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特開2024-155627無線装置、通信制御方法および通信制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155627
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】無線装置、通信制御方法および通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H04B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070500
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石田 玲実冬
(72)【発明者】
【氏名】西口 育宏
(72)【発明者】
【氏名】藪本 浩介
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060BB04
5K060CC04
5K060DD04
5K060GG03
5K060NN09
(57)【要約】
【課題】無線装置の本体に接続される複数の操作端末のIDの設定を簡単かつ確実に行う。
【解決手段】無線装置(100)は、それぞれに固有のIDが付与され、DSC(Digital Selective Calling)通信のタスクに関する操作を行う複数の操作端末(2)と、複数の操作端末(2)のうちの1つが選択されると、操作端末(2)に付与されているIDを、優先的にDSC操作を行うことができる操作端末(2)であることを示す優先IDに変更し、複数の操作端末(2)のうちの選択されなかった残余のIDを優先ID以外の非優先識別子に変更するID変更部(112)と、優先IDが付与された操作端末(2)による操作を受け付けて前記タスクを実行する実行部(113)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別子が付与され、DSC(Digital Selective Calling)通信のタスクに関する操作を行う複数の操作部と、
前記複数の操作部のうちの1つが選択されると、当該操作部に付与されている前記識別子を、優先的に前記操作を行うことができる前記操作部であることを示す優先識別子に変更し、前記複数の操作部のうちの選択されなかった残余の前記識別子を前記優先識別子以外の非優先識別子に変更する変更部と、
前記優先識別子が付与された前記操作部による操作を受け付けて前記タスクを実行する実行部と、を備える、無線装置。
【請求項2】
前記識別子が付与され、前記変更部による前記識別子の変更を行うことができない、前記DSC通信に関する操作を行う独立操作部をさらに備え、
前記変更部は、前記独立操作部の前記識別子が前記優先識別子であるときに、前記優先識別子が付与された前記操作部の前記識別子を前記非優先識別子に変更する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記独立操作部の前記識別子が前記非優先識別子であるときに、当該独立操作部を前記優先識別子が付与されているものとして扱うように設定する優先設定部をさらに備える、請求項2に記載の無線装置。
【請求項4】
前記複数の操作部および前記独立操作部のうちの最初に前記操作を行った1つに、当該操作が終了するまで優先的に操作を行うことができる操作権を付与する操作権設定部をさらに備える、請求項2に記載の無線装置。
【請求項5】
前記複数の操作部および前記独立操作部による通信が有効である場合、前記複数の操作部および前記独立操作部のそれぞれを認識する認識部をさらに備え、
前記操作権設定部は、前記認識部が前記複数の操作部および前記独立操作部のそれぞれを認識しなくなったとき、前記複数の操作部および前記独立操作部のいずれかに付与された前記操作権を解除する、請求項4に記載の無線装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線装置としてコンピュータを機能させるための通信制御プログラムであって、各部としてコンピュータを機能させるための通信制御プログラム。
【請求項7】
識別子が付与され、DSC(Digital Selective Calling)通信のタスクに関する操作を行う複数の操作部のうちの1つが選択されると、当該操作部に付与されている前記識別子を、優先的に前記操作を行うことができる前記操作部であることを示す優先識別子に変更し、前記複数の操作部のうちの選択されなかった残余の前記識別子を前記優先識別子以外の非優先識別子に変更する変更ステップと、
前記優先識別子が付与された前記操作部による操作を受け付けて、前記タスクを実行する実行ステップと、を含む、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSC(Digital Selective Calling)機能を備えた無線装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶無線通信では、操作端末を用いてDSC機能に関する各種の操作を行うことができる無線装置が利用されることがある。例えば、特許文献1には、ユーザが、ハンドセット端末を用いて、自船から近い他船の表示順序などを設定する操作、特定した他船との無線通信を開始する操作などを行うことが記載されている。
【0003】
また、無線装置の本体に複数の操作端末を接続する際の運用に関する規格として、ETSI EN300 338-1、ESTI EN300 338-8が知られている。当該DSC規格では、1台の無線装置の本体に接続される複数の操作端末ごとに重複しない固有のIDを設定し、優先して操作することができる優先端末のIDを「0」に設定することが定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-8557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、複数の操作端末のIDの設定については、自由に行われるので、IDが重複して設定されたり、優先端末が不在となったりする不都合が生じる。このような不都合が生じないようにするには、IDの設定を厳密に管理するなどの措置をとる必要があり、簡単にIDを設定することができない。
【0006】
本発明の一態様は、無線装置の本体に接続される複数の操作端末のIDの設定を簡単かつ確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線装置は、識別子が付与され、DSC通信のタスクに関する操作を行う複数の操作部と、前記複数の操作部のうちの1つが選択されると、当該操作部に付与されている前記識別子を、優先的に前記操作を行うことができる前記操作部であることを示す優先識別子に変更し、前記複数の操作部のうちの選択されなかった残余の前記識別子を前記優先識別子以外の非優先識別子に変更する変更部と、前記優先識別子が付与された前記操作部による操作を受け付けて前記タスクを実行する実行部と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信制御方法は、それぞれに固有の識別子が付与され、DSC通信のタスクに関する操作を行う複数の操作部のうちの1つが選択されると、当該操作部に付与されている前記識別子を、優先的に前記操作を行うことができる前記操作部であることを示す優先識別子に変更し、前記複数の操作部のうちの選択されなかった残余の識別子を前記優先識別子以外の非優先識別子に変更する変更ステップと、前記優先識別子が付与された前記操作部による操作を受け付けて、前記タスクを実行する実行ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、無線装置の本体に接続される複数の操作端末のIDの設定を簡単かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
図2】上記無線装置の本体装置に接続される操作端末の外観構成を示す正面図である。
図3】上記操作端末の表示部に表示される、操作端末のIDに関する各種の設定を選択するためのメニュー画面を示す図である。
図4】上記表示部に表示される、優先操作を設定する操作端末を選択するための選択画面を示す図である。
図5】上記表示部に表示される、各操作端末のIDを表示するためのID表示画面を示す図である。
図6】上記無線装置に接続される上記操作端末のID変更の処理手順を示すフローチャートである。
図7】上記操作端末および上記外部操作端末からの操作の受け付けの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
【0012】
〈無線装置の概要〉
図1は、本発明の一実施形態に係る無線装置100の構成を示すブロック図である。
【0013】
無線装置100は、国際VHF(Marine VHF Radio)のような海上無線システムで通信を行う海上無線通信機能を有する他、DSC(Digital Selective Calling)機能を有する。
【0014】
ここで、海上無線通信とは、陸上の無線局と船舶局等の海上を移動する無線局との間の無線通信および船舶局等の海上を移動する無線局同士の無線通信のうち、DSCを除くものを対象とする。また、本実施形態は、国際VHF以外の海上無線システムが適用されてもよい。
【0015】
図1に示すように、無線装置100は、本体装置1と、複数の操作端末2(操作部)と、外部操作端末3(独立操作部)と、アンテナ4とを備えている。なお、本実施形態においては、3台の操作端末2が設けられている例について説明するが、操作端末2の台数については3台に限定されないことは勿論である。
【0016】
操作端末2および外部操作端末3は、それぞれに固有のID(識別子)が付与され、通常の送受信についての機能を有する他、DSC通信のタスクに関する操作を行う機能を有している。ここで、外部操作端末3のIDについては、後述する制御部11によって変更することができない。また、操作端末2および外部操作端末3は、それぞれ本体装置1とは独立して電源をONおよびOFFすることができる。
【0017】
本体装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、送受信切替部14と、インターフェース部15(認識部)とを有している。
【0018】
制御部11は、本体装置1の各部を制御する機能を有する。また、制御部11は、操作権設定機能、ID設定機能、優先操作設定機能、操作実行機能などを実現する。
【0019】
操作権設定機能は、最初にDSCタスクについての操作(以降、「DSC操作」と称する)を行った操作端末2および外部操作端末3に対して、操作を行うことができる操作権を設定する機能である。ID設定機能は、複数の操作端末2にそれぞれ上記のIDを自動設定する機能である。優先操作設定機能は、DSC操作を優先的に可能にする優先権の設定を選択された操作端末2または外部操作端末3に対して行う機能である。操作実行機能は、操作端末2および外部操作端末3による操作を受け入れて、DSCタスクを実行する機能である。
【0020】
なお、以降の説明では、操作端末2および外部操作端末3を特定しない場合、操作端末2および外部操作端末3に代えて単に「端末」と称する。
【0021】
ここで、端末は、本体装置1に有線にて通信可能に接続されており、操作権を有する端末または優先端末に設定にされた端末がDSC操作をすることができる。操作権および優先端末については、後に詳しく説明する。
【0022】
DSCタスクとしては、DSCについての各種の機能の設定、他船との無線通信およびディストレス送信以外のタスク(受信を含む)が挙げられる。なお、ディストレスの送信は、緊急手段であるため、例外として、操作権もしくは優先権を有していない端末からでも行うことができる。
【0023】
制御部11は、操作権設定部111と、ID変更部112(変更部)と、実行部113と、ID認識部114と、優先設定部115とを有している。
【0024】
操作権設定部111は、複数の操作端末2のうちの最初にDSC操作を行った1つに、当該DSC操作が終了するまでDSC操作を行うことができる操作権(第2操作権)を付与する。また、操作権設定部111は、後述するインターフェース部15が、操作権を有する端末を認識しなくなったとき、当該操作権を解除する。
【0025】
ID変更部112は、複数の操作端末2のうちの1つが選択されると、その操作端末2に付与されているIDを、優先ID(優先識別子)に変更する。また、ID変更部112は、複数の操作端末2のうちの選択されなかった残余に優先ID以外の非優先ID(非優先識別子)に変更する。また、ID変更部112は、外部操作端末3のIDが優先IDであるときに、後述する管理テーブルを参照して、優先IDが付与された操作端末2があれば、その操作端末2のIDを非優先IDに変更する。
【0026】
実行部113は、優先IDが付与された端末による操作を受け付けて上述したDSCタスクを実行する。例えば、実行部113は、DSC通信を行うために、通信部13を制御する。
【0027】
ID認識部114は、端末に付与されたIDをそれぞれ取得して、当該IDが優先IDであるか非優先IDであるかを認識する。ID認識部114は、認識したIDを優先設定部115に通知する。
【0028】
優先設定部115は、外部操作端末3のIDが優先IDであるときに、外部操作端末3を、優先的にDSC操作をすることができる優先端末として優先権を付与する。また、優先設定部115は、外部操作端末3のIDが非優先IDであっても、後述する操作端末2でのユーザの操作によって、その外部操作端末3が優先端末として選択された場合には、その外部操作端末3を優先IDが付与されているものとして、優先権を付与する。基本的に、優先端末は優先IDが付与されている端末であるが、外部操作端末3については、優先IDが付与されていなくても、優先端末として設定されている場合に限り優先端末として扱われる。
【0029】
記憶部12は、無線装置100の制御に必要な情報を記憶するために設けられており、メモリなどの記憶装置によって構成されている。さらに、記憶部12は、管理テーブルを記憶している。管理テーブルは、操作端末2および外部操作端末3のIDの管理と、操作端末2および外部操作端末3の操作権および優先権とを管理するために設けられている。
【0030】
管理テーブルには、本体装置1に接続されている操作端末2ごとに設定されたIDが記憶されている。また、管理テーブルには、優先IDが付与された外部操作端末3について、優先設定部115によって優先端末であるという設定がされている場合、当該設定が記憶されている。また、管理テーブルには、非優先IDが付与された外部操作端末3について、優先設定部115によって優先端末であるという設定がされている場合、当該設定が記憶されている。
【0031】
通信部13は、受信部131と、送信部132とを有している。受信部131は、通常の無線受信を行う他、DSC情報、例えば、他船からの呼出信号に基づく呼出情報を受信する。送信部132は、通常の無線送信を行う他、DSC情報、例えば、他船への呼出信号を送信する。
【0032】
送受信切替部14は、操作端末2および外部操作端末3の送信操作時に、送信部132から出力される、例えば国際VHFバンドの送信信号をアンテナ4に出力する。また、送受信切替部14は、操作端末2および外部操作端末3の送信非操作時に、アンテナ4によって受信される、例えば国際VHFバンドの受信信号を受信部131に出力する。
【0033】
インターフェース部15は、操作端末2および外部操作端末3との信号の授受を行う。インターフェース部15は、操作端末2および外部操作端末3のそれぞれの電源がONした場合などのように、本体装置1と操作端末2および外部操作端末3との間の通信が有効である場合、操作端末2および外部操作端末3のそれぞれを認識する。また、インターフェース部15は、本体装置1と操作端末2および外部操作端末3との間の通信が無効である場合、操作端末2および外部操作端末3のそれぞれを認識しない。当該場合は、操作端末2および外部操作端末3のそれぞれの電源がOFFした場合、本体装置1と操作端末2および外部操作端末3との間の通信が遮断された場合などである。
【0034】
操作端末2は、送受信の入出力デバイスとして、スピーカ21およびマイク22を有している。また、操作端末2は、各種の情報を表示する表示部23と、各種の操作入力を行うための操作部24とを有している。また、操作端末2は、送信操作を行うためのPTTスイッチ25を有している。さらに、操作端末2は、端末制御部20と、インターフェース部26とを有している。
【0035】
端末制御部20は、操作端末2の各部を制御する機能を有する。また、端末制御部20は、表示制御部201と、ID選択部202とを有している。表示制御部201は、表示部23に各種の情報を所定の形式で表示させる。ID選択部202は、上述した優先IDを付与する操作端末2を選択するために、操作部24のユーザによる操作を受け付けて、本体装置1の記憶部12(管理テーブル)に保存されている優先設定を変更する。
【0036】
インターフェース部26は、本体装置1との信号の授受を行う。インターフェース部26と本体装置1のインターフェース部15とは、ケーブル27を介して接続されている。ケーブル27は、データライン、AFライン、PTTキーライン等を有する。操作端末2は、数十メートルという長尺のケーブル27を介して本体装置1と接続することができる。これにより、船舶内で本体装置1と離れた位置に操作端末2を配置することができる。
【0037】
外部操作端末3は、ケーブル27とは別のケーブルを介して本体装置1と接続されている。これにより、船舶内で本体装置1と離れた位置に外部操作端末3を配置することができる。
【0038】
〈操作端末の外観構成〉
図2は、無線装置100の本体装置1に接続される操作端末2の外観構成を示す正面である。
【0039】
図2に示すように、操作端末2は、ケース28を有している。ケース28には、ケーブル27が接続される一端側に、スピーカ21およびマイク22が内蔵されている。スピーカ21から出力される音声およびマイク22への音声は、ケース28の操作面に設けられた複数のスリット28aを通過する。
【0040】
ケース28の他端側の操作面には、表示部23が配置されている。表示部23は、液晶表示装置などで構成されており、矩形の表示面を有している。
【0041】
ケース28の操作面における中間領域には、操作部24が設けられている。操作部24は、移動キー、メニューキー、エンターキー、クリアキーなどの各種の操作キーを含んでいる。なお、ディストレスキーは、ケース28における操作面と反対側の裏面に設けられている。
【0042】
移動キーは、表示部23に表示された画面上での入力位置を左方向、右方向、上方向および下方向へ変更するための操作キーである。メニューキーは、表示部23にメニュー画面を表示させるための操作キーである。上下方向の移動キーは、運用チャンネルを選択するためにも用いられる。エンターキーは、選択、入力などをした事項を確定するための操作キーである。クリアキーは、機能や設定を解除するための操作キーである。ディストレスキーは、ディストレスコール(遭難信号)を送信するための操作キーである。
【0043】
ケース28の一方の側面における表示部23の付近には、PTTスイッチ25が配置されている。
【0044】
〈表示画面の構成〉
図3は、操作端末2の表示部23に表示される、操作端末2のIDに関する各種の設定を選択するためのメニュー画面211を示す図である。図4は、表示部23に表示される、優先操作を設定する操作端末2を選択するための選択画面212を示す図である。図5は、表示部23に表示される、操作端末2のIDを表示するためのID表示画面213を示す図である。
【0045】
操作端末2の表示制御部201は、図3に示すメニュー画面211、図4に示す選択画面212、および図5に示すID表示画面213を表示する。
【0046】
メニュー画面211は、操作端末2のIDに関する各種の項目を選択する画面である。「名称」は、操作端末2に付与する名称を入力して設定するための名称設定画面(図示せず)に表示を切り替える項目である。「優先操作」は、優先IDを付与する操作端末2および外部操作端末3を選択するための選択画面212に表示を切り替える項目である。「ID表示」は、ID表示画面213に表示を切り替える項目である。
【0047】
選択画面212は、優先IDを付与する優先端末として端末の中から1つを選択するために、端末に付与された名称を含んでいる。
【0048】
ID表示画面213は、それぞれの端末に付与されているIDを示す画面である。ID表示画面213においては、端末の名称の右側にIDを表す番号が示される。
【0049】
〈ID設定および操作受付〉
無線装置100による、IDの変更と、操作端末2および外部操作端末3からの操作の受付処理(通信制御方法)とについて説明する。図6は、無線装置100による、操作端末2のID設定の処理手順を示すフローチャートである。図7は、無線装置100による、端末からの操作の受け付けの処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
まず、IDの変更について説明する。図6に示すように、制御部11のID変更部112は、本体装置1に接続されている操作端末2および外部操作端末3のうちのいずれか1つの端末が優先端末として選択されたか否かを判定する(ステップS1)。ID変更部112は、操作端末2のID選択部202によって選択された操作端末2のIDが選択信号として入力され、当該選択信号に基づいて優先端末として選択された操作端末2を認識する。
【0051】
ID変更部112は、ステップS1において、ID認識部114によるIDの認識結果に基づいて、操作端末2のいずれかが優先端末として選択されていないと判定すると(NO)、当該判定を継続して行う。また、ID変更部112は、ステップS1において、操作端末2のいずれかが優先端末として選択されたと判定すると、選択された優先端末が外部操作端末3であるか否かを判定する(ステップS2)。ID変更部112は、ステップS2において、選択された優先端末が外部操作端末3でないと判定すると(NO)、選択された操作端末2のIDを優先IDである「0」に変更し、優先権を付与する(ステップS3,変更ステップ)。また、ID変更部112は、優先端末として選択されなかった他の操作端末2のIDを「0」以外に変更して(ステップS4,変更ステップ)、処理を終える。
【0052】
また、ステップS2において、ID変更部112により、選択された優先端末が外部操作端末3であると判定されると(YES)、優先設定部115は、選択された外部操作端末3を優先端末に設定し、優先権を付与する(ステップS5)。そして、ID変更部112は、優先端末として選択されなかった全ての操作端末2のIDを「0」以外に変更して(ステップS6)、処理を終える。
【0053】
なお、ID変更部112は、ステップS4において、他の操作端末2のIDを「0」に変更するときに、それまで「0」のIDが設定されていた操作端末2から操作権を剥奪する。また、ID変更部112は、ステップS6において、全ての操作端末2のIDを「0」に変更するときに、それまで「0」のIDが設定されていた操作端末2から操作権を剥奪する。
【0054】
続いて、操作の受付処理について説明する。図7に示すように、制御部11の操作権設定部111は、本体装置1に接続されている操作端末2および外部操作端末3のうちのいずれか1つの端末がDSCタスクを操作したか否かを判定する(ステップS11)。操作権設定部111は、ステップS11において、1つの端末もDSCタスクを操作していないと判定すると(NO)、ステップS11の処理をさらに続ける。
【0055】
ステップS11において、操作権設定部111により、1つの端末がDSCタスクを操作したと判定されると(YES)、制御部11のID認識部114は、DSCタスクを操作したのは外部操作端末3であるか否かを判定する(ステップS12)。ID認識部114は、外部操作端末3からDSC操作信号とともに送られてきた外部操作端末IDに基づき、外部操作端末3が操作した否かを判定する。外部操作端末IDには、外部操作端末3に特有のコードなどが付記されている。これにより、ID変更部112は、操作した端末が外部操作端末3であることを認識できる。
【0056】
ID認識部114は、ステップS12において、DSCタスクを操作したのは外部操作端末3であると判定すると(YES)、外部操作端末3のIDが「0」であるか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において、ID認識部114により外部操作端末3のIDが「0」であると判定されると(YES)、ID変更部112は、「0」のIDが付与されている操作端末2があれば、そのIDを「0」以外にするように管理テーブルにおいて変更する(ステップS14)。
【0057】
優先設定部115は、ID変更部112からのID変更の通知を受けて、管理テーブルにおいて外部操作端末3を優先端末に設定し、優先権を付与する(ステップS15)。すると、操作権設定部111は、DSCタスクを最初に操作した端末として当該端末に操作権を付与する(ステップS16)。操作権設定部111は、当該端末からDSC操作信号とともに送られてきた操作端末IDに基づき、管理テーブルにおいて当該端末に操作権を設定する。次いで、実行部113は、DSC操作をした端末が操作権もしくは優先権を有するか否かを判定する(ステップS17)。実行部113は、ステップS17において、操作した端末が操作権もしくは優先権を有すると判定すると(YES)、当該端末のDSC操作を受け付ける(ステップS18)。
【0058】
この状態では、実行部113が、端末からのDSC操作を受け付けてDSCタスクを実行することができる(実行ステップ)。そして、実行部113は、端末によるDSC操作が終了したか否かを判定する(ステップS19)。実行部113は、ステップS19において、端末によるDSC操作が終了したと判定すると(YES)、処理を終える一方、端末によるDSC操作が終了していないと判定すると(NO)、処理を継続する。
【0059】
ID認識部114は、ステップS13において、外部操作端末3のIDが「0」でないと判定すると(NO)、処理をステップS16に移行する。実行部113は、ステップS17において、操作した端末が操作権を有さないと判定すると(NO)、当該端末のDSC操作を受け付けずに(ステップS20)、処理をステップS19に移行する。ID認識部114は、ステップS12において、DSCタスクを操作したのは外部操作端末3でないと判定すると(NO)、処理をステップS16に移行する。
【0060】
以上のように、操作端末2および外部操作端末3のうち、優先端末として選択されたいずれか1つには、優先権が付与され、端末のうち、最初にDSC操作をした1つに操作権が付与される。
【0061】
〈実施形態の効果〉
本実施形態に係る無線装置100は、操作端末2と、ID変更部112および実行部113を有する制御部11とを備える。ID変更部112は、複数の操作端末2のうちの1つが選択されると、その操作端末2に付与されているIDを、優先IDに変更し、選択されなかった操作端末2のIDを非優先IDに変更する。実行部113は、優先IDが付与された操作端末2による操作を受け付けてDSCタスクを実行する。
【0062】
上記の構成によれば、選択された1つの操作端末2のIDが優先IDに変更され、選択されなかった操作端末2のIDが非優先IDに変更される。これにより、IDが重複して付与されたり、優先IDが付与された操作端末2が不在になったりすることを回避できる。
【0063】
また、無線装置100は、外部操作端末3を備えている。また、ID変更部112は、外部操作端末3のIDが優先IDであるときに、優先IDが付与された操作端末2のIDを非優先IDに変更する。
【0064】
上記の構成によれば、操作端末2と外部操作端末3とで重複して優先IDが付与されることを回避できる。
【0065】
また、無線装置100の制御部11は、優先設定部115を有している。優先設定部115は、外部操作端末3のIDが非優先IDであっても、外部操作端末3が優先端末として設定されている場合は、その外部操作端末3を優先IDが付与されているものとして優先設定する。
【0066】
上記の構成によれば、外部操作端末3のIDが優先IDに変更できなくても、外部操作端末3を優先IDが付与されている状態と同等に扱うことができる。
【0067】
また、無線装置100の制御部11は、操作権設定部111を有している。操作権設定部111は、複数の端末のうちの最初にDSC操作を行った1つに、そのDSC操作が終了するまで操作を行うことができる操作権を付与する。
【0068】
上記の構成によれば、優先IDが付与された操作端末2とは別に、操作権を有する操作端末2も操作できる。
【0069】
また、無線装置100は、インターフェース部15を備え、操作権設定部111は、インターフェース部15が操作端末2および外部操作端末3のそれぞれを認識しなくなったとき、当該操作権を解除する。
【0070】
操作端末2ごとに電源をOFFすることができるので、電源を本体装置1および操作端末2の間で連動させる設定をすると、1台の操作端末2がOFFすることにより、本体装置1および他の操作端末2が電源をOFFする。一方、全ての操作端末2が電源をOFFしたときに本体装置1の電源がOFFする設定もある。消費電流削減の観点から、使用していない操作端末2の電源のみをOFFすることがある。
【0071】
操作権を持つ操作端末2の電源がOFFすると、操作権を持つ端末がなくなってしまう。上記の構成によれば、本体装置1の電源OFF、本体装置1と操作端末2および外部操作端末3との間の通信遮断などにより、インターフェース部15が認識しなくなった端末に操作権が保持された続けることを回避できる。これにより、端末のうちの、次に最初に操作を行ったいずれか1つに操作権を付与することができる。
【0072】
〈変形例〉
上述した実施形態では、操作端末2および外部操作端末3によりDSC操作が行われる構成について説明したが、これに限らず、本体装置1が、操作パネルを有することにより、操作端末2および外部操作端末3と同等の操作機能を有するように構成されてもよい。このように構成する場合、本体装置1も端末と同じく操作部として機能する。また、端末と本体装置1との接続はケーブルによる接続のみではなく、無線による接続であっても良い。
【0073】
〔ソフトウェアによる実現例〕
無線装置100の機能は、無線装置100としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。当該プログラムは、無線装置100の制御部11における制御ブロック(特に、操作権設定部111、ID変更部112、実行部113、ID認識部114および優先設定部115)としてコンピュータを機能させるためのプログラム、すなわち通信制御プログラムである。
【0074】
この場合、制御部11は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、CPUおよびメインメモリをそれぞれ少なくとも1つ備えている。このCPUおよびメインメモリにより上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0075】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、無線装置100が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0076】
また、制御部11の制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。
【0077】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
2 操作端末(操作部)
3 外部操作端末(独立操作部)
13 通信部
15 インターフェース部(認識部)
100 無線装置
111 操作権設定部
112 ID変更部(変更部)
113 実行部
115 優先設定部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7