(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155719
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アルミニウムプロファイル射出接合方法
(51)【国際特許分類】
B22D 19/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B22D19/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009038
(22)【出願日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052787
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524035128
【氏名又は名称】キム、ビョン チャン
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン チャン
(57)【要約】
【課題】アルミニウムプロファイル射出接合方法を提供すること。
【解決手段】接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを製品設計に合わせて作製する製品準備段階、第1の段階を通じて準備されたアルミニウムプロファイルに合わせて設計された金型を作製する金型準備段階、接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを互いに接触した状態で金型に安着する安着段階、及び金型を通じてアルミニウムプロファイル接触部分に射出物を充填して接合するアルミニウムプロファイルを一体的に構成する射出充填段階を含む。電気自動車バッテリーハウジングを作製するにあたり、多様な断面構造を持つアルミニウムプロファイルを容易に接合でき、安定した接合状態を維持することができ、多数の接合部材や結束部材を省略することができ、作製及び施工にかかるコストを顕著に節減でき、これに加えて施工時間を顕著に短縮させることができるアルミニウムプロファイル射出接合方法を提供しうる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを製品設計に合わせて作製する製品準備段階S110、
製品準備段階S110を通じて準備されたアルミニウムプロファイルに合わせて設計された金型を作製する金型準備段階S120、
接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを互いに接触した状態で金型に安着する安着段階S130、及び、
金型を通じてアルミニウムプロファイル接触部分に射出物を充填して接合するアルミニウムプロファイルを一体的に構成する射出充填段階S140を含む
ことを特徴とするアルミニウムプロファイル射出接合方法。
【請求項2】
前記金型準備段階S120は、
金型を通じて射出物が吐出されてアルミニウムプロファイル接合部内部に誘導する構造のモールドゲートの形成位置をアルミニウムプロファイルの充填孔の形成位置に合わせて形成するモールドゲート形成段階S121を含む
請求項1に記載のアルミニウムプロファイル射出接合方法。
【請求項3】
前記射出充填段階S140は、
前記アルミニウムプロファイルの側面に貫通孔12を加工して射出物がアルミニウムプロファイルと一体的に結束するように誘導する側貫通孔形成段階S141を含む
請求項1に記載のアルミニウムプロファイル射出接合方法。
【請求項4】
前記射出充填段階S140は、
前記側貫通孔形成段階S141を通じて形成された貫通孔にピン30を挿入して射出物とアルミニウムプロファイルを一体的に結束するピン挿入段階S142を含む
請求項3に記載のアルミニウムプロファイル射出接合方法。
【請求項5】
前記射出充填段階S140は、
前記アルミニウムプロファイル内部で、接合部に隣接する所定体積の空間を形成するようにアルミニウムプロファイル内部にブロック40を装着するブロック装着段階S143を含む
請求項1に記載のアルミニウムプロファイル射出接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムプロファイル射出接合方法に関し、より詳細には、電気自動車用バッテリーハウジングのプロファイル射出接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電気自動車バッテリーハウジングを構成する多数のアルミニウムプロファイルを接合する方法に関し、従来技術による溶接による接合方法の問題点を解決するためのものである。
【0003】
従来技術による溶接による接合方法の場合、溶接後のアルミニウムプロファイルが変形するという問題点がある。具体的には、アルミニウムプロファイルは、摂氏500~600度の熱によって変形する特性を有しており、溶接時に発生する熱によってアルミニウムプロファイルは、熱変形を引き起こす。
【0004】
このような理由により多数のアルミニウムプロファイルを溶接して所望の構造物を作製するために溶接変形を防止できるように、多数の変形防止部材と溶接後に多数の追加工程が必要である。結果として、従来技術による溶接を用いた接合方法は、平坦度、孔位置などの公差を正確に合わせることが非常に困難であるという問題点を有している。また、溶接ビードラインが取付部に干渉して溶接ビードをグラインディング作業を通じて除去しなければならず、これにより追加工程が必要であり、平坦度を合わせるのに非常に脆弱であり、リーク発生(leakage)のリスクが非常に大きいという問題点がある。
【0005】
また、従来技術による溶接による接合方法の場合、溶接欠陥を発見した後に再作業が非常に困難であり、当該製品を廃棄処理しなければならないという問題点を有している。
【0006】
したがって、上述した従来技術による問題点を解決することができ、従来技術による接合方法の工程を簡略化することができ、製品の変形がなく、リーク発生のリスクを根本的に遮断できる技術が必要であるのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1277453号(登録日付:2013年06月17日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電気自動車バッテリーハウジングを作製するにあたり、多様な断面構造を持つアルミニウムプロファイルを容易に接合でき、安定した接合状態を維持することができ、多数の接合部材や結束部材を省略することができ、作製及び施工にかかるコストを顕著に節減でき、これに加えて施工時間を顕著に短縮させることができるアルミニウムプロファイル射出接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の一態様によるアルミニウムプロファイル射出接合方法は、接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを製品設計に合わせて作製する製品準備段階、製品準備段階を通じて準備されたアルミニウムプロファイルに合わせて設計された金型を作製する金型準備段階、接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを互いに接触させた状態で金型に安着する安着段階、及び金型を通じてアルミニウムプロファイル接触部分に射出物を充填して接合するアルミニウムプロファイルを一体的に構成する射出充填段階を含む構成であってもよい。
【0010】
本発明の一実施例において、前記金型準備段階は、金型を通じて射出物が吐出されてアルミニウムプロファイル接合部内部に誘導する構造のモールドゲートの形成位置をアルミニウムプロファイルの充填孔の形成位置に合わせて形成するモールドゲート形成段階を含む構成であってもよい。
【0011】
本発明の一実施例において、前記射出充填段階は、前記アルミニウムプロファイルの側面に貫通孔を加工して射出物がアルミニウムプロファイルと一体的に結束するように誘導する側貫通孔形成段階を含む構成であってもよい。
【0012】
本発明の一実施例において、前記射出充填段階は、前記側貫通孔形成段階を通じて形成された貫通孔にピンを挿入して射出物とアルミニウムプロファイルを一体的に結束するピン挿入段階を含む構成であってもよい。
【0013】
本発明の一実施例において、前記射出充填段階は、前記アルミニウムプロファイル内部で、接合部に隣接する所定体積の空間を形成するようにアルミニウムプロファイル内部にブロックを装着するブロック装着段階を含む構成であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明のアルミニウムプロファイル射出接合方法によれば、特定過程を行う製品準備段階、金型準備段階、安着段階及び射出充填段階を備えることにより、電気自動車バッテリーハウジングを作製するにあたり、多様な断面構造を持つアルミニウムプロファイルを容易に接合でき、安定した接合状態を維持することができ、多数の接合部材や結束部材を省略することができ、作製及び施工にかかるコストを顕著に節減でき、これに加えて施工時間を顕著に短縮させることができるアルミニウムプロファイル射出接合方法を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来技術によるアルミニウムプロファイル接合工程を示す写真である。
【
図2】従来技術による溶接方法により接合されたアルミニウムプロファイルの状態を示す写真である。
【
図3】本発明の一実施例によるアルミニウムプロファイル接合方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明のさらに他の実施例によるアルミニウムプロファイル接合方法を示すフローチャートである。
【
図5】接合しようとする2つのアルミニウムプロファイルを互いに突き合わせた状態で充填孔を形成した様子を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示すように、互いに突き合わせた多数のアルミニウムプロファイルを金型上に安着した状態を示す平面模式図である。
【
図7】
図6に示す金型からアルミニウムプロファイル内部に射出物を充填した状態を示す平面模式図である。
【
図8】アルミニウムプロファイル内部にブロックを挿入した状態で金型からアルミニウムプロファイル内部に射出物を充填した状態を示す平面模式図である。
【
図9】アルミニウムプロファイルに貫通孔を形成した後、ピンを挿入する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。これに先立って、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明の技術的思想に符合する意味及び概念として解釈される。
【0017】
本明細書の全体において、ある部材が他の部材「上」に位置しているとするとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。本明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
図3には、本発明の一実施例によるアルミニウムプロファイル接合方法を示すフローチャートが示されている。
【0019】
図3を参照すると、本実施例によるアルミニウムプロファイル接合方法S100は、特定過程を行う製品準備段階S110、金型準備段階S120、安着段階S130及び射出充填段階S140を備えることにより、電気自動車バッテリーハウジングを作製するにあたって、様々な断面構造を持つアルミニウムプロファイルを容易に接合でき、安定した接合状態を維持することができ、多数の接合部材や結束部材を省略することができ、作製及び施工にかかるコストを顕著に節減でき、これに加えて施工時間を顕著に短縮させることができるアルミニウムプロファイル射出接合方法を提供しうる。
【0020】
以下、図面を参照して本実施例によるアルミニウムプロファイル射出接合方法S100を構成する各構成について詳細に説明する。
【0021】
図4には、本発明のさらに他の実施例によるアルミニウムプロファイル接合方法を示すフローチャートが示されており、
図5には、接合しようとする2つのアルミニウムプロファイルを互いに突き合わせた状態で充填孔を形成した様子を示す斜視図が示されている。ある。
図6には、
図5に示すように、互いに突き合わせた多数のアルミニウムプロファイルを金型上に安着した状態を示す平面模式図が示されており、
図7には、
図6に示す金型からアルミニウムプロファイル内部に射出物を充填した状態を示す平面模式図が示されており、
図8には、アルミニウムプロファイル内部にブロックを挿入した状態で金型からアルミニウムプロファイル内部に射出物を充填した状態を示す平面模式図が示されている。また、
図9には、アルミニウムプロファイルに貫通孔を形成した後、ピンを挿入する様子を示す斜視図が示されている。
【0022】
本実施例による製品準備段階S110は、接合しようとする多数のアルミニウムプロファイルを製品設計に合わせて作製する過程を行う。
【0023】
本実施例による金型準備段階S120は、製品準備段階S110を通じて準備されたアルミニウムプロファイルに合わせて設計された金型を作製する過程を行う。
【0024】
具体的に、金型準備段階S120は、特定過程を行うモールドゲート形成段階S121、側貫通孔形成段階S141、ピン挿入段階S142及びブロック装着段階S143を含む構成であってもよい。金型準備段階S120のモールドゲート形成段階S121は、金型を通じて射出物が吐出されてアルミニウムプロファイル接合部内部に誘導する構造のモールドゲートの形成位置をアルミニウムプロファイルの充填穴の形成位置に合わせて形成する過程を行う。側貫通孔形成段階S141は、
図6及び
図9に示すように、アルミニウムプロファイルの側面に貫通孔12を加工して射出物がアルミニウムプロファイルと一体的に結束するように誘導する過程を行う。ピン挿入段階S142は、
図9に示すように、側貫通孔形成段階S141を通じて形成された貫通孔にピン30を挿入して射出物とアルミニウムプロファイルを一体的に結束する過程を行う。ブロック装着段階S143は、
図8に示すように、アルミニウムプロファイル内部で、接合部に隣接する所定体積の空間を形成するようにアルミニウムプロファイル内部にブロック40を装着する過程を行う。
【0025】
本実施例による安着段階S130は、製品準備段階S110を通じて準備されたアルミニウムプロファイルに合わせて設計された金型を作製する過程を行う。
【0026】
本実施例による射出充填段階S140は、金型を通じてアルミニウムプロファイル接触部分に射出物を充填して接合するアルミニウムプロファイルを一体的に構成する過程を行う。
【0027】
上述したように、本発明のアルミニウムプロファイル射出接合方法によれば、特定過程を行う製品準備段階S110、金型準備段階S120、安着段階S130及び射出充填段階S140を備えることにより、電気自動車バッテリーハウジングを作製するにあたって、様々な断面構造を持つアルミニウムプロファイルを容易に接合でき、安定した接合状態を維持することができ、多数の接合部材や結束部材を省略することができ、作製及び施工にかかるコストを顕著に節減でき、これに加えて施工時間を顕著に短縮させることができるアルミニウムプロファイル射出接合方法S100を提供しうる。
【0028】
以上、前記本発明の詳細な説明では、それによる特別な実施例についてのみ記述した。しかし、本発明は、詳細な説明で言及される特別な形態に限定されるものではないものと理解されなければならず、むしろ、添付の請求範囲によって定義される本発明の精神と範囲内にあるすべての変形物と均等物及び代替物を含むものと理解されなければならない。
【0029】
すなわち、本発明は、上述した特定の実施例及び説明に限定されるものではなく、請求範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変形は、本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0030】
S100:アルミプロファイル射出接合方法
S110:製品準備段階
S120:金型準備段階
S121:モールドゲート形成段階
S130:安着段階
S140:射出充填段階
S141:側貫通孔形成段階
S142:ピン挿入段階
S143:ブロック装着段階
10:アルミプロファイル
11:充填孔
12:貫通孔
20:金型
30:ピン
40:ブロック
50:射出物