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  • 特開-シフト装置 図1
  • 特開-シフト装置 図2
  • 特開-シフト装置 図3
  • 特開-シフト装置 図4
  • 特開-シフト装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155604
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070458
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴大
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AA04
3D040AB01
3D040AC01
3D040AC07
3D040AC17
3D040AC22
3D040AD04
3D040AD05
3D040AD15
(57)【要約】
【課題】シフト体の急停止音を低減すると共に、部品点数を削減する。
【解決手段】シフト装置10では、レバー16が支持筒18において回動可能に支持されている。ここで、支持筒18がレバー16に比し軟質にされており、支持筒18がレバー16回動径方向及びレバー16回動軸方向において支持されている。このため、レバー16の急停止音を低減できる。さらに、レバー16に支持筒18が一体成形されている。このため、部品点数を削減できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体と一体成形されると共に、前記シフト体に比し軟質にされ、前記シフト体回動径方向及び前記シフト体回動軸方向において支持されて前記シフト体が回動可能に支持される被支持部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記被支持部が前記シフト体回動軸方向における一部で前記シフト体回動径方向において支持される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記被支持部が前記シフト体回動軸方向における両端部で前記シフト体回動径方向において支持される請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記被支持部が前記シフト体回動周方向における一部で前記シフト体回動径方向において支持される請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
前記被支持部が前記シフト体の回動軸方向における両端間に連続して設けられる請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が被支持部において回動可能に支持されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフトレバー装置では、ベースの支持部に軸受ブッシュが組付けられており、シフトレバーが支軸においてベースの支持部及び軸受ブッシュに回動可能に支持される。
【0003】
ここで、このシフトレバー装置では、支軸がシフトレバー回動径方向において軸受ブッシュに支持される一方、シフトレバーの支軸周囲の部分がシフトレバー回動軸方向においてベースの支持部に支持される。さらに、シフトレバーとベースの支持部との間に軸受ブッシュが介在される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-273054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト体の急停止音を低減できると共に、部品点数を削減できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、回動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体と一体成形されると共に、前記シフト体に比し軟質にされ、前記シフト体回動径方向及び前記シフト体回動軸方向において支持されて前記シフト体が回動可能に支持される被支持部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記被支持部が前記シフト体回動軸方向における一部で前記シフト体回動径方向において支持される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第2態様のシフト装置において、前記被支持部が前記シフト体回動軸方向における両端部で前記シフト体回動径方向において支持される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記被支持部が前記シフト体回動周方向における一部で前記シフト体回動径方向において支持される。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記被支持部が前記シフト体の回動軸方向における両端間に連続して設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が回動されて、シフト位置が変更される。また、シフト体が被支持部において回動可能に支持される。
【0012】
ここで、被支持部がシフト体に比し軟質にされており、被支持部がシフト体回動径方向及びシフト体回動軸方向において支持される。このため、シフト体が急停止される際のシフト体への衝撃を被支持部によって適切に吸収でき、シフト体の急停止音を低減できる。
【0013】
さらに、被支持部がシフト体と一体成形される。このため、部品点数を削減できる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、被支持部がシフト体回動軸方向における一部でシフト体回動径方向において支持される。このため、被支持部の寸法精度をシフト体回動軸方向における全体で高くする場合とは異なり、被支持部の寸法精度をシフト体回動軸方向における一部で容易に高くでき、シフト体の支持精度を高くできる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、被支持部がシフト体回動軸方向における両端部でシフト体回動径方向において支持される。このため、被支持部の寸法精度をシフト体回動軸方向における両端部で容易に高くでき、シフト体の支持精度を効果的に高くできる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、被支持部がシフト体回動周方向における一部でシフト体回動径方向において支持される。このため、被支持部の寸法精度をシフト体回動周方向における全体で高くする場合とは異なり、被支持部の寸法精度をシフト体回動周方向における一部で容易に高くでき、シフト体の支持精度を高くできる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、被支持部がシフト体の回動軸方向における両端間に連続して設けられる。このため、シフト体に被支持部を容易に一体成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置を示す右斜め後方から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置の内部を示す右斜め後方から見た斜視図である。
図3】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置を示す図であり、(A)は、右方から見た側面図であり、(B)は、後方から見た断面図((A)の3B-3B線断面図)である。
図4】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のレバーを示す図であり、(A)は、右斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、左斜め前方から見た斜視図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のレバーを示す右斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、当該レバーの支持筒を除く部分を示す右斜め前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が右斜め後方から見た斜視図にて示されており、図2には、シフト装置10の内部が右斜め後方から見た斜視図にて示されている。さらに、図3(A)には、シフト装置10が右方から見た側面図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0020】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に設置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられている。
【0021】
図1図2及び図3(A)に示す如く、シフト装置10には、支持体としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されている。プレート12は、左側の左プレート12Aと右側の右プレート12Bとが左右方向において組付けられて、構成されており、プレート12の材料は、ガラス繊維強化ナイロン(PA-GF樹脂)にされている。
【0022】
プレート12内には、後部の上下方向中間部において、径支持部としての略円筒状の中心軸14(図3(B)参照)が設けられており、中心軸14は、プレート12(左プレート12A)の左壁と一体形成されて、右方に突出されている。中心軸14の左端部は、左軸部14Aにされると共に、中心軸14の左軸部14Aと右端部との間は、右軸部14Bにされており、左軸部14Aの外径は、右軸部14Bの外径に比し大きくされている。また、中心軸14の右端部の外径は、右軸部14Bの外径に比し小さくされている。プレート12の左壁は、中心軸14の周囲において、軸支持部としての支持壁12Cにされており、支持壁12Cの右面(内面)は、平面状にされている。
【0023】
プレート12(右プレート12B)の右壁左面(内面)には、後部の上下方向中間部において、円柱状の支持孔12D(図3(B)参照)が形成されており、支持孔12Dは、左方に開放されている。支持孔12Dには、中心軸14の右端部が嵌合されており、支持孔12Dの周面及び右面(底面)は、中心軸14の右端部を支持している。プレート12の右壁左面には、支持孔12Dの周囲において、軸支持部としての円環状の支持リブ12Eが一体形成されており、支持リブ12Eは、支持孔12Dと同軸上に配置されると共に、左方に突出されている。支持リブ12Eは、断面半円状にされており、支持リブ12Eの左側面は、支持リブ12Eの径方向において、左側に凸状に湾曲されている。
【0024】
プレート12内の後部には、シフト体としての略矩形柱状のレバー16(図4(A)参照)が収容されており、レバー16は、上下方向に長尺にされている。レバー16の上下方向中間部には、略正八角形柱状の貫通孔16A(図5(B)参照)が形成されており、貫通孔16Aは、レバー16を左右方向に貫通している。
【0025】
レバー16には、貫通孔16Aの周囲において、被支持部としての略正八角形筒状の支持筒18(図3(B)、図4(B)及び図5(A)参照)がインサート成形により一体成形されている。レバー16の材料は、ガラス繊維強化ナイロン(PA-GF樹脂)にされると共に、支持筒18の材料は、ポリオキシメチレン(POM樹脂)にされており、支持筒18は、レバー16及びプレート12に比し軟質にされている。
【0026】
支持筒18には、径被支持部としての正八角形筒状の筒部20が設けられており、筒部20は、貫通孔16Aの内周面全体を被覆すると共に、レバー16の左側及び右側に突出されている。筒部20の内周面の左端部と右端部とは、それぞれ左周面20Aと右周面20Bとにされており、左周面20Aの径は、右周面20Bの径に比し大きくされている。筒部20の内周面の左周面20Aと右周面20Bとの間の部分は、中周面20Cにされており、中周面20Cの径は、左周面20Aの径に比し小さくされると共に、右周面20Bの径に比し大きくされている。
【0027】
筒部20内には、プレート12の中心軸14が挿入されている。左周面20A及び右周面20Bには、それぞれ中心軸14の左軸部14A及び右軸部14Bが内接されており、左周面20A及び右周面20Bの各側面の支持筒18周方向中央には、それぞれ左軸部14A及び右軸部14Bが接触されている。また、中周面20Cには、中心軸14が接触されていない。このため、左周面20A及び右周面20Bは、それぞれ左軸部14A及び右軸部14Bによってレバー16の回動径方向において支持されており、レバー16は、左周面20A及び右周面20Bにおいて、中心軸14によって前後方向へ回動可能に支持されている。
【0028】
支持筒18の左端及び右端には、それぞれ軸被支持部としての環板状の左板部22及び右板部24が同軸上に設けられており、左板部22及び右板部24は、それぞれレバー16の左面及び右面の貫通孔16A周囲を被覆している。左板部22及び右板部24の内周面は、それぞれ左周面20A及び右周面20Bを構成しており、左板部22及び右板部24の外周面は、円周面にされている。左板部22及び右板部24は、それぞれプレート12左壁の支持壁12C及びプレート12右壁の支持リブ12Eに接触されており、左板部22及び右板部24は、それぞれ支持壁12C及び支持リブ12Eによってレバー16の回動軸方向(左右方向)において支持されている。
【0029】
レバー16は、プレート12の上壁及びコンソールに所定範囲で回動可能に貫通されており、レバー16の上部は、車室内に突出されている。レバー16の上部は、把持部としての略直方体状のノブ16Bにされており、レバー16は、車両の乗員(特に運転者)によってノブ16Bが把持されて、回動操作可能にされている。レバー16は、シフト位置としてのH位置(ホーム位置)に配置されており、レバー16がH位置から前側に操作されて、レバー16がシフト位置としてのR位置(リバース位置)に配置されると共に、レバー16がH位置から後側に操作されて、レバー16がシフト位置としてのD位置(ドライブ位置)に配置される。
【0030】
レバー16の下部には、略円柱状の付勢孔16C(図4(A)参照)が形成されており、付勢孔16Cは、前斜め下方に開放されている。付勢孔16Cには、付勢機構26(節度機構)を構成する付勢部材としての略円柱状の付勢ピン28(節度ピン)が同軸上に嵌入されており、付勢ピン28は、下側に付勢されると共に、先端面(下側面)が球面状に突出されている。
【0031】
プレート12内の後部の下端部には、付勢機構26を構成する断面略L字状の付勢面30(節度面、図3(B)参照)が設けられており、付勢面30の前側部は、前方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されると共に、付勢面30の後側部は、後方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。付勢面30の中間部(前側部と後側部との間の部分)は、前後方向において凹状にされており、付勢面30の中間部に付勢ピン28の先端面が付勢力により接触されて、レバー16がH位置に付勢(保持)されている。レバー16がH位置から操作された際には、付勢ピン28の先端面が付勢力に抗して付勢面30の中間部から前側部又は後側部に移動される。レバー16がH位置から操作された状態で、レバー16への操作力の作用が解除された際には、付勢ピン28の先端面が付勢力により付勢面30の前側部又は後側部から中間部に移動されて、レバー16がH位置に回動(復帰)される。
【0032】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0033】
以上の構成のシフト装置10では、レバー16が支持筒18において回動可能に支持されている。
【0034】
ところで、レバー16がH位置から操作された状態で、レバー16への操作力の作用が解除された際には、プレート12の付勢面30の前側部又は後側部からの付勢ピン28の付勢力による移動が付勢面30の中間部によって停止されることで、レバー16の回動がH位置において急停止される。
【0035】
ここで、支持筒18がレバー16に比し軟質にされており、支持筒18の筒部20がプレート12の中心軸14によってレバー16回動径方向において支持されるのみならず、支持筒18の左板部22及び右板部24がそれぞれプレート12の支持壁12C及び支持リブ12Eによってレバー16回動軸方向(左右方向)において支持されている。このため、レバー16の回動がH位置において急停止される際のレバー16への衝撃を支持筒18(筒部20、左板部22及び右板部24)によって適切に吸収でき、レバー16の急停止音を低減できると共に、レバー16(支持筒18を含む)の摩耗を低減できる。
【0036】
さらに、レバー16に支持筒18が一体成形されている。このため、レバー16とプレート12との間に別体部品が介在されないため、部品点数を削減できる。
【0037】
また、支持筒18がレバー16回動軸方向における一部(筒部20の左周面20A及び右周面20B)で中心軸14によってレバー16回動径方向において支持されており、筒部20の中周面20Cは中心軸14によってレバー16回動径方向において支持されていない。このため、支持筒18の内周面の寸法精度をレバー16回動軸方向における全体で高くする場合とは異なり、支持筒18の内周面の寸法精度をレバー16回動軸方向における一部(左周面20A及び右周面20B)で容易に高くでき、レバー16の回動径方向における支持精度を高くできる。
【0038】
さらに、支持筒18がレバー16回動軸方向における両端部(左周面20A及び右周面20B)で中心軸14によってレバー16回動径方向において支持されている。このため、支持筒18の内周面の寸法精度をレバー16回動軸方向における両端部(左周面20A及び右周面20B)で容易に高くでき、レバー16の回動径方向における支持精度を効果的に高くできる。
【0039】
また、支持筒18の内周面(左周面20A及び右周面20B)に中心軸14が内接されており、支持筒18がレバー16回動周方向における一部で中心軸14によってレバー16回動径方向において支持されている。このため、支持筒18の寸法精度をレバー16回動周方向における全体で高くする場合とは異なり、支持筒18の寸法精度をレバー16回動周方向における一部で容易に高くでき、レバー16の回動径方向における支持精度を高くできる。
【0040】
さらに、支持筒18がレバー16の回動軸方向における両端間に連続して設けられている。このため、支持筒18がレバー16の左側と右側とに分割される場合とは異なり、レバー16に支持筒18をインサート成形により容易に一体成形できる。
【0041】
なお、本実施形態では、プレート12に中心軸14が設けられて、レバー16の支持筒18(被支持部)が中心軸14に支持される。しかしながら、レバー16に中心軸14が設けられて、中心軸14がプレート12に支持されてもよい。この場合、レバー16における中心軸14の周囲に被支持部が設けられる。
【0042】
さらに、本実施形態では、レバー16がH位置に付勢される。しかしながら、レバー16が複数のシフト位置に付勢されてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、シフト装置10が車両のコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10が車両の他の部分(インストルメントパネル又はステアリングコラム等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10・・・シフト装置、16・・・レバー(シフト体)、18・・・支持筒(被支持部)
図1
図2
図3
図4
図5