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特開2024-155596工程管理システム、携帯端末及び無線タグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155596
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】工程管理システム、携帯端末及び無線タグ
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241024BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241024BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070441
(22)【出願日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り SEMICON Japan 2022 東京ビッグサイト 東展示棟(1~5ホール)(東京都江東区有明3-10-1)、令和4年12月14日(開催期間:令和4年12月14日~令和4年12月16日)、デモンストレーション SEMICON Japan 2022 東京ビッグサイト 東展示棟(1~5ホール)(東京都江東区有明3-10-1)、令和4年12月14日(開催期間:令和4年12月14日~令和4年12月16日)、動画の放映 SEMICON Japan 2022 東京ビッグサイト 東展示棟(1~5ホール)(東京都江東区有明3-10-1)、令和4年12月14日(開催期間:令和4年12月14日~令和4年12月16日)、ポスターの展示
(71)【出願人】
【識別番号】513104479
【氏名又は名称】パイクリスタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮村 幸春
(72)【発明者】
【氏名】田邉 正廣
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB17
3C100CC02
3C100CC14
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる、工程管理システム、携帯端末及び無線タグを提案する。
【解決手段】工程管理システム1は、携帯端末4によって無線タグ6aのタグ識別情報ID1を読み取り、当該タグ識別情報ID1を基に得られた照合結果に基づいて作業者Hが行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内外に設けられた設備において作業者が作業工程にしたがって操作する作業対象物ごとにそれぞれ設置される複数の無線タグと、近接した前記無線タグと非接触通信が可能な携帯端末と、を備える工程管理システムであって、
前記携帯端末は、
前記作業者が前記作業対象物に近接したときに前記作業対象物に設置されている前記無線タグから前記無線タグのタグ識別情報を非接触通信により読み取る無線タグ読取部と、
前記無線タグ読取部で読み取った前記無線タグのタグ識別情報を外部装置に送信するタグ識別情報送信部と、
前記外部装置の照合部に設定された対応タグ識別情報と前記無線タグから読み取った前記タグ識別情報とを基に、前記作業者が行うべき前記作業対象物であるか否かを前記照合部で照合した照合結果を、前記外部装置から受信する照合結果受信部と、
を備え、
前記無線タグは、
近接した前記携帯端末に非接触通信により固有の前記タグ識別情報を送信するタグ送受信回路を備え、
前記照合部による前記照合結果を、前記携帯端末及び前記無線タグのうち少なくともいずれか一方に設けた照合結果通知部によって、前記作業者に通知する、
工程管理システム。
【請求項2】
施設内外に設けられた設備において作業者が作業工程にしたがって操作する作業対象物ごとにそれぞれ設置される複数の無線タグと、近接した前記無線タグと非接触通信が可能な携帯端末と、を備える工程管理システムであって、
前記携帯端末は、
複数の作業工程について前記作業者が行う前記作業工程の順序と、前記作業工程ごとに対応付けられた対応タグ識別情報と、を規定した作業手順情報を記憶する記憶部と、
前記携帯端末を所有する前記作業者が次に行う作業工程を、前記作業手順情報に基づいて、前記作業者に提示する提示部と、
前記作業者が前記作業対象物に近接したときに前記作業対象物に設置されている前記無線タグから前記無線タグのタグ識別情報を非接触通信により読み取る無線タグ読取部と、
前記提示部に現在提示されている前記作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報を照合判定情報として設定し、前記無線タグ読取部で読み取った前記タグ識別情報が、前記対応タグ識別情報と一致するか否かを照合する照合部と、
を備え、
前記無線タグは、
近接した前記携帯端末に非接触通信により固有の前記タグ識別情報を送信するタグ送受信回路を備え、
前記照合部による照合結果を、前記携帯端末及び前記無線タグのうち少なくともいずれか一方に設けた照合結果通知部によって、前記作業者に通知する、
工程管理システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記照合結果通知部を備え、
前記携帯端末の前記照合結果通知部によって、前記照合部による照合結果を前記作業者に通知する、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、
前記タグ識別情報が前記対応タグ識別情報と一致するとの照合結果に基づいて、前記タグ識別情報を読み取った前記無線タグに作業指示通知命令を非接触通信により送信する作業指示通知命令送信部を備え、
前記無線タグは、
前記照合結果通知部として、前記タグ送受信回路によって前記携帯端末から受信した前記作業指示通知命令に基づいて作業指示命令を前記作業者に通知するタグ通知部を備える、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項5】
前記無線タグは、
自身が設置されている前記作業対象物に対する前記作業者の操作を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて前記作業者による作業が完了したことを前記作業者に通知するタグ通知部と、を備える、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項6】
前記無線タグは、
自身が設置されている前記作業対象物に対する前記作業者の操作を検出するセンサを備え、前記タグ送受信回路は、前記センサの検出結果に基づいて作業完了通知を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、
前記無線タグから前記作業完了通知を非接触通信により受信する作業完了通知受信部と、
前記無線タグから受信した前記作業完了通知を提示する作業完了通知提示部と、
を備える、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、前記照合結果通知部を備え、
前記タグ識別情報が、前記照合部に設定された前記対応タグ識別情報と一致していない、との照合結果を前記照合部で得ると、前記作業者が行う前記作業工程ではないことを前記照合結果通知部によって通知する、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、
撮像部を備え
前記携帯端末、又は、前記携帯端末と通信可能な外部装置のいずれかに、
前記無線タグが設置された前記設備の状態又は前記作業対象物の状態を前記作業者が作業後に前記撮像部により撮像した撮像画像を受け取り、前記撮像画像と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、前記作業工程の作業状態を判定する状態判定部を備える、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項9】
前記無線タグは、
自身が設置されている前記作業対象物に対する前記作業者の操作により、前記作業対象物に生じる事象を検出するセンサを備え、前記タグ送受信回路は、前記センサの検出結果を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末、又は、前記携帯端末と通信可能な外部装置のいずれかに、
前記無線タグで得られた前記センサの検出結果を受け取り、前記センサの検出結果と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、前記作業工程の作業状態を判定する状態判定部を備える、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項10】
前記センサとして、
圧力センサ、振動センサ、モーションセンサ、加速度センサ、握力センサ、温度センサ、湿度センサ、撮像部を備えた画像センサ、光センサ、音センサ、人感センサ、ガスセンサ、磁気センサ、距離変位センサ、液検知センサ、電圧センサ、電流センサ、流量センサ、歪センサのうち、少なくとも1種以上を備える、
請求項5に記載の工程管理システム。
【請求項11】
前記携帯端末は、
前記状態判定部によって前記作業工程の作業が完了していると判定したときに、作業完了通知命令を非接触通信により前記無線タグに送信し、
前記無線タグは、
前記携帯端末からの前記作業完了通知命令を非接触通信により受信すると、作業が完了したことをタグ通知部によって前記作業者に通知する、
請求項8に記載の工程管理システム。
【請求項12】
前記携帯端末は、
前記状態判定部によって前記作業工程の作業が完了していると判定したときに、作業完了通知命令を非接触通信により前記無線タグに送信し、
前記無線タグは、
前記携帯端末からの前記作業完了通知命令を非接触通信により受信すると、作業が完了したことをタグ通知部によって前記作業者に通知する、
請求項9に記載の工程管理システム。
【請求項13】
前記携帯端末は、
前記作業者が操作可能な操作部を備え、
前記無線タグ読取部によって、予め定めた一定時間の間、前記無線タグから前記タグ識別情報を読み取らなかったときに、前記作業者に対して前記操作部の操作を促す作業状況確認動作を実行する、
請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項14】
前記携帯端末は、
前記作業者の生体情報を取得する生体情報測定部を備え、
前記携帯端末、又は、前記携帯端末と通信可能な外部装置のいずれかに、
予め定めた一定時間の間、前記作業状況確認動作によって前記作業者により前記操作部が操作されなかったときには、前記生体情報測定部により測定した前記作業者の生体情報に基づいて、前記作業者の体調を判定する体調判定部を備え、
前記体調判定部により前記作業者の体調に異変があるとの判定結果を得ると、前記携帯端末の報知部を動作させて前記作業者の状況を前記作業者の周囲に報知する報知動作、及び、外部の装置へ安否確認要請通知を送信する送信動作のうち、少なくともいずれか一方を実行する、
請求項13に記載の工程管理システム。
【請求項15】
前記携帯端末は、
前記作業工程の作業を行う際に前記作業対象物を前記作業者が操作するときの作業動作を検出するセンサを備え、
前記携帯端末、又は、前記携帯端末と通信可能な外部装置のいずれかに、
前記設備の状態又は前記作業対象物の状態を、前記センサの検出結果と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、前記作業工程の作業状態を判定する状態判定部を備える、請求項1又は2に記載の工程管理システム。
【請求項16】
前記センサとして、
加速度センサ、モーションセンサ、圧力センサ、振動センサ、握力センサ、温度センサ、音センサのうち、少なくとも1種以上を備える、
請求項15に記載の工程管理システム。
【請求項17】
前記作業手順情報には、前記作業工程の作業を前記作業者が完了させるまでに必要となる作業時間が前記作業工程ごとに規定されており、
前記携帯端末は、
前記作業時間が経過しても前記作業者が前記作業工程の作業を完了していないと判定したときには前記作業者に対して作業遅延情報を提示する遅延情報提示部を備える、
請求項2に記載の工程管理システム。
【請求項18】
前記無線タグは、
外部の電子機器と通信可能な通信部を備え、
前記センサの検出結果に基づいて、前記電子機器を制御する制御信号を、前記通信部を介して前記電子機器に送信し、前記制御信号により前記電子機器の動作を制御する、
請求項5に記載の工程管理システム。
【請求項19】
前記無線タグは、
外部の電子機器と通信可能な通信部を備え、
前記センサの検出結果に基づいて、前記電子機器を制御する制御信号を、前記通信部を介して前記電子機器に送信し、前記制御信号により前記電子機器の動作を制御する、
請求項6に記載の工程管理システム。
【請求項20】
施設内外に設けられた設備において作業者が作業工程にしたがって操作する作業対象物ごとに設置される複数の無線タグのそれぞれに対して近接したときに、前記無線タグと非接触通信が可能な携帯端末であって、
前記作業者が前記作業対象物に近接したときに前記作業対象物に設置されている前記無線タグから前記無線タグに固有のタグ識別情報を非接触通信により読み取る無線タグ読取部と、
前記無線タグ読取部で読み取った前記無線タグのタグ識別情報を外部装置に送信するタグ識別情報送信部と、
前記外部装置の照合部に設定された対応タグ識別情報と前記無線タグ読取部で読み取った前記タグ識別情報とを基に前記作業者が行うべき前記作業対象物であるか否かを前記照合部で照合した照合結果を、前記外部装置から受信する照合結果受信部と、
を備え、
前記照合部による前記照合結果を、前記携帯端末及び前記無線タグのうち少なくともいずれか一方に設けた照合結果通知部によって、前記作業者に通知する、携帯端末。
【請求項21】
施設内外に設けられた設備において作業者が作業工程にしたがって操作する作業対象物ごとに設置される複数の無線タグのそれぞれに対して近接したときに、前記無線タグと非接触通信が可能な携帯端末であって、
複数の作業工程について前記作業者が行う前記作業工程の順序と、前記作業工程ごとに対応付けられた対応タグ識別情報と、を規定した作業手順情報を記憶する記憶部と、
前記作業者が次に行うべき作業工程を前記作業手順情報に基づいて前記作業者に対して提示する提示部と、
前記作業者が前記作業対象物に近接したときに前記作業対象物に設置されている前記無線タグから前記無線タグのタグ識別情報を非接触通信により読み取る無線タグ読取部と、
前記提示部に現在提示されている前記作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報を照合判定情報として設定し、前記無線タグ読取部で読み取った前記タグ識別情報が、前記対応タグ識別情報と一致するか否かを照合する照合部と、
を備え、
前記照合部による照合結果を、前記携帯端末及び前記無線タグのうち少なくともいずれか一方に設けた照合結果通知部によって、前記作業者に通知する、携帯端末。
【請求項22】
前記タグ識別情報が前記対応タグ識別情報と一致するとの照合結果に基づいて、前記タグ識別情報を読み取った前記無線タグに作業指示通知命令を非接触通信により送信する作業指示通知命令送信部を備え、
前記無線タグには前記照合結果通知部が設けられており、前記タグ識別情報を読み取った前記無線タグに前記作業指示通知命令を受信させ、前記作業指示通知命令に基づいて作業指示命令を前記無線タグのタグ通知部により前記作業者に通知させる、請求項20又は21に記載の携帯端末。
【請求項23】
施設内外に設けられた設備において作業者が操作する作業対象物に設置され、かつ、前記作業者が所有する携帯端末が近接した際に、前記携帯端末と非接触通信が可能な無線タグであって、
前記携帯端末において複数の作業工程のうち、前記作業者が次に行うべき作業工程が、提示部により前記作業者に対して提示されている状態で、前記作業者が前記作業対象物に近接したときに、前記携帯端末からのタグ識別情報の読み取り要求を非接触通信により受信する読取要求受信部と、
前記携帯端末において前記提示部に現在提示されている前記作業工程に対応付けされた対応タグ識別情報が照合判定情報として設定されているときに、前記携帯端末において前記対応タグ識別情報が読み取った前記タグ識別情報と一致するとの照合結果が得られたことで、前記携帯端末から非接触通信により送信された作業指示通知命令を受信する作業指示通知命令受信部と、
前記携帯端末から受信した前記作業指示通知命令に基づいて、前記作業者に対して前記作業対象物の作業を指示した作業指示命令を通知するタグ通知部と、
を備える、無線タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程管理システム、携帯端末及び無線タグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場の製造現場でワークを組み立てる際には、複数の設備を用いてワークの自動組み立てが行われている(例えば、特許文献1参照)。このような自動組み立てを行う設備であっても、設備のメンテナンスは自動化されておらず、メンテナンスに必要な複数の作業工程を予め定められた順序に従って作業者自身が手作業で行っている。
【0003】
また、難易度の高い組み立て作業は、未だ作業者が設備を操作するなどしながら、複数の作業工程を予め定められた順序に従って作業者自身が手作業で行うセル生産方式が取られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-199138号公報
【特許文献2】特開2012-150766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、施設内外に点在している複数の設備や、バルブやスイッチなどの作業者が操作する複数の作業対象物が密集している設備に対して、複数の作業工程を予め定められた順序で作業者自身が手作業で行ってゆく際には、作業者が誤った順序で作業工程を行ってしまうなどの人為的なミスが発生することも少なくない。このため、作業者による作業工程が正しい順序で行われているかを管理しながら人為的なミスの発生を抑制して作業の効率化を図ることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は以上の点を考慮してなされたもので、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる、工程管理システム、携帯端末及び無線タグを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る工程管理システムは、施設内外に設けられた設備において作業者が作業工程にしたがって操作する作業対象物ごとにそれぞれ設置される複数の無線タグと、近接した前記無線タグと非接触通信が可能な携帯端末と、を備える工程管理システムであって、前記携帯端末は、前記作業者が前記作業対象物に近接したときに前記作業対象物に設置されている前記無線タグから前記無線タグのタグ識別情報を非接触通信により読み取る無線タグ読取部と、前記無線タグ読取部で読み取った前記無線タグのタグ識別情報を外部装置に送信するタグ識別情報送信部と、前記外部装置の照合部に設定された対応タグ識別情報と前記無線タグから読み取った前記タグ識別情報とを基に、前記作業者が行うべき前記作業対象物であるか否かを前記照合部で照合した照合結果を、前記外部装置から受信する照合結果受信部と、を備え、前記無線タグは、近接した前記携帯端末に非接触通信により固有の前記タグ識別情報を送信するタグ送受信回路を備え、前記照合部による前記照合結果を、前記携帯端末及び前記無線タグのうち少なくともいずれか一方に設けた照合結果通知部によって、前記作業者に通知するものである。
【0008】
また、本発明に係る携帯端末及び無線タグは、上述した工程管理システムに用いられるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯端末によって作業者が読み取った無線タグのタグ識別情報を基に得られた照合結果に基づいて作業者が行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る工程管理システムの全体構成を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る携帯端末及び無線タグの回路構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る工程管理処理を示すタイミングチャートである。
図4】第1実施形態に係る携帯端末の工程管理処理での動作を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る無線タグの工程管理処理での動作を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る携帯端末の回路構成を示すブロック図である。
図7】第2実施形態に係る工程管理処理を示すタイミングチャートである。
図8】第2実施形態に係る携帯端末の工程管理処理での一部動作を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る無線タグの工程管理処理での動作を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る工程管理システムの全体構成を示す概略図である。
図11】第3実施形態に係る工程管理処理を示すタイミングチャートである。
図12】第3実施形態に係る携帯端末の工程管理処理での一部動作を示すフローチャートである。
図13】第4実施形態に係る携帯端末の回路構成を示すブロック図である。
図14】第4実施形態に係る携帯端末の工程管理処理での動作を示すフローチャートである。
図15】第5実施形態に係る携帯端末の回路構成を示すブロック図である。
図16】第5実施形態に係る工程管理処理を示すタイミングチャートである。
図17】第6実施形態に係る携帯端末の回路構成を示すブロック図である。
図18】第6実施形態に係る工程管理処理を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
(1)第1実施形態
(1-1)第1実施形態に係る工程管理システムの全体構成
例えば、飲食物製造工場や、自動車製造工場、石油プラント、化学プラントなどの各種施設では、施設内外に点在する複数の設備を予め定められた順序に沿って巡回してゆき各設備に設けたバルブやスイッチなどの作業対象物を順番に操作したり、或いは、1つの設備に密集して設けられたバルブやスイッチなどの複数の作業対象物を予め定められた順序に沿って操作したりするなど、作業者が複数の作業工程の作業を予め定めた順序に沿って正しく行うことで、製品・素材・資源の生産や、設備のメンテナンスなどを行うことがある。
【0013】
図1に示す本実施形態に係る工程管理システム1は、このように予め定められた順序に沿って複数の作業工程の各作業を作業者Hが行う必要がある場合に、作業者Hが誤った順序で作業工程を行わないよう、作業者H自身が作業工程の進捗状況を管理しながら作業工程を行えるものである。図1では、一例として、作業対象物として6つのスイッチSW1,…,SW6が設けられた設備3において、スイッチSW1,…,SW6の順序で作業者Hが押下作業を行う必要がある際に、工程管理システム1を適用する場合について以下説明する。
【0014】
図1に示す第1実施形態に係る工程管理システム1は、例えば、パーソナルコンピュータである情報処理装置2と、作業者Hが所有する作業者端末である携帯端末4と、工場内にある設備3のスイッチSW1,…,SW6に設置される複数の無線タグ6a,…,6fとで構成されている。なお、スイッチSW1,…,SW6に設置される複数の無線タグ6a,…,6fは全て同一構成でなるため、ここでは主として、スイッチSW1に設置された無線タグ6aに着目して以下説明する。
【0015】
工程管理システム1は、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信により、情報処理装置2と、作業者Hが所有する携帯端末4とが無線接続されており、情報処理装置2と携帯端末4との間で各種データの送受信を行う。
【0016】
情報処理装置2は、図示しない内部の記憶部に、後述する作業手順情報が予め記憶されている。作業手順情報は、複数の作業工程について各作業工程で作業者Hが行う作業内容と、複数の作業工程において作業者Hが行う作業工程の作業順序と、各作業工程を行う作業場所と、作業工程ごとに対応付けられた対応タグ識別情報と、が規定されている。
【0017】
本実施形態では、6つのスイッチSW1,…,SW6が設けられた設備3において、作業者HがスイッチSW1,…,SW6の順番でこれらスイッチSW1,…,SW6を押下する作業工程を行うため、作業手順情報では、作業順序及び作業内容として、第1作業工程がスイッチSW1の押下作業であることが規定され、第1作業工程の次に行う第2作業工程がスイッチSW2の押下作業であることが規定され、以降同様に、スイッチSW3,SW4,SW5,SW6の押下作業がそれぞれ第3作業工程、第4作業工程、第5作業工程及び第6作業工程として規定されている。
【0018】
また、作業手順情報では、各作業工程の作業場所として、第1作業工程から第6作業工程までが行われる、スイッチSW1,…,SW6が設けられた設備3の、敷地内での設置場所を示す位置情報が規定されているとともに、設備3での各スイッチSW1,…,SW6のそれぞれの配置場所を示す配置情報とが規定されている。
【0019】
情報処理装置2は、作業者Hの作業開始前に、記憶部から読み出した作業手順情報を、近距離通信により携帯端末4に送信する。本実施形態に係る携帯端末4は、例えば、ウェアラブルの電子機器である腕時計型電子機器(スマートウォッチ)であり、ベルト5bによって作業者Hの手首に携帯端末本体5aが着脱自在に装着される。
【0020】
携帯端末4は、作業手順情報に規定された作業順序及び作業内容に基づいて、複数の作業工程のうち、第1作業工程の作業としてスイッチSW1の押下作業を行うことを示した次作業通知画像を端末表示部413に表示する。これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された次作業通知画像を視認することにより、第1作業工程として、始めにスイッチSW1の押下作業を行わなければならないことを認識することができる。
【0021】
また、この際、携帯端末4は、例えば、作業者Hによって端末表示部413のタッチパネル(後述する操作部)が操作されることにより端末表示部413の画面表示が切り替わり、作業手順情報に規定された第1作業工程の位置情報に基づいて、設備3の設置場所を地図上に示したり、「東棟の南側角部に設置されている設備」などのように設備3の設置場所を示す文字情報を提示したりし、設備3の設置場所を示した作業場所通知画像を端末表示部413に表示する。さらに、携帯端末4は、例えば、作業者Hによって端末表示部413のタッチパネル(操作部)が操作されることにより端末表示部413の画面表示が切り替わり、作業手順情報に規定された第1作業工程の配置情報に基づいて、例えば、設備3の外観を図示した画像内に第1作業工程を行うスイッチSW1を強調表示するなどして、第1作業工程を行うスイッチSW1の、設備3での配置場所を示した操作部位通知画像を表示する。
【0022】
これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された作業場所通知画像及び操作部位通知画像を視認することにより、第1作業工程の作業を行う作業場所として、設備3の設置場所や、設備3でのスイッチSW1の配置場所を認識し得、スイッチSW1の配置場所まで正確に移動し、第1作業工程としてスイッチSW1の押下作業を行うことができる。
【0023】
作業手順情報に規定された対応タグ識別情報は、スイッチSW1,…,SW6に設置される複数の無線タグ6a,…,6fにそれぞれ対応付けられている固有のタグ識別情報ID1,…,ID6である。この場合、作業手順情報では、第1作業工程として押下作業が行われるスイッチSW1に設置された無線タグ6aのタグ識別情報ID1が、第1作業工程の対応タグ識別情報として設定され、第1作業工程の次に行われる第2作業工程として押下作業が行われるスイッチSW2に設置された無線タグ6bのタグ識別情報ID2が、第2作業工程の対応タグ識別情報として設定されている。
【0024】
同様にして、第3作業工程から第6作業工程として押下作業が行われるスイッチSW3,SW4,SW5,SW6に設置された無線タグ6c,6d,6e,6fのタグ識別情報ID3,ID4,ID5,ID6が、作業手順情報において、第3作業工程から第6作業工程の対応タグ識別情報としてそれぞれ設定されている。なお、以降、第1作業工程から第6作業工程に対応付けた対応タグ識別情報の固有の識別子は、タグ識別情報ID1,…,ID6と同じであるため、説明の便宜上、以下、タグ識別情報ID1,…,ID6と同じ符号を付して、対応タグ識別情報ID1,…,ID6と表記する。
【0025】
携帯端末4は、第1作業工程として行うスイッチSW1の押下作業に関する次作業通知画像、作業場所通知画像又は操作部位通知画像が端末表示部413に表示されているとき、当該第1作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID1を照合判定情報として設定する。
【0026】
携帯端末4は、作業者Hが第1作業工程の作業を行うためにスイッチSW1に近接し、当該スイッチSW1に設置した無線タグ6aのアンテナ611にかざされることで、RFID(Radio Frequency Identification)の伝送方式により当該無線タグ6aとの間で非接触通信が可能となる。携帯端末4は、非接触通信によって無線タグ6aのタグ識別情報ID1を読み取り、照合判定情報として設定されている対応タグ識別情報ID1が、読み取ったタグ識別情報ID1と一致するか否かを照合する。
【0027】
携帯端末4は、照合判定情報として設定されている対応タグ識別情報ID1が、読み取ったタグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られると、所定のマークを示したり、スイッチSW1の押下を促す文字情報を示したりした端末側作業指示画像を端末表示部413に表示する。これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された端末側作業指示画像を視認することで、非接触通信可能に接続された無線タグ6aが設置されたスイッチSW1が、第1作業工程として押下作業を行うスイッチSW1であることを認識することができる。
【0028】
また、この際、携帯端末4は、照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と照合結果が一致した無線タグ6aに対して、非接触通信によって作業指示通知命令を送信する。これにより、無線タグ6aは、作業指示通知命令に基づいて、所定のマークを示したり、スイッチSW1の押下を促す文字情報を示したりしたタグ側作業指示画像(単に作業指示画像とも称する)を後述するタグ表示部に表示する。これにより、無線タグ6aにおいても、作業者Hに対してスイッチSW1が第1作業工程として押下作業を行うべきスイッチSW1であることを認識させることができる。
【0029】
かかる構成に加えて、無線タグ6aは、作業者Hが指先で押下可能な圧力センサ615を備えており、当該圧力センサ615がスイッチSW1上に配置された構成を有する。これにより、無線タグ6aは、圧力センサ615を介在させてスイッチSW1を作業者Hに押下させることで、スイッチSW1が作業者Hにより押下されたか否かを圧力センサ615により検出し得る。無線タグ6aは、作業指示通知命令に基づいてタグ表示部にタグ側作業指示画像を表示させている際に、圧力センサ615で押下を検出すると、第1作業工程であるスイッチSW1の押下作業が完了したことを示すタグ側作業完了画像をタグ表示部に表示し、作業者Hに対して第1作業工程が完了したことを、視覚を介して認識させる。
【0030】
また、この際、無線タグ6aは、非接触通信によって作業完了通知を携帯端末4に送信し、当該携帯端末4の端末表示部413が作業完了通知提示部として機能して当該端末表示部413にも端末側作業完了画像を表示させる。これにより、携帯端末4によっても、作業者Hに対して第1作業工程が完了したことを認識させることができる。
【0031】
携帯端末4は、無線タグ6aから作業完了通知を受信すると、作業手順情報に基づいて、第1作業工程の次に行う第2作業工程としてスイッチSW2の押下作業を行うことを示した次作業通知画像を端末表示部413に表示する。これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された次作業通知画像を視認することにより、次に行う第2作業工程の作業がスイッチSW2の押下作業であることを認識することができる。
【0032】
また、この際、携帯端末4は、例えば、作業者Hによって端末表示部413のタッチパネルが操作されることにより端末表示部413の画面表示が切り替わり、作業手順情報に規定された第2作業工程の配置情報に基づいて、例えば、設備3の外観を図示した画像内に第2作業工程を行うスイッチSW2を強調表示するなどして、第2作業工程を行うスイッチSW2の、設備3での配置場所を示した操作部位通知画像を表示する。
【0033】
これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された操作部位通知画像を視認することにより、次に第2作業工程として押下作業を行うスイッチSW2の設備3での配置場所を認識し得、第2作業工程としてスイッチSW2の押下作業を行うことができる。
【0034】
また、携帯端末4は、次に行う第2作業工程であるスイッチSW2の押下作業に関する次作業通知画像、作業場所通知画像又は操作部位通知画像が端末表示部413に表示されているとき、当該第2作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID2が照合判定情報として設定される。このようにして、工程管理システム1では、第2作業工程以降の作業工程についても、上述した第1作業工程と同様の処理が行われ、作業者Hに対して第1作業工程から第6作業工程まで正しい順序で作業工程を行わせることができる。
【0035】
次に、携帯端末4において、第1作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID1が照合判定情報として設定される際に、作業者Hが誤って第2作業工程として次に作業を行うスイッチSW2に近接し、当該スイッチSW2に設置した無線タグ6bのアンテナ611に、誤って携帯端末4をかざした場合について説明する。
【0036】
この場合、携帯端末4は、第1作業工程ではないスイッチSW2に設置した無線タグ6bのアンテナ611にかざされると、当該無線タグ6bとの間でも非接触通信が可能に接続される。携帯端末4は、非接触通信によって無線タグ6bのタグ識別情報ID2を読み取り、照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1が、読み取ったタグ識別情報ID2と一致するか否かを照合する。
【0037】
携帯端末4は、照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1が、読み取ったタグ識別情報ID2と不一致であるとの照合結果を得ると、スイッチSW2の押下作業が、第1作業工程として行う作業ではないことを作業者Hに通知する警告画像を端末表示部413に表示する。これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された警告画像を視認することで、非接触通信可能に接続された無線タグ6bが設置されたスイッチSW2が、第1作業工程として押下作業を行うスイッチSW1ではないことを認識することができる。
【0038】
また、この際、無線タグ6bは、携帯端末4から作業指示通知命令を受信しないことから、タグ表示部にタグ側作業指示画像が表示されることがないため、作業者Hに対してスイッチSW2が第1作業工程として押下作業を行うべきスイッチSW1ではないことを認識させることができる。
【0039】
このようにして、工程管理システム1では、作業者Hが行うべき第1作業工程ではない他の作業工程が行われるおそれがある場合、警告通知として携帯端末4の端末表示部413に警告画像が表示され、無線タグ6bのタグ表示部にタグ側作業指示画像が表示されないことから、これらを基に作業者Hに対して誤った作業工程であることを認識させ、作業工程が誤った順序で行われることを未然に防止することができる。
【0040】
(1-2)携帯端末及び無線タグの回路構成
次に、携帯端末4及び無線タグ6の回路構成について説明する。なお、図1に示したスイッチSW1,…,SW6や無線タグ6a,…,6fについては同一構成であることから、特に区別する必要がない場合には、単に、スイッチSW、無線タグ6と称して説明する。
【0041】
図2に示すように、携帯端末4は、端末制御部411、端末表示部413、操作部414、照合部415、スピーカ416、バイブレータ417、非接触通信部419、送受信部420及び記憶部421を備えている。端末制御部411は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などからなるマイクロコンピュータ構成でなり、ROMに予め格納されている基本プログラムや、工程管理処理プログラム等の各種プログラムをRAMにロードして立ち上げることにより、携帯端末4における各種機能を統括的に制御し得るとともに、情報処理装置2との間や、無線タグ6との間でそれぞれデータ通信し得るようになされている。
【0042】
送受信部420は、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信によって情報処理装置2(図1)との間でデータの送受信を行う。記憶部421には、送受信部420を介して情報処理装置2から受信した作業手順情報などの各種データが記憶される。
【0043】
端末表示部413は、例えば、タッチパネルが搭載された有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、液晶ディスプレイであり、記憶部421に記憶された作業手順情報に基づいて、作業者Hが次に行う作業工程に関する次作業通知画像、作業場所通知画像、操作部位通知画像を表示する。また、端末表示部413は、後述する照合部415の照合結果に応じて、端末側作業指示画像及び警告画像を表示する。さらに、端末表示部413は、無線タグ6から受信した作業完了通知に基づいて端末側作業完了画像を表示する。
【0044】
操作部414は、例えば、携帯端末本体5aの側面に設けられたボタンや、上述した端末表示部413に設けられたタッチパネルなどであり、作業者Hにより押下されることにより端末表示部413の画面表示の切り替えや、各種操作情報の入力などを行える。
【0045】
非接触通信部419は、例えば、RFIDタグである無線タグ6との間で非接触通信によりデータの送受信を行う。この場合、非接触通信部419は、無線タグ6のアンテナ611にかざされることで、当該無線タグ6のアンテナ611に向かってタグ識別情報読取要求となる電波(チャージ波)を送信し、無線タグ6で応答動作に必要なエネルギーを無線タグ6に与える。
【0046】
また、非接触通信部419は、タグ識別情報読取要求の送信後に受信状態に変わり、無線タグ6から送信されたタグ識別情報通知を受信し、これに基づいて無線タグ6のタグ識別情報IDを読み取り、これを照合部415に出力する。なお、RFIDの伝送方式としては、静電結合方式、電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式などがある。
【0047】
照合部415は、作業手順情報に規定した作業順序に従って、作業者Hが次に行う作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID1,…,ID6を照合判定情報として順番に設定する。また、照合部415は、例えば、設定した対応タグ識別情報ID1を、非接触通信部419から受け取った無線タグ6のタグ識別情報IDと照合し、対応タグ識別情報ID1の識別子がタグ識別情報IDと一致するか否かの照合を行い、得られた照合結果を端末制御部411に送出する。
【0048】
端末制御部411は、照合部415で得られた照合結果に応じて、端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417を端末提示部として機能させ、これら端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417を介して照合結果を作業者Hに通知する。この場合、端末制御部411は、例えば、設定した対応タグ識別情報ID1の識別子が、読み取ったタグ識別情報IDと一致するとの照合結果を受け取った場合、端末表示部413を動作させ、所定のマークを示したり、スイッチSW1の押下を促す文字情報を示したりした端末側作業指示画像を端末表示部413に表示させる。
【0049】
また、端末制御部411は、スピーカ416及びバイブレータ417を端末提示部として機能させ、端末側作業指示画像を端末表示部413に表示させる際に、設定した対応タグ識別情報ID1の識別子が、読み取ったタグ識別情報IDと一致することを知らせる報知音をスピーカ416から出力するようにしてもよく、バイブレータ417を動作させて携帯端末本体5aを振動させるようにしてもよい。
【0050】
次に、無線タグ6の回路構成について説明する。無線タグ6は、携帯端末4において複数の作業工程のうち、作業者Hが次に行うべき作業工程が、端末表示部413に表示設定されている状態で、作業者HがスイッチSWに近接したときに、当該携帯端末4からのタグ識別情報IDの読み取り要求を非接触通信により受信可能な構成(読取要求受信部)を有している。また、その後、無線タグ6は、携帯端末4において端末表示部413に現在表示設定されている作業工程に対応付けされた対応タグ識別情報IDが照合判定情報として設定されているときに、携帯端末4において当該対応タグ識別情報IDが読み取ったタグ識別情報IDと一致するとの照合結果が得られたことで、携帯端末4から非接触通信により送信された作業指示通知命令を受信可能な構成(作業指示通知受信部)を有している。
【0051】
この場合、無線タグ6は、アンテナ611、タグ送受信回路612、圧力センサ615、タグ表示部616、バッテリ617及びタグ制御部618を備える。タグ制御部618は、CPU、RAM及びROMなどからなるマイクロコンピュータ構成でなり、ROMに予め格納されている基本プログラムや、工程管理処理プログラム等の各種プログラムをRAMにロードして立ち上げることにより、無線タグ6における各種機能を統括的に制御し得る。
【0052】
読取要求受信部及び作業指示通知命令受信部として機能するタグ送受信回路612は、電源整流部620と、信号処理部621と、メモリ622と、タグ送受信回路制御部623と、を備えている。メモリ622は、タグ識別情報ID(無線タグ6を識別する固有の識別子)を記憶する。電源整流部620は、電源回路及び整流回路を有し、携帯端末4から送信された電波をアンテナ611で受けることで、当該アンテナ611で発生した電力を蓄積するとともに、安定した直流電圧を生成する。タグ送受信回路612は、得られた直流電圧を駆動用電圧として用いて、信号処理部621及びタグ送受信回路制御部623を駆動させる。タグ送受信回路制御部623は、タグ送受信回路612を統括的に制御する回路であり、信号処理部621などを制御するものである。
【0053】
信号処理部621は、復調回路及び変調回路を有し、アンテナ611で受信した携帯端末4からの電波を復調し、タグ識別情報読取要求又は作業指示通知命令などの信号を生成する。また、信号処理部621は、アンテナ611を介して携帯端末4からタグ識別情報読取要求の信号を受信すると、メモリ622に記憶されたタグ識別情報IDに基づいて、当該タグ識別情報IDに応じて変調した電波をタグ識別情報通知としてアンテナ611から送信させる。
【0054】
本実施形態に係る信号処理部621は、アンテナ611によって、携帯端末4から作業指示通知命令の信号を受信すると、受信した当該信号に基づいてバッテリ617をオン動作させる。バッテリ617は、圧力センサ615、タグ表示部616及びタグ制御部618を駆動させるためのものであり、作業指示通知命令の信号を受信することでオン動作し、これら圧力センサ615、タグ表示部616及びタグ制御部618に駆動電圧の供給を開始する。本実施形態では、作業指示通知命令の信号を受信するまでバッテリ617をオフ動作させておくことで、携帯端末4との間で非接触通信されていないときの無線タグ6での電力消費を抑制し得る。
【0055】
なお、本実施形態に係るタグ送受信回路612は、バッテリ617から駆動電圧が供給されておらず、携帯端末4から送信された電波をアンテナ611で受けることで、当該電波に基づいて生成した直流電圧により駆動し、当該電波に応じた作業指示通知命令等の信号を生成する。このため、無線タグ6は、バッテリ617がオフ状態でも、携帯端末4からの電波を受信し得る。また、バッテリ617は、オフ状態となるタイミングは特に設定しなくてもよいが、例えば、その後、後述する作業完了通知を、アンテナ611を介して携帯端末4に送信する等、一連の処理が終了した後に自動的にオフ状態となるようにしてもよく、また、タグ表示部616で各種画像を表示してから一定時間経過後に自動的にオフ状態となるようにしてもよい。
【0056】
圧力センサ615は、作業者HによるスイッチSWの押下作業を検出するものであり、押下された検出結果をタグ送受信回路612の信号処理部621に出力し、当該検出結果を信号処理部621及びアンテナ611を介して作業完了通知として携帯端末4に送信させる。また、圧力センサ615は、検出結果をタグ表示部616にも出力する。
【0057】
タグ通知部としてのタグ表示部616は、例えば、有機ELディスプレイなどでなり、アンテナ611及び信号処理部621を介して受信した、携帯端末4からの作業指示通知命令に基づいてタグ側作業指示画像を表示するとともに、圧力センサ615から受け取った検出結果に基づいてタグ側作業完了画像を表示する。
【0058】
(1-3)第1実施形態に係る工程管理処理
次に、第1実施形態に係る工程管理処理について、図3に示すタイミングチャートに沿って以下説明する。図3に示すように、情報処理装置2は、近距離通信によって携帯端末4と接続し、作業手順情報を携帯端末4に送信する。これにより、携帯端末4は、作業者Hが行う複数の作業工程に関する作業手順情報を取得し、当該作業手順情報を記憶部421に記憶する(ステップS1)。
【0059】
次いで、携帯端末4は、第1作業工程に関する設定処理として、作業手順情報に基づいて、第1作業工程であるスイッチSW1の押下作業に関する次作業通知画像、作業場所通知画像及び操作部位通知画像を端末表示部413に表示する(ステップS2)。また、携帯端末4は、第1作業工程に関する設定処理として、当該第1作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID1を照合判定情報として照合部415に設定する(ステップS2)。
【0060】
携帯端末4を所有する作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された次作業通知画像、作業場所通知画像及び操作部位通知画像を確認することで、第1作業工程としてスイッチSW1の押下作業を行うことや、押下作業を行うスイッチSW1の設置場所・配置場所を認識することができる。
【0061】
次いで、携帯端末4は、作業者Hによって、スイッチSW1に設置されている無線タグ6aにかざされることにより、非接触通信によって無線タグ6aにタグ識別情報読取要求を送信する。これにより、携帯端末4は、非接触通信により無線タグ6aからタグ識別情報通知を受信する。
【0062】
次いで、携帯端末4は、タグ識別情報の照合処理として、照合部415に照合判定情報として設定した第1作業工程の対応タグ識別情報ID1が、受信したタグ識別情報ID1と一致するか否かを照合する(ステップS3)。この場合、携帯端末4は、照合部415に照合判定情報として設定した第1作業工程の対応タグ識別情報ID1が、受信したタグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られることから、作業命令通知の通知動作を行う(ステップS4)。
【0063】
本実施形態に係る携帯端末4は、作業命令通知の通知動作として、所定のマークや、スイッチSW1の押下を促す文字情報を示した端末側作業指示画像を端末表示部413に表示させるとともに、非接触通信により無線タグ6aに作業指示通知命令を送信する。無線タグ6aは、携帯端末4から作業指示通知命令を受信すると、作業指示通知命令に基づいてタグ側作業指示画像(作業指示命令)をタグ表示部616に表示する(ステップS7)。次いで、無線タグ6aは、圧力センサ615での押下検出を待ち受ける。
【0064】
無線タグ6aは、作業者Hにより圧力センサ615が押下され、圧力センサ615で押下を検出すると(ステップS8)、スイッチSW1に対する押下作業が完了したと認識し、タグ側作業完了画像をタグ表示部616に表示する(ステップS9)。また、この際、無線タグ6aは、非接触通信によってアンテナ611から携帯端末4に作業完了通知を送信する。これにより、携帯端末4は、作業完了通知受信部として機能する非接触通信部419によって作業完了通知を受信すると、当該作業完了通知に基づいて端末側作業完了画像を端末表示部413に表示する(ステップS12)。
【0065】
携帯端末4は、第1作業工程に関する作業完了通知を受信すると、作業手順情報に基づいて、第1作業工程の次に行われる第2作業工程に関する設定処理を行う(ステップS13)。具体的には、第2作業工程に関する設定処理として、第2作業工程であるスイッチSW2の押下作業に関する次作業通知画像、作業場所通知画像及び操作部位通知画像を端末表示部413に表示するとともに、当該第2作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID2を照合判定情報として照合部415に設定する(ステップS13)。
【0066】
工程管理システム1は、以降、第2作業工程についても、上述した第1作業工程に関する工程管理処理と同様の処理を実行する。そして工程管理システム1は、第3作業工程から第6作業工程までについてもそれぞれ携帯端末4の端末表示部413に次作業通知画像、作業場所通知画像、操作部位通知画像、端末側作業指示画像及び端末側作業完了画像を表示させるとともに、無線タグ6のタグ表示部616にタグ側作業指示画像及びタグ側作業完了画像を表示させる。
【0067】
これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された次作業通知画像、作業場所通知画像、操作部位通知画像、端末側作業指示画像及び端末側作業完了画像や、無線タグ6のタグ表示部616に表示されたタグ側作業指示画像及びタグ側作業完了画像を認識することで、正しい順序で第1作業工程から第6作業工程までを行うことができる。
【0068】
次に、携帯端末4において、例えば、第2作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID2が照合判定情報として照合部415に設定されているときに(ステップS13)、作業者Hが、第2作業工程以外の第n作業工程の作業場所に設置された無線タグ6nに誤って携帯端末4をかざしてまった場合について説明する。この場合も、携帯端末4は、非接触通信によって無線タグ6nにタグ識別情報読取要求を送信し、無線タグ6nの応答動作によって無線タグ6nからタグ識別情報通知を受信する。
【0069】
次いで、携帯端末4は、タグ識別情報IDの照合処理として、照合部415に照合判定情報として設定した第2作業工程の対応タグ識別情報ID2が、受信したタグ識別情報IDnと一致するか否かを照合する(ステップS16)。この場合、携帯端末4は、照合部415に照合判定情報として設定した第2作業工程の対応タグ識別情報ID2が、受信したタグ識別情報IDnと一致しないとの照合結果が得られることから、作業指示通知の通知動作に替えて、警告動作を行う。
【0070】
本実施形態に係る携帯端末4は、警告動作として、例えば、スイッチSWnの押下作業が誤った作業工程であり作業を行わないように警告する文字情報を示した警告画像を端末表示部413に表示させる(ステップS17)。これにより、作業者Hは、スイッチSWnの押下作業が第2作業工程ではなく誤った作業工程であることを認識し得、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止することができる。
【0071】
(1-4)第1実施形態に係る工程管理処理での携帯端末の動作処理
次に、第1実施形態に係る工程管理処理での携帯端末4の動作処理について、図4に示すフローチャートを用いて以下説明する。図4に示すように、携帯端末4は、開始ステップからステップS111に移り、ステップS111において、近距離通信によって情報処理装置2から作業手順情報を受信するまで待ち受ける。ステップS111において肯定結果が得られると、このことは近距離通信によって情報処理装置2から作業手順情報を受信したことを表しており、このとき携帯端末4は次のステップS112に移る。
【0072】
ステップS112において、携帯端末4は、作業手順情報を記憶部421に記憶し、次のステップS113に移る。ステップS113において、携帯端末4は、作業手順情報に基づいて、第1作業工程に対応付けた対応タグ識別情報ID1を照合判定情報として照合部415に設定し、次のステップS115に移る。ステップS115において、携帯端末4は、ステップS113で照合判定情報として照合部415に設定した第1作業工程に関する次作業通知画像、作業場所通知画像及び操作部位通知画像を端末表示部413に表示して次作業通知動作を行い、次のステップS116に移る。
【0073】
ステップS116において、携帯端末4は、非接触通信部419から無線タグ6のアンテナ611に向けてタグ識別情報読取要求となる電波を送信し、次にステップS119に移る。ステップS119において、携帯端末4は、無線タグ6の応答動作によって無線タグ6から、非接触通信によりタグ識別情報通知を受信したか否かを判断する。ステップS119において否定結果が得られると、このことは携帯端末4が無線タグ6からタグ識別情報通知を受信していないことを表しており、このとき携帯端末4は、無線タグ6からタグ識別情報通知を受信するまで待ち受ける。
【0074】
これに対して、ステップS119において肯定結果が得られると、このことは携帯端末4が無線タグ6からタグ識別情報通知を受信したことを表しており、このとき携帯端末4は次のステップS120に移る。ステップS120において、携帯端末4は、照合部415に照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1が、無線タグ6からタグ識別情報通知により受信したタグ識別情報IDと一致するか否かを判断する。
【0075】
ステップS120で否定結果が得られると、このことは携帯端末4で照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1が、無線タグ6からタグ識別情報通知により受信したタグ識別情報IDと一致していないこと、すなわち、作業者Hが誤った順序で作業工程を行おうとしていることを表しており、このとき携帯端末4は次のステップS121に移る。ステップS121において、携帯端末4は、作業者Hが誤った順序で作業工程を行うことになるため作業を行わないように作業中止を警告した警告画像を端末表示部413に表示するなどの警告動作を行い、再びステップS119に戻る。
【0076】
これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された警告画像を視認することで、非接触通信可能に接続された無線タグ6が設置されたスイッチSWに対する押下作業が、誤った作業であることを認識することができる。
【0077】
これに対してステップS120で肯定結果が得られると、このことは携帯端末4で照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1が、無線タグ6から受信したタグ識別情報通知のタグ識別情報IDと一致したこと、すなわち、作業者Hが正しい順序で作業工程を行おうとしていることを表しており、このとき携帯端末4は次のステップS124に移る。ステップS124において、携帯端末4は、作業命令通知の通知動作として、作業者HにスイッチSW1の押下作業を促す端末側作業指示画像を端末表示部413に表示し、次のステップS125に移る。
【0078】
これにより、作業者Hは、携帯端末4の端末表示部413に表示された作業指示画像を視認することで、非接触通信可能に接続された無線タグ6が設置されたスイッチSWに対する押下作業が正しい作業であることを認識することができる。
【0079】
ステップS125において、携帯端末4は、非接触通信部419から無線タグ6のアンテナ611に向けて作業指示通知命令となる電波を送信し、次にステップS128に移る。ステップS128において、携帯端末4は、作業指示通知命令を送信した無線タグ6から、非接触通信によって作業完了通知を受信したか否かを判断する。ここで、否定結果が得られると、このことは作業指示通知命令を送信した無線タグ6から作業完了通知を受信していないこと、すなわち、当該無線タグ6を設置したスイッチSWに対して作業者Hが押下作業を未だ行っていないことを表しており、このとき携帯端末4は、作業指示通知命令を送信した無線タグ6から作業完了通知を受信するまで待ち受ける。
【0080】
これに対してステップS128で肯定結果を得ると、このことは、作業指示通知命令を送信した無線タグ6から作業完了通知を受信したこと、すなわち、当該無線タグ6を設置したスイッチSWに対して作業者Hが押下作業を行ったことを表しており、このとき携帯端末4は次のステップS129に移る。
【0081】
ステップS129において、携帯端末4は、作業完了通知動作として、作業完了通知に基づき、作業者HによるスイッチSWの押下作業が完了したことを示した端末側作業完了画像を端末表示部413に表示し、次のステップS132に移る。ステップS132において、携帯端末4は、作業手順情報に基づいて次の作業工程が存在するか否かを判断し、作業手順情報に次の作業工程が存在していないときには上述した工程管理処理での携帯端末4の動作処理を終了する。
【0082】
これに対して、ステップS132で肯定結果が得られると、このことは作業手順情報に次の作業工程が存在していることを表しており、このとき携帯端末4は次のステップS133に移る。ステップS133において、携帯端末4は、作業手順情報に基づいて、次の作業工程(例えば、第2作業工程)に対応付けた対応タグ識別情報ID2を照合判定情報として照合部415に設定し、再びステップS115に戻り、ステップS132で否定結果が得られるまで、上述した処理を繰り返す。
【0083】
(1-5)第1実施形態に係る工程管理処理での無線タグの動作処理
次に、第1実施形態に係る工程管理処理での無線タグ6の動作処理について、図5に示すフローチャートを用いて以下説明する。図5に示すように、無線タグ6は、開始ステップからステップS141に移り、ステップS141において、アンテナ611を介して携帯端末4からタグ識別情報読取要求となる電波を受信したか否かを判断する。
【0084】
ステップS141で肯定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末4からタグ識別情報読取要求となる電波を受信したこと、すなわち、アンテナ611に携帯端末4がかざされたことを表しており、このとき無線タグ6は、次のステップS142に移る。ステップS142において、無線タグ6は、タグ識別情報読取要求を受信した応答動作として、自身のタグ識別情報IDに応じて変調した電波をタグ識別情報通知としてアンテナ611から送信し、次のステップS145に移る。
【0085】
ステップS145において、無線タグ6は、アンテナ611を介して携帯端末4から作業指示通知命令となる電波を受信したか否かを判断する。ステップS145で否定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末4から作業指示通知命令となる電波を受信していないこと、すなわち、携帯端末4で照合判定情報として設定した対応タグ識別情報IDが、無線タグ6から受信したタグ識別情報通知のタグ識別情報IDと一致していないか、又は、無線タグ6からのタグ識別情報通知を、未だ携帯端末4が受信していないか、を表しており、このとき無線タグ6は、再びステップS141に戻る。
【0086】
ステップS141で否定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末4からタグ識別情報読取要求となる電波を受信していないこと、すなわち、アンテナ611に携帯端末4がかざされていないか、又は、携帯端末4から作業指示通知命令となる電波の送信を待ち受けていることを表しており、このとき無線タグ6は、ステップS145に移る。このように、無線タグ6は、ステップS145において肯定結果が得られるまで、ステップS141及びステップS145において、携帯端末4からのタグ識別情報読取要求及び作業指示通知命令となる電波の受信を待ち受ける。
【0087】
一方、ステップS145で肯定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末4から作業指示通知命令となる電波を受信したこと、すなわち、携帯端末4で照合判定情報として設定した対応タグ識別情報IDが、無線タグ6から受信したタグ識別情報通知のタグ識別情報IDと一致したことを表しており、このとき無線タグ6は、次のステップS146に移る。
【0088】
ステップS146において、無線タグ6は、作業命令通知の通知動作として、携帯端末4から受信した作業指示通知命令に基づいてタグ側作業指示画像をタグ表示部616に表示し、次のステップS149に移る。ステップS149において、無線タグ6は、圧力センサ615で押下を検出したか否かを判断する。ステップS149で否定結果が得られると、このことは圧力センサ615で押下を検出していないこと、すなわち、指示された作業工程の作業(スイッチSWの押下作業)を作業者Hが未だ行っていないことを表しており、このとき無線タグ6は、圧力センサ615で押下を検出するまで待ち受ける。
【0089】
一方、ステップS149で肯定結果が得られると、このことは圧力センサ615で押下を検出したこと、すなわち、指示された作業工程の作業を作業者Hが行ったことを表しており、このとき無線タグ6は、次のステップS150に移る。ステップS150において、無線タグ6は、作業者HによるスイッチSWの押下作業が完了したことを示したタグ側作業完了画像を端末表示部413に表示し、次のステップS151に移る。ステップS151において、無線タグ6は、作業完了通知となる電波をアンテナ611から携帯端末4に送信し、上述した工程管理処理での無線タグ6の動作処理を終了する。
【0090】
(1-6)作用及び効果
以上の構成において、工程管理システム1は、施設内に設けられた設備3のスイッチSW1,…,SW6ごとに設置された無線タグ6a,…,6fと、無線タグ6a,…,6fにかざされるなど近接したときに当該無線タグ6a,…,6fとそれぞれ非接触通信が可能な携帯端末4とを備える。この場合、携帯端末4は、作業者Hの作業開始前に、記憶部421に記憶された作業手順情報に基づいて、例えば、作業者Hが次に行うべき第1作業工程を示した次作業通知画像を端末表示部413に表示し、作業者Hに対して次に行うべき第1作業工程を提示する。
【0091】
また、携帯端末4は、作業情報手順に基づいて、作業者に対して行わせる第1作業工程に対応付けた対応タグ識別情報IDを照合判定情報として照合部415に設定する。その後、携帯端末4は、第1作業工程の押下作業を行うスイッチSW1に作業者Hが移動し、スイッチSW1に設置されている無線タグ6aにかざされるなど近接されると、当該無線タグ6aのタグ識別情報ID1を非接触通信により読み取る。携帯端末4は、読み取ったタグ識別情報ID1が、照合部415に照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するか否かを判断する。
【0092】
携帯端末4は、読み取ったタグ識別情報ID1が、照合部415に照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られると、端末側作業指示画像を端末表示部413に表示する。これにより、作業者Hは、端末表示部413に表示された端末側作業指示画像を視認することで、携帯端末4をかざした無線タグ6aが、第1作業工程として押下作業を行うスイッチSW1に設置されていると認識し得、第1作業工程としてスイッチSW1の押下作業を行うことができる。
【0093】
また、この際、携帯端末4は、読み取ったタグ識別情報ID1が、照合部415に照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するとの照合結果に基づいて、当該タグ識別情報ID1を読み取った無線タグ6aに作業指示通知命令を非接触通信により送信する。これにより、無線タグ6aは、携帯端末4から受信した作業指示通知命令に基づいてタグ側作業指示画像をタグ表示部616に表示する。これにより、作業者Hは、タグ表示部616に表示されたタグ側作業指示画像を視認することで、携帯端末4をかざした無線タグ6aが、第1作業工程の押下作業を行うスイッチSW1に設置されていると認識し得、第1作業工程としてスイッチSW1の押下作業を行うことができる。
【0094】
以上のように、工程管理システム1では、携帯端末4によって作業者Hが次に行う作業工程が提示されるとともに、読み取った無線タグ6aのタグ識別情報ID1に基づいて作業者Hが今現在行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程の作業が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【0095】
これに加えて、第1実施形態に係る無線タグ6aは、スイッチSW1の押下作業を検出する圧力センサ615を有し、当該圧力センサ615で押下を検出すると、タグ表示部616にタグ側作業完了画像を表示する。また、無線タグ6aは、圧力センサ615の検出結果に基づいて、アンテナ611を介して携帯端末4に作業完了通知を送信する。これにより、携帯端末4は、無線タグ6aから作業完了通知を受信すると、当該作業完了通知に基づいて端末側作業完了画像を端末表示部413に表示する。
【0096】
これにより、作業者Hは、無線タグ6aのタグ表示部616に表示されたタグ側作業完了画像や、携帯端末4の端末表示部413に表示された端末側作業完了画像を視認することで、第1作業工程の作業が確実に行われたことを認識することができ、各作業工程の管理を行いつつ複数の作業工程の作業を行ってゆくことができる。
【0097】
携帯端末4は、無線タグ6aに作業指示通知命令を送信した後、当該無線タグ6aから作業完了通知を受信すると、作業手順情報に基づいて、端末表示部413に表示されている第1作業工程に関する次作業通知画像を、第1作業工程の次に行う第2作業工程に関する次作業通知画像に変更し、作業者Hに対して次に第2作業工程の作業を行うように指示する。このようにして工程管理システム1では、複数の作業工程について予め定めた順序に沿って各作業工程の作業を作業者Hに対して行わせてゆくことができる。
【0098】
(1-7)他の実施形態
なお、上述した第1実施形態においては、無線タグ6に設けた圧力センサ615で押下を検出すると、無線タグ6のタグ表示部616にタグ側作業完了画像を表示するとともに、無線タグ6から携帯端末4に作業完了通知を送信して、携帯端末4の端末表示部413に端末側作業完了画像を表示するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
【0099】
他の実施形態の工程管理システムとしては、上記の構成に加えて、例えば、空気調節装置やディスプレイ装置などの外部の電子機器と赤外線信号などの無線通信により通信が可能な通信部を無線タグ6に設け、圧力センサ615で押下を検出すると、通信部によって無線タグ6から電子機器に制御信号を送信し、電子機器を起動や停止など動作を制御するようにしてもよい。
【0100】
このような工程管理システム1では、無線タグ6に設けた圧力センサ615で押下を検出すると、無線タグ6のタグ表示部616にタグ側作業完了画像を表示させ、携帯端末4の端末表示部413に端末側作業完了画像を表示させる他、さらに、圧力センサ615の押下に連動して電子機器の動作を制御することができる。よって、例えば、作業工程において空気調節装置(電子機器)についても同時に操作作業を行い温度調整も行う必要がある場合には、作業者Hが圧力センサ615を押下するだけで、スイッチSWの押下作業に加えて自動的に電子機器の操作作業も行うこともできる。
【0101】
なお、この場合、無線タグ6にさらに温度センサを設け、圧力センサ615で押下を検出した際に、温度センサの検出温度が一定温度以上の場合のみ、電子機器に制御信号を送信して電子機器を起動させたり、或いは、停止させたりするなどの制御を行うようにしてもよい。
【0102】
また、上述した第1実施形態においては、作業者Hが手作業で操作する作業対象物として、押下可能なスイッチSWを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、傾倒可能なスイッチの他、バルブのハンドルや、配管の蛇口、設備の変位可能な各種部位、設備で移動可能に配置されたトレイ、設備に対して着脱自在なネジなど、その他種々の作業対象物を適用してもよい。
【0103】
例えば、セル生産方式において、所望の部品を用意する際に、どの保管容器に所望の部品が入っているか区別できず、誤った部品を取り出して作業するといった人為的なミスが起こり得る。このような場合では、例えば、保管容器から部品の取り出し作業を行う複数の作業工程の順序に沿って、各保管容器に無線タグ6a,6b,…をそれぞれ設置する構成となる。これにより、携帯端末4は、作業手順情報に基づいて、作業者Hが次に行う作業工程(部品の取り出し作業を行う保管容器)が提示されるとともに、読み取った無線タグ6aのタグ識別情報ID1の照合結果を基に、作業者Hが今現在行う、部品取り出し作業であるかを確認させることができる。
【0104】
また、上述した第1実施形態においては、無線タグ6の圧力センサ615をスイッチSWに設け、作業者HによりスイッチSWが押下された際に同時に圧力センサ615も押下されるようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、無線タグ6の圧力センサ615をスイッチSWとは別の場所に設け、作業者HによりスイッチSWが押下されても圧力センサ615が押下されず、別途、圧力センサ615を作業者Hに押下させるようにしてもよい。なお、上記のように、例えば、傾倒可能なスイッチや、バルブのハンドル、配管の蛇口などを、作業者Hが手作業で操作する作業対象物とした場合には、当該作業対象物に対する作業とは別に、圧力センサ615を作業者Hに押下させる構成となる。
【0105】
また、上述した第1実施形態においては、無線タグに設けたセンサとして、圧力センサ615を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、圧力センサ615、モーションセンサ、振動センサ、加速度センサ、握力センサ、温度センサ、湿度センサ、撮像部を備えた画像センサ、光センサ、音センサ、人感センサ、ガスセンサ、磁気センサ、距離変位センサ、液検知センサ、電圧センサ、電流センサ、流量センサ、歪センサのうち、少なくとも1種以上のセンサを無線タグ6に設けるようにしてもよい。
【0106】
また、上述した第1実施形態においては、圧力センサ615を有する無線タグ6を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、圧力センサ615などのその他のセンサを有しない無線タグ6を適用してもよい。
【0107】
このような工程管理システムでは、例えば、各作業工程の作業が完了するごとに、携帯端末4の操作部414を操作し、端末側作業完了画像を端末表示部413に表示して作業完了通知動作を行うようにしてもよい。また、携帯端末4は、作業完了通知動作に伴い、携帯端末4をかざした無線タグ6に非接触通信により作業完了通知を送信し、当該無線タグ6のタグ表示部616にタグ側作業完了画像を表示させる。そして、携帯端末4は、作業完了通知動作を実行した後、作業手順情報に基づいて、端末表示部413に表示されている第1作業工程に関する次作業通知画像を、第1作業工程の次に行う第2作業工程に関する次作業通知画像に変更し、作業者Hに対して次に第2作業工程の作業を行うように指示する。
【0108】
(2)第2実施形態
(2-1)第2実施形態に係る携帯端末の回路構成
次に第2実施形態に係る工程管理システムについて説明する。第2実施形態に係る工程管理システムは、携帯端末において作業者Hが行った作業工程の作業状態を、撮像画像に基づいて判定するようにした点で第1実施形態と相違している。なお、上述した第1実施形態では、スイッチSW1,…,SW6をそれぞれ作業者Hが押下する複数の作業工程を所定の順序に沿って行う場合について説明したが、第2実施形態では、例えば、作業者Hが自動化装置にワークや消耗品(以下、これらをまとめて補給品と称する)を補給する補給作業を行う際に、作業者Hが複数の作業工程を所定の順序に沿って行う場合について説明する。
【0109】
この場合、複数の作業工程としては、例えば、自動化装置の状態を補給品が補給可能な状態に移行させるために自動化装置の補給準備スイッチを押下する作業を第1作業工程とし、作業者Hが自動化装置の補給品設置操作部を操作して補給品を所定部位に設置する作業を第2作業工程とし、自動化装置の再動作の準備を開始させるために自動化装置の再動作準備スイッチを押下する作業を第3作業工程とし、自動化装置を再動作させるために自動化装置の動作開始スイッチを押下する作業を第4作業工程とする。ここでは、作業者Hがこれら複数の作業工程の作業について第1作業工程から第4作業工程の順序に沿って行う場合について説明する。
【0110】
第2実施形態では、第1作業工程から第4作業工程において各作業を行う作業対象物に無線タグ6a,…,6dが設けられている。具体的には、第1作業工程の作業対象物は、自動化装置の補給準備スイッチであり、当該補給準備スイッチに無線タグ6aが設置される。第2作業工程の作業対象物は、自動化装置の補給品設置操作部であり、当該補給品設置操作部に無線タグ6bが設置される。第3作業工程の作業対象物は、自動化装置の再動作準備スイッチであり、当該再動作準備スイッチに無線タグ6cが設置される。第4作業工程の作業対象物は、自動化装置の動作開始スイッチであり、当該動作開始スイッチに無線タグ6dが設置される。
【0111】
作業手順情報では、作業順序及び作業内容として、第1作業工程が補給準備スイッチの押下作業であることが規定され、第1作業工程の次に行う第2作業工程が補給品設置操作部の操作作業であることが規定され、第2作業工程の次に行う第3作業工程が再動作準備スイッチの押下作業であることが規定され、第3作業工程の次に行う第4作業工程が動作開始スイッチの押下作業であることが規定されている。
【0112】
また、作業手順情報は、各作業工程の作業場所として、第1作業工程から第4作業工程まで各作業が行われる自動化装置の設置場所を示す位置情報が規定されているとともに、自動化装置での補給準備スイッチ、補給品設置操作部、再動作準備スイッチ、動作開始スイッチの配置場所を示す配置情報が規定されている。
【0113】
さらに、作業手順情報では、第1作業工程から第4作業工程に対応付けて無線タグ6a,…,6dのタグ識別情報ID1,…,ID4が、第1作業工程から第4作業工程の対応タグ識別情報ID1,…,ID4としてそれぞれ規定されている。
【0114】
第2実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、作業手順情報に基づいて携帯端末の端末表示部413に表示された次作業通知画像などに基づいて作業者Hにより各作業工程の作業が行われる。そして、作業工程の作業対象物に設置された無線タグ6a,…,6dは、それぞれ圧力センサ615を備えており、各作業工程の作業が行われるごとに作業者Hによって圧力センサ615が押下される。これにより、例えば、作業者Hが第1作業工程の作業を行ったことを示す作業完了通知が無線タグ6aのアンテナ611から携帯端末に送信される。
【0115】
ここで、図6は、第2実施形態に係る携帯端末42の回路構成を示すブロック図である。図6に示すように、第2実施形態に係る携帯端末42は、撮像部425と状態判定部426とが設けられている点で第1実施形態に係る携帯端末4とは相違している。以下、第1実施形態と重複する事項は説明を省略し、主に第1実施形態と相違する事項に着目して以下説明する。
【0116】
携帯端末42は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等の撮像部425を備えている。撮像部425は、作業者Hが上述した第1作業工程から第4作業工程を順番に行ってゆく際に、作業者Hによって行われた各作業工程の作業完了状態を作業者H自身により撮像させるものである。
【0117】
撮像部425は、例えば、第1作業工程の作業が完了したときに、作業者Hが操作部414を操作することで与えられた撮像命令に応じて、補給品が補給できる状態に移行した自動化装置を撮像し、得られた撮像画像を状態判定部426に出力する。このように、撮像部425は、各作業工程の作業が完了するごとに、作業が完了した後の作業対象物の状態や設備の状態を作業者Hにより撮像させ、得られた撮像画像をそれぞれ状態判定部426に出力する。
【0118】
なお、ここでは、撮像画像として、補給品が補給可能な状態に移行した後の自動化装置(設備の状態)を撮像した撮像画像を一例に説明するが、本発明はこれに限らず、例えば、補給準備スイッチの押下位置や傾倒状態などのスイッチ類の状態(作業対象物の状態)を撮像した撮像画像の他、計器類の表示の状態(設備の状態)を撮像した撮像画像など、その他、作業者Hによる作業対象物の操作後の設備の状態や作業対象物の状態(以下、まとめて単に作業完了状態とも称する)を撮像した撮像画像を適用してもよい。
【0119】
記憶部421には、作業者Hが上述した第1作業工程から第4作業工程を行った際に、各作業工程の作業が正しく行われたか否かを撮像画像から判定するための判定基準情報が予め記憶されている。判定基準情報としては、例えば、各作業工程について作業が正しく完了したときの作業完了状態を撮像した判定用撮像画像、判定用撮像画像から抽出した、作業完了状態の良否を判定可能な特徴量、又は、作業完了状態の良否の特徴を機械学習などにより学習させた学習済みモデルなどがある。
【0120】
状態判定部426は、例えば、第1作業工程の作業完了状態が撮像された撮像画像を撮像部425から受け取ると、当該第1作業工程に関する判定基準情報を読み出す。そして、状態判定部426は、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、第1作業工程の作業完了状態を撮像した撮像画像を解析し、第1作業工程の作業が正しく完了されているかを判定する。
【0121】
具体的には、状態判定部426は、第1作業工程の作業完了状態が撮像された撮像画像から、作業完了状態の良否が判定可能な特徴量を抽出し、抽出した特徴量と、記憶部421に予め記憶された第1作業工程の判定基準情報(第1作業工程の作業が正しく完了しているときの撮像画像から抽出した判定用の特徴量)とを比較し、撮像画像の特徴量が判定基準情報において予め定めた所定の閾値以内であれば、第1作業工程の作業が正しく完了していると判定する。
【0122】
携帯端末42は、状態判定部426により第1作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果を得ると、端末側作業完了画像を端末表示部413に表示し、当該端末側作業完了画像を介して作業者Hに第1作業工程の作業が正しく完了していることを認識させる。また、この際、携帯端末42は、状態判定部426により第1作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果に基づいて、第1作業工程として押下作業が行われた補給準備スイッチに設置されている無線タグ6aに、作業完了通知命令を非接触通信部419から送信する。
【0123】
第2実施形態に係る無線タグ6aは、アンテナ611を介して携帯端末42から作業完了通知命令を受信すると、当該作業完了通知命令に基づいて、タグ側作業完了画像をタグ表示部616に表示し、当該タグ側作業完了画像を介しても作業者Hに第1作業工程が完了したことを認識させる。
【0124】
(2-2)第2実施形態に係る工程管理処理
次に、第2実施形態に係る工程管理処理について、図7に示すタイミングチャートに沿って以下説明する。図7に示す第2実施形態に係る工程管理処理は、ステップS1からステップS8までは図3に示した第1実施形態に係る工程管理処理と同じ手順で処理が行われる。ここでは説明が重複するため、ステップS1からステップS8までの説明は省略する。
【0125】
第2実施形態に係る工程管理処置では、ステップS8において、無線タグ6aの圧力センサ615で押下を検出すると、次のステップS8aに移る。無線タグ6aは、第1作業工程として作業者Hが補給準備スイッチの押下作業を行った後の自動化装置の状態(作業完了状態)を、携帯端末42の撮像部425で撮像することを作業者Hに指示するためのタグ側撮像指示画像をタグ表示部616に表示する(ステップS8a)。この際、無線タグ6aは、非接触通信によってアンテナ611から携帯端末42に作業完了通知を送信する。
【0126】
携帯端末42は、無線タグ6aから作業完了通知を受信すると、当該作業完了通知に基づいて端末側撮像指示画像を端末表示部413に表示し(ステップS8b)、当該端末側撮像指示画像によって、第1作業工程として行われた作業の完了状態を撮像部425で撮像することを作業者Hに指示する。
【0127】
携帯端末42は、第1作業工程として行われた作業の完了状態を撮像するために自動化装置に対して撮像部425のレンズが向けられた状態で、作業者Hによって操作部414が操作されて撮像命令が与えられると、第1作業工程が行われた後の自動化装置の状態を撮像した撮像画像を撮像部425により取得する(ステップS8c)。
【0128】
携帯端末42は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、第1作業工程の作業完了状態(第1作業工程が行われた後の自動化装置の状態)を撮像した撮像画像を解析し、第1作業工程の作業が正しく完了しているかを判定する状態判定を行う(ステップS8d)。
【0129】
携帯端末42は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、第1作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果を撮像画像から得ると、非接触通信によって無線タグ6aに作業完了通知命令を送信する。この際、携帯端末42は、当該判定結果に基づいて、端末側作業完了画像を端末表示部413に表示する(ステップS12)。
【0130】
無線タグ6aは、アンテナ611を介して携帯端末42から作業完了通知命令を受信すると、当該作業完了通知命令に基づいてタグ側作業完了画像をタグ表示部616に表示する(ステップS9)。以降、図7におけるステップS13、ステップS16、ステップS17については上述した第1実施形態に係る工程管理処理と同じであるため、ここではその説明は省略する。
【0131】
なお、上述したタイミングチャートでは、ステップS8dにおいて、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、第1作業工程の作業完了状態が撮像されている撮像画像から、第1作業の作業が正しく完了しているとの判定結果を得た場合についてだけ説明したが、判定基準情報に基づいて撮像画像から作業が正しく完了していないとの判定結果を得た場合については、図8に示す携帯端末42の動作処理と、図9に示す無線タグ6の動作処理とを用いて後述する。
【0132】
(2-3)第2実施形態に係る工程管理処理での携帯端末の動作処理
次に、第2実施形態に係る工程管理処理での携帯端末42の動作処理について、図8に示すフローチャートを用いて以下説明する。第2実施形態に係る工程管理処理での携帯端末42の動作処理は、図4に示した第1実施形態におけるステップS111からステップS128までと、ステップS129以降は同じである。図8では、ステップS111からステップS124までと、ステップS132以降についての図示は省略し、ステップS125からステップS129までの処理について示している。
【0133】
ここでは説明の重複を避けるため、図4にて説明したステップS111からステップS124までの処理はその説明を省略し、携帯端末42で照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1が、無線タグ6から受信したタグ識別情報通知のタグ識別情報IDと一致し、ステップS124において、携帯端末42で作業命令通知の通知動作を行った後のステップS125から説明する。この場合、携帯端末42は、ステップS125において、非接触通信部419から無線タグ6のアンテナ611に向けて作業指示通知命令を送信し、次にステップS128に移る。
【0134】
ステップS128において、携帯端末42は、作業指示通知命令を送信した無線タグ6から、非接触通信によって作業完了通知を受信したか否かを判断する。ここで、否定結果が得られると、このことは作業指示通知命令を送信した無線タグ6から作業完了通知を受信していないこと、すなわち、当該無線タグ6を設置したスイッチSWに対して作業者Hが押下作業を未だ行っていないことを表しており、このとき携帯端末42は、作業指示通知命令を送信した無線タグ6から作業完了通知を受信するまで待ち受ける。
【0135】
これに対してステップS128で肯定結果が得られると、このことは作業指示通知命令を送信した無線タグ6から作業完了通知を受信したこと、すなわち、当該無線タグ6を設置したスイッチSWに対して作業者Hが押下作業を行ったことを表しており、このとき携帯端末42は次のステップS1281に移る。
【0136】
ステップS1281において、携帯端末42は、無線タグ6から受信した作業完了通知に基づいて端末側撮像指示画像を端末表示部413に表示し、次のステップS1282に移る。ステップS1282において、携帯端末42は、作業者Hにより操作部414が操作され、撮像部425によって撮像画像が取得されるまで待ち受ける。ステップS1282で肯定結果が得られると、このことは、作業者Hにより操作部414が操作され、撮像部425によって撮像画像が取得されたことを表しており、このとき携帯端末42は、次のステップS1286に移る。
【0137】
ステップS1286において、携帯端末42は、記憶部421に記憶されている判定基準情報に基づいて、作業工程の作業完了状態を撮像した撮像画像から当該作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定する。ステップS1286で肯定結果が得られると、このことは作業工程の作業完了状態を撮像した撮像画像から当該作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果を得たこと、すなわち、作業工程の作業が作業者Hによってマニュアル通りに正しく行われたことを表しており、このとき携帯端末42は、次のステップS1289に移る。
【0138】
ステップS1289において、携帯端末42は、作業工程の作業が正しく行われて作業が完了していることを示す作業完了通知命令を無線タグ6に送信し、次のステップS129に移り、以降、図4に示したステップS129からステップS132及びステップS133に順次移る。
【0139】
一方、ステップS1286で否定結果が得られると、このことは作業工程の作業完了状態を撮像した撮像画像から当該作業工程の作業が正しく完了していないとの判定結果を得たこと、すなわち、作業工程の作業が作業者Hによりマニュアル通りに適切に行われておらず作業が未だ正しく完了していないことを表しており、このとき携帯端末42は、次のステップS1292に移る。ステップS1292において、携帯端末42は、作業が未だ正しく完了していないと判定された作業工程について、再度、作業が正しく完了されているかの確認を作業者Hに対して促す端末側確認指示画像を端末表示部413に表示し、次のステップS1293に移る。
【0140】
ステップS1293において、携帯端末42は、作業が未だ正しく完了していないとの判定結果に基づいて作業確認通知命令を生成し、生成した作業確認通知命令を、当該判定結果が得られた作業工程の無線タグ6に非接触通信により送信し、再びステップS128に戻る。これにより、無線タグ6では、作業確認通知命令に基づいて、作業が正しく完了しているかの確認を作業者Hに対して促すタグ側確認指示画像をタグ表示部616に表示する。
【0141】
このようにして、携帯端末42は、ステップS1282で作業が正しく完了しているとの判定結果が得られるまで、上述した処理を繰り返す。
【0142】
(2-4)第2実施形態に係る工程管理処理での無線タグの動作処理
次に、第2実施形態に係る工程管理処理での無線タグ6の動作処理について、図9に示すフローチャートを用いて以下説明する。第2実施形態に係る工程管理処理での無線タグ6の動作処理は、図5に示した第1実施形態におけるステップS141からステップS149までと、ステップS150以降は同じである。
【0143】
ここでは説明の重複を避けるため、ステップS141からステップS149までの処理は説明を省略し、ステップS149で肯定結果を得、圧力センサ615で押下を検出した後のステップS1491から説明する。この場合、無線タグ6は、ステップS149において圧力センサ615で押下を検出すると、ステップS1491に移り、ステップS1491において、タグ側撮像指示画像をタグ表示部616に表示し、次のステップS1492に移る。
【0144】
ステップS1492において、無線タグ6は、アンテナ611を介して携帯端末42に作業完了通知を送信し、次のステップS1495に移る。ステップS1495において、無線タグ6は、アンテナ611を介して携帯端末42から作業確認通知命令を受信したか否かを判断する。ステップS1495で肯定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末42から作業確認通知命令を受信したこと、すなわち、携帯端末42において作業が未だ正しく完了していないと判定されたことを表しており、このとき無線タグ6は次のステップS1496に移る。
【0145】
ステップS1496において、無線タグ6は、作業が正しく完了していないと携帯端末42で判定された作業工程について、再度、作業が正しく完了しているかの確認を作業者Hに対して促すタグ側確認指示画像を、作業確認通知命令に基づいてタグ表示部616に表示し、再びステップS149に戻り、ステップS149において圧力センサ615で押下の検出を待ち受ける。
【0146】
これに対して、ステップS1495で否定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末42から作業確認通知命令を受信していないことを表しており、このとき無線タグ6は次のステップS1497に移る。ステップS1497において、無線タグ6は、アンテナ611を介して携帯端末42から作業完了通知命令を受信したか否かを判断する。ステップS1497で否定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末42から作業完了通知命令を受信していないことを表しており、このとき無線タグ6は、再びステップS1495に戻り、ステップS1495及びステップS1497で作業確認通知命令又は作業完了通知命令を待ち受ける。
【0147】
ステップS1497で肯定結果が得られると、このことは無線タグ6がアンテナ611を介して携帯端末42から作業完了通知命令を受信したこと、すなわち、携帯端末42において作業が正しく完了していると判定されたことを表しており、このとき無線タグ6は次のステップS150に移り、以降、上述した第1実施形態と同様の処理を実行する。
【0148】
(2-5)作用及び効果
以上の構成において、第2実施形態に係る工程管理システムでは、上述した第1実施形態と同様に、作業情報手順に基づいて、作業者Hが次に行うべき第1作業工程を示した次作業通知画像などを携帯端末42の端末表示部413に表示し、作業者Hに対して次に行うべき第1作業工程を提示する。
【0149】
また、第2実施形態に係る工程管理システムでは、上述した第1実施形態と同様に、例えば、第1作業工程の押下作業が行われる補給準備スイッチに設けた無線タグ6aに対して携帯端末42がかざされるなど近接されることにより、携帯端末42によって無線タグ6aのタグ識別情報ID1を読み取る。
【0150】
工程管理システムでは、携帯端末42において、読み取ったタグ識別情報ID1が、照合部415に照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られると、携帯端末42の端末表示部413に端末側作業指示画像を表示するとともに、無線タグ6aのタグ表示部616にタグ側作業指示画像を表示する。
【0151】
これにより、作業者Hは、端末表示部413に表示された端末側作業指示画像や、タグ表示部616に表示されたタグ側作業指示画像を視認することで、携帯端末4をかざした無線タグ6aが設置された補給準備スイッチが、第1作業工程の作業を行う作業対象物であると認識し得、第1作業工程である補給準備スイッチの押下作業を行うことができる。
【0152】
以上のように、第2実施形態に係る工程管理システムでも、第1実施形態と同様に、携帯端末42によって作業者Hが次に行う作業工程が提示されるとともに、読み取った無線タグ6のタグ識別情報IDに基づいて作業者Hが行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【0153】
これに加えて、第2実施形態に係る工程管理システムでは、撮像部425及び状態判定部426が携帯端末42に設けられており、第1作業工程の作業が完了した後に自動化装置(設備)の状態や、作業対象物である補給準備スイッチの状態を撮像部425によって作業者Hが撮像する。
【0154】
これにより、携帯端末42は、作業者Hが第1作業工程の作業が既に完了していると認識している自動化装置(設備)の状態や、補給準備スイッチの状態が撮像された撮像画像を取得する。そして、携帯端末42は、記憶部421に予め記憶されている判定基準情報に基づいて、撮像画像から第1作業工程の作業が正しく完了しているか否かを状態判定部426によって判定する。
【0155】
携帯端末42は、状態判定部426によって第1作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果が得られると、作業手順情報に基づいて、端末表示部413に表示されている第1作業工程に関する次作業通知画像を、第1作業工程の次に行う第2作業工程に関する次作業通知画像に変更し、作業者Hに対して次に第2作業工程の作業を行うように指示する。このようにして工程管理システムでは、複数の作業工程について予め定めた順序に沿って各作業工程の作業を作業者Hに対して行わせてゆくことができる。
【0156】
以上、第2実施形態に係る工程管理システムでは、各作業工程の作業が既に完了していると作業者Hが認識している自動化装置(設備)の状態や、作業対象物である補給準備スイッチ、再動作準備スイッチ、動作開始スイッチの各状態を、撮像部425によって作業者Hにその都度撮像させ、得られた撮像画像から、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを状態判定部426によって判定する。
【0157】
このようにして、第2実施形態に係る工程管理システムでは、無線タグ6の圧力センサ615が単に押下されたことをもって各作業工程の作業が完了したか否かを判定するのではなく、実際に作業が行われた状態を基に、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを一段と正確に判定できる。
【0158】
(2-6)他の実施形態
なお、上述した第2実施形態においては、作業者Hが手作業で操作する作業対象物として、押下可能な補給準備スイッチなどを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、傾倒可能なスイッチの他、バルブのハンドルや、配管の蛇口、設備の変位可能な各種部位、設備で移動可能に配置されたトレイ、設備に対して着脱自在なネジなど、その他種々の作業対象物を適用してもよい。この場合、作業者Hは、スイッチ傾倒状態や、バルブのハンドルの回動位置、配管の蛇口の回動位置、設備の各種部位の移動位置、トレイの移動場所、ネジの挿入状態などを撮像部425によって撮像する。これにより、携帯端末42は、得られた撮像画像から、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを状態判定部426によって判定する。
【0159】
また、上述した第2実施形態においては、設備の状態または作業対象物の状態を撮像した撮像画像から作業状態を判定する状態判定部として、自動化装置(設備)の状態や、作業対象物である補給準備スイッチなどの状態を撮像した撮像画像から、作業が完了しているか否かの作業状態を判定する状態判定部426を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
【0160】
例えば、その他の状態判定部としては、自動化装置(設備)の状態や、作業対象物である補給準備スイッチなどの状態を撮像した撮像画像から、作業が完了していないか否かの作業状態や、作業を複数工程に分けたうち、どの段階にあるかの作業状態を判定するようにしてもよい。
【0161】
また、その他の状態判定部としては、例えば、自動化装置(設備)の状態や、作業対象物である補給準備スイッチなどの状態を撮像した撮像画像から、設備や作業対象物に異常が発生しているか否かの作業状態を判定するようにしてもよい。
【0162】
また、上述した第2実施形態においては、無線タグ6が設置された設備の状態又は作業対象物の状態を作業者Hが作業後に撮像部425により撮像した撮像画像を受け取り、当該撮像画像と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、作業工程の作業状態を判定する状態判定部426を、携帯端末42に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、携帯端末42と通信可能な外部装置である情報処理装置2に状態判定部426を設けるようにしてもよい。この場合、携帯端末42は、送受信部420を介して撮像画像を情報処理装置2に送信し、当該撮像画像を受け取った情報処理装置2の状態判定部426によって作業工程の作業状態を判定させる。携帯端末42は、情報処理装置2から送信された判定結果を、送受信部420を介して受信することで、上述した第2実施形態と同様の処理を行え得る。
【0163】
(3)第3実施形態
(3-1)第3実施形態に係る工程管理システムの全体構成
上述した第1実施形態においては、作業対象物が設けられた設備として、押下可能な複数のスイッチSWが設けられた設備3を適用した場合について説明したが、第3実施形態では、図10に示すように、ハンドルLが回転可能な複数のバルブVa,…,Vdが設けられた設備33を適用した場合について説明する。この場合、バルブVa,Vb,Vc,Vdは、それぞれタンクBa,Bb,Bc,Bdに設けられている。
【0164】
図10は、第3実施形態に係る工程管理システム1cの全体構成を示す概略図であり、情報処理装置2と、作業者Hが所有する作業者端末である携帯端末42と、設備33のバルブVa,…,Vdに設置される複数の無線タグ63a,…,63dとで構成されている。なお、バルブVa,…,Vdに設置される複数の無線タグ63a,…,63dは全て同一構成でなるため、ここでは主として、バルブVaに設置された無線タグ63aに着目して以下説明し、特に区別する必要がない場合には、単に、無線タグ63と称して説明する。また、タンクBa,Bb,Bc,BdやバルブVa,Vb,Vc,Vdについても同一構成であることから、特に区別する必要がない場合には、単に、タンクB、バルブVと称して説明する。
【0165】
例えば、セル生産方式において、作業工程で行われるバルブVの開閉作業時にバルブVの本締め忘れなど、外観検査だけでは発見し難い作業ミスが発生することもある。ハンドルLを回動するバルブVの開閉作業は人手作業となり、外観検査でハンドルLのおおよその位置は判別できるが、ハンドルLが完全に開状態又は閉状態になっているかは外観検査で発見が困難な場合もある。
【0166】
第3実施形態では、上記の点を考慮したものであり、振動センサ631及びモーションセンサ632を無線タグ63に設け、バルブVの開閉作業の際に、モーションセンサ632によってバルブVのハンドルLが回る方向(変位)を検出し、振動センサ631によってハンドルLでの振動を検出する。携帯端末42は、無線タグ63から取得した振動センサ631での振動検出結果とモーションセンサ632での変位検出結果とから、バルブVに対する開閉作業が正しく行われているか否かを判定することで、撮像画像による外観検査だけでは発見が困難な作業不良についても判定し得る。
【0167】
ここで、第3実施形態は、作業対象物としてバルブVを適用した点と、無線タグ63に振動センサ631及びモーションセンサ632が設けられている点とで、上述した第2実施形態と相違している。上述した第2実施形態では、携帯端末42で取得した撮像画像を基に、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定したが、第3実施形態では、作業者Hが作業を行う際に得られた振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果を基に、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定する。
【0168】
なお、ここでは、無線タグ63に設けるセンサとして、振動センサ631及びモーションセンサ632の2種のセンサを適用した場合について説明するが、本発明はこれに限らず、作業対象物の種類に応じて、振動センサ631、モーションセンサ632、加速度センサ、握力センサ、温度センサ、湿度センサ、撮像部を備えた画像センサ、光センサ、音センサ、人感センサ、ガスセンサ、磁気センサ、距離変位センサ、液検知センサ、電圧センサ、電流センサ、流量センサ、歪センサのうち1種以上を、無線タグ63に設けるセンサとして適用するようにしてもよい。
【0169】
タンクBは、ハンドルLが回動されてバルブVが閉状態から開状態になることで、タンクB内部の流体が配管Pに流出可能となり、当該ハンドルLが回動されてバルブVが開状態から閉状態になることで、タンクB内部から配管Pへの流体の流出が停止する。また、タンクBには、タンクB内部の流体が配管Pに流出する際の流出量が表示される計器Isが設けられている。
【0170】
この場合、複数の作業工程としては、例えば、ハンドルLを回転させてバルブVaを閉状態から開状態にする作業を第1作業工程とし、ハンドルLを回転させてバルブVbを閉状態から開状態にする作業を第2作業工程とし、ハンドルLを回転させてバルブVcを開状態から閉状態にする作業を第3作業工程とし、ハンドルLを回転させてバルブVdを開状態から閉状態にする作業を第4作業工程とする。ここでは、作業者Hがこれら複数の作業工程について第1作業工程から第4作業工程の順序に沿って行う場合について説明する。
【0171】
第3実施形態では、第1作業工程から第4作業工程においてそれぞれ作業を行う作業対象物に無線タグ63a,…,63dが設けられている。具体的には、第1作業工程が行われるバルブVaに無線タグ63aが設置され、第2作業工程が行われるバルブVbに無線タグ63bが設置され、第3作業工程が行われるバルブVcに無線タグ63cが設置され、第4作業工程が行われるバルブVdに無線タグ63dが設置されている。
【0172】
作業手順情報では、作業順序及び作業内容として、第1作業工程がバルブVaの開閉作業であることが規定され、第1作業工程の次に行う第2作業工程がバルブVbの開閉作業であることが規定され、第2作業工程の次に行う第3作業工程がバルブVcの開閉作業であることが規定され、第3作業工程の次に行う第4作業工程がバルブVdの開閉作業であることが規定されている。
【0173】
また、作業手順情報では、各作業工程の作業場所として、第1作業工程から第4作業工程の各作業が行われる設備33の設置場所を示す位置情報が規定されているとともに、設備3でのバルブV(作業対象物)の配置場所を示す配置情報とが規定されている。さらに、作業手順情報では、第1作業工程から第4作業工程までそれぞれ作業が行われる作業対象物(バルブV)に設置された無線タグ63のタグ識別情報IDが、第1作業工程から第4作業工程の対応タグ識別情報としてそれぞれ設定されている。
【0174】
第3実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、携帯端末42の端末表示部413に、作業手順情報に基づいて次作業通知画像などが表示され、当該次作業通知画像などを作業者Hが視認することで、作業者Hによって各作業工程の作業が行われる。
【0175】
かかる構成に加えて、第3実施形態に係る無線タグ63には、振動センサ631及びモーションセンサ632が設けられている。振動センサ631は、バルブVのハンドルLに設置されており、作業者HがハンドルLを回転操作して開閉作業を行う際に生じるハンドルLの振動を検出する。また、モーションセンサ632は、バルブVのハンドルLに設置されており、作業者HがハンドルLを回転操作して開閉作業を行う際に生じるハンドルLの変位を検出する。
【0176】
無線タグ63は、作業者HによってバルブVに対して開閉作業が行われる際に、回転操作されるハンドルLに生じる振動や変位を振動センサ631及びモーションセンサ632によって検出し、得られた検出結果を携帯端末42にアンテナ611を介して非接触通信により送信する。
【0177】
携帯端末42は、上述した第2実施形態と同様に、状態判定部426(図6)を有しており、無線タグ63から受信した検出結果から、バルブVの開閉作業が行われた作業工程について作業が正しく完了しているか否かを判定する。
【0178】
この場合、携帯端末42は、例えば、バルブVaの開閉作業が正しく完了したときに作業開始から作業終了までの作業動作時に得られた、振動センサ631での振動検出結果と、モーションセンサ632での変位検出結果とが、判定基準情報として予め記憶部421に記憶されている。携帯端末42は、作業者Hが第1作業工程としてバルブVaの開閉作業を行った際に振動センサ631及びモーションセンサ632で検出した検出結果を無線タグ63aから受信すると、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、受信した検出結果から第1作業工程のバルブVaの開閉作業が正しく完了したか否かを判定する。
【0179】
携帯端末42は、状態判定部426により第1作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果を得ると、端末側作業完了画像を端末表示部413に表示し、当該端末側作業完了画像を介して作業者Hに対して第1作業工程の作業が正しく完了していることを認識させる。
【0180】
なお、第3実施形態に係る携帯端末42の回路構成は、図6に示した第2実施形態の携帯端末42の回路構成と同じであり、説明が重複することから、ここではその説明は省略する。また、第3実施形態に係る無線タグ63の回路構成は、図2に示した第1実施形態の無線タグ6の回路構成において、圧力センサ615に替えて、振動センサ631及びモーションセンサ632が設けられた点が相違するだけであり、その他の構成については説明の重複になるため、ここではその説明は省略する。
【0181】
(3-2)第3実施形態に係る工程管理処理
次に、第3実施形態に係る工程管理処理について、図11に示すタイミングチャートに沿って以下説明する。図11に示す第3実施形態に係る工程管理処理は、ステップS1からステップS7までは図3に示した第1実施形態に係る工程管理処理と同じ手順で処理が行われる。ここでは説明が重複するためステップS1からステップS7までの説明は省略する。
【0182】
第3実施形態に係る工程管理処置では、ステップS7において、タグ側作業指示画像をタグ表示部616に表示すると、次のステップS7aに移る。無線タグ63aは、第1作業工程としてバルブVaのハンドルLが作業者Hにより回転操作される際に、ハンドルLに設置した振動センサ631で振動を検出するとともに(ステップS7a)、当該ハンドルLに設置したモーションセンサ632で変位を検出する(ステップS7b)。
【0183】
無線タグ63aは、振動センサ631で所定の振動を検出するとともに、モーションセンサ632で所定の変位を検出すると、振動センサ631及びモーションセンサ632での検出結果を含んだ作業完了通知を、非接触通信によってアンテナ611から携帯端末42に送信する。
【0184】
携帯端末42は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、第1作業工程の作業時に振動センサ631及びモーションセンサ632で検出した検出結果から作業完了状態(ハンドルLの回転状態など)を解析し、第1作業工程の作業が正しく完了しているかを判定する状態判定を行う(ステップS7d)。
【0185】
携帯端末42は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果から、作業が正しく完了しているとの判定結果を得ると、非接触通信によって無線タグ63aに作業完了通知命令を送信する。この際、携帯端末42は、端末側作業完了画像を端末表示部413に表示する(ステップS12)。
【0186】
無線タグ63aは、アンテナ611を介して携帯端末4から作業完了通知命令を受信すると、当該作業完了通知命令に基づいてタグ側作業完了画像をタグ表示部616に表示する(ステップS9)。以降、図11におけるステップS13~ステップS17については上述した第1実施形態に係る工程管理処理と同じであるため、ここではその説明は省略する。
【0187】
なお、上述したタイムチャートでは、ステップS7dにおいて、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果から、作業が正しく完了しているとの判定結果を得た場合についてだけ説明したが、判定基準情報に基づいて、振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果から、作業が未だ正しく完了していないとの判定結果を得た場合については、図12に示す携帯端末42の動作処理を用いて後述する。
【0188】
(3-3)第3実施形態に係る工程管理処理での携帯端末の動作処理
次に、第3実施形態に係る工程管理処理での携帯端末42の動作処理について、図12に示すフローチャートを用いて以下説明する。第3実施形態に係る工程管理処理での携帯端末42の動作処理は、図4に示した第1実施形態におけるステップS111からステップS128までと、ステップS129以降は同じである。図12では、ステップS111からステップS124までと、ステップS132以降についての図示は省略し、ステップS125からステップS129までの処理について示している。
【0189】
ここでは説明の重複を避けるため、ステップS111からステップS128までの処理は説明を省略し、ステップS128において肯定結果が得られたとき、すなわち、振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果を含む作業完了通知を、携帯端末42が無線タグ63から受信したとき以降について説明する。
【0190】
この場合、携帯端末42は、次のステップS1286に移り、記憶部421に記憶されている判定基準情報に基づいて、振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果から作業が正しく完了しているか否かを判定する。
【0191】
ここで、判定基準情報としては、例えば、作業工程におけるバルブVの開閉作業が正しく完了した際に、作業者HがハンドルLを回転操作したときの当該ハンドルLでの振動を振動センサ631で検出した振動検出結果と、当該ハンドルLの変位をモーションセンサ632で検出した変位検出結果とを判定基準情報とすることが望ましい。また、判定基準情報としては、過去の操業データから得られた、振動センサ631で検出した振動検出結果とモーションセンサ632で検出した変位検出結果とから、作業工程におけるバルブVの開閉作業が正しく完了したときにだけ現れる特徴量を抽出し、抽出した特徴量を判定基準情報としてもよい。
【0192】
ステップS1286で肯定結果が得られると、このことは振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果から作業が正しく完了しているとの判定結果を得たこと、すなわち、作業工程の作業が作業者Hによりマニュアル通りに適切に行われて正しく完了していることを表しており、このとき携帯端末42は、次のステップS1289に移る。
【0193】
ステップS1289において、携帯端末42は、作業工程の作業が正しく完了していることを示す作業完了通知命令を無線タグ63に送信し、次のステップS129に移り、以降、図4に示したステップS129からステップS132及びステップS133に順次移る。
【0194】
一方、ステップS1286で否定結果が得られると、このことは振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果から作業が未だ正しく完了していないとの判定結果を得たこと、すなわち、作業工程の作業が作業者Hによりマニュアル通りに行われておらず未だ完了していないことを表しており、このとき携帯端末42は、次のステップS1292に移る。ステップS1292において、携帯端末42は、作業が未だ正しく完了していないと判定された作業工程について、再度、作業が正しく完了しているかの確認を作業者Hに対して促す端末側確認指示画像を端末表示部413に表示し、次のステップS1293に移る。
【0195】
ステップS1293において、携帯端末42は、ステップS1286で作業が正しく完了していないとの判定結果に基づいて作業確認通知命令を生成し、生成した作業確認通知命令を、判定結果が得られた作業工程の無線タグ63に非接触通信により送信し、再びステップS128に戻る。これにより、無線タグ63では、作業確認通知命令に基づいて、作業者Hに対して作業が正しく完了しているかの確認を促すタグ側確認指示画像をタグ表示部616に表示する。
【0196】
このようにして、携帯端末42は、ステップS1286で作業が正しく完了しているとの判定結果が得られるまで、上述した処理を繰り返す。
【0197】
(3-4)作用及び効果
以上の構成において、第3実施形態に係る工程管理システム1cでも、上述した第1実施形態と同様に、作業情報手順に基づいて、作業者Hが次に行うべき第1作業工程を示した次作業通知画像などを携帯端末42の端末表示部413に表示し、作業者Hに対して次に行うべき第1作業工程を提示する。
【0198】
また、第3実施形態に係る工程管理システム1cでは、例えば、第1作業工程の開閉作業が行われるバルブVaに設けた無線タグ63aに対して携帯端末42がかざされるなど近接されることにより、携帯端末42によって無線タグ63aのタグ識別情報ID1を読み取る。
【0199】
工程管理システム1cでは、携帯端末42において、読み取ったタグ識別情報ID1が、照合部415に照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られると、携帯端末42の端末表示部413に端末側作業指示画像を表示するとともに、無線タグ63aのタグ表示部616にタグ側作業指示画像を表示する。
【0200】
これにより、作業者Hは、端末表示部413に表示された端末側作業指示画像や、タグ表示部616に表示されたタグ側作業指示画像を視認することで、携帯端末42をかざした無線タグ63aが設置されたバルブVaが、第1作業工程として開閉作業を行う作業対象物であると認識し得、第1作業工程であるバルブVaの開閉作業を行うことができる。
【0201】
以上のように、第3実施形態に係る工程管理システム1cでも、第1実施形態と同様に、携帯端末42によって作業者Hが次に行う作業工程が提示されるとともに、読み取った無線タグ63のタグ識別情報IDに基づいて作業者Hが行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【0202】
これに加えて、無線タグ63aは、第1作業工程としてバルブVaの開閉作業が行われる際に、振動センサ631及びモーションセンサ632によってハンドルLの作業時における振動と変位を検出し、得られた検出結果(振動検出結果及び変位検出結果)を含んだ作業完了通知を非接触通信により携帯端末42に送信する。
【0203】
携帯端末42は、第1作業工程であるバルブVaが開閉作業されたときの振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果を無線タグ63aから受信すると、記憶部421に予め記憶されている判定基準情報に基づいて当該検出結果像から、第1作業工程の作業が正しく完了しているか否かを状態判定部426によって判定する。
【0204】
このように、第3実施形態に係る工程管理システム1cでは、各作業工程の作業を行う際に作業者Hの作業に応じてバルブVのハンドルLで生じる振動や変位を検出し、得られた検出結果から、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定するようにしたことから、作業が完了しているか否かの判断が外観観察だけでは難しい場合でも、各作業工程の作業が完了したか否かを判定することができる。
【0205】
(3-5)他の実施形態
なお、上述した第3実施形態においては、作業者が手作業で操作する作業対象物として、バルブVを開閉自在に操作可能なハンドルLを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、傾倒可能なスイッチの他、配管の蛇口、設備の変位可能な各種部位、設備で移動可能に配置されたトレイ、設備に対して着脱自在なネジなど、無線タグ63のセンサが装着可能なその他種々の作業対象物を適用してもよい。
【0206】
また、上述した第3実施形態においては、作業対象物に設けたセンサの検出結果に基づいて作業状態を判定する状態判定部として、作業対象物であるバルブVのハンドルLに設けた振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果(振動検出結果及び変位検出結果)に基づいて、作業が完了しているか否かの作業状態を判定する状態判定部426を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
【0207】
その他の状態判定部としては、例えば、作業対象物であるバルブVのハンドルLに設けた振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果に基づいて、作業が完了していないか否かの作業状態や、作業を複数工程に分けたうちどの段階にあるかの作業状態を判定するようにしてもよい。
【0208】
また、その他の状態判定部としては、例えば、作業対象物であるバルブVのハンドルLに設けた振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果に基づいて、設備であるバルブVやハンドルLに異常が発生しているか否かの作業状態を判定するようにしてもよい。
【0209】
また、上述した第3実施形態においては、無線タグ63で得られたセンサの検出結果と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、作業工程の作業状態を判定する状態判定部426を、携帯端末42に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、携帯端末42と通信可能な外部装置である情報処理装置2に状態判定部426を設けるようにしてもよい。この場合、携帯端末42は、送受信部420を介してセンサの検出結果を情報処理装置2に送信し、当該検出結果を受け取った情報処理装置2の状態判定部426によって作業工程の作業状態を判定させる。携帯端末42は、情報処理装置2から送信された判定結果を、送受信部420を介して受信することで、上述した第3実施形態と同様の処理を行え得る。
【0210】
(4)第4実施形態
(4-1)第4実施形態に係る携帯端末の回路構成
次に第4実施形態に係る工程管理システムについて説明する。第4実施形態に係る工程管理システムは、作業者Hが携帯端末を無線タグ6にかざして当該無線タグ6のタグ識別情報IDを読み取る読み取り動作を一定時間行わないなどの状況が生じた際に、作業者Hに対して携帯端末への確認情報の入力操作を促して作業者Hの状況を確認する点と、携帯端末において作業者Hの心拍や体温、血圧などの生体情報を測定して当該生体情報に基づいて作業者Hの健康状態(体調)を判定する点と、で上述した第1実施形態から第3施形態とは相違している。
【0211】
ここで、第4実施形態に係る工程管理システムは、上述した第1実施形態とは携帯端末の構成が相違しているものの、携帯端末、情報処理装置2及び無線タグ6が、第2実施形態において説明した図3に示すタイミングチャートに沿って動作し、第1実施形態と同様に、携帯端末、情報処理装置2及び無線タグ6との間でそれぞれデータの送受信が行われる。
【0212】
図3に示すタイミングチャートに沿った携帯端末、情報処理装置2及び無線タグ6のデータの送受信の説明については、第1実施形態の説明と重複することになるため、ここではその説明は省略し、第4実施形態に係る携帯端末において行われる、作業者Hの作業状況確認処理と、生体情報を基に作業者Hの体調を判定する体調判定処理と、について以下説明する。
【0213】
図13は、第4実施形態に係る携帯端末45の回路構成を示すブロック図である。図13に示すように、第4実施形態に係る携帯端末45は、作業状況確認部451と生体情報測定部452と体調判定部453とが設けられている点で第1実施形態に係る携帯端末4とは相違している。以下、第1実施形態と重複する事項は説明を省略し、主に第4実施形態と相違する事項に着目して以下説明する。
【0214】
作業状況確認部451は、作業状況確認処理として、端末表示部413に次作業通知画像、作業場所通知画像又は操作部位通知画像が表示された後に計時を開始し、予め定めた一定時間の間に、非接触通信部419から無線タグ6のタグ識別情報IDの読み取りが行われた否かを判定する。作業状況確認部451は、一定時間の間に非接触通信部419から無線タグ6のタグ識別情報IDの読み取りが行われなかったときには表示情報を生成して端末表示部413に出力する。これにより端末表示部413には操作要求画像が表示される。操作部414は、操作要求画像が端末表示部413に表示されると、作業者Hから確認情報が入力されることを待ち受ける。
【0215】
ここで、作業状況確認部451は、上述した一定時間として、例えば、次の作業工程の作業場所までゆき無線タグ6に携帯端末45をかざすまでに要する時間や、作業工程の作業を開始してから完了するまでに必要な時間などに基づいて設定されている。また、操作部414から入力される確認情報としては、例えば、操作要求画像が端末表示部413に表示されてから作業を行うまでに新たに必要となる作業延長時間を確認情報として入力させたり、或いは、タッチパネルの押下操作などの解除操作により与えられる操作情報を確認情報として入力させる。
【0216】
作業状況確認部451は、操作要求画像が端末表示部413に表示された後に操作部414の操作によって作業者Hにより確認情報が入力されると、再び、一定時間の間、非接触通信部419によるタグ識別情報IDの読み取りを待ち受ける。一方、作業状況確認部451は、操作要求画像が端末表示部413に表示された後に作業者Hによって確認情報が入力されないと、未操作情報を生体情報測定部452に出力する。
【0217】
生体情報測定部452は、例えば、心拍計、体温計又は血圧計などであり、作業者Hの心拍、体温、血圧などの生体情報を常時測定可能な構成を有している。生体情報測定部452は、作業状況確認部451からの未操作情報に基づいて、測定している作業者Hの生体情報を体調判定部453に出力する。体調判定部453は、生体情報測定部452から受け取った作業者Hの生体情報から作業者Hの体調を判定し得る。
【0218】
この場合、体調判定部453は、生体情報測定部452から生体情報を受け取ると、予め記憶している体調判定情報を目安に、当該生体情報から作業者Hの体調を判定する。ここで、体調判定情報とは、例えば、一般的な健常者の心拍、体温、血圧などの生体情報や、作業者Hの体調が良好なときの心拍、体温、血圧などの生体情報を基にして、作業者Hの体調が良好か不良かを判定可能な基準を示したものである。
【0219】
体調判定部453は、例えば、生体情報測定部452から受け取った生体情報が、体調判定情報の基準値から外れた際に作業者Hに体調不良が生じていると判定する。体調判定部453は、作業者Hの体調不良が生じていると判定すると、体調判定結果を送受信部420に出力する。これにより、送受信部420は、近距離通信によって情報処理装置2に体調判定結果を送信する。情報処理装置2は、携帯端末45から体調判定結果を受信すると、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線網などを介して、管理者が所有する携帯端末などに、作業者Hが体調不良である可能性がある旨の安否確認要請通知を、メールや自動音声で送信し、当該管理者に対して作業者Hの体調不良を報知する。これにより、管理者は、安否確認要請通知を確認することで、作業者Hの安否確認が必要であることを認識することができる。
【0220】
また、この際、体調判定部453は、端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417を動作させ、画面点滅などの報知画像を端末表示部413に表示させ、報知音(アラーム音や、作業者Hの体調不良を知らせる音声など)をスピーカ416から出力させ、バイブレータ417により携帯端末45を振動させる。
【0221】
これにより、携帯端末45は、端末表示部413に表示された報知画像を作業者Hに視認させたり、スピーカ416から出力された報知音を作業者Hに聴かせたり、バイブレータ417からの振動を作業者Hに感じさせたりし、作業者H自身に自己が体調不良の可能性があることを認識させることができる。また、携帯端末45は、端末表示部413に表示された報知画像を作業者Hの周囲にいる他者に視認させたり、スピーカ416から出力される報知音を作業者Hの周囲にいる他者に聴かせたりし、作業者Hに異変が生じていることを作業者Hの周囲にいる他者に認識させることができる。
【0222】
(4-2)第4実施形態に係る工程管理処理での携帯端末の動作処理
次に、第4実施形態に係る工程管理処理での携帯端末45の動作処理について、図14に示すフローチャートを用いて以下説明する。第4実施形態に係る工程管理処理での携帯端末45の動作処理は、図4に示した第1実施形態におけるステップS111からステップS119までと、ステップS119で肯定結果が得られた以降とは同じである。ここでは説明の重複を避けるため、図14に示すステップS111からステップS119までと、ステップS119で肯定結果が得られた以降とについての説明は省略し、ステップS119において否定結果が得られたとき、すなわち、携帯端末45が無線タグ6からタグ識別情報通知を受信していないときの携帯端末45の動作処理に着目して以下説明する。
【0223】
携帯端末45は、ステップS119において否定結果が得られると、次のステップS1191に移り、作業状況確認部451によって一定時間が経過したか否かを判定する。ステップS1191で否定結果が得られると、このことは一定時間を経過していないことを表しており、このとき携帯端末45は、再びステップS119に戻り、無線タグ6からタグ識別情報通知を受信するまで待ち受ける。
【0224】
これに対して、ステップS1191で肯定結果が得られると、このことは一定時間が経過しても無線タグ6からタグ識別情報通知を受信していないことを表しており、このとき携帯端末45は、次のステップS1192に移る。ステップS1192において、携帯端末45は、作業状況確認動作として、操作要求画像を端末表示部413に表示し、次のステップS1195に移る。
【0225】
ステップS1195において、携帯端末45は、操作部414の操作によって作業者Hにより確認情報が入力されたか否かを作業状況確認部451によって判定する。ステップS1195において肯定結果が得られると、このことは操作部414の操作によって作業者Hが確認情報を入力したこと、すなわち、作業者Hに体調不良が生じておらず、他の何らかの理由により作業工程の作業が行われていないことを表しており、このとき携帯端末45は、再びステップS119に戻り、無線タグ6からタグ識別情報通知を受信するまで待ち受ける。
【0226】
これに対してステップS1195において否定結果が得られると、このことは一定時間の間に操作部414の操作によって作業者Hが確認情報を入力しなかったこと、すなわち、体調不良などにより作業者Hが操作部414の操作ができないおそれがあることを表しており、このとき携帯端末45は、次のステップS1196に移る。
【0227】
ステップS1196において、携帯端末45は、体調判定部453によって、体調判定情報を目安に、生体情報測定部452で測定した作業者Hの生体情報から作業者Hの体調を判定して、作業者Hに体調不良が生じているか否かを検知する。ステップS1196において否定結果が得られると、このことは、生体情報から作業者Hの体調不良を検知しなかったことを表しており、このとき携帯端末45は、再びステップS1195に移り、作業者Hによる確認情報の入力を待ち受ける。
【0228】
これに対して、ステップS1196において肯定結果が得られると、このことは、生体情報から作業者Hの体調不良を検知したことを表しており、このとき携帯端末45は、次のステップS1197に移る。
【0229】
ステップS1197において、携帯端末45は、作業者Hに何らかの体調不良が生じ、作業者H自身により操作部414の操作が行えないおそれがあるとして、安否確認要請通知を、送受信部420を介して情報処理装置2に送信し、次のステップS1198に移る。
【0230】
ステップS1198において、携帯端末45は、作業状況確認部451からの要求に応じて端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417を動作させ、報知画像を端末表示部413に表示させたり、報知音をスピーカ416から出力させたり、バイブレータ417により携帯端末45を振動させたりして報知動作を行い、上述した処理を終了する。
【0231】
(4-3)作用及び効果
以上の構成において、第4実施形態に係る工程管理システムでも、上述した第1実施形態と同様に、作業情報手順に基づいて、作業者Hが次に行うべき第1作業工程を示した次作業通知画像などを携帯端末45の端末表示部413に表示し、作業者Hに対して次に行うべき第1作業工程を提示する。
【0232】
また、第4実施形態に係る工程管理システムでは、例えば、第1作業工程として作業が行われるスイッチSW1に設けた無線タグ6aに対して携帯端末45がかざされることにより、携帯端末45が無線タグ6aから読み取ったタグ識別情報ID1が、照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するかを判定する。その結果、工程管理システムは、タグ識別情報ID1が対応タグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られると、携帯端末45の端末表示部413に端末側作業指示画像を表示するとともに、無線タグ6aのタグ表示部616にタグ側作業指示画像を表示する。
【0233】
以上のように、第4実施形態に係る工程管理システムでも、第1実施形態と同様に、携帯端末45によって作業者Hが次に行う作業工程が提示されるとともに、読み取った無線タグ6のタグ識別情報IDに基づいて作業者Hが行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【0234】
これに加えて、第4実施形態に係る工程管理システムでは、さらに、携帯端末45に作業状況確認部451を設け、作業状況確認部451によって、一定時間が経過しても、無線タグ6からタグ識別情報通知を受信しなかったときに、操作部414の操作によって作業者Hに対して確認情報を入力させる作業状況確認動作を実行するようにした。
【0235】
このように、第4実施形態に係る工程管理システムでは、一定時間が経過した後に、携帯端末45に対して作業者Hに確認情報を入力させることで、作業時間の目安を作業者Hに対して認識させることができる。また、第4実施形態に係る工程管理システムでは、一定時間の間、携帯端末45が無線タグ6からタグ識別情報通知を受信せず、さらに、作業者Hが携帯端末45に確認情報を入力しなかったときには、作業者Hが体調不良や怪我などにより作業が行えない状況にあるか、或いは、作業者Hが作業を放棄している可能性があるなど、作業者Hの作業状況を推測することができる。
【0236】
さらに、携帯端末45は、予め定めた一定時間の間、作業状況確認動作によって作業者Hの確認情報の入力がされなかったときに、体調判定部453によって、生体情報測定部452により測定した作業者Hの生体情報に基づいて作業者Hの体調を判定するようにした。
【0237】
携帯端末45は、体調判定情報を目安にして、体調判定部453により作業者Hの体調に異変があるとの判定結果を得ると、安否確認要請通知を情報処理装置2に送受信部420を介して送信する。これにより、第4実施形態に係る工程管理システムでは、例えば、作業中の作業者Hに体調不良が生じ、作業継続が困難な状況になっても、情報処理装置2を経由して管理者が所有する他の携帯端末などに、作業者Hが体調不良や怪我などにより作業が行えない状況にあることを、遠隔地にいる他者に報知することができる。
【0238】
また、この際、携帯端末45は、端末表示部413やスピーカ416、バイブレータ417を動作させて報知動作を実行することにより、作業者Hの体調不良などを当該作業者Hの周囲に報知することができる。以上より、第4実施形態に係る工程管理システムでは、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができるとともに、作業者Hの体調管理及び安全性管理を行うことができる。
【0239】
(4-4)他の実施形態
なお、上述した第4実施形態においても、作業者が手作業で操作する作業対象物として、押下可能なスイッチSWを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、傾倒可能なスイッチの他、バルブのハンドルや、配管の蛇口、設備の変位可能な各種部位、設備で移動可能に配置されたトレイ、設備に対して着脱自在なネジなど、その他種々の作業対象物を適用してもよい。
【0240】
また、上述した第4実施形態においては、予め定めた一定時間の間、作業状況確認動作によって作業者Hの確認情報の入力がされなかったときに、携帯端末45は、安否確認要請通知を情報処理装置2に送信する送信動作と、端末表示部413やスピーカ416、バイブレータ417を動作させて報知動作との両方を実行するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、上記の送信動作及び報知動作のうちいずれか一方のみを実行するようにしてもよい。
【0241】
また、上述した第4実施形態においては、報知部として、端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417を設け、報知動作として端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417の全てを動作させた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、端末表示部413、スピーカ416及びバイブレータ417のうちいずれか1つ以上を動作させるようにしてもよい。
【0242】
また、上述した第4実施形態においては、予め定めた一定時間の間、作業状況確認動作によって作業者Hにより操作部414が操作されなかったときには、生体情報測定部452により測定した作業者Hの生体情報に基づいて、作業者Hの体調を判定する体調判定部453を、携帯端末45に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、携帯端末45と通信可能な外部装置である情報処理装置2に体調判定部453を設けるようにしてもよい。この場合、携帯端末45は、生体情報測定部452で得られた作業者Hの生体情報を、送受信部420を介して情報処理装置2に送信し、当該生体情報を受け取った情報処理装置2の体調判定部453によって作業者Hの体調を判定させる。携帯端末45は、情報処理装置2から送信された判定結果を、送受信部420を介して受信することで、上述した第4実施形態と同様の処理を行え得る。
【0243】
(5)第5実施形態
(5-1)第5実施形態に係る携帯端末の回路構成
次に第5実施形態に係る工程管理システムについて説明する。例えば、セル生産方式において、作業工程で行われるネジ締め作業時にネジの本締め忘れなど、外観検査だけでは発見し難い作業ミスが発生することもある。ネジ締め作業は手締めや電動ドライバーを用いた人手作業となり、外観検査でネジの有無は判別できるが、ネジの締め付けが不十分などのネジの締め付け不良は外観検査では発見が困難である。また、各種センサを設けた無線タグ63をネジなどのような小さな締結部材に設置することは困難である。
【0244】
第5実施形態に係る工程管理システムは、このような点を考慮し、図15に示すように、加速度センサ461、モーションセンサ462及び状態判定部426を携帯端末46に設け、例えば、作業工程で行われるネジ締め作業時に、作業動作により作業者Hの前腕部や手部などの携帯端末46の装着部位で生じる加速度や変位を、加速度センサ461及びモーションセンサ462で検出し、得られた加速度検出結果及び変位検出結果を状態判定部426で解析することで、手締めや電動ドライバーを用いた人手作業(作業動作)が正しく完了したか否かを判定するものである。
【0245】
また、第5実施形態では、例えば、ネジの締め付け作業時、最後にネジを強く締め付ける本締めを行う際に作業者Hの手部などに生じる特徴的な加速度検出結果や変位検出結果を状態判定部426で予め解析しておくことで、ネジの締め付け作業時に本締めが行われたか否かについても判定し得る。
【0246】
なお、ここでは、携帯端末46に設けるセンサとして、加速度センサ461及びモーションセンサ462の2種のセンサを適用した場合について説明するが、本発明はこれに限らず、作業対象物の種類に応じて、加速度センサ461、モーションセンサ462、振動センサ、握力センサ、温度センサ、音センサのうち1種以上を、携帯端末46に設けるセンサとして適用するようにしてもよい。
【0247】
以下、第1実施形態から第4実施形態と重複する事項は説明を省略し、主に第1実施形態から第4実施形態と相違する事項に着目して以下説明する。複数の作業工程としては、例えば、作業工程ごとにそれぞれ異なる箇所にネジを取り付け、当該ネジを回転させてネジの締め付け作業を行う例について説明する。また、作業工程の作業がそれぞれ行われる箇所には、上述した第1実施形態のような圧力センサが設けられていない無線タグ6を適用した場合の例について説明する。
【0248】
第5実施形態に係る携帯端末46は、作業者Hが各作業工程の作業を行う際に、当該携帯端末46が装着された作業者Hの装着部位に生じる加速度を加速度センサ461で検出するとともに、当該装着部位に生じる空間内での変位をモーションセンサ462で検出する。
【0249】
加速度センサ461は、作業者Hの作業中に検出した加速度を加速度検出結果として状態判定部426に出力し、モーションセンサ462は、作業者Hの作業中に検出した変位を変位検出結果として状態判定部426に出力する。第5実施形態に係る記憶部421には、作業者Hが各作業工程の作業をそれぞれ作業開始から作業完了まで行った際に加速度センサ461で検出した加速度検出結果と、モーションセンサ462で検出した変位検出結果とから、各作業工程の作業が正しく完了したか否かを判定することができる判定基準情報が、予め記憶されている。
【0250】
判定基準情報としては、過去の操業データに基づいて、作業工程の作業が正しく完了しているときに得られた加速度検出結果及び変位検出結果から、作業工程ごとに特徴量を抽出したものであってもよく、また、作業が正しく完了しているとき、又は、正しく完了していないときの特徴を機械学習などにより学習させた学習済みモデルなどであってもよい。
【0251】
状態判定部426は、作業者Hが作業工程の作業を行った際に得られた加速度検出結果と変位検出結果を加速度センサ461及びモーションセンサ462からそれぞれ受け取ると、作業者Hが現在行っている作業工程に対応する判定基準情報を記憶部421から読み出し、読み出した判定基準情報に基づいて、当該加速度検出結果及び変位検出結果から作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定する。
【0252】
状態判定部426は、作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果を得ると、当該判定結果に基づいて、端末表示部413に端末側作業完了画像を表示させる。端末表示部413は、端末側作業完了画像を作業者Hに視認させることで、当該作業工程の作業が正しく完了していることを作業者Hに対して認識させることができる。また、この際、状態判定部426は、作業工程の作業が正しく完了しているとの判定結果に基づいて非接触通信部419を動作させ、当該作業工程の作業が行われたバルブVやスイッチSWなどの作業対象物に設置された無線タグ6に、作業完了通知命令を非接触通信部419から送信させる。これにより、携帯端末46は、作業完了通知命令を受信した無線タグ6において、当該作業完了通知命令に基づいて、タグ側作業完了画像をタグ表示部616に表示させる。
【0253】
(5-2)第5実施形態に係る工程管理処理
次に、第5実施形態に係る工程管理処理について、図16に示すタイミングチャートに沿って以下説明する。図16に示す第5実施形態に係る工程管理処理は、ステップS1からステップS7までは図11に示した第3実施形態に係る工程管理処理と同じ手順で処理が行われる。ここでは説明が重複するためステップS1からステップS7までの説明は省略する。
【0254】
第5実施形態に係る工程管理処置では、ステップS7において、タグ側作業指示画像をタグ表示部616に表示すると、次のステップS7fに移る。携帯端末46は、例えば、第1作業工程としてネジの締め付け作業が作業者Hにより行われる際に、作業者Hの手部での加速度を加速度センサ461で検出するとともに(ステップS7f)、当該作業者Hの手部の変位をモーションセンサ462で検出する(ステップS7g)。
【0255】
携帯端末46は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、第1作業工程のネジの締め付け作業時に加速度センサ461及びモーションセンサ462で検出した加速度検出結果及び変位検出結果からネジの締め付け作業が正しく完了したか否かを判定する状態判定を行う(ステップS7h)。
【0256】
携帯端末46は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、加速度センサ461及びモーションセンサ462の加速度検出結果及び変位検出結果から、ネジの締め付け作業が正しく完了しているとの判定結果を得ると、非接触通信によって無線タグ6aに作業完了通知命令を送信する。以降、図16におけるステップS9、ステップS12~ステップS17については、上述した第1実施形態に係る工程管理処理(図3)と同じであるため、ここではその説明は省略する。
【0257】
なお、携帯端末46は、状態判定部426によって、第1作業工程に関する判定基準情報に基づいて、加速度センサ461及びモーションセンサ462の加速度検出結果及び変位検出結果から、ネジの締め付け作業が正しく完了していないとの判定結果を得ると、ネジの締め付け作業が完了しているネジの状態(作業完了状態)の確認を促す端末側確認指示画像を端末表示部413に表示する。
【0258】
(5-3)作用及び効果
以上の構成において、第5実施形態に係る工程管理システムでも、上述した第1実施形態と同様に、作業情報手順に基づいて、作業者Hが次に行うべき第1作業工程を示した次作業通知画像などを携帯端末46の端末表示部413に表示し、作業者Hに対して次に行うべき第1作業工程を提示する。
【0259】
また、第5実施形態に係る工程管理システムでは、例えば、第1作業工程としてネジの締め付け作業が行われる箇所に設けた無線タグ6aに対して携帯端末46がかざされるなど近接されることにより、携帯端末46が無線タグ6aから読み取ったタグ識別情報ID1が、照合判定情報として設定した対応タグ識別情報ID1と一致するかを判定する。その結果、工程管理システムは、タグ識別情報ID1が対応タグ識別情報ID1と一致するとの照合結果が得られると、携帯端末46の端末表示部413に端末側作業指示画像を表示するとともに、無線タグ6aのタグ表示部616にタグ側作業指示画像を表示する。
【0260】
以上のように、第5実施形態に係る工程管理システムでも、第1実施形態と同様に、携帯端末46によって作業者Hが次に行う作業工程が提示されるとともに、読み取った無線タグ6のタグ識別情報IDに基づいて作業者Hが行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程が行われることを未然に防止できる。よって、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【0261】
これに加えて、第5実施形態に係る携帯端末46では、第1作業工程としてネジの締め付け作業が行われる際の、作業者Hの手部の加速度や変位を加速度センサ461及びモーションセンサ462で検出し、作業時における加速度検出結果及び変位検出結果を取得する。そして、携帯端末46は、記憶部421に予め記憶されている判定基準情報に基づいて当該加速度検出結果及び変位検出結果から、第1作業工程のネジの締め付け作業が正しく完了しているか否かを状態判定部426によって判定する。
【0262】
以上、第5実施形態に係る工程管理システムでは、各作業工程のネジの締め付け作業を行う際に作業者Hの手部に生じる加速度や変位を検出し、得られた検出結果から、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定するようにしたことから、作業が完了しているか否かの判断が外観観察だけでは難しい場合でも、各作業工程の作業が正しく完了したか否かを判定できる。
【0263】
また、第5実施形態に係る工程管理システムでは、ネジなどのように、無線タグ6の各種センサを設置することが困難な小さな締結部材を締め付けるような作業であっても、作業者Hが所有する携帯端末46において各作業工程でネジの締め付け作業を行う際に作業者Hの手部に生じる加速度や変位を検出し得、得られた検出結果から、各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定することができる。
【0264】
(5-4)他の実施形態
なお、上述した第5実施形態においては、作業者が手作業で操作する作業対象物として、回転操作により設備の所定箇所に締結可能なネジを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、押下可能又は傾倒可能なスイッチの他、バルブのハンドルや、配管の蛇口、設備の変位可能な各種部位、設備で移動可能に配置されたトレイ、設備に対して着脱自在なネジなど、その他種々の作業対象物を適用してもよい。この場合、作業対象物に応じた手作業の傾向などから判定基準情報を予め生成しておくことで、上述した実施形態と同様に、当該判定基準情報を基準に各作業工程の作業が正しく完了しているか否かを判定できる。
【0265】
また、上述した第5実施形態においては、携帯端末に設けたセンサの検出結果に基づいて作業状態を判定する状態判定部として、携帯端末46に設けた加速度センサ461及びモーションセンサ462の検出結果(加速度検出結果及び変位検出結果)に基づいて、作業が完了しているか否かの作業状態を判定する状態判定部426を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
【0266】
例えば、その他の状態判定部としては、携帯端末46に設けた加速度センサ461及びモーションセンサ462など各種センサの検出結果に基づいて、作業が完了していないか否かの作業状態や、作業を複数工程に分けたうちどの段階にあるかの作業状態を判定するようにしてもよい。
【0267】
また、その他の状態判定部としては、例えば、携帯端末46に設けた加速度センサ461及びモーションセンサ462の各種センサの検出結果に基づいて、設備に異常が発生しているか否かの作業状態を判定するようにしてもよい。
【0268】
また、上述した第5実施形態においては、携帯端末46で得られたセンサの検出結果と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、作業工程の作業状態を判定する状態判定部426を、携帯端末46に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、携帯端末46と通信可能な外部装置である情報処理装置2に状態判定部426を設けるようにしてもよい。この場合、携帯端末46は、送受信部420を介してセンサの検出結果を情報処理装置2に送信し、当該検出結果を受け取った情報処理装置2の状態判定部426によって作業工程の作業状態を判定させる。携帯端末46は、情報処理装置2から送信された判定結果を、送受信部420を介して受信することで、上述した第5実施形態と同様の処理を行え得る。
【0269】
(6)第6実施形態
(6-1)第6実施形態に係る工程管理システムの概要
次に第6実施形態に係る工程管理システムについて説明する。上述した第1実施形態から第5実施形態では、携帯端末4,42,45,46に照合部415を設け、当該携帯端末4,42,45,46が非接触通信で無線タグ6,63から読み取ったタグ識別情報IDを基に、当該照合部415によって作業者が行うべき作業対象物であるか否かを照合するようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、携帯端末に照合部415を設けずに、外部装置である情報処理装置2(図1)に照合部415を設けるようにしてもよい。以下、情報処理装置2に照合部415を設けた第6実施形態について説明する。
【0270】
(6-2)携帯端末の回路構成
図17に示すように、第6実施形態に係る携帯端末47は、端末制御部411、端末提示部473、操作部414、非接触通信部419及び送受信部420を備えており、上述した第1実施形態等とは異なり照合部や記憶部等が設けられておらず、その分、簡易な構成を有する。端末提示部473は、例えば、ディスプレイ、スピーカ又はバイブレータ等であり、情報処理装置2(図1)から受信した照合結果(後述する)を、当該携帯端末47を所有する作業者Hに対して通知する照合結果通知部として機能する。
【0271】
非接触通信部419は、無線タグ6から当該無線タグ6のタグ識別情報IDを読み取ると、これを送受信部420に出力する。タグ識別情報送信部としての送受信部420は、近距離通信によって情報処理装置2に無線タグ6のタグ識別情報IDを送信する。これにより、照合結果受信部としての送受信部420は、情報処理装置2から近距離通信によって照合結果を受信すると、受信した照合結果を端末制御部411に送出する。
【0272】
端末制御部411は、情報処理装置2から受信した照合結果に応じて、端末提示部473を動作させ、当該端末提示部473を介して照合結果を作業者Hに通知する。この場合、端末制御部411は、情報処理装置2において設定された対応タグ識別情報ID1の識別子が、読み取ったタグ識別情報IDと一致するとの照合結果を情報処理装置2から受信した場合、端末提示部473を動作させ、当該端末提示部473が、例えば、ディスプレイであれば、所定のマークを示したり、スイッチSW1の押下を促す文字情報を示したり、LEDであれば所定の発光色を発したり、スピーカであれば所定の音声を出力したり、バイブレータであれば所定の振動動作をしたりし、作業者Hが行うべき作業対象物であることを作業者Hに対して通知する。
【0273】
また、端末制御部411は、情報処理装置2において設定された対応タグ識別情報ID1の識別子が、読み取ったタグ識別情報IDと一致していないとの照合結果を情報処理装置2から受信した場合、端末提示部473を動作させないか、或いは、端末提示部473を上記とは異なる形態で動作させ、作業者Hが行うべきでない作業対象物であることを作業者Hに対して通知する。
【0274】
(6-3)第6実施形態に係る工程管理処理
次に、第6実施形態に係る工程管理処理について、図18に示すタイミングチャートに沿って以下説明する。図18に示す第6実施形態に係る工程管理処理では、作業者Hが行う複数の作業工程に関する作業手順情報が、情報処理装置2の記憶部に記憶される(ステップS1a)。
【0275】
情報処理装置2は、第1作業工程に関する設定処理として、作業手順情報に基づいて、第1作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID1を照合判定情報として、自身が備える照合部に設定する(ステップS2a)。その後、携帯端末47は、作業者Hによって、スイッチSW1に設置されている無線タグ6aにかざされることにより、非接触通信によって無線タグ6aにタグ識別情報読取要求を送信する。これにより、携帯端末47は、非接触通信により無線タグ6aからタグ識別情報通知を受信する。
【0276】
携帯端末47は、非接触通信により無線タグ6aからタグ識別情報通知を受信すると、当該タグ識別情報通知を情報処理装置2に送信する。これにより、情報処理装置2は、タグ識別情報IDの照合処理として、照合部415に照合判定情報として設定した第1作業工程の対応タグ識別情報ID1が、携帯端末47から受信したタグ識別情報ID1と一致するか否かを照合する(ステップS3a)。この場合、情報処理装置2は、自身が備える照合部に照合判定情報として設定した第1作業工程の対応タグ識別情報ID1が、携帯端末47から受信したタグ識別情報ID1と一致するとの照合結果を得、この照合結果を示す照合結果通知を携帯端末47に送信する。
【0277】
携帯端末47は、情報処理装置2に照合判定情報として設定されている第1作業工程の対応タグ識別情報ID1に、タグ識別情報ID1が一致するとの照合結果が情報処理装置2で得られることから、受信した照合結果通知に基づいて作業命令通知の通知動作を行う(ステップS4)。以降、第6実施形態に係る工程管理システムは、上述した第1実施形態に係る工程管理処理と同様に、ステップS7~ステップS9の処理を実行する。
【0278】
携帯端末47は、無線タグ6aから作業完了通知を受信すると、当該作業完了通知を端末提示部473により作業者Hに対して提示する(ステップS12a)。また、携帯端末47は、無線タグ6aから受信した作業完了通知を情報処理装置2に送信する。これにより、情報処理装置2は、第2作業工程に関する設定処理を実行し、作業手順情報に基づいて、次の第2作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID1を新たな照合判定情報として自身の照合部に設定する(ステップS13a)。そして、情報処理装置2は、携帯端末47からの新たなタグ識別情報通知の受信を待ち受ける。
【0279】
ここで、情報処理装置2において、例えば、第2作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報ID2が照合判定情報として照合部に設定されているときに(ステップS13a)、作業者Hが、第2作業工程以外の第n作業工程の作業場所に設置された無線タグ6nに誤って携帯端末47をかざしてまった場合について説明する。この場合も、携帯端末47は、非接触通信によって無線タグ6nにタグ識別情報読取要求を送信し、無線タグ6nの応答動作によって無線タグ6nからタグ識別情報通知を受信する。
【0280】
携帯端末47は、無線タグ6nから受信したタグ識別情報通知を情報処理装置2に送信する。これにより、情報処理装置2は、タグ識別情報IDの照合処理として、自身の照合部に照合判定情報として設定した第2作業工程の対応タグ識別情報ID2が、携帯端末47から受信したタグ識別情報IDnと一致するか否かを照合する(ステップS16a)。この場合、情報処理装置2は、照合部に照合判定情報として設定した第2作業工程の対応タグ識別情報ID2が、携帯端末47から受信したタグ識別情報IDnと一致しないとの照合結果を得、この照合結果を示す照合結果通知を携帯端末47に送信する。
【0281】
携帯端末47は、情報処理装置2に照合判定情報として設定されている第2作業工程の対応タグ識別情報ID2に、タグ識別情報IDnが一致しないとの照合結果が情報処理装置2で得られることから、情報処理装置2から受信した照合結果通知に基づいて端末提示部473により警告動作を行う(ステップS17)。なお、端末提示部473は、警告動作として、例えば、ディスプレイであれば所定の警告マークや文字情報を表示したり、LEDであれば所定の発光色を発したり、スピーカであれば所定の警告音声を出力したり、バイブレータであれば所定の振動動作をしたりし、作業者Hが行うべきでない作業対象物であることを作業者Hに対して通知する。
【0282】
(6-4)作用及び効果
以上の構成において、第6実施形態に係る工程管理システムでも、携帯端末47によって読み取った無線タグ6aのタグ識別情報ID1に基づいて、携帯端末47を介して作業者Hが今現在行う作業工程であるかを確認できることから、誤った順序で作業工程の作業が行われることを未然に防止できる。よって、第6実施形態でも、複数の作業工程を予め定めた順序に沿って行う際に人為的なミスを抑制して、作業の効率化を図ることができる。
【0283】
また、第6実施形態に係る携帯端末47は、照合部を有しない分、構成を簡易化し得、その分、軽量化及び小型化し得、携帯性を向上させることができる。
【0284】
(6-5)他の実施形態
なお、上述した第6実施形態においては、照合結果通知部として、携帯端末47に設けた端末提示部473と、無線タグ6に設けたタグ表示部616とを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯端末47に設けた端末提示部473と、無線タグ6に設けたタグ表示部616とのうち、いずれか一方のみを照合結果通知部として設けるようにしもてよい。
【0285】
また、上述した第6実施形態に係る携帯端末47に、第2実施形態に係る撮像部425及び状態判定部426を設けるようにしてもよい。この場合、第6実施形態に係る携帯端末47でも、状態判定部426によって、無線タグ6が設置された設備の状態又は作業対象物の状態を作業者Hが作業後に撮像部425により撮像した撮像画像と、予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、作業工程の作業状態を判定することができる。
【0286】
また、上述した第6実施形態に第3実施形態の構成を組み合わせてもよい。この場合、第6実施形態に係る無線タグ6は、自身が設置されている作業対象物に対する作業者Hの操作により、作業対象物に生じる事象を検出するセンサを備え、タグ送受信回路612は、センサの検出結果を携帯端末47に送信する。携帯端末47は、無線タグ6から受信したセンサの検出結果と、記憶部421に予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、状態判定部によって作業工程の作業状態を判定する。
【0287】
また、上述した第6実施形態に係る携帯端末47に、第4実施形態に係る生体情報測定部452と体調判定部453とを設けるようにしてもよい。この場合、第6実施形態に係る携帯端末47でも、体調判定部453により作業者Hの体調に異変があるとの判定結果を得ると、報知部を動作させて作業者Hの状況を前記作業者Hの周囲に報知する報知動作、および、外部の装置へ安否確認要請通知を送信する送信動作のうち、少なくともいずれか一方を実行する。
【0288】
また、上述した第6実施形態に係る携帯端末47に、第5実施形態に係るセンサ(例えば、加速度センサ461及びモーションセンサ462)と状態判定部426とを設けるようにしてもよい。この場合、第6実施形態に係る携帯端末47でも、設備の状態又は作業対象物の状態を、当該センサの検出結果と予め記憶されている判定基準情報とに基づいて、作業工程の作業状態を判定することができる。
【0289】
(7)その他
なお、上述した第1実施形態から第5実施形態においては、作業者Hが次に行う作業工程を作業手順情報に基づいて作業者Hに提示する提示部として、作業者Hが次に行う作業工程を示す次作業通知画像を表示する端末表示部413を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、作業者が次に行う作業工程を読み上げた音声を出力するスピーカ416を提示部として適用してもよい。
【0290】
また、上述した第1実施形態から第5実施形態においては、照合部による照合結果を作業者に通知する照合結果通知部として、端末側作業指示画像を表示して照合部415による照合が一致したとの照合結果を作業者Hに通知する端末表示部413を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、照合部415による照合が一致したとの照合結果を音声で出力するスピーカ416を照合結果通知部として適用してもよい。
【0291】
また、上述した第1実施形態から第5実施形態に係る端末表示部413やスピーカ416の照合結果通知部は、無線タグから読み取ったタグ識別情報が、端末表示部413に現在提示されている、作業工程に対応付けられた対応タグ識別情報と一致していないとの照合結果を得たときには、作業者Hが行う作業工程ではないことを通知するようにしてもよい。
【0292】
また、上述した第1実施形態から第5実施形態においては、照合結果通知部として、携帯端末4、42、45、46に設けた端末表示部413等と、無線タグ6に設けたタグ表示部616との両方を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯端末4、42、45、46に設けた端末表示部413等と、無線タグ6に設けたタグ表示部616とのうち、いずれか一方のみを照合結果通知部として設けるようにしもてよい。
【0293】
例えば、無線タグ6のタグ表示部616を照合結果通知部として機能させない場合、携帯端末4、42、45、46は、タグ識別情報が対応タグ識別情報と一致するとの照合結果に基づいて無線タグ6に作業指示通知命令を非接触通信により送信する必要がない分、処理負担を軽減できる。また、携帯端末4、42、45、46に設けた端末表示部413等を照合結果通知部として機能させなくても、作業者Hは、携帯端末4、42、45、46で照合結果を確認できないものの、無線タグ6のタグ表示部616で照合結果を確認することができる。
【0294】
また、上述した第1実施形態から第6実施形態においては、携帯端末として、ウェアラブルの電子機器である腕時計型電子機器(スマートウォッチ)を携帯端末4,42,45,46,47として適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、作業者Hの指に装着可能な指輪型電子機器や、作業者Hの手部全体を挿入して手部に装着可能な手袋型電子機器、作業者Hの前腕部や上腕部に巻き付けて腕部に装着可能な帯状型電子機器、作業者Hの頭部に装着可能な眼鏡型電子機器(スマートグラス)、作業者Hの所定部位に装着可能なクリップ型電子機器などその他種々の携帯端末を適用してもよい。
【0295】
また、上述した第1実施形態から第6実施形態においては、作業手順情報として、作業内容と、作業順序と、作業場所と、作業工程ごとに対応付けられた対応タグ識別情報と、が規定されている作業手順情報を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、これらに加えて、作業工程の作業を作業者Hが完了させるまでに必要となる作業時間が作業工程ごとに規定された作業手順情報を適用してもよい。
【0296】
この場合、携帯端末は、作業手順情報に基づいて、所定の対応タグ識別情報IDが照合判定情報として照合部415に設定されると、当該対応タグ識別情報IDに対応する作業工程の作業時間を照合部415に設定する。携帯端末は、例えば、作業工程の作業が完了した後に操作部414を操作させて完了情報を得る。
【0297】
照合部415は、操作部からの完了情報の有無に基づいて、作業時間の間に作業者Hが作業工程の作業が完了しているか否かを判定する。その結果、照合部415は、設定した作業時間が経過しても作業者Hが作業工程の作業が完了していないと判定したときには、遅延情報提示部として機能する端末表示部によって作業者Hに対して作業遅延情報を提示させる。これにより、作業者Hに対して作業の遅延を認識させ、当該作業の遂行を促すことができる。
【0298】
また、その他の実施形態としては、例えば、上述した第3実施形態にて説明した構成と第5実施形態にて説明した構成とを組み合わせて、第3実施形態の無線タグ63に設けた振動センサ631及びモーションセンサ632の検出結果(振動検出結果及び変位検出結果)と、第5実施形態の携帯端末46の加速度センサ461及びモーションセンサ462の検出結果(加速度検出結果及び変位検出結果)とに基づいて、状態判定部にて、作業状態を判定するようにしてもよい。
【0299】
上述した第1実施形態から第6実施形態においては、近距離通信により情報処理装置2と携帯端末4、42、45、46、47とを無線接続した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、インターネットやイーサネットなどのネットワークを介して情報処理装置2と携帯端末4、42、45、46、47とを無線接続するようにしてもよい。
【0300】
また、上述した第1実施形態から第6実施形態においては、外部装置として、情報処理装置2を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、タブレット端末、スマートフォン等のような携帯式の外部装置を適用してもよい。
【0301】
上述した第1実施形態から第6実施形態においては、タグ送受信回路612によって携帯端末4、42、45、46、47から受信した作業指示通知命令に基づいて作業指示命令を作業者に通知するタグ通知部として、例えば、有機ELディスプレイ等でなるタグ表示部616を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、LEDや、スピーカ、バイブレータをタグ表示部616に替えてタグ通知部として設けてもよく、またこれらタグ表示部616、LED、スピーカ、バイブレータ全てをタグ通知部として設けるようにしてもよい。
【0302】
また、上述した第6実施形態で説明したのと同様に、第1実施形態から第3実施形態、第5実施形態の構成についても、第4実施形態に説明した作業状況確認部451と生体情報測定部452と体調判定部453とを設けた携帯端末45を適用した工程管理システムとしてもよく、その他、上述した第1実施形態から第6実施形態の構成を適宜組み合わせた構成の工程管理システムとしてもよい。
【符号の説明】
【0303】
1、1c 工程管理システム
2 情報処理装置(外部装置)
3、33 設備
4、42、45、46、47 携帯端末
6、63 無線タグ
413 端末表示部(提示部、照合結果通知部、作業完了通知提示部、遅延情報提示部)
415 照合部
416 スピーカ(提示部、遅延情報提示部)
417 バイブレータ(提示部、遅延情報提示部)
419 非接触通信部(無線タグ読取部、作業指示通知命令送信部、作業完了通知受信部)
420 送受信部(タグ識別情報送信部、照合結果受信部)
421 記憶部
612 タグ送受信回路(読取要求受信部、作業指示通知命令受信部)
616 タグ表示部(照合結果通知部、タグ通知部)
SW スイッチ(作業対象物)
L ハンドル(作業対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18