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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155715
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】飛行時間型質量分析計
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/40 20060101AFI20241024BHJP
   H01J 49/16 20060101ALI20241024BHJP
   H01J 49/00 20060101ALI20241024BHJP
   H01J 49/24 20060101ALI20241024BHJP
   H01J 49/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01J49/40
H01J49/16 100
H01J49/00 310
H01J49/24
H01J49/04 680
H01J49/04 130
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002132
(22)【出願日】2024-01-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】202310435298.8
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522097588
【氏名又は名称】浙江迪譜診断技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG DIGENA DIAGNOSIS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2nd Floor, Building No. 9, 355 Xingzhong Road,Yuhang Economic And Technological Development Zone Hangzhou, Zhejiang 311100 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張郁
(72)【発明者】
【氏名】張碩
(72)【発明者】
【氏名】鄭明
(72)【発明者】
【氏名】相双紅
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、飛行時間型質量分析計を開示し、操作効率が高く、失効しにくく、さらに標本汚染などの問題を解決する。
【解決手段】本発明は、真空室、真空発生装置、イオン飛行チャンバ、イオン源装置、レーザー励起装置、チップ交換装置、サンプル処理装置、励起タイミング装置、信号収集装置、高圧制御装置及び運転制御装置を含む。真空室、真空発生装置、イオン飛行チャンバは、一体に取り付けられて真空システムを構成する。イオン源装置は真空システム内に取り付けられ、レーザー励起装置はイオン励起のエネルギーを提供する。励起タイミング装置、高圧制御装置、イオン源装置は、順次電気的に接続され、信号収集装置は、イオン飛行チャンバに接続される。本発明は、飛行時間質量分析検出技術を遺伝子検出分野に導入し、高い信号対雑音比、質量分解度及び反復率を有し、試料製造モジュールが集積され、分析過程を便利で迅速に完了させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室(1)、真空発生装置(2)、イオン飛行チャンバ(3)、イオン源装置(4)、レーザー励起装置(5)、チップ交換装置(6)、サンプル処理装置(7)、励起タイミング装置(8)、信号収集装置(9)、高圧制御装置(10)及び運転制御装置(A)を含み、前記真空室(1)、真空発生装置(2)、イオン飛行チャンバ(3)は、一体に取り付けられて真空システムを構成し、イオン源装置(4)は、真空システム内に取り付けられ、レーザー励起装置(5)は、イオン励起のエネルギーを提供し、励起タイミング装置(8)、高圧制御装置(10)、イオン源装置(4)は、順次電気的に接続され、信号収集装置(9)は、イオン飛行チャンバ(3)に電気的に接続され、信号収集装置(9)は、運転制御装置(A)に電気的に接続され、イオン源装置(4)がイオンを生成した後、励起タイミング装置(8)は、制御信号を高圧制御装置(10)に送信し、高圧制御装置(10)は、イオン源装置(4)を操縦してイオンをイオン飛行チャンバ(3)内に引き出させ、イオン飛行チャンバ(3)は、イオンを受信した後に信号を信号収集装置(9)に出力し、信号収集装置(9)は、信号を処理した後に運転制御装置(A)内に記憶し、チップ交換装置(6)及びサンプル処理装置(7)は、質量分析前処理システムを構成し、液体標本は、サンプル処理装置(7)により処理された後にチップ交換装置(6)を介して真空室(1)内に送り込まれ、前記真空室(1)は、真空室の下部ベース(11)、真空室の上部蓋板(12)、イオンインタフェース(13)、XY運動アセンブリ(14)、伝達ウィンドウ(15)、撮像アセンブリ(16)、照明アセンブリ(17)及び高圧コネクタ(18)を含み、前記真空室の上部蓋板(12)は、真空室の下部ベース(11)に取り付けられ、イオンインタフェース(13)は、真空室の上部蓋板(12)に設置され、イオンインタフェース(13)の一端にイオン源装置(4)が取り付けられ、イオンインタフェース(13)の他端にイオン飛行チャンバ(3)が取り付けられ、前記XY運動アセンブリ(14)は、真空室の下部ベース(11)内に取り付けられ、真空室の下部ベース(11)に伝達ウィンドウ(15)が開設され、前記真空室の上部蓋板(12)に撮像アセンブリ(16)、照明アセンブリ(17)及び高圧コネクタ(18)が取り付けられ、撮像アセンブリ(16)は、テレセントリックレンズ(161)及びCCDカメラ(162)を含み、テレセントリックレンズ(161)の軸線は、CCDカメラ(162)の軸線と重なり、照明アセンブリ(17)は、LEDランプビーズ(171)及び集束レンズ(172)を含み、LEDランプビーズ(171)の軸線は、集束レンズ(172)の軸線と重なり、撮像アセンブリ(16)の軸線とイオンインタフェース(13)との夾角は、照明アセンブリ(17)の軸線とイオンインタフェース(13)との夾角の角度に等しく、且つ同じ平面内に位置するとともに、3本の軸線は、1点に交わり、集光点と呼ばれ、この集光点は、質量分析チップ(414)の上平面にあり、質量分析チップ(414)の上面は、鏡面であり、且つイオンインタフェース(13)の軸線に垂直であり、そのため照明アセンブリ(17)から発した平行光を撮像アセンブリ(16)に反射することができ、他の物体から反射した光は、撮像アセンブリ(16)の軸線と平行ではないため、撮像アセンブリ(16)に受信されることができず、前記イオン飛行チャンバ(3)は、飛行チューブ(31)、エンドキャップ(32)、イオン検出器(33)及びイオンネットアセンブリ(34)を含み、飛行チューブ(31)は、両端に円環面を有する中空管路であり、飛行チューブ(31)の長さは、0.5m~1.5mの間であり、飛行チューブ(31)の一端は、真空室(1)のイオンインタフェース(13)に取り付けられ、飛行チューブ(31)の他端にエンドキャップ(32)が取り付けられ、イオン検出器(33)及びイオンネットアセンブリ(34)もエンドキャップ(32)に取り付けられ、真空室(1)、飛行チューブ(31)、エンドキャップ(32)及びイオンネットアセンブリ(34)の間は、電気的に連通し、同じ接地電圧を有し、前記イオン源装置(4)は、引き出し電極(41)、加速電極(42)、集束リング(43)及び固定フレーム(44)を含み、前記集束リング(43)は、固定フレーム(44)内に取り付けられ、引き出し電極(41)及び加速電極(42)は、固定フレーム(44)の片側に取り付けられ、引き出し電極(41)は、電極基板(411)、調節ネジ(412)、電極板(413)及び質量分析チップ(414)を含み、電極基板(411)は、長方形であり、電極基板(411)の凹溝内に二等辺三角形で分布する3つの調節ネジ(412)が取り付けられ、電極板(413)は、凹溝内の調節ネジ(412)に置かれ、電極板(413)の中心にも凹溝があり、電極板(413)の凹溝内に質量分析チップ電極板(414)が置かれ、質量分析チップ(414)の上平面は、電極板(413)の上平面と面一であり、加速電極(42)は、上部電極(421)、上部イオンネット(422)、絶縁取り付けリング(423)、下部イオンネット(424)及び下部電極(425)を含み、上部電極(421)は、中心に孔の開いた円環であり、上部イオンネット(422)は、上部電極(421)に固定され、下部電極(425)も中心に孔の開いた円環であり、下部イオンネット(424)は、下部電極(425)に固定され、絶縁取り付けリング(423)は、中心に孔が開けられ、且つ2つの取り付け凹溝を有し、上部電極(421)と下部電極(425)は、絶縁取り付けリング(423)の2つの取り付け凹溝内にそれぞれ固定され、集束リング(43)は、上部接地リング(431)、高圧リング(432)、下部接地リング(433)及び絶縁ブラケット(434)を含み、上部接地リング(431)、高圧リング(432)、下部接地リング(433)は、いずれも絶縁ブラケット(434)内に取り付けられ、上部接地リング(431)、高圧リング(432)、下部接地リング(433)、絶縁ブラケット(434)の軸線は、重なり、チップ交換装置(6)は、交換室カバー(61)、駆動装置(62)、加熱装置(63)、交換電磁弁装置(64)を含み、交換室カバー(61)は、駆動装置(62)に取り付けられ、駆動装置(62)の駆動で前後に移動することができ、加熱装置(63)、交換室カバー(61)は、駆動装置(62)と連動し、交換室カバー(61)が真空室の下部ベース(11)に移動する時、加熱装置(63)、交換室カバー(61)は、同期に交換室(61)の下方に下降し、前記サンプル処理装置(7)は、移動プラットフォーム(71)、スポッティング装置(72)、液体ポンプ(73)、画像認識装置(74)、標本載置台(75)、マイクロプレート載置台(76)、ピペットチップボックス載置台(77)、純水タンク(78)及びゴミタンク(79)を含み、移動プラットフォーム(71)は、X軸とY軸の2つの方向に独立して運動することができ、移動プラットフォーム(71)にスポッティング装置(72)及び画像認識装置(74)が取り付けられ、スポッティング装置(72)及び画像認識装置(74)は、Z軸方向に運動することができ、スポッティング装置(72)は、液体ポンプ(73)に接続され、標本載置台(75)及びマイクロプレート載置台(76)は、生体試薬又は標本を載せることができ、液体ポンプ(73)と純水タンク(78)との間は、逆止弁及び管路により接続され、ゴミタンク(79)は、スポッティング装置(72)の下方に設置され、液体ポンプ(73)は、定量注射ポンプを用いる、ことを特徴とする飛行時間型質量分析計。
【請求項2】
前記真空発生装置(2)は、二段真空ポンプ(21)、一段真空ポンプ(22)、真空計(23)及び電磁弁アセンブリ(24)を含み、前記二段真空ポンプ(21)は、真空室の下部ベース(11)に取り付けられ、二段真空ポンプ(21)は、ターボ分子ポンプを用い、二段真空ポンプ(21)と一段真空ポンプ(22)との間に電磁弁アセンブリ(24)が設置され、真空計(23)は、真空室(1)内に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析計。
【請求項3】
レーザー励起装置(5)は、レーザー機器(51)、第1の反射鏡アセンブリ(52)、第2の反射鏡アセンブリ(53)及び集束レンズアセンブリ(54)を含み、レーザー機器(51)は、紫外波長域レーザー機器であり、第1の反射鏡アセンブリ(52)及び第2の反射鏡アセンブリ(53)は、いずれもレーザー反射鏡及び調整シートで構成され、レーザービームは、レーザー機器から射出され、第1の反射鏡(52)及び第2の反射鏡(53)の反射により、集束レンズアセンブリ(54)に入る、ことを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析計。
【請求項4】
前記交換電磁弁装置(64)は、電磁弁本体(641)、空気電磁弁(642)及び真空電磁弁(643)を含み、空気電磁弁(642)及び真空電磁弁(643)は、電磁弁本体(641)内に取り付けられ、電磁弁本体(641)に交換気道(644)、空気通路(645)及び真空通路(646)が設置され、前記交換気道(644)の2つの上部端口は、それぞれ空気電磁弁(642)及び真空電磁弁(643)の吸気口に連通し、空気電磁弁(642)の排気口は、空気通路(645)に連通し、真空電磁弁の排気口は、電磁弁本体(641)の真空通路(646)に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体高分子質量分析検出の分野に関し、分子飛行時間検出質量分析技術及び装備である。
【背景技術】
【0002】
飛行時間質量分析検出技術は、静電界を利用してイオンを加速した後、イオン飛行速度の違いによる到達時間の違いでイオン質量を分析する計器である。飛行時間型質量分析計のうち、リニア質量分析器は、構造が簡単で、分析範囲が広く、質量分解能が高いなどの特徴で広く応用され、例えばCN101601119Bは、主に質量分析チップ、イオン源、イオン集束管、イオン検出器、飛行ドリフト管、真空室、真空発生装置及び付帯制御回路を含む飛行時間型質量分析計を開示し、質量分析チップは、別の計器で製造された後に質量分析器に入れ、イオン源の作用で一定の速度及び電荷量を有するイオンを生成し、集束管により集束された後、飛行ドリフト管を経由してイオン検出器に到達する。異なる質量のイオンは、イオン源において得た速度が異なり、そのためイオン検出器に到達する時間に差があり、イオン到達時間の違いを分析することにより、イオンの質量を得ることができる。
【0003】
イオンの励起、飛行、検出過程は、様々な要因の影響を受け、検出されたイオン信号は、理想的ではなく、イオン信号質量の評価は、主に3つのパラメータを有し、それぞれ信号対雑音比、質量分解度及び反復率である。現在、実用的な飛行時間型質量分析器は、一般的に反復サンプリング重畳技術で信号対雑音比を向上させ、それにより良好な信号質量を得るが、イオン信号の反復率、サンプル質量などの要因の影響も受け、反復サンプリング回数に上限が存在する。質量分解度は、飛行時間型質量分析器の最も重要な評価パラメータであり、リニア質量分析器は、自体の構造に限られ、質量分解度が高くない。現在、実用的な飛行時間型質量分析器は、上記要因に限られて、一般的に小分子、多糖類又はタンパク質など低質量分子の分析に用いられ、中国国内では核酸質量分析用の飛行時間型質量計は少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術における問題を解決し、高い信号対雑音比、質量分解度及び反復率を有することができ、サンプル製造モジュールを集積し、質量分析検出過程を便利で迅速に完了させることができる飛行時間型質量分析計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、真空室、真空発生装置、イオン飛行チャンバ、イオン源装置、レーザー励起装置、チップ交換装置、サンプル処理装置、励起タイミング装置、信号収集装置、高圧制御装置及び運転制御装置を含むがこれらに限定されない飛行時間型質量分析計を提供し、前記真空室、真空発生装置、イオン飛行チャンバは、一体に取り付けられて真空システムを構成し、イオン源装置は、真空システム内に取り付けられ、レーザー励起装置は、イオン励起のエネルギーを提供し、励起タイミング装置、高圧制御装置、イオン源装置は、順次電気的に接続され、信号収集装置は、イオン飛行チャンバに電気的に接続され、信号収集装置は、運転制御装置に電気的に接続され、イオン源装置がイオンを生成した後、励起タイミング装置は、制御信号を高圧制御装置に送信し、高圧制御装置は、イオン源装置を操縦してイオンをイオン飛行チャンバ内に引き出させ、イオン飛行チャンバは、イオンを受信した後に信号を信号収集装置に出力し、信号収集装置は、信号を処理した後に運転制御装置内に記憶させ、チップ交換装置及びサンプル処理装置は、質量分析前処理システムを構成し、液体標本は、サンプル処理装置により処理された後にチップ交換装置を介して真空室内に送り込まれる。
【0006】
好ましくは、前記真空室は、真空室の下部ベース、真空室の上部蓋板、イオンインタフェース、XY運動アセンブリ、伝達ウィンドウ、撮像アセンブリ、照明アセンブリ及び高圧コネクタを含み、前記真空室の上部蓋板は、真空室の下部ベースに取り付けられ、イオンインタフェースは、真空室の上部蓋板に設置され、イオンインタフェースの一端にイオン源装置が取り付けられ、他端にイオン飛行チャンバが取り付けられ、前記XY運動アセンブリは、真空室の下部ベース内に取り付けられ、真空室の下部ベースに伝達ウィンドウが開設され、前記真空室の上部蓋板に撮像アセンブリ、照明アセンブリ及び高圧コネクタが取り付けられ、撮像アセンブリは、テレセントリックレンズ及びCCDカメラを含み、テレセントリックレンズの軸線は、CCDカメラの軸線と重なり、照明アセンブリは、LEDランプビーズ及び集束レンズを含み、LEDランプビーズの軸線は、集束レンズの軸線と重なる。
【0007】
好ましくは、前記真空発生装置は、二段真空ポンプ、一段真空ポンプ、真空計及び電磁弁アセンブリを含み、前記二段真空ポンプは、真空室の下部ベースに取り付けられ、二段真空ポンプは、ターボ分子ポンプ又は超高真空組合せポンプを採用し、二段真空ポンプと一段真空ポンプとの間に電磁弁アセンブリが設置され、真空計は、真空室内に取り付けられる。
【0008】
好ましくは、前記イオン飛行チャンバは、飛行チューブ、エンドキャップ、イオン検出器及びイオンネットアセンブリを含み、飛行チューブは、両端に円環面を有する中空管路であり、飛行チューブの長さは、0.5m~1.5mの間であり、飛行チューブは、一端が真空室のイオンインタフェースに取り付けられ、他端にエンドキャップが取り付けられ、イオン検出器及びイオンネットアセンブリは、いずれもエンドキャップに取り付けられ、真空室、飛行チューブ、エンドキャップ、イオンネットアセンブリは、電気的に連通し、同じ接地電圧を有する。
【0009】
好ましくは、前記イオン源装置は、引き出し電極、加速電極、集束リング及び固定フレームを含み、前記集束リングは、固定フレーム内に取り付けられ、引き出し電極及び加速電極は、固定フレームの片側に取り付けられる。
【0010】
好ましくは、前記イオン源装置は、引き出し電極を含み、引き出し電極は、電極基板、調節ネジ、電極板及び質量分析チップを含み、電極基板は、長方形であり、電極基板の凹溝内に二等辺三角形で分布する3つの調節ネジが取り付けられ、電極板は、凹溝内の調節ネジに置かれ、電極板の中心にも凹溝があり、凹溝内に質量分析チップが置かれ、質量分析チップの上平面は、電極板の上平面と面一であり、加速電極は、上部電極、上部イオンネット、絶縁取り付けリング、下部イオンネット及び下部電極を含み、上部電極は、中心に孔の開いた円環であり、上部イオンネットは、上部電極に固定され、下部電極も中心に孔の開いた円環であり、下部イオンネットは、下部電極に固定され、絶縁取り付けリングは、中心に孔が開けられ、且つ2つの取り付け凹溝を有し、上部電極と下部電極は、絶縁取り付けリングの2つの取り付け凹溝内にそれぞれ固定され、集束リングは、上部接地リング、高圧リング、下部接地リング及び絶縁ブラケットを含み、上部接地リング、高圧リング、下部接地リングは、いずれも絶縁ブラケット内に取り付けられ、上部接地リング、高圧リング、下部接地リング、絶縁ブラケットの軸線は、重なる。
【0011】
好ましくは、レーザー励起装置は、レーザー機器、第1の反射鏡アセンブリ、第2の反射鏡アセンブリ及び集束レンズアセンブリを含み、レーザー機器は、紫外波長域レーザー機器であり、第1の反射鏡アセンブリ及び第2の反射鏡アセンブリは、いずれもレーザー反射鏡及び調整シートで構成され、レーザービームは、レーザー機器から射出され、第1の反射鏡及び第2の反射鏡の反射により、集束レンズアセンブリに入る。
【0012】
好ましくは、チップ交換装置は、交換室カバー、駆動装置、加熱装置、交換電磁弁装置を含み、交換室カバーは、駆動装置に取り付けられ、駆動装置の駆動で前後に移動することができ、加熱装置、交換室カバーは、駆動装置と連動し、交換室カバーが真空室の下部ベースに移動する時、加熱装置、交換室カバーは、同期に交換室の下方に下降する。
【0013】
好ましくは、前記交換電磁弁装置は、電磁弁本体、空気電磁弁及び真空電磁弁を含み、空気電磁弁及び真空電磁弁は、電磁弁本体内に取り付けられ、電磁弁本体に交換気道、空気通路及び真空通路が設置され、前記交換気道の2つの上部端口は、それぞれ空気電磁弁及び真空電磁弁の吸気口に連通し、空気電磁弁の排気口は、空気通路に連通し、真空電磁弁の排気口は、電磁弁本体の真空通路に連通する。
【0014】
好ましくは、前記サンプル処理装置は、移動プラットフォーム、スポッティング装置、液体ポンプ、画像認識装置、標本載置台、マイクロプレート載置台、ピペットチップボックス載置台、純水タンク及びゴミタンクを含み、移動プラットフォームは、X軸とY軸の2つの方向に独立して運動することができ、移動プラットフォームにスポッティング装置及び画像認識装置が取り付けられ、スポッティング装置及び画像認識装置は、Z軸方向に運動することができ、スポッティング装置は、液体ポンプに接続され、標本載置台及びマイクロプレート載置台は、生体試薬又は標本を載せることができ、液体ポンプと純水タンクとの間は、逆止弁及び管路により接続され、ゴミタンクは、スポッティング装置の下方に設置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明は、飛行時間質量分析検出技術を遺伝子検出分野に導入し、合理的な構造設計により、飛行時間型質量分析計に高い信号対雑音比、質量分解度及び反復率を有させ、サンプル製造モジュールが集積され、質量分析検出過程を便利で迅速に完了させることができる。本計器は、操作効率が高く、失効しにくく、さらに標本汚染などの問題を解決する。
【0016】
本発明の特徴及び利点は、実施例により図面と結び付けて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の飛行時間型質量分析計の構造概略図である。
図2】本発明の飛行時間型質量分析計の真空室の構造概略図である。
図3】本発明の飛行時間型質量分析計の伝達ウィンドウの構造概略図である。
図4】本発明の飛行時間型質量分析計の撮像アセンブリと照明アセンブリの構造概略図である。
図5】本発明の飛行時間型質量分析計の真空発生装置の構造概略図である。
図6】本発明の飛行時間型質量分析計の真空発生装置の管路の接続概略図である。
図7】本発明の飛行時間型質量分析計のイオン飛行チャンバとイオン源構造の取り付け概略図である。
図8】本発明の飛行時間型質量分析計の引き出し電極の構造概略図である。
図9】本発明の飛行時間型質量分析計の加速電極と集束リングの構造概略図である。
図10】本発明の飛行時間型質量分析計のイオン飛行過程の概略図である。
図11】本発明の飛行時間型質量分析計のレーザー励起装置の構造概略図である。
図12】本発明の飛行時間型質量分析計のチップ交換装置の構造概略図である。
図13】本発明の飛行時間型質量分析計の交換電磁弁の構造概略図である。
図14】本発明の飛行時間型質量分析計の交換室の異なる状態の概略図である。
図15】本発明の飛行時間型質量分析計のサンプル処理装置の構造概略図である。
図16】本発明の飛行時間型質量分析計の励起タイミング装置の概略図である。
図17】本発明の飛行時間型質量分析計の信号収集装置の概略図である。
図18】本発明の飛行時間型質量分析計の高圧制御装置の概略図である。
図19】本発明の飛行時間型質量分析計の運転制御装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をさらに明確にするために、以下、図面及び実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかし理解すべきものとして、ここで説明された具体的な実施例は、本発明を解釈するために用いられるだけであり、本発明の範囲を限定するために用いられていない。また、以下の説明では、本発明の概念を不必要に混同することを回避するため、公知の構造及び技術については説明を省略する。
【0019】
図1を参照して、飛行時間型質量分析計は、真空室1、真空発生装置2、イオン飛行チャンバ3、イオン源装置4、レーザー励起装置5、チップ交換装置6、サンプル処理装置7、励起タイミング装置8、信号収集装置9、高圧制御装置10、運転制御装置Aを含み、真空室1、真空発生装置2及びイオン飛行チャンバ3は、一体に取り付けられた後に真空システムを構成し、イオン源装置4は、この真空システム内で動作しなければならず、レーザー励起装置5は、イオン励起のエネルギーを提供し、イオンがイオン源装置4内で生成した後、励起タイミング装置8は、制御信号を高圧制御装置10に送信し、高圧制御装置10は、イオン源装置4を操縦してイオンを引き出させ、イオン飛行チャンバ3内に加速して入り、イオン飛行チャンバ3は、イオンを受信した後に信号を信号収集装置9に出力し、信号収集装置9は、信号を処理した後に運転制御装置A内に記憶し、チップ交換装置6及びサンプル処理装置7は、質量分析前処理システムを構成し、液体標本は、まずサンプル処理装置7により処理された後にチップ交換装置6を介して真空室1内に送り込まれる。運転制御装置Aは、真空室1、真空発生装置2、イオン飛行チャンバ3、イオン源装置4、レーザー励起装置5、チップ交換装置6、サンプル処理装置7、励起タイミング装置8、信号収集装置9、高圧制御装置10の運転を制御することができる。
【0020】
図2を参照して、真空室1は、真空室の下部ベース11、真空室の上部蓋板12、イオンインタフェース13、XY運動アセンブリ14、伝達ウィンドウ15、撮像アセンブリ16、照明アセンブリ17、高圧コネクタ18を含むがこれらに限定されない。真空室の下部ベース11は、真空室1全体の取り付けの基礎であり、真空室の下部ベース11に位置決めピン(図示せず)及びシールリング(図示せず)が設置され、真空室の上部蓋板12が真空室の下部ベース11に取り付けられようとする場合、位置決め孔及び位置決めピンの嵌合により正確な位置決めを完了させるとともに、平滑底面によりシールリングを圧着して真空封止を完了させることができ、ここでシールリングは、真空室の下部ベース11上の凹溝内に固定され、シールリングの数は、1つが好ましく、シールを強化する必要がある場合、シールリングの数は、2つに増加してもよい。
【0021】
イオンインタフェース13は、真空室の上部蓋板12に設置され、1組の真空室の上部蓋板12の底面に垂直で精密な同軸円筒面であり、そのうち一端にイオン源装置4を取り付けることができ、他端に飛行チューブ3を取り付けることができ、イオンインタフェース13、イオン源装置4及びイオン飛行チャンバ3が軸線の位置合わせ精度を保証することにより、イオン飛行経路がずれないことを確保する。
【0022】
図2、3を参照して、伝達ウィンドウ15は、真空室の下部ベース11に位置する1組の貫通孔であり、そのうちチップ伝達ウィンドウ151は、真空室の下部ベース11を垂直に突き通す方形断面貫通孔であり、空気伝達ウィンドウ152は、真空室の下部ベース11及びチップ伝達ウィンドウ151に垂直な円形断面貫通孔である。
【0023】
図4を参照して、撮像アセンブリ16は、テレセントリックレンズ161及びCCDカメラ162で構成され、その軸線は、重なり、テレセントリックレンズは、平行光のみをCCDカメラに通過させ、照明アセンブリ17は、LEDランプビーズ171及び集光レンズ172で構成され、その軸線も重なり、LEDランプビーズ171から発した発散光は、集束レンズ172を通過した後に平行光になって射出する。図4に示すように、撮像アセンブリ16の軸線とイオンインタフェース13との夾角は、照明アセンブリ17の軸線とイオンインタフェース13との夾角の角度に等しく、且つ同じ平面内に位置するとともに、3本の軸線は、1点に交わり、集光点と呼ばれ、この集光点は、質量分析チップ414の上平面にあり、テレセントリックレンズの焦点もこの集光点に位置する。質量分析チップ414の上面は、鏡面であり、且つイオンインタフェース13の軸線に垂直であり、そのため照明アセンブリ17から発した平行光を撮像アセンブリ16に反射することができ、他の物体から反射した光は、撮像アセンブリ16の軸線と平行ではないため、撮像アセンブリ16に受信されることができず、このように撮像アセンブリ16は、質量分析チップ414の上面のみを撮ることができ、且つテレセントリックレンズの浅い被写界深度により、撮像アセンブリ16が質量分析チップ414における全ての標本をはっきりして撮影することができる場合、質量分析チップ414における全ての標本点は、いずれも集光点と重なることを示し、一部の点がはっきりして撮られない場合にアルゴリズムにより質量分析チップ414の位置ずれを自動的に判断することができ、使用者にタイムリーに調整することを注意させ、テスト結果の不正確を回避する。
【0024】
図12、14を参照して、XY運動アセンブリ14は、動作構造141及び絶縁封止ホルダ142を含み、それは、真空室の下部ベース11内に取り付けられ、二軸運動機構を有し、リニアモータ及びガイドレールにより機構の運動を駆動し、X及びY方向のガイドレールは、真空室の下部ベース11及び真空室の上部蓋板12の取り付け平面に平行であるように正確に調整され、XY運動アセンブリ14にイオン源装置4の引き出し電極41を取り付けることができ、引き出し電極は、質量分析チップ414を含み、質量分析チップ414は、XYガイドレール面に平行であるように調整することができ、XY運動機構は、質量分析チップ414を駆動して運動させる時、質量分析チップ414の上面は、いずれの点においても撮像アセンブリ16、照明アセンブリ17の交点と重なることができ、質量分析チップ414の上面がいずれの点においても撮像アセンブリ16によりはっきりして捕捉されることを保証する。
【0025】
図5、6を参照して、真空発生装置2は、二段真空ポンプ21、一段真空ポンプ22、真空計23及び電磁弁アセンブリ24を含むがこれらに限定されず、二段真空ポンプ21は、真空室の下部ベース11のハウジングに直接取り付けられ、二段真空ポンプ21の作用は、極めて高い体積流量で真空室内のガスを抽出し、真空室内に超高真空環境を形成し、真空室の下部ベース11のハウジングに直接取り付けて管路分子流のポンプ体積流量への影響を低減させることができることであり、二段真空ポンプは、ターボ分子ポンプが好ましく、他のタイプの超高真空組合せポンプを選択してもよく、二段真空ポンプ21は、初期動作の真空環境を有する必要があり、一段真空ポンプ22が二段真空ポンプ21と真空室内の空気を抽出して初期動作の真空度を形成する必要があり、初期動作の真空度は、1~10hpaであり、そのため一段真空ポンプ22は、軟質真空管路で真空室1と二段真空ポンプ21に接続することができ、一段真空ポンプ22の取り付け位置を柔軟に配置することができ、メンテナンスと保守を容易にし、衝撃吸収通風対策を増加することができる。一段真空ポンプ22は、ダイヤフラムポンプ、回転翼ポンプ、ルーツポンプを選択することができる。真空計23は、真空室1内の真空度を測定するために用いられ、一般的にピラニ/冷陰極複合式真空計又は冷陰極真空計を選択し、真空室1内の真空度をリアルタイムに検出するために、真空計23は、真空室の上部蓋板12のハウジングに直接垂直に取り付けられ、真空室1内の真空度の変化をより速く検出し、遅延を回避することができる。
【0026】
図6を参照して、電磁弁アセンブリ24は、二位置二方の常時閉電磁弁及び2つのホースコネクタで構成され、その管路接続方式は、図6を参照し、一段真空ポンプ22の抽気口は、管路を介して電磁弁アセンブリ24の1つのホースコネクタに接続され、同時にこのコネクタは、さらに交換室電磁弁アセンブリに接続され、二段真空ポンプ21の排気口は、管路を介して電磁弁アセンブリ24の他のホースコネクタに接続され、電磁弁が通電すればこそ、二段真空ポンプ21は、一段真空ポンプ22に連通することができ、電磁弁が停電した後に二段真空ポンプ21と一段真空ポンプ22との接続が切断されて、計器全体が突然停電した後に一段真空ポンプが封止を失うことにより二段真空ポンプ21が急速に真空度を失い、二段真空ポンプ21が摩耗することを回避し、さらに真空室1内の真空度保ち時間を増加することができ、計器の放置時間が長すぎて真空度が失われることによる再び真空を確立する時間が長すぎることを回避する。
【0027】
図7を参照して、イオン飛行チャンバ3は、飛行チューブ31、エンドキャップ32、イオン検出器33及びイオンネットアセンブリ34を含み、そのうち飛行チューブ31は、1本の両端に精密な嵌合円環面を有する中空管路であり、精密な嵌合面の目的は、飛行チューブの両端がいずれもイオンインタフェース13の軸線と一致するように保つことを保証することであり、飛行チューブ31の長さは、0.5m~1.5mの間であり、そのうちの一端は、真空室1のイオンインタフェース13に取り付けられ、他端にエンドキャップ32が取り付けられ、エンドキャップ32は、同様に精密な嵌合円環面により飛行チューブ31と同軸であるように保つ。イオン検出器33は、エンドキャップ32に取り付けられ、イオン検出器は、一般的にマイクロチャンネルプレート(ETP)又は電子増倍器(CEM)を選択し、イオンネットアセンブリ34もエンドキャップ32に取り付けられ、真空室1、飛行チューブ31、エンドキャップ32、イオンネットアセンブリ34の間は、電気的に連通し、同じ接地電圧を有し、イオンネットアセンブリ34は、イオンネット取り付けリング341及びイオンネット342を含み、イオンネット取り付けリング341は、精密に加工された円環面及び平面を有し、円環面は、エンドキャップと嵌合して同軸であるように保証し、このようにイオンネットアセンブリ34は、イオンインタフェース13と同軸であるように保つことができ、精密に加工された平面は、イオンネット342を固定するとともにイオンネット342の平面度を保証することができ、イオンが最大限にイオンネットアセンブリ34の中心を通過することを保証するために、イオンネット取り付けリングの平面中心に孔が開けられ、イオンネット342は、孔付きの金属メッシュグリッドを選択し、その材質は、金、銀、銅、ニッケル、ステンレスなどの導電性材質を含むがこれらに限定されず、ニッケルメッシュグリッドが好ましく、グリッド透過率は、50%~99%であり、95~99%であることが好ましい。図7中のL1は、図10中のL1と同じで、いずれもイオン加速後の自由飛行距離を示す。
【0028】
図7、8を参照して、イオン源装置4は、引き出し電極41、加速電極42、集束リング43、固定フレーム44を含んで構成され、引き出し電極41は、電極基板411、調節ネジ412、電極板413、質量分析チップ414を含み、電極基板411は、長方形であり、電極基板411の凹溝内に3つの二等辺三角形で分布する調節ネジ412が取り付けられ、電極板413は、凹溝内の調節ネジ412に置かれ、ネジ上平面により支持され、3つの調節ネジ412の高さを調節することにより電極板413の上平面の角度を調整することができ、電極板413の中心にも凹溝があり、凹溝内に質量分析チップ414が置かれ、質量分析チップ414の上平面は、電極板の上平面と面一であり、電極基板411、調節ネジ412、電極板413は、導電性に優れた金属で製造され、質量分析チップ414は、半導体シリコンウェハーで製造され、引き出し電極41の構成部分全体は、電気的に連通し、引き出し電極の近傍に均一で一致する電界を形成し、異なる位置に生成されたイオンが受ける電界作用が一致することを保証し、質量分析チップ414の上平面には特殊な表面処理が施され、表面に基質標本液体を吸着することができる。
【0029】
図9を参照して、加速電極42は、上部電極421、上部イオンネット422、絶縁取り付けリング423、下部イオンネット424、下部電極425で構成され、上部電極421は、中心に孔の開いた精密な円環であり、上部イオンネット422は、上部電極421に固定され、同様に、下部電極425も中心に孔の開いた精密な円環であり、下部イオンネット424は、下部電極425に固定され、絶縁取り付けリング423の中心にも孔が開けられ、且つ2つの取り付け凹溝を有し、上部電極421及び下部電極425は、絶縁取り付けリング423の取り付け凹溝内に固定され、絶縁取り付けリング423の凹溝が精密に加工され、上部電極421、下部電極425及び絶縁取り付けリング423の軸線が同じ軸線にあることを保証することができ、このように上部電極421と下部電極425は、互いに平行であり、形成された電界線と軸線、イオン飛行方向が平行であり、非平行の電界がイオンの飛行方向に対してずれ作用を生じることを回避し、ここで上部電極421と下部電極425は、良好な導電性の金属で製造され、上部イオンネット422及び下部イオンネット424は、イオンネット342と同じ材質であり、絶縁取り付けリング423は、良好な絶縁性の材料で製造され、上部電極421、上部イオンネット422と下部電極425、下部イオンネット424は、完全に電気的に分離することを保証する。
【0030】
図9を参照して、集束リング43は、上部接地リング431、高圧リング432、下部接地リング433及び絶縁ブラケット434で構成され、そのうち上部接地リング431、高圧リング432、下部接地リング433は、精密に加工された内外径が完全に同じである平滑導電中空円筒であり、3者は、いずれも絶縁材料で製造された絶縁ブラケット434に取り付けられて互いに絶縁する目的を達成し、正確に加工された円筒嵌合面により、上部接地リング431、高圧リング432、下部接地リング433及び絶縁ブラケット434の軸線は、重なり、このように上部接地リング431、高電圧リング432と下部接地リング433との間に形成された電界は、軸対称に分布する集束電界を形成し、この集束電界は、イオンをより小さい直径又はより平行な方向に集束することができる。固定フレーム44は、良好な導電性の材料で製造され、且つイオンインタフェース13に固定され、精密に加工された取り付け嵌合面により、固定フレーム44とイオンインタフェース13の軸線が重なり、また、加速電極42及び集束リング43は、固定フレーム44に取り付けられ、同様に、精密に加工された取り付け嵌合面により、加速電極42の共通軸線、集束リング43の共通軸線は、固定フレーム44の軸線と重なる。
【0031】
上記構造設計及び取り付け方法により、イオンネットアセンブリ34、加速電極42、集束リング43、イオン検出器33に含まれる全ての電気部品は、いずれも同じ軸線1に正確に取り付けられ、調節ネジ412により電極板413及び質量分析チップ414の共通上平面を加速電極42の下部イオンネット414と完全に平行であるように調整し、また質量分析チップ414の上平面は、撮像アセンブリ16、照明アセンブリ17の軸線焦点(図4における集光点)と重なる。
【0032】
引き出し電極41全体は、XY運動アセンブリ14の絶縁封止ホルダ142に取り付けられ、XY運動アセンブリ14に伴って運動することができ、質量分析チップ414における標本点が撮像アセンブリ16の視野中心に運動する時、標本点は、取り付けの軸線1と重なり、イオンの飛行過程は、図10に示すように、1束のパルスレーザーが質量分析チップ414における標本点に照射した後、標本が一定量の帯電イオンを生成し、帯電イオンが一定の初速度を有し、基本的に軸線1に沿って引き出し電極41から加速電極42に運動し、ここで引き出し電極41は、高圧HV1に接続され、加速電極の下部イオンネット424は、パルス高圧HV2に接続され、上部イオンネット422は、接地し、HV1の電圧は、不変であり、電圧範囲は、15~30KVの間であり、20KVであることが好ましく、HV2の電圧は、パルス式であり、大部分の時間における電圧は、HV1と同じであり、レーザー照射後に、HV2は、1つのプルダウンされたパルス電圧を有し、パルス電圧の降下振幅値は、1~3KVの間であり、パルス電圧の降下時間は、200ns以内であり、電圧HV2の回復時間は、100ms以内であり、HV2の電圧がプルダウンされる時、電圧HV1は、HV2よりも大きく、引き出し電極41と下部イオンネット424との間に電位差が形成され、イオンは、電位差の作用で加速して下部イオンネット424を通り抜け、下部イオンネット424及び上部イオンネット422で形成された加速電界領域に入り、ここで上部イオンネット422及びイオンネットアセンブリ34は、いずれも接地し、そのためイオンは、HV2及び接地電圧で形成された加速電界領域を通した後に電位差のない均一な電界領域に入って自由に飛行し、最終的にイオンネットアセンブリ34を通り抜けてイオン検出器33に入る。
【0033】
全ての電気部品の軸線を重ねることには、以下の効果を有する。1.イオンが質量分析チップ414の上平面に生成した後、通した引き出し、加速電界が完全に平行であり、イオンが取得した速度方向が軸線1に平行であり、非平行の電界によるイオン飛行速度方向の分散が存在せず、且つイオンが加速した後に同じ速度のイオンが同時に均一な電界飛行領域に入り飛び出して同時にイオン検出器に受信され、イオン検出器が受信したイオン信号のパルス幅を減少し、解像度を増加し、2.集束リング43は、軸線1と重なり、イオンは軸線1からの方向のずれが多いほど、受ける集束補正作用が強くなり、それにより発散するイオンビームの大部分をイオン検出器33に集束することに達する。
【0034】
上記イオン飛行過程は、理想的な状況であるが、実際に標本がイオンを生成する初速度は、速度と方向に一定の違いがあり、イオンの速度の違いを補償するために、レーザー照射によりイオンを生成した後に、HV2は、直ちにプルダウンされてイオンを引き出せず、一定の遅延時間tを設定し、目的は、速度に違いがあるイオンを均一な電界において下部イオンネット424に一定時間飛行させることであり、速度が比較的速いイオンは、速度が比較的遅いイオンよりも飛行距離が長く、このようにHV2がプルダウンされる時、速度が遅いイオンが取得した加速電力量は、速度が速いイオンよりも多く、それにより速度の違いを補償する目的を達成し、初期イオンの方向は、厳密に軸線1に沿って飛行せず、これにより軸線1に垂直な径方向速度成分が生じ、そのためイオンは一定時間飛行した後に非常に大きな面積に拡散し、全部がイオン検出器33に受信されず、イオン信号が弱くなり、大部分のイオンがイオン検出器33に受信されるように、本計器は、集束リング43を設計し、集束リング43の上部接地リング431及び下部接地リング433は、接地し、高圧リング432は、高圧HV3に接続され、このように上部接地リング431、下部接地リング433と高圧リング432との間の隙間L2に不均一な電界が形成され、イオンは、この電界を通す時に不均一な電界分布によるイオン径方向への加速作用によりイオンの径方向速度成分が減少し、除去され、イオンを集束する効果を生じ、光学レンズのように、電圧HV3を細かく調節すれば大部分のイオンをイオン検出器33内に集束し、それにより信号レベルを向上させ、高圧リング432の両端に接地リング431、433が配置され、高圧リング432の電界が上部イオンネット422とイオンネットアセンブリ34との間の均一な電界領域を干渉することを回避することができ、イオンを、加速電極42の間を通してさらに集束リング43を通すように配置することは、加速後のイオン速度が速く、上部接地リング431、下部接地リング433と高圧リング432との間の隙間L2が大きく設計されても、イオンが隙間の不均一な電界内に滞在する時間が短く、イオンが取得する径方向の加速が少なく、非常に小さいイオンの初期径方向成分をちょうど補償することができ、集束リング43が加速電極42の前に取り付けられると、この時にイオンの速度が遅く、非常に小さいイオンの初期径方向成分をちょうど補償するために、隙間L2を非常に小さく設計しなければならず、上部接地リング431、下部接地リング433と高圧リング432との絶縁要求を満たさないためである。
【0035】
図10を参照して、L1は、イオン加速後の自由飛行距離であり、異なる質量のイオンが取得する速度が異なり、この距離L1が長いほど、異なる速度のイオンがイオン検出器に到達する時間の間隔が大きいほど、イオン検出器は、異なる質量のイオンを分解することが容易になり、そのため、L1の距離は、理論的に長いほど好ましいが、プロセス及びデバイスに限定され、L1の長さは、800mm~1500mmの間であり、L2の距離は、接地リングと高圧リングの絶縁要求を満たすべきであり、イオン集束の需要も考慮する必要があり、一般的に1mm~8mmの間であり、L3は、主に上部イオンネット422と下部イオンネット424との間の絶縁需要を考慮し、一般的に3mm~10mmの間であり、L4は、絶縁及び機能要求を考慮する必要がなく、隙間は、公差残量を満たせばよく、一般的に1mm~5mmの間であり、L5は、主に絶縁、引き出し機能及び絶縁封止ホルダ142の外形寸法を考慮し、一般的に4mm~10mmの間である。
【0036】
図11を参照して、レーザー励起装置5は、主にレーザー機器51、第1の反射鏡アセンブリ52、第2の反射鏡アセンブリ53、集束レンズアセンブリ54を含み、レーザー機器51は、紫外波長域レーザー機器であり、動作方式がパルスである場合、パルス幅は、2~10nsであり、パルスレーザー機器の波長は、248nm、266nm、275nm、337nm、355nmのうちの1種であってもよく、337nm窒素分子レーザー機器であることが好ましく、第1の反射鏡アセンブリ52及び第2の反射鏡アセンブリ53は、いずれもレーザー反射鏡及び調整シートで構成され、レーザー反射鏡は、レーザービームに対する反射率が95%よりも大きく、調整シートは、レーザー反射鏡の傾斜角を調節することができ、第1の反射鏡アセンブリ52及び第2の反射鏡アセンブリのレーザー反射鏡の傾斜角の調整方向の夾角は、90°であり、つまり第1の反射鏡アセンブリ52は、レーザービームのピッチ角を調節することができ、第2の反射鏡アセンブリ53は、レーザービームの水平角を調節することができ、第1の反射鏡52と第2の反射鏡53の角度を調節することにより、レーザービームは、平面内の任意点に照射することができる。集束レンズアセンブリ54は、レーザー集束レンズ及びフォーカスベースで構成され、レーザービームは、レーザー機器から射出され、第1の反射鏡52及び第2の反射鏡53により反射された後、集束レンズアセンブリ54に入り、さらにレーザー集束レンズの集光により、第1の反射鏡アセンブリ52、第2の反射鏡アセンブリ53の角度調節及び集束レンズアセンブリのレーザービームの焦点位置調節の作用で、レーザービームの焦点を引き出し電極41の質量分析チップ414の上平面に位置させ、計器が質量分析収集を行う時、撮像アセンブリ16の焦点、レーザービームの焦点、質量分析チップ414の標本点は、重なり、且つ軸線1にある。図11に示すように、集束レンズアセンブリ54の集光により、レーザービームは、加速電極42と集束リング43との間の隙間を通し、上部イオンネット422及び下部イオンネット424を突き通した後に最終的に質量分析チップ414に照射し、このように取り付けると、レーザービームと軸線1との夾角を最大限に小さくすることができ、質量分析チップ414に照射されたスポットエネルギー分布の不均一を回避するとともに、イオン飛行の経路を避け、レーザー部品がイオン飛行を干渉することを回避することができる。
【0037】
図12を参照して、チップ交換装置6は、交換室カバー61、駆動装置62、加熱装置63、交換電磁弁装置64を含むがこれらに限定されず、交換室カバー61は、一端が開口した方形キャビティであり、キャビティの開口端部にシールリングが取り付けられ、交換室カバー61は、駆動装置62の駆動で前後に移動することができ、また加熱装置63は、交換室カバー61及び駆動装置62と連動し、交換室カバーが真空室の下部ベース11に移動する時に同期に交換室カバー61の下方に下降し、逆に加速電極41の下平面に接触するまで上昇する。
【0038】
図13を参照して、交換電磁弁装置64は、電磁弁本体641、空気電磁弁642及び真空電磁弁643で構成され、空気電磁弁642及び真空電磁弁643が電磁弁本体641内に取り付けられ、交換気道644は、一端が空気交換ウィンドウ152に連通し、他端が2つのポートに分けられ、それぞれ空気電磁弁642及び真空電磁弁643の吸気口に連通し、空気電磁弁642の排気口は、電磁弁本体641の空気通路645に連通し、真空電磁弁の排気口は、電磁弁本体641の真空通路646に連通し、電磁弁本体641の空気通路645に空気フィルタが取り付けられ、大気に連通し、電磁弁本体641の真空通路646は、管路を介して一段真空ポンプ22の抽気口に接続される。
【0039】
図14を参照して、状態1は、計器検出動作状態であり、加速電極41は、真空室内にあり、交換室カバー61は、真空室の下部ベース11に密着し、チップ伝達ウィンドウ151の一端を封止し、また空気電磁弁642及び真空電磁弁643は閉じ、空気伝達ウィンドウ152の一端を封止し、真空室1は、封止状態にあり、加速電極41における質量分析チップ414の検出が完了した後に交換する必要がある時、質量分析チップ414を真空室内から伝達する必要がある場合、計器の状態1を状態2に変わる必要があり、つまり加速電極は、絶縁封止ホルダ142の駆動でチップ伝達ウィンドウ151を通り抜けて交換室カバー61のキャビティ内に入り、また絶縁封止ホルダ142は、チップ伝達ウィンドウ151の他端を封止し、この時にチップ伝達ウィンドウ151の両端は、それぞれ交換室カバー61及び絶縁封止ホルダ142で封止され、空気伝達ウィンドウ152とともに密閉空間を形成し、この空間は、真空状態にあり、この時に交換室カバー61を開けようとすると大気圧の作用で開けないため、空気電磁弁642を開け、空気伝達ウィンドウ152を大気に連通させ、密閉空間内の真空を放出する必要がある。質量分析計が状態2に変わった後、状態3に変わることができ、交換室カバー61が真空室の下部ベース11の接触から離れて後方に運動するように操作し、続いて空気電磁弁642が閉じて空気伝達ウィンドウと大気との連通を切断し、加速電極41における質量分析チップ414が真空室外に露出し、チップ交換操作を行うことができる。質量分析チップ414を交換した後に標本処理装置7を用いて増幅された液体標本を質量分析チップ414に対応する基質点に転移することができ、この時に質量分析チップ414は、加熱装置63により所定温度に加熱され、質量分析チップ414に転移された液体は、すぐに乾燥することができ、乾燥が完了した後に質量分析チップ414を再び真空室1内に送って検出分析動作を行う必要があり、計器は、状態3から状態2へ変わり、交換室カバー61は、正方向に運動して真空質の下部ベース11に密着し、チップ伝達ウィンドウ151を閉鎖し、この時にチップ伝達ウィンドウ151及び空気伝達ウィンドウ152は、また密閉空間を形成し、密閉空間内の気圧は、大気圧と一致し、この時に絶縁封止ホルダ142を移動して封止ガスを放出すると、大量のガスは、二段真空ポンプに衝撃を与え、且つ真空室1内の真空度を急激に上昇させ、そのため一定の絶縁封止ホルダ142の前に、まず真空電磁弁643を開け、空気伝達ウィンドウ152を一段真空ポンプ22に連通させる必要があり、一段真空ポンプ22は、密閉空間内の大部分のガスを抽出し、0.01hpa~5hpaの真空度を形成した後に真空電磁弁643を閉じ、この時に計器は、状態1に変えることができ、絶縁封止ホルダ142は、引き出し電極41を駆動して真空室1内に移動させ、最終的に動作位置に移動して検出動作を開始することができる。
【0040】
図15を参照すると、サンプル処理装置7は、移動プラットフォーム71、スポッティング装置72、液体ポンプ73、画像認識装置74、標本載置台75、マイクロプレート載置台76、ピペットチップボックス載置台77、純水タンク78、ゴミタンク79を含むがこれらに限定されず、移動プラットフォーム71は、X軸とY軸の2つの方向に独立して運動することができ、移動プラットフォーム71にスポッティング装置72及び画像認識装置74が取り付けられ、スポッティング装置72及び画像認識装置74は、同じモータにより駆動されてもよいが、必ずそのようにすることがなく、スポッティング装置72及び画像認識装置74は、Z軸方向に運動することができ、異なる高さで吸い取り、取り付け、注射の操作を完了させ異なる高さの物体を撮ることができる。スポッティング装置72は、1/6/24/48/96個のピペットヘッドを含むがこれらに限定されず、1/6/24/48/96個のピペットヘッドは、それぞれ管路を介して液体ポンプ73に接続され、ピペットヘッドに複数型番の使い捨てピペットチップを載せることができ、分注操作前に、スポッティング装置72は、ピペットチップボックスからピペットチップを取り出し、分注操作完了後に、スポッティング装置72は、ピペットチップを離脱させ、離脱後のピペットヘッドは、ゴミタンク79に収集され、ピペットヘッド内に残った標本液体が計器内部を汚染することを回避し、1つの液体操作プログラムを完了するごとに1つの新たな使い捨てピペットチップに交換する必要があり、ピペットヘッドの繰り返し使用による交差汚染問題を完全に回避する。
【0041】
液体ポンプ73は、定量注射ポンプであることが好ましく、独立して制御する1/6/24/48/96路の液路を含み、各液路は、1つの逆転可能な電磁弁により制御され、液体ポンプ73の液体注射器の数は、スポッティング装置72のピペットヘッドの数と一致し、つまり各ピペットヘッドの液路は、いずれも独立し、このように複数のピペットヘッドが1つの注射器を共用する時にピペットヘッドの注射量が一致しないことを回避することができ、液体ポンプ73と純水タンク78との間は、逆止弁及び管路により接続され、液体ポンプ73が純水タンク78からのみ吸水することを確保し、管路における液体が還流して純水タンクを汚染することを回避する。
【0042】
画像認識装置74は、CCDカメラ、光学レンズ及び光源を含み、物体画像、バーコードを含むがこれらに限定されないものを識別することができ、そのうちバーコードは、一次元コード又は/及び二次元コードを含むがこれらに限定されず、光学レンズは、テレセントリックレンズであることが好ましく、テレセントリックレンズは、増幅倍率が非常に安定的であり、そのため撮られた物体の寸法を測定するために用いることができる。
【0043】
標本載置台75及びマイクロプレート載置台76は、各種の生体試薬及び標本を載せるために用いられ、生体試薬及び標本の長時間の有効性を保つために、標本載置台75又は/及びマイクロプレート載置台76の底部に温度制御装置が取り付けられることが好ましく、異なる生体試薬及び標本の保ち要求に応じて、温度制御装置は、温度を0℃~室温の間の設定温度に保つことができる。
【0044】
ピペットチップボックス載置台77は、使い捨てのピペットチップボックスを載せるために用いられ、ピペットチップボックス載置台77は、水平調整構造及びピペットチップボックスのクランプ構造を含み、水平調節及びクランプにより毎回にスポッティング装置がピペットチップを正確で安定的に取ることを保証する。
【0045】
サンプル処理装置7の液体操作プログラムは、大体以下のとおりである。プログラムが起動された後にサンプル処理装置7のX、Y、Z軸をリセットし、続いて画像認識装置74を質量分析チップ414に移動させ、質量分析チップ414の二次元コードを認識して保存し、続いてスポッティング装置72をピペットチップボックス載置台77に移動させて使い捨てピペットヘッドを載せ、続いてスポッティング装置72は、使い捨てピペットヘッドを駆動してマイクロプレート載置台76に移動させて液体で消耗品を処理し、消耗品を吸い取った後にスポッティング装置72を標本載置台75に移動させ、消耗品を標本載置台75に放置された標本溶液内に注射し、標本溶液を処理した後、使い捨てピペットチップは、一定量の標本溶液を吸い取り、続いてスポッティング装置72を質量分析チップ414に移動させ、使い捨てピペットチップが吸い取った標本溶液を質量分析チップ414の基質点に注射し、最後にスポッティング装置72をゴミタンク79に移動させ、使用済みの使い捨てピペットチップをゴミタンク79内に廃棄し、ここまで1つの液体操作プログラムが完了し、操作する必要がある液体の数が多い場合、このステップを繰り返すことができる。標本載置台75、マイクロプレート載置台76、ピペットチップボックス載置台77及び質量分析チップ414の間は、同じ領域に緊密に配置され、スポッティング装置72の上記装置の間における移動距離を減少させることができ、それにより液体操作プログラムの時間を減少し、計器の動作効率を増加し、ゴミタンク79は、純水タンク78、標本載置台75、マイクロプレート載置台76、ピペットチップボックス載置台77から離れた位置に取り付けられ、上記位置の標本が廃液及び廃棄チップにより汚染されることを回避することができる。
【0046】
図16、17を参照して、励起タイミング装置8は、紫外波長域レーザー機器11から出力された同期信号を受信し、2路の調整可能なパルスP1及びP2を出力し、P1は、遅延引き出しパルスであり、T1+T2タイミングで構成され、T1は、パルス遅延引き出し時間であり、T2は、遅延引き出しパルス幅であり、P2は、遅延収集パルスであり、T3+T4のタイミングで構成され、T3は、パルス遅延収集時間であり、T4は、遅延収集パルス幅である。
【0047】
図16を参照して、励起タイミング装置8は、電圧型変換回路A1、励起パルス弁別回路A2、パルス整形遅延回路A3、タイミング論理回路A4、記憶回路A5、インタフェース回路A6で構成され、電圧型変換回路A1は、5種類の異なる電圧を出力して励起タイミング装置の内部回路に動作電源を提供し、この5種類の異なる電圧は、それぞれ励起パルス弁別回路A2、パルス整形遅延回路A3、タイミング論理回路A4、記憶回路A5、インタフェース回路A6に給電し、励起パルス弁別回路A2は、パルスレーザー機器11から出力された同期信号を受信し、非方形波パルスを弁別した後に整形及び遅延を行い、タイミング論理回路A4に送り込まれ、タイミング論理回路A4は、記憶回路A5に予め記憶されたT1、T2、T3、T4設定パラメータを読み取り、且つパラメータに応じてパルスレーザー機器11の同期信号に基づく2路のP1及びP2のパルス信号を出力し、インタフェース回路A6は、パルス時間パラメータの設定及び記憶を担当する。
【0048】
図17を参照して、信号収集装置9は、イオン信号インタフェースB1、サンプリングパルスインタフェースB2、データ交換インタフェースB3を含み、イオン信号インタフェースB1は、イオン検出器のアナログ電圧信号を受信するために用いられ、データ交換インタフェースB3を介してイオン収集の配置パラメータを設定し、サンプリングパルスインタフェースB2は、励起タイミング装置Aから出力された遅延収集パルスP2を受信した後にイオン信号を収集し始め、続いてイオンの時間及び電圧関係の元の曲線に関するデータを得る。
【0049】
図18を参照して、高圧制御装置10の主な作用は、レーザー脱離イオン化共結晶後にイオンの引き出し、加速、飛行、検出に必要な高圧電源及び高圧タイミングを提供することであり、高圧制御装置Cは、高圧制御イネーブルHV~EN、高圧トリガ入力C1、高圧入力HV1~IN、HV2~IN、高圧出力HV1~OUT、HV2~OUT、動作電源インタフェースC2を含むがこれらに限定されず、図18に示す。HV1~INには、+10kVから+50kVの高圧電源1が接続され、HV2~INには、+3kVから+10kVの高圧電源2が接続され、HV1~OUTには、加速電極23が接続され、HV2~OUTには、引き出し電極21が接続される。
【0050】
HV~ENが無効である場合、高圧制御装置10の制御機能が禁止され、HV1~OUT、HV2~OUTの出力が禁止され、
HV~ENが有効である場合、高圧制御装置10の制御機能が有効であり、HV2~OUTは、HV1~INに等しい電圧を出力し、高圧トリガ入力C1は、励起タイミング装置Aの出力遅延引き出しパルスP1を受信した後、HV2~OUT出力電圧は、高圧電源1と高圧電源2の電圧差であり、高圧電源の電圧差が急変する可能性がないからであり、高圧制御装置10の高圧制御タイミングは、図18に示すとおりである。
【0051】
図19を参照して、運転制御装置11は、運転制御ユニットD1、データ交換インタフェースD2、データ記憶ユニットD3、電源管理ユニットD4、運転表示装置D5、動作電源D6を含むがこれらに限定されない。運転制御装置11の制御信号により、それぞれレーザー機器51、真空室1、交換室6、真空発生装置2、サンプル処理装置7、励起タイミング装置8、信号収集装置9、高圧制御装置10に接続され、運転制御装置11により飛行時間型質量分析計の完全且つ計画的な動作を協調して制御し、飛行時間型質量分析計の運転制御装置11の動作タイミングは、図19に示すとおりである。
【0052】
上記実施例は、本発明を説明するものであり、本発明を限定するものではなく、本発明を簡単に変換したあらゆる解決手段も本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
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