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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155709
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】重金属回収用イオン液体
(51)【国際特許分類】
   C22B 3/16 20060101AFI20241024BHJP
   C22B 23/00 20060101ALI20241024BHJP
   C22B 47/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C22B3/16
C22B23/00 102
C22B47/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217591
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2023069471
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】土田 和也
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勇輔
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA07
4K001AA16
4K001AA19
4K001BA22
4K001DB11
4K001DB22
(57)【要約】
【課題】 本発明は、再生可能であり、かつ回収後も安定であるため再利用することができる重金属回収用イオン液体を提供することを目的とする。
【解決手段】 イミダゾリウムカチオン(CA)と、下記一般式(1)で表されるアニオン(AN)とから構成される重金属回収用イオン液体。
R-C(=O)O (1)
[一般式(1)中、Rは、炭素数2~10のジカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基、炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基、又は炭素数4~6のトリカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基である。]
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミダゾリウムカチオン(CA)と、下記一般式(1)で表されるアニオン(AN)とから構成される重金属回収用イオン液体。

R-C(=O)O (1)

[一般式(1)中、Rは、炭素数2~10のジカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基、炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基、又は炭素数4~6のトリカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基である。]
【請求項2】
前記イミダゾリウムカチオン(CA)が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の重金属回収用イオン液体。
【請求項3】
前記炭素数2~10のジカルボン酸、炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸、又は炭素数4~6のトリカルボン酸が、アセトピルビン酸、ジアセト酢酸、マロン酸、コハク酸およびクエン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の重金属回収用イオン液体。
【請求項4】
前記重金属が、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の重金属回収用イオン液体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重金属回収用イオン液体に関する。
【背景技術】
【0002】
重金属は、二次電池用材料等に利用が広がるものの、使用後の回収が課題となっている。重金属を回収する方法として、特定のキレート剤と使用することが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-079940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術であっても、重金属の回収に使用したキレート剤は、分解工程をへて廃棄されるため、十分に満足できるとは言えなかった。
本発明は、再生可能であり、かつ回収後も安定であるため再利用することができる重金属回収用イオン液体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、イミダゾリウムカチオン(CA)と、下記一般式(1)で表されるアニオン(AN)とから構成される重金属回収用イオン液体である。

R-C(=O)O (1)

[一般式(1)中、Rは、炭素数2~10のジカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基、炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基又は炭素数4~6のトリカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の重金属回収用イオン液体は、下記の効果を奏する。
(1)重金属の回収性に優れる。
(2)再生可能であり、かつ回収後も(化学的に)安定であるため、再利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<イミダゾリウムカチオン(CA)>
本発明におけるイミダゾリウムカチオン(CA)は、例えば、1-メチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムが挙げられる。
【0008】
上記イミダゾリウムカチオン(CA)のうち、重金属の回収の観点から、好ましいのは1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、さらに好ましいのは1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、とくに好ましいのは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムである。
【0009】
<アニオン(AN)>
本発明におけるアニオン(AN)は、下記一般式(1)で表される。

R-C(=O)O (1)
【0010】
上記一般式(1)中、Rは、炭素数2~10のジカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基、炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基又は炭素数4~6のトリカルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基である。
【0011】
前記炭素数2~10のジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸)、芳香環含有ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)が挙げられる。
上記炭素数2~10のジカルボン酸のうち、重金属回収の観点から、好ましいのは脂肪族ジカルボン酸、さらに好ましいのはマロン酸、コハク酸、とくに好ましいのはコハク酸である。
【0012】
前記炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸としては、例えば、アセトピルビン酸、ジアセト酢酸、アセト酢酸が挙げられる。
上記炭素数3~6のβ-ジカルボニル構造を有するモノカルボン酸のうち、重金属回収の観点から、好ましいのはアセトピルビン酸、ジアセト酢酸、さらに好ましいのはアセトピルビン酸である。
【0013】
前記炭素数4~6のトリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、イソクエン酸、cis-アコニット酸、trans-アコニット酸が挙げられる。
上記炭素数4~6のトリカルボン酸のうち、重金属回収の観点から、好ましいのはクエン酸である。
【0014】
これらの中では、重金属の回収性および回収後の安定性の両立の観点から、コハク酸が最も好ましい。
一般式(1)中のRが、コハク酸から1個のカルボキシル基を除いた残基である場合、アニオン(AN)は、コハク酸のカルボキシル基から1個の水素を除いた残基(スクシネート)であるともいえる。
【0015】
<重金属回収用イオン液体>
本発明の重金属回収用イオン液体は、前記イミダゾリウムカチオン(CA)と、前記アニオン(AN)とから構成される。
すなわち、イオン液体としては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノコハク酸塩(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムスクシネート)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・モノコハク酸塩(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムスクシネート)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノクエン酸塩(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムシトレート)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・モノクエン酸塩(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムシトレート)が挙げられる。
重金属回収用イオン液体は、種々の重金属を含む組成物、種々の重金属含有化合物の回収に適用できる。回収対象の重金属としては、好ましくはコバルト、ニッケル、マンガン、さらに好ましくはコバルトである。
【0016】
本発明の重金属回収用イオン液体は、公知の方法により製造することができ、原料に応じて最適な条件を採用できる。
例えば、イオン液体が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノコハク酸塩の場合、以下の製造方法で製造できる。
(1)1-エチルイミダゾールとジメチル炭酸とをメタノール中で反応させて、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩のメタノール溶液を得る。
(2)コハク酸のメタノール溶液に、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩のメタノール溶液を徐々に仕込み、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノコハク酸塩の溶液を得る。
(3)1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノコハク酸塩の溶液を脱溶剤して、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノコハク酸塩を得る。
【0017】
また、例えば、イオン液体が、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩の場合、以下の製造方法で製造できる。
(1)1-ブチルイミダゾールとジメチル炭酸とをメタノール中で反応させて、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩のメタノール溶液を得る。
(2)アセトピルビン酸のメタノール溶液に、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩のメタノール溶液を徐々に仕込み、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩の溶液を得る。
(3)1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩の溶液を脱溶剤して、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩を得る。
【0018】
また、例えば、イオン液体が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノクエン酸塩の場合、以下の製造方法で製造できる。
(1)1-エチルイミダゾールとジメチル炭酸とをメタノール中で反応させて、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩のメタノール溶液を得る。
(2)クエン酸のメタノール溶液に、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩のメタノール溶液を徐々に仕込み、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノクエン酸塩の溶液を得る。
(3)1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノクエン酸塩の溶液を脱溶剤して、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・モノクエン酸塩を得る。
【0019】
本発明の重金属回収用イオン液体を用いた重金属の回収方法としては、例えば、以下のとおりである。なお、本明細書においては、重金属回収対象である重金属含有組成物(リチウムイオン二次電池を構成する電極等)の外部に重金属が移動することをもって重金属を「回収」したと判断する。
(1)重金属含有組成物である使用後のリチウムイオン二次電池から取り出した正極材料(例えば、コバルト酸リチウム)を、容器に仕込む。なお、リチウムイオン二次電池から取り出した正極材料を、必要により熱処理、粉砕等の処理を行ってから容器に仕込んでもよい。
(2)次に、重金属回収用イオン液体を仕込み、撹拌しながら、正極材料中のコバルトをイオン液体中に回収する。この工程での温度は、重金属の回収性の観点から、好ましくは150~230℃、さらに好ましくは180~200℃である。
(3)上記(2)の後、固液分離することで、重金属(コバルト)を浸出させた後の正極材料をイオン液体から分離することができる。固体成分を分離した後の液体成分は、正極材料から浸出(回収)した重金属(コバルト)成分を含んだイオン液体である。
次に、重金属(コバルト)成分を含んだイオン液体を冷却して、酸(硫酸、塩酸、シュウ酸等)を添加することで、回収したコバルトを、コバルト塩の形態で単離することができる。重金属(コバルト)成分を含んだイオン液体に酸を添加すると、イオン液体中の重金属(コバルト)成分が酸と反応して塩を形成し、沈殿する。この沈殿をイオン液体から分離することで、重金属(コバルト)成分を含んだイオン液体から重金属(コバルト)を分離することができる。また、同時に、本発明の重金属回収用イオン液体が再生される。
重金属成分を分離した後のイオン液体(再生された重金属回収用イオン液体)は、そのまま次の重金属回収に使用することができる。
【0020】
本発明の重金属回収用イオン液体が、重金属の回収性に優れるのは、例えば、正極材料(コバルト酸リチウム)を可溶化するとともに、重金属回収用イオン液体の有するカルボキシル基又はβ-カルボニル基に、重金属(イオン)が化学的に結合するためと考えられる。
また、回収後は、上記(3)のように、重金属を酸との塩の形態で単離すると同時に、重金属回収用イオン液体が再生可能である。さらに、本発明の重金属回収用イオン液体は、重金属回収後、および再生後も(化学的に)安定であるため、重金属回収用溶媒として再利用することができる。なお、上記「重金属回収後、および再生後も(化学的に)安定である」とは、重金属回収の工程における加熱、および再生時の酸添加を経ても、分解や重合等の反応を起こしにくいことを意味する。
【実施例0021】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部を表す。
【0022】
<実施例1>
撹拌付き、ステンレス容器に、重金属回収用イオン液体(K-1)として、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩を30部、コバルト酸リチウム[商品名「セルシード」、日本化学工業(株)製]1部とを仕込んだ。
次に、60回転/秒で撹拌しながら、10分間で200℃に昇温し、さらに200℃で10分間撹拌を継続した後、10分間で40℃に冷却し、重金属の回収を行った。
内容物を後述の評価方法にて、重金属の回収性、回収後の安定性の評価をした。結果を表1に示す。
【0023】
(1)重金属の回収性(評価条件A)
ステンレス容器の内容物を10部と、ジメチルスルホキシド90部とを混合した後、残存する固体成分(コバルト酸リチウム)をろ過して、ろ液を蛍光X線測定[スペクトリス社製、Axios]した値から、イオン液体(K)の相に含まれるコバルト濃度(重量%)を算出し、以下の<評価基準>で評価した。
【0024】
<評価基準>
◎:コバルト濃度が5重量%以上
○:コバルト濃度が2重量%以上、5重量%未満
△:コバルト濃度が1重量%以上、2重量%未満
×:コバルト濃度が1重量%未満
【0025】
(2)回収後の安定性
上記(1)のろ液に、コバルトと等量の硫酸(試薬1級)を、5分間かけて仕込んだ。
次に、生成した硫酸コバルトをろ過して除去した後、150℃、減圧下で、ジメチルスルホキシドを留去して、残留分中の重金属回収用イオン液体(K)の重量を、H-MNR、13C-NMRのスペクトルから算出し、以下の<評価基準>で評価した。
【0026】
<評価基準>
◎:イオン液体(K)の重量が98重量%以上
○:イオン液体(K)の重量が95重量%以上、98重量%未満
△:イオン液体(K)の重量が90重量%以上、95重量%未満
×:イオン液体(K)の重量が90重量%未満
【0027】
<実施例2~3、比較例1>
実施例1において、表1に示す重金属回収用イオン液体(K)又は比較用のイオン液体(比K)を使用した以外は、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
<実施例4>
試験管(1.6cm、高さ20cm)に、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物[LiNi0.33Mn0.33Co0.33、東京化成工業(株)製、以下、NMC111]1部と、重金属回収用イオン液体(K-1)である1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・アセトピルビン酸塩30部を仕込んだ。
次に、ホットプレートとアルミニウム製ヒートブロックを用い、10分間で180℃に昇温し、さらに180℃で48時間加熱を継続した後、10分間で40℃に冷却し、重金属の回収を行った。
内容物を後述の評価方法にて、重金属の回収性、回収後の安定性の評価をした。結果を表2に示す。
【0030】
(3)重金属の回収性(評価条件B)
加熱後の試験管にアセトニトリル150部を加え振り混ぜ、シリンジフィルター[Cytiva製、GD/X Φ25mm、0.2μm]を通すことで固体成分と液体成分とを分離した。
得られた液体成分を蛍光X線測定[rigaku製、Supermini 200]により分析し、半定量法により、各金属(Ni、Co、Mn)の浸出濃度(金属濃度)(ppm)を求め、下記式に従って金属浸出率(%)を算出した。結果を表2に示す。
金属浸出率(%)=[金属濃度(ppm)×10-4×液体成分の重量(g)]/[NMC111の秤量値(g)×NMC111中の金属含有量(%)]×100
【0031】
(4)回収後の安定性
上記(3)の液体成分に、(3)で求めた金属量(Ni量、Co量、Mn量の合計)と等量の硫酸(試薬1級)を、5分間かけて仕込み、金属成分を沈殿させた。次に、生成した沈殿(金属の硫酸塩)をろ過して除去した後、150℃、減圧下で、ジメチルスルホキシドを留去した。残留分中の重金属回収用イオン液体の重量を、H-MNR、13C-NMRのスペクトルから算出し、以下の<評価基準>で評価した。
【0032】
<評価基準>
◎:イオン液体(K)の重量が98重量%以上
○:イオン液体(K)の重量が95重量%以上、98重量%未満
△:イオン液体(K)の重量が90重量%以上、95重量%未満
×:イオン液体(K)の重量が90重量%未満
【0033】
<実施例5~6、比較例2>
実施例4において、表2に示す重金属回収用イオン液体(K)又は比較用のイオン液体(比K)を使用した以外は、実施例4と同様にして、評価した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表1および表2の結果から、本発明の重金属回収用イオン液体は、比較のものと比べて、重金属の回収性に優れる。また、再生可能であり、回収後の安定性にも優れるため、繰り返し重金属の回収に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の重金属回収用イオン液体は、種々の重金属を含む組成物、種々の重金属含有化合物の回収に適用できる。例えば、使用後のリチウムイオン二次電池から取り出した正極材料(コバルト酸リチウム)から、コバルトを回収することができる。さらにコバルト塩として単離してもよい。また、本発明の重金属回収用イオン液体は、再生可能であり、かつ回収後も(化学的に)安定であるため、再利用することができる。