(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155677
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液化水素バルブ用試験装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/26 20060101AFI20241024BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20241024BHJP
G01M 3/20 20060101ALI20241024BHJP
G01M 3/22 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01M3/26 Z
F17C13/04 301Z
G01M3/20 B
G01M3/22
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156633
(22)【出願日】2023-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052705
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523362102
【氏名又は名称】ピーケー活栓アンド工▲学▼技術株式▲会▼社
【氏名又は名称原語表記】PK Valve & Engineering CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】80 Gongdan-ro, Seongsan-gu, Changwon-si, Gyeongsangnam-do, 51567, Republic of KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】鄭 昌▲祐▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 池源
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲尚▼▲民▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ▲火▼敏
【テーマコード(参考)】
2G067
3E172
【Fターム(参考)】
2G067AA37
2G067BB01
2G067CC13
2G067DD05
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB15
3E172JA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、試験流体を液化水素や液体ヘリウムを使用せずに低コストのヘリウムガスのみを用いて20K以下の環境条件をテストバルブに提供できるように構成する液化水素バルブ用試験装置を提供する。
【解決手段】本発明は、真空排気された内部にテストバルブのバルブボディが挿入され、20K以下の温度に冷却されるコールドヘッド部がテスト容器の内部に挿入され、冷媒ガスを吸入圧縮して吐出するガス圧縮部が前記容器カバーの外部に突出するように封止された極低温冷凍機と、一端が前記極低温冷凍機のコールドヘッド部に結合され、他端が前記テストバルブのバルブボディに結合されて前記テストバルブのバルブボディを20K以下に冷却する熱伝導体と、インレットパイプ及びアウトレットパイプ上にそれぞれ設けられて圧力及び流量をそれぞれ測定する圧力センサ及び流量センサを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気された内部にテストバルブのバルブボディが挿入され、前記テストバルブの操作部が外部に突出するように容器カバーで 密封されたテスト容器と、
一旦が前記バルブボディの吸入口と連結されるインレットパイプと、
一旦が前記バルブボディの排出口と連結されるアウトレットパイプと、
前記インレットパイプの他端と連結されて前記バルブボディの吸入口にヘリウムガスを供給するヘリウムタンクと、
20K以下の温度に冷却されるコールドヘッド部が前記テスト容器の内部に挿入され、冷媒ガスを吸入圧縮して吐出するガス圧縮部が前記容器カバーの外部に突出するように封止された極低温冷凍機と、
一端が前記極低温冷凍機のコールドヘッド部に結合され、他端が前記テストバルブのバルブボディに結合されて前記テストバルブのバルブボディを20K以下に冷却する熱伝導体と、
前記インレットパイプ及びアウトレットパイプ上にそれぞれ設けられて圧力及び流量をそれぞれ測定する圧力センサ及び流量センサを含んでなる、液化水素バルブ用試験装置。
【請求項2】
前記テスト容器 は、
内部容器と外部容器との間を真空排気してそれぞれの上端を密封した二重容器の形態であり、前記内部容器の外周面を包み込むように銀色アルミニウムがコーティングされた多層断熱(MLI、マルチレイヤ絶縁)シートが結合されたことを特徴とする、請求項1に記載の液化水素バルブ用試験装置。
【請求項3】
前記熱伝導体は、
前記コールドヘッド部に結合される第1銅ブロックと、
前記バルブボディに結合される第2銅ブロックと、
両端が前記第1銅ブロックと第2銅ブロックにそれぞれ連結されて熱伝導する銅コネクタを含むことを特徴とする、請求項1に記載の液化水素バルブ用試験装置。
【請求項4】
前記熱伝導体の銅コネクタは、
フレキシブルな複数の銅板が積層されたことを特徴とする、請求項3に記載の液化水素バルブ用試験装置。
【請求項5】
前記テストバルブは、
前記バルブボディの前面及び後面に前記吸入口及び排出口がそれぞれ形成され、
前記極低温冷凍機及び熱伝導体のそれぞれは、
一対を備え、
前記熱伝導体の第2銅ブロックのそれぞれは、
前記バルブボディの左側面および右側面にそれぞれ結合されていることを特徴とする、請求項3に記載の液化水素バルブ用試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、20K以下の極低温環境条件下で液化水素バルブの漏れの有無及び性能試験を行うことができる液化水素バルブ用試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液化ガスとは、気体を冷却または圧縮して液体となった状態を意味する。このような液化ガスは、常温で気体を圧縮して液体となるガスと、常温ではなく臨界温度以下に冷却及び加圧して液化するガスとを含む。
【0003】
このうち極低温液化ガスとしては、天然ガス(LNG)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、水素(H2)を挙げることができる。これらのそれぞれは極低温状態で貯蔵および輸送されるので、極低温の液化状態および高圧のガス状態でも安定した作動が行われるように、これに特化した貯蔵タンクとバルブが必要である。
【0004】
具体的には、摂氏温度0℃は絶対温度273.15Kであることを前提として、液化天然ガスは122K以下で、液化窒素は77K以下で、液化水素は20K以下で、そして液化ヘリウムは4.2K以下で液化状態で保存そして出荷される。
【0005】
したがって、一般的な用途の常圧および常温状態の条件で作動するバルブは、極低温液化ガスを貯蔵および輸送するための貯蔵タンクに結合されて使用される極低温液化ガス用バルブには使用できない。なぜなら、極低温液化ガス用バルブはハンドル及びバルブ軸の上部は常温で操作可能でなければならず、バルブ軸の下部に連結されたバルブボディ及びバルブディスクは高圧極低温環境で開閉動作されるからである。 これにより、極低温液化ガスの流れを効果的に開閉できるようになる。
【0006】
例えば、従来技術による極低温液化ガス用バルブとして、韓国登録特許第10-0929802号、第10-2172696号及び第10-2509774号などがある。前記従来技術による極低温液化ガス用バルブは、極低温状態で安定して使用できるように開発された。しかし、液化水素や液化ヘリウムのような20K以下の極端な極低温状態では、漏れや駆動部の凍結などによる問題点が依然としてあるため、革新的な極低温用バルブの開発が緊急な状況である。
【0007】
このような極低温用バルブの開発過程で必然的に漏れの有無及び性能を試験する試験装置が要求され、通常広く知られているように、登録特許第10-0929580号の「低温用バルブの漏れ試験装置」がある。すなわち、
図1に示すように従来技術による極低温バルブの試験装置は、テストバルブ10が液体窒素に浸されるように77K以下の液体窒素N2が充填されるテスト容器20と、前記テストバルブ10の吸込口11と連結されるインレットパイプ30と、前記テストバルブ10の排出口12と連結されるアウトレットパイプ40と、前記インレットパイプ30と連結されて前記テストバルブ10にヘリウムガスを供給するヘリウムタンク50と、インレットパイプ30およびアウトレットパイプ20のそれぞれに連結されて圧力および流量をそれぞれ測定する圧力センサPおよび流量センサFを含んでなる。
【0008】
これにより、テストバルブ10を液体窒素が満たされたテスト容器20に浸漬して一定時間が経過してテストバルブ10が77K以下に冷却されて試験できる極低温環境が設けられる。このとき、ヘリウムタンク50からインレットパイプ30を介してテストバルブ10の吸入口11にヘリウムガスを供給し、それぞれの圧力センサP及び流量センサFを介して漏れの有無を確認し、テストバルブ10の駆動部(図示せず)を駆動させつつ開閉作動可否を確認することができる。
【0009】
前記の従来技術による極低温バルブの試験装置は、テスト容器20の内部に液体窒素を充填しても液体窒素の価格が安く、液化水素に比べて比較的温度が高く安定している。
【0010】
しかし、液化水素の場合、温度が20K以下と極めて低く、伝導、対流、放射などを介して少量の熱が伝達されると水素の気化現象が発生する。このように気化された水素は酸素と結合すると爆発性混合ガスを形成するため、上述した検査装置では液化水素バルブの検査が不可能であるという問題点がある。
【0011】
したがって、液化水素バルブの漏れの有無および性能試験を行うための方法として、現在2つの試験のみが可能である。第1に、テストバルブを真空断熱容器に設置し、20K以下の液化水素を直接試験流体として使用する方法と、第2に、より低い温度である4K以下の液体ヘリウムを試験流体として用いる方法である。
【0012】
しかし、実際に20K以下の液化水素を試験流体として使用する方法は、現国内法規上(水素法)水素の生産及び利用は徹底的に制御されており、液化水素は規制サンドボックス内でのみ生産及び利用が可能であるという問題がある。したがって、液化水素バルブを開発する業者では直接的な液化水素の使用は不可能である。また、4K以下の液体ヘリウムを試験流体として使用する方法は可能ですが、液体ヘリウムはガスヘリウムと比べて価格が100倍高く、極端な低温状態で需給が難しく、保管可能期間が非常に短いため試験日程を確立 に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のような問題点を解決するために案出された本発明の目的は、試験流体を液化水素や液体ヘリウムを使用せずに低コストのヘリウムガスのみを用いて20K以下の環境条件をテストバルブに提供できるように構成することにより、液化水素バルブを開発する企業でも、バルブの漏れ可否及び性能試験を安全かつ便利に行うことができる液化水素バルブ用試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記のような目的を達成するために、本発明に係る液化水素バルブ用試験装置は、真空排気された内部にテストバルブのバルブボディが挿入され、前記テストバルブの操作部が外部に突出するように容器カバーで封止されたテスト容器と、一旦が前記バルブボディの吸入口と連結されるインレットパイプと、一旦がバルブボディの排出口と連結されるアウトレットパイプと、前記インレットパイプの他端と連結されて前記バルブボディの吸入口にヘリウムガスを供給するヘリウムタンクと、20K以下の温度に冷却されるコールドヘッド部が前記テスト容器の内部に挿入され、冷媒ガスを吸入圧縮して吐出するガス圧縮部が前記容器カバーの外部に突出するように封止された極低温冷凍機と、一端が前記極低温冷凍機のコールドヘッド部に結合され、他端が前記テストバルブのバルブボディに結合されて前記テストバルブのバルブボディを20K以下に冷却する熱伝導体と、前記インレットパイプ及びアウトレットパイプ上にそれぞれ設けられて圧力及び流量をそれぞれ測定する圧力センサ及び流量センサを含んでなる。
【0015】
また、前記テスト容器は、内部容器と外部容器との間を真空排気してそれぞれの上端を封止した二重容器の形態であり、前記内部容器の外周面を包み込むように銀色アルミニウムがコーティングされた多層断熱(MLI、マルチレイヤ絶縁)シートが結合されたことを特徴とする。
【0016】
また、前記熱伝導体は、前記コールドヘッド部に結合される第1銅ブロックと、前記バルブボディに結合される第2銅ブロックと、両端が前記第1銅ブロックと第2銅ブロックにそれぞれ連結されて熱伝導する銅コネクタを含むことを特徴とする。
【0017】
また、前記熱伝導体の銅コネクタは、フレキシブルな複数の銅板が積層されたことを特徴とする。
【0018】
また、前記テストバルブは、前記バルブボディの前面及び後面に前記吸入口及び排出口がそれぞれ形成され、前記極低温冷凍機及び熱伝導体のそれぞれは、一対を備え、前記熱伝導体の第2銅ブロックのそれぞれは、前記バルブボディの左側面および右側面にそれぞれ結合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る液化水素バルブ用試験装置は、試験流体を液化水素や液体ヘリウムを使用せずに低価格のヘリウムガスのみを用いて20K以下の環境条件をテストバルブに提供できるように構成することにより、液化水素バルブを開発する企業でもバルブの漏れの有無や性能試験を安全かつ便利に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】来技術による極低温バルブ用試験装置に対する構成図である。
【
図2】本発明に係る液化水素バルブ用試験装置に対する構成図である。
【
図3】
図2の実施例のうちテスト容器を拡大して示す側断面図である。
【
図4】
図3の実施例のうちテスト容器の内部容器に多層断熱シートが包まれた状態を実際に撮影して示す斜視図である。
【
図5】
図3の実施例のうち熱伝導体を実際に撮影して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、添付の図面を参照して本発明に係る液化水素バルブ用試験装置に関する好ましい実施例を詳細に説明する。
【0022】
本発明に係る液化水素バルブ用試験装置は、
図2及び
図3に示すように漏れの有無及び性能試験をしようとするテストバルブ100、テスト容器200、インレットパイプ300、アウトレットパイプ400、ヘリウムタンク500、極低温冷凍機600、および熱伝導体700を含む。このとき、テスト容器200は、
図3及び
図4に示すように、内部容器201、外部容器202及び多層断熱シート230から構成され、容器カバー210によって封止される。また、熱伝導体700は、
図5に示すように、第1銅ブロック710、第2銅ブロック720、及びフレキシブルな複数の銅板が積層された銅コネクタ730を含むことができる。
【0023】
テストバルブ100は、
図2および
図3に示すように、下部のバルブボディ110と上部の操作部120とを含み、バルブボディ110には吸入口111および排出口112が形成される。本発明におけるテストバルブ100は、20K以下の環境条件下で作動する液化水素用弁であり、前記バルブボディ110の流路を開閉するための開閉弁であるか、一方向への流れのみを取り締めるためのチェックバルブであってもよく、設置したい位置や流量に応じてサイズを変更することができる。このようなテストバルブ100の漏洩の有無及び性能試験を行うために、後述するテスト容器200に挿入して設置する。
【0024】
テスト容器200は、
図2及び
図3に示すように真空排気された内部にテストバルブ100のバルブボディ110が挿入され、テストバルブ100の操作部120は外部に突出するように容器カバー210で密封されている。テストバルブ100の場合、液化水素バルブとして実際に使用設置される状況を考慮すると、バルブボディ110を20K以下の環境条件下に置かなければならないのに対し、操作部120は常温に位置する。したがって、容器カバー210によって封止されるテスト容器200の内部にはテストバルブ100のバルブボディ110が挿入された状態であり、逆にテストバルブ100の操作部120は容器カバー210の上方に突出した状態となるように設置する。
【0025】
このとき、前記テスト容器200は、
図3及び
図4に示すように、内部容器201と外部容器202との間を真空排気して各上端を封止した二重容器の形態であり、前記内部容器201の外周面を覆うように、銀色アルミニウムがコーティングされた多層断熱シート203が結合される。すなわち、テスト容器200は、内部容器201と外部容器202との間に多層断熱シート203が結合された二重容器の形態で外部から輻射熱を遮断することができる。また、内部容器201と外部容器202との間に一次真空を形成し、内部容器201の内部に二次真空を形成して二重真空形態を有することにより、内部容器201を基準に内外部の空気による熱対流および熱伝導を完全に遮断することができる。
【0026】
テストバルブ100のバルブボディ110に試験流体を供給および排出するために、
図2に示すように、入口パイプ300は、一端がバルブボディ110の吸入口111に連結されている。そして、アウトレットパイプ400の一端はバルブボディ110の排出口112に連結される。すなわち、吸入管300と排出管400は、液化水素用バルブが実際に設けられている場合、液化水素用輸送配管と言える。
【0027】
このとき、圧力センサPおよび流量センサFのそれぞれは、インレットパイプ300およびアウトレットパイプ400上にそれぞれ設けられて圧力および流量をそれぞれ測定する。したがって、操作部120の操作に応じて試験流体が入口パイプ300に供給され、バルブボディ110を通過した後、アウトレットパイプ400に排出されたときの圧力および流量を測定し、漏れの有無および性能 テストを実行できる。
【0028】
このようにテスト容器200の内部にテストバルブ100を挿入し、インレットパイプ300に試験流体を供給する場合、20K以下の液化水素または4.2K以下の液化ヘリウムを直ちに供給して漏れの有無および性能テスト実行する最も簡単な方法である。しかし、背景技術からわかるように、液化水素バルブを開発する企業では、直接20K以下の液化水素と液化ヘリウムを試験流体として使用することは、国内の法律上の問題や経済性に応じて 実行うことができない。
【0029】
したがって、低価格のヘリウムガスを試験流体として使用しながらも、後述する極低温冷凍機600および熱伝導体700を介してバルブボディ110に直接熱伝導して20K以下の環境条件を付与しようとする。
【0030】
すなわち、ヘリウムタンク500は、
図2に示すように、インレットパイプ300の他端に連結され、バルブボディ110の吸入口111にヘリウムガスHeを供給する。ヘリウムガスは4.2K以下で液化状態となるので、バルブボディ110を20K以下の環境条件下に置いても相変化なくガス状態に流れるため、試験流体として最も適している。このようなヘリウムタンク400には、レギュレータ、その他のオンオフバルブ、圧力調整器などを設けることができる。
【0031】
極低温冷凍機600は、
図2及び
図3に示すように、20K以下の温度に冷却されるコールドヘッド部610が前記テスト容器200の内部に挿入され、冷媒ガスを吸入圧縮して吐出するガス圧縮部620は、容器カバー210の外部に突出するように封止されている。
【0032】
極低温冷凍機600は、密閉サイクル(closed-cycle)で運転されて極低温で熱を吸収して常温に熱を放出する機器をいい、正確な技術用語としては'cryogenic-refrigerator'であり、1970年代以降に開発された小型極低温冷凍機を簡単に'cryocooler'と表記することもある。このような極低温冷凍機600は、極低温真空ポンプ(cryopump)、蒸発気体の再凝縮(re-condensation)、伝導冷却(conduction-cooling)、低温液体の過冷却(subcooling)などの応用分野があり、本発明では伝導冷却方式を用いて後述する熱伝導体700による熱伝導でテストバルブ100のバルブボディ110を20K以下に冷却する。
【0033】
また、極低温冷凍機600は大きく熱交換型(recuperative)と熱再生型(regenerative)に分けることができるが、製作が容易で体積に比べて非常に広い熱交換面積を有し、小容量冷凍に適した熱再生型を用いることができる。この場合、熱再生型には冷凍機サイクルで区分する場合、スターリング(Stirling)、VM(Vuilleumier)、GM(Gifford-McMahon)、脈動管(pulse-tube)などに区分することができるが、本発明では機械的信頼性が高く、商業用として広く使用されているGM冷凍機を使用することができる。
【0034】
ここで、極低温冷凍機600をGM冷凍機として用いる場合、前記コールドヘッド部610を2段に作製して極低温面冷却用に使用し、1段到達温度は80~100K、2段到達温度は14~20Kで、極低温面である2段アレイの冷却温度が20K以下の液化水素環境条件に適している。特に、前記ガス圧縮部620に連結された圧縮機(compressor、図示せず)を一般空調用圧縮機として用いることができるという点と信頼性が高いという点で好ましい。このような極低温冷凍機600のより詳細な構成および動作原理は広く知られているので、その詳細な説明は省略する。
【0035】
熱伝導体700は、
図2及び
図3に示すように、一端が前記極低温冷凍機600のコールドヘッド部610に結合され、他端が前記テストバルブ100のバルブボディ110に結合されて前記テストバルブ100のバルブボディ110を20K以下に冷却する。熱伝導体700は、名の通り熱伝導のための物体であり、熱伝導とは、物体の熱が接触している他の物体に移動することをいう。したがって、極低温冷凍機600のコールドヘッド部610とテストバルブ100のバルブボディ110との間に熱伝導体700の両端がそれぞれ結合され、熱伝導体700を介して熱伝導を通じてバルブボディ110を20K以下に冷却する。
【0036】
このような熱伝導体700は、物体の種類によってフーリエ法則による熱伝導度(W/mK)が異なるが、基本的に熱の良導体と熱の不導体とに分けられ、本発明における熱伝導体700は熱の良導体である。すなわち、熱の良導体は主に金属であり、銀(429W/mK)、銅(400W/mK)、金(318W/mK)、アルミニウム(237W/mK)、鉄(80W/mK)などが代表的である。他の非常に高い熱伝導度を有するグラフェン(4800~5300W/mK)やダイヤモンド(900~2300W/mK)を熱伝導体700として使用することもできるが、非常に高価であるため好ましくない。したがって、金や銀に比べて比較的熱伝導率が高く低価な銅を熱伝導体700として用いることが最も好ましい。
【0037】
すなわち、熱伝導体700は、
図3及び
図5に示すように、コールドヘッド部610に結合される第1銅ブロック710と、バルブボディ110に結合される第2銅ブロック720と、両端が第1銅ブロック710と第2銅ブロック720にそれぞれ連結され熱伝導する銅コネクタ730とを含むことができる。
【0038】
このとき、テストバルブ100は大きさや種類が異なることがあるので、バルブボディ110の位置も上下に変更することができる。したがって、銅コネクタ730がフレキシブルに可撓性を有する場合、バルブ本体110の上下位置変化に対応することが容易であろう。また、第1銅ブロック710から第2銅ブロック720への熱伝導効率を高めることができれば、バルブボディ110の冷却時間を短縮することができる。
【0039】
このために、前記熱伝導体700の銅コネクタ730は、
図5に示すようにフレキシブルな複数の銅板が積層されたものであり、銅板の厚さは制限されないがフレキシブルに可撓性を有することができれば足る。ただし、銅板の厚さが薄いほど、導体の単位断面積当たりの比表面積が広くなり、それに応じて熱伝導効率が良くなる。すなわち、同じ長さと体積を有しても薄い銅板として積層したものが棒状塊より熱伝導効率が高くなる。
【0040】
また、テストバルブ100は、吸入口111及び排出口112がバルブボディ110の前面及び後面にそれぞれ形成されている。このとき、バルブボディ110の左側面または右側面のいずれか一方のみを冷却するのではなく、左側面および右側面の両方を冷却することは、冷却時間の短縮および冷却効率をさらに向上させることができる。
【0041】
したがって、
図3に示すように、極低温冷凍機600および熱伝導体700のそれぞれは一対を備え、このとき熱伝導体700の第2銅ブロック720のそれぞれはバルブボディ110の左側面および右側面にそれぞれ結合することができる。
【0042】
上述したように、本発明に係る液化水素バルブ用試験装置は、試験流体を液化水素や液体ヘリウムを使用せずに低価格のヘリウムガスのみを用いて20K以下の環境条件をテストバルブに提供できるように構成することにより、液化水素バルブを開発する企業でもバルブの漏れの有無や性能試験を安全かつ便利に行うことができる効果がある。
【0043】
以上説明し、図面に図示した本発明の実施例は、本発明の技術的思想を限定するものと解釈してはならない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載した事項によってのみ制限され、本発明の技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を多様な形態に改良変更することが可能である。したがって、このような改良及び変更は、通常の知識を有する者にとって自明なものである限り、本発明の保護範囲に属するだろう。
【符号の説明】
【0044】
P 圧力センサ
F 流量センサ
100 テストバルブ
110 バルブボディ
111 吸入口
112 排出口
120 操作部
200 テスト容器
201 内部容器
202 外部容器
203 多層断熱(MLI)シート
210 容器カバー
300 インレットパイプ
400 アウトレットパイプ
500 ヘリウムタンク
600 極低温冷凍機
610 コールドヘッド部
620 ガス圧縮部
700 熱伝導体
710 第1銅ブロック
720 第2銅ブロック
730 銅コネクタ