(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155645
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】安定なシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61J 1/03 20230101AFI20241024BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20241024BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241024BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61J1/03 370
A61K31/4985
A61K9/20
A61P3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023078918
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長島 彰太
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA22
4C047AA25
4C047BB01
4C047BB04
4C047BB11
4C047CC13
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD26
4C076DD28
4C076DD29
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE15
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE32
4C076FF65
4C086AA01
4C086AA10
4C086CB05
4C086GA13
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZC35
(57)【要約】
【課題】 シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤を収容する包装体であって、シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤の水分活性値が0.55未満である、包装体を提供することを目的とする。
【解決手段】 シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤を収容する包装体であって、シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤の水分活性値が0.55未満である、包装体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤を収容する包装体であって、シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤の水分活性値が0.55未満である、包装体。
【請求項2】
包装体がアルミピロー包装である、請求項1の包装体。
【請求項3】
さらに乾燥剤を収容する、請求項2の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定なシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シタグリプチンは、化学名(2R)-4-オキソ-4-[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-アミンであり、シタグリプチンリン酸塩水和物を有効成分とする錠剤は、糖尿病用剤であることが知られており、ジャヌビア(登録商標)錠12.5mg/25mg/50mg/100mgあるいはグラクティブ(登録商標)錠12.5mg/25mg/50mg/100mgとして販売されている(非特許文献1、2)。
【0003】
効能・効果は「2型糖尿病」であり、用法・用量は、通常、成人には、シタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg 1日1回まで増量することができる、という薬剤である。
【0004】
特許文献1には、シタグリプチン又はその薬学的に許容される塩及び糖アルコールである賦形剤を含有する、安定な固形製剤に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】添付文書「ジャヌビア錠12.5mg/25mg/50mg/100mg/」、2020年3月改訂(第2版)
【非特許文献2】添付文書「グラクティブ錠12.5mg/25mg/50mg/100mg/」、2020年3月改訂(第2版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、安定なシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、シタグリプチンリン酸塩無水物を含有するシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤を収容する包装体において、水分活性値が0.6未満である包装体とすることで、安定なシタグリプチンリン酸塩無水物含有固形製剤を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)シタグリプチンリン酸塩無水物を有する経口固形製剤を収容する包装体であって、シタグリプチンリン酸塩無水物を有する経口固形製剤の水分活性値が0.55未満である、包装体、
(2)包装体がアルミピロー包装である、前記(1)に記載の包装体、
(3)さらに乾燥剤を収容する、前記(2)に記載の包装体、
に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定なシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における「安定である」又は「安定性が良好である」とは、温度苛酷条件下又は温湿度苛酷条件下、薬物の分解等に起因する類縁物質量の増大及び/又は未知物質の生成・増加が抑制された状態を意味する。評価方法としては、例えば、温度苛酷条件下又は温湿度苛酷条件下、経口固形製剤を保存した後、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により試験を行い、類縁物質量を算出する方法が挙げられる。
【0012】
本明細書における「水分活性値」とは、被測定対象物を入れた密閉容器内の水蒸気圧(P)とその温度における純水の蒸気圧(PO)の比で定義されるものを意味し、以下の式によって求められる。
aw=P/PO
ここで、純水の水分活性は1.000awであり、水分活性は、0.000~1.000awの範囲で表される。
水分活性値は、例えば、水分活性測定装置(Novasina AG製;LabMASTER-aw STANDARD)で測定することが挙げられる。
水分活性値は安定性の観点から、ある態様で0.6未満、ある態様で0.2未満である。
【0013】
本発明に用いられる水分活性値は、検体について、特定の保存条件下、特定の保存期間経過後に測定される。ある態様として、40℃75%RHの条件における1ヵ月経過後の水分活性値であり、ある態様として、40℃75%RHの条件における2ヵ月経過後の水分活性値であり、ある態様として、40℃75%RHの条件における3ヵ月経過後の水分活性値であり、ある態様として、40℃75%RHの条件における6ヵ月経過後の水分活性値である。
【0014】
本明細書におけるD90とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その90%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0015】
本明細書におけるD50とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その50%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0016】
本明細書におけるD10とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その10%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0017】
以下に、本発明の安定なシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤に関して説明する。
【0018】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物は、例えば、特許3762407号に記載された方法に従って製造され得る。
【0019】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物の配合量は、医薬品製剤としての用量を構成する製剤中のシタグリプチンリン酸塩無水物量であれば、特に制限されない。具体的には、例えば、0.2~600mgであり、ある態様として10mgである。また、例えば、単位組成物全量あたり、ある態様として2~50重量%であり、ある態様として3~30重量%であり、ある態様として5~20重量%である。
【0020】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物のD90は、製造適性の観点から、ある態様として1μm以上200μm以下であり、ある態様として5μm以上150μm以下であり、ある態様として10μm以上100μm以下である。
【0021】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物のD50は、製造適性の観点から、ある態様として0.5μm以上150μm以下であり、ある態様として1μm以上100μm以下であり、ある態様として5μm以上50μm以下である。
【0022】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物のD10は、製造適性の観点から、ある態様として0.1μm以上100μm以下であり、ある態様として0.2μm以上50μm以下であり、ある態様として0.5μm以上25μm以下である。
【0023】
本発明に用いられる包装体は、経口固形製剤を密封されうるものであればよく、例えば、アルミピロー包装、PTP包装、アルミブリスター包装、SP包装、スティック包装、ガラス瓶包装、プラスチックボトル包装が挙げられる。また、プラスチックボトル包装としては、例えば、医薬品の劣化原因となる酸素の外部からの侵入を防ぐオキシバリアボトル包装が挙げられる。ある態様として、アルミピロー包装、PTP包装、プラスチックボトル包装であり、ある態様として、アルミピロー包装、オキシバリアボトル包装である。
【0024】
特に限定されないが、本発明の経口固形製剤は、医療用の包装材料を用いて包装された包装体内に、乾燥剤を入れても良い。そのような乾燥剤としては、従来の公知のものを使用できるが、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、合成ゼオライト、天然ゼオライト、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。ある態様として、塩化カルシウムである。
【0025】
本発明に用いられる乾燥剤の量は、脱酸素能を発揮するような量であればよく、その種類、包装形態、経口固形製剤の量等に応じて適宜選択することができる。例えば、ある態様として、1mg~100gであり、ある態様として、50mg~50gであり、ある態様として、100mg~10gである。
【0026】
本発明に用いられる乾燥剤の量は、包装体に収容される経口固形製剤中のシタグリプチンリン酸塩無水物の総量に対して、相対的に一定の割合であってよい。例えば、包装体に収容される経口固形製剤中のシタグリプチンリン酸塩無水物100重量部に対して、ある態様として、1~6000重量部、ある態様として、50~4000重量部、ある態様として、100~2000重量部である。
【0027】
本発明のシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤には、必要に応じて、更に医薬品添加物を配合することができる。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、流動化剤、コーティング剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤等が挙げられる。
【0028】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、トレハロース、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン等が挙げられる。
【0029】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0030】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルファ化デンプン等が挙げられる。
【0031】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0032】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0033】
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、タルク等が挙げられる。
【0034】
コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0035】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0036】
発泡剤としては、例えば、重曹等が挙げられる。
【0037】
甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0038】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等が挙げられる。
【0039】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0040】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸又はその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0041】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0042】
本発明のシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤には、本発明の所望の効果が達成される範囲で更なる各種医薬品添加物が適宜使用される。
本発明のシタグリプチンリン酸塩無水物含有経口固形製剤に配合される上記更なる各種医薬品添加物は、適宜組合せることができる。
【0043】
配合量は、本発明の所望の効果の達成に影響を与えない量であれば特に制限されない。
【0044】
本発明の包装体は、シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤を包装体に収容し、密封することにより製造することができる。具体的には、例えば、包装用シートとアルミ箔等で経口固形製剤を挟んで覆い、加熱シールすることで、PTP包装である、本発明の包装体を得ることができる。
【0045】
ある態様では、経口固形製剤をPTP包装において包装し、かかるPTP包装をアルミピロー包装で包装することで、本発明の包装体を得ることもできる。PTP包装の外面とアルミピロー包装の内面との間の空間に乾燥剤を配置することで、本発明の包装体を得ることもできる。
【0046】
ある態様では、経口固形製剤をプラスチックボトル包装において包装し、本発明の包装体を得ることもできる。プラスチックボトル包装内に乾燥剤を直接入れるか、プラスチックボトル包装のキャップ部分に乾燥剤を配置することで、本発明の包装体を得ることもできる。
【0047】
シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤には、具体的には、散剤、顆粒、錠剤が含まれる。また、錠剤には口腔内崩壊錠も含まれ、素錠、フィルムコーティング錠であってもよい。
【0048】
シタグリプチンリン酸塩無水物を含有する経口固形製剤は、通常の経口固形製剤製造方法により製造することが可能である。より具体的には、例えば、錠剤であれば、シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤、結合剤、崩壊剤及び流動化剤を混合し、滑沢剤を添加して混合することで、打錠用末が得られる。
【0049】
またある態様では、シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤、結合剤、崩壊剤及び流動化剤を混合し、乾式造粒機により圧縮し、得られた造粒品を整粒する。得られる整粒品に、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。
【0050】
またある態様では、シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤を流動層造粒機に投入して、精製水に結合剤を溶解させ、必要に応じて色素を分散させた結合剤溶液を噴霧し、造粒・乾燥する。シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤及び結合剤を流動層造粒機に投入して、精製水を噴霧し、造粒・乾燥することもできる。乾燥終了後、整粒機を用いて整粒し、得られる整粒品に、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。
【0051】
またある態様では、シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤を撹拌造粒機に投入して、精製水に結合剤を溶解させ、必要に応じて色素を分散させた結合剤溶液を噴霧し、造粒・乾燥する。シタグリプチンリン酸塩無水物、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤及び結合剤を撹拌造粒機に投入して、精製水を噴霧し、造粒・乾燥することもできる。乾燥終了後、整粒機を用いて整粒し、得られる整粒品に、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。
【0052】
得られた打錠用末を打錠機で製錠し、素錠を得る。製錠の際に、外部滑沢装置を用いて滑沢剤を噴霧しながら打錠してもよい。必要に応じて、素錠にフィルムコーティング液を噴霧し、フィルムコーティングを行う。
【実施例0053】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
実施例1~9、比較例1~6の経口固形製剤(錠剤)を以下の通り製造した。各検体における製剤処方を表1及び表2に示す。
【0055】
<製造例1>
シタグリプチンリン酸塩無水物155.1g、無水リン酸水素カルシウム(太平化学産業製;日局 無水リン酸水素カルシウム)155g、D-マンニトール(ロケットジャパン製;ペアリトール(登録商標)50C)154.9gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-L)10gを水300gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、造粒品を得た。造粒品を篩過して整粒品を得た。整粒品285g、クロスポビドン(BASFジャパン製;Kollidon(登録商標) CL-F)9g、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS PHARMA製;PRUV(登録商標))6gを混合して調製した打錠末をロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)及び外部滑沢装置(菊水製作所製;ELS-P1)を用いてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製;ステアリン酸マグネシウム(植物性))を臼杵表面に噴霧しながら打錠し、錠剤質量100mg、9.0×3.7mmの楕円形の素錠を得た。
得られた素錠をフィルムコーティング機(パウレック製;DRC-300)を用いて、ヒプロメロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)R)、マクロゴール6000(三洋化成工業製;マクロゴール6000SP)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)、三二酸化鉄(癸巳化成製;三二酸化鉄)、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製;黄色三二酸化鉄)を用いて表1の成分比でフィルムコーティングを行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0056】
<比較例1>
製造例1のフィルムコーティング錠100錠を、ポリ塩化ビニル(PVC)からなるPTPシート(住友ベークライト製;VSS-F120-C)およびPTP用アルミ箔(大和化成工業製);PVC用アルミ箔銀無地(低温))を用いて半自動PTP包装機(大和化成工業製;K-200KS-DK)で包装し、PTP包装品を得た。
【0057】
<比較例2>
製造例1のフィルムコーティング錠100錠を、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)からなるPTPシート(住友ベークライト製;VSL-4606)及びPTP用アルミ箔(大和化成工業製);PVC用アルミ箔銀無地(低温))を用いて半自動PTP包装機(大和化成工業製;K-200KS-DK)で包装し、PTP包装品を得た。
比較例1のPTP包装品をアルミピロー(こだま産業製;無地ガゼット袋)を用いてヒートシーラー(富士インパルス製;V-301)で包装し、アルミピロー包装品を得た。