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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155620
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】活性光線照射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 129
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070486
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】596117773
【氏名又は名称】株式会社トライテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢代 浩一
(72)【発明者】
【氏名】猪爪 崇敬
(72)【発明者】
【氏名】木戸 甫
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA29
2C056HA44
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】開口部がある状態でも適切な不活性ガスのパージを実現しつつ、被搬送物に付与された活性光線硬化型インクの硬化を効率よく実施することができる、活性光線照射装置を提供する。
【解決手段】電子線の照射位置2にウェブAを搬送する搬送ロール3と、照射位置2においてウェブAに活性光線を照射する照射手段100と、上流側において搬送ロール3をカバーする第1のカバー部材5と、下流側において搬送ロール3をカバーする第2のカバー部材6と、窒素ガスを搬送ロール3に向けて噴射する第1の噴射ノズル22と、窒素ガスを搬送ロール3に向けて噴射する第2の噴射ノズル31とを備え、第1のカバー部材5と第2のカバー部材6は、複数のブロック14,15,16,17,18,19,21,26,27,28,29が接合されてなり、隣接するブロックの接合面に形成された間隙25,34により第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31を形成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性光線の照射位置に被搬送物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記照射位置において被搬送物に活性光線を照射する照射手段と、前記照射位置よりも搬送方向の上流側において前記搬送手段をカバーするように配置された第1のカバー部材と、前記照射位置よりも搬送方向の下流側において前記搬送手段をカバーするように配置された第2のカバー部材と、前記第1のカバー部材に設けられ不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第1の噴射部と、前記第2のカバー部材に設けられ不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第2の噴射部とを備え、前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材は、それぞれ、複数のブロックが接合されてなり、隣接するブロックの接合面に形成された間隙により前記第1の噴射部のノズルと前記第2の噴射部のノズルが形成されていることを特徴とする活性光線照射装置。
【請求項2】
前記第1の噴射部と前記第2の噴射部は、それぞれ、不活性ガスを注入するための注入口と、前記注入口と連通して前記注入口から注入された不活性ガスを滞留させるためのチャンバーと、前記チャンバーと連通して不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射するためのノズルを有する請求項1に記載の活性光線照射装置。
【請求項3】
前記第1の噴射部と前記第2の噴射部は、複数の前記注入口を有しており、前記チャンバーは複数の前記注入口から注入された不活性ガスを合流させている請求項2に記載の活性光線照射装置。
【請求項4】
前記第1の噴射部と前記第2の噴射部は、被搬送物の搬送方向と略直交する方向を横断する細長いスリット形状のノズルを有する請求項3に記載の活性光線照射装置。
【請求項5】
前記第1のカバー部材には、さらに、不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第3の噴射部が、前記第1の噴射部よりも搬送方向の上流側に設けられており、前記第3の噴射部は、不活性ガスを搬送方向上流側に向けて噴射する請求項1に記載の活性光線照射装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、被搬送物を巻回させて回転軸を中心に回転させることで被搬送物を搬送するための外周面を構成するように搬送方向に沿って円筒形状に形成された板状の外周部材により構成された搬送ロールである請求項1に記載の活性光線照射装置。
【請求項7】
前記搬送ロールは、前記外周部材よりも内側に配置されて円筒形状に形成された板状の内周部材と、前記外周部材と前記内周部材との間を搬送方向と略直交する方向の一方端部から他方端部に向かい冷却水を通過させるための流路を有する冷却構造とを備え、前記内周部材の板厚が前記外周部材の板厚よりも厚くなっている請求項6に記載の活性光線照射装置。
【請求項8】
前記冷却構造は、複数のらせん状の流路により構成される請求項7に記載の活性光線照射装置。
【請求項9】
前記搬送ロールの搬送方向と略直交する方向の両端部をカバーするように配置された第3のカバー部材を備えている請求項8に記載の活性光線照射装置。
【請求項10】
前記活性光線は電子線であって、前記第1のカバー部材、前記第2のカバー部材及び前記第3のカバー部材は電磁放射線を遮蔽することを特徴とする、請求項9に記載の活性光線照射装置。
【請求項11】
前記照射位置の近傍における酸素の濃度を検出する酸素濃度計を備えている請求項1に記載の活性光線照射装置。
【請求項12】
前記酸素濃度計により検出された酸素の濃度に応じて前記第1の噴射部と前記第2の噴射部から噴射される不活性ガスの量を制御する制御手段を備えている請求項11に記載の活性光線照射装置。
【請求項13】
前記搬送手段、前記第1のカバー部材、前記第2のカバー部材、前記第3のカバー部材の全体をカバーし、被搬送物を通行させるための複数の通行用スリット部が形成された第4のカバー部材を備えている請求項9に記載の活性光線照射装置。
【請求項14】
前記第4のカバー部材の外側において、前記通行用スリット部を通行する被搬送物の搬送方向を切り替えるローラーを備えており、前記ローラーの位置を前記通行用スリット部の上下に入れ替えることで被搬送物の搬送方向を切り替える請求項13に記載の活性光線照射装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかの活性光線照射装置を備えているインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線などの活性光線により硬化する活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録装置により活性光線硬化型インクが付与されたフィルム等の被搬送物を活性光線の照射位置に搬送する搬送手段を備えた活性光線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子線照射により電子線硬化型インクを硬化させる電子線照射装置が知られている。電子線硬化型インクは、一般に、紫外線硬化型インクに比べると重合開始剤が不要のため、臭気、VOC排出が少ない、塗膜からフィルム等への成分移転が少ない等のメリットがある。また、水系インク等に比べると、画像記録後に電子線照射により即座に硬化可能である上に、出力調整によりインクの硬化状態を調整しやすいことなどから、印刷画質が向上するというメリットがある。さらに、電子線照射により除菌もできるというメリットも想定されることから、樹脂フィルム等の食品パッケージの用途など、新たな様々な用途が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8106369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フィルム等のウェブに電子線硬化型インクにより効率よく画像記録するのであれば、ウェブの外表面に電子線硬化型インクを付与した後に、ウェブを効率よく電子線の照射源まで搬入し、ウェブに付与された電子線硬化型インクに対して電子線を照射して硬化させた後、効率的にウェブを搬出する必要がある。そこで、このような処理を実施する電子線処理装置には、ウェブを電子線の照射位置まで搬送し、電子線の照射後には搬出するための開口部が必要になる。このため、電子線の照射位置には大気が流入することになる。
【0005】
ところが、電子線硬化型インクは、電子線の照射時に周囲の雰囲気の酸素濃度が高いとラジカル重合による硬化の阻害、すなわち酸素阻害が発生することがあり得る。そこで、電子線を照射される周囲の雰囲気から酸素を排するために、窒素パージにより窒素雰囲気下の状態にした上で電子線硬化型インクに電子線を照射することが、適切な電子線硬化型インクの硬化にとって重要である。
【0006】
しかし、上記の通り、効率の良いウェブの搬入出と電子線照射のために電子線処理装置に開口部を設けることで、窒素濃度を向上させることが難しくなるという課題があった。
【0007】
本発明は、従来の装置よりも簡単な構成で、開口部がある状態でも適切な不活性ガスのパージを実現しつつ、ウェブなどの被搬送物に付与された活性光線硬化型インクの硬化を効率よく実施することができる、活性光線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の活性光線照射装置は、活性光線の照射位置に被搬送物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記照射位置において被搬送物に活性光線を照射する照射手段と、前記照射位置よりも搬送方向の上流側において前記搬送手段をカバーするように配置された第1のカバー部材と、前記照射位置の下流側において前記搬送手段をカバーするように配置された第2のカバー部材と、前記第1のカバー部材に設けられ不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第1の噴射ノズルと、前記第2のカバー部材に設けられ不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第2の噴射ノズルとを備え、前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材は、それぞれ、複数のブロックが接合されてなり、隣接するブロックの接合面に形成された間隙により前記第1の噴射部のノズルと前記第2の噴射部のノズルが形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の活性光線照射装置によれば、活性光線の照射位置に被搬送物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記照射位置において被搬送物に活性光線を照射する照射手段と、前記照射位置よりも搬送方向の上流側において前記搬送手段をカバーするように配置された第1のカバー部材と、前記照射位置の下流側において前記搬送手段をカバーするように配置された第2のカバー部材と、前記第1のカバー部材に設けられ不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第1の噴射ノズルと、前記第2のカバー部材に設けられ不活性ガスを前記搬送手段に向けて噴射する第2の噴射ノズルとを備え、前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材は、それぞれ、複数のブロックが接合されてなり、隣接するブロックの接合面に形成された間隙により前記第1の噴射部のノズルと前記第2の噴射部のノズルが形成されているので、第1のカバー部材と第2のカバー部材によりカバーされた空間に不活性ガスを噴射して照射位置における酸素濃度を確実に低下させることができ、隣接するブロックの接合面に形成された間により第1の噴射ノズルと第2の噴射ノズルが形成されることにより第1のカバー部材と第2のカバー部材によりカバーされた空間を小さくすることができ、その結果、簡単な構成で、開口部がある状態でも適切な不活性ガスのパージを実現しつつ、ウェブなどの被搬送物に付与された活性光線硬化型インクの硬化を効率よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の活性光線照射装置の一実施例を示す搬送方向と平行な上下方向の断面図である。
図2】同上、水平方向の断面図である。
図3】同上、図1の上側の拡大図である。
図4】同上、図1の下側の拡大図である。
図5】同上、搬送ロールの断面図である。
図6】同上、インクジェット印刷装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の活性光線照射装置について、電子線硬化型インクを用いたインクジェット印刷装置の一部を構成する電子線照射装置を例にとって、添付した図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施例の電子線照射装置の全体構成を示す図1図2において、1は、照射装置であって、電子線により硬化する電子線硬化型インクが付与されたウェブAを、照射装置1に設けられた電子線の照射位置2に連続的に搬送し、照射位置2において連続的に電子線が照射されて電子線硬化型インクが硬化した後に、つぎの工程に向けて連続的に搬送するためのものである。なお、ウェブとは、フィルム、金属薄膜、紙など、平らな膜状の連続柔軟媒体のことをいう。
【0013】
照射装置1は、ウェブAを搬送する円筒形状の搬送ロール3を備え、搬送ロール3の一部は、電子線の照射位置2に近接した位置にある。搬送ロール3は、図示しない駆動手段によって円筒軸を中心に回転駆動されるように構成され、搬送ロール3によって搬送されるウェブAは、搬送ロール3の外周に接触して巻回された状態で照射位置2を通過するときに電子線が照射されるようになっている。具体的には、照射装置1の内部には、照射位置2に向けて電子線を照射するように配置された照射手段100が設けられている。照射手段100と搬送ロール3との間には、搬送ロール3上における電子線が照射される範囲を規定するための窓部4が形成されており、窓部4に近接して搬送ロール3が配置されている。窓部4は、搬送ロール3の円筒軸の方向に細長く形成されており、窓部4の搬送ロール3の円筒軸方向の長さは、搬送ロール3の円筒部分の長さと略同じに形成されている。そして、照射装置1内に配置された照射手段100から、窓部4を通して搬送ロール3に向けて電子線が照射されるようになっている。また、ウェブAは、図1における左上方の上流側から搬送ロール3の上端近傍に向かい、搬送ロール3に巻回された後、搬送ロール3の下端近傍から左方の下流側に搬送されるようになっている。
【0014】
また、照射位置2から見てウェブAの搬送経路の上流側において、搬送ロール3の上方には、搬送ロール3の上方をカバーする第1のカバー部材5が設けられ、照射位置2から見てウェブAの搬送経路の下流側において、搬送ロール3の下方には、搬送ロール3の下方をカバーする第2のカバー部材6が設けられている。第1のカバー部材5は、下面が搬送ロール3と近接しており、第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間が可能な限り小さくなるように配置されている。同様に、第2のカバー部材6は、上面が搬送ロール3と近接しており、第2のカバー部材6と搬送ロール3によって囲まれた空間が可能な限り小さくなるように配置されている。また、第1のカバー部材5と第2のカバー部材6の両端に接して、搬送ロール3の両端部において、搬送ロール3の円筒部分の半分以上をカバーする第3のカバー部材7が設けられている。第1のカバー部材5と第2のカバー部材6の搬送ロール3の円筒軸方向の長さは、搬送ロール3の円筒部分の長さと略同じであるが、搬送ロール3と第3のカバー部材7との間の隙間の分だけ搬送ロール3の円筒部分の長さよりも長く形成されている。
【0015】
さらに、搬送ロール3、第1のカバー部材5、第2のカバー部材6、第3のカバー部材7の全体をカバーする第4のカバー部材8が設けられている。第4のカバー部材8は、照射装置1の筐体として構成されているほか、ウェブAの搬送経路の上流側と下流側にそれぞれ、ウェブAを第4のカバー部材8の内部に搬入するための搬入用スリット9と、ウェブAを第4のカバー部材8の外部に排出するために搬出用スリット10が形成されている。第4のカバー部材8の外面には、搬入用スリット9の近傍において、搬入用スリット9に入る前のウェブAの上流側の方向を切り替えるための第1のローラー11が設けられている。また、搬出用スリット10の近傍において、搬出用スリット10から出た後のウェブAの下流側の方向を切り替えるための第2のローラー12が設けられている。第2のローラー12の位置は、搬出用スリット10の上下の位置に入れ替えることができるようになっており、第2のローラー12が搬出用スリット10の下に位置していてウェブAの搬送方向が下向きに切り替えられているときに、さらに、ウェブAの搬送方向を下向きから図1における右向きに切り替えるための第3のローラー13が、第4のカバー部材8の図1における左下方に設けられている。このように、ウェブAの上流側と下流側の方向を切り替えることによって、搬送方向の異なる印刷装置に適用することができるようになっている。
【0016】
そして、第1のカバー部材5、第2のカバー部材6、第3のカバー部材7、第4のカバー部材8は、電子線が搬送ロール3に放射されることにより発生するX線などの電磁放射線を遮断して外部に漏れないようにするための鉛板を備えている。
【0017】
図1における第1のカバー部材5の周辺を拡大して示す図3において、第1のカバー部材5は、第4のカバー部材8に接して設けられており、照射位置2に近い方から順に、第1のブロック14、第2のブロック15、第3のブロック16、第4のブロック17、第5のブロック18、第6のブロック19を備えている。第1のブロック14は第4のカバー部材8に接し、第2のブロック15は第1のブロック14に接し、第3のブロック16は第2のブロック15に接し、第4のブロック17は第3のブロック16に接し、第5のブロック18は第4のブロック17に接し、第6のブロック19は第5のブロック18に接しており、これらの全体を上面から覆う第1の板体20とともに一体に接合されている。第6のブロック19の下面には、さらに第7のブロック21が接して設けられている。第1の板体20は、電磁放射線を遮断するための鉛板を備えている。
【0018】
第2のブロック15には、第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間に、第1のカバー部材5から搬送ロール3に向けて窒素ガスを噴射する第1の噴射ノズル22が形成されている。第1の噴射ノズル22に窒素ガスを供給するための注入口23は、図2に示すように、第2のブロック15の上面に等間隔で3か所に形成されている。また、図3に示すように、第2のブロック15の内部には、3つの注入口23と連通するチャンバー24が形成されており、チャンバー24は、第1のブロック14側に開口している。チャンバー24から下方において、第2のブロック15の第1のブロック14に対向する面は、第1のブロック14との間に間隙25が生じるように凹部が形成されており、間隙25の下方の出口が第1の噴射ノズル22になっている。第1の噴射ノズル22は、搬送ロール3の円筒軸に平行な細長い形状を有し、搬送ロール3の円筒部分の長さ方向に連続して、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体にわたって、カーテン状に窒素ガスを噴射するように構成されている。すなわち、第1の噴射ノズル22は、ウェブAの搬送方向を横断する細長いスリット形状を有している。このように、注入口23からチャンバー24に窒素ガスを充填させたうえでスリット形状の第1の噴射ノズル22から窒素ガスを噴射させるという構造をとることで、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体、すなわち、照射位置2の水平方向の全体にわたって均一に窒素ガスを噴射することができ、これにより、水平方向の酸素阻害によるインク硬化不良が防止される。より詳細に説明すると、相互に離間したそれぞれの注入口23から充填される窒素ガスの圧力が異なる場合であっても、それぞれの注入口23から充填される窒素ガスをチャンバー24に合流させることで、チャンバー24内において窒素ガスの圧力を均一にすることができる。したがって、スリット形状の第1の噴射ノズル22の全体にわたって、均一な圧力で窒素ガスを噴射することができる。なお、本実施例においては、3つの注入口23を有しているが、注入口23の数は第1の噴射ノズル22とチャンバー24の幅に応じて適宜変更してもよい。
【0019】
図1における第2のカバー部材6の周辺を拡大して示す図4において、第2のカバー部材6は、第4のカバー部材8に接して設けられており、照射位置2に近い方から順に、第8のブロック26、第9のブロック27、第10のブロック28、第11のブロック29を備えている。第8のブロック26は第4のカバー部材8に接し、第9のブロック27は第8のブロック26に接し、第10のブロック28は第9のブロック27に接し、第11のブロック29は第10のブロック28に接しており、これらの全体を下面から覆う第2の板体30とともに一体に接合されている。第2の板体30は、電磁放射線を遮断するための鉛板を備えている。
【0020】
第9のブロック27には、第2のカバー部材6と搬送ロール3によって囲まれた空間に、第2のカバー部材6から搬送ロール3に向けて窒素ガスを噴射する第2の噴射ノズル31が形成されている。第2の噴射ノズル31は、第1の噴射ノズル22と同様に構成されており、第9のブロック27の内部には、注入口32とそれと連通するチャンバー33が形成されており、チャンバー33は、第8のブロック26側に開口している。チャンバー33から上方において、第9のブロック27の第8のブロック26に対向する面は、第8のブロック26との間に間隙34が生じるように凹部が形成されており、間隙34の上方の出口が第2の噴射ノズル31になっている。第2の噴射ノズル31は、搬送ロール3の円筒軸に平行な細長い形状を有し、搬送ロール3の円筒部分の長さ方向に連続して、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体にわたって、カーテン状に窒素ガスを噴射するように構成されている。すなわち、第2の噴射ノズル31は、ウェブAの搬送方向を横断する細長いスリット形状を有している。このように、注入口32からチャンバー33に窒素ガスを充填させたうえでスリット形状の第2の噴射ノズル31から窒素ガスを噴射させるという構造をとることで、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体、すなわち、照射位置2の水平方向の全体にわたって均一に窒素ガスを噴射することができ、これにより、酸素阻害によるインク硬化不良が防止される。より詳細に説明すると、相互に離間したそれぞれの注入口32から充填される窒素ガスの圧力が異なる場合であっても、それぞれの注入口32から充填される窒素ガスをチャンバー33に合流させることで、チャンバー33内において窒素ガスの圧力を均一にすることができる。したがって、スリット形状の第2の噴射ノズル31の全体にわたって、均一な圧力で窒素ガスを噴射することができる。なお、本実施例においては、3つの注入口32を有しているが、注入口32の数は第2の噴射ノズル31とチャンバー33の幅に応じて適宜変更してもよい。
【0021】
図3に戻ると、第5のブロック18には、第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間に、第1のカバー部材5から搬送ロール3に向けて窒素ガスを噴射する第3の噴射ノズル35が形成されている。第3の噴射ノズル35は、第1の噴射ノズル22と同様に構成されており、第3の噴射ノズル35に窒素ガスを供給するための注入口36は、図2に示すように、第5のブロック18の上面に等間隔で3か所に形成されている。また、第5のブロック18の内部には、3つの注入口36と連通するチャンバー37が形成されており、チャンバー37は、第5のブロック18側に開口している。チャンバー37から下方において、第5のブロック18の第4のブロック17に対向する面は、第4のブロック17との間に間隙38が生じるように凹部が形成されており、間隙38の下方の出口が第3の噴射ノズル35になっている。第3の噴射ノズル35は、搬送ロール3の円筒軸に平行な細長い形状を有し、搬送ロール3の円筒部分の長さ方向に連続して、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体にわたって、カーテン状に窒素ガスを噴射するように構成されている。すなわち、第3の噴射ノズル35は、ウェブAの搬送方向を横断する細長いスリット形状を有している。このように、注入口36からチャンバー37に窒素ガスを充填させたうえでスリット形状の第3の噴射ノズル35から窒素ガスを噴射させるという構造をとることで、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体、すなわち、照射位置2の水平方向の全体にわたって均一に窒素ガスを噴射することができ、これにより、酸素阻害によるインク硬化不良が防止される。より詳細に説明すると、相互に離間したそれぞれの注入口36から充填される窒素ガスの圧力が異なる場合であっても、それぞれの注入口36から充填される窒素ガスをチャンバー37に合流させることで、チャンバー37内において窒素ガスの圧力を均一にすることができる。したがって、スリット形状の第3の噴射ノズル35の全体にわたって、均一な圧力で窒素ガスを噴射することができる。なお、本実施例においては、3つの注入口36を有しているが、注入口36の数は第3の噴射ノズル35とチャンバー37の幅に応じて適宜変更してもよい。
【0022】
このように、第1のカバー部材5、第2のカバー部材6に形成された間隙25,34,38の出口を第1の噴射ノズル22、第2の噴射ノズル31、第3の噴射ノズル35として構成することで、カーテン状に窒素ガスを噴射することのできる噴射ノズルを簡単な構成で実現することができ、第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間と、第2のカバー部材6と搬送ロール3によって囲まれた空間を小さくすることが容易になる。
【0023】
第3のブロック16には、照射位置2の近傍の第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間における酸素の濃度を検出するための酸素濃度計39が設けられている。酸素濃度計39は、図2に示すように、第3のブロック18の上面に5か所に設けられている。また、酸素濃度計39により検出された酸素の濃度に基いて第1の噴射ノズル22、第2の噴射ノズル31、第3の噴射ノズル35から噴射される窒素ガスの量を制御する制御手段50(図2参照)を備えている。また、第7のブロック21の第6のブロック19に対向する面には、ウェブAを通過されるための凹部40が形成されている。
【0024】
そして、第1のブロック14、第2のブロック15、第3のブロック16、第4のブロック17、第5のブロック18、第6のブロック19、第1の板体20、第7のブロック21、第8のブロック26、第9のブロック27、第10のブロック28、第11のブロック29、第2の板体30の両端には、板状に形成された第3のカバー部材7が接している。
【0025】
搬送ロール3の断面を示す図5において、搬送ロール3は、内側に冷却水が流れて表面が冷却されるように構成されている。搬送ロール3の円筒表面41の内側には、4本のらせん状の冷却水の流路42(42a,42b,42c,42d)が形成されている。らせん状に流路42を形成することで、搬送ロール3の円筒表面41の全面にわたって冷却水を通すことができるようになっている。また、流路42を4本の複数の流路42a,42b,42c,42dに分けることで、1本の場合よりも円筒表面41の全面を均一に冷却することができるようになっている。また、搬送ロール3の円筒表面41は、薄いSUS板により形成されており、円筒表面41を薄いSUS板により形成することにより、搬送ロール3に巻回されるウェブAの冷却効率が高められる。流路42の内側には、円筒表面41よりも厚いSUS板により形成された円筒内面43が配置され、円筒内面43の内側は空洞になっている。円筒内面43を厚いSUS板により形成することにより、搬送ロール3に向けて電子線を照射することにより発生する電磁放射線の遮蔽効果が高められる。冷却水は、搬送ロール3の回転軸の一側に形成された導入口44から流路42に導入され、搬送ロール3の回転軸の他側に形成された排出口45から排出されるようになっている。
【0026】
また、図6に示すように、照射装置1の上流側には、ウェブAにインクを付与するインク付与装置200が配置されおり、インク付与装置200、照射装置1により、インクジェット印刷装置が構成される。
【0027】
つぎに、本実施例の電子線照射装置の作用について説明する。
【0028】
照射装置1の上流側には、インク付与装置200が配置されており、ウェブAの表面に、インク付与装置200によって電子線硬化型インクが付与される。
【0029】
ウェブAは、図示しない駆動手段によって円筒軸を中心に一定の速度で回転駆動される搬送ロール3の駆動力によって、照射装置1に向けて搬送される。
【0030】
予め、ウェブAの電子線硬化型インクが付与された部分が照射装置1内に導入される前に、第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間には、第1の噴射ノズル22、第3の噴射ノズル35によって窒素ガスが連続して噴射され、第2のカバー部材6と搬送ロール3によって囲まれた空間には、第2の噴射ノズル31によって窒素ガスが連続して噴射されている。これにより、第1のカバー部材5と搬送ロール3によって囲まれた空間と、第2のカバー部材6と搬送ロール3によって囲まれた空間の酸素の濃度が低く抑えられ、すなわち、照射位置2の近傍の酸素の濃度が低く抑えられている。
【0031】
ここで、酸素濃度計39により検出された酸素の濃度に基いて第1の噴射ノズル22、第2の噴射ノズル31、第3の噴射ノズル35から噴射される窒素ガスの量が制御される。これにより、酸素の濃度を低減させるために、適切な量の窒素ガスを供給することができる。
【0032】
また、第1の噴射ノズル22、第2の噴射ノズル31、第3の噴射ノズル35から噴射される窒素ガスは、搬送ロール3の円筒部分の長さ方向に連続して、搬送ロール3の円筒部分の長さの略全体にわたって、カーテン状に噴射されるので、照射位置2に酸素が侵入することが確実に防止される。なお、第1の噴射ノズル22から噴射される窒素ガスの向きは、第1の噴射ノズル22の外側の第1のブロック14と第2のブロック15の形状に依存し、搬送ロール3に向けて噴射された窒素ガスの一部は上流側に向けて流れ、残りは下流側に向けて流れる。同様に、第2の噴射ノズル31から噴射される窒素ガスの向きは、第2の噴射ノズル31の外側の第8のブロック26と第9のブロック27の形状に依存し、第3の噴射ノズル35から噴射される窒素ガスの向きは、第3の噴射ノズル35の外側の第4のブロック17と第5のブロック18の形状に依存し、搬送ロール3に向けて噴射された窒素ガスの一部は上流側に向けて流れ、残りは下流側に向けて流れる。ここで、特に、第3の噴射ノズル35から噴射される窒素ガスを上流側に向けることで、照射位置2への酸素の流入が効果的に遮断される。すなわち、ウェブAが搬送方向の上流から下流まで搬送される際に、搬送方向の上流から下流への酸素を含む気体が流入する気流が生じるが、搬送方向の下流から上流に窒素ガスをカーテン状に噴射することで、酸素を含む気流の巻き込みが防止され、さらに、第3の噴射ノズル35は、搬送ロール3にウェブAが接触して巻回される際の気流の巻き込みを防止するタッチローラーの役割を果たす。
【0033】
ウェブAは、第1のローラー11によって、照射装置1の搬入用スリット9に導かれる。つぎに、ウェブAは、第7のブロック21の凹部40を通過し、搬送ロール3の外周に巻回される。そして、ウェブAは、搬送ロール3の外周に接触して巻回された状態で照射位置2に搬送され、照射位置2において、照射手段100により電子線が照射される。電子線の照射により、ウェブAに付与された電子線硬化型インクが硬化する。
【0034】
このとき、照射位置2における酸素の濃度が低く抑えられているため、酸素阻害が防止される。また、電子線の照射により発生するX線などの電磁放射線は、第1のカバー部材5、第2のカバー部材6、第3のカバー部材7によって、第4のカバー部材8の内部に放射されることが防止され、さらに、第4のカバー部材8により、外部に放射されることが確実に防止される。また、搬送ロール3は冷却水により冷却されており、ウェブAは搬送ロール3に密着しているため、電子線照射によるウェブAの温度上昇が抑えられる。
【0035】
電子線の照射後のウェブAは、搬出用スリット10から照射装置1の外に出て、第2のローラー12により下方に向きが切り替えられる。なお、ここで第2のローラー12の位置を変更することによって、ウェブAを斜め上方向や水平方向に搬送することもできる。下方に向きが切り替えられたウェブAは、第3のローラー13によってさらに水平方向に向きが切り替えられ、つぎの工程のために、下流に配置された図示しない任意の装置に向けて搬送される。
【0036】
以上のように、本実施例の活性光線照射装置としての照射装置1は、活性光線である電子線の照射位置2に被搬送物であるウェブAを所定の搬送方向に搬送する搬送手段である搬送ロール3と、照射位置2においてウェブAに活性光線を照射する照射手段100と、照射位置2の上流側において搬送ロール3をカバーするように配置された第1のカバー部材5と、照射位置2の下流側において搬送ロール3をカバーするように配置された第2のカバー部材6と、第1のカバー部材5に設けられ不活性ガスである窒素ガスを搬送ロール3に向けて噴射する第1の噴射部のノズルである第1の噴射ノズル22と、第2のカバー部材6に設けられ窒素ガスを搬送ロール3に向けて噴射する第2の噴射部のノズルである第2の噴射ノズル31とを備え、第1のカバー部材5と第2のカバー部材6は、それぞれ、複数のブロックである第1のブロック14、第2のブロック15、第3のブロック16、第4のブロック17、第5のブロック18、第6のブロック19、第7のブロック21、または、第8のブロック26、第9のブロック27、第10のブロック28、第11のブロック29が接合されてなり、隣接するブロックである第1のブロック14と第2のブロック15、または、第8のブロック26と第9のブロック27の接合面に形成された間隙25,34により第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31が形成されているので、電子線の照射により発生する電磁放射線を第1のカバー部材5と第2のカバー部材6により遮蔽することができ、第1のカバー部材5と第2のカバー部材6によりカバーされた空間に窒素ガスを噴射して照射位置2における酸素濃度を確実に低下させることができる。そして、第1のカバー部材5と第2のカバー部材6が複数のブロックからなることにより電磁放射線の遮蔽効果を高めることができ、隣接するブロックの接合面に形成された間隙25,34により第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31が形成されることにより第1のカバー部材5と第2のカバー部材6によりカバーされた空間を小さくすることができる。
【0037】
また、第1の噴射部と第2の噴射部は、それぞれ、窒素ガスを注入するための注入口23,32と、注入口23,32と連通して注入口23,32から注入された窒素ガスを滞留させるためのチャンバー24,33と、チャンバー24,33と連通して窒素ガスを搬送ロール3に向けて噴射するための第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31を有するので、均一に窒素ガスを噴射することができる。
【0038】
また、第1の噴射部と第2の噴射部は、複数の注入口23,32を有しており、チャンバー24,33は複数の注入口23,32から注入された不活性ガスを合流させているので、チャンバー24,33内において窒素ガスの圧力を均一にすることができる。
【0039】
また、第1の噴射部と第2の噴射部は、ウェブAの搬送方向と略直交する方向を横断する細長いスリット形状の第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31を有するので、窒素ガスをカーテン状に噴射して照射位置2に酸素が侵入することを防止することができる。
【0040】
また、第1のカバー部材5には、さらに、窒素ガスを搬送ロール3に向けて噴射する第3の噴射部のノズルである第3の噴射ノズル35が、第1の噴射部よりも搬送方向の上流側に設けられており、第3の噴射部は、窒素ガスを搬送方向上流側に向けて噴射するので、照射位置2への酸素の流入を効果的に遮断することができる。
【0041】
また、搬送手段は、ウェブAを巻回させて回転軸を中心に回転させることでウェブAを搬送するための外周面を構成するように搬送方向に沿って円筒形状に形成された板状の外周部材である円筒表面41により構成された搬送ロール3であるので、省スペースにて装置を構成することができる。
【0042】
また、搬送ロール3は、円筒表面41よりも内側に配置されて円筒形状に形成された板状の内周部材である円筒内面43と、円筒表面41と円筒内面43との間を搬送方向と略直交する方向の一方端部から他方端部に向かい冷却水を通過させるための流路42(42a,42b,42c,42d)を有する冷却構造とを備え、円筒内面43の板厚が円筒表面41の板厚よりも厚くなっているので、ウェブAに対する冷却効果を高め、搬送ロール3の内側における電磁放射線の遮蔽効果を高めることができる。
【0043】
また、冷却構造は、複数のらせん状の流路42(42a,42b,42c,42d)により構成されるので、ウェブAに対する冷却効果を高めることができる。
【0044】
また、搬送ロール3の搬送方向と略直交する方向の両端部をカバーするように配置された第3のカバー部材7を備えているので、より確実に電磁放射線の遮蔽効果を高め、照射位置2における酸素濃度を低下させることができる。
【0045】
また、活性光線は電子線であって、第1のカバー部材5、第2のカバー部材6及び第3のカバー部材7は電磁放射線を遮蔽するので、電磁放射線の遮蔽効果を高めることができる。
【0046】
また、照射位置2の近傍における酸素の濃度を検出する酸素濃度計39を備えているので、照射位置2での酸素濃度を知ることができる。
【0047】
また、酸素濃度計39により検出された酸素の濃度に基いて第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31から噴射される窒素ガスの量を制御する制御手段50を備えているので、第1の噴射ノズル22と第2の噴射ノズル31から適切な量の窒素ガスを噴射して、確実に照射位置2における酸素濃度を低下させることができる。
【0048】
また、搬送ロール3、第1のカバー部材5、第2のカバー部材6、第3のカバー部材7の全体をカバーし、ウェブAを通行されるための複数の通行用スリット部である搬入用スリット9と搬出用スリット10が形成された第4のカバー部材8を備えているので、さらに確実に電磁放射線を遮断することができる。
【0049】
また、第4のカバー部材8の外側において、搬入用スリット9に入るウェブAの搬送方向または搬出用スリット10から出るウェブAの搬送方向を切り替えるローラーである第1のローラー11、第2のローラー12を備えており、第2のローラー12の位置を搬出用スリット10の上下に入れ替えることでウェブAの搬送方向を切り換えるので、ウェブAの搬送方向が異なる外部の装置と任意に組み合わせて使用することができる。
【0050】
本実施例のインクジェット印刷装置は、本実施例の照射装置1を備えているので、電子光線の照射により発生する電磁放射線を遮蔽し、照射位置2における酸素濃度を確実に低下させながら、電子線硬化型インクを用いたインクジェット印刷を行うことができる。
【0051】
なお、本発明の活性光線照射装置は上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【0052】
例えば、本発明の活性光線照射装置により搬送される被搬送物に照射される活性光線は、電子線に限定されない。活性光線には、物質に作用して化学反応を開始または促進させるあらゆる光線が含まれ、電子線のほか、紫外線、可視光線、X線、α線、β線、γ線等が含まれる。したがって、例えば、被搬送物に付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射するために用いることができる。
【0053】
また、本発明の活性光線照射装置において用いられる不活性ガスは、窒素ガスに限らず、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の気体を目的に応じて適宜選択して使用することができる。
【0054】
また、本発明の活性光線照射装置は、インクジェット印刷装置だけでなく、被搬送物の改質のために活性光線を照射する用途、被搬送物を殺菌するために活性光線を照射する用途等、被搬送物に活性光線を照射するあらゆる用途に使用することができる。
【0055】
さらに、搬送ロールの代わりに平坦な搬送手段を用いるようにして、活性光線照射装置を構成してもよい。この場合、被搬送物は、ウェブに限らず、例えば、硬質な板状の材料とすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 照射装置
2 照射位置
3 搬送ロール(搬送手段)
5 第1のカバー部材
6 第2のカバー部材
7 第3のカバー部材
8 第4のカバー部材
9 搬入用スリット(通行用スリット部)
10 搬出用スリット(通行用スリット部)
11 第1のローラー
12 第2のローラー
14 第1のブロック
15 第2のブロック
16 第3のブロック
17 第4のブロック
18 第5のブロック
19 第6のブロック
21 第7のブロック
22 第1の噴射ノズル(第1の噴射部のノズル)
23 注入口
24 チャンバー
25 間隙
26 第8のブロック
27 第9のブロック
28 第10のブロック
29 第11のブロック
31 第2の噴射ノズル(第2の噴射部のノズル)
32 注入口
33 チャンバー
34 間隙
35 第3の噴射ノズル(第3の噴射部のノズル)
39 酸素濃度計
41 円筒表面(外周部材)
42(42a,42b,42c,42d) 流路
43 円筒内面(内周部材)
50 制御手段
100 照射手段
A ウェブ(被搬送物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6