2の光分布を読み出す。移動量算出部323は、第1の光分布と第2の光分布に共通する共通部分を比較し、第1の光分布から第2の光分布への共通部分の移動量を算出する。共通部分は、特徴部分であり得る。
【0053】
例えば、移動量算出部323は、第1の光分布f1(x)を離散フーリエ変換処理し、第1のフーリエ変換データF1(u)を算出する。ここで、uは、空間周波数である。また、移動量算出部323は、第2の光分布f2(x)を離散フーリエ変換処理し、第2のフーリエ変換データF2(u)を算出する。さらに、移動量算出部323は、下記(2)式に示すように、第1のフーリエ変換データF1(u)と第2のフーリエ変換データF2(u)を合成して、第3のフーリエ変換データF3(u)を算出する。
F3(u)=F1*(u)・F2(u) (2)
*は、複素共役を表す。
【0054】
移動量算出部323は、第3のフーリエ変換データF3(u)を位相限定処理し、下記(3)式で与えられる第4のフーリエ変換データF4(u)を算出する。
F4(u)=F3(u)/|F3(u)| (3)
これにより、第3のフーリエ変換データF3(u)の全ての周波数における振幅を1として、位相のみを表す第4のフーリエ変換データF4(u)が得られる。
【0055】
移動量算出部323は、第4のフーリエ変換データF4(u)を逆フーリエ変換し、
図6に例示する逆フーリエ変換データf4(x)を算出する。逆フーリエ変換データf4(x)におけるピークの位置xは、第1の光分布f1(x)から第2の光分布f2(x)への共通部分の移動量に該当し、共通部分の移動量は、第1の時間から第2の時間の間における測定対象物10の移動量に該当する。
【0056】
図2に示す移動量算出部323には、第2の速度算出部324が接続されている。第2の速度算出部324は、第1の時間から第2の時間の間における測定対象物10の移動量を、第1の時間から第2の時間までの経過時間で除して、測定対象物10の第2の速度を算出する。
【0057】
上述したように、第1の速度測定部301は、空間フィルタ法により、第1の速度を測定する。ここで、空間フィルタ法で測定することができる最高速度Vfは、下記(4)式で与えられる。
Vf<P/S (4)
Pは、上述したように、第1のグループの光検出器のピッチであり、第2のグループの光検出器のピッチである。Sは、光検出器アレイ50の露光時間である。ピッチPは、計測されるべき速度Vaに露光時間Sをかけた値以上であって、小さい方が、計測される速度の精度は高くなる。ただし、精度は低くなるものの、ピッチPが大きくなるほど、測定することができる最高速度Vfは高くなる。しかし、空間フィルタ法は、一般的には、測定対象の速度が低速であったり、測定対象が静止していたりする場合においては、測定対象の速度を測定することができない。
【0058】
また、上述したように、第2の速度測定部302は、パターンマッチング法により、第2の速度を測定する。ここで、パターンマッチング法は、測定対象の速度が低速であったり、測定対象が静止していたりする場合であっても、測定対象の速度を測定可能である。また、パターンマッチング法は、サブピクセル処理により、測定対象の速度を高い精度で測定可能である。しかし、パターンマッチング法においては、撮像された第1の光分布と第2の光分布が共通する共通部分を含むことが必要であり、測定対象の速度が速く、第1の光分布に含まれていた共通部分が、第2の光分布を撮像する際に既に速度測定装置の前を通過していた場合には、測定対象の速度を測定することができない。そのため、パターンマッチング法で測定可能な最高速度は、空間フィルタ法で測定可能は最高速度よりも低い。
【0059】
図1に示す実施形態に係る速度測定装置は、第1の速度測定部301が空間フィルタ法により速い速度を測定可能であり、第2の速度測定部302がパターンマッチング法により遅い速度を測定可能であるため、幅広い範囲における速度を測定することが可能である。
【0060】
図1に示す実施形態に係る速度測定装置は、第1の速度及び第2の速度の少なくともいずれかが閾値より速い場合、第1の速度を選択し、第1の速度及び第2の速度の少なくともいずれかが閾値より遅い場合、第2の速度を選択する、速度選択部303をさらに備えていてもよい。上述したように、空間フィルタ法では速い速度を測定可能であるものの、遅い速度の測定に適していない。また、パターンマッチング法では遅い速度を測定可能であるものの、速い速度の測定に適していない。そのため、速度選択部303は、第1の速度測定部301及び第2の速度測定部302の少なくともいずれかが閾値より速い速度を測定したときには、第1の速度測定部301が空間フィルタ法により測定した第1の速度を選択し、第1の速度測定部301及び第2の速度測定部302の少なくともいずれかが閾値より遅い速度を測定したときには、第2の速度測定部302がパターンマッチング法により測定した第2の速度を選択する。
【0061】
第1の速度測定部301が測定可能な速度は、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の数、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の間隔、第1の速度測定部301が光検出器アレイ50からの信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び両側テレセントリックレンズ4の倍率に依存する。また、第2の速度測定部302が測定可能な速度は、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の数、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の間隔、第2の速度測定部302が光検出器アレイ50からの信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び両側テレセントリックレンズ4の倍率に依存する。したがって、速度選択部303が用いる閾値は、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の数、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の間隔、第1の速度測定部301が光検出器アレイ50からの信号を読み出すために用いるクロックパルス、第2の速度測定部302が光検出器アレイ50からの信号を読み出すために用いるクロックパルス、及び両側テレセントリックレンズ4の倍率の少なくともいずれかに基づいて設定されていてもよい。
【0062】
上述したように、実施形態に係る速度測定装置においては、光検出器アレイ50が、両側テレセントリックレンズ4を通過した反射光による像面に対して傾斜して配置されている。ここで、速度測定装置と測定対象物の間の距離が一定である場合、像面に対して平行に配置された光検出器アレイに測定対象物を結像させれば、測定対象物の速度を安定的に計測可能である。しかし、速度測定装置及び測定対象物のいずれかの揺れ等により、速度測定装置と測定対象物の間の距離を一定に保てない場合が生じ得る。光検出器アレイが像面に対して平行に配置されている場合、速度測定装置と測定対象物の間の距離が変動して、光検出器アレイ上における測定対象物の像がぼやけると、測定対象物の速度の算出が不可能になり得る。
【0063】
これに対し、実施形態に係る速度測定装置においては、光検出器アレイ50が、両側テレセントリックレンズ4を通過した反射光による像面に対して傾斜して配置されているため、速度測定装置と測定対象物10の間の距離が、短くなったり、長くなったりして変動すると、光検出器アレイ50上において、測定対象物10の像がクリアに結像する位置が連続的に移動するものの、光検出器アレイ50上の全ての領域で測定対象物10の像がぼやけることを抑制可能である。そのため、実施形態に係る速度測定装置は、当該速度測定装置と測定対象物10の間の距離が変動しても、測定対象物10の速度を安定的に計測可能である。
【0064】
上記のように本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、
図2に示す差分信号算出部313で、第1の信号合計部311で合計された信号と、第2の信号合計部312で合計された信号と、の差分信号を算出し、周波数算出部314が差分信号に基づいて差分信号の周波数を算出し、第1の速度算出部315が差分信号の周波数に基づいて、測定対象物10の第1の速度V1を算出する例を説明した。
【0065】
これに対し、差分信号算出部313で差分信号を算出せず、周波数算出部314が第1の信号合計部311で合計された信号のみに基づいて信号の周波数を算出し、第1の速度算出部315が当該信号の周波数に基づいて、測定対象物10の第1の速度V1を算出してもよい。あるいは、周波数算出部314が第2の信号合計部312で合計された信号のみに基づいて信号の周波数を算出し、第1の速度算出部315が当該信号の周波数に基づいて、測定対象物10の第1の速度V1を算出してもよい。ただし、差分信号を用いたほうが、バイアス成分が除去されるため、測定精度は高くなる。
【0066】
また、
図7に示すように、実施形態に係る速度測定装置は、両側テレセントリックレンズ4と光検出器アレイ50の間に配置されたプリズム60を備えていてもよい。プリズム60は、反射光の進行方向において連続的に変化する厚みを有する。プリズム60は例えば楔形プリズムであるが、特に限定されない。プリズム60は、例えば、測定対象物10の移動方向においては一定の厚みを有する。反射光の進行方向において連続的に変化する厚みを有するプリズム60を反射光が通過すると、反射光が形成する像面が、両側テレセントリックレンズ4の光軸に対して傾斜する。この場合、光検出器アレイ50を両側テレセントリックレンズ4の光軸に対して垂直に配置してもよいし、傾斜して配置してもよい。プリズム60により反射光が形成する像面が両側テレセントリックレンズ4の光軸に対して傾斜するため、光検出器アレイ50の一部の領域で測定対象物10の像がクリアに結像し、光検出器アレイ50の他の領域で測定対象物10の像がぼやけて結像する。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【0067】
(実施例)
複数の光検出器52A、52B、52C・・・の数が512、複数の光検出器52A、52B、52C・・・の間隔が0.01mm、第1の速度測定部301及び第2の速度測定部302が光検出器アレイ50からの信号を読み出すために用いるクロックパルスが10MHz、両側テレセントリックレンズ4による倍率が1であると仮定する。
【0068】
空間フィルタ法で測定対象物10の速度を測定する場合、第1の信号合計部311が信号を読み込む時間と、第2の信号合計部312が信号を読み込む時間と、の合計は、0.2μs(=2/10MHz)である。2個の隣接する光検出器を2個の光検出器に相当する間隔をおいてグループ化している場合、グループ化した光検出器のピッチは0.04mm(=0.01mm×4)である。この場合、空間フィルタ法で測定可能な測定対象物10の最高速度は、信号を読み込む時間(0.2μs)の間に、グループ化した光検出器のピッチ(0.04mm)と同じ距離を移動する速度未満であるので、200m/s(=0.04mm/0.2μs)未満である。
【0069】
パターンマッチング法で測定対象物10の速度を測定する場合、光分布取得部321が512個の光検出器から信号を読み込む時間は、51.2μs(=512/10MHz)である。光検出器アレイ50の幅は5.12mm(=512×0.01mm)である。測定対象物10の移動速度が100m/s(=5.12mm/51.2μs)である場合、第1の光分布を取得した後、第2の光分布を取得する前に、測定対象物10が両側テレセントリックレンズ4の前を通り過ぎる。そのため、パターンマッチング法で測定可能な測定対象物10の最高速度は、100m/s未満である。
【符号の説明】
【0070】
4・・・両側テレセントリックレンズ、10・・・測定対象物、30・・・光源、31・・・照射用レンズ、40・・・第1のレンズ、41・・・第2のレンズ、50・・・光検出器アレイ、52・・・光検出器、60・・・プリズム、71・・・鏡筒、301・・・第1の速度測定部、302・・・第2の速度測定部、303・・・速度選択部、311・・・第1の信号合計部、312・・・第2の信号合計部、313・・・差分信号算出部、314・・・周波数算出部、315・・・第1の速度算出部、321・・・光分布取得部、322・・・光分布記憶部、323・・・移動量算出部、324・・・第2の速度算出部