(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155614
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20241024BHJP
G05G 1/10 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60K20/02 G
B60K20/02 A
G05G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070477
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 宙樹
【テーマコード(参考)】
3D040
3J070
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA03
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC17
3D040AC21
3D040AC65
3J070AA03
3J070BA66
3J070BA71
3J070CE01
3J070DA02
(57)【要約】
【課題】シフト装置の強度を向上させる。
【解決手段】シフト装置10は、第1ケース20と第2ケース30とが嵌合して形成される筐体12と、第1ケース20に設けられ、第2ケース30に向けて突出する回動軸21と、回動軸21に対して回動可能な操作ロッド43を有するシフト体40と、第2ケース30に設けられ、回動軸21の先端を保持し、第1ケース20と共に、回動軸21を両持ち梁状に保持する保持部31と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと第2ケースとが嵌合して形成される筐体と、
前記第1ケースに設けられ、前記第2ケースに向けて突出する回動軸と、
前記回動軸に対して回動可能な操作ロッドを有するシフト体と、
前記第2ケースに設けられ、前記回動軸の先端を保持し、前記第1ケースと共に、前記回動軸を両持ち梁状に保持する保持部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記回動軸は、前記第1ケースに対する前記第2ケースの位置決めをする位置決めピンとして機能する
請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記回動軸は、外周面に段差を有した段付き軸状に形成されている
請求項1に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記回動軸の先端が挿入可能な環状ボスである
請求項1に記載のシフト装置。
【請求項5】
前記第1ケース及び前記第2ケースは、長手方向において、前記回動軸が設けられた側とは反対側に、前記第1ケースに対する前記第2ケースの回転を規制する回転規制部を備えている。
請求項1に記載のシフト装置。
【請求項6】
前記回動軸の外周面には、前記保持部の回転が規制される第2回転規制部が設けられている
請求項1に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回動軸に対して回動可能な操作ロッドが筐体内に設けられたシフト装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、前プレートと後プレートに支持されたシャフトに、レバーが支持されているシフト装置が開示されている。
【0004】
ところで、このようなシフト装置では、強度を向上させることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト装置の強度を向上させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様のシフト装置は、第1ケースと第2ケースとが嵌合して形成される筐体と、前記第1ケースに設けられ、前記第2ケースに向けて突出する回動軸と、前記回動軸に対して回動可能な操作ロッドを有するシフト体と、前記第2ケースに設けられ、前記回動軸の先端を保持し、前記第1ケースと共に、前記回動軸を両持ち梁状に保持する保持部と、を備える。
【0008】
本発明の第2態様のシフト装置では、本発明の第1態様のシフト装置において、前記回動軸は、前記第1ケースに対する前記第2ケースの位置決めをする位置決めピンとして機能する。
【0009】
本発明の第3態様のシフト装置では、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記回動軸は、外周面に段差を有した段付き軸状に形成されている。
【0010】
本発明の第4態様のシフト装置では、本発明の第1態様から第3態様のいずれか1つのシフト装置において、前記保持部は、前記回動軸の先端が挿入可能な環状ボスである。
【0011】
本発明の第5態様のシフト装置では、本発明の第1態様から第4態様のいずれか1つのシフト装置において、前記第1ケース及び前記第2ケースは、長手方向において、前記回動軸が設けられた側とは反対側に、前記第1ケースに対する前記第2ケースの回転を規制する回転規制部を備えている。
【0012】
本発明の第6態様のシフト装置では、本発明の第1態様から第5態様のいずれか1つのシフト装置において、前記回動軸の外周面には、前記保持部の回転が規制される第2回転規制部が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1態様のシフト装置では、第2ケースに設けられ、回動軸の先端を保持し、第1ケースと共に、回動軸を両持ち梁状に保持する保持部を備えることで、回動軸が両持ち梁状に保持される。そのため、操作ロッドに荷重が加わる初期段階から、回動軸が両持ち梁状に保持される。その結果、シフト装置の強度を向上させることができる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、回動軸は、第1ケースに対する第2ケースの位置決めをする位置決めピンとして機能することで、回動軸と位置決めピンを兼用することができる。そのため、位置決めピンのスペースと、回動軸のスペースの両方を確保しないで済む。その結果、シフト装置の小型化を図ることができる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、回動軸は、外周面に段差を有した段付き軸状に形成されていることで、回動軸を形成する金型も段差を有した形状とされる。そのため、回動軸の外周面を微調整する際に、金型の一部を調整することで対応することができる。その結果、回動軸の外周面の微調整を容易にすることができる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、保持部は、回動軸の先端が挿入可能な環状ボスであることで、回動軸は、環状ボスに挿入されて支持される。そのため、保持部の天面を操作ロッドが摺動する摺動面とすることができる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、第1ケース及び第2ケースは、長手方向において、回動軸が設けられた側とは反対側に、第1ケースに対する第2ケースの回転を規制する回転規制部を備えていることで、第1ケースは、第2ケースに対して、回動軸と回転規制部とによって、位置決めがされる。そのため、簡易な構成で、第1ケースを第2ケースに対して位置決めすることができる。
【0018】
本発明の第6態様のシフト装置では、回動軸の外周面には、保持部の回転が規制される第2回転規制部が設けられていることで、第1ケースは、第2ケースに対して、回転が規制される。そのため、回動軸は、第1ケースに対する第2ケースの位置決めと、第1ケースに対する第2ケースの回転止めとを兼用することができる。その結果、シフト装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係るシフト装置を示す分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るシフト装置を概略的に示す断面図であり、
図1のA-A断面を示す。
【
図3】第1実施形態に係るシフト装置を示す断面図であり、
図1のB-B断面を示す。
【
図4】第1実施形態に係るシフト装置を概略的に示す示す断面図であり、
図1のC-C断面を示す。
【
図5】第1実施形態に係るシフト装置を概略的に示す断面図であり、操作ロッドが前方に傾倒した状態を示す。
【
図6】第2実施形態に係るシフト装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係るシフト装置について、図面を参照して説明する。第1実施形態では、シフト装置10を、シフトバイワイヤ式の車両用シフト装置とする例を説明する。なお、各図において、矢印Dは、シフト装置の上下方向Dを示し、矢印Eは、シフト装置の前後方向(長手方向)Eを示し、矢印Fは、シフト装置の幅方向Fを示している。
【0021】
[シフト装置の構成]
シフト装置10は、例えば、車室内の運転席と助手席の間に設けられたセンターコンソールに配置されている。運転席に着座したドライバがシフト装置10を操作することで、シフトポジションを切り替え可能となっている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、シフト装置10は、筐体12と、シフト体40と、付勢機構50と、ポジション検出機構60と、センサ基板70と、を備えている。
【0023】
(筐体12)
筐体12は、前後方向Eに延在した矩形の箱状に形成されている。筐体12の前後方向Eの後方上部には、上方に開口した開口部12Aが形成されている。筐体12の開口部12Aから、シフト体40のノブ46が、筐体12の外部に突出している。
【0024】
図1に示すように、筐体12の内側には、シフト体40の一部と、付勢機構50と、ポジション検出機構60と、センサ基板70と、が設けられている。
【0025】
(シフト体40)
図4に示すように、シフト体40は、本体部41と、ノブ46と、を備えている。
【0026】
<本体部41>
本体部41は、軸体42と、軸体42から上方に突出するように設けられた操作ロッド43と、軸体42から後方に突出するように設けられた第1突出部44と、軸体42から前方に突出するように設けられた第2突出部45と、を備えている。
【0027】
≪軸体42≫
軸体42は、幅方向Fに延在した略円筒状に形成されている。軸体42は、幅方向Fに貫通して貫通孔42Cが形成されている。軸体42は、筐体12に取り付けられた回動軸21(
図2参照)に対して、回動可能に構成されている。これにより、操作ロッド43は、回動軸21に対して、回動可能となっている。
【0028】
≪操作ロッド43≫
操作ロッド43は、軸体42から上方に延在した断面略矩形の柱状に形成されている。操作ロッド43は、筐体12の開口部12Aを貫通している。操作ロッド43の先端には、ノブ46が設けられており、ノブ46が、筐体12の外部に露出している。
【0029】
≪第1突出部44≫
図2及び
図4に示すように、第1突出部44は、軸体42から後方に延在した断面矩形の柱状に形成されている。第1突出部44の先端面(後端面)には、前後方向Eに延在し、底面を有する底付穴44Aが形成されている。底付穴44Aには、節度ピン51と、節度スプリング(圧縮コイルバネ)52と、が挿入されている。
【0030】
節度ピン51は、先端面(後端面)が球面状に形成され、節度スプリング52によって、第1突出部44の先端面から突出する方向に付勢されている。
【0031】
筐体12には、節度ピン51の先端面が当接する当接部材53が取り付けられている。当接部材53には、第1当接穴53Aと、第1当接穴53Aの上方に設けられた第2当接穴53Bと、第1当接穴53Aの下方に設けられた第3当接穴53Cと、が設けられている。
【0032】
第1当接穴53Aと第2当接穴53Bとの間、及び第1当接穴53Aと第3当接穴53Cとの間には、前方に突出するように形成された節度山53Dが形成されている。
【0033】
節度ピン51と、節度スプリング52と、当接部材53とは、操作ロッド43の操作に節度感を与える付勢機構50を構成する。
【0034】
≪第2突出部45≫
図2及び
図4に示すように、第2突出部45は、軸体42から前方に延在した断面矩形の柱状に形成されている。第2突出部45の先端面(前端面)には、複数の歯を有するギヤ45Aが形成されている。
【0035】
筐体12には、回転体としての磁石61を回転可能に保持するホルダ63が取り付けられている。磁石61は、例えば、円柱状に形成され、周方向において、異なる磁極が着磁されている。磁石61には、複数の歯を有するギヤ62が取り付けられている。第2突出部45のギヤ45Aは、磁石61に取り付けられたギヤ62に噛み合っており、操作ロッド43が操作されると、ギヤ45Aからギヤ62に動力が伝達され、磁石61が回転するようになっている。
【0036】
<センサ基板70>
図2に示すように、センサ基板70は、磁石61の幅方向Fの右側に配置されて、筐体12に取り付けられている。センサ基板70は、幅方向Fを板厚方向とし、前後方向Eに延在した略矩形の板状に形成されている。
【0037】
センサ基板70には、センサとしての磁気センサ71が設けられている。磁気センサ71は、磁石61による磁界の方向を検出することで、操作ロッド43のシフトポジションを検出するようになっている。
【0038】
ギヤ45Aと、磁石61と、ギヤ62と、磁気センサ71とは、操作ロッド43のシフトポジションを検出するポジション検出機構60を構成する。
【0039】
[筐体12の詳細構成]
図1に示すように、筐体12は、第1ケース20と第2ケース30とが嵌合して形成されている。
【0040】
(第1ケース)
第1ケース20は、幅方向Fの右側に開放した矩形の箱状に形成されている。第1ケース20は、例えば、射出成型によって形成される。第1ケース20は、回動軸21と、回転規制部14としての突起部28と、取付ボス29と、を備えている。
【0041】
<回動軸21>
図2及び
図3に示すように、回動軸21は、前後方向Eにおいて、第1ケース20の後側に配置されている。回動軸21は、上下方向Dにおいて、第1ケース20の中央付近に配置されている。
【0042】
回動軸21は、幅方向Fの右側に向けて突出した略円筒状に形成されている。回動軸21は、外周面に段差を有した段付き軸状に形成されている。回動軸21は、基部22と、第1軸部23と、第2軸部24と、第3軸部25と、先端部26とを備えている。
【0043】
基部22は、第1ケース20の底面から幅方向Fの右側に向けて突出した略円筒状に形成されている。基部22の外径は、軸体42の外径より小さく形成されている。基部22の幅方向Fの右側の天面22Aは、軸体42の幅方向Fの左側の側面42Bと摺動する摺動面を構成する。
【0044】
第1軸部23は、基部22から幅方向Fの右側に向けて突出した略円筒状に形成されている。第1軸部23の外径は、基部22の外径より小さく形成されている。第1軸部23の外周面は、軸体42の内周面と摺動する摺動面を構成する。
【0045】
第2軸部24は、第1軸部23から幅方向Fの右側に向けて突出した略円筒状に形成されている。第2軸部24の外径は、第1軸部23の外径より小さく形成されている。
【0046】
第3軸部25は、第2軸部24から幅方向Fの右側に向けて突出した略円筒状に形成されている。第3軸部25の外径は、第2軸部24の外径より小さく形成されている。第3軸部25の外周面は、軸体42の内周面と摺動する摺動面を構成する。
【0047】
先端部26は、第3軸部25から幅方向Fの右側に向けて突出した略円筒状に形成されている。先端部26の外径は、第3軸部25の外径より小さく形成されている。先端部26の内周面は、先端側に向かうにしたがって、内径が拡径した斜面(テーパ面)となっている。先端部26の外周面は、第2ケース30に設けられた保持部31に保持されている。
【0048】
<突起部28>
図1及び
図2に示すように、突起部28は、前後方向Eにおいて、第1ケース20の前側の側壁に設けられている。突起部28は、幅方向Fにおいて、第1ケース20の前側の側壁の右端に設けられている。突起部28は、前後方向Eにおいて、回動軸21が設けられた側とは反対側に、設けられている。
【0049】
(取付ボス29)
図1に示すように、取付ボス29は、前後方向Eにおいて、第1ケース20の後側に2つ配置されている。取付ボス29は、開口部12Aを跨いで、前側と後側に配置されている。取付ボス29は、第1ケース20の底面から幅方向Fの右側に向けて突出して設けられている。取付ボス29に、ビスSが取り付けられることで、第2ケース30が第1ケース20に取り付けられるようになっている。
【0050】
(第2ケース30)
図1に示すように、第2ケース30は、幅方向Fを板厚方向とした略矩形の板状に形成されている。第2ケース30は、例えば、射出成型によって形成される。第2ケース30は、保持部31と、回転規制部14としての切欠き部32を備えている。
【0051】
<保持部31>
図2及び
図3に示すように、保持部31は、回動軸21の先端部26と対向する位置に設けられている。保持部31は、第2ケース30から幅方向Fの左側に向けて突出して設けられている。保持部31は、回動軸21の先端部26が挿入可能な円筒状の環状ボスとして形成されている。保持部31の幅方向Fの左側の天面31Bは、軸体42の幅方向Fの右側の側面42Aと摺動する摺動面を構成する。
【0052】
保持部31の内周面31Aの内径は、先端部26の外径と略同じに形成されている。なお、保持部31の内周面31Aの内径は、先端部26の外径より若干小さく形成されてもよい。保持部31には、先端部26が圧入されて、回動軸21が保持されるようになっている。これにより、回動軸21は、第1ケース20及び第2ケース30の保持部31によって、両持ち梁状に保持される。
【0053】
回動軸21及び保持部31は、第1ケース20を第2ケース30に嵌合して筐体12を組み立てる際の主基準として機能する。すなわち、回動軸21は、第1ケース20に対する第2ケース30の位置決めをする位置決めピンとして機能する。
【0054】
<切欠き部32>
図2及び
図4に示すように、切欠き部32は、前後方向Eにおいて、第2ケース30の前側に、突起部28と対向するように設けられている。切欠き部32は、突起部28に嵌合することで、第2ケース30は、第1ケース20に対して、回動軸21を中心軸とする回転が規制されるようになっている。
【0055】
突起部28及び切欠き部32は、第1ケース20を第2ケース30に嵌合して筐体12を組み立てる際の副基準として機能する。
【0056】
[筐体12の組立方法]
まず、シフト体40の軸体42の貫通孔42Cに、第1ケース20の回動軸21を挿入して、第1ケース20にシフト体40を収容する。この際、第1ケース20に、付勢機構50、ポジション検出機構60、及びセンサ基板70も収容する。
【0057】
次に、第1ケース20の回動軸21の先端部26を、第2ケース30の保持部31に圧入する。これにより、第2ケース30は、第1ケース20に対して、上下方向D、前後方向E、幅方向Fにおいて規制される。言い換えると、第2ケース30は、回動軸21を中心軸として回転する移動以外の移動が規制される。
【0058】
次に、第2ケース30を、回動軸21を中心軸として回転させて、第2ケース30の切欠き部32を第1ケース20の突起部28に嵌合させる。これにより、第2ケース30は、第1ケース20に対して、全方向の移動が規制される。
【0059】
次に、ビスSを、第2ケース30に設けられた貫通孔を介して、第1ケース20の取付ボス29に取り付ける。これにより、シフト装置10が組み立てられる。
【0060】
[シフト装置10の動作]
図4に示すように、操作ロッド43がホームポジションにある状態では、節度ピン51は、節度スプリング52の付勢力により節度ピン51の先端面が、第1当接穴53Aに嵌合されている。
【0061】
図5に示すように、ノブ46が操作されて、操作ロッド43がホームポジションから前方に傾倒した際には、第1突出部44は、回動軸21を回転中心として、上方に回転する。この際、節度ピン51は、節度山53Dを乗り越えて、第2当接穴53Bに移動する。節度ピン51が節度山53Dを乗り越えることで、ノブ46の操作者は、節度感を得ることができる。
【0062】
また、ノブ46が操作されて、操作ロッド43がホームポジションから前方に傾倒した際には、第2突出部45は、回動軸21を回転中心として、下方に回転する。この際、第2突出部45の下方への動力は、第2突出部45のギヤ45Aと、ギヤ62に伝達され、磁石61が回転する。そして、磁気センサ71は、磁石61による磁界の方向を検出することで、操作ロッド43のシフトポジションを検出する。
【0063】
ノブ46から手を離すと、第1突出部44は、節度スプリング52の付勢力により、回動軸21を回転中心として、第2当接穴53Bから第1当接穴53Aに移動して、操作ロッド43は、前方に傾倒した状態からホームポジションに復帰する。
【0064】
[作用]
第1実施形態のシフト装置10は、第1ケース20と第2ケース30とが嵌合して形成される筐体12と、第1ケース20に設けられ、第2ケース30に向けて突出する回動軸21と、回動軸21に対して回動可能な操作ロッド43を有するシフト体40と、第2ケース30に設けられ、回動軸21の先端を保持し、第1ケース20と共に、回動軸21を両持ち梁状に保持する保持部31と、を備える(
図3参照)。
【0065】
第2ケース30に設けられ、回動軸21の先端を保持し、第1ケース20と共に、回動軸21を両持ち梁状に保持する保持部31を備えることで、回動軸21が両持ち梁状に保持される。そのため、操作ロッド43に荷重が加わる初期段階から、回動軸21が両持ち梁状に保持される。その結果、シフト装置10の強度を向上させることができる。
【0066】
ところで、従来のシフト装置10は、回動軸21とは別に、第1ケース20に対して第2ケース30を位置決めする位置決めピンが設けられていた。この場合、位置決めピンのスペースと、回動軸21のスペースを確保する必要があり、シフト装置10を小型化できない可能性があった。
【0067】
第1実施形態のシフト装置10では、回動軸21は、第1ケース20に対する第2ケース30の位置決めをする位置決めピンとして機能する(
図3参照)。
【0068】
回動軸21は、第1ケース20に対する第2ケース30の位置決めをする位置決めピンとして機能することで、回動軸21と位置決めピンを兼用することができる。そのため、位置決めピンのスペースと、回動軸21のスペースの両方を確保しないで済む。その結果、シフト装置10の小型化を図ることができる。また、回動軸21と位置決めピンを兼用することで、操作ロッド43と筐体12の位置バラツキを抑制することができる。
【0069】
第1実施形態のシフト装置10では、回動軸21は、外周面に段差を有した段付き軸状に形成されている(
図3参照)。
【0070】
回動軸21は、外周面に段差を有した段付き軸状に形成されていることで、回動軸21を形成する金型も段差を有した形状とされる。そのため、回動軸21の外周面を微調整する際に、金型の一部を調整することで対応することができる。その結果、回動軸21の外周面の微調整を容易にすることができる。
【0071】
第1実施形態のシフト装置10では、保持部31は、回動軸21の先端が挿入可能な環状ボスである(
図3参照)。
【0072】
保持部31は、回動軸21の先端が挿入可能な環状ボスであることで、回動軸21は、環状ボスに挿入されて保持される。そのため、保持部31の天面31Bを操作ロッド43が摺動する摺動面とすることができる。
【0073】
第1実施形態のシフト装置10では、第1ケース20及び第2ケース30は、前後方向Eにおいて、回動軸21が設けられた側とは反対側に、第1ケース20に対する第2ケース30の回転を規制する回転規制部14を備えている(
図4参照)。
【0074】
第1ケース20及び第2ケース30は、前後方向Eにおいて、回動軸21が設けられた側とは反対側に、第1ケース20に対する第2ケース30の回転を規制する回転規制部14を備えていることで、第1ケース20は、第2ケース30に対して、回動軸21と回転規制部14とによって、位置決めがされる。そのため、簡易な構成で、第1ケース20を第2ケース30に対して位置決めすることができる。
【0075】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のシフト装置は、回動軸の構成が異なる点で、第1実施形態のシフト装置と相違する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同様の用語又は同様の符号を用いて説明する。
【0076】
図6に示すように、第2実施形態の回動軸121の先端部126は、断面D字状に形成されている。保持部131は、回動軸121の先端部126と対向する位置に設けられている。保持部131は、回動軸121の先端部126が挿入可能な断面D字の筒状に形成されている。
【0077】
回動軸121及び保持部131は、第1ケース20を第2ケース30に嵌合して筐体12を形成する際の基準として機能する。すなわち、回動軸121及び保持部131は、第1ケース20に対する第2ケース30の位置決めをする位置決めピンとして機能するとともに、第2ケース30が、第1ケース20に対して、回動軸121を中心軸として回転が規制されるように機能する。
【0078】
このため、第2実施形態のシフト装置10は、第1実施形態の回転規制部14を設けなくてもよい。
【0079】
回動軸121及び保持部131は、第1ケース20に対して第2ケース30の回転が規制される第2回転規制部を構成する。
【0080】
[作用]
第2実施形態のシフト装置10では、回動軸121の先端部126は、保持部131の回転が規制されるように、断面D字状に形成されている(
図6参照)。
【0081】
回動軸121の先端部126は、保持部131の回転が規制されるように、断面D字状に形成されていることで、第2ケース30は、第1ケース20に対して、回転が規制される。そのため、回動軸121は、第1ケース20に対する第2ケース30の位置決めと、第1ケース20に対する第2ケース30の回転止めとを兼用することができる。その結果、シフト装置10の小型化を図ることができる。
【0082】
なお、他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0083】
以上、シフト装置を、第1実施形態及び第2実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0084】
第1実施形態及び第2実施形態では、回動軸を筒状に形成された保持部の内側に圧入する例を示した。しかし、柱状に形成された保持部を、筒状に形成された回動軸の内側に圧入するようにしてもよい。
【0085】
第2実施形態では、先端部126及び保持部131は、断面D字状に形成されている例を示した。しかし、先端部及び保持部の形状は、この態様に限定されるものではなく、断面多角形状に形成されてもよい。
【0086】
上記実施形態では、シフト装置10は、センターコンソールに配置されている例を示した。しかし、シフト装置は、インストルメントパネル、コラムカバー、ドアトリムその他の車室内の部品に配置することができる。
【符号の説明】
【0087】
10・・・シフト装置、12・・・筐体、14・・・回転規制部、20・・・第1ケース、21・・・回動軸、30・・・第2ケース、31・・・保持部、40・・・シフト体、43・・・操作ロッド