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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155584
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/28 20140101AFI20241024BHJP
   A63G 31/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A63F13/28
A63G31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070423
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】306014714
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】福冨 保治
(72)【発明者】
【氏名】内田 真英
(72)【発明者】
【氏名】白井 崇文
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕紀
(57)【要約】
【課題】搭乗部を支持するエアばねの給排気に関する新たな制御を実現する技術を提供すること。
【解決手段】ゲーム装置10は、ユーザが搭乗する搭乗部100をエアばね部110で支持し、搭乗部100の基準面の高さをセンサ150で計測して、制御部50でゲーム進行に応じてエアばね部110への給排気を制御する。制御部50は、センサ150の計測値に基づいて、搭乗部100の上昇限度を判定し、当該上昇限度から所定の余裕分を除いた昇降制御範囲を設定するキャリブレーション処理と、ゲーム進行に応じて、昇降制御範囲内で搭乗部100の目標高を設定する目標高設定処理と、を実行し、目標高に向けてエアばね部110への給排気を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが搭乗する搭乗部と、
前記搭乗部を支持するエアばね部と、
所与の制御信号に応じて前記エアばね部への給気及び排気を行う給排気調整部と、
前記エアばね部が支持する前記搭乗部の基準面の高さを計測するセンサと、
ゲーム進行に応じて前記制御信号を生成することで前記エアばね部への給排気を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記エアばね部への給排気を制御して、前記センサの計測値に基づく前記搭乗部の上昇限度を判定し、当該上昇限度から所定の余裕分を除いた昇降制御範囲を設定するキャリブレーション処理と、
ゲーム進行に応じて、前記昇降制御範囲内で前記搭乗部の目標高を設定する目標高設定処理と、
を実行し、前記目標高に向けて前記エアばね部への給排気を制御する前記制御信号を生成する、
ゲーム装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記キャリブレーション処理において、前記センサの計測値に基づく前記搭乗部の下降限度を判定し、当該下降限度から所定の余裕分高い位置を前記昇降制御範囲の下限として設定し、
前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さが、前記昇降制御範囲の下限より低くならないように前記制御信号を生成する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さが前記目標高に近づくにつれて前記エアばね部への給排気量を漸次低減させるように前記制御信号を生成する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記エアばね部への給排気量のペースが異なる複数の制御パターンの中から、ゲーム進行に応じた適用制御パターンを選択し、当該適用制御パターンに基づいて前記制御信号を生成する、
請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記制御パターンには、時間経過に対する参照高が定められており、
前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さが前記適用制御パターンに従うように前記制御信号を生成する、
請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さと、前記目標高との差に基づいて、前記エアばね部への給排気量のペースが異なる複数の制御パターンの中から適用制御パターンを選択し、当該適用制御パターンに基づいて前記制御信号を生成する、
請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項7】
ゲームプレイ中に前記ユーザが操作する操作部、
を更に備え、
前記制御部は、前記エアばね部への給排気を前記操作部の操作に基づいて可変に制御するように前記制御信号を生成する、
請求項6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記エアばね部は、前記搭乗部を支持する位置が異なる複数のエアばねを有し、
前記給排気調整部は、給気及び排気を前記エアばね毎に個別に行い、
前記センサは、前記エアばね毎に、支持する前記搭乗部の基準面の高さを計測し、
前記目標高設定処理は、前記エアばねの支持する高さ違いによって生じる前記搭乗部の目標傾斜方向及び目標傾斜角度を、ゲーム進行に応じて設定することを含み、
前記制御部は、前記エアばね毎の前記センサの計測値と、前記目標傾斜方向及び前記目標傾斜角度とに基づいて、給気する前記エアばねと排気する前記エアばねとの両方を選択し、当該給気と当該排気とを並行して実行するように前記制御信号を生成する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記搭乗部の所定の制限高を超える高さ方向の変位を規制する規制部、
を更に備える請求項1から8の何れか一項に記載のゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人気の業務用ゲーム装置の1つとして、搭乗型の体感ゲーム装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。搭乗型の体感ゲーム装置は、プレーヤであるユーザが搭乗する搭乗部が、ゲーム進行に応じて傾斜したり振動したりする。ユーザは、ゲームプレイしながらゲーム内の出来事に連動した揺れや振動を体感することで、搭乗部が固定されて動かない非体感型のゲーム装置に比べて遥かに高いゲーム体験を得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-52835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の搭乗型体感ゲーム装置で使用されるエアばねの制御は、エアばねに給気する場合には、エアばねが最大ストロークに達するまで給気用の電磁弁を全開にして給気し、排気する場合には、エアばねが最小ストロークに達するまで排気用の電磁弁を全開にして排気するといった単純な制御であった。
【0005】
ゲーム進行に応じて給気又は排気が全開で行われる結果、最大ストロークと最小ストロークとを急速に行ったり来たりする制御が頻繁に行われるため、エアばねの使用方法として過酷であった。エアばねの寿命が短くなり、改善が望まれるところであった。また、ゲーム進行に応じたエアばねへの給排気をより細かく制御した、新しい体感を与えることも望まれていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、搭乗部を支持するエアばねの給排気に関する新たな制御を実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための第1の発明は、ユーザが搭乗する搭乗部と、前記搭乗部を支持するエアばね部と、所与の制御信号に応じて前記エアばね部への給気及び排気を行う給排気調整部と、前記エアばね部が支持する前記搭乗部の基準面の高さを計測するセンサと、ゲーム進行に応じて前記制御信号を生成することで前記エアばね部への給排気を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記エアばね部への給排気を制御して、前記センサの計測値に基づく前記搭乗部の上昇限度を判定し、当該上昇限度から所定の余裕分を除いた昇降制御範囲を設定するキャリブレーション処理と、ゲーム進行に応じて、前記昇降制御範囲内で前記搭乗部の目標高を設定する目標高設定処理と、を実行し、前記目標高に向けて前記エアばね部への給排気を制御する前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0008】
第1の発明によれば、キャリブレーション処理によって、搭乗部の上昇限度に達しない範囲で昇降制御範囲が設定される。そして、エアばねは、昇降制御範囲の中で昇降制御されることになる。よって、従来の搭乗型体感ゲーム装置のエアばねにとって、寿命を縮める要因の1つであった「最大ストローク(上昇限度)に達した瞬間の衝撃的な高膨張圧の作用」が無く、また最大ストロークと最小ストロークとを急速に行ったり来たりする頻繁な制御も無い。よって、第1の発明では、搭乗部を支持するエアばねの給排気に関する新たな制御技術を実現できる。
【0009】
第2の発明は、上記のゲーム装置において、前記制御部は、前記キャリブレーション処理において、前記センサの計測値に基づく前記搭乗部の下降限度を判定し、当該下降限度から所定の余裕分高い位置を前記昇降制御範囲の下限として設定し、前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さが、前記昇降制御範囲の下限より低くならないように前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0010】
第2の発明によれば、エアばねは、最小ストローク(下降限度)に達した、いわゆる「底打ち」に至らないように制御される。よって、搭乗部は常に空気によって弾性支持された状態が維持され、好適な乗り心地が確保されることになる。
【0011】
第3の発明は、上記のゲーム装置において、前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さが前記目標高に近づくにつれて前記エアばね部への給排気量を漸次低減させるように前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0012】
第3の発明によれば、エアばねの高さは、急激に目標高に達するのではなく緩やかに達するように制御される。よって、給排気が目標高に達したことで瞬時的に止まる従来の制御に比べ、搭乗部の乗り心地が大いに改善する。
【0013】
第4の発明は、上記のゲーム装置において、前記制御部は、前記エアばね部への給排気量のペースが異なる複数の制御パターンの中から、ゲーム進行に応じた適用制御パターンを選択し、当該適用制御パターンに基づいて前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0014】
ゲーム進行に応じてゲーム内で起きる出来事は様々であり、搭乗部の昇降もその出来事に応じて制御されるのが望ましい。すなわち、演出上の観点から急激な給排気が望ましい場合もあれば、緩やかな給排気が望ましい場合もある。
第4の発明によれば、ゲーム進行に適したエアばね部への給排気量のペースを選択できるので、エアばねの寿命を延ばしつつ演出表現の自由度を高めることができる。
【0015】
第5の発明は、上記のゲーム装置において、前記制御パターンには、時間経過に対する参照高が定められており、前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さが前記適用制御パターンに従うように前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0016】
第5の発明によれば、ゲーム装置は、現在の高さが、時間経過に対する参照高に沿うように給排気を制御することができる。時間経過に対する参照高の設定次第で様々な制御パターンを用意することで、エアばねへの給排気の制御を多様化し、搭乗部の多様な揺れを演出することが可能となる。
【0017】
第6の発明は、上記のゲーム装置において、前記制御部は、前記センサの計測値に基づく現在の高さと、前記目標高との差に基づいて、前記エアばね部への給排気量のペースが異なる複数の制御パターンの中から適用制御パターンを選択し、当該適用制御パターンに基づいて前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0018】
第6の発明によれば、ゲーム装置は、現在の高さと目標高との差に基づいて適用制御パターンを選択するので、現在の高さと目標高との差の大小を考慮した適切な制御パターンで給排気を制御し、搭乗部の揺れを演出できる。
【0019】
第7の発明は、上記のゲーム装置において、ゲームプレイ中に前記ユーザが操作する操作部、を更に備え、前記制御部は、前記エアばね部への給排気を前記操作部の操作に基づいて可変に制御するように前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0020】
第7の発明によれば、ゲーム装置は、ユーザのゲームプレイ中の操作に基づいて給排気の制御を変化させることができるようになる。これによれば、搭乗部の揺れや傾斜がユーザの操作によって変化することとなり、体感ゲームとしての質を向上し、ゲーム体験を豊かにできる。
【0021】
第8の発明は、上記のゲーム装置において、前記エアばね部は、前記搭乗部を支持する位置が異なる複数のエアばねを有し、前記給排気調整部は、給気及び排気を前記エアばね毎に個別に行い、前記センサは、前記エアばね毎に、支持する前記搭乗部の基準面の高さを計測し、前記目標高設定処理は、前記エアばねの支持する高さ違いによって生じる前記搭乗部の目標傾斜方向及び目標傾斜角度を、ゲーム進行に応じて設定することを含み、前記制御部は、前記エアばね毎の前記センサの計測値と、前記目標傾斜方向及び前記目標傾斜角度とに基づいて、給気する前記エアばねと排気する前記エアばねとの両方を選択し、当該給気と当該排気とを並行して実行するように前記制御信号を生成する、ゲーム装置である。
【0022】
第8の発明によれば、搭乗部を複数のエアばねによって支持し、エアばね毎に給排気を制御するゲーム装置を実現できる。また、給気するエアばねへの給気と、排気するエアバネへの排気とを並行して実行できる。よって、搭乗部の姿勢制御の自由度を高めることができる。
【0023】
第9の発明は、上記のゲーム装置において、前記搭乗部の所定の制限高を超える高さ方向の変位を規制する規制部、を更に備えるゲーム装置である。
【0024】
第9の発明によれば、ゲーム装置は、搭乗部の所定の制限高を超える高さ方向の変位を規制できるので、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ゲーム装置の構成例を示す側面図。
図2】搭乗部の構成例を示す斜視外観図。
図3】空気圧調整部の構成例を示す図。
図4】搭乗部の基本的な揺れ制御について説明するための図。
図5】揺れ定義データのデータ構成例を示す図。
図6】給気/排気の設定例を説明するための図。
図7】給排気制御の制御パターンの例について説明するためのグラフ。
図8】制御パターン定義データのデータ構成例を示す図。
図9】制御部が実現する機能部の例と、機能部が記憶するプログラムやデータの例を示す図。
図10】プレイデータのデータ構成例を示す図。
図11】制御部が実行する処理の流れを説明するためのフローチャート。
図12】ゲーム装置の構成の変形例を示す側面図。
図13】制御部が実行する処理の変形例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。図面に示すXYZの直交三軸は、装置の方向を共通に示すものである。
【0027】
図1は、本実施形態のゲーム装置10の構成例を示す側面図である。
ゲーム装置10は、プレーヤであるユーザ2が搭乗する搭乗部100と、搭乗部100の前方(搭乗したユーザ2の正面方向;図1中の左方、X軸プラス方向)に配置される筐体11と、を有する。
【0028】
筐体11は、搭乗部100へ向けてゲーム画像を表示するディスプレイ12と、搭乗部100へ向けてゲームの効果音を放音するスピーカ14と、電源装置16と、空気圧発生源器18と、制御部50と、を有する。
【0029】
空気圧発生源器18は、外部供給可能に高圧の圧縮空気を発生・一時貯留する。空気圧発生源器18は、例えば、電動コンプレッサーと、タンクと、を含む。空気圧発生源器18は、その他、クーラーやフィルター類を適宜有するとしてもよい。
【0030】
図2は、搭乗部100の構成例を示す斜視外観図である。
搭乗部100は、台座102と、台座102の上方に床板104を支持するエアばね部110と、エアばね部110への給気及び排気を行う給排気調整部120と、センサ150と、規制部106と、有する。センサ150は、台座102から床板104までの距離を計測する。センサ150が計測するこの距離は、床板高さ、或いはエアばね高さ、或いは搭乗部100の基準面の高さ、とも言える。
【0031】
規制部106は、台座102に対する床板104に対する移動を所定範囲内に規制する部材である。例えば、センサ150のキャリブレーション処理の実行に伴いエアばね部110へ給気する際に、仮に過剰給気になったとしてもエアばね部110のストロークを物理的に規制してエアばね部110の破損を防ぐことができる。規制部106は、例えば台座102及び床板104の一方に固定され、他方との間に隙間を有して連結された弾性部材や、台座102と床板104とを連結するチェーン部材・ワイヤー部材・ベルト・伸縮部材、などにより実現される。
【0032】
エアばね部110は、2枚の取付板の間に挟まれたゴムベローズ内に圧縮空気を給排気することで伸縮する空気圧アクチュエータである。エアばね部110は、床板104の右前を支える第1エアばね111と、床板104の左前を支える第2エアばね112と、床板104の右後を支える第3エアばね113と、床板104の左後を支える第4エアばね114と、を有する。
【0033】
図3は、給排気調整部120の構成例を示す図である。
給排気調整部120は、空気圧発生源器18からエアばね部110へ繋がる給気管121と、給気電磁弁122と、排気管123と、排気電磁弁124と、を有する。
【0034】
給気電磁弁122及び排気電磁弁124は、例えば直動式常時閉型の比例制御型電磁弁により実現される。給気電磁弁122は、第1エアばね111~第4エアばね114のそれぞれに設けられており、制御部50からの制御信号に応じて給気管121からの給気弁を開閉する。
【0035】
排気電磁弁124は、第1エアばね111~第4エアばね114のそれぞれに設けられており、制御部50からの制御信号に応じて排気管123への排気弁を開閉する。なお、排気管123の末端には適宜消音器を設けてもよい。
【0036】
センサ150は、例えばレーザ測距センサにより実現される。勿論、センサ150の種類はこれに限らず適宜設定可能である。センサ150は、第1エアばね111~第4エアばね114のそれぞれに設けられており、計測値に応じた計測信号を制御部50へ出力する。センサ150の計測値は、実質的にそれぞれが対応する第1エアばね111~第4エアばね114の現在の高さ(現在高)、すなわち、エアばねが支持する搭乗部100の基準面の高さを示す。
【0037】
図2に示すように、床板104は、上前部に操作台160を備え、上後部にシート170を備える。
【0038】
操作台160は、ゲームプレイに係る各種操作入力を受け付ける1つ又は複数の操作部162を有する。図2の例では、操作部162として、ハンドル型コントローラ162aと、操作スイッチ162bと、を示しているがこれらに限らない。ゲーム操作の種類に応じて、例えば銃型コントローラや、スロットルレバー、ダイヤル、アクセルペダル、ブレーキペダル、ボートオール型コントローラ、などであってもよい。
【0039】
搭乗部100の外観は、ゲーム内での自機(ゲーム内でプレーヤであるユーザ2が操作する移動体)のデザインをイメージさせるように設定すると好適である。
【0040】
図4は、搭乗部100のゲームシーンにおける基本的な揺れ制御(傾斜制御とも言える)について説明するための図である。ゲーム装置10が実行するゲームは、例えば激流川下り体感ゲームである。プレーヤであるユーザ2は、ゲーム世界では激流を下る小舟(浮揚移動体)に乗っており、ディスプレイ12には激流を川下りするための小舟から前方を見た画像が表示される。川の所々には、チェックポイントが設定されている。プレーヤであるユーザ2は、ハンドル型コントローラ162aを操作して、川の流れに翻弄されながらも小舟がチェックポイントを通過するように操船する。時間内に所定数のチェックポイントを通過できなければそこでゲームオーバとなる。所定数のチェックポイントを通過できれば、更に続くゲームシーンに進みゲームプレイを継続できる。
【0041】
ゲーム内において激流を下る小舟の役割を担うのが搭乗部100である。ゲーム装置10は、エアばね部110の第1エアばね111~第4エアばね114に対して個別に給排気を制御して搭乗部100の4点を別々に昇降させる。この4点の別々の昇降により搭乗部100は小舟の揺れを現実世界で再現する。
【0042】
搭乗部100の揺れの初期設定は、ゲームシーン単位で、そのゲームシーンにおける演出意図に応じて予め決められている。具体的には、搭乗部100の揺れは、床板104の所定代表点(例えば、床板104の中央)における目標基準高Htと、目標傾斜方位φtと、目標傾斜角度θtと、で定義されている。ちなみに、目標傾斜方位φtと目標傾斜角度θtは球座標系である。
【0043】
各シーンにおける搭乗部100の揺れの初期設定は、例えば図5に示す揺れ定義データ520として、予めICメモリ52に記憶されている。揺れ定義データ520は、適用シーン番号521と、ゲームからの経過時間である複数の目標制御時間Ttに対応付けて、目標基準高Htと、目標傾斜方位φtと、目標傾斜角度θtと、を格納する。
【0044】
図4に戻って、ゲーム装置10は常に、ある目標制御時間Tt(例えばTt1)に到来する毎に、次の目標制御時間Tt(例えばTt2)に対応する目標基準高Ht・目標傾斜方位φt・目標傾斜角度θtが実現されるように、第1エアばね111~第4エアばね114を個別に給排気制御する。
【0045】
ゲーム装置10は、次の目標制御時間Ttにおいて目標基準高Ht・目標傾斜方位φt・目標傾斜角度θtを実現するために、第1エアばね111~第4エアばね114それぞれについて、給気するか排気するかを決定する。
【0046】
図6は、エアばねへの給気/排気の設定例を説明するための図である。
前提として、第1エアばね111~第4エアばね114の昇降ペースには限界がある。すなわち、その時のエアばねの内圧や、空気圧発生源器18の供給圧、給気管121や給気電磁弁122の仕様、などにより時間当たりの最大給気ペースが決まる。同様に、その時のエアばねの内圧や、排気管123や排気電磁弁118の仕様、などにより時間当たりの最大排気ペースが決まる。
【0047】
図6(1)に示すように、現時点(例えば図4の目標制御時間Tt1)において搭乗部100は水平にあり、次の目標制御時間Tt(例えば図4の目標制御時間Tt2)において、搭乗部100の前方が今より高くなるように搭乗部100の姿勢を変化させるとする。
【0048】
図6(2)は、最大給気ペース及び最大排気ペースを鑑み、今の目標制御時間Ttから次の目標制御時間Ttまでの時間長(所要制御時間長ΔT)で、傾斜方位の一方側のエアばねの昇降のみで目標傾斜角度θtへの変化を実現できる場合を示す。この場合、ゲーム装置10は、例えば、目標傾斜方位φt前側のエアばねを給気制御して上昇させ、後側のエアばねについて給気しない(又は微給気)という制御を行う。或いは、目標傾斜方位φt後側のエアばねを排気制御して下降させ、前側のエアばねについて排気しない(又は微排気)という制御を行う。
【0049】
図6(3)は、最大給気ペース及び最大排気ペースを鑑み、今の目標制御時間Ttから次の目標制御時間Ttまでの時間長(所要制御時間長ΔT)で、傾斜方位の一方側のエアばねの昇降のみで目標傾斜角度θtへの変化を実現できない場合を示す。この場合、ゲーム装置10は、例えば、目標傾斜方位φt前側のエアばねを給気制御して上昇させ、後側のエアばねを排気制御して下降させる制御を行う。
【0050】
この場合、制御部50は、エアばね毎のセンサ150の計測値と、目標傾斜方位φt及び目標傾斜角度θtとに基づいて、給気するエアばねと排気するエアばねとの両方を選択し、当該給気と当該排気とを並行して実行するように、給気電磁弁122・排気電磁弁118への制御信号を生成する。
【0051】
なお、所要制御時間長ΔTで、目標傾斜角度θtへの変化を「実現できる/実現できない」の判定基準は、並行実行判定基準データ570として予め決めておく。
並行実行判定基準データ570は、所要制御時間長ΔTと、所要角度変化量Δθ(現在の目標制御時間Tt1の目標制御角度θt1から、次の目標制御時間Tt2の目標制御角度θt2への角度差)と、所要高さ変化量ΔH(現在の目標制御時間Tt1の目標基準高Ht1から、次の目標制御時間Tt2の目標基準高Ht2への角度差)と、を変数とする関数、又はテーブルデータとする。
【0052】
次に、現在の目標制御時間Ttから次の目標制御時間Ttにおける、第1エアばね111~第4エアばね114それぞれの時系列の昇降制御、つまり時系列の給排気制御について説明する。
【0053】
ゲーム装置10は、所要制御時間長ΔTと、所要制御時間長ΔT内にどれだけ高さを変化させる必要があるか(所要高さ変化量ΔH)と、に基づいて給排気の制御パターンを変更する。
【0054】
図7は、給排気制御の制御パターンの例について説明するためのグラフである。
ゲーム装置10は、第1エアばね111~第4エアばね114毎に、次の目標制御時間Tt2において目標基準高Htを実現するために当該エアばねが到達すべき個別目標高Hpを設定し、それぞれの現在高Hnとの差(所要個別高さ変化量ΔHp)を求める。そして、所要個別高さ変化量ΔHpと所要制御時間長ΔTとに基づいて、予め用意されている複数の制御パターンのなかから適用制御パターンを1つ選択する。
【0055】
図7のグラフでは、所要制御時間長ΔT(ΔT1,ΔT2,ΔT3)と個別目標高Hp(Hp1,Hp2,Hp3、Hp4)の組合せが異なる4つの制御パターンの例を示している。星印が現在高Hnを示す。小黒丸は個別目標高Hpに至るまでの中間目標に相当する「参考高(参考高さ)」を示している。
【0056】
ゲーム装置10は、エアばね別の個別目標高Hpを、昇降制御範囲710の中で設定する。昇降制御範囲710は、上昇限度Hmaxと下降限度Hminとの間で、上方余裕分71と下方余裕分72を除いて設定される。
【0057】
上昇限度Hmaxは、対象とするエアばねに対して緩やかな給気を行い、最大ストロークに至ったタイミングでセンサ150が計測した値である。同様に、下降限度Hminは、対象とするエアばねから緩やかな排気を行い、最小ストロークに至ったタイミングでセンサ150が計測した値である。つまり、上昇限度Hmaxと下降限度Hminは、各位置におけるセンサ150の計測値に基づく搭乗部100の昇降限度値である。
【0058】
上方余裕分71は、上昇限度Hmaxから下方へ、昇降限界値の幅(上昇限度Hmax~下降限度Hmin)の50%~70%程度に設定される。なお、エアばねの寿命の更なる延長を図る場合は、50%とすると好適である。
【0059】
下方余裕分72は、下降限度Hminから上方へ、例えば昇降限界値の幅の5%程度に設定される。下方余裕分72は、エアばねの寿命の延長には貢献しないが、エアばねが「底付き」せず、且つ搭乗部100が水に浮かんでいるかのような適度な浮揚感を残余させるには5%程度が好適である。
【0060】
つまり、昇降制御範囲710(白太矢印の範囲)は、センサ150の計測値に基づく搭乗部100の昇降限度を判定し、当該昇降限度から所定の余裕分を除いた範囲である。
換言すると、目標基準高Htは、搭乗部100が許容最大傾斜をした場合でも、個別目標高Hpが昇降制御範囲710内に収まるように、目標基準高Ht自体も昇降制御範囲710に収まるように設定されている。
【0061】
各制御パターンは、所要制御時間長ΔTで現在高Hnから個別目標高Hpまでどのように高さを変化させるかを定めている。各制御パターンは、共通して、センサ150の計測値に基づく現在高Hnが個別目標高Hpに近づくにつれてエアばねへの給排気量を漸次低減するように設定されている。図7においては、単位時間当たりの給排気量のペースであるグラフの傾きとして表されている。但し、所要制御時間長ΔTの長短によって、漸次低減してゆく段階の数が異なるように設定されている。漸次低減する段階数は、グラフでは、小黒丸で示す幾つかの参照高で表されている。すなわち、所要制御時間長ΔTが長くなるにつれて、漸次低減してゆく段階数(=参照高の設定数)が増す。
【0062】
例えば、相対的に短時間な所要制御時間長ΔT1の制御パターンは、ユーザに体感させる演出上の目的としては「衝撃」である。故に、当該制御パターンは、漸次低減する段階数を少なくして、急激に高さを変化させて個別目標高Hp1に達するように設定されている。
【0063】
例えば、相対的に長時間な所要制御時間長ΔT3の制御パターンは、ユーザに体感させる演出上の目的としては「緩やかな変化」である。故に、当該制御パターンは、漸次低減する段階数を多くして、徐々に高さを変化させつつ、緩やかに個別目標高Hp3に達するように設定されている。
【0064】
例えば、所要制御時間長ΔT2が同じ、個別目標高Hp2の制御パターンと、個別目標高Hp4の制御パターンとを比べる。両制御パターンとも、ユーザに体感させる演出上の目的としては「中庸な変化」である。前者は、後者に比べてより速やかに高さを変化させる必要がある一方で、給排気のペースが滑らかになるように、後者よりも多くの段階を経て高さを変化させている。
【0065】
このように、制御パターンは、所要制御時間長ΔTと、現在高Hnから個別目標高Hpまでの所要高さ変化量ΔHと、によって様々に設定されている。そして、各制御パターンは、図8に示すように、所定の制御パターン定義データ550で定義されている。
【0066】
制御パターン定義データ550は、パターンID552と、適用要件554と、パターン初期設定テーブルデータ556と、を含む。
【0067】
適用要件554は、制御パターン定義データ550を選択するために満たすべき内容を示している。適用要件554は、所要制御時間長条件554aと、所要個別高さ変化量条件554bと、の組合せで記述される。
【0068】
パターン初期設定テーブルデータ556は、制御パターン定義データ550における制御信号の出力パターンの初期設定を示す。具体的には、パターン初期設定テーブルデータ556は、変化の段階数に相当する実行順556aと対応づけて、制御信号値556b及び継続時間556cを格納する。ゲーム装置10は、対応する実行順556aで、制御信号値556bを継続時間556cの間出力制御する。制御信号値556bは、PWM制御によって給排気量のペースを決める。
【0069】
なお、図7及び図8の例では、エアばねに給気して高さを上げる例を示しているので、各制御パターン定義データ550は、個別目標高Hpに近づくほど給気量のペースが漸減している。エアばねから排気して高さを下げる場合も、同じくこれらの制御パターン定義データ550が使用されるが、その場合、現在高Hnと個別目標高Hpとの上下関係が反転し、図7で示すグラフ線は上下が反転する。各制御パターン定義データ550は排気量のペースを示し、個別目標高Hpに近づくほど排気量のペースが漸減する。
【0070】
図9は、制御部50が実現する機能部の例と、制御部50が記憶するプログラムやデータの例を示す図である。
【0071】
制御部50は、ICメモリ52に、ゲームプログラム501と、シーン初期設定データ510と、揺れ定義データ520(図5参照)と、制御パターン定義データ550(図8参照)と、プレイデータ700と、計時データ900と、を記憶する。勿論、これら以外のデータも適宜記憶することができる。
【0072】
ゲームプログラム501は、CPU51が実行することによって、制御部50が、ゲーム進行の制御に係るゲーム進行制御部202、エアばね部110への給排気を制御する給排気制御部204、プレイ開始からの経過時間等の計時を行う計時部206、としての機能を実現する。
【0073】
各制御パターンには、時間経過に対する参照高(図7のグラフ中の小黒丸;段階的な制御の切り替えの境)が定められていることに着目すれば、制御部50の給排気制御部204は、センサ150の計測値に基づく現在高Hnと、個別目標高Hpとの差に基づいて、給排気量のペースが異なる複数の制御パターンの中から適用制御パターンを選択し、センサ150の計測値に基づく現在高Hnが適用制御パターンに従うように制御信号を生成することになる。
【0074】
シーン初期設定データ510は、ゲーム進行に応じたシーン毎に用意され、各シーンにおけるゲームプレイを実現するための各種の初期設定データを格納する。例えば、川下りをするためのゲーム空間を構成する背景オブジェクトのモデルデータ、小舟のモデルデータ、チェックポイントの設定位置のデータ、クリア時間、などを格納する。なお、ゲーム内容によっては、シーンをゲームステージと読み替えてもよい。
【0075】
プレイデータ700は、ゲーム進行制御の状態を記述する各種データを格納する。
プレイデータ700は、例えば図10に示すように、プレイ開始からのプレイ経過時間701と、自機ステータス情報702と、実行シーン番号704と、シーン開始からのシーン経過時間706と、エアばね別のキャリブレーションデータ708と、を含む。また、エアばね別の昇降制御範囲710と、エアばね部110の4つのエアばね毎に用意されるエアばね制御データ720と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0076】
自機ステータス情報702は、プレーヤであるユーザ2が操作する小舟(プレーヤキャラクタ)の最新状態を記述する各種データを含む。例えば、スピード、姿勢、損傷度合、などである。
【0077】
キャリブレーションデータ708は、第1エアばね111~第4エアばね114別に用意され、キャリブレーションの結果を格納する。例えば、上昇限度Hmaxと下降限度Hminとを格納する(図7参照)。
【0078】
昇降制御範囲710は、第1エアばね111~第4エアばね114別に用意され、それぞれの昇降制御範囲710の範囲上限及び範囲下限の値を格納する(図7参照)。昇降制御範囲710はキャリブレーション処理の結果として得られるものであるため、キャリブレーションデータ708が昇降制御範囲710を含むこととしてもよい。
【0079】
1つのエアばね制御データ720は、当該制御データがどのエアばねに適用されるかを示す適用エアばねID722と、現在高724と、個別目標高726と、当該制御データのエアばねに給気するか排気するかを示す実行制御種別730と、を含む。また、当該制御データのエアばねへ適用される制御パターンを示す適用パターンID732と、当該制御データのエアばねへ出力される制御信号を設定した制御信号テーブルデータ740と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0080】
制御信号テーブルデータ740は、適用パターンID732が示す制御パターン定義データ550のパターン初期設定テーブルデータ556(図8参照)がコピーされる。なお、制御信号テーブルデータ740を省略し、パターン初期設定テーブルデータ556を直接読みに行くとしてもよい。
【0081】
図11は、制御部50が実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ゲーム装置10は、電源が入ると先ず所定の起動処理を実行し(ステップS10)、キャリブレーション処理を実行する(ステップS12)。
【0082】
キャリブレーション処理では、ゲーム装置10は、第1エアばね111~第4エアばね114へ同時に緩やかに給気制御して、各センサ150の計測値の極大値を、当該センサに対応するエアばねの上昇限度Hmaxとする。次に、第1エアばね111~第4エアばね114から同時に緩やかに排気制御して、各センサ150の計測値の極小値を、当該センサに対応するエアばねの下降限度Hminとする。そして、昇降制御範囲710(図7参照)を設定する。
【0083】
次に、ゲーム装置10は、待機モード処理を開始して、ゲームプレイの様子を示す所定のサンプル映像をディスプレイ12に表示させる(ステップS14)。
【0084】
待機モード中に、操作部162(図2参照)にて所定のゲーム開始操作を検出したならば(ステップS20のYES)、ゲーム装置10は、待機モード処理を終了してゲーム進行制御を開始する(ステップS22)。この時、エアばね部110は、第1シーンの揺れ定義データ520(図5参照)の最初の目標制御時間523が示す目標傾斜方位φt・目標傾斜角度θt・目標基準高Htを実現するように制御される。通常、ゲーム進行制御を開始時は、搭乗部100を昇降制御範囲710の中間で水平姿勢をとるように設定される。
【0085】
ゲーム進行制御を開始すると、ゲーム装置10は、現在実行中のシーンに適用される揺れ定義データ520を参照し、目標制御時間523の到来を監視する(図5参照)。
そして、目標制御時間523が到来したならば(ステップS30のYES)、ゲーム装置10は、目標高設定処理を実行する(ステップS32)。具体的には、到来した現在の目標制御時間Ttの次の目標制御時間Ttにおいて(図4参照)、次の目標制御時間Ttに対応する目標傾斜方位φt・目標傾斜角度θt・目標基準高Htを実現するように、第1エアばね111~第4エアばね114それぞれに個別目標高Hpを設定する。
【0086】
次いで、ゲーム装置10は、並行実行判定基準データ570(図6参照)に照らして、第1エアばね111~第4エアばね114それぞれに対して、次の目標制御時間Ttまで給気制御するのか(上昇させるのか)、排気制御するのか(下降させるのか)、実行制御種別730(図10参照)を決定する(ステップS34)。
【0087】
次いで、ゲーム装置10は、第1エアばね111~第4エアばね114それぞれについて適用する適用制御パターンを選定する(ステップS36)。すなわち、複数の制御パターン定義データ550(図8参照)のなかから、適用要件554を満たす定義データを選択し、そのパターン初期設定テーブルデータ556を制御信号テーブルデータ740(図10参照)に写して設定する(ステップS38)。
【0088】
次いで、ゲーム装置10は、エアばね別に、制御信号テーブルデータ740に従って制御信号を生成して出力する制御を開始する(ステップS48)。実行制御種別730が「給気」を示すエアばねでは、制御信号を給気電磁弁122へ出力する。実行制御種別730が「排気」を示すエアばねでは、制御信号を排気電磁弁118へ出力する。
【0089】
これにより、次の目標制御時間Ttに達するまでの間、第1エアばね111~第4エアばね114は、適用パターンID732の示す制御パターンで給排気制御される。第1エアばね111~第4エアばね114は、上昇/下降して搭乗部100の位置と姿勢を変化させ、演出目的に応じた搭乗部100の揺れを作り出す。
【0090】
ゲーム装置10は、ゲームが終了するまでステップS30~ステップS48を繰り返し実行する。ゲームが終了すると、プレイ成績の発表などの所定のゲーム終了処理を実行して(ステップS52)、再びキャリブレーション処理を実行し、待機モードに戻る。
【0091】
以上、本実施形態によれば、搭乗部を支持するエアばねの給排気に関する新たな制御技術を実現する搭乗型体感ゲーム装置を実現できる。すなわち、ゲーム装置10は、キャリブレーション処理によって、搭乗部100の昇降限度に達しない範囲で昇降制御範囲710を設定する。そして、エアばね部110は、昇降制御範囲710の中で昇降制御されることになる。よって、従来のゲーム装置におけるエアばねにとって、寿命を縮める要因の1つであった「最大ストロークに達した瞬間の衝撃的な高膨張圧の作用」が無く、また最大ストロークと最小ストロークとを急速に行ったり来たりする頻繁な制御も無い。よって、ゲーム装置10は、搭乗部100を支持するエアばねの給排気に関する新たな制御技術を実現できる。
【0092】
また、ゲーム装置10は、エアばね部110を構成する複数のエアばね(第1エアばね111~第4エアばね114)を個別に給排気制御して個別に昇降制御する。これにより、ゲーム世界でプレーヤが乗っているとされる移動体(本実施形態のゲームでは小舟)の揺れを、現実世界において搭乗部100の昇降や姿勢変換により再現することができる。時に、第1エアばね111~第4エアばね114のうち、一部のエアばねには給気しつつ、他のエアばねでは排気することを並行実行することで、急激な搭乗部100の姿勢変化も可能となり、演出の範囲を大いに拡げることができる。
【0093】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態の例について説明したが、本発明を適用可能な形態は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0094】
(変形例その1)
例えば、上記実施形態では、ゲーム内容の例として「激流川下り」を仮想体験するゲームを例示したがこれに限らない。プレーヤであるユーザ2が、ゲーム内で何らかの移動体に搭乗し、ゲーム内で移動体が上下動し、移動体のロールや、ピッチ、ヨーが変化するゲームであればその内容は問わない。例えば、プレーヤが、飛行機や、宇宙船、戦闘車両、戦闘ロボット、馬などに乗って、ゲームフィールド内で遭遇戦する敵を狙い撃ちする体感シューティングゲームであってもよい。仮想のジェットコースター体験をテーマとしたゲームでもよい。
【0095】
(変形例その2)
また、上記実施形態では、制御信号テーブルデータ740は、制御パターン定義データ550のパターン初期設定テーブルデータ556の写しとしたが、これに限らない(図11のステップS38を参照)。例えば、制御部50がプレーヤであるユーザ2の重量を推定して、制御信号テーブルデータ740の制御信号値743をパターン初期設定テーブルデータ556の写しから変更処理するとしてもよい。
【0096】
具体的には、図12に示すゲーム装置10Bのように、搭乗部100の前方からシート170を撮影するイメージセンサ30を追加する。イメージセンサ30は、撮影画像データを制御部50へ出力する。
【0097】
そして、図13に示すように、ゲーム装置10Bは、ゲーム開始操作を検出したならば(ステップS20のYES)、ゲーム装置10は、イメージセンサ30で撮影した画像内から人物像を画像認識処理し、更に認識した人物像から推定体重を算定する(ステップS21)。推定体重は、認識した人物像の大きさや高さから推定体重を求めるテーブルデータを予め用意しておく。そして、認識した人物像別の推定体重を合算する。
【0098】
また、ゲーム装置10Bは、ステップS38にて制御信号テーブルデータ740の制御信号値743をパターン初期設定テーブルデータ556に写した後、制御信号変更処理を実行する(ステップS40)。制御信号変更処理では、制御信号テーブルデータ740の制御信号値743を、合算された推定体重が大きい程、制御信号テーブルデータ740の制御信号値743を変更する。
【0099】
ステップS40によって、実行制御種別730(図10参照)が「給気」のエアばねであれば、制御信号値743は、ステップS21で求めた推定体重が大きい程、給気ペースがアップするように変更される。当該エアばねは上昇力が向上することになり、プレーヤの重量に係わらずゲーム制作者が意図した上昇をするようになる。
【0100】
実行制御種別730が「排気」のエアばねであれば、制御信号値743は、ステップS21で求めた推定体重が大きい程、排気ペースがダウンするように変更される。エアばねの下降ペースが下がることによって、プレーヤの重量によってゲーム制作者が意図しないペースで下降するのを防ぐことができる。
【0101】
つまり、プレーヤという重量物がシート170に載った状態の搭乗部100であっても、ゲーム制作者が意図した揺れが実現される。また、認識された人物像の画像の大きさや高さに基づいて推定体重を求めることで、シート170に座っているユーザ2が、大人であろうと子供であろうと、それが1人であろうと複数人であろうと、適切に制御信号値743を変更できる。
【0102】
(変形例その3)
制御部50が、エアばね部110への給排気を操作部162の操作に基づいて可変に制御するように制御信号を生成する、としてもよい。例えば、図13のステップS40の変更処理において、プレーヤの推定重量に応じた変更に加えて、操作入力に応じて制御信号テーブルデータ740の制御信号値743を変更する、としてもよい。
【0103】
具体的には、プレーヤであるユーザ2が操作入力をした場合、その操作入力がなされている間の制御信号値743を、その操作入力に応じて加減する。例えば、左旋回の操作入力がなされた場合に、搭乗部100の右側にある第1エアばね111及び第3エアばね113の制御信号値743が給気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、給気ペースが上がるように制御信号値743を変更する。逆に、排気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、排気ペースが低下するように制御信号値743を変更する。
【0104】
他方、左旋回の操作入力がなされた場合に、搭乗部100の左側にある第2エアばね112及び第4エアばね114の制御信号値743が給気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、給気ペースが下がるように制御信号値743を変更する。逆に、排気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、排気ペースが上がるように制御信号値743を変更する。
【0105】
この結果、搭乗部100で、左旋回にともなうバンクの発生つまりヨー角の変化を表現できる。なお、右旋回の場合は制御信号値743の変更関係を左右で反転させればよい。
【0106】
同様にして、プレーヤであるユーザ2による上昇操作に応じて搭乗部100で、上昇姿勢に変化するピッチ変化を表現できる。
【0107】
具体的には、上昇操作或いは加速操作がなされた場合、搭乗部100の前側にある第1エアばね111及び第2エアばね112の制御信号値743が給気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、給気ペースが上がるように制御信号値743を変更する。逆に、排気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、排気ペースが低下するように変更する。
【0108】
他方、上昇操作或いは加速操作がなされた場合に、後側にある第3エアばね113及び第4エアばね114の制御信号値743が給気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、給気ペースが下がるように制御信号値743を変更する。逆に、排気する信号値であれば、ゲーム装置10Bは、排気ペースが上がるように変更する。
【0109】
この結果、搭乗部100で、上昇にともなうピッチ角の変化を表現できる。なお、下降操作の場合は制御信号値743の変更関係を前後で反転させればよい。
【0110】
また、操作入力に応じた変更の別例としては、操作スイッチ162b(図2参照)の1つに「ジャンプ」操作を割り当てる。そして、当該操作スイッチ162bが操作された場合、ゲーム装置10は、変更処理にて、制御信号値743を、所定時間の間、強制的にエアばねを上昇させてから下降させるように変更する。これにより、ユーザ2の意志によるジャンプに伴う搭乗部100の動きを表現できる。
【符号の説明】
【0111】
2…ユーザ
10…ゲーム装置
50…制御部
100…搭乗部
106…規制部
110…エアばね部
111…第1エアばね
112…第2エアばね
113…第3エアばね
114…第4エアばね
120…給排気調整部
122…給気電磁弁
124…排気電磁弁
150…センサ
160…操作部
202…ゲーム進行制御部
204…給排気制御部
206…計時部
501…ゲームプログラム
520…揺れ定義データ
550…制御パターン定義データ
556…パターン初期設定テーブルデータ
700…プレイデータ
708…キャリブレーションデータ
710…昇降制御範囲
720…エアばね制御データ
730…実行制御種別
740…制御信号テーブルデータ
Hp…個別目標高
Ht…目標基準高
Tt…目標制御時間
ΔH…所要高さ変化量
ΔHp…所要個別高さ変化量
ΔT…所要制御時間長
Δθ…所要角度変化量
θt…目標傾斜角度
φt…目標傾斜方位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13