(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155720
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】遅延チェーン回路及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H03K 5/134 20140101AFI20241024BHJP
H03K 5/00 20060101ALI20241024BHJP
H04L 25/02 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
H03K5/134
H03K5/00 T
H04L25/02 S
H04L25/02 R
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010619
(22)【出願日】2024-01-27
(31)【優先権主張番号】202310421725.7
(32)【優先日】2023-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520412486
【氏名又は名称】深▲セン▼市紫光同創電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】陸 ▲コウ▼▲サン▼
(72)【発明者】
【氏名】武 鵬
(72)【発明者】
【氏名】宣 学雷
【テーマコード(参考)】
5J001
5K029
【Fターム(参考)】
5J001AA08
5J001BB12
5J001CC03
5J001DD08
5K029LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グリッチなしの遅延チェーン切り替え機能を実現することができる遅延チェーン回路及び電子デバイスを提供する
【解決手段】遅延チェーン回路は、遅延分岐回路100、反転処理分岐回路110及びグリッチ除去分岐回路120を含む。遅延分岐回路は、入力信号INを受信して第1の遅延信号intAC及び第2の遅延信号intBDを取得し、反転処理分岐回路は、第1の遅延信号を受信して第3の遅延信号を取得し、第2の遅延信号を受信して第4の遅延信号を取得し、グリッチ除去分岐回路は、第3の遅延信号及び第4の遅延信号を統合して統合後の信号intCDを取得し、統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号OUTを取得する。遅延チェーンを調整する必要がある場合、第1の遅延信号及び第2の遅延信号のいずれかの遅延量を調整し、第3の遅延信号及び第4の遅延信号を統合してグリッチを除去する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遅延分岐回路、反転処理分岐回路及びグリッチ除去分岐回路を含み、
前記遅延分岐回路は、入力信号に対して遅延処理を行った後、第1の遅延信号及び第2の遅延信号を取得し、前記第1の遅延信号と前記第2の遅延信号との間に遅延量があり、
前記反転処理分岐回路は、前記第1の遅延信号に対して反転遅延処理を行って第3の遅延信号を取得し、前記第2の遅延信号に対して反転遅延処理を行って第4の遅延信号を取得し、
前記グリッチ除去分岐回路は、前記第3の遅延信号及び前記第4の遅延信号を統合して統合後の信号を取得し、前記統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号を取得し、
前記出力信号の遅延量は、前記第3の遅延信号の遅延量と前記第4の遅延信号の遅延量との間にある、ことを特徴とする、遅延チェーン回路。
【請求項2】
前記遅延分岐回路は、並列設置された第1の粗遅延チェーン及び第2の粗遅延チェーンを含み、
前記第1の粗遅延チェーンは、前記入力信号を複数の粗遅延時間だけ遅延させて前記第1の遅延信号を取得し、
前記第2の粗遅延チェーンは、前記入力信号を複数の粗遅延時間だけ遅延させて前記第2の遅延信号を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の遅延チェーン回路。
【請求項3】
前記第1の粗遅延チェーンは、順に直列接続された複数の第1の粗遅延グループを含み、各前記第1の粗遅延グループは、1つの第1の粗遅延コード信号を受信し、各前記第1の粗遅延グループは、少なくとも2つの第1の粗遅延ユニットを含み、
各前記第1の粗遅延グループについて、該前記第1の粗遅延グループに対応する前記第1の粗遅延コード信号が有効である場合、該前記第1の粗遅延グループにおける各前記第1の粗遅延ユニットは、
いずれも有効であり、かつ前記第1の粗遅延ユニットが有効である場合、前記第1の粗遅延ユニットは、前記入力信号を1つの粗遅延時間だけ遅延させ、
前記第1の粗遅延チェーンは、複数の前記第1の粗遅延グループにおける対応する有効な前記第1の粗遅延コード信号の数と、前記第1の粗遅延グループに含まれる前記第1の粗遅延ユニットの数とに基づいて、前記入力信号に対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、前記入力信号に対して遅延処理を行って、前記第1の遅延信号を取得する、ことを特徴とする請求項2に記載の遅延チェーン回路。
【請求項4】
前記第2の粗遅延チェーンは、1つの強制遅延ユニットと、順に直列接続された複数の第2の粗遅延グループとを含み、前記強制遅延ユニットは、前記第2の粗遅延グループに直列接続され、各前記第2の粗遅延グループは、1つの第2の粗遅延コード信号を受信し、各前記第2の粗遅延グループは、少なくとも2つの第2の粗遅延ユニットを含み、
各前記第2の粗遅延グループについて、該前記第2の粗遅延グループに対応する前記第2の粗遅延コード信号が有効である場合、該前記第2の粗遅延グループにおける各前記第2の粗遅延ユニットは、いずれも有効であり、かつ前記第2の粗遅延ユニットが有効である場合、前記第2の粗遅延ユニットは、前記入力信号を1つの粗遅延時間だけ遅延させ、前記強制遅延ユニットは、前記入力信号を1つの粗遅延時間だけ遅延させ、
前記第2の粗遅延チェーンは、複数の前記第2の粗遅延グループにおける対応する有効な前記第2の粗遅延コード信号の数と、前記第2の粗遅延グループに含まれる前記第2の粗遅延ユニットの数と、前記強制遅延ユニットとに基づいて、前記入力信号に対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、前記入力信号に対して遅延処理を行って、前記第2の遅延信号を取得する、ことを特徴とする請求項2に記載の遅延チェーン回路。
【請求項5】
前記グリッチ除去分岐回路は、2つの精密遅延チェーンを含み、
1つの前記精密遅延チェーンは、前記第1の遅延信号を反転させ、複数の精密遅延時間だけで遅延させて第3の遅延信号を取得し、
もう1つの前記精密遅延チェーンは、前記第2の遅延信号を反転させ、複数の精密遅延時間だけで遅延させ第4の遅延信号を取得し、
2つの前記精密遅延チェーンが与える遅延量は、同じであり、1つの前記精密遅延チェーンにおける複数の前記精密遅延時間が与える最大総遅延量は、1つの粗遅延時間が与える遅延量と等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の遅延チェーン回路。
【請求項6】
前記精密遅延チェーンは、第1のスイッチ及び第2のスイッチを含み、
前記第1のスイッチは、前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号がローレベルである場合、前記グリッチ除去分岐回路とハイレベルを導通させ、前記第2のスイッチは、前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号がハイレベルである場合、前記グリッチ除去分岐回路を接地する、ことを特徴とする請求項5に記載の遅延チェーン回路。
【請求項7】
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、いずれも電子スイッチであり、
前記第1のスイッチ及び第2のスイッチの制御端は、いずれも前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号を受信し、前記第1のスイッチは、入力端がハイレベルに接続され、出力端が前記第2のスイッチの入力端に接続され、前記第2のスイッチの出力端は、接地され、前記グリッチ除去分岐回路は、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載の遅延チェーン回路。
【請求項8】
前記精密遅延チェーンは、並列接続された複数の精密遅延ユニットを含み、各前記精密遅延ユニットは、直列接続された1つの充電電流源及び1つの放電電流源を含み、
前記精密遅延ユニットは、1つの精密遅延コード信号を受信し、前記精密遅延コード信号が有効である場合、対応する充電電流源及び放電電流源をオフにすることにより、前記精密遅延ユニットによる信号の遅延量を1つの精密遅延時間だけ増加させ、前記精密遅延コード信号が無効である場合、対応する充電電流源及び放電電流源をオンにすることにより、前記精密遅延ユニットによる信号の遅延量を1つの精密遅延時間だけ減少させ、
前記精密遅延チェーンは、複数の前記精密遅延ユニットに対応する有効な前記精密遅延コード信号の数に基づいて、前記充電電流源及び放電電流源がオフになる数を決定し、それにより前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号に対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、反転後の前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号に対して遅延処理を行って、前記第3の遅延信号又は前記第4の遅延信号を取得する、ことを特徴とする請求項5に記載の遅延チェーン回路。
【請求項9】
前記グリッチ除去分岐回路は、出力インバータ及びコンデンサを含み、前記コンデンサは、一端が前記出力インバータの入力端に接続され、前記充電電流源の負極と前記放電電流源の正極との間に接続され、他端が接地され、
前記コンデンサは、前記第3の遅延信号及び前記第4の遅延信号を統合して前記統合後の信号を取得し、前記出力インバータは、前記統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号を取得する、ことを特徴とする請求項8に記載の遅延チェーン回路。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の遅延チェーン回路を含む、ことを特徴とする電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、回路の技術分野に関し、具体的に遅延チェーン回路及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
配置可能遅延チェーンは、遅延コード値の入力を制御することにより異なる遅延効果を実現できる回路構造であり、各種のPHY設計において広く使用され、多くのインタフェースモジュールにおける重要な回路構成であり、特に、高速インタフェーススシステム、例えば、DDR、SerdesのPHYに不可欠な構成部分である。正確かつ効率的な遅延チェーンをどのように設計するかは、しばしば高速インタフェーススシステムの性能ネックとなる。
【0003】
現在の遅延チェーン設計は、いずれもグリッチなしの切り替え機能を備えないものであり、基本的には、同じ回路構造を使用することにより、いくつかの固定遅延ユニットを実現する設計である。このような設計において、どのように遅延コード値を変換しても、伝送信号が遅延コード値の変換と衝突する可能性があり、これにより伝送信号にグリッチが発生し、伝送システムにリスクが発生する。したがって、主流の設計では、一般に、遅延コード値を変換する際に信号伝送がないことが要求され、コード値が安定した後でしか信号伝送を継続できず、このような設計は、実際の応用において大きな制約があり、多くのシステムにおいてデータストリーム伝送を中断することができないため、遅延コード値を変化させないことが要求され、このように高速インタフェーススシステムに多くの制約をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
以上の問題に鑑みて、本願は、遅延チェーン回路及び電子デバイスを提供し、毎回の遅延コード値変化に対して一定の制約を行った上で、グリッチなしの遅延チェーン切り替え機能を実現することができ、これによりデータストリーム伝送を中断することなく、遅延チェーンの遅延を動的に調整することにより、高速インタフェーススシステムの動作性能を大幅に向上させることができる。
【0005】
本願の実施例は、以下の技術的手段によって実現される。
遅延チェーン回路は、遅延分岐回路、反転処理分岐回路及びグリッチ除去分岐回路を含み、前記遅延分岐回路は、入力信号に対して遅延処理を行った後、第1の遅延信号及び第2の遅延信号を取得し、前記第1の遅延信号と前記第2の遅延信号との間に遅延量があり、前記反転処理分岐回路は、前記第1の遅延信号に対して反転遅延処理を行って第3の遅延信号を取得し、前記第2の遅延信号に対して反転遅延処理を行って第4の遅延信号を取得し、前記グリッチ除去分岐回路は、前記第3の遅延信号及び前記第4の遅延信号を統合して統合後の信号を取得し、前記統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号を取得し、前記出力信号の遅延量は、前記第3の遅延信号の遅延量と前記第4の遅延信号の遅延量との間にある。
【0006】
好ましくは、前記遅延分岐回路は、並列設置された第1の粗遅延チェーン及び第2の粗遅延チェーンを含み、前記第1の粗遅延チェーンは、前記入力信号を複数の粗遅延時間だけ遅延させて前記第1の遅延信号を取得し、前記第2の粗遅延チェーンは、前記入力信号を複数の粗遅延時間だけ遅延させて前記第2の遅延信号を取得する。
【0007】
好ましくは、前記第1の粗遅延チェーンは、順に直列接続された複数の第1の粗遅延グループを含み、各前記第1の粗遅延グループは、1つの第1の粗遅延コード信号を受信し、各前記第1の粗遅延グループは、少なくとも2つの第1の粗遅延ユニットを含み、各前記第1の粗遅延グループについて、該前記第1の粗遅延グループに対応する前記第1の粗遅延コード信号が有効である場合、該前記第1の粗遅延グループにおける各前記第1の粗遅延ユニットは、いずれも有効であり、かつ前記第1の粗遅延ユニットが有効である場合、前記第1の粗遅延ユニットは、前記入力信号を1つの粗遅延時間だけ遅延させ、前記第1の粗遅延チェーンは、複数の前記第1の粗遅延グループにおける対応する有効な前記第1の粗遅延コード信号の数と、前記第1の粗遅延グループに含まれる前記第1の粗遅延ユニットの数とに基づいて、前記入力信号に対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、前記入力信号に対して遅延処理を行って、前記第1の遅延信号を取得する。
【0008】
好ましくは、前記第2の粗遅延チェーンは、1つの強制遅延ユニットと、順に直列接続された複数の第2の粗遅延グループとを含み、前記強制遅延ユニットは、前記第2の粗遅延グループに直列接続され、各前記第2の粗遅延グループは、1つの第2の粗遅延コード信号を受信し、各前記第2の粗遅延グループは、少なくとも2つの第2の粗遅延ユニットを含み、各前記第2の粗遅延グループについて、該前記第2の粗遅延グループに対応する前記第2の粗遅延コード信号が有効である場合、該前記第2の粗遅延グループにおける各前記第2の粗遅延ユニットは、いずれも有効であり、かつ前記第2の粗遅延ユニットが有効である場合、前記第2の粗遅延ユニットは、前記入力信号を1つの粗遅延時間だけ遅延させ、前記強制遅延ユニットは、前記入力信号を1つの粗遅延時間だけ遅延させ、前記第2の粗遅延チェーンは、複数の前記第2の粗遅延グループにおける対応する有効な前記第2の粗遅延コード信号の数と、前記第2の粗遅延グループに含まれる前記第2の粗遅延ユニットの数と、前記強制遅延ユニットとに基づいて、前記入力信号に対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、前記入力信号に対して遅延処理を行って、前記第2の遅延信号を取得する。
【0009】
好ましくは、前記グリッチ除去分岐回路は、2つの精密遅延チェーンを含み、1つの前記精密遅延チェーンは、前記第1の遅延信号を反転させ、複数の精密遅延時間だけで遅延させて第3の遅延信号を取得し、もう1つの前記精密遅延チェーンは、前記第2の遅延信号を反転させ、複数の精密遅延時間だけで遅延させ第4の遅延信号を取得し、2つの前記精密遅延チェーンが与える遅延量は、同じであり、1つの前記精密遅延チェーンにおける複数の前記精密遅延時間が与える最大総遅延量は、1つの粗遅延時間が与える遅延量と等しい。
【0010】
好ましくは、前記精密遅延チェーンは、第1のスイッチ及び第2のスイッチを含み、前記第1のスイッチは、前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号がローレベルである場合、前記グリッチ除去分岐回路と前記ハイレベルを導通させ、前記第2のスイッチは、前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号がハイレベルである場合、前記グリッチ除去分岐回路を接地する。
【0011】
好ましくは、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、いずれも電子スイッチであり、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチの制御端は、いずれも前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号を受信し、前記第1のスイッチは、入力端がハイレベルに接続され、出力端が前記第2のスイッチの入力端に接続され、前記第2のスイッチの出力端は、接地され、前記グリッチ除去分岐回路は、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に接続される。
【0012】
好ましくは、前記精密遅延チェーンは、並列接続された複数の精密遅延ユニットを含み、各前記精密遅延ユニットは、直列接続された1つの充電電流源及び1つの放電電流源を含み、前記精密遅延ユニットは、1つの精密遅延コード信号を受信し、前記精密遅延コード信号が有効である場合、対応する充電電流源及び放電電流源をオフにすることにより、前記精密遅延ユニットによる信号の遅延量を1つの精密遅延時間だけ増加させ、前記精密遅延コード信号が無効である場合、対応する充電電流源及び放電電流源をオンにすることにより、前記精密遅延ユニットによる信号の遅延量を1つの精密遅延時間だけ減少させ、前記精密遅延チェーンは、複数の前記精密遅延ユニットに対応する有効な前記精密遅延コード信号の数に基づいて、前記充電電流源及び放電電流源がオフになる数を決定し、それにより前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号に対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、反転後の前記第1の遅延信号又は前記第2の遅延信号に対して遅延処理を行って、前記第3の遅延信号又は前記第4の遅延信号を取得する。
【0013】
好ましくは、前記グリッチ除去分岐回路は、出力インバータ及びコンデンサを含み、前記コンデンサは、一端が前記出力インバータの入力端に接続され、前記充電電流源の負極と前記放電電流源の正極との間に接続され、他端が接地され、前記コンデンサは、前記第3の遅延信号及び前記第4の遅延信号を統合して前記統合後の信号を取得し、前記出力インバータは、前記統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号を取得する。
【0014】
本願の実施例に係る電子デバイスは、上記遅延チェーン回路を含む。
【0015】
従来技術に対して、本願の実施例に係る遅延チェーン回路及び電子デバイスは、遅延チェーン回路によって入力信号に対して異なる遅延処理を行って異なる遅延量を有する第1の遅延信号及び第2の遅延信号を取得し、反転処理分岐回路によって第1の遅延信号に対して反転遅延処理を行って第3の遅延信号を取得し、反転処理分岐回路は、第2の遅延信号に対して反転遅延処理を行って第4の遅延信号を取得し、グリッチ除去分岐回路によって前記第3の遅延信号及び前記第4の遅延信号を統合して統合後の信号を取得し、前記統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号を取得し、出力信号の遅延量が前記第3の遅延信号の遅延量と前記第4の遅延信号の遅延量との間にあるようにし、遅延チェーンを調整する必要がある場合、第1の遅延信号及び第2の遅延信号のいずれかの遅延量を調整し、グリッチを第1の遅延信号のみ又は第2の遅延信号のみに発生させ、グリッチ除去分岐回路が第3の遅延信号及び第4の遅延信号を統合する場合、第3の遅延信号及び第4の遅延信号を統合してグリッチを除去し、統合後の信号に対して反転処理を行って出力信号を取得することにより、入力信号を中断することなく、遅延チェーンの遅延を動的に調整し、グリッチなしの遅延チェーン切り替えを実現する。
【0016】
本願のこれらの態様又は他の態様は、以下の実施例の説明においてより簡潔に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本願の実施例に係る遅延チェーン回路のモジュールブロック図である。
【
図2】本願の実施例に係る第1の粗遅延チェーンの概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る第2の粗遅延チェーンの概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る精密遅延チェーンの回路原理図である。
【
図5】本願の実施例に係る精密遅延チェーン及びグリッチ除去分岐回路の原理図である。
【
図6】本願の実施例に係る第1の遅延信号及び第3の遅延信号の波形図である。
【
図7】本願の別の実施例に係る第1の遅延信号及び第3の遅延信号の波形図である。
【
図8】本願の実施例に係るコード値の切り替え前の各信号の波形図である。
【
図9】本願の実施例に係るコード値の切り替え後の各信号の波形図である。
【
図10】本願の実施例に係るコード値の切り替え後の各信号の別の波形図である。
【
図11】本願の実施例に係るコード値の切り替え後の各信号のさらに別の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願の実施形態を以下に詳細に説明し、実施形態の例は、図面に示され、図中、全体を通して同一又は類似の符号は、同一若しくは類似の部材又は同一若しくは類似の機能を有する部材を示す。以下に図面を参照して説明される実施形態は、本願を解釈するための例示的なものに過ぎず、本願を限定するものとして解釈することはことができない。
【0019】
当業者が本願の手段をよりよく理解するために、本願の実施例における技術的手段は、本願の実施例における添付図面を参照して、以下で明確かつ完全に説明される。明らかに、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で得る全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に含まれる。
【0020】
図1に示すように、
図1は、本願に係る遅延チェーン回路のモジュール概略図を概略的に示し、遅延分岐回路100、反転処理分岐回路110及びグリッチ除去分岐回路120を含み、遅延分岐回路100は、入力信号INに対して遅延処理を行った後、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDを取得し、第1の遅延信号int ACと第2の遅延信号int BDとの間に遅延量があり、
具体的には、遅延分岐回路100は、並列設置された第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bを含み、第1の粗遅延チェーンDelay Aの入力端in A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bの入力端in Bは、入力信号INを同時に受信し、入力信号INは、クロック信号又は他の周期信号であってもよく、第1の粗遅延チェーンDelay Aは、入力信号INを複数の粗遅延時間CDだけ遅延させて、出力端out Aから第1の遅延信号int ACを出力し、第2の粗遅延チェーンDelay Bは、入力信号INを複数の粗遅延時間CDだけ遅延させて、出力端out Bから第2の遅延信号int BDを取得する。
【0021】
反転処理分岐回路110は、第1の遅延信号int ACに対して反転遅延処理を行って第3の遅延信号output Delay Cを取得し、第2の遅延信号int BDに対して反転遅延処理を行って第4の遅延信号output Delay Dを取得し、
具体的には、反転処理分岐回路110は、2つの精密遅延チェーンDelay C及びDelay Dを含み、Delay CとDelay Dとの構成が同じであり、1つの精密遅延チェーンDelay Cの入力端in Cは、第1の粗遅延チェーンDelay Aの出力端out Aに接続され、精密遅延チェーンDelay Cは、第1の遅延信号int ACを反転させ、複数の精密遅延時間FDだけ遅延させて第3の遅延信号output Delay Cを取得し、
もう1つの精密遅延チェーンDelay Dの入力端in Dは、第2の粗遅延チェーンDelay Bの出力端out Bに接続され、精密遅延チェーンDelay Dは、第2の遅延信号int BDを反転させ、複数の精密遅延時間FDだけ遅延させて第4の遅延信号output Delay Dを取得する。
【0022】
精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay Dにおける複数の精密遅延時間FDが与える最大総遅延量は、1つの粗遅延時間CDが与える遅延量と等しく、すなわち、CD=mFD(mは、正の整数である)である。
【0023】
グリッチ除去分岐回路120は、同時に、精密遅延チェーンの2つの出力端out C及びout Dに接続され、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合して、統合後の信号int CDを取得し、統合後の信号int CDに対して反転処理を行って出力信号OUTを取得し、出力信号OUTの遅延量は、第3の遅延信号output Delay Cの遅延量と第4の遅延信号output Delay Dの遅延量との間にある。
【0024】
第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bは、入力信号INを同時に受信し、第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bにより、入力信号INに対して異なる遅延処理を行って異なる遅延量を有する第1の遅延信号int ACと第2の遅延信号int BDを取得し、精密遅延チェーンDelay Cにより、第1の遅延信号int ACに対して反転遅延処理を行って第3の遅延信号output Delay Cを取得し、精密遅延チェーンDelay Dにより、第2の遅延信号int BDに対して反転遅延処理を行って第4の遅延信号output Delay Dを取得し、グリッチ除去分岐回路120により、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合して統合後の信号int CDを取得し、統合後の信号int CDに対して反転処理を行って出力信号OUTを取得し、出力信号OUTの遅延量が第3の遅延信号output Delay Cの遅延量と第4の遅延信号output Delay Dの遅延量との間にあるようにし、遅延チェーンを調整する必要がある場合、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDのいずれかの遅延量を調整し、グリッチを第1の遅延信号int ACのみ又は第2の遅延信号int BDのみに発生させ、グリッチ除去分岐回路120が第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合する場合、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合してグリッチを除去し、統合後の信号int CDに対して反転処理を行って出力信号OUTを取得することにより、入力信号INを中断することなく、遅延チェーンの遅延を動的に調整し、グリッチなしの遅延チェーン切り替えを実現する。
【0025】
図2に示すように、
図2は、第1の粗遅延チェーンDelay Aの概略図を示し、第1の粗遅延チェーンDelay Aは、順に直列接続された複数の第1の粗遅延グループを含み、各第1の粗遅延グループは、1つの第1の粗遅延コード信号を受信し、各第1の粗遅延グループは、少なくとも2つの第1の粗遅延ユニットを含み、各第1の粗遅延グループについて、該第1の粗遅延グループに対応する第1の粗遅延コード信号が有効である場合、該第1の粗遅延グループにおける各第1の粗遅延ユニットは、いずれも有効であり、かつ第1の粗遅延ユニットが有効である場合、第1の粗遅延ユニットは、入力信号INを1つの粗遅延時間CDだけ遅延させ、第1の粗遅延ユニットが無効である場合、第1の粗遅延ユニットによる入力信号INの遅延量は、ゼロである。
【0026】
理解できるように、入力信号INが通過すると、入力信号INを1つの粗遅延時間CDだけ遅延させることができ、入力信号INの極性を変更しない限り、第1の粗遅延ユニットは、RC遅延回路、トランジスタ遅延回路などの遅延回路を使用することができ、本願の実施例では、具体的に限定されない。
【0027】
第1の粗遅延チェーンDelay Aは、複数の第1の粗遅延グループにおける対応する有効な第1の粗遅延コード信号の数と、第1の粗遅延グループに含まれる第1の粗遅延ユニットの数とに基づいて、入力信号INに対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、入力信号INに対して遅延処理を行って、第1の遅延信号int ACを取得する。
【0028】
いくつかの実施例において、第1の粗遅延チェーンDelay Aは、コードcode Aによって制御され、コードcode Aは、n+1ビットの第1の粗遅延コードC0、C2…C2n(nは、任意の正の整数である)の組み合わせによって形成され、第1の粗遅延グループは、n+1グループが直列接続され、1つの第1の粗遅延グループは、2つの第1の粗遅延ユニットを含み、各第1の粗遅延グループは、1つの第1の粗遅延コード信号を受信する。
【0029】
理解できるように、code Aが1だけ進み、すなわち、有効な第1の粗遅延コードの数が1だけ増加すると、第1の遅延信号の遅延量は、2つの粗遅延時間CDだけ増加し、第1の粗遅延チェーンDelay A全体は、最大でn+1ステップの遅延レベルを与えることができ、1ステップごとに2つの粗遅延時間CDを与え、最大で2n+2個の粗遅延時間CDを与えることができる。
【0030】
図3に示すように、
図3は、第2の粗遅延チェーンDelay Bの概略図を示し、第2の粗遅延チェーンDelay Bは、1つの強制遅延ユニットと、順に直列接続された複数の第2の粗遅延グループとを含み、強制遅延ユニットは、第2の粗遅延グループに直列接続され、各第2の粗遅延グループは、1つの第2の粗遅延コード信号を受信し、各第2の粗遅延グループは、少なくとも2つの第2の粗遅延ユニットを含み、
各第2の粗遅延グループについて、該第2の粗遅延グループに対応する第2の粗遅延コード信号が有効である場合、該第2の粗遅延グループにおける各第2の粗遅延ユニットは、いずれも有効であり、かつ第2の粗遅延ユニットが有効である場合、第2の粗遅延ユニットは、入力信号INを1つの粗遅延時間CDだけ遅延させ、第2の粗遅延ユニットが無効である場合、第2の粗遅延ユニットによる入力信号INの遅延量は、ゼロであり、強制遅延ユニットは、入力信号INを1つの粗遅延時間CDだけ遅延させる。
【0031】
理解できるように、入力信号INが通過すると、入力信号INを1つの粗遅延時間CDだけ遅延させることができ、入力信号INの極性を変更しない限り、強制遅延ユニット及び第2の粗遅延ユニットは、RC遅延回路、トランジスタ遅延回路などを使用することができ、本願の実施例では、具体的に限定されない。
【0032】
第2の粗遅延チェーンDelay Bは、複数の第2の粗遅延グループにおける対応する有効な第2の粗遅延コード信号の数と、第2の粗遅延グループに含まれる第2の粗遅延ユニットの数と、強制遅延ユニットとに基づいて、入力信号INに対する遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、入力信号INに対して遅延処理を行って、第2の遅延信号int BDを取得する。
【0033】
いくつかの実施例において、第2の粗遅延チェーンDelay Bは、コードcode Bによって制御され、コードcode Bは、nビットの第2の粗遅延コードC1、C3…C2n-1(nは、任意の正の整数である)の組み合わせによって形成され、第2の粗遅延グループは、nグループが設置され、各第2の粗遅延グループは、1つの第2の粗遅延コード信号を受信し、1つの第2の粗遅延グループは、2つの第2の粗遅延ユニットを含み、第2の粗遅延チェーンDelay B全体は、最大でnステップの遅延レベル(nは、任意の正の整数である)を与えることができ、1ステップごとに2つの粗遅延時間CDを与え、最大で2n+1個の粗遅延時間を与えることができる。
【0034】
いくつかの実施例において、Code AとCode Bとを交互に組み合わせて2n+1ビットの連続コードCode Coarse:C0、C1、C2…C2n-1、C2nを生成することができ、この連続コードは、サーモメータコードである。
【0035】
理解できるように、強制遅延ユニットの存在により、連続コードCode Coarseがどのように変化しても、第1の遅延信号int ACと第2の遅延信号int BDとの間に常に1つの粗遅延時間CDの遅延量があり、同時に、連続コードCode Coarseが1ビットずつ変化する場合、すなわち、Code Coarseが1だけ進むか又は1だけ戻る場合、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDのうちの1つのみが2つの粗遅延時間CDの遅延量を発生させ、それにより第1の遅延信号int AC又は第2の遅延信号int BDのみにグリッチが発生する。
【0036】
図4に示すように、
図4は、精密遅延チェーンの回路原理図を示し、2つの精密遅延チェーンンDelay CとDelay Dは、同じ構成を有し、2つの精密遅延チェーンDelay CとDelay Dが与える遅延量を同じにし、精密遅延チェーンDelay Cを例にとる。
【0037】
精密遅延チェーンDelay Cは、第1のスイッチ及び第2のスイッチを含み、第1のスイッチ及び第2のスイッチは、いずれも電子スイッチであり、
第1のスイッチ及び第2のスイッチの制御端は、いずれも第1の遅延信号int ACを受信し、第1のスイッチは、入力端がハイレベルに接続され、出力端が第2のスイッチの入力端に接続され、第2のスイッチの出力端は、接地され、グリッチ除去分岐回路120は、第1のスイッチの出力端と第2のスイッチの入力端との間に接続される。
【0038】
第1のスイッチは、第1の遅延信号int ACがローレベルである場合、グリッチ除去分岐回路とハイレベルを導通させ、第2のスイッチは、第1の遅延信号int ACがハイレベルである場合、グリッチ除去分岐回路120を接地する。
【0039】
第1のスイッチは、制御端の入力がローレベルである場合、グリッチ除去分岐回路120とハイレベルを導通させる限り、電界効果トランジスタ、リレー、三極管などであってもよく、本願の実施例では、具体的に限定されない。
【0040】
第2のスイッチは、制御端の入力がハイレベルである場合、グリッチ除去分岐回路120を接地する限り、電界効果トランジスタ、リレー、三極管などであってもよく、本願の実施例では、具体的に限定されない。
【0041】
いくつかの実施例において、第1のスイッチは、PMOSトランジスタを含み、PMOSトランジスタは、ゲートが第1の遅延信号int ACを受信し、ソースがハイレベルに接続され、ドレインがグリッチ除去分岐回路に接続され、第2のスイッチは、NMOSトランジスタを含み、NMOSトランジスタは、ゲートが第1の遅延信号int ACを受信し、ドレインがグリッチ除去分岐回路120に接続され、ソースが接地される。
【0042】
理解できるように、第1の遅延信号又は第2の遅延信号がローレベル信号である場合、第1のスイッチのPMOSトランジスタがオンになり、第2のスイッチのNMOSトランジスタがオフになり、グリッチ除去分岐回路120がハイレベルに導通し、第1の遅延信号又は第2の遅延信号がハイレベル信号である場合、第1のスイッチのPMOSトランジスタがオフになり、第2のスイッチのNMOSトランジスタがオンになり、グリッチ除去分岐回路120が接地される。
【0043】
図4に示すように、精密遅延チェーンDelay Cは、並列接続された複数の精密遅延ユニットをさらに含み、各精密遅延ユニットは、1つの充電電流源及び1つの放電電流源を含み、充電電流源及び放電電流源は、直列接続される。
【0044】
充電電流源及び放電電流源は、いずれもグリッチ除去分岐回路120に入力される電荷量を調整し、さらに電圧変化速度を調整し、さらに遅延時間を調整する。各充電電流源は、正極が第1のスイッチのPMOSトランジスタのドレインに接続され、負極が放電電流源の正極に接続され、各放電電流源は、負極が第2のスイッチのNMOSトランジスタの入力端に接続され、グリッチ除去分岐回路120は、複数の充電電流源と複数の放電電流源との間に接続される。
【0045】
理解できるように、第1の遅延信号int ACがローレベルである場合、第1のスイッチのPMOSトランジスタがオンになり、すなわち、充電電流源が位置する分岐回路がオン状態にあり、複数の充電電流源は、グリッチ除去分岐回路120を充電することができ、第2のスイッチのNMOSトランジスタがオフ状態にあり、すなわち、放電電流源が位置する分岐回路がオフ状態にある場合、放電電流源は、グリッチ除去分岐回路120を放電させることができず、第1の遅延信号int ACがハイレベルである場合、第1のスイッチのPMOSトランジスタがオフになり、すなわち、充電電流源が位置する分岐回路がオフ状態にあり、充電電流源は、グリッチ除去分岐回路120を充電することができず、第2のスイッチのNMOSトランジスタがオン状態にあり、すなわち、放電電流源が位置する分岐回路がオン状態にある場合、複数の放電電流源は、グリッチ除去分岐回路120を放電させることができる。
【0046】
さらに、各精密遅延ユニットは、1つの精密遅延コード信号を受信し、精密遅延コード信号が有効である場合、対応する精密遅延ユニットの充電電流源及び放電電流源がオフになり、該精密遅延ユニットは、信号の遅延量を1つの精密遅延時間FDだけ増加させ、精密遅延コード信号が無効である場合、対応する精密遅延ユニットの充電電流源及び放電電流源がオンになり、該精密遅延ユニットは、信号の遅延量を1つの精密遅延時間FDだけ減少させる。
【0047】
精密遅延チェーンDelay Cは、複数の精密遅延ユニットにおける対応する有効な精密遅延コード信号の数に基づいて、充電電流源及び放電電流源がオンになる数を決定し、それにより遅延量を決定し、決定された遅延量に基づいて、反転後の第1の遅延信号int ACに対して遅延処理を行って、第3の遅延信号output Delay Cを取得する。
【0048】
いくつかの実施例において、各精密遅延チェーンは、いずれもm個の充電電流源とm個の放電電流源を含み、CD=mFDであり、精密遅延チェーンDelay Cは、コードCode Cによって制御され、精密遅延チェーンDelay Dは、コードCode Dによって制御され、Code CとCode Dは、コードコンテンツが一致し、かついずれもmビットの精密遅延コード信号F0、F1…Fm-2、Fm-1からなり、Code CとCode Dも1つの連続したサーモメータコードCode Fineである。
【0049】
具体的には、精密遅延コード信号が有効である場合、電流源がオフになることに相当し、充放電電流源の電流が低下し、遅延ユニットにより信号を1つのFDだけ遅延させ、精密遅延コード信号が無効である場合、電流源がオンになることに相当し、充放電電流源の電流が上昇し、遅延ユニットにより信号の遅延量を1つのFDだけ減少させ、Code Fineを変更して有効な精密遅延コード信号の数を変更することにより、充電電流源及び放電電流源がオンになる数を変更し、遅延制御を実現する。
【0050】
理解できるように、精密遅延チェーンDelay Cと精密遅延チェーンDelay Dの有効な精密遅延コード信号の数は、常に一致し、Code Fineが変化すると、精密遅延チェーンDelay Cと精密遅延チェーンDelay Dの精密遅延コード信号が同期して変化し、精密遅延チェーンDelay Cと精密遅延チェーンDelay Dが与える遅延量は、常に同じになる。
【0051】
図5に示すように、グリッチ除去分岐回路120は、出力インバータ及びコンデンサCを含み、コンデンサCは、一端が出力インバータの入力端に接続され、複数の充電電流源の負極と複数の放電電流源の正極との間に接続され、他端が接地され、コンデンサCは、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合して統合後の信号int CDを取得し、出力インバータは、統合後の信号int CDに対して反転処理を行って出力信号OUTを取得する。
【0052】
第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dに対して、Code Fineが変化すると、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay Dにおいて動作する充電電流源及び放電電流源の数が変化し、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay DによるコンデンサCの充電及び放電のレートを変化させることにより、精密遅延チェーンDelay Cは、第1の遅延信号int ACに対して反転遅延処理を行って第3の遅延信号output Delay Cを取得し、精密遅延チェーンDelay Dは、第2の遅延信号int BDに対して反転遅延処理を行って第4の遅延信号output Delay Dを取得することができ、この時、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dは、いずれもグリッチが発生せず、その解析過程は、以下のとおりである(精密遅延チェーンDelay Cと精密遅延チェーンDelay Dとの構成が同じであるため、ここでは、精密遅延チェーンDelay C及び第3の遅延信号output Delay Cを例とする)。
【0053】
図6に示すように、
図6は、第1の遅延信号int ACの反転後と第3の遅延信号output Delay Cとの間の波形を示す。
【0054】
第1の遅延信号int ACがローレベルからハイレベルに反転すると、この時、第1のスイッチのPMOSトランジスタがオフになり、充電電流源が位置する分岐回路がオフになり、充電電流源を無効にし、充電電流源は、コンデンサCを充電することができず、第2のスイッチのNMOSトランジスタがオンになり、放電電流源が位置する分岐回路がオンになり、放電電流源は、コンデンサCを放電させて、第3の遅延信号output Delay Cが徐々に低下する。
【0055】
例示的に、Code C=0である場合、有効な精密遅延コード信号の数は、ゼロであり、放電電流源は、全て有効状態にあり、放電電流源は、全てオンになり、それによりコンデンサCは、迅速に放電することができ、第3の遅延信号output Delay Cの電圧が迅速に低下し、Code Cが増大するにつれて、有効な精密遅延コード信号の数が増加し、放電電流源がオンになる数が減少し、コンデンサCの放電速度が遅くなり、第3の遅延信号output Delay Cの電圧が緩やかに低下し、それにより第1の遅延信号int ACに対する反転遅延を実現する。
【0056】
第3の遅延信号output Delay Cが定常状態に達する前に、Code Cが変化すると、有効な精密遅延コード信号の数を増加又は減少させ、この時、第1の遅延信号int AC及び第3の遅延信号output Delay Cの波形は、
図7に示す。
【0057】
例示的に、Code C=0からCode C=2に変化し、すなわち、Code Cが増大する場合、有効な精密遅延コード信号の数が増加し、対応する放電電流源がオフになり、コンデンサCの放電速度が低下し、第3の遅延信号output Delay Cの減少速度が緩やかになり、最終的に定常状態に達する時間が遅延され、Code C=m-1からCode C=0に変化し、すなわち、Code Cが減少する場合、有効な精密遅延コード信号の数が減少し、対応する放電電流源がオンになり、コンデンサCの放電速度が向上し、第3の遅延信号output Delay Cが迅速に減少して定常状態に達し、第3の遅延信号output Delay Cが定常状態に達する時間が早められる。
【0058】
理解できるように、上記過程は、第1の遅延信号int ACがローレベルからハイレベルに反転する時、Code Cの変化によるコンデンサCの放電速度に対する影響を説明し、第3の遅延信号output Delay Cに対する遅延制御を実現し、同様に、第1の遅延信号int ACがハイレベルからローレベルに反転する場合の、Code Cの変化によるコンデンサCの充電速度に対する影響及び第3の遅延信号output Delay Cの定常状態の確立時間に対する影響を推定することができ、これから分かるように、Code Cがどのように変化しても、コンデンサCに対して充放電速度のみが変化するため、第3の遅延信号output Delay Cが定常状態に達する時間に影響を与え、すなわち、第3の遅延信号output Delay Cの遅延量に影響を与え、第3の遅延信号output Delay Cに新たな変換又はグリッチが発生しない。
【0059】
精密遅延チェーンDelay Cと精密遅延チェーンDelay Dとの構成が同じであるため、同様に、Code Dがどのように変化しても、コンデンサCに対して充放電速度のみが変化するため、第4の遅延信号output Delay Dが定常状態に達する時間に影響を与え、すなわち、第4の遅延信号output Delay Dの遅延量に影響を与え、第4の遅延信号output Delay Dに新たな変換又はグリッチが発生しないことが分かる。前記のように、Code Fineが変化する時、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay D自体にグリッチが発生せず、すなわち、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dにグリッチが発生しない。
【0060】
このことから、Code Fineがゼロ値とフル値との間で1ビットずつ切り替わる時、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay Dの構成にグリッチが発生せず、Code Fineがゼロ値とフル値との間で1ビットずつ切り替わる時、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDに影響を与えず、すなわち、第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bの遅延量に影響を与えないことが分かる。
【0061】
Code Fineが連続的に変化する時、Code Fineがフル値からゼロに戻り、又はゼロ値からフル値にジャンプする状況があり、この時、対応するCode Coarseが1ビットだけ進むか又は1ビットだけ戻り、第1の遅延信号int AC又は第2の遅延信号int BDの遅延量が変更される。この時、精密遅延チェーンDelay C、精密遅延チェーンDelay D及びコンデンサCによって形成される補間器回路、並びに第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bの別々の配置は、Code Coarseの変化による可能なグリッチを除去することができ、具体的な過程は、以下のとおりである。
【0062】
例示的に、Code Coarseが2i-1(iは、任意の、nよりも小さい正の整数)であり、Code Fineがm-1であると仮定すると、Code Coarseの配列方式から分かるように、第1の粗遅延チェーンDelay Aと第2の粗遅延チェーンDelay Bは、それぞれiステップ遅延レベルを与え、精密遅延チェーンDelay Cと精密遅延チェーンDelay Dは、それぞれm-1ステップ遅延レベルを与え、この時、分岐回路AC(第1の粗遅延チェーンDelay Aと精密遅延チェーンDelay Cから構成され、以下同様)が与える遅延時間分は、2i×CD+(m-1)×FDであり、分岐回路BD(第2の粗遅延チェーンDelay Bと精密遅延チェーンDelay Dから構成され、以下同様)が与える遅延時間分は、(2i+1)×CD+(m-1)×FDであり、出力信号OUTの遅延量は、2i×CD+(m-1)×FDと(2i+1)×CD+(m-1)×FDとの間にあり、
Code Fineサーモメータコードがm-1から1だけ進み、すなわち、mに増加し、実際にゼロクリアと表現され、Code Coarseが1だけ進み、すなわち、2iに増加し、この時、分岐回路ACが与える遅延時間分は、(2i+2)×CDであり、分岐回路BDが与える遅延時間分は、(2i+1)×CDであり、回路全体の遅延量は、(2i+1)×CDと(2i+2)×CDとの間にあり、すなわち、第1の遅延信号int ACが2つのCDだけ増加し、第2の遅延信号int BDが変化せず、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay Dが与える精密遅延時間FDがゼロに戻る。
【0063】
図8に示すように、
図8は、Code Fineサーモメータコードがm-1から1だけ進む前に、Code Coarseに変化がない場合の各信号の波形図を示す。
【0064】
理解できるように、第1の遅延信号int ACの反転と、第2の遅延信号int BDの反転との間の間隔は、1つのCDの時間差、すなわち、
図8におけるt1区間であり、
t0区間において、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDの反転エッジがいずれも到達されず、t1区間において、第1の遅延信号int ACがローレベルからハイレベルに反転し、精密遅延チェーンDelay Cの充電電流源分岐回路がオフになり、放電電流源分岐回路がオンになり、コンデンサCがグランドに放電し、それにより精密遅延チェーンDelay Cの出力電流pre Delay Cが負の小電流-I
m-1として出力され、第3の遅延信号output Delay Cの電圧が減少し始め、この時、第2の遅延信号int BDは、まだ反転しておらず、精密遅延チェーンDelay Dの出力電流pre Delay Dは、変化せず、第4の遅延信号output Delay Dは、変化せず、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合した後に取得された統合後の信号int CD電圧は、小さくなり始め、
t2区間において、第2の遅延信号int BDがローレベルからハイレベルに反転し、精密遅延チェーンDelay Dの充電電流源分岐回路がオフになり、放電電流源分岐回路がオンになり、コンデンサCがグランドに放電し、精密遅延チェーンDelay Dの出力電流pre Delay Dも負の小電流-I
m-1であり、第4の遅延信号output Delay Dが減少し始め、この時、統合後の信号int CDの電圧は、出力インバータの閾値電圧よりも低くなるまで急速に変化し始め、出力信号OUTをこの区間で反転させ、出力インバータにより統合後の信号int CDを反転させ、出力信号OUTを取得する。
【0065】
t3区間において、コンデンサCの電荷が放出された後に放電されなくなり、統合後の信号int CDが定常状態に達し、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay Dが放電しなくなり、遅延反転過程が終了する。
【0066】
いくつかの実施例において、
図9に示すように、
図9は、別の実施例の波形図であって、Code Fineサーモメータコードがm-1から1だけ進み、Code Coarseが1だけ進む場合の各信号の波形図を示す。
【0067】
理解できるように、Code Coarseが1だけ進む前に、第1の遅延信号int ACの反転は、第2の遅延信号int BDの反転よりも1つのCDの時間差だけ超えるが、Code Coarseが1だけ進んだ後、第1の遅延信号int ACは、第2の遅延信号int BDよりも1つのCDの時間差だけ遅れ、Code Coarseが1だけ進んだ後にちょうど第1の遅延信号int ACが反転した後の2つのCDの時間内にある場合、この時、第1の遅延信号int ACにグリッチが発生し、
図9に示すように、このグリッチは、出力信号OUTに反映されず、この時、Delay C、Delay D及びコンデンサCにより形成された補間器は、該グリッチを除去することができ、具体的な過程は、以下のとおりである。
【0068】
t0区間において、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDの反転エッジがいずれも到達されない。t1区間において、第1の遅延信号int ACが反転し、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cが負の小電流-Im-1であり、この時、第2の遅延信号int BDがまだ反転しておらず、精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dがあまり変化せず、すなわち、第3の遅延信号output Delay Cの電圧が減少し始め、第4の遅延信号output Delay Dが変化せず、この時、統合後の信号int CD電圧が小さくなり始める。
【0069】
t2区間において、第2の遅延信号int BDが反転し、精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dも負の小電流-Im-1であり、すなわち、第4の遅延信号output Delay Dも減少し始め、この時、統合後の信号int CDの電圧は、出力インバータの閾値電圧よりも低くなるまで急速に変化し始め、出力信号OUTをこの区間で反転させる。
【0070】
t3区間において、コード値が反転すると、Code Coarseが1だけ進み、第1の遅延信号int ACは、グリッチが発生するため反転され、この時、第1の遅延信号int ACと第2の遅延信号int BDは、極性が逆の状態であり、精密遅延チェーンDelay C及び精密遅延チェーンDelay Dの制御コードFine Codeがゼロに戻り、充電電流源及び放電電流源は、いずれも全体的にオン状態にあり、したがって、精密遅延チェーンDelay Cにおいて充電電流源が位置する分岐回路がオンになり、放電電流源が位置する分岐回路がオフになり、充電電流源がコンデンサCに充電し、それにより精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cが正の大電流I0になり、第3の遅延信号output Delay Cが迅速に上昇し、精密遅延チェーンDelay Dにおいて充電電流源が位置する分岐回路がオフになり、放電電流源がコンデンサCを放電させ、それにより精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dが負の大電流-I0であり、第4の遅延信号output Delay Dが迅速に低下し、両者が統合された後に互いに相殺するため、統合後の信号int CDの電圧が変化せず、出力信号OUTの状態変化に影響を与えない。
【0071】
t4区間において、第1の遅延信号int ACが再び反転し、第2の遅延信号int BDと極性が同じであり、この時、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cと精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dは、いずれも負の大電流-I0であり、コンデンサCにおける電荷をさらに放出し、この過程は、出力信号OUTの状態変化に影響を与えず、遅延反転過程は、終了する。
【0072】
図10は、また別の実施例の各信号の波形図を示す。いくつかの実施例において、Code Fineサーモメータコードがm-1から1だけ進み、Code Coarseが1だけ進む場合、統合後の信号int CDがt2区間において出力インバータの閾値電圧に達していない状況があり、この時、t0からt2の状況は、
図9におけるt0からt2の状況と同様であり、ここでは繰り返して説明しないが、出力信号OUTは、まだt2区間で反転せず、依然として反転前の状態を保持する。
【0073】
t3区間において、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cが正の大電流I0であり、第3の遅延信号output Delay Cが上昇し、精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dが負の大電流-I0であり、第4の遅延信号output Delay Dが低下し、両者が互いに相殺するため、統合後の信号int CDの電圧が変化せず、出力信号OUTが反転していない。
【0074】
t4区間において、第1の遅延信号int ACが再び反転し、第2の遅延信号int BDと極性が同じであり、この時、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cと精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dは、いずれも負の大電流-I0であり、コンデンサCは、電荷を完全に放出するまで迅速に放電し、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dは、いずれも低下し、統合後の信号int CDは、出力インバータの閾値に達するまで迅速に低下し、この過程において、出力信号OUTが反転し、遅延反転過程は、終了する。
【0075】
図11は、さらなる別の実施例の各信号の波形図を示す。別の状況において、すなわち、Code Fineサーモメータコードがm-1から1だけ進み、Code Coarseが1だけ進むことは、第1の遅延信号int ACが反転した後、第2の遅延信号int BDが反転する前に発生する。t1区間において、第1の遅延信号int ACがハイレベルに反転し、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cが負の小電流-I
m-1であり、第3の遅延信号output Delay Cの電圧が低下し、統合後の信号int CDの電圧が徐々に低下し始める。
【0076】
t2区間の開始時に、Code Coarseが1だけ進み、Code Fineがクリアされ、第1の遅延信号int ACがローレベルに反転し、この時、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cは、正の大電流I0を出力し、充電電流源は、満充電になるまでコンデンサCを充電し、第3の遅延信号output Delay Cの電圧は、迅速に上昇し、統合後の信号int CDの電圧は、ハイレベルまで迅速に上昇し、コンデンサCが満充電になった後、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay Cは、ゼロに戻る。
【0077】
t3区間において、第2の遅延信号int BDが反転し、Code Fineがクリアされているので、精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dは、負の大電流I0であり、この時、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay C及び精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dは、いずれもI0であり、かつ向きが逆であり、両者が互いに相殺するため、統合後の信号int CD電圧は、変化しない。
【0078】
t4区間において、第1の遅延信号int ACが再び反転し、この時、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay C及び精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dは、いずれも負の大電流-I0であり、コンデンサCは、迅速に放電し、統合後の信号int CDは、出力インバータの閾値電圧に達するまで迅速に低下し、この過程において、出力信号OUTが反転し、遅延反転過程は、終了し、精密遅延チェーンDelay Cの出力電流post Delay C及び精密遅延チェーンDelay Dの出力電流post Delay Dは、ゼロに戻る。
【0079】
いくつかの実施例において、Code Coarseが1だけ進み、Code Fineがクリアされるコード値変化は、t0区間の前にあり、この場合、第1の遅延信号int ACにグリッチが発生せず、出力信号OUTに影響を与えてグリッチが発生することがない。Code Coarseが1だけ進むことは、ちょうど第1の遅延信号int ACが反転した後の2つのCDの時間外、すなわち、t4区間の後にあると、この時、出力信号OUTが定常状態に達し、Code Coarseが1だけ進むことは、出力信号OUTに影響を与えることがない。
【0080】
前記のように、Code Coarseが1だけ進み、Code Fineがクリアされるコード値変化が発生する時、精密遅延チェーンDelay C、精密遅延チェーンDelay D及びコンデンサCによって形成される補間器回路、並びに第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bの別々の配置は、コード値変化による可能なグリッチを除去することができ、出力信号OUTにグリッチが発生しない。
【0081】
別のいくつかの実施例において、同様に、Code Coarseサーモメータコードが2i-1であり、Code Fineサーモメータコードが0であると仮定すると、この時、分岐回路ACが与える遅延時間分は、2i×CDであり、分岐回路BDが与える遅延時間分は、(2i+1)×CDであり、回路全体の遅延量は、2i×CDと(2i+1)×CDとの間であり、Code Fineサーモメータコードが0から1だけ戻り、すなわち、-1に低下し、実際にフルになると表現する場合、Code Coarseが1だけ戻り、すなわち、2i-2に減少し、この時、分岐回路ACが与える遅延時間分は、2i×CD+(m-1)×FDであり、分岐回路BDが与える遅延時間分は、(2i-1)×CD+(m-1)×FDであり、回路全体の遅延量は、(2i-1)×CD+(m-1)×FDと2i×CD+(m-1)×FDとの間にあり、すなわち、Delay Aが変化せず、Delay Bが2つのCDだけ減少し、Delay C及びDelay Dが最大に増加する。
【0082】
Code Coarseが1だけ戻り、Code Fineがゼロからフルに戻る場合、該過程に対して上記同じ分析を行うと、Code Coarseが1だけ戻り、Code Fineがフルになるコード値変化が発生する場合、精密遅延チェーンDelay C、精密遅延チェーンDelay D及びコンデンサCによって形成される補間器回路、並びに第1の粗遅延チェーンDelay A及び第2の粗遅延チェーンDelay Bの別々の配置は、コード値変化による可能なグリッチを除去することができ、出力信号OUTにグリッチが発生しない。
【0083】
電子デバイスは、上記実施例に係る遅延チェーン回路を含む。
【0084】
以上のように、本願に係る遅延チェーン回路及び電子デバイスは、上記遅延チェーン回路により、遅延チェーンを調整する必要がある場合、第1の遅延信号int AC及び第2の遅延信号int BDのいずれかの遅延量を調整し、グリッチを第1の遅延信号int ACのみ又は第2の遅延信号int BDのみに発生させ、コンデンサCが第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合する場合、第3の遅延信号output Delay C及び第4の遅延信号output Delay Dを統合してグリッチを除去し、出力インバータは、統合後の信号int CDに対して反転処理を行って出力信号OUTを取得することにより、入力信号INを中断することなく、遅延チェーンの遅延を動的に調整し、グリッチなしの遅延チェーン切り替えを実現する。
【0085】
以上は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を何ら限定するものではなく、本願は、好適な実施例で上記のように開示されているが、本願を限定するものではなく、当業者であれば、本願の技術的手段の範囲を逸脱することなく、上記に開示された技術的内容を利用して、同等の変化の同等の実施例を行うことができるが、本願の技術的手段の内容を逸脱することなく、本願の技術的実質に基づいて上記の実施例に対して行う任意の簡単な修正、同等の変化及び修飾は、いずれも本願の技術的手段の範囲に属する。