(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155725
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ガスセンサ制御装置、および、燃料ガス濃度検出システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/409 20060101AFI20241024BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20241024BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241024BHJP
H01M 8/0444 20160101ALI20241024BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01N27/409 100
H01M8/12 101
H01M8/04 H
H01M8/0444
H01M8/04 J
G01N27/416 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014827
(22)【出願日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2023068710
(32)【優先日】2023-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上杉 滉大
(72)【発明者】
【氏名】吉川 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼耒 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔一
【テーマコード(参考)】
2G004
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BD05
2G004BM09
2G004ZA01
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC02
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA06
5H127BA12
5H127BA34
5H127BA57
5H127BA58
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB19
5H127BB27
5H127BB37
5H127DB04
5H127DB14
(57)【要約】
【課題】高濃度の燃料ガス濃度を検出可能なガスセンサ制御装置を提供する。
【解決手段】ガスセンサ制御装置2は、ガスセンサ1を用いて燃料ガス濃度を検出する。ガスセンサ1は、燃料ガス濃度を律速する拡散層8を経由して燃料ガスが導入される燃料室9、大気ダクトを経由して大気が導入される大気室10、酸化物イオンの伝導性を有する固体電解質11、燃料室9内で固体電解質11の一方の面に設けられる検出電極12、大気室10内で固体電解質11の他方の面に設けられる基準電極13を備える。ガスセンサ制御装置2は、検出電極12と基準電極13に直流電圧を印加する電圧印加時間Sと、電圧印加時間Sの終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が大気室10に導入されるまでの休止時間Pとを交互に繰り返し、電圧印加時間Sに流れる限界電流により燃料ガス濃度を間欠的に検出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス濃度を律速する拡散層(8)を経由して燃料ガスが導入される燃料室(9)、大気ダクトを経由して大気が導入される大気室(10)、酸化物イオンの伝導性を有する固体電解質(11)、前記燃料室内で前記固体電解質の一方の面に設けられる検出電極(12)、および、前記大気室内で前記固体電解質の他方の面に設けられる基準電極(13)を備えるガスセンサ(1)を用いて燃料ガス濃度を検出するガスセンサ制御装置であって、
前記検出電極と前記基準電極に直流電圧を印加する電圧印加時間(S)と、前記電圧印加時間の終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が前記大気室に導入されるまでの休止時間(P)とを交互に繰り返し、前記電圧印加時間に流れる限界電流により燃料ガス濃度を間欠的に検出するガスセンサ制御装置。
【請求項2】
燃料ガス濃度が高いほど前記電圧印加時間を短く調整する、請求項1に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項3】
大気圧が低いほど前記休止時間を長く調整する、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項4】
大気の相対湿度が高いほど前記休止時間を長く調整する、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項5】
電解質体として固体酸化物セラミックスを用いた固体酸化物型燃料電池システム(20)のセルスタック(21)に対して燃料ガスを供給する燃料ガス供給路(23、231)、または、前記セルスタックから排出された燃料ガスが流れる燃料ガス排出路(33、38)の少なくとも一方に設けられた前記ガスセンサを用いて燃料ガス濃度を検出する、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項6】
燃料ガスは、炭化水素、水素、一酸化炭素、バイオ燃料の少なくとも1つである、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項7】
燃料ガスが流れる燃料通路から燃料ガス濃度を律速する拡散層(8)を経由して燃料ガスが導入される燃料室(9)、大気ダクトを経由して大気が導入される大気室(10)、酸化物イオンの伝導性を有する固体電解質(11)、前記燃料室内で前記固体電解質の一方の面に設けられる検出電極(12)、および、前記大気室内で前記固体電解質の他方の面に設けられる基準電極(13)を備えるガスセンサ(1)と、
前記検出電極と前記基準電極に直流電圧を印加する電圧印加時間(S)と、前記電圧印加時間の終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が前記大気室に導入されるまでの休止時間(P)とを交互に繰り返し、前記電圧印加時間に流れる限界電流により燃料ガス濃度を間欠的に検出するガスセンサ制御装置と、を備える燃料ガス濃度検出システム。
【請求項8】
前記燃料通路と前記拡散層との間に設けられ、燃料ガス濃度を律速する前段拡散層(16)をさらに備える、請求項7に記載の燃料ガス濃度検出システム。
【請求項9】
前記検出電極と前記基準電極に直流電圧を印可した際に検出される電流の単位時間(Δt)あたりの変化量(ΔI)が、前記単位時間に所定の定数(a)を乗算した値よりも低い領域のうち、直流電圧を印可した際に最初に現れる領域を第1フラット領域と呼ぶとき、
前記第1フラット領域において検出した限界電流を、燃料ガス濃度と限界電流との関係を予め規定してメモリーに記憶されている限界電流特性を参照して燃料ガス濃度に換算し、燃料ガス濃度を検出する、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項10】
前記第1フラット領域を経過した後も前記検出電極と前記基準電極に直流電圧を継続して印加した場合に検出される検出電流において前記単位時間(Δt)あたりの変化量(ΔI)が、前記単位時間に所定の定数(a)を乗算した値よりも低い領域を第2フラット領域と呼ぶとき、
前記休止時間は、前記第1フラット領域の終了時刻から前記第2フラット領域の開始時刻までの時間以上に設定される、請求項9に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項11】
前記休止時間は、燃料ガス濃度の検出制御開始から1回目の前記電圧印加時間に取得可能である、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項12】
前記電圧印加時間には、前記検出電極と前記基準電極に燃料ガス濃度を検出可能な直流電圧を印加し、
前記休止時間には、直流電圧の印加を停止するか、或いは、前記電圧印加時間に印可する直流電圧よりも低い微電圧を印加してもよく、
前記休止時間に印可する微電圧は、前記大気ダクトを経由して前記大気室に単位時間あたりに導入される大気に含まれる酸素量よりも、微電圧の印加による前記大気室の単位時間あたりの酸素消費量が少ないものとなる電圧に設定される、請求項1または2に記載のガスセンサ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスセンサを用いて燃料ガス濃度を検出するガスセンサ制御装置、および、燃料ガス濃度検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池システムに用いられるガスセンサが記載されている。このガスセンサは、燃料電池のセルスタックに燃料ガスを供給する供給路に設けられ、さらに、セルスタックから排出された燃料ガスの一部を再びセルスタックに供給するための循環路に設けられている。このガスセンサは、水電解によりチャンバ内に酸素が取り込まれるプロトン導電方式を採用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102021203538号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料ガスの濃度を検出するガスセンサとして、空燃比センサ、即ち、A/Fセンサ(Air by Fuel ratio sensor)と同様の構成のものを用いることがある。空燃比センサは、酸化物イオンの伝導性を有する固体電解質と、固体電解質の一方の面に設けられる検出電極と、固体電解質の他方の面に設けられる基準電極と、検出電極が配置される燃料室と、基準電極が配置される大気室を備える。燃料室には、燃料ガス濃度を律速する拡散層を経由して燃料ガスが導入され、大気室には、大気ダクトを経由して大気が導入される。空燃比センサは、検出電極と基準電極に直流電圧を印加したときに流れる限界電流により燃料ガス濃度を検出する。なお、限界電流は、大気室の酸素が酸化物イオンとなって固体電解質を伝導し燃料室の燃料と反応するときに流れる。
【0005】
一方、燃料電池システムにおいて、燃料電池のセルスタックに燃料ガスを供給する供給路、および、セルスタックから排出された燃料ガスの一部を再びセルスタックに供給するための循環路には、高濃度の燃料ガスが流れる。そのため、その供給路および循環路を流れる高濃度の燃料ガス濃度を検出するガスセンサとして上記構成の空燃比センサを用いた場合、燃料室の燃料ガスとの反応により消費される大気室の酸素量に対し、大気室に導入される酸素量が少なくなることがある。その場合、検出時間の経過に伴って大気室の酸素が欠乏し、燃料ガス濃度の検出が困難になるといった問題がある。その問題に対し、特許文献1には、高濃度の燃料ガス濃度を検出する手法について記載されていない。
【0006】
本開示は上記点に鑑みて、高濃度の燃料ガス濃度を検出可能なガスセンサ制御装置、および、燃料ガス濃度検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の1つの観点によれば、ガスセンサ制御装置は、ガスセンサ(1)を用いて燃料ガス濃度を検出する。ガスセンサは、燃料室(9)、大気室(10)、固体電解質(11)、検出電極(12)および基準電極(13)を備える。燃料室は、燃料ガス濃度を律速する拡散層(8)を経由して燃料ガスが導入される。大気室は、大気ダクトを経由して大気が導入される。固体電解質は、酸化物イオンの伝導性を有する。検出電極は、燃料室内で固体電解質の一方の面に設けられる。基準電極は、大気室内で固体電解質の他方の面に設けられる。ガスセンサ制御装置は、検出電極と基準電極に直流電圧を印加する電圧印加時間(S)と、電圧印加時間の終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が大気室に導入されるまでの休止時間(P)とを交互に繰り返し、電圧印加時間に流れる限界電流により燃料ガス濃度を間欠的に検出する。
【0008】
これによれば、燃料室に導入される燃料ガス濃度が高濃度である場合、仮に検出電極と基準電極に直流電圧を継続して印加すると、電圧の印加開始から所定時間経過後に大気室内の酸素が欠乏し、燃料ガス濃度を検出できなくなる。それに対し、本開示のガスセンサ制御装置は、電圧印加時間と休止時間とを交互に繰り返すことで、大気室内の酸素の欠乏を防ぎつつ、燃料ガス濃度を検出可能である。したがって、ガスセンサ制御装置は、燃料室に導入される燃料ガス濃度が高濃度である場合でも、燃料ガス濃度を検出できる。
【0009】
本開示の別の観点によれば、ガスセンサ(1)とガスセンサ制御装置(2)とを備える燃料ガス濃度検出システムに関する。ガスセンサは、燃料室(9)、大気室(10)、固体電解質(11)、検出電極(12)および基準電極(13)を備える。燃料室は、燃料ガス濃度を律速する拡散層(8)を経由して燃料ガスが導入される。大気室は、大気ダクトを経由して大気が導入される。固体電解質は、酸化物イオンの伝導性を有する。検出電極は、燃料室内で固体電解質の一方の面に設けられる。基準電極は、大気室内で固体電解質の他方の面に設けられる。ガスセンサ制御装置は、検出電極と基準電極に直流電圧を印加する電圧印加時間(S)と、電圧印加時間の終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が大気室に導入されるまでの休止時間(P)とを交互に繰り返し、電圧印加時間に流れる限界電流により燃料ガス濃度を間欠的に検出する。
【0010】
これによれば、本開示の別の観点も、本開示の1つの観点と同様の作用効果を奏することができる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る燃料ガス濃度検出システムが備えるガスセンサとガスセンサ制御装置を示す概略図である。
【
図2】ガスセンサ内に設けられる検出素子の断面図である。
【
図4】ガスセンサ制御装置が実行する電圧印加方法を示すタイムチャートである。
【
図5】種々の燃料ガス濃度において、検出素子に直流電圧を継続して印加したときの限界電流の変化を示すグラフである。
【
図6】ガスセンサ制御装置が平地環境で実行する燃料ガス濃度検出制御を示すタイムチャートである。
【
図7】ガスセンサ制御装置が高地環境で実行する燃料ガス濃度検出制御を示すタイムチャートである。
【
図8】ガスセンサ制御装置が通常湿度環境で実行する燃料ガス濃度検出制御を示すタイムチャートである。
【
図9】ガスセンサ制御装置が高湿度環境で実行する燃料ガス濃度検出制御を示すタイムチャートである。
【
図10】第1実施形態と第1比較例の燃料ガス濃度検出システムにおいて、燃料ガス濃度と限界電流との関係を示すグラフである。
【
図11】第2実施形態に係る燃料ガス濃度検出システムの概略図である
【
図12】第2実施形態と第2比較例の燃料ガス濃度検出システムにおいて、燃料ガス濃度と限界電流との関係を示すグラフである。
【
図13】第3実施形態の燃料ガス濃度検出システムが適用される燃料電池システムの概略構成図である。
【
図14】第1比較例の燃料ガス濃度検出システムの等価回路図である。
【
図15】第1比較例の燃料ガス濃度検出システムにおいて、印加電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図16】第1比較例の燃料ガス濃度検出システムにおいて、酸素透過量と時間との関係を示すグラフである。
【
図17】第1比較例の燃料ガス濃度検出システムにおいて、検出電流と時間との関係を示すグラフである。
【
図18】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムの等価回路図である。
【
図19】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおいて、印加電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図20】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおいて、酸素透過量と時間との関係を示すグラフである。
【
図21】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおいて、検出電流と時間との関係を示すグラフである。
【
図22】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおいて、発明者らが行った実験結果を示すグラフである。
【
図23】
図22のXXIII部分の時間軸を拡大して示したグラフである。
【
図24】
図23の任意の線(例えば線L)のみを示したグラフである。
【
図25】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおいて、休止時間Pの設定方法を説明するためのグラフである。
【
図26】第4実施形態のガスセンサ制御装置が実行する燃料ガス濃度検出処理を説明するためのフローチャートである。
【
図27】第4実施形態のガスセンサ制御装置が実行する燃料ガス濃度検出処理の中でS10~S40までの処理を説明するためのグラフである。
【
図28】第4実施形態のガスセンサ制御装置が実行する燃料ガス濃度検出処理の中でS100の処理を説明するためのグラフである。
【
図29】第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムと第1比較例の燃料ガス濃度検出システムとでそれぞれ検出される燃料ガス濃度と、実際の燃料ガス濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、第1実施形態の燃料ガス濃度検出システムは、ガスセンサ1とガスセンサ制御装置2を備えている。なお、以下の説明では、ガスセンサ制御装置2を単に「制御装置2」という。
【0015】
ガスセンサ1は、燃料ガスが流れる燃料通路3に設けられ、その燃料通路3内を流れる燃料ガスの濃度を検出するものである。ガスセンサ1が濃度を検出可能な燃料ガスは、例えば、炭化水素、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、バイオ燃料の少なくとも1つである。なお、バイオ燃料は、例えば、エタノール(C2H6O)、メタノール(CH3OH)、バイオ水素(H2)、メタン(CH4)などである。
【0016】
ガスセンサ1として、例えば空燃比センサ、即ち、A/Fセンサ(Air by Fuel ratio sensor)を使用することができる。ガスセンサ1は、ハウジング4内に検出素子5を備えている。検出素子5は、配線6、7を経由して制御装置2と電気的に接続されている。なお、ガスセンサ1は、空燃比センサに限らず、以下に説明する検出素子5と同様の構成を備えるものであれば、種々のセンサを使用することができる。
【0017】
図2および
図3に示すように、ガスセンサ1の備える検出素子5は、拡散層8、燃料室9、大気室10、固体電解質11、検出電極12および基準電極13を備えている。燃料室9は、燃料ガス濃度を律速する拡散層8を経由して燃料ガスが導入される空間である。大気室10は、ガスセンサ1のハウジング4内に設けられた不図示の大気ダクトを経由して大気が導入される空間である。固体電解質11は、酸化物イオンの伝導性を有するものである。固体電解質11は、例えば、ジルコニア(ZrO
2)から形成される。検出電極12は、固体電解質11の一方の面に設けられ、燃料室9内に配置される。基準電極13は、固体電解質11の他方の面に設けられ、大気室10内に配置される。
【0018】
制御装置2は、ガスセンサ1を用いて燃料ガス濃度を検出する機能を有する電子制御装置である。制御装置2は、制御処理や演算処理を行うプロセッサ、プログラムやデータ等を記憶するROM、RAM等の記憶部を含むマイクロコンピュータ、およびその周辺回路で構成されている。制御装置2は、記憶部に記憶されたプログラムに基づいてプロセッサが各種制御処理および演算処理を行う。具体的には、制御装置2は、ガスセンサ1が備える検出電極12と基準電極13に直流電圧を印加する。検出電極12と基準電極13に直流電圧が印加されると、大気室10の酸素が酸化物イオン(O
2-)となって固体電解質11を伝導し、検出電極12上でその酸化物イオンと燃料室9の燃料が反応する。例えば、
図2に示すように、燃料ガスが水素(H
2)である場合、検出電極12上で酸化物イオンと水素が反応して水(H
2O)が生成される。制御装置2は、検出電極12と基準電極13に直流電圧を印加したときに流れる限界電流により、燃料ガス濃度を検出することが可能である。
【0019】
ところで、ガスセンサ1が設けられる燃料通路3を流れる燃料ガスが高濃度である場合、燃料室9の燃料ガスとの反応により消費される大気室10の酸素量に対し、大気ダクトから大気室10に導入される酸素量が少なくなることがある。その場合、検出時間の経過に伴って大気室10の酸素が欠乏し、燃料ガス濃度の検出が困難になるといった課題がある。
【0020】
それに対し、
図4に示すように、第1実施形態の制御装置2は、電圧印加時間Sと休止時間Pとを交互に繰り返しつつ、燃料ガス濃度を間欠的に検出する制御を実行する。
図4の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。
図4では、電圧印加時間Sを「S」を付した両矢印で示し、休止時間Pを「P」を付した両矢印で示し、電圧印加時間Sと休止時間Pを合わせた1周期Tを「T」を付した両矢印で示している。
【0021】
電圧印加時間Sは、検出電極12と基準電極13に直流電圧を印加する時間である。制御装置2は、各電圧印加時間Sにおいて燃料ガス濃度を検出する。一方、休止時間Pは、電圧印加時間Sの終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が大気室10に導入されるまでの時間である。休止時間Pは、ガスセンサ1の備える大気ダクトの流路長さ、流路断面積、圧力損失などに応じて、実験などにより適宜設定される。
【0022】
次に、電圧印加時間Sの設定方法について
図5を参照して説明する。
図5は、種々の燃料ガス濃度において、検出電極12と基準電極13に直流電圧を継続して印加したときの限界電流の変化を示すグラフである。
図5の横軸は時間を示し、縦軸は限界電流を示す。なお、縦軸の限界電流は、0から下へ行くほど絶対値として大きい電流値となっている。
【0023】
図5の一点鎖線Aは、比較的低濃度の燃料ガスに対して行った濃度検出の結果を示す。破線Bは、比較的中濃度の燃料ガスに対して行った濃度検出の結果を示す。実線Cは、比較的高濃度の燃料ガスに対して行った濃度検出の結果を示す。
図5では、時刻t0から検出電極12と基準電極13に対し直流電圧の印加が開始されている。
【0024】
一点鎖線Aに示すように、比較的低濃度の燃料ガスに対して行った濃度検出では、燃料室9の燃料ガスとの反応により消費される大気室10の酸素量に対し、大気ダクトから大気室10に導入される酸素量が足りている。そのため、燃料ガスの濃度検出を継続して行うことが可能である。
【0025】
一方、破線Bに示すように、比較的中濃度の燃料ガスに対して行った濃度検出では、時刻t2以降、燃料ガスの濃度検出が困難となっている。この濃度検出では、燃料室9の燃料ガスとの反応により消費される大気室10の酸素量に対し、大気ダクトから大気室10に導入される酸素量が少ないため、時刻t2以降、大気室10の大気室10の酸素量が不足したと考えられる。
【0026】
また、実線Cに示すように、比較的高濃度の燃料ガスに対して行った濃度検出では、時刻t2よりも早い時刻t1以降、燃料ガスの濃度検出が困難となっている。比較的高濃度の燃料ガスの濃度検出では、比較的中濃度の燃料ガスの濃度検出に比べて、燃料室9の燃料ガスとの反応により消費される大気室10の酸素量が多いため、時刻t2よりも早い時刻t1以降、大気室10の大気室10の酸素量が不足したと考えられる。
【0027】
この実験結果から、比較的低濃度から比較的高濃度まで、いずれの濃度の燃料ガスの濃度検出であっても、時刻t0から時刻t1の間は、燃料ガスの濃度検出が可能と言える。このことから、制御装置2は、電圧印加時間Sを、時刻t0から時刻t1までの時間に設定する。
【0028】
なお、制御装置2は、燃料ガスの濃度検出の実行中に、燃料ガス濃度が高いほど電圧印加時間Sを短くするように調整してもよい。すなわち、制御装置2は、燃料ガスの濃度検出の実行中に、直流電圧を継続して印加したときの限界電流の変動を観察することで、燃料ガス濃度を正確に検出可能な電圧印加時間Sを見つけて設定することが可能である。
【0029】
続いて、休止時間Pの設定方法について
図6~
図9を参照して説明する。
図6(A)は、平地環境において、燃料ガスの濃度検出を実行しているときの大気室10の酸素濃度の挙動を示したグラフであり、
図6(B)は、そのときの電圧印加時間S、休止時間P1、周期T1を示したグラフである。
【0030】
図7(A)は、高地環境において、燃料ガスの濃度検出を実行しているときの大気室10の酸素濃度の挙動を示したグラフであり、
図7(B)は、そのときの電圧印加時間S、休止時間P2、周期T2を示したグラフである。
【0031】
高地環境は、平地環境と比べて、大気圧が低く、大気中の酸素濃度も低い。そのため、
図6(A)および
図7(A)に示したように、高地環境は、平地環境と比べて、大気室10の酸素量が濃度検出の限界状態になってから、濃度検出に十分な酸素量が大気室10に導入されるまでの時間が長くかかる。そのため、
図6(B)および
図7(B)に示したように、制御装置2は、高地環境における休止時間P2を、平地環境における休止時間P1よりも長くする。すなわち、制御装置2は、高地環境における周期T2を、平地環境における周期T1よりも長くする。これにより、高地環境のように大気圧が低い環境であっても、休止時間P2の間に濃度検出可能な十分な酸素量を大気室10に導入でき、高濃度の燃料ガスに対する濃度検出を実現できる。
【0032】
図8(A)は、通常湿度環境において、燃料ガスの濃度検出を実行しているときの大気室10の酸素濃度の挙動を示したグラフであり、
図8(B)は、そのときの電圧印加時間S、休止時間P3、周期T4を示したグラフである。
【0033】
図9(A)は、高湿度環境において、燃料ガスの濃度検出を実行しているときの大気室10の酸素濃度の挙動を示したグラフであり、
図9(B)は、そのときの電圧印加時間S、休止時間P4、周期T4を示したグラフである。
【0034】
高湿度環境は、通常湿度環境と比べて、大気中の酸素分圧が低い。そのため、
図8(A)および
図9(A)に示したように、高湿度環境は、通常湿度環境と比べて、大気室10の酸素量が濃度検出の限界状態になってから、濃度検出に十分な酸素量が大気室10に導入されるまでの時間が長くかかる。そのため、
図8(B)および
図9(B)に示したように、制御装置2は、高湿度環境における休止時間P4を、通常湿度環境における休止時間P3よりも長くする。すなわち、制御装置2は、高湿度環境における周期T4を、通常湿度環境における周期T3よりも長くする。これにより、高湿度環境であっても、休止時間P4の間に濃度検出可能な十分な酸素量を大気室10に導入でき、高濃度の燃料ガスに対する濃度検出を実現できる。
【0035】
ここで、第1実施形態の燃料ガス濃度検出システムと比較するため、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムについて説明する。第1比較例の燃料ガス濃度検出システムは、第1実施形態と同様のガスセンサ1を備えているものとする。ただし、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムは、燃料ガスの濃度検出において、検出電極12と基準電極13に対して直流電圧を継続して印加するものである。
【0036】
図10は、第1実施形態と第1比較例それぞれが実行する燃料ガスの濃度検出において、燃料ガス濃度と限界電流との関係を示している。
図10の横軸は燃料ガス濃度を示し、縦軸は限界電流を示す。なお、縦軸の限界電流は、0から下へ行くほど絶対値として大きい電流値となっている。
【0037】
破線Dは、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムにおける燃料ガスの濃度検出の結果を示す。実線Eは、第1実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおける燃料ガスの濃度検出の結果を示す。
【0038】
破線Dに示すように、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムでは、燃料ガスの濃度がM2より高くなると、感度が低下している。それに対し、実線Eに示すように、第1実施形態の燃料ガス濃度検出システムでは、燃料ガスの濃度がM1からM3に亘り、感度が低下しない。
【0039】
以上説明した第1実施形態は次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、制御装置2は、検出電極12と基準電極13に直流電圧を印加する電圧印加時間Sと、電圧印加時間Sの終了時から燃料ガス濃度を検出可能な酸素量が大気室10に導入されるまでの休止時間Pとを交互に繰り返す。そして、制御装置2は、電圧印加時間Sに流れる限界電流により、燃料ガス濃度を間欠的に検出する。
これによれば、燃料室9に導入される燃料ガス濃度が高濃度である場合、仮に、検出電極12と基準電極13に直流電圧を継続して印加すると、電圧の印加開始から所定時間経過後に大気室10内の酸素が欠乏し、燃料ガス濃度を検出できなくなる。それに対し、第1実施形態の制御装置2は、電圧印加時間Sと休止時間Pとを交互に繰り返すことで、大気室10内の酸素の欠乏を防ぎつつ、燃料ガス濃度を検出可能である。したがって、燃料室9に導入される燃料ガス濃度が高濃度である場合でも、燃料ガス濃度を検出できる。
【0040】
(2)第1実施形態では、制御装置2は、燃料ガス濃度が高いほど電圧印加時間Sを短く調整する。
発明者らの実験によれば、電圧の印加開始から燃料ガス濃度を検出できなくなるまでの時間は、燃料ガス濃度が高いほど短い。そこで、制御装置2は、燃料ガス濃度が高いほど電圧印加時間Sを短く調整することで、高濃度の燃料ガス濃度を検出できる。制御装置2は、燃料ガスの濃度検出の実行中に、直流電圧を継続して印加したときの限界電流の変動を観察することで、燃料ガス濃度を正確に検出可能な電圧印加時間Sを見つけて設定することが可能である。
【0041】
(3)第1実施形態では、制御装置2は、大気圧が低いほど休止時間Pを長く調整する。
これによれば、例えば高地など大気圧が低い環境では、大気中の酸素濃度が低くなる。そのため、制御装置2は、大気圧が低いほど休止時間Pを長く調整することで、その休止時間P中に燃料ガス濃度を検出可能な酸素量を大気室10に導入でき、高濃度の燃料ガス濃度を検出できる。
【0042】
(4)第1実施形態では、制御装置2は、大気の相対湿度が高いほど休止時間Pを長く調整する。
これによれば、大気の相対湿度が高いほど大気中の酸素分圧が低くなる。そのため、制御装置2は、大気の相対湿度が高いほど休止時間Pを長く調整することで、その休止時間P中に燃料ガス濃度を検出可能な酸素量を大気室10に導入でき、高濃度の燃料ガス濃度を検出できる。
【0043】
(5)第1実施形態では、燃料ガス濃度検出システムが濃度を検出可能な燃料ガスとして、炭化水素、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、バイオ燃料が例示される。なお、バイオ燃料として、エタノール(C2H6O)、メタノール(CH3OH)、バイオ水素(H2)、メタン(CH4)などが例示される。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して燃料ガス濃度検出システムの構成の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図11に示すように、第2実施形態の燃料ガス濃度検出システムが備えるガスセンサ1は、燃料通路3の外壁に設けられたセンサ取付部14に取り付けられている。センサ取付部14は、燃料通路3から燃料が流入する燃料流入室15を形成している。燃料通路3と燃料流入室15との間には、前段拡散層16が設けられている。前段拡散層16は、燃料通路3から燃料流入室15に導入される燃料ガス濃度を律速するものである。
【0046】
なお、第2実施形態のガスセンサ1が備える検出素子5も、第1実施形態で
図3を参照して説明したように、燃料室9に導入される燃料ガス濃度を律速する拡散層8を備えている。そのため、第2実施形態では、燃料通路3を流れる燃料ガスは、前段拡散層16により燃料ガス濃度が律速されて燃料流入室15に導入され、さらに、拡散層8によって燃料ガス濃度が律速されて検出素子5の燃料室9に導入される。したがって、燃料通路3を流れる燃料ガスが高濃度であっても、検出素子5の燃料室9に導入される燃料ガス濃度が十分に律速されるので、燃料ガス濃度の検出時に大気室10の酸素欠が抑制され、高濃度の燃料ガスに対する濃度検出を実現できる。
【0047】
ここで、第2実施形態の燃料ガス濃度検出システムと比較するため、第2比較例の燃料ガス濃度検出システムについて説明する。第2比較例の燃料ガス濃度検出システムは、前段拡散層16を備えておらず、ガスセンサ1が備える検出素子5に設けられた拡散層8のみを備える構成である。
【0048】
図12は、第2実施形態と第2比較例それぞれが実行する燃料ガスの濃度検出において、燃料ガス濃度と限界電流との関係を示す。
図12の横軸は燃料通路3を流れる燃料ガスの濃度を示し、縦軸は限界電流を示す。なお、縦軸の限界電流は、0から下へ行くほど絶対値として大きい電流値となっている。
【0049】
丸のドットとそれらを結ぶ実線Fは、第2実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおける燃料ガスの濃度検出の結果を示している。四角のドットとそれらを結ぶ一点鎖線Gは、第2比較例の燃料ガス濃度検出システムにおける燃料ガスの濃度検出の結果を示している。
【0050】
実線Fで示した第2実施形態は、一点鎖線Gで示した第2比較例と比べて、燃料通路3を流れる所定の燃料ガス濃度(例えば、
図12のM4)において、限界電流が絶対値として小さい値となっている。そのため、第2実施形態は、第2比較例と比べて、燃料通路3を流れる燃料ガスが高濃度になっても、センサ素子の大気室10が酸素欠になることを抑制できると言える。したがって、第2実施形態は、第2比較例と比較して、高濃度の燃料ガスの濃度検出を行うことが可能である。
【0051】
以上説明した第2実施形態の燃料ガス濃度検出システムは、ガスセンサ1が備える検出素子5の拡散層8と燃料通路3との間に設けられる前段拡散層16を備えている。
これによれば、燃料通路3から前段拡散層16と拡散層8を経由して燃料室9に導入される燃料ガス濃度をより律速することが可能となる。したがって、制御装置2は、燃料通路3を流れる燃料ガス濃度がより高濃度である場合でも、燃料通路3から燃料室9に導入される燃料ガスの導入量を絞り込むことで、大気室10が酸素欠になることを防ぎ、その燃料ガスの濃度検出を実現できる。
【0052】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1、第2実施形態に対してガスセンサ1を固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)システム20に適用したものであり、その他については第1、第2実施形態と同様であるため、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
まず、
図13を参照しつつ、固体酸化物型燃料電池システム20の構成について説明する。この燃料電池システム20は、燃料電池セルスタック21(以下、セルスタック21という)を中心に構成されている。セルスタック21は、図示しない複数の燃料電池セルの集合体である。燃料電池セルは、例えば、固体酸化物セラミックスから構成された電解質体を有しており、その電解質体を挟んで一方側の面に燃料極(アノード)が形成され、他方の面に空気極(カソード)が形成された構成である。セルスタック21を構成する燃料電池セルの燃料極には、都市ガスなどの原燃料ガスを水蒸気改質して生成した燃料ガスが供給され、燃料電池セルの空気極には、酸化剤ガスとしての空気が供給される。燃料電池セルは、その燃料極に供給される燃料ガスと、空気極に供給される酸化剤ガスとしての空気(詳細には、空気中の酸素)との電気化学反応により発電する。
【0054】
都市ガスなどの原燃料ガスは、炭化水素(例えば、メタン)を含むガスである。原燃料ガスは、燃料用ブロア22の駆動により燃料ガス供給路23を流れ、エジェクタ24を介して改質器25に導入される。燃料ガス供給路23のうち燃料用ブロア22とエジェクタ24との間に蒸発器26から延びる水蒸気経路27が接続されている。蒸発器26には、ポンプ28の駆動により水が供給される。蒸発器26に供給された水は、燃焼器29から排出される燃焼ガスの熱により加熱され、水蒸気となって燃料ガス供給路23を流れる原燃料ガスと混合される。
【0055】
エジェクタ24は、入口30、吸引口31および吐出口32を有している。エジェクタ24の入口30には、原燃料ガスと水蒸気との混合ガスが供給される。エジェクタ24の吸引口31には、リサイクル通路33が接続されている。リサイクル通路33には、セルスタック21で消費されなかった燃料ガスを含むオフ燃料の一部が流れる。エジェクタ24の吐出口32側の燃料ガス供給路231には改質器25が接続されている。エジェクタ24は、入口30に供給される原燃料ガスと水蒸気との混合ガスを駆動流として、リサイクル通路33を流れるオフ燃料を吸引口31から吸引し、それらを混合したガスを吐出口32から改質器25へ吐出する。
【0056】
改質器25は、原燃料ガスとオフ燃料と水蒸気との混合ガスおよび触媒が、燃焼器29から排出される燃焼ガスの熱により、水蒸気改質反応が可能な温度に加熱される。そして、原燃料ガスと水蒸気は、改質器25の有する触媒の存在のもとで反応し、水素と一酸化炭素を含む燃料ガスに改質される。その燃料ガスは、セルスタック21を構成する燃料電池セルの燃料極に供給される。
【0057】
セルスタック21に供給される酸化剤ガスとして用いられる空気は、空気用ブロア34の駆動により外気から取り込まれる。その空気は、空気供給路35の途中に設けられた空気予熱器36を流れる際、燃焼器29から排出される燃焼ガスの熱により加熱される。空気予熱器36で加熱された空気は、セルスタック21を構成する燃料電池セルの空気極に供給される。
【0058】
上述したように、セルスタック21は、燃料極に供給される燃料ガスと、空気極に供給される酸化剤ガスとしての空気(詳細には、空気中の酸素)との電気化学反応により発電する。
【0059】
セルスタック21で消費されなかった酸化剤ガスを含むオフ空気は、オフ空気通路37を経由して燃焼器29に供給される。また、セルスタック21で消費されなかった燃料ガスを含むオフ燃料は、オフ燃料通路38を経由し、その一部が燃焼器29に供給される。
【0060】
オフ燃料通路38の途中の部位とエジェクタ24の吸引口31とは、上述したリサイクル通路33により接続されている。そのため、オフ燃料通路38を流れるオフ燃料の他の一部は、リサイクル通路33を経由してエジェクタ24に吸い込まれる。
【0061】
燃焼器29は、セルスタック21から供給されるオフ燃料とオフ空気とを高温場で自着火により燃焼させる。燃焼器29で燃焼して生成された燃焼ガスは、燃焼器29から燃焼ガス通路39に排出される。燃焼器29および燃焼ガス通路39は、改質器25、空気予熱器36および蒸発器26に対して燃焼ガスの熱を供給可能に設けられている。そのため、改質器25の有する触媒およびその触媒を流れる源燃料ガスや水蒸気、空気予熱器36を流れる空気、並びに、蒸発器26に供給される水は、燃焼器29および燃焼ガス通路39を流れる燃焼ガスの熱により加熱される。
【0062】
暖機用燃焼器40には、都市ガスと空気が供給される。暖機用燃焼器40は、燃料電池システム20の起動時に、都市ガスと空気との混合ガスに着火して燃焼させ、その燃焼ガスの熱によりセルスタック21を加熱する。なお、暖機用燃焼器40は、燃料電池システム20の起動時に続く発電時には動作を停止する。
【0063】
第3実施形態の燃料ガス濃度検出システムが備えるガスセンサ1は、固体酸化物型燃料電池システム20のセルスタック21に対して燃料ガスを供給する燃料ガス供給路23、231、または、セルスタック21から排出された燃料ガスが流れる燃料ガス排出路の少なくとも一方に設けられる。なお、燃料ガス排出路は、上述したオフ燃料通路38およびリサイクル通路33を含んでいる。
【0064】
以上説明した第3実施形態において、燃料ガス供給路23、231または燃料ガス排出路を流れる燃料ガスは高濃度である。それに対し、第3実施形態の燃料ガス濃度検出システムは、上記第1および第2実施形態と同様の構成を備えており、その燃料ガス供給路23、231または燃料ガス排出路を流れる高濃度の燃料ガス濃度を正しく検出することが可能である。したがって、固体酸化物型燃料電池システム20の発電効率を高めることができる。
【0065】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する前に、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムによる燃料ガスの濃度検出について、
図14~
図17を参照して説明する。
図14に示すように、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムは、第1実施形態と同じ構成の検出素子5を備えている。
【0066】
図15のグラフに示すように、第1比較例の燃料ガス濃度検出システムは、検出素子5の電極(即ち、検出電極12と基準電極13)に対して直流電圧を継続して印加するものである。この場合、
図16に示すように、酸素透過量は、時刻t10以降、酸欠領域に入っている。そのため、
図17に示すように、検出電流は、時刻t10以降、検出不可領域に入っている。したがって、
図14の破線の楕円に示したように、第1比較例では、大気室10の酸素が不足するといった問題がある。
【0067】
第1比較例に対し、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムによる燃料ガスの濃度検出について、
図18~
図21を参照して説明する。
図18に示すように、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムは、第1実施形態と同一の構成である。
【0068】
図19のグラフに示すように、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムは、検出素子5の電極(即ち、検出電極12と基準電極13)に対して直流電圧をパルス印加するものである。即ち、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムも、第1実施形態と同じく、電圧印加時間Sと休止時間Pとを交互に繰り返しつつ、燃料ガス濃度を間欠的に検出する制御を実行する。具体的には、時刻t11~t12、および、時刻t13~t14を電圧印加時間Sとして、検出素子5の電極に対し燃料ガス濃度を検出可能な直流電圧を印加する。一方、時刻t12~t13は休止時間Pとして、直流電圧の印可を停止する。或いは、それに限らず、休止時間Pでは、電圧印加時間Sに印可する直流電圧よりも低い微電圧を印可してもよい。休止時間Pに微電圧を印可する場合、その微電圧は、大気ダクトを経由して大気室10に単位時間あたりに導入される大気に含まれる酸素量よりも、微電圧の印可による大気室10の単位時間あたりの酸素消費量が少ないものとなる電圧に設定される。
【0069】
第4実施形態では直流電圧をパルス印加するため、
図20に示すように、酸素透過量は、時刻t11~t12、および、時刻t13~t14の電圧印加時間Sにおいて、酸欠領域に入ることがなく、酸素の十分な領域にある。そのため、
図21に示すように、検出電流は、検出不可領域に入ることなく、時刻t11~t12、および、時刻t13~t14において、燃料ガスの濃度検出が可能である。したがって、
図18に示したように、第4実施形態は、第1比較例と比較して、大気室10の酸素不足を解消することができる。
【0070】
ここで、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムにおいて、発明者らが行った実験結果について
図22~
図25を参照して説明する。
図22および
図23は、種々の燃料ガス濃度において、検出素子5の電極に直流電圧を継続して印加したときの検出電流の変化を示すグラフである。
図23は、
図22のXXIII部分の時間軸を拡大して示したものである。
図24および
図25は、
図23の任意の線(例えば線L)のみを示したグラフである。
【0071】
この実験方法および実験条件は、次のとおりである。
<実験方法>
・センサ評価ベンチに既定濃度の水素ガスを流し、ガスクロマトグラフでガス濃度を計測
・所定の温度となるようにセンサのヒータに通電し昇温
・ポテンショスタットを使用しセンサに電圧印加することで電流値を計測
<実験条件>
・水素ガス濃度:0 ― 40vol%
・希釈ガス:N2(60~100vol%)
・流量:2NL/min
・座温ガス温:室温
・電圧パルス印加
上記結果として、電流-時間(電圧)特性を取得した。
【0072】
図22~
図25において、横軸は時間を示し、縦軸は検出電流を示す。なお、縦軸の検出電流は、0から下へ行くほど絶対値として大きい電流値となっている。
図22および
図23において、線Kが最も燃料ガス濃度が高く、K→L→M→Nの順に燃料ガス濃度が低くなっている。
【0073】
線K、L、Mはいずれも、第1フラット領域と第2フラット領域が現れている。
【0074】
第1フラット領域とは、検出電流において下記の(式1)を満たす領域のうち、検出素子5の電極に直流電圧を印可した際に最初に現れる領域である。
ΔI=a×Δt ・・・(式1)
【0075】
式1において、aは、所定の定数である。Δtは、単位時間である。ΔIは、検出電流の単位時間Δtあたりの変化量である。
【0076】
したがって、第1フラット領域とは、検出電流の単位時間Δtあたり変化量ΔIが、単位時間Δtに所定の定数aを乗算した値よりも低い領域のうち、検出素子5の電極に直流電圧を印可した際に最初に現れる領域である。
【0077】
第2フラット領域とは、第1フラット領域を経過した後も検出素子5の電極に直流電圧を継続して印加した場合に検出される、上記の(式1)を満たす領域である。
【0078】
したがって、第2フラット領域とは、第1フラット領域を経過した後も検出素子5の電極に直流電圧を継続して印加した場合に検出される検出電流において単位時間Δtあたりの変化量ΔIが、単位時間Δtに所定の定数aを乗算した値よりも低い領域である。
【0079】
燃料ガス濃度検出システムの制御装置2は、第1フラット領域において検出した限界電流と限界電流特性に基づいて燃料ガス濃度を検出する。なお、限界電流特性とは、第2実施形態の説明で参照した
図12で例示したように、燃料ガス濃度と限界電流との関係を予め実験等により規定し、制御装置2のメモリーに記憶させたものである。より好ましくは、制御装置2は、第1フラット領域の中央で検出した限界電流と限界電流特性に基づいて燃料ガス濃度を検出する。なお、第1フラット領域の中央で検出した限界電流とは、第1フラット領域の開始時刻と終了時刻とのほぼ中央の時刻に検出した限界電流である。これにより、燃料ガス濃度をより正確に検出できる。
図23および
図24では、線K、L、Mにおいて、第1フラット領域の中央より前の部分を実線で示し、第1フラット領域の中央より後の部分を破線で示している。
【0080】
図25に示すように、休止時間Pは、第1フラット領域の終了時刻から第2フラット領域の開始時刻までの時間以上に設定される。これにより、大気室10内に十分な酸素を導入できる。なお、燃料ガス濃度検出制御の実行時において、その制御開始から1回目のパルス印可では、第2フラット領域の開始時刻が検出されるまで電圧を継続して印可する。そのため、1回目の電圧印加時間に休止時間Pが取得できる。その後、2回目以降のパルス印加では、電圧印加時間Sは、電圧印可開始時刻から第1フラット領域の中央までの時刻とする。但し、燃料ガス濃度の検出制御を長時間継続して実行する場合、所定のタイミングで、休止時間Pを再度取得してもよい。
【0081】
次に、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムの備える制御装置2が実行する燃料ガス濃度検出制御について、
図26のフローチャートと、
図27、
図28のグラフを参照して説明する。なお、以下の説明およびフローチャートでは、ステップを単に「S」と表記する。
【0082】
まず、
図26のS10で制御装置2は、所定の第1印加電圧V
Oを検出素子5の電極に印可し、S20で燃料ガス濃度に応じた限界電流I
Oを取得する。続いて、S30で制御装置2は、S20で取得した限界電流I
Oを下記の(式2)に代入し、第2電圧V
Sを取得する。
V
S=V
O+R×I
O ・・・(式2)
なお、式2において、Rは、検出素子5の電極を含む検出回路に組み込まれる抵抗値である。
次に、S40で制御装置2は、第2電圧V
Sを検出素子5の電極に印可し、再度、限界電流I
Sを取得する。S40で取得される限界電流I
Sは、第1フラット領域の中央の限界電流である。
【0083】
上記S10~S40の処理を、
図27のグラフを参照して詳細に説明する。
S10で、一定の第1印加電圧V
Oを検出素子5の電極に印可すると、VI特性により、燃料ガスの濃度に応じた限界電流I
Oが取得される。VI特性とは、検出対象となる燃料ガス濃度における印加電圧と検出電流との関係を示す特性である。
【0084】
その限界電流IOを、第1印加電圧VOに対応する印加電圧特性を表した上記(式2)に代入すると、検出対象の燃料ガス濃度において第1フラット領域の中央の限界電流を検出可能な第2電圧VSが取得できる。なお、印加電圧特性とは、種々の濃度の燃料ガスに対する第1フラット領域の中央の限界電流ISを測定可能な印加電圧VSと、第1印加電圧VOを印可した際に取得される限界電流IOとの関係が実験等により予め設定され、制御装置2のメモリーに記憶されたものである。
【0085】
そして、制御装置2は、その取得した第2電圧VSを検出素子5の電極に再度印可することで、検出対象の燃料ガス濃度において第1フラット領域の中央の限界電流ISを取得できる。
【0086】
再び
図26のフローチャートに戻り、S50で制御装置2は、電圧印加時間Sが所定の休止時間P以下であり、且つ、第1フラット領域を定義した上記の(式1)を満たしているか否かを判定する。S50にて肯定判定の場合、即ち、電圧印加時間Sが所定の休止時間P以下であり、且つ、第1フラット領域を定義した(式1)を満たしている場合、制御装置2は燃料ガスの濃度検出が可能であると判定し、処理をS60に進める。
【0087】
S60で制御装置2は、S40で取得した限界電流ISを、メモリーに予め記憶された限界電流特性を参照して燃料ガス濃度に換算し、燃料ガス濃度を検出する。
【0088】
それに対し、上記S50にて否定判定の場合、即ち、電圧印加時間Sが所定の休止時間Pより短い、または、第1フラット領域を定義した(式1)を満たしていない場合、制御装置2は燃料ガスの濃度検出が不可であると判定し、処理をS70に進める。
【0089】
S70で制御装置2は、燃料ガスの濃度検出が不可と判定された回数、即ち、不可判定回数nをカウントし、処理をS80に進める。S80で不可判定回数nが所定の回数Xより小さいか否かを判定する。S80で不可判定回数nが所定の回数X以上の場合、制御装置2は処理をS90に進める。S90で制御装置2は、燃料ガスの濃度検出が不可であることを示す信号を出力する。
【0090】
それに対し、S80で不可判定回数nが所定の回数Xより小さい場合、制御装置2は処理をS100に進める。S100で制御装置2は、高濃度の燃料ガスの濃度検出に対応するため、印加電圧特性を低電圧側へ補正する。
【0091】
S100の処理を、
図28のグラフを参照して説明する。
図28において、破線Q
Oは、S10で用いた第1印加電圧V
Oに対応した印加電圧特性を示す線である。一点鎖線Q
_1は、S100の処理による補正第1印加電圧V
O_1に対応した補正印加電圧特性Q
_1を示す線である。補正第1印加電圧V
O_1は、第1印加電圧V
O対より低く、補正印加電圧特性Q
_1は、印加電圧特性Q
Oより低い。なお、線Hは、検出対象となる高濃度の燃料ガス濃度におけるVI特性である。線Jは、低濃度の燃料ガス濃度におけるVI特性である。
【0092】
S100の処理では、S10で用いた第1印加電圧VOを、補正第1印加電圧VO_1に補正し、その補正第1印加電圧VO_1を検出素子5の電極に印加する。その後、S100続くS20以降の処理は、上述した処理と実質的に同一である。即ち、補正第1印加電圧VO_1を検出素子5の電極に印加して取得した限界電流IOを、補正第1印加電圧VO_1に対応した補正印加電圧特性Q_1を示す式に代入し、第2電圧VSを取得する。その第2電圧VSを検出素子5の電極に再度印可することで、高濃度の燃料ガスにおいても第1フラット領域の中央の限界電流ISを取得できる。そして、その限界電流ISを、限界電流特性を参照して燃料ガス濃度に換算する。これにより、制御装置2は、燃料ガス濃度を検出することが可能である。
【0093】
以上説明した第4実施形態と第1比較例の燃料ガス濃度検出システムに関し、燃料ガスの濃度検出の実験結果を
図29に示す。
【0094】
この実験は、燃料ガスの一例として水素の濃度検出を行ったものである。
図29の横軸は、実際の水素濃度、即ち、実水素濃度を示す。縦軸は、燃料ガス濃度検出システムにより検出された水素濃度、即ち、センサ出力による水素濃度を示す。線αは、第4実施形態による水素濃度検出の実験結果を示す。線βは、第1比較例による水素濃度検出の実験結果を示す。破線γは、狙いとする検出結果を示す。
【0095】
線βに示したように、第1比較例の電圧連続印加による水素濃度検出では、実水素濃度が所定値εより高くなると、大気室10の酸素が不足するため、センサ出力による水素濃度が狙いとする検出結果から大きく外れている。
【0096】
それに対し、線αに示したように、第4実施形態の電圧パルス印加による水素濃度検出では、実水素濃度が所定値εより非常に高くなっても、センサ出力による水素濃度が狙いとする検出結果γに対し、誤差が非常に小さい検出値となっている。したがって、第4実施形態の燃料ガス濃度検出システムは、第1比較例に対し、高濃度の水素濃度検出を高精度に実行できると言える。
【0097】
さらに、第4実施形態は次の作用効果を奏する。
(1)第4実施形態では、検出素子5の電極に直流電圧を印可した際に検出される検出電流において、上記(式1)を満たす領域のうち、直流電圧を印可した際に最初に現れる領域を第1フラット領域と規定する。制御装置2は、第1フラット領域において検出した限界電流を、メモリーに記憶されている限界電流特性を参照して燃料ガス濃度に換算し、燃料ガス濃度を検出する。
これによれば、高濃度の燃料ガスの濃度検出を高精度に実行できる。
【0098】
(2)第4実施形態では、第1フラット領域を経過した後も検出素子5の電極に直流電圧を継続して印加した場合に検出される上記(式1)を満たす領域を、第2フラット領域と規定する。制御装置2は、休止時間Pを、第1フラット領域の終了時刻から第2フラット領域の開始時刻までの時間以上に設定する。
これによれば、休止時間Pに大気室10に十分な酸素を供給できるので、高濃度の燃料ガスの濃度検出を精度よく実行できる。
【0099】
(3)第4実施形態では、休止時間Pは、燃料ガス濃度の検出制御開始から1回目の電圧印加時間Sに取得可能である。
これによれば、2回目の電圧印加から高濃度の燃料ガスの濃度検出が可能となる。
【0100】
(4)第4実施形態では、制御装置2は、電圧印加時間Sに、検出素子5の電極に対し燃料ガス濃度を検出可能な直流電圧を印加する。一方、休止時間Pには、直流電圧の印加を停止するか、或いは、電圧印加時間Sに印可する直流電圧よりも低い微電圧を印加してもよい。なお、休止時間Pに微電圧を印可する場合、その微電圧は、大気室10に単位時間あたりに導入される大気に含まれる酸素量よりも、微電圧の印可による大気室10の単位時間あたりの酸素消費量が少ないものとなる電圧に設定される。
これによれば、制御装置2は、休止時間Pに微電圧を印可してもよい。
【0101】
(他の実施形態)
燃料ガス濃度検出システムが備えるガスセンサ1は、例えば、固体酸化物形水電解装置(SOEC:Solid Oxide Electrolysis Cell)で生成された水素ガスが流れる流路に設けることも可能である。その流路を流れる水素ガスは高濃度であり、本開示の燃料ガス濃度検出システムおよび制御装置2は、そのような高濃度の水素ガス濃度も検出できる。
【0102】
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態およびその一部は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0103】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1・・・ガスセンサ、2・・・ガスセンサ制御装置(制御装置)、8・・・拡散層、9・・・燃料室、10・・・大気室、11・・・固体電解質、12・・・検出電極、13・・・基準電極、S・・・電圧印加時間、P・・・休止時間