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特開2024-155731積層型電子部品及び積層型電子部品の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155731
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】積層型電子部品及び積層型電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201N
H01G4/30 201M
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018591
(22)【出願日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052714
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン ウン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン タエ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】サイドマージン部を付着した積層型電子部品において、サイドマージン部の損傷による耐湿信頼性の低下は抑制することができ、サイドマージン部の付着面にサイドマージン部用シートを付着及び打ち抜いてサイドマージン部を形成する場合、サイドマージン部の損傷を防止することができる製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態では、上記活性-カバー境界から上記サイドマージン部の上記第1方向の端部のうち上記活性-カバー境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第1方向の端部までの上記第1方向の平均距離をA1、上記第1本体-サイドマージン境界から上記サイドマージン部の上記第3方向の端部のうち上記第1本体-サイドマージン境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第3方向の端部までの上記第3方向の平均距離をA2と定義し、A1/A2の値を調節した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に交互に配置される誘電体層と内部電極を含み、前記誘電体層と前記内部電極が前記第1方向に重なる領域である活性部、及び前記活性部の前記第1方向の一面及び他面上に配置されるカバー部を含む本体と、
前記本体の前記第1方向に垂直な第2方向の一面及び他面上に配置される外部電極と、
前記本体の前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向の一面及び他面上に配置されるサイドマージン部と、を含み、
前記第1方向及び前記第3方向の断面において、前記活性部と前記カバー部の境界を活性-カバー境界、前記本体と前記サイドマージン部の境界を第1本体-サイドマージン境界とし、前記活性-カバー境界から前記サイドマージン部の前記第1方向の端部のうち前記活性-カバー境界に最も近い前記サイドマージン部の前記第1方向の端部までの前記第1方向の平均距離をA1、前記第1本体-サイドマージン境界から前記サイドマージン部の前記第3方向の端部のうち、前記第1本体-サイドマージン境界に最も近い前記サイドマージン部の前記第3方向の端部までの前記第3方向の平均距離をA2とするとき、
A1/A2は1.5超過2.5未満を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記積層型電子部品の前記第2方向及び前記第3方向の断面において、前記本体と前記サイドマージン部の境界を第2本体-サイドマージン境界とし、前記活性部の前記第2方向の端部で前記本体の第2方向面のうち前記活性部の前記第2方向の端部と最も近い面までの前記第2方向の平均距離をB1、前記第2本体-サイドマージン境界から前記サイドマージン部の前記第3方向の端部のうち前記第2本体-サイドマージン境界に最も近い前記サイドマージン部の前記第3方向の端部までの前記第1方向の平均距離をB2とするとき、
B1/B2は0.35超過0.55未満を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の端部は、ラウンド状である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記本体のコーナーはラウンド状である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記サイドマージン部は、前記本体の第1方向の一面及び他面を超えないように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記サイドマージン部は、前記本体の第3方向の一面及び他面を超えないように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記外部電極は、前記サイドマージン部の端部を覆うように配置され、
前記サイドマージン部の端部上に配置された前記外部電極の領域はラウンド状である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
第1方向に交互に配置される誘電体層と内部電極を含み、前記誘電体層と前記内部電極が前記第1方向に重なる領域である活性部、及び前記活性部の前記第1方向の一面及び他面上に配置されるカバー部を含む本体と、
前記本体の前記第1方向に垂直な第2方向の一面及び他面上に配置される外部電極と、
前記本体の前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向の一面及び他面上に配置されるサイドマージン部と、を含み、
前記第1方向及び前記第3方向の断面において、前記活性部と前記カバー部の境界を活性-カバー境界、前記本体と前記サイドマージン部の境界を第1本体-サイドマージン境界とし、前記活性-カバー境界から前記サイドマージン部の前記第1方向の端部のうち前記活性-カバー境界に最も近い前記サイドマージン部の前記第1方向の端部までの前記第1方向の平均距離をA1、前記第1本体-サイドマージン境界から前記サイドマージン部の前記第3方向の端部のうち前記第1本体-サイドマージン境界に最も近い前記サイドマージン部の前記第3方向の端部までの前記第3方向の平均距離をA2とするとき、
A1/A2は1.5超過2.5未満を満たす、積層型電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記積層型電子部品の前記第2方向及び前記第3方向の断面において、前記本体と前記サイドマージン部の境界を第2本体-サイドマージン境界とし、前記活性部の前記第2方向の端部で前記本体の第2方向面のうち前記活性部の前記第2方向の端部に最も近い面までの前記第2方向の平均距離をB1、前記第2本体-サイドマージン境界から前記サイドマージン部の前記第3方向の端部のうち前記第2本体-サイドマージン境界に最も近い前記サイドマージン部の前記第3方向の端部までの前記第3方向の平均距離をB2とするとき、
B1/B2は0.35超過0.55未満を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記サイドマージン部は、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを前記本体の焼成前の状態である単位チップの第3方向の一面及び他面に加圧及び打ち抜いて形成される、請求項8に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記加圧及び打ち抜きは、キャリアフィルムが付着された状態で行われる、請求項10に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記キャリアフィルムは、PET(Polyethylene terephthalate)、PU(Polyurethane)、PE(Polyethylene)、PO(Polyolefine)、PS(Poly Stylene)、PVC(Poly Vinyl Chloride)及びPVDC(Poly Vinydene Chloride)のうち1つ以上を含む、請求項11に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記キャリアフィルムの厚さは1mm以上50mm以下である、請求項11に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の端部は、ラウンド状である、請求項8から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記本体のコーナーはラウンド状である、請求項8から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品及び積層型電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
従来、積層セラミックキャパシタを小型化しながら容量を増加させるための方法であり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることでマージンのない設計を介して内部電極の幅方向の面積を極大化するが、このような単位チップ製作後の焼成前段階で単位チップの幅方向の内部電極の露出面にサイドマージン部を別途付着する工程が適用されている。
【0004】
従来のサイドマージン部の付着及び打ち抜き方法は、成形フィルムから剥離されたサイドマージン部用シートを単位チップの側面に付着及び加圧する方法に従う。このような加圧及び打ち抜き過程では、熱によるシートの延伸と有機溶媒の揮発による物性変化を引き起こすおそれがあり、シートの剥離、工程所要時間の増加及び破断面の不均一性を引き起こすことがある。
【0005】
このような、シートの剥離、破断面の不均一性は、積層型電子部品に水分浸透経路を形成させるため、耐湿信頼性を悪化させる主な原因となり得る。
【0006】
したがって、サイドマージン部の付着及び打ち抜き過程でサイドマージン部の損傷を最小化することができる積層型電子部品及び積層型電子部品の製造方法に関する研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部を付着した積層型電子部品において、サイドマージン部の損傷による耐湿信頼性の低下は抑制することができる積層型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部の付着面にサイドマージン部用シートを付着及び打ち抜いてサイドマージン部を形成する場合、サイドマージン部の損傷を防止することができる製造方法を提供することである。
【0009】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に交互に配置される誘電体層と内部電極を含み、上記誘電体層と上記内部電極が上記第1方向に重なる領域である活性部、及び上記活性部の上記第1方向の一面及び他面上に配置されるカバー部を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向の一面及び他面上に配置される外部電極と、上記本体の上記第1方向及び上記第2方向に垂直な第3方向の一面及び他面上に配置されるサイドマージン部と、を含み、上記第1方向及び上記第3方向の断面において、上記活性部と上記カバー部の境界を活性-カバー境界、上記本体と上記サイドマージン部の境界を第1本体-サイドマージン境界とし、上記活性-カバー境界から上記サイドマージン部の上記第1方向の端部のうち上記活性-カバー境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第1方向の端部までの上記第1方向の平均距離をA1、上記第1本体-サイドマージン境界から上記サイドマージン部の上記第3方向の端部のうち上記第1本体-サイドマージン境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第3方向の端部までの上記第3方向の平均距離をA2とするとき、A1/A2は1.5超過2.5未満を満たす。
【0011】
一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、1方向に交互に配置される誘電体層と内部電極を含み、上記誘電体層と上記内部電極が上記第1方向に重なる領域である活性部、及び上記活性部の上記第1方向の一面及び他面上に配置されるカバー部を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向の一面及び他面上に配置される外部電極と、上記本体の上記第1方向及び上記第2方向に垂直な第3方向の一面及び他面上に配置されるサイドマージン部と、を含み、上記第1方向及び上記第3方向の断面において、上記活性部と上記カバー部の境界を活性-カバー境界、上記本体と上記サイドマージン部の境界を第1本体-サイドマージン境界とし、上記活性-カバー境界から上記サイドマージン部の上記第1方向の端部のうち上記活性-カバー境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第1方向の端部までの上記第1方向の平均距離をA1、上記第1本体-サイドマージン境界から上記サイドマージン部の上記第3方向の端部のうち上記第1本体-サイドマージン境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第3方向の端部までの上記第3方向の平均距離をA2とするとき、A1/A2は1.5超過2.5未満を満たす。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部を付着した積層型電子部品において、サイドマージン部の損傷による耐湿信頼性の低下は抑制することができる積層型電子部品を提供することである。
【0013】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部の付着面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを付着及び打ち抜いてサイドマージン部を形成する場合、サイドマージン部の損傷を防止することができる製造方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を大略的に示した斜視図である。
図2】一実施形態による本体を大略的に示した斜視図である。
図3図1のI-I'線に沿った断面図である。
図4図1のII-II'線に沿った断面図である。
図5図1のIII-III'線に沿った断面図である。
図6a】一実施形態による積層型電子部品の製造方法における積層段階を示した斜視図である。
図6b】一実施形態による積層型電子部品の製造方法における積層段階直後の様子を示した斜視図である。
図6c】一実施形態による積層型電子部品の製造方法における切断段階を示した斜視図である。
図7a】一実施形態による積層型電子部品の製造方法における拡張段階を示した斜視図である。
図7b】一実施形態による積層型電子部品の製造方法における開放段階を示した斜視図である。
図8a】一実施形態による積層型電子部品の製造方法におけるサイドマージン部を形成する直前の状態を示した平面図である。
図8b】一実施形態による積層型電子部品の製造方法におけるサイドマージン部用セラミックグリーンシートを加圧及び打ち抜いた直後の状態を示した平面図である。
図9】一実施形態による積層型電子部品の製造方法におけるサイドマージン部用セラミックグリーンシートが加圧及び打ち抜かれる過程において、積層体の角の形態を示した平面図である。
図10a】比較例による積層型電子部品の複合信頼性評価を行った結果を示したグラフである。
図10b】実施例による積層型電子部品の複合信頼性評価を行った結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0016】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、第1方向は複数のグリーンシートの積層されている方向または厚さ(T)方向、上記第1方向と垂直な方向である第2方向及び第3方向のうち、上記第2方向は長さ(L)方向、上記第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0018】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を大略的に示した斜視図であり、図2は、一実施形態による本体を大略的に示した斜視図であり、図3は、図1のI-I'線に沿った断面図であり、図4は、図1のII-II'線に沿った断面図であり、図5は、図1のIII-III'線に沿った断面図である。
【0019】
以下では、図1図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100及びこの様々な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に交互に配置される誘電体層111と内部電極121、122を含み、上記誘電体層と上記内部電極が上記第1方向に重なる領域である活性部Ac、及び上記活性部の上記第1方向の一面及び他面上に配置されるカバー部112、113を含む本体110と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向の一面及び他面上に配置される外部電極131、132と、上記本体の上記第1方向及び上記第2方向に垂直な第3方向の一面及び他面上に配置されるサイドマージン部114、115と、を含み、上記第1方向及び上記第3方向の断面において、上記活性部と上記カバー部の境界を活性-カバー境界、上記本体と上記サイドマージン部の境界を第1本体-サイドマージン境界とし、上記活性-カバー境界から上記サイドマージン部の上記第1方向の端部のうち上記活性-カバー境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第1方向の端部までの上記第1方向の平均距離をA1、上記第1本体-サイドマージン境界から上記サイドマージン部の上記第3方向の端部のうち上記第1本体-サイドマージン境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第3方向の端部までの上記第3方向の平均距離をA2とするとき、A1/A2は1.5超過2.5未満を満たす。
【0021】
本体110は、第1方向に交互に配置される誘電体層111と内部電極121、122を含み、上記誘電体層と上記内部電極が上記第1方向に重なる領域である活性部Ac及び上記活性部の上記第1方向の一面及び他面上に配置されるカバー部112、113を含む。
【0022】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図2に示されたように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0023】
本体110は、第1方向に向かい合う一面及び他面1、2、第2方向の一面及び他面3、4、及び第3方向の一面及び他面5、6を含むことができる。このとき、第1方向は、複数の誘電体層111及び複数の内部電極121、122が積層される方向と定義することができ、第2方向は上記第1方向と垂直であり、複数の内部電極121、122のうち第1内部電極121の端部及び第2内部電極122の端部が本体110の表面に交互に露出する方向を意味することができ、第3方向は上記第1方向及び第2方向に垂直な方向を意味することができる。
【0024】
本体110は、上記第1方向から第3方向に向かい合う一面及び他面を連結するコーナーを含むことができる。上記本体のコーナーは、焼結過程で収縮挙動によって形成されることができる。一実施形態において、本体110のコーナーはラウンド状であることができる。これにより、積層型電子部品100のチッピング不良を抑制することができる。
【0025】
上記本体110のコーナーをラウンド状に形成する方法は、特に制限されないが、後述する積層型電子部品の製造方法において、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを積層体の第3方向の一面及び他面に加圧及び打ち抜く過程で、上記加圧及び打ち抜きをキャリアフィルムが付着された状態で行うことで形成されることができる。
【0026】
誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0027】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0028】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0029】
一方、誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はない。但し、一般的に誘電体層111を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に誘電体層111の平均厚さtdが0.35μm以下の場合には、信頼性が低下するおそれがある。
【0030】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115の形状を調節することで耐湿信頼性を向上させるため、誘電体層111の平均厚さteが0.35μm以下である場合にも積層型電子部品100の優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0031】
したがって、誘電体層111の平均厚さtdが0.35μm以下の場合に本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0032】
上記誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の第1方向の平均大きさを意味することができる。一方、本体110が複数の誘電体層111を含む場合、誘電体層111の平均厚さtdは、複数の誘電体層111の少なくとも1つの平均厚さを意味することができる。
【0033】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて一つの誘電体層を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、活性部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0034】
図2図4を参照すると、本発明の活性部Acは、誘電体層111と内部電極121、122が第1方向に重なる領域を意味する。
【0035】
活性部Acは、積層型電子部品の静電容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0036】
活性部Acの第1方向の一面及び他面上にはカバー部112、113が配置される。
【0037】
カバー部112、113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を活性部Acの第1方向の一面及び他面にそれぞれ積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0038】
カバー部112、113は内部電極を含まず、誘電体層111と実質的に同じ材料を含むことができる。
【0039】
カバー部112、113の平均厚さtcは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の平均厚さtcは15μm以下であることができる。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味することができる。
【0040】
カバー部112、113の平均厚さtcは、第1方向の大きさを意味することができ、活性部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0041】
内部電極121、122は、誘電体層111と第1方向に交互に配置される。
【0042】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。図2及び図3を参照すると、第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第2方向の一面及び他面にそれぞれ連結されることができる。具体的には、第1内部電極121の一端は本体110の第2方向の一面3に連結され、第2内部電極122の一端は本体110の第2方向の他面4に連結されることができる。
【0043】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されずに、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は本体110の第2方向の他面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は本体110の第2方向の一面3で一定距離離隔して形成されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0044】
図2を参照すると、一実施形態において、内部電極121、122の第3方向の一端は本体110の第3方向の一面5に接することができ、内部電極121、122の第3方向の他端は本体110の第3方向の他面6に接することができる。これにより、活性部Acが全体部品で占める比重を向上させて、積層型電子部品100の単位体積当たりの容量を最大化することができる。
【0045】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0046】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
一方、内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。
【0048】
但し、一般的に内部電極121、122を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に内部電極121、122の平均厚さteが0.35μm以下の場合には、信頼性が低下するおそれがある。
【0049】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115の形状を調節することで耐湿信頼性を向上させるため、内部電極121、122の平均厚さteが0.35μm以下である場合にも積層型電子部品100の優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0050】
したがって、内部電極121、122の平均厚さteが0.35μm以下の場合に本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0051】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向の平均大きさを意味することができる。一方、本体110が複数の内部電極121、122を含む場合、内部電極121、122の平均厚さtdは、複数の内部電極121、122の少なくとも1つの平均厚さを意味することができる。
【0052】
内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて一つの内部電極を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、活性部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0053】
図1図3図4を参照すると、本体110の第3方向の一面及び他面5、6上にはサイドマージン部114、115が配置されることができる。
【0054】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0055】
サイドマージン部114、115を形成する方法は、特に制限されない。例えば、積層体200の側面にサイドマージン部用セラミックスラリー塗布した後に焼成するか、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを加圧密着した後に焼成して形成されることができる。サイドマージン部114、115を形成する材料は、特に限定する必要はなく、誘電体層111と同じ材料で形成されることができるが、これに制限されず、誘電体層111と異なる材料で形成された結果、異なる組成を有することができる。
【0056】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であることができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115において、サイドマージン部114、115の形状を調節することで耐湿信頼性を向上させるため、サイドマージン部114、115の平均幅が15μm以下である場合にも優れた信頼性を確保することができる。サイドマージン部114、115の平均幅は、サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができ、活性部Acの側面で等間隔の5個の地点で測定したサイドマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0058】
外部電極131、132は、本体110の第3面または第4面に配置されることができる。具体的には、第1外部電極131は本体110の第2方向の一面3上に配置されて第1内部電極121と連結され、第2外部電極132は本体110に第2方向の他面4上に配置されて第2内部電極122と連結される。
【0059】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更されることができる。
【0060】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0061】
一方、外部電極131、132は、本体110の第2方向の一面及び他面上に形成されることができるが、第1方向の一面及び他面または第3方向の一面及び他面の一部上に延びて配置されることができる。この場合、外部電極131、132はサイドマージン部114、115の端部を覆うように配置されることができる。このとき、サイドマージン部114、115の端部上に配置された外部電極131、132の領域はラウンド状であることができ、これにより本体110のコーナーまたはサイドマージン部114、115上でも外部電極131、132のカバレッジを確保することができる。
【0062】
外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0063】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0064】
また、電極層131a、132aは、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0065】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として電気導電性に優れた材料を用いることができ、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち一つ以上であることができる。
【0066】
めっき層131b、132bは、積層型電子部品100の密閉性または実装特性を向上させる役割を果たすことができる。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0067】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niを含むめっき層またはSnを含むめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiを含むめっき層及びSnを含むめっき層が順次形成された形態であることができ、Snを含むめっき層、Niを含むめっき層及びSnを含むめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0068】
従来、サイドマージン部を形成する方法の一例として、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第3方向の一面及び他面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を活性部Acの第3方向の一面及び他面に積層してサイドマージン部114、115を形成する方法が挙げられる。
【0069】
但し、このようなサイドマージン部114、115を強固に形成するためには、単に誘電体層を活性部Acの第3方向の一面及び他面に積層するだけでは不十分である可能性があり、別途の高温高圧処理が必要となる場合がある。例えば、一実施形態において、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを本体110の焼成前の状態である単位チップ210の第3方向の一面及び他面に加圧及び打ち抜き過程が行われることができる。これにより、焼成過程が進行したサイドマージン部114、115の端部が不均一に形成されるおそれがあり、積層型電子部品100の耐湿信頼性を低下させる主な原因となり得る。
【0070】
そこで、本発明では、サイドマージン部114、115の端部の形態を示すパラメータのうち、活性-カバー境界及び本体-サイドマージン境界とサイドマージン部の第1方向の端部及び第3方向の端部の間の配置関係を調節して積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させる。
【0071】
図3を参照すると、活性-カバー境界及び本体-サイドマージン境界とサイドマージン部の第1方向の端部及び第3方向の端部の間の配置関係は、積層型電子部品100の第1方向及び第3方向の断面で定義されることができる。
【0072】
まず、積層型電子部品100の第1方向及び第3方向の断面において、活性部Acとカバー部112、113の境界を活性-カバー境界とし、本体110とサイドマージン部114、115の境界を本体-サイドマージン境界と定義することができる。このとき、上記本体-サイドマージン境界は、後述する積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面における境界と区別するために、第1本体-サイドマージン境界と定義することができる。具体的には、上記活性-カバー境界は、活性部Acに含まれる内部電極121、122の第1方向の端部を第3方向に連結する直線と定義することができ、上記第1本体-サイドマージン境界は、活性部Acに含まれる内部電極121、122の第3方向の端部を第1方向に連結する直線と定義することができる。
【0073】
一方、サイドマージン部114、115は、本体110の第3方向の一面及び他面上に配置されるため、端部が存在することができる。サイドマージン部114、115の端部は、本体110とサイドマージン部114、115の境界に該当するため、外部水分の浸透の主な経路となり得る。したがって、サイドマージン部114、115の端部の形状によって、積層型電子部品100の耐湿信頼性は大きな影響を受けるおそれがある。
【0074】
積層型電子部品100の第1方向及び第3方向の端面において、サイドマージン部114、115は、第1方向の端部と第3方向の端部が存在することができる。ここで、第1方向の端部は、サイドマージン部114、115の第1方向の中央領域を基準として第1方向に最外側に位置した端部を意味することができ、第3方向の端部はサイドマージン部114、115の第3方向の中央領域を基準として第3方向に最外側に位置した端部を意味することができる。
【0075】
本発明の一実施形態では、上記活性-カバー境界から上記サイドマージン部の上記第1方向の端部のうち上記活性-カバー境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第1方向の端部までの上記第1方向の平均距離をA1、上記第1本体-サイドマージン境界から上記サイドマージン部の上記第3方向の端部のうち上記第1本体-サイドマージン境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第3方向の端部までの上記第3方向の平均距離をA2と定義し、A1/A2の値を調節した。
【0076】
A1/A2値が1.5以下の場合、耐湿経路が短くなるため、信頼性の低下現象が発生する可能性があり、A1/A2値が2.5以上の場合、カバー部とサイドマージン部の厚さ非対称性が発生して焼成における収縮率のミスマッチングによってサイドマージン部またはカバー部が剥離する問題が発生する可能性がある。
【0077】
したがって、本発明の一実施形態では、A1/A2値が1.5超過2.5未満を満たすようにすることで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0078】
一方、サイドマージン部114、115の形態、特にサイドマージン部114、115の端部の形態は3次元の形状を有するため、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面のみならず、第2方向及び第3方向の断面において、活性-サイドマージン境界及び活性部Acの第2方向の端部とサイドマージン部114、115の端部との間の関係を同時に調節することが積層型電子部品100の耐湿信頼性をより顕著に向上させることができる方法であることができる。
【0079】
具体的には、積層型電子部品100の第2方向及び第3方向の断面において、本体110とサイドマージン部114、115の境界を第2本体-サイドマージン境界と定義することができる。
【0080】
また、積層型電子部品100の第2方向及び第3方向の端面において、サイドマージン部114、115は第2方向の端部と第3方向の端部が存在することができる。
【0081】
ここで、第3方向の端部は、サイドマージン部114、115の第3方向の中央領域を基準として第3方向に最外側に位置した端部を意味することができ、第2方向の端部はサイドマージン部114、115の第2方向の中央領域を基準として第2方向に最外側に位置した端部を意味することができる。
【0082】
一実施形態において、上記活性部の上記第2方向の端部から上記本体の第2方向の面のうち上記活性部の上記第2方向の端部と最も近い面までの上記第2方向の平均距離をB1、上記第2本体-サイドマージン境界から上記サイドマージン部の上記第3方向の端部のうち上記第2本体-サイドマージン境界に最も近い上記サイドマージン部の上記第3方向の端部までの上記第3方向の平均距離をB2とするとき、B1/B2値を調節した。
【0083】
B1/B2値が0.35以下の場合、ラウンドが正しく形成されず、チッピングによるスクラッチ性外観不良が発生する可能性があり、B1/B2値が0.55以上の場合、ラウンドが適正範囲を超過して耐湿経路が短くなって信頼性低下の問題が発生する可能性がある。
【0084】
したがって、一実施形態では、B1/B2値を0.35超過0.55未満に調節することで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0085】
また、A1/A2値が1.5超過2.5未満を満たすと同時にB1/B2値が0.35超過0.55未満を満たす場合、耐湿信頼性の向上効果はさらに顕著になることができる。
【0086】
一方、平均距離を示すA1及びA2は、積層型電子部品100の第2方向の1/3地点、1/2地点及び2/3地点まで研磨した第1方向及び第3方向の断面において、光学顕微鏡(OM、Optical Microscope)または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて測定した平均値であることができる。このような測定を断面で示されるマージン部114、115の4つの端部領域で行って平均値をとると、A1及びA2値をさらに一般化することができる。
【0087】
平均距離を示すB1及びB2は、積層型電子部品100の第1方向の1/3地点、1/2地点及び2/3地点まで研磨した第2方向及び第3方向の断面において、光学顕微鏡(OM、Optical Microscope)または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて測定した平均値であることができる。このような測定を断面で示されるマージン部114、115の4つの端部領域で行って平均値をとると、B1及びB2値をさらに一般化することができる。
【0088】
一実施形態において、サイドマージン部114、115は、本体110の第1方向の一面及び他面1、2を超えないように配置されることができる。また他の観点から、サイドマージン部114、115は、本体110の第3方向の一面及び他面5、6を超えないように配置されることができる。これにより、サイドマージン部114、115を耐湿信頼性の確保に必要な最小限の比重で形成することで、積層型電子部品100の単位体積当たりの容量も向上させることができる。追加的に外部電極形成時に均一な厚さを確保することができる。
【0089】
積層型電子部品の製造方法
図6aは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法における積層段階を示した斜視図であり、図6bは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法における積層段階直後の様子を示した斜視図であり、図6cは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法における切断段階を示した斜視図であり、図7aは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法における拡張段階を示した斜視図であり、図7bは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法における開放段階を示した斜視図であり、図8aは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法におけるサイドマージン部を形成する直前の状態を示した平面図であり、図8bは、一実施形態による積層型電子部品の製造方法におけるサイドマージン部用セラミックグリーンシートを加圧及び打ち抜いた直後の状態を示した平面図であり、図9は、一実施形態による積層型電子部品の製造方法におけるサイドマージン部用セラミックグリーンシートが加圧及び打ち抜かれる過程において、積層体の角の形態を示した平面図である。
【0090】
以下では、図6a~図9を参照して積層型電子部品の製造方法について詳細に説明する。以下で説明する積層型電子部品の製造方法は、上述した積層型電子部品100を製造する例示であるため、後述する製造方法のみによって積層型電子部品100を製造する必要はない。
【0091】
積層体の製作段階
まず、一実施形態による積層型電子部品は、積層体製作段階が行われることができる。積層体200は、焼成後に本発明の本体110を形成する部分になることができる。
【0092】
積層体200の製作段階では、まず、支持フィルム310上に導電パターン221、222が配置された複数のセラミックグリーンシート201、202を積層する。
【0093】
支持フィルム310は、導電パターン221、222及び複数のセラミックグリーンシート201、202が積層された積層体200を支持する役割を果たすことができる。このとき、支持フィルム310は、積層体200を効果的に支持及び付着させるために、Latex、デンプン、cellulose、タンパク質、IR(Isoprene Rubber)、NBR(Nitrile Butadiene Rubber)、SBR(Styrene Butadiene Rubber)、CR(Chloroprene Rubber)、Silicon Rubber、Silicon系、Urethane系、Acryl系及びこれらの混合剤などの粘着性物質を含むことができる。
【0094】
複数のセラミックグリーンシート201、202は、セラミックパウダー、有機溶剤、分散剤及びバインダーを含むセラミックペーストから形成されることができる。上記セラミックパウダーは、積層型電子部品100の誘電体層111を形成する原料として、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。複数のセラミックグリーンシート201、202が焼成されると、本体110を構成する誘電体層111となる。
【0095】
一方、一実施形態では、積層体200は、カバー部112、113を形成するカバー部用セラミックグリーンシート203をさらに含むことができる。カバー部用セラミックグリーンシート203は、セラミックグリーンシート201、202と同じ材料及び成分で構成されることができるが、これに制限されるものではなく、焼成過程を経て本体110の上部及び下部カバー部112、113を形成することができる。このとき、カバー部用セラミックグリーンシート203は、積層体の第1方向の一面と他面に形成されることができ、単一の層または複数の層で形成されることができる。
【0096】
導電パターン221、222は、導電性金属を含む内部電極用ペーストによってセラミックグリーンシート201、202上に形成されることができる。導電パターン221、222に含まれる導電性金属は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、上記導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。セラミックグリーンシート201、202上に導電パターン221、222を形成する方法は特に制限されない。例えば、上記導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシート201、202にスクリーン印刷またはグラビア印刷して形成することができる。
【0097】
導電パターン221、222はストライプ状であることができる。具体的には、内部電極パターンは、第2方向に一定の間隔をおいてセラミックグリーンシート201、202の第3方向の両端部と接するように形成されることができる。
【0098】
導電パターン221、222は、セラミックグリーンシート201に形成された第1導電パターン221及び他のセラミックグリーンシート202に形成された第2導電パターン222を含むことができる。このとき、第1導電パターン221が形成されたセラミックグリーンシートを第1セラミックグリーンシート201、第2導電パターン222が形成されたセラミックグリーンシートを第2セラミックグリーンシート202と称することができる。
【0099】
一方、本発明では、説明の便宜上、支持フィルム310上に配置された複数のセラミックグリーンシートが積層される方向を第1方向として説明する。
【0100】
積層体の切断段階
上記積層体の製作段階の後には、積層体の切断段階が行われることができる。
【0101】
図6bを参照すると、積層体200は、互いに直交する切断線C1-C1及びC2-C2に沿って切断されることができる。C1-C1の切断線は第2方向と平行な切断線であり、第3方向に実質的に等間隔で配置され、C2-C2の切断線は第3方向と平行な切断線であり、第2方向に実質的に等間隔で配置される。C1-C1の切断線によって実質的に一定の第3方向の大きさを有する単位チップ210が形成されることができ、C2-C2の切断線によって実質的に一定の第2方向の大きさを有する単位チップ210が形成されることができる。
【0102】
積層体200を切断する手段は特に限定されない。例えば、積層体200をドクターブレード、ダイシングブレードなどのブレード切断法、ギロチン切断法またはレーザ切断法を用いることができる。
【0103】
図6cを参照すると、上記積層体の切断段階を行った直後に、積層体200が複数の単位チップ210で形成されたことを確認することができる。複数の単位チップ210は、支持フィルム310の粘着性によって切断後にも支持フィルム310上に接着されていることができる。
【0104】
拡張段階
上記積層体の切断段階の後には、拡張段階が行われることができる。上記拡張段階は、支持フィルム310を第2方向及び第3方向に伸ばすことによって行われることができるが、これに制限されるものではなく、複数の単位チップ210を別途の他のフィルムに移動させることで行われることもできる。
【0105】
開放段階
上記拡張段階の後には、開放段階が行われることができる。上記開放段階は、本体110の第3方向の一面及び他面になる複数の単位チップ210の側面を同時に開放してサイドマージン部を容易に形成することができるようにする過程である。
【0106】
複数の単位チップ210の側面は、上記C1-C1の切断線によって切断された面であることができ、第1導電パターン221の端部と第2導電パターン222の端部が同時に露出した面であることができる。上記複数の単位チップ210の側面を開放する方法は特に制限されない。例えば、複数の単位チップ210を同時に回転させるか、回転せずに他のフィルムに移動させることで行われることもできる。このとき、複数の単位チップ210は別途の粘着テープ320に移動されることができる。
【0107】
サイドマージン部の形成段階
上記開放段階の後には、サイドマージン部の形成段階が行われることができる。
【0108】
上記サイドマージン部の形成段階では、単位チップ210の一側面SFにサイドマージン部用セラミックグリーンシートを加圧及び打ち抜く過程が行われることができる。後述するサイドマージン部の形成段階では、単位チップ210の一側面SFのみでサイドマージン部が形成されることを説明しているが、単位チップ210の他側面にも同一の過程が行われることができる。
【0109】
図8a及び図8bを参照すると、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140を単位チップ210の一側面SFに付着させる方法は、特に制限されない。例えば、加圧時に弾性パッド330を用いて加圧することができる。具体的には、複数の単位チップ210が配置されていない粘着テープ320の一面上に弾性パット330及び支持プレート340を順に配置し、単位チップ210の開放面側に支持プレート340、弾性パット330、キャリアフィルム350及びサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を順に積層した後、上部または下部支持プレート340に圧力を加えることで行われることができる。
【0110】
このとき、一実施形態では、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140に変形または割れが生じることを防止するために、50℃~150℃の温度でサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を一側面SFに付着することができる。
【0111】
単位チップ210の一側面SFに付着されたサイドマージン部用セラミックグリーンシート140でサイドマージン部を形成する方法は特に制限されない。
【0112】
例えば、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140を付着した後、弾性パッド360が弾性変形する程度にサイドマージン部用セラミックグリーンシート140に圧力を加えてサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を一側面SFに対応する部分だけ切断する打ち抜きが行われる。このような打ち抜きにより、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140は、一側面SFに対応する部分だけ切断されてサイドマージン部を形成することができる。サイドマージン部は、追って焼成過程を経て積層型電子部品のサイドマージン部114を形成することができる。
【0113】
一実施形態において、サイドマージン部の形成段階において、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の付着及び打ち抜きは、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140がキャリアフィルム350に付着された状態で行われることができる。これにより、一側面S1またはサイドマージン部用セラミックグリーンシート140に別途の接着剤を塗布しなくてもサイドマージン部用セラミックグリーンシート140の急激な乾燥を防止して、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140が一側面SFに付着する十分な接着力を確保することができる。
【0114】
また、加圧及び打ち抜きが行われる過程で単位チップ210のコーナーを囲む形態で圧力が加わるため、サイドマージン部114、115の端部の形状がラウンド状であることができる。また、加圧及び打ち抜き過程における温度及び圧力を調節することで、積層型電子部品100のA1/A2値またはB1/B2の値を調節することができる。すなわち、本発明の一実施形態または一実施例による積層型電子部品100のA1/A2値またはB1/B2値は、上記サイドマージン部の形成過程の加圧及び打ち抜きが行われる過程の変数を調節することで調節されることができる。
【0115】
図9を参照すると、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140がキャリアフィルム350が付着された状態で加圧及び打ち抜きが行われる過程で、単位チップ210の一コーナーはラウンド状を形成することができる。また、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の端部をキャリアフィルム350が囲む形態で加圧及び打ち抜きが行われるため、サイドマージン部114、115も端部がラウンド状を有することができる。
【0116】
一実施形態において、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の急激な乾燥を防止することができるため、打ち抜きを50℃以下で行うことができる。これにより、サイドマージン部を形成するために高温を維持する必要がないため、単位チップ210またはサイドマージン部用セラミックグリーンシート140の熱衝撃による損傷を緩和することができる。
【0117】
一方、キャリアフィルム350の成分は特に制限されない。一実施形態において、キャリアフィルム350は、PET(Polyethylene terephthalate)、PU(Polyurethane)、PE(Polyethylene)、PO(Polyolefine)、PS(Poly Stylene)、PVC(Poly Vinyl Chloride)、及びPVDC(Poly Vinydene Chloride)のうち1つ以上を含むことができる。これにより、キャリアフィルム350に付着されたサイドマージン部用セラミックグリーンシート140の急激な乾燥を効果的に防止することができる。また、キャリアフィルム350の厚さは特に制限されないが、サイドマージン部の適切な形成のためにキャリアフィルム350の厚さは1μm以上であることが好ましく、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを打ち抜き易いように50μm以下であることが好ましい。
【0118】
この後、サイドマージン部が形成された単位チップ210を焼成する本体形成段階を含むことができる。焼成温度は、特に制限されないが、例えば、1000~1300℃で焼成することができる。また、焼成は還元雰囲気下で行うことができる。
【0119】
この後、本体110の第2方向の一面及び他面のそれぞれに外部電極131、132を形成して積層型電子部品100を製造することができる。
【0120】
一方、サイドマージン部が形成された単位チップ210は、追加的な工程なしに焼成されて本体110を形成することができるが、これに制限されるものではなく、電気導電性に優れた金属を含む導電性ペーストを第2方向の一面及び他面3、4にそれぞれ配置し、本体110と共に同時に焼成することで外部電極131、132を形成して積層型電子部品100を製造することができる。
【0121】
(実験例)
図10aおよび図10bは、比較例と実施例による積層型電子部品の複合信頼性評価を行った結果を示したグラフである。
【0122】
比較例は、本発明によるA1/A2値が1.5超過2.5未満を満たさないか、B1/B2値が0.35超過0.55未満を満たさない場合に該当し、実施例はA1/A2値が1.5超過2.5未満を満たすと同時にB1/B2値が0.35超過0.55未満を満たす場合である。
【0123】
図10aは、比較例による積層型電子部品の複合信頼性評価を、図10bは、実施例による積層型電子部品の複合信頼性評価を示したグラフである。
【0124】
比較例と実施例のそれぞれ40個のサンプルで行い、評価条件は相対湿度85%、85℃、4.8vr、4hr条件で絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)を測定し、絶縁抵抗値が10^7(Ω)以下に減少する場合を信頼性不良と見なすことができる。
【0125】
図10aを参照すると、比較例による積層型電子部品の場合、不良品が3つ以上で耐湿信頼性が確保されないことが確認できる。図10bを参照すると、不良品が1つで耐湿信頼性が顕著に向上したことが確認できる。したがって、一実施形態のようにA1/A2値が1.5超過2.5未満を満たすと同時に、B1/B2値が0.35超過0.55未満を満たす場合、積層型電子部品100の耐湿信頼性を顕著に向上させることができる。
【符号の説明】
【0126】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
140 サイドマージン部用セラミックグリーンシート
200 積層体
201、202 セラミックグリーンシート
203 カバー部用セラミックグリーンシート
210 単位チップ
221、222 導電パターン
310 支持フィルム
320 粘着テープ
330 弾性パッド
340 支持プレート
350 キャリアフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b