(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155603
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070457
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 恭寛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小川 陽也
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AB01
3D040AC07
3D040AC17
3D040AC24
3D040AC27
3D040AC36
3D040AD04
3D040AD05
3D040AD15
(57)【要約】
【課題】キャリブレーション工程を不要にする。
【解決手段】シフト装置では、回転体34がレバー26と連絡されており、回転体34の回転位置が検出されて、レバー26のシフト位置が検出される。ここで、回転体34がレバー26と連絡される際には、レバー26がH位置に保持される状態で、規定機構22が回転体34の回転位置をH回転位置に規定する。このため、検出される回転体34の回転位置とレバー26のシフト位置とを対応させるキャリブレーション工程を不要にできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体と連絡され、前記シフト体が移動されて移動される移動体と、
前記移動体の移動位置を検出して前記シフト体のシフト位置が検出される検出機構と、
前記移動体を前記シフト体のシフト位置に対応する移動位置に規定して前記シフト体と前記移動体とが連絡される規定機構と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記シフト体と前記移動体とが連絡された際に前記規定機構による前記移動体の移動位置の規定が解除される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記シフト体をシフト位置に付勢する付勢機構を備える請求項1記載のシフト装置。
【請求項4】
前記規定機構が前記移動体の移動位置を規定する前に前記移動体が前記シフト体のシフト位置に対応する移動位置に案内される請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
前記シフト体側に設けられる第1ギア歯と、
前記移動体側に設けられ、前記第1ギア歯と噛合される第2ギア歯と、
を備え、前記規定機構が前記移動体を前記シフト体のシフト位置に対応する移動位置に規定して前記第1ギア歯が前記第2ギア歯間の中央に配置され又は前記第2ギア歯が前記第1ギア歯間の中央に配置される請求項1記載のシフト装置。
【請求項6】
前記移動体に位置決めされ、前記検出機構が検出して前記移動体の移動位置が検出される被検出部を備える請求項1記載のシフト装置。
【請求項7】
前記シフト体が移動されて前記移動体が回転される請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体のシフト位置が検出されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の自動車用変速機では、レバーとマグネットギアとが連絡されており、レバーが回動されて、マグネットギアが回転される。さらに、マグネットギアの回転位置(マグネットが発生する磁場の方向)を検出センサが検出して、レバーのシフト位置が検出される。
【0003】
ここで、この自動車用変速機では、レバーとマグネットギアとが連絡された後に、検出センサが検出するマグネットギアの回転位置とレバーのシフト位置とを対応させるキャリブレーション工程が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0195339号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、検出機構が検出する移動体の移動位置とシフト体のシフト位置とを対応させるキャリブレーション工程を不要にできるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体と連絡され、前記シフト体が移動されて移動される移動体と、前記移動体の移動位置を検出して前記シフト体のシフト位置が検出される検出機構と、前記移動体を前記シフト体のシフト位置に対応する移動位置に規定して前記シフト体と前記移動体とが連絡される規定機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記シフト体と前記移動体とが連絡された際に前記規定機構による前記移動体の移動位置の規定が解除される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記シフト体をシフト位置に付勢する付勢機構を備える。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記規定機構が前記移動体の移動位置を規定する前に前記移動体が前記シフト体のシフト位置に対応する移動位置に案内される。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体側に設けられる第1ギア歯と、前記移動体側に設けられ、前記第1ギア歯と噛合される第2ギア歯と、を備え、前記規定機構が前記移動体を前記シフト体のシフト位置に対応する移動位置に規定して前記第1ギア歯が前記第2ギア歯間の中央に配置され又は前記第2ギア歯が前記第1ギア歯間の中央に配置される。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、前記移動体に位置決めされ、前記検出機構が検出して前記移動体の移動位置が検出される被検出部を備える。
【0012】
本発明の第7態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体が移動されて前記移動体が回転される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト位置が変更される。また、シフト体と移動体とが連絡されており、シフト体が移動されて、移動体が移動される。さらに、検出機構が移動体の移動位置を検出して、シフト体のシフト位置が検出される。
【0014】
ここで、規定機構が移動体をシフト体のシフト位置に対応する移動位置に規定して、シフト体と移動体とが連絡される。このため、シフト体と移動体とが連絡されることで、移動体の移動位置とシフト体のシフト位置とが対応でき、検出機構が検出する移動体の移動位置とシフト体のシフト位置とを対応させるキャリブレーション工程を不要にできる。
【0015】
本発明の第2態様のシフト装置では、シフト体と移動体とが連絡された際に、規定機構による移動体の移動位置の規定が解除される。このため、シフト体を移動させて、移動体を移動させることができる。
【0016】
本発明の第3態様のシフト装置では、付勢機構がシフト体をシフト位置に付勢する。このため、付勢機構がシフト体をシフト位置に配置する状態で、規定機構が移動体の移動位置を規定して、シフト体と移動体とを連絡することができ、移動体の移動位置とシフト体のシフト位置とを容易に対応させることができる。
【0017】
本発明の第4態様のシフト装置では、規定機構が移動体の移動位置を規定する前に、移動体がシフト体のシフト位置に対応する移動位置に案内される。このため、規定機構が移動体をシフト体のシフト位置に対応する移動位置に容易に規定できる。
【0018】
本発明の第5態様のシフト装置では、シフト体側の第1ギア歯と移動体側の第2ギア歯とが噛合される。
【0019】
ここで、規定機構が移動体をシフト体のシフト位置に対応する移動位置に規定して、第1ギア歯が第2ギア歯間の中央に配置され、又は、第2ギア歯が第1ギア歯間の中央に配置される。このため、移動体の移動位置とシフト体のシフト位置との対応精度を高くできる。
【0020】
本発明の第6態様のシフト装置では、移動体の被検出部を検出機構が検出して、移動体の移動位置が検出される。
【0021】
ここで、移動体に被検出部が位置決めされる。このため、移動体における被検出部の位置精度を高くでき、検出機構が検出する移動体の移動位置とシフト体のシフト位置との対応精度を高くできる。
【0022】
本発明の第7態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、移動体が回転される。このため、移動体の移動スペースを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す右斜め後方から見た斜視図である。
【
図2】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置内を示す右斜め後方から見た斜視図であり、(A)は、当該シフト装置の回路基板等を示し、(B)は、当該シフト装置の回転体等を示している。
【
図3】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の回転体等を示す右側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置の第1ギア等を示す右側から見た斜視図である。
【
図4】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の回転体等を示す右斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、当該回転体の組付け途中を示す右斜め前方から見た斜視図である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の回転体を示す斜視図であり、(A)は、右側から見た図であり、(B)は、右斜め前方から見た図である。
【
図6】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の回転体を示す斜視図であり、(A)は、左斜め前方から見た図であり、(B)は、左斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が右斜め後方から見た斜視図にて示されており、
図2(B)には、シフト装置10内が右斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0025】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に設置されており、シフト装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方及び上方に向けられている。
【0026】
図1及び
図2(B)に示す如く、シフト装置10には、支持体としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されている。プレート12の左側には、左プレート12Aが設けられると共に、プレート12の右側には、右プレート12Bが設けられており、左プレート12Aと右プレート12Bとが左右方向において組付けられて、プレート12が構成されている。
【0027】
プレート12内の後端部には、付勢機構14(節度機構)を構成する被付勢部としての付勢面16(節度面)が設置されており、付勢面16は、後側に凹状にされている。付勢面16の上下方向中央部は、保持面16Aにされており、付勢面16は、保持面16Aから上下方向両外側へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されている。
【0028】
プレート12の左壁(左プレート12Aの左壁)には、前後方向中間部において、支持部としての略円柱状の支持軸18(
図3(B)参照)が一体に設けられており、支持軸18は、右方に延出されている。
【0029】
プレート12の左壁には、支持軸18の上方及び下方において、組付部としての略長尺矩形板状の組付爪20が一体に設けられており、組付爪20は、右方に延出されている。上側及び下側の組付爪20は、支持軸18を中心として点対称な配置にされており、組付爪20は、上下方向に垂直に配置されている。組付爪20の先端部(右端部)には、台形柱状の組付突起20Aが一体に設けられており、組付突起20Aは、支持軸18側に突出されている。組付突起20Aの右面は、左方へ向かうに従い支持軸18側へ向かう方向に傾斜されており、組付突起20Aの左面は、左右方向に垂直に配置されている。
【0030】
プレート12の左壁には、支持軸18の前方において、規定機構22を構成する略矩形板状の規定板24が一体に設けられており、規定板24は、右方に延出されると共に、上下方向に垂直に配置されている。規定板24の右部には、規定部としての矩形板状の規定突起24Aが一体に設けられており、規定突起24Aは、後方に突出されている。規定板24には、規定突起24Aの左方において、解除部としての矩形状の解除孔24Bが形成されており、解除孔24Bは、規定板24を上下方向に貫通している。
【0031】
プレート12内の後部には、シフト体としての略矩形柱状のレバー26が設けられており、レバー26は、上下方向に長尺にされている。レバー26の下端部には、略円柱状の中心軸26Aが貫通かつ嵌合されており、中心軸26Aは、プレート12の左プレート12Aと右プレート12Bとに支持されている。中心軸26Aの軸方向は、左右方向にされており、レバー26は、中心軸26Aを中心として、前後方向に所定範囲で回動(移動)可能にされている。
【0032】
レバー26の上部は、プレート12の上壁及びコンソールに回動可能に貫通されており、レバー26は、上部において、車両の乗員(特に運転者)によって回動操作可能にされている。レバー26は、シフト位置(所定シフト位置)としてのH位置(ホーム位置)に配置されており、レバー26がH位置から前側に操作されて、レバー26がシフト位置としてのR位置(リバース位置)に配置されると共に、レバー26がH位置から後側に操作されて、レバー26がシフト位置としてのD位置(ドライブ位置)に配置される。
【0033】
レバー26の下端部には、略有底円筒状の付勢筒28が一体に設けられており、付勢筒28は、後方に突出されると共に、内部が後方に開放されている。付勢筒28内には、付勢機構14を構成する付勢部材としての略円柱状の付勢ピン30(節度ピン)が嵌入されており、付勢ピン30は、付勢筒28に沿って前後方向に移動可能にされると共に、後面(先端面)が球面状に突出されている。付勢筒28内の前面(底面)と付勢ピン30の前面(基端面)との間には、付勢部としてのスプリング(圧縮コイルスプリング、図示省略)が掛渡されており、スプリングは、付勢ピン30を後側に付勢している。付勢ピン30の後面は、スプリングの付勢力によりプレート12内の付勢面16の保持面16Aに接触されており、これにより、レバー26がH位置に保持(付勢)されている。レバー26がH位置から前側及び後側に操作される際には、スプリングの付勢力に抗して付勢ピン30の後面が付勢面16の保持面16Aから上下方向外側に移動される。レバー26がH位置から操作された状態で、レバー26への操作力の作用が解除された際には、スプリングの付勢力により付勢ピン30の後面が付勢面16の保持面16Aに移動されて、レバー26がH位置に回動(復帰)される。
【0034】
レバー26の下端部には、略矩形板状の第1ギア32(
図3(B)参照)が一体に設けられており、第1ギア32は、前方に突出されると共に、左右方向に垂直に配置されている。第1ギア32の前端には、複数の第1ギア歯32Aが形成されており、複数の第1ギア歯32Aは、中心軸26Aの周方向に沿って等間隔に並べられている。
【0035】
プレート12内には、レバー26の前側において、移動体としての略円筒状の回転体34(
図5及び
図6の(A)及び(B)参照)が設けられている。
【0036】
回転体34内には、左方からプレート12の支持軸18が同軸上に嵌入されており(
図3(B)及び
図4(A)参照)、回転体34は、支持軸18を中心として回転(移動)可能にされている。回転体34の左右方向中間部には、被組付部としての円環板状の組付板34Aが一体に設けられており、組付板34Aは、回転体34と同軸上に配置されている。回転体34内に支持軸18が嵌入される際には、組付板34Aがプレート12の組付爪20の組付突起20A右面に当接されて(
図4(B)参照)、組付爪20が回転体34とは反対側に弾性変形された後に、組付板34Aが組付突起20Aを通過されることで、組付爪20が回転体34側に弾性復元されて、組付突起20Aの左面が組付板34Aに当接(面接触)されると共に、回転体34がプレート12の左壁に当接(面接触)される。このため、組付板34Aの右方への移動が組付突起20Aによって規制されると共に、回転体34の左方への移動がプレート12の左壁によって規制されることで、回転体34の左右方向への移動が係止されて、回転体34がプレート12に組付けられている。
【0037】
回転体34の後側部分には、第2ギア36が一体に設けられており、第2ギア36は、組付板34Aの左側に配置されている。第2ギア36には、複数の第2ギア歯36Aが設けられており、複数の第2ギア歯36Aは、回転体34の周方向に沿って等間隔に並べられている。第2ギア歯36A間には、レバー26の第1ギア32の第1ギア歯32Aが挿入されており(第1ギア歯32A間に第2ギア歯36Aが挿入されてもよい)、これにより、第2ギア歯36Aが第1ギア歯32Aと噛合されて、第2ギア36が第1ギア32と連絡されることで、回転体34がレバー26と連絡されている。このため、レバー26が回動される際には、第1ギア32が回動されて、第2ギア36が回転されることで、回転体34が回転される。回転体34は、H回転位置(規定位置)に配置されており、レバー26がH位置からR位置に回動されて、回転体34がR回転位置に回転されると共に、レバー26がH位置からD位置に回動されて、回転体34がD回転位置に回転される。
【0038】
回転体34の左端部の前側部分には、上部及び下部において、規定機構22を構成する被規定部及び案内部としての略矩形板状の規定片38が一体に設けられており、規定片38は、右方へ向かうに従い回転体34の上下方向中央側へ向かう方向に傾斜されている。規定片38の右端部には、矩形状の規定面38Aが形成されており、上側及び下側の規定片38の規定面38Aは、上下方向に垂直に配置されると共に、上下方向において互いに対向されている。回転体34が回転される際には、規定片38がプレート12の規定板24の解除孔24Bを通過されて、回転体34の回転が許可される(
図4(A)参照)。回転体34内にプレート12の支持軸18が嵌入される途中(回転体34がプレート12に組付けられる途中)には、上側及び下側の規定面38A間に規定板24の規定突起24Aが嵌合されて(
図4(B)参照)、回転体34の回転位置がH回転位置に規定されると共に、第2ギア歯36A間の中央への第1ギア歯32Aの挿入(第2ギア歯36A間の中央への第1ギア歯32Aの挿入でもよい)が開始される。
【0039】
回転体34の右端部には、規制部としての略有底円筒状の規制筒40が同軸上に形成されており、規制筒40は、回転体34の規制筒40より左側の部分に対し拡径されると共に、内部が右方に開放されている。規制筒40の周壁は、前側かつ上下方向中央側の前周壁40Aと、後側かつ上側の上周壁40Bと、後側かつ下側の下周壁40Cと、に分割されており、上周壁40Bの前端面と下周壁40Cの前端面とは、前後方向に垂直に配置されると共に、互いに面一な配置にされている。
【0040】
回転体34の右部には、上部及び下部において、取付部としての略長尺矩形板状の取付爪42が一体に設けられており、取付爪42は、規制筒40より左側から右方に延出されている。取付爪42は、規制筒40の前周壁40Aと上周壁40Bとの間と、規制筒40の前周壁40Aと上周壁40Bとの間と、に配置されており、取付爪42は、上下方向に垂直に配置されている。取付爪42の先端部(右端部)には、台形柱状の取付突起42Aが一体に設けられており、取付突起42Aは、回転体34の中心軸線側に突出されている。取付突起42Aの右面は、左方へ向かうに従い回転体34の中心軸線側へ向かう方向に傾斜されており、取付突起42Aの左面は、左右方向に垂直に配置されている。
【0041】
回転体34の規制筒40内には、被検出部としての略円板状のマグネット44が同軸上に挿入されており、マグネット44は、規制筒40内に嵌合されて、径方向への移動を規制されている。マグネット44の左端部の上部及び下部には、被取付部としての略矩形柱状の取付柱44Aが一体に設けられており、上側及び下側の取付柱44Aは、それぞれ上方及び下方に突出されている。取付柱44Aは、前後方向に延在されており、取付柱44Aの左面は、マグネット44の左面と面一にされている。上側及び下側の取付柱44Aは、マグネット44の中心軸線を中心とした点対称な配置にされており、上側の取付柱44Aの上面及び下側の取付柱44Aの下面は、上下方向に垂直に配置されている。上側の取付柱44Aの後面及び下側の取付柱44Aの後面は、前後方向に垂直に配置されると共に、互いに面一な配置にされており、上側の取付柱44Aの後面及び下側の取付柱44Aの後面は、それぞれ規制筒40における上周壁40Bの前端面と下周壁40Cの前端面とに面接触されている。このため、マグネット44の周方向への移動(回転)が規制されている。
【0042】
規制筒40内にマグネット44が挿入される際には、取付柱44Aが回転体34の取付爪42の取付突起42A右面に当接されて、取付爪42がマグネット44とは反対側に弾性変形された後に、取付柱44Aが取付突起42Aを通過されることで、取付爪42がマグネット44側に弾性復元されて、取付突起42Aの左面が取付柱44Aに当接(面接触)されると共に、マグネット44が規制筒40内の左面(底面)に当接(面接触)される。このため、取付柱44Aの右方への移動が取付突起42Aによって規制されると共に、マグネット44の左方への移動が規制筒40内の左面によって規制されることで、マグネット44の軸方向(左右方向)への移動が規制されて、マグネット44が回転体34に取付けられている。
【0043】
このように、回転体34に対するマグネット44の径方向、周方向及び軸方向への移動が規制されることで、回転体34にマグネット44が位置決めされており、回転体34が回転される際には、マグネット44が回転体34と一体回転されて、マグネット44が発生する磁場の方向が回転される。
【0044】
プレート12内には、回転体34の右側において、検出機構としての略矩形板状の回路基板46(
図2(A)参照)が固定されており、回路基板46は、左右方向に垂直に配置されている。回路基板46の左面には、検出部としてのセンサ46A(
図2(B)参照)が設けられており、センサ46Aは、回転体34のマグネット44の右側に配置されている。センサ46Aは、マグネット44が発生する磁界の方向を検出して、回転体34の回転位置を検出する。回路基板46(センサ46A)は、車両の制御装置48に電気的に接続されており、制御装置48には、車両の変速機50(自動変速機)が電気的に接続されている(
図2(A)参照)。制御装置48では、回転体34(第2ギア36)がレバー26(第1ギア32)と連絡される前から、回転体34の回転位置(H回転位置、R回転位置及びD回転位置)が設定(記憶)されており、回転体34がH回転位置、R回転位置及びD回転位置に回転されことをセンサ46Aが検出した際には、それぞれレバー26がH位置、R位置及びD位置に回動されたことが制御装置48によって検出される。
【0045】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0046】
以上の構成のシフト装置10では、付勢機構14において、レバー26の付勢ピン30後面がスプリングの付勢力によりプレート12内の付勢面16の保持面16Aに接触されて、レバー26がH位置に保持(付勢)されており、レバー26がスプリングの付勢力に抗してH位置から前側及び後側に回動されて、それぞれレバー26がR位置及びD位置に配置される。
【0047】
また、回転体34(第2ギア36)がレバー26(第1ギア32)と連絡されており、レバー26が回動されて、回転体34が回転される。そして、回路基板46のセンサ46Aが回転体34(マグネット44)の回転位置を検出して、制御装置48によってレバー26のシフト位置が検出される。これにより、レバー26がR位置及びD位置に配置されたことが検出された際には、それぞれ、制御装置48の制御により変速機50のシフトレンジが対応するRレンジ(リバースレンジ)及びDレンジ(ドライブレンジ)に変更される。
【0048】
ところで、回転体34がプレート12に組付けられる際には、回転体34内にプレート12の支持軸18が嵌入されることで、回転体34の第2ギア36の第2ギア歯36Aがレバー26の第1ギア32の第1ギア歯32Aと噛合されて、回転体34(第2ギア36)がレバー26(第1ギア32)と連絡される。
【0049】
ここで、回転体34(第2ギア36)がレバー26(第1ギア32)と連絡される際には、付勢機構14によってレバー26がH位置に保持されており、規定機構22において、回転体34における上側及び下側の規定片38の規定面38A間にプレート12における規定板24の規定突起24Aが嵌合されて、回転体34の回転位置がH回転位置に規定される。このため、回転体34がレバー26と連絡されることで、回転体34の回転位置(H回転位置)とレバー26のシフト位置(H位置)とを対応させることができる。これにより、回転体34がレバー26と連絡された後にセンサ46Aが検出する回転体34の回転位置とレバー26のシフト位置とを対応させるキャリブレーション工程を不要にでき、シフト装置10の製造工程を簡単にできると共に、キャリブレーション工程のための設備を不要にできる。
【0050】
さらに、回転体34がレバー26と連絡された際には、回転体34の規定片38(規定面38A)間への規定板24の規定突起24Aの嵌合が解除されて、規定片38が規定板24の解除孔24Bを通過可能にされることで、回転体34が回転可能にされる。このため、レバー26を回動させて、回転体34を回転させることができる。
【0051】
また、上述の如く、付勢機構14がレバー26をH位置に付勢している。このため、付勢機構14がレバー26をH位置に保持する状態で、規定機構22が回転体34の回転位置をH回転位置に規定して、回転体34をレバー26と連絡することができる。これにより、レバー26をH位置に別途保持する必要をなくすことができ、回転体34の回転位置をレバー26のシフト位置と容易に対応させることができる。
【0052】
さらに、規定機構22が回転体34の回転位置をH回転位置に規定する前には、回転体34における上側又は下側の規定片38の左面が規定板24の規定突起24Aに当接されて、回転体34がH回転位置に回転(案内)されることで、上側及び下側の規定片38の規定面38A間に規定突起24Aが嵌合されて、回転体34の回転位置がH回転位置に規定される。このため、規定機構22が回転体34をH回転位置に容易に規定できる。
【0053】
また、規定機構22が回転体34をレバー26のシフト位置(H位置)に対応する回転位置(H回転位置)に規定することで、レバー26(第1ギア32)の第1ギア歯32Aが回転体34(第2ギア36)の第2ギア歯36A間の中央に配置される。このため、第1ギア歯32Aと第2ギア歯36Aとの間にバックラッシがある場合でも、回転体34の回転位置とレバー26のシフト位置との対応精度を高くできて、制御装置48によるレバー26のシフト位置の検出精度を高くできる。
【0054】
さらに、回転体34に対するマグネット44の径方向、周方向及び軸方向への移動が規制されて、回転体34にマグネット44が位置決めされている。このため、回転体34におけるマグネット44の位置精度を高くでき、センサ46Aが検出する回転体34の回転位置とレバー26のシフト位置との対応精度を高くできて、制御装置48によるレバー26のシフト位置の検出精度を高くできる。
【0055】
また、上述の如く、レバー26が回動されて、回転体34が回転される。このため、回転体34の移動スペースを小さくでき、シフト装置10を小型化できる。
【0056】
なお、本実施形態では、レバー26がH位置に付勢される。しかしながら、レバー26が複数のシフト位置に付勢されてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、レバー26(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体がスライド(移動)又は中心軸線周りに回転(移動)されてもよい。
【0058】
さらに、本実施形態では、回転体34(移動体)が中心軸線周りに回転される。しかしながら、移動体が回動(移動)又はスライド(移動)されてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、シフト装置10が車両のコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10が車両の他の部分(インストルメントパネル又はステアリングコラム等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10・・・シフト装置、14・・・付勢機構、22・・・規定機構、26・・・レバー(シフト体)、32A・・・第1ギア歯、34・・・回転体(移動体)、36A・・・第2ギア歯、44・・・マグネット(被検出部)、46・・・回路基板(検出機構)