(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155621
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241024BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20241024BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070493
(22)【出願日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522297708
【氏名又は名称】株式会社スタートトゥデイ
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】前澤 友作
(72)【発明者】
【氏名】常井 康寛
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】
企業を支援するための情報処理システムに関する。
【解決手段】
企業を支援する情報処理システムであって、情報処理システムは、企業への支援により支援者に付与された指標を記録する支援記録処理部と、所定の条件を充足した場合に、報酬総額と記録された指標とを用いて、支援者に対する報酬を算出する報酬処理部と、を有する情報処理システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業を支援する情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、
企業への支援により支援者に付与された指標を記録する支援記録処理部と、
所定の条件を充足した場合に、報酬総額と前記記録された指標とを用いて、前記支援者に対する報酬を算出する報酬処理部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記報酬処理部は、
前記支援者に対する報酬として、前記支援者に対する報酬額、報酬として付与する指標数、または前記指標と金員との交換比率のいずれか一以上を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記報酬処理部は、
前記報酬総額と、前記企業により各支援者に付与された指標とを用いて演算することで報酬単価を算出し、
支援者ごとに付与された指標と前記報酬単価とを用いて演算することで、前記支援者ごとの報酬額を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記報酬処理部は、
前記報酬総額と、前記交換比率と、前記企業により各支援者に付与された指標とを用いて演算することで報酬基準指標数を算出し、
支援者ごとに付与された指標と前記報酬基準指標数とを用いて演算することで、前記支援者ごとの報酬として付与する指標数を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記報酬処理部は、
前記報酬総額と、前記企業により各支援者に付与された指標とを用いて、前記交換比率を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記報酬処理部は、
前記企業が所定の条件を充足することによって得られた利益の一部若しくは全部、前記支援者による支援により増大した企業価値の一部若しくは全部、またはあらかじめ定めた金額のいずれかを用いて報酬総額を算出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記報酬処理部は、
前記算出した報酬総額があらかじめ定めた金額よりも少ない場合には、前記あらかじめ定めた金額を報酬総額として用いて前記支援者に対する報酬を算出し、
前記算出した報酬総額があらかじめ定めた金額以上の場合には、前記算出した報酬総額を用いて前記支援者に対する報酬を算出する、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記支援記録処理部は、
前記支援が行われたことを検出すると、前記支援者により支援が行われた指標を記憶させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記支援記録処理部は、
前記企業が利用するコンピュータから、前記支援者による支援が行われた情報を受け付け、
前記支援が行われた情報に基づいて、前記支援者により支援が行われた指標を記憶させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記所定の条件は、
前記企業がIPOにより株式公開をしたこと、第三者に株式を譲渡したことのいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
コンピュータを、
企業への支援により支援者に付与された指標を記録する支援記録処理部、
所定の条件を充足した場合に、報酬総額と前記記録された指標とを用いて、前記支援者に対する報酬を算出する報酬処理部、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業を支援するための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業を支援する際にはさまざまな方法がある。もっとも有力で直接的な支援方法としては、企業に対して出資をする方法である。出資をすることで企業に対して、直接的に金銭的な支援を行うことができる。
【0003】
企業に対する支援方法として出資を行う場合、通常、多額の資金を必要とすることから、一般の個人が行うことは容易ではない。またその企業の事業を評価する必要があるなど、専門性も必要となる。
【0004】
そこで、たとえば下記特許文献1乃至特許文献3に示すように、投資家に対して投資先の企業の事業性の評価などを提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-125046号公報
【特許文献2】特開2022-062612号公報
【特許文献3】特開2022-173544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1乃至特許文献3に記載のシステムによって、企業の事業の可能性を把握することはできるが、企業に対して出資する資金は必要となる。クラウドファンディングの場合であってもプロジェクトを支援するには資金が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑み、資金を必要とせずに、企業を支援することを可能とする情報処理システムを発明した。
【0008】
第1の発明は、企業を支援する情報処理システムであって、前記情報処理システムは、企業への支援により支援者に付与された指標を記録する支援記録処理部と、所定の条件を充足した場合に、報酬総額と前記記録された指標とを用いて、前記支援者に対する報酬を算出する報酬処理部と、を有する情報処理システムである。
【0009】
本発明のように構成することで、企業に対して資金を必要とせずに支援をすることが可能となる。また、その支援をすることによって、所定条件を充足した場合に、その支援の記録に基づいて報酬を得ることも可能となる。
【0010】
上述の発明において、前記報酬処理部は、前記支援者に対する報酬として、前記支援者に対する報酬額、報酬として付与する指標数、または前記指標と金員との交換比率のいずれか一以上を算出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0011】
上述の発明において、前記報酬処理部は、前記報酬総額と、前記企業により各支援者に付与された指標とを用いて演算することで報酬単価を算出し、支援者ごとに付与された指標と前記報酬単価とを用いて演算することで、前記支援者ごとの報酬額を算出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0012】
上述の発明において、前記報酬処理部は、前記報酬総額と、前記交換比率と、前記企業により各支援者に付与された指標とを用いて演算することで報酬基準指標数を算出し、支援者ごとに付与された指標と前記報酬基準指標数とを用いて演算することで、前記支援者ごとの報酬として付与する指標数を算出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0013】
上述の発明において、前記報酬処理部は、前記報酬総額と、前記企業により各支援者に付与された指標とを用いて、前記交換比率を算出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0014】
報酬の算出処理としてはさまざまな方法があるが、たとえばこれらの発明のように実行することができる。
【0015】
上述の発明において、前記報酬処理部は、前記企業が所定の条件を充足することによって得られた利益の一部若しくは全部、前記支援者による支援により増大した企業価値の一部若しくは全部、またはあらかじめ定めた金額のいずれかを用いて報酬総額を算出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0016】
上述の発明において、前記報酬処理部は、前記算出した報酬総額があらかじめ定めた金額よりも少ない場合には、前記あらかじめ定めた金額を報酬総額として用いて前記支援者に対する報酬を算出し、前記算出した報酬総額があらかじめ定めた金額以上の場合には、前記算出した報酬総額を用いて前記支援者に対する報酬を算出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0017】
支援者に対する報酬の元となる報酬総額は、これらの発明のように算出することができる。
【0018】
上述の発明において、前記支援記録処理部は、前記支援が行われたことを検出すると、前記支援者により支援が行われた指標を記憶させる、情報処理システムのように構成することができる。
【0019】
支援者による支援を情報処理システムで行う場合には、本発明のように構成するとよい。
【0020】
上述の発明において、前記支援記録処理部は、前記企業が利用するコンピュータから、前記支援者による支援が行われた情報を受け付け、前記支援が行われた情報に基づいて、前記支援者により支援が行われた指標を記憶させる、情報処理システムのように構成することができる。
【0021】
支援者による支援を当該企業が行う場合には、本発明のように構成するとよい。
【0022】
上述の発明において、前記所定の条件は、前記企業がIPOにより株式公開をしたこと、第三者に株式を譲渡したことのいずれかを含む、情報処理システムのように構成することができる。
【0023】
報酬の算出を行うにあたっての条件としては、さまざまな条件があるが、本発明のように、IPOによる株式公開や株式売却による場合とすることが好ましい。
【0024】
第1の発明は、本発明の情報処理プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち、コンピュータを、企業への支援により支援者に付与された指標を記録する支援記録処理部、所定の条件を充足した場合に、報酬総額と前記記録された指標とを用いて、前記支援者に対する報酬を算出する報酬処理部、として機能させる情報処理プログラムのように構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の情報処理システムを用いることで、資金を必要とせずに、企業を支援することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の情報処理システムを用いるための、企業を支援するスキームの全体の概要図である。
【
図2】本発明の情報処理システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の情報処理システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図4】本発明の情報処理システムの全体の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図5】企業情報記憶部の一例を模式的に示す図である。
【
図6】利用者情報記憶部の一例を模式的に示す図である。
【
図7】案件情報記憶部の一例を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の情報処理システムを用いるための、企業を支援するスキームの別の一例を示す全体の概要図である。
【
図9】実施例2において、本発明の情報処理システムを用いるための、企業を支援するスキームの別の一例を示す全体の概要図である。
【
図10】実施例2における、本発明の情報処理システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図11】実施例2における、本発明の情報処理システムの全体の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施例2における、本発明の情報処理システムを用いるための、企業を支援するスキームの別の一例を示す全体の概要図である。
【
図13】実施例3における、本発明の情報処理システムを用いて報酬総額を算出する処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の情報処理システム1の構成の詳細を説明する前に、情報処理システム1を用いるスキームについて、
図1の概要図を用いて説明する。株主と運営会社を別の組織体として
図1では示しているが、株主と運営会社とが同一の組織体であってもよい。また、詳細は後述するが、
図1では、わかりやすさのために、株主が株式売却およびそれによる利益(売却益)を得る場合の一例で説明しているが、それに限定するものではない。なお、後述する
図8、
図9および
図12も同様である。
【0028】
株主が企業に出資を行うことで、株主は企業の株式を保有する。また、株主と運営会社とは本発明の情報処理システム1の利用に関し、業務委託契約などの所定の契約を締結しておく。さらに、利用者は、運営会社に対してあらかじめ本発明の情報処理システム1の利用の登録をしておく。
【0029】
企業が支援者(利用者のうち当該企業に対して支援を希望する者)から支援を受けることを希望する場合、どのような支援を希望するかの案件の登録を情報処理システム1に行う。企業は、自ら案件の登録を情報処理システム1に行うほか、情報処理システム1の運営会社にその情報を伝え、運営会社が情報登録システム1に登録を行ってもよい。
【0030】
そして、情報処理システム1は、その案件が登録されたことをあらかじめ運営会社に登録している利用者に紹介し、支援を行う利用者(支援者)は、当該企業に対する支援、たとえば当該企業の商品やサービスについてのテストやモニターの協力、フィードバック、商品やサービスの購入など、あらかじめ当該企業が登録した支援の内容に沿った支援を行う。支援者による当該企業に対する支援に対し、支援者に対し所定のポイントが付与され、情報処理システム1に記録される。
【0031】
当該企業がIPOによる株式公開を行う場合、M&Aなどで株式が第三者に譲渡等される場合などでは、株主が保有する株式によって利益を得るが、その利益の一部から、運営会社との契約で定めている算出方法で算出される金額や所定の金額を運営会社に支払う(実際に金銭の移動は伴わなくてもよい)。なお、株主が利益を得た場合のみならず、たとえば支援者による支援により当該企業の企業価値が増大した場合など、あらかじめ定めた条件を充足した場合に、契約で定めている算出方法で算出される金額や所定の金額などが株主から運営会社に支払われればよい(実際に金銭の移動は伴わなくてもよい)。そして、運営会社が受領した金額など、所定の金額(支援者に対して支払う報酬の総額)に基づいて、当該企業を支援した支援者に対し、各支援者のポイントに応じた報酬を算出し、それが各支援者に対して支払われる。
【0032】
以上のようなスキームによって、支援者は、資金を必要とせずに、企業を支援することができ、またその企業がIPOやM&Aされたときなどの所定の定められた条件を充足した場合には、支援に応じたインセンティブを享受することができる。なお、企業としては、さまざまな企業が想定できるが、たとえば、スタートアップ企業などであってもよい。
【0033】
つぎに、本発明の情報処理システム1における処理を説明する。情報処理システム1の全体の処理機能の一例をブロック図で
図2に示す。情報処理システム1は、管理端末2を用いる。
【0034】
管理端末2は、情報処理システム1を運営する運営会社等の組織が利用するコンピュータである。また、管理端末2は、支援を所望する企業、たとえばスタートアップ企業が利用する企業端末3、利用者が利用する利用者端末4と情報の送受信が可能である。
【0035】
情報処理システム1における管理端末2、企業端末3、利用者端末4は、コンピュータを用いて実現される。
図3にコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。コンピュータは、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と、情報を表示するディスプレイなどの表示装置72と、情報の入力が可能なキーボードやマウスなどの入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。
【0036】
コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には、表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは、たとえばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが、それに限定するものではない。
【0037】
タッチパネルディスプレイは、そのディスプレイ上で、直接、所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で、表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0038】
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。本発明の各手段における処理は、その処理順序を適宜変更することもできる。また、処理の一部を省略してもよい。
【0039】
情報処理システム1は、企業情報記憶部20と利用者情報記憶部21と案件処理部22と案件情報記憶部23と参加処理部24と支援記録処理部25と報酬処理部26とを有する。
【0040】
企業情報記憶部20は、本発明の情報処理システム1を利用して支援を受けることを希望する企業の情報を記憶する。企業情報記憶部20の一例を
図5に示す。企業の情報としては、たとえば企業を情報処理システム1において識別するための識別情報(企業識別情報)、企業名、企業が情報処理システム1にアクセスするためのIDやパスワードなどの認証情報、担当者の属性情報(氏名、電子メールアドレスやSNSなどのアカウント、電話番号、所属部署など)などがある。企業の情報としては一例であり、これら以外の情報を記憶していてもよく、あるいはこれらの一部の情報のみを記憶していてもよい。たとえば、企業の情報として、当該企業の属性に関する所定の選択肢(たとえば、「飲食に関連する企業」、「子育てに関連する企業」、「医療介護に関連する企業」、「ペット・動物に関連する企業」、「釣りに関連する企業」など)の一つまたは複数を登録しておけるようにしてもよい。
【0041】
利用者情報記憶部21は、情報処理システム1の利用者の情報を記憶する。利用者情報記憶部21の一例を
図6に示す。利用者の情報としては、たとえば利用者を情報処理システム1において識別するための識別情報(利用者識別情報)、利用者が情報処理システム1にアクセスするためのIDやパスワードなどの認証情報、利用者の属性情報(氏名、電子メールアドレス、ニックネーム、SNSなどのアカウントなど)、利用者に付与された企業ごとのポイント数、報酬が発生した場合に報酬の支払先の情報(金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人など)などがある。利用者の情報としては一例であり、これら以外の情報を記憶していてもよく、あるいはこれらの一部の情報のみを記憶していてもよい。なお、利用者のうち、後述する参加処理部24で企業への支援の参加を行った利用者が支援者となる。
【0042】
案件処理部22は、企業からの所望する支援の内容の登録を受け付けて、後述の案件情報記憶部23に記憶させる。支援の内容としては、企業の提供する商品や役務(サービス)についてのテストやモニター、それらについてのコメント(フィードバック)、商品や役務の購入などがあるが、これらに限定されるわけではなく、任意の支援の内容を登録することができる。案件処理部22は、当該企業の識別情報に対応づけて、登録を受け付けた支援の内容を企業情報記憶部20に記憶させる。また、支援の内容に応じて付与するポイント数を受け付けてもよい。
【0043】
案件情報記憶部23は、企業が所望する支援に関する案件の情報(案件情報)を記憶する。案件情報記憶部23の一例を
図7に示す。案件情報としては、案件を登録した企業識別情報に対応づけて、案件を識別する案件識別情報と支援の内容と支援者に付与するポイント数などを記憶している。付与するポイント数は支援の内容によって異なっていてもよいし、支援の内容にかかわらず共通していてもよい。なお、ここで付与されるポイントは、企業ごとに独立しており、A社への支援によるポイントと、B社への支援によるポイントは区別して付与される。
【0044】
参加処理部24は、利用者端末4から、企業が登録した支援の案件に対する参加を受け付ける。
【0045】
支援記録処理部25は、支援者(支援を行う利用者)が、企業が登録した案件に対する支援を行ったことの情報を受け付け、当該支援者が行った支援に応じたポイント数を、当該支援者に付与し、利用者情報記憶部21に記憶させる。支援者による案件に対する支援の記録処理としては、管理端末2の運営会社で管理をする場合、企業側で管理を行う場合、当該企業以外の第三者で管理を行う場合がある。
【0046】
管理端末2が提供する所定のウェブサイトなどを介して支援に対するポイントを付与する場合には、支援記録処理部25は、利用者端末4から当該支援者による案件に対する支援、たとえば商品のアンケート回答、商品の購入などが行われたことを検出し、その支援の内容を判定し、支援の内容に応じたポイント数を特定する。そして、当該支援者の利用者識別情報に対応づけて特定したポイント数を記憶させる。
【0047】
また、企業側で支援者による支援を記録し、管理端末2はその情報を受け取る場合には、支援記録処理部25は、支援者の利用者識別情報と、当該支援者が行った支援の内容および/または支援によって付与されたポイント数などの情報を企業端末3から受け付けて、利用者情報記憶部21に記憶させる。この場合、企業端末3で管理する利用者識別情報と利用者情報記憶部21で記録する利用者識別情報とは同一であってもよいし、異なる場合にはその対応テーブルを備えておき、それに基づいて変換してもよい。なお、支援を行った企業以外の第三者が管理している場合であっても、支援記録処理部25が支援者による支援の記録の情報を受け付ける元が変わるだけであり、同様の処理で行える。
【0048】
報酬処理部26は、あらかじめ定めた所定の条件を充足した場合に、所定の方法で算出する報酬総額(支援者に対して支払う報酬の合計額)に基づいて支援者に対して支払う報酬を算出し、算出した報酬を支払う処理を実行する。この報酬としては、支援者に対して支払う報酬額、報酬として付与するポイント数、報酬と金員との交換比率の変更があるが、それに限定するものではない。あらかじめ定めた所定の条件としては、たとえば企業がIPOによる株式公開を行う場合、M&Aなどで株式が第三者に譲渡等される場合などによって株主が保有する株式を売却するなどによって利益が発生した場合、あるいは所定期間や所定日を経過した場合などが一例としてあげられるが、それらに限定するものではなく、任意の条件を支援者との間で、あらかじめ規約、契約などで定めておいてもよい。報酬総額としては、たとえば利益のうちの所定割合、支援者によって企業価値を増大させた価値(増大企業価値)のうち所定割合など、任意のものを用いて算出することができる。利益または増大企業価値のうち、報酬総額とする割合については、あらかじめ規約、契約などで定めておいてもよい。割合としては0%より大きく100%以下であればよい。また報酬総額としては、固定金額としてもよいし、固定金額を報酬総額の最低金額として定めていてもよい。報酬総額については、規約や契約で定めた方法により算出された金額であればよい。
【0049】
たとえばA社が上場したことで株主が保有する株式を売却して利益が発生した場合、報酬処理部26は、利用者情報記憶部21を参照して、A社により各支援者に付与されたポイント数の合計を算出する。そして、利益の一部または全部による報酬総額を合計ポイント数で除することで、1ポイントあたりの報酬額(報酬単価)を算出する。そして利用者情報記憶部21を参照して、A社のポイント数に応じた支援者ごとの報酬額を算出する。そして算出した報酬額について、利用者情報記憶部21を参照し、報酬支払先情報を用いて送金処理を実行する。
【0050】
報酬処理部26における報酬の算出処理は上述に限るものではなく、所定条件を充足した場合に、企業ごとのポイント数に応じて報酬を算出できれば、任意の算出方法を用いることができる。
【0051】
なお、本発明の以下の説明においては、わかりやすさのために「ポイント」の名称を用いるが、支援者が行った支援による企業への貢献を示す指標であれば如何なるものであってもよい。指標としては客観的な値のほか、ランクなど幅を持たせた情報であってもよい。
【実施例0052】
つぎに本発明の情報処理システム1を用いた処理の一例を
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、本発明の情報処理システム1を利用することを希望する企業は、事前に、所定の方法により、企業の情報を企業情報記憶部20に記憶させておく。また、同様に、利用者は、事前に、所定の方法により、利用者の情報を利用者情報記憶部21に記憶させておく。
【0053】
本発明の情報処理システム1を利用して支援を受けることを希望する企業は、所定の方法により管理端末2にアクセスしてログインをする。そして、企業が支援を希望する支援の内容、支援に対して付与するポイント数を案件情報として入力し、企業端末3から管理端末2に送る。管理端末2の案件処理部22では、企業端末3から送られた案件情報を受け付け、案件情報を識別するための識別情報を付して、案件情報記憶部23に記憶させる(S100)。この際に、案件識別情報に対応づけて、当該企業の企業識別情報、支援内容とその付与するポイント数を対応づけて案件情報記憶部23に記憶させる。
【0054】
そして、案件処理部22は、新しい案件情報が登録されると、利用者情報記憶部21に記憶する利用者に対して当該案件情報が登録されたことを通知し、案件を紹介する(S110)。この場合、案件情報の登録を電子メールやSNSのメッセージなどを通じて提供してもよいし、利用者用のウェブページに案件情報が登録されたことを表示するなど、任意の方法を用いることができる。そして、利用者端末4から所定の方法により管理端末2にアクセスを受け付けることで、当該案件情報を案件情報記憶部23から抽出して、その情報を利用者端末4に表示させることで、利用者は案件の内容を知ることができる。
【0055】
利用者に対する案件紹介は、当該利用者が自己の志向に応じて、あらかじめ登録していた企業(たとえば、「A社」や「B社」など)、あらかじめ登録していた案件(たとえば、「飲食に関連する企業」、「子育てに関連する企業」、「医療介護に関連する企業」、「ペット・動物に関連する企業」、「釣りに関連する企業」など)に合致する企業、あらかじめ登録していた条件(たとえば、「モニター募集」、「商品購入」など)に合致する支援内容についてのみ、行うこととしてもよい。また、利用者に対する案件紹介においては、当該利用者の属性や過去の支援実績の内容に応じて、統計的に当該利用者の関心が高いと考えられる案件を優先的に表示するように構成してもよい。これにより、利用者は、自己の志向に合致した案件を効率的に知ることができる。
【0056】
利用者が案件に関心を示し、当該企業に対して支援をすることを希望した場合、所定の操作を行うことで、当該案件への参加登録を行う(S120)。たとえば、案件情報を表示するウェブページにある「参加」ボタンを押下することで、利用者端末4から管理端末2に対して、当該利用者の利用者識別情報と案件識別情報と参加希望の情報とが送られ、それを管理端末2の参加処理部24で受け付けることで、参加処理部24は、利用者情報記憶部21に、当該利用者が案件へ参加していることを記憶させ、案件への参加登録処理が行われる。これによって、利用者は当該企業への支援者となる。
【0057】
そして利用者端末4から案件の内容に従った支援が行われたことを支援記録処理部25で受け付けると(S130)、または、企業端末3で案件の内容に従った支援が行われた記録の情報を支援記録処理部25で受け付けると(S130)、利用者情報記憶部21に、当該支援者の利用者識別情報に対応づけて、当該企業への支援としてポイントを記憶させる(S140)。
【0058】
管理端末2で支援の有無を検出する場合には、以下のような処理でポイントを記録できる。たとえば、支援の内容として、管理端末2側で提供しているウェブページでのC社へのアンケートへの回答であり、付与されるポイント数が0.5ポイントであったとする。この場合、利用者端末4から所定の方法により当該アンケートの回答ページへのアクセスを受け付け、支援記録処理部25がアンケートの回答の正常な終了を検出すると、支援記録処理部25は、当該アンケートの回答に対応する案件識別情報に基づいて、案件情報記憶部23を参照して付与するポイント数0.5ポイントを特定する。そして、アクセスを受け付けた支援者の利用者識別情報に対応づけて、C社の0.5ポイントを各支援者に加算して、利用者情報記憶部21に記憶させる。
【0059】
以上の処理によって、管理端末2で支援の有無を検出する場合の支援の記録の管理ができる。なお、処理はこれに限定するものではなく、任意の方法で記録することができる。
【0060】
また、企業側で支援の管理を行い、その情報を企業端末3から受け付ける場合には、以下のような処理でポイントを記録できる。たとえば、支援の内容として、D社の商品のモニター募集であり、付与されるポイント数が1ポイントであったとする。この場合、企業(D社)で支援者の利用者識別情報を記録し、そのモニター募集が正常に終了したことを、利用者識別情報に対応づけて記録しておく。そして、所定のタイミングで、支援記録処理部25は、企業端末3から、各支援者による支援の記録、たとえば支援(モニター)を行った支援者の利用者識別情報と案件識別情報とを受け付ける。そして支援記録処理部25は、案件情報記憶部23を参照して、当該案件識別情報によって付与されるポイント数1を特定する。そして、企業端末3から受け付けた支援の記録における各支援者の利用者識別情報に対応づけて、D社の1ポイントを各支援者に加算して、利用者情報記憶部21に記憶させる。
【0061】
以上の処理によって、企業側で支援の管理を行い、その情報を企業から受け付ける場合の支援の記録の管理ができる。なお、上述と同様、処理はこれに限定するものではなく、任意の方法で記録することができる。
【0062】
以上のように、企業が案件を登録後、その案件を終了するまで、あるいは企業がIPOによる株式公開を行う、株式が第三者に譲渡等されるなど、所定の条件を充足するまで、各支援者による支援が繰り返され、ポイントがそれぞれ記憶される(S150)。
【0063】
なお、支援者は、所定の操作により、自己が行った支援の実績を、利用者端末4に表示させることができる。たとえば、支援者は、案件情報を表示するウェブページにある「支援実績」ボタンを押下することで、管理端末2から利用者端末4に対して、特定の企業や特定の案件の支援によって当該支援者に付与されたポイント数の情報が送られ、利用者端末4のディスプレイに表示されるようにすることができる。また、このポイント数の表示の際に、支援した案件の情報やポイント数の他に、支援者の実名ではなく、支援者が予め登録していたニックネームを利用者端末4のディスプレイに表示させることができる。これにより、支援者は、実名などの個人情報をマスキングするなどの特段の作業をすることなく、自己が当該企業や当該案件を支援したことを公にする目的で、当該画面のキャプチャ画像をSNSなどで容易に公開することができる。
【0064】
そして、所定条件を充足した場合、たとえば、株主が保有する株式を売却して利益が株主に発生した場合、利益のうち一部または全部が運営会社に支払われる。そして運営会社に利益の一部または全部が支払われると、報酬処理部26は、当該企業により付与されたポイント数を用いて、支援者に対して支払う報酬を算出する(S160)。
【0065】
たとえば報酬処理部26は、当該企業により各支援者に付与されたポイント数の合計を、利用者情報記憶部21を参照することで算出し、運営会社に支払われた金員のうち支援者に対して支払う報酬総額を、当該ポイント数の合計で除算し、報酬単価を算出する。そして利用者情報記憶部21に記憶する、利用者ごとの当該企業のポイント数に応じて利用者ごとの報酬額を算出する(S170)。
【0066】
一例として、株主によるZ社の株式の売却益が5億円あり、運営会社に2億円支払われたとする。このうち、運営会社が支援者に対して50%を支払う場合、報酬処理部26は、運営会社の担当者が入力した運営会社に支払われた額、報酬総額に充当する比率の入力を受け付け、報酬処理部26は、各支援者に対して支払う報酬総額として1億円(=2億円×50%)を算出する。あるいは、報酬処理部26は、報酬総額そのものの入力を受け付けてよい。
【0067】
そして、報酬処理部26は、利用者情報記憶部21を参照して、Z社によって各支援者に付与されたポイント数の合計、たとえば1万ポイントを算出し、報酬単価として1ポイント1万円(=報酬総額1億円÷ポイント数の合計1万ポイント)を算出する。ある支援者のZ社のポイント数の合計が3ポイントであれば、報酬処理部26は、当該支援者に対しての報酬額として3万円(=付与ポイント数3ポイント×報酬単価1万円)を算出する。また、別の支援者のZ社のポイント数の合計が10.5ポイントであれば、報酬処理部26は、当該支援者に対しての報酬額として10.5万円(=付与ポイント数10.5ポイント×報酬単価1万円)を算出する。
【0068】
報酬処理部26は、算出した支援者ごとの報酬額について、利用者情報記憶部21に記憶する報酬支払先情報に基づいて、支援者ごとに報酬額の送金処理を実行する(S170)。なお、報酬額の送金処理は、金融機関への送金処理のほか、各種の決済処理手段により送金処理を用いてもよい。また一定の金額までは金融機関以外の決済処理手段による送金処理、一定の金額以上は金融機関への送金処理のように、複数の送金処理を組み合わせてもよい。
【0069】
以上のような処理によって、支援者は、自らが関心をもった企業の案件に対して出資以外の方法により支援を行うことができ、かつ、その企業が上場等のイベントを達成した場合にはそれによる金銭的なメリットも享受することができる。
【0070】
なおすでに述べたように、上述の説明では、株主が株式を保有し、本発明の情報処理システム1の管理端末2は、株主から業務委託を受けた運営会社が用いる場合を説明したが、運営会社自体が株主として株式を保有してもよい。その場合、
図8の概要図のように構成することができ、その処理は上述と同様に実行できる。
【0071】
また、本発明は、企業であれば適用できるが、スタートアップ企業などは支援が必要なことも多いため、より一層の効果を得ることができる。
支援者は、付与されたポイントを通常のポイントサービスと同様に、運営会社が利用するウェブサイト、あるいは運営会社のポイントが利用可能な第三者のウェブサイトで利用することができる。この場合は、通常のポイントサービスと同様に、利用に応じてポイント数の変化がある。また、支援者は付与されたポイントを、そのまま運営会社に預け、ポイントの運用を委託してもよい。たとえば、自らに付与されたA社のポイント10ポイントの運用を委託して、運営会社はそのポイントを0.1円相当として運用し、増減させてもよい。なお、運営会社が運営するポイントではなくて、運営会社以外の第三者が運営するポイントであってもよい。
企業がIPOによる株式公開を行う場合、M&Aなどで株式が第三者に譲渡等される場合などでは、株主が保有する株式によって利益を得るが、その利益の一部から、運営会社との契約で定めている算出方法で算出される金額や所定の金額を運営会社に支払う(実際に金銭の移動は伴わなくてもよい)。なお、株主が利益を得た場合のみならず、たとえば支援者による支援により当該企業の企業価値が増大した場合など、あらかじめ定めた条件を充足した場合に、契約で定めている算出方法で算出される金額や所定の金額などが株主から運営会社に支払われればよい(実際に金銭の移動は伴わなくてもよい)。そして、運営会社が受領した金額など、所定の金額(支援者に対して支払う報酬の総額)に応じて、支援者に対して付与されたポイント数を増加させて、またはポイントと金員の交換比率を変更して、当該支援者がポイントを利用可能とする。
本実施例における情報処理システム1では、さらに、運用処理部27を有している。また、本実施例における報酬処理部26は、実施例1とは異なり、以下のような処理を実行する。
運用処理部27は、ポイントの運用処理を行う。ポイントの運用処理としては、公知の各種の方法を用いることができる。たとえばポイントと金員の交換比率に応じて、運営会社は、当該ポイントに相当する金額を運用し、その運用実績を当該支援者のポイント数に反映させる。たとえばA社のポイントと金員の交換比率が1ポイント0.01円の場合であって、支援者から1000ポイントの運用を委託された場合、10円相当として運用の処理を行う。そして運用の結果、10%の利益が得られた場合、11円相当となるので、当該支援者のポイントとして1100ポイントとして利用者情報記憶部21に記憶させる。
報酬処理部26は、あらかじめ定めた条件を充足したときに、支援者に付与するポイント数を算出し、あるいは支援者に付与するポイントと金員との交換比率を変更する処理を実行する。あらかじめ定めた条件を充足する場合としては、上述と同様に、たとえば、企業がIPOによる株式公開を行うことで株主が保有する株式により利益が発生した場合、M&Aなどで株式が第三者に譲渡等されることで株主が保有する株式により利益が発生した場合、所定期間や所定日を経過した場合など、あらかじめ契約や規約などで定めた任意の条件でよい。
たとえばA社が上場したことで株主が保有する株式を売却して利益が発生した場合、報酬処理部26は、利益の一部または全部の報酬総額を、当該企業のポイントと金員との交換比率で除することで報酬総ポイント数を算出する。そして、利用者情報記憶部21を参照して、A社により付与されたポイント数の合計を算出する。そして、報酬総ポイント数を、付与されたポイント数の合計で算出し、1ポイントあたりに付与されるポイント数(報酬基準ポイント数(報酬基準指標数))を算出する。そして利用者情報記憶部21を参照して、A社のポイント数に応じた支援者ごとの報酬ポイントを算出し、利用者情報記憶部21に記憶させる。
具体的には、ある支援者に10ポイントが付与されており、報酬総額が5000万円、交換比率が1ポイントあたり0.01円、A社により付与されたポイント数の合計が1万ポイントであったとする。この場合、報酬処理部26は、報酬総額(5000万円)を交換比率(0.01円)で除算することで、報酬総ポイント数として50億ポイントを算出する。そして、報酬総ポイント数(50億ポイント)をA社により付与されたポイント数の合計(1万ポイント)で除算することで、報酬基準ポイント数として50万ポイントを算出する。この報酬基準ポイント数と、支援者に付与された10ポイントとを乗算することで、当該支援者に付与する報酬となるポイント数を500万ポイント(5万円相当)として算出し、利用者情報記憶部21に記憶させる。これによって、支援者は、500万ポイント(5万円相当)を、運営会社あるいは第三者のウェブサイトなどで利用することができる。なお、この際に付与する報酬ポイントとしては、A社のみのポイントであってもよいし、運営会社または第三者が発行するポイントであってもよい。運営会社または第三者が発行するポイントを支援者に割り当てる場合には、A社のポイントと割り当てるポイントとの交換比率を記憶しておき、それに基づいて付与するポイント数を算出する。
また、支援者に付与したポイントと金員との交換比率を変更する場合には、以下のように処理を行ってもよい。たとえばA社が上場したことで株主が保有する株式を売却して利益が発生した場合、報酬処理部26は、利益の一部または全部の報酬総額を、A社により付与されたポイント数の合計で除することで、A社のポイントと金員との交換比率(変更後の交換比率)を算出する。そして、各支援者は、利用者情報記憶部21に記憶する、すでに付与されているポイント数について、当該交換比率に基づく相当額として、運営会社あるいは第三者のウェブサイトなどで利用可能とすることができる。
具体的には、上述と同様に、ある支援者に10ポイントが付与されており、報酬総額が5000万円、当初の交換比率が1ポイントあたり0.01円、A社により付与されたポイント数の合計が1万ポイントであったとする。この場合、報酬処理部26は、報酬総額(5000万円)をA社により付与されたポイント数の合計1万ポイントで除算することで、変更後の交換比率(1ポイントあたり5000円)を算出する。そして、支援者は、10ポイントを付与されているので、10ポイントを5万円相当として、運営会社あるいは第三者のウェブサイトなどで利用することができる。
支援者が所望する場合には、利用者端末4で所定の操作を行うことで、自らに付与された企業ごとのポイントの運用を運営会社に依頼することができる。当該依頼を利用者端末4から受け付けた管理端末2の運用処理部27は、利用者情報記憶部21に記憶する当該支援者のポイントを参照し、所定の交換比率に従って通貨、たとえば円に換算し、換算した金額に基づいて運用を実行する。なお、この交換比率は、企業ごとに異なっていてもよいし、企業同士で共通していてもよい。また、上述と同様に、運営会社が運営するポイントではなくて、運営会社以外の第三者が運営するポイントであってもよい。
そして、運用処理部27は、ポイントの運用処理の結果を、上述の交換比率に従ってポイントに換算して、利用者情報記憶部21に記憶する当該支援者のポイント数に反映させる(S250)。
また、企業が案件を登録後、その案件を終了するまで、あるいは企業がIPOによる株式公開を行う、株式が第三者に譲渡等されるなど、所定の条件を充足するまで、各利用者による支援が繰り返される(S260)。
そして、所定条件を充足した場合、株主が保有する株式を売却して利益が株主に発生する。そして利益のうち一部または全部が運営会社に支払われる。そして運営会社に金員が支払われると、報酬処理部26は、条件を充足した企業により付与されたポイント数を用いて、支援者に対して付与する報酬となるポイント数を算出する(S270)。
報酬処理部26は、報酬総額を交換比率で除算することで、報酬総ポイント数を算出する。そして、報酬総ポイント数を、利用者情報記憶部21を参照して算出した当該企業により付与されたポイント数の合計で除算して、報酬基準ポイント数を算出する。そして、各支援者について、利用者情報記憶部21に記憶する当該企業により付与されたポイント数に、報酬基準ポイント数を乗算することで、当該支援者に付与する報酬となるポイント数を算出し、利用者情報記憶部21に記憶させる。
一例として、株主によるZ社の株式の売却益が5億円あり、運営会社に1億円支払われたとする。このうち、運営会社が支援者に対して50%を支払う場合、報酬処理部26は、運営会社の担当者が入力した運営会社に支払われた額、報酬総額に充当する比率の入力を受け付け、報酬処理部26は、各支援者に対して支払う報酬対象額として5000万円(=1億円×50%)を算出する。あるいは、報酬処理部26は、報酬総額そのものの入力を受け付けてよい。
そして、報酬処理部26は、報酬総額5000万円を交換比率0.01円で除算することで、報酬総ポイント数として50億ポイントを算出する。そして報酬総ポイント数50億ポイントを、利用者に対して付与されたZ社のポイント数の合計1万ポイントで除算することで、報酬基準ポイント数として50万ポイントを算出する。そして、報酬処理部26は、利用者情報記憶部21に記憶するZ社により付与されたポイント数10ポイントを乗算することで、当該支援者に対して付与する報酬となるポイント数を500万ポイント(5万円相当)として算出し、当該支援者の利用者識別情報に対応づけて利用者情報記憶部21に記憶させる。
報酬処理部26は、利用者端末4からのポイントの引出、利用指示を受け付けると、利用者識別情報に基づいてポイント数を減算し、利用者情報記憶部21に記憶するポイント数を減算する。
以上のような処理を実行することで、実施例1と同様に、利用者は、自らが関心をもった企業の案件に対して出資以外の方法により支援を行うことができ、かつ、その企業が上場等のイベントを達成した場合にはそれによる金銭的なメリットも享受することができる。また、対価性のあるポイントを付与し、ポイントとしてそのまま利用させることが可能となる。
なお、本実施例において、支援者に対して報酬として付与されたポイントについては、当該ポイントと金員との交換比率を、たとえば当該企業の株価に連動させてもよい。交換比率を企業の株価に連動させて変更させることで、当該企業の株価が上昇すれば、交換比率もよくなることから、案件の終了後であっても、当該企業に対する関心を継続させることができる。