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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155752
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】適応剛性シージョイントキット
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/10 20060101AFI20241024BHJP
   H02G 1/10 20060101ALI20241024BHJP
   H02G 9/02 20060101ALI20241024BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H02G15/10
H02G1/10
H02G9/02
G02B6/46 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024047578
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】23169262
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァストマンス, ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン, カール-マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】ゼッターヴァル, ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ホルムベリ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コルソ, イザベラ
【テーマコード(参考)】
2H038
5G352
5G369
5G375
【Fターム(参考)】
2H038CA49
5G352EA01
5G369BA02
5G369EA01
5G375AA02
5G375AA18
5G375CA02
5G375CA14
5G375DB22
5G375DB35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高電圧海底電力ケーブルを接合するための適応剛性シージョイントキットを提供する。
【解決手段】適応剛性シージョイントキット1は、内側水密ケーシングキット5と、剛性外側機械的ケーシングキット9と、を備え、内側水密ケーシングキット5および剛性外側機械的ケーシングキット9の各々が、複数の種類および/またはサイズの海底電力ケーブルを取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素(スプライスカセット7a、圧縮カセット7b)を含む。内側水密ケーシングキット5及び剛性外側機械的ケーシングキット9の各々が、適応構成要素の1セットまたはそれぞれの適応構成要素の複数のセットを備え、適応構成要素の各セットが、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、同一のキットの少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブル2a、2bに適合することを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底電力ケーブル(17a、17b)を接合するための適応剛性シージョイントキット(1)であって、前記適応剛性シージョイントキット(1)が、
A2)内側水密ケーシングキット(5)と、
A4)剛性外側機械的ケーシングキット(9)と
を備え、
前記キットA2およびA4の各々が、複数の種類および/またはサイズの海底電力ケーブル(17a、17b)を取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素を含み、
前記キットA2およびA4)の各々が、適応構成要素の1セットまたはそれぞれの適応構成要素の複数のセットを備え、適応構成要素の各セットが、前記適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、同一の前記キットの前記少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブル(17a、17b)に適合することを可能にし、それにより、前記適応剛性シージョイントキット(1)が、前記適応剛性シージョイントキット(1)の適用可能範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブル(17a、17b)を接合するため複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイント(11)の任意の1つの部品を前記キットA2およびA4から構築することを可能にする、
適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項2】
A1)電気ジョイントキット(3)を備え、前記キットA1が、複数の種類および/またはサイズの海底電力ケーブル(17a、17b)を取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素と、それぞれの適応構成要素の複数のセットとを備え、適応構成要素の各セットが、前記適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、前記キットA1の前記少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブル(17a、17b)に適合することを可能にし、それにより、前記適応剛性シージョイントキット(1)が、前記適応剛性シージョイントキット(1)の適用可能範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブル(17a、17b)を接合するため前記複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイント(11)の任意の1つを前記キットA1、A2およびA4から構築することを可能にする、請求項1に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項3】
A1)電気ジョイントキットを備え、前記キットA1が、それぞれの適応構成要素の複数のセットを備え、適応構成要素の各セットが、前記適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、前記キットA1の前記セットの部材が、異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブル(17a、17b)に適合するように互いに組み立てられることを可能にし、それにより、前記適応剛性シージョイントキット(1)が、前記適応剛性シージョイントキット(1)の適用可能範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブル(17a、17b)を接合するため複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイント(11)の任意の1つを前記キットA1、A2およびA4から構築することを可能にする、請求項1に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項4】
前記電気ジョイントキット(3)が、主ジョイントスリーブ(3a)の形態のベース構成要素を備える、請求項2に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項5】
前記電気ジョイントキット(3)が、4セットの適応構成要素、すなわち、異なる内径のアダプタ(3b)のセット、異なるサイズおよび/または設計および/または材料のコネクタ(3c)のセット、異なる内径および/または設計の固定リング(3d)のセット、ならびに異なるサイズおよび/または設計のコンタクトスリーブ(3e)のセットを備える、請求項2または3に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項6】
各アダプタ(3b)が、前記主ジョイントスリーブ(3a)の内側に配置されるように構成され、各コネクタ(3c)が、それぞれのコアの2つの導体を接続するように構成され、それぞれが2つの海底電力ケーブル(17a、17b)からなり、各固定リング(3d)が、アダプタ(3b)および海底電力ケーブル(17a、17b)のコアの絶縁層に取り付けられるように構成され、各コンタクトスリーブ(3e)が、2つの固定リング(3d)に接続されて、前記コネクタ(3c)の半径方向外側に配置されるように構成される、請求項4に従属する請求項5に記載の適応剛性シージョイントキット。
【請求項7】
前記内側水密ケーシングキット(5)が、2つの海底電力ケーブル(17a、17b)のコア(2a、2b)の電気ジョイントを作製するように組み立てられた電気ジョイントキット(3)の構成要素を収容するように構成された内側水密ケーシング(5a)の形態のベース構成要素を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項8】
前記内側水密ケーシングキット(5)が、異なる内径および/または設計の径違いカップリング(5b)の形態の適応構成要素のセットを備え、各径違いカップリング(5b)が、前記内側水密ケーシング(5a)に水密に取り付けられ、海底電力ケーブル(17a、17b)のコア(2a、2b)の金属遮水層を前記径違いカップリング(5b)に水密に取り付けることを可能にするように構成された円錐形または円錐台形部分を有する、請求項7に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項9】
前記円錐(5b)の少なくとも一部が、前記金属遮水層を前記円錐(5b)にはんだ付けするためのはんだ円錐である、請求項8に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項10】
A3)光ファイバジョイントキット(7)を備え、前記キットA3が、複数の種類および/またはサイズの光ファイバケーブルを取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素と、それぞれの適応構成要素の複数のセットとを備え、適応構成要素の各セットが、前記適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、前記キットA3の前記少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の光ファイバケーブルに適合することを可能にする、請求項1から9のいずれか一項に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項11】
前記光ファイバジョイントキット(7)が、2つのベース構成要素、すなわちスプライスカセット(7a)と、前記スプライスカセット(7a)を収容するように構成された圧縮カセット(7b)とを備える、請求項10に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項12】
前記光ファイバジョイントキット(7)が、2セットの適応構成要素、すなわち、1)異なる内径で、および/または異なる光ファイバケーブル設計のための封止を提供する内側および外側ケーブルグランド(7c)、ならびに/あるいは前記圧縮カセットと異なる直径を有する光ファイバケーブルとの間の封止を提供するための埋め込み用樹脂と、2)2つの光ファイバケーブルの金属管の間の電気接続を提供するために光ファイバケーブルの金属管に接続されるように構成された異なるサイズのクランプ、および2つの光ファイバケーブルの装甲の間の電気接続を提供するために光ファイバケーブルの前記装甲に接続されるように構成されたケーブルラグを備える電気接続キットとを備える、請求項11に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項13】
前記剛性外側機械的ケーシングキット(9)が、海底電力ケーブルのコア(2a、2b)の電気ジョイントの周りに水密カバーを作製するように組み立てられた前記内側水密ケーシングキット(5)の要素、および任意選択的に光ファイバジョイントキット(7)から組み立てられた光ファイバジョイント(13)を収容するように構成された剛性外側機械的ケーシング(9a)の形態の第1のベース構成要素を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項14】
前記剛性外側機械的ケーシングキット(9)が、前記剛性外側機械的ケーシング(9a)の軸方向端部に接続されるように構成された屈曲制限器(15)および/または屈曲補剛材の形態の第2のベース構成要素をさらに備える、請求項13に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項15】
前記剛性外側機械的ケーシングキット(9)が、前記剛性外側機械的ケーシング(9a)および海底電力ケーブル(17a、17b)の装甲に接続されるように構成された、異なるサイズおよび/または設計の装甲固定フランジ(9b)の形態の適応構成要素の第1のセットを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項16】
前記装甲固定フランジ(9b)が、溶接フランジまたは締付フランジである、請求項15に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項17】
前記剛性外側機械的ケーシングキットが、異なる材料の細長い装甲要素のサブセットの形態の適応構成要素の第2のセットと、追加の装甲プレートの形態の適応構成要素の第3のセットとを備え、各追加の装甲プレートが、前記装甲要素を前記追加の装甲プレートに取り付けるために、前記剛性外側機械的ケーシング(9a)の端部から軸方向距離にある海底電力ケーブル(17a、17b)の装甲の周りに配置されるように構成される、請求項15または16に記載の適応剛性シージョイントキット(1)。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の適応剛性シージョイントキット(1)を使用して、2つの海底電力ケーブル(17a、17b)を接合するための剛性シージョイント(11)の構成要素を選択する方法であって、各キットのベース構成要素の各種類のうちの1つを選択することと、各キットからの適応構成要素の前記セットから、前記2つの海底電力ケーブル(17a、17b)のサイズおよび設計に適合する適応構成要素を選択することとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、海底電力ケーブルのための剛性シージョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、海底電力ケーブルの所有者/事業者は、修理の場合に予備部品を在庫しなければならない。これは、典型的には、海底電力ケーブルシステムごとに、すなわち、沖合発電源もしくは沖合電力消費者と、陸上のジョイントとの間、または2つの陸上のジョイントとの間に延在する各設置海底電力ケーブルごとに、少なくとも3つのジョイントおよび少なくとも数百メートルの予備ケーブルを意味する。10システムなどの多くの異なる海底電力ケーブルシステムを所有する大規模事業者にとって、これは非常に多くの類似しているが同一ではないジョイントの必要性を意味する。10個のシステムの例では、10個のシステムのそれぞれに3個ずつ、30個のジョイントが必要とされる。
【0003】
海底電力ケーブルの修理が個々のシステムにとってまれであることを考えると、これは、この在庫では多くの資本が長期的に拘束されており、在庫自体の管理は、検査を実行するために空間および労力を必要とするため、費用がかかり面倒であることを意味する。さらに、在庫の部品の一部は期限切れであり、定期的に交換する必要があり、追加の費用、不要な廃棄物、および期限切れの部品を適時に交換できない場合の品質リスクが生じる。この専用の予備部品手法の利点は、修理中に使用されるジョイントが完全に型式試験され、特定のケーブルシステムに適したサイズであることである。しかしながら、この利点の重要性は、ますます多くのシステムが保証期間を過ぎていくにつれて低下する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一般的な目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも緩和する海底電力ケーブルを接合する適応剛性シージョイントキットを提供することである。
【0005】
したがって、本開示の第1の態様によれば、海底電力ケーブルを接合するための適応剛性シージョイントキットが提供され、適応剛性海上接合キットは、A2)内側水密ケーシングキットと、A4)剛性外側機械的ケーシングキットとを備え、キットA2およびA4の各々は、複数の種類および/またはサイズの海底電力ケーブルを取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素を備え、キットA2およびA4の各々は、適応構成要素の1つのセットまたはそれぞれの適応構成要素の複数のセットを備え、適応構成要素の各セットは、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、同一のキットの少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブルに適合することを可能にし、それにより、適応剛性シージョイントキットは、適応剛性シージョイントキットの適用可能範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブルを接合するため複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイントの任意の1つの部品をキットA2およびA4から構築することを可能にする。
【0006】
ベース構成要素は、異なる海底電力ケーブルシステム、さらには異なるケーブル製造業者にわたって使用することができる。ベース構成要素は、選択された適応構成要素を使用して、広範囲のパラメータ内の任意の海底電力ケーブルと共に使用することができる。その結果、例えば修理されるべき広範囲の海底電力ケーブルを網羅するために、選択された適応構成要素を有するわずかなベース構成要素しか必要とされない。したがって、所有者/事業者は、すべての海底電力ケーブルシステムを網羅するために、適応構成要素を追加したわずかなベース構成要素を在庫するだけでよい。
【0007】
海底電力ケーブルの設計に関係なく、各剛性シージョイントのベース構成要素は、適応剛性シージョイントキットの許容範囲内で同一であり、それらのうちのごくわずかのみを在庫に入れるだけでよくする。例えば、ケーブル事業者によって年間1回以下の修理が予想される場合は3セットのベース構成要素、または事業者によって年間最大2回の修理が予想される場合は5~6セットのベース構成要素である。すべての適応構成要素は、事業者の海底電力ケーブルシステムに基づいて選択および在庫することができるが、完全な剛性シージョイントの価値におけるそれらの割り当ては、ベース構成要素の価値よりもはるかに小さく、事業者の在庫における資本の拘束の大幅な減少を意味する。
【0008】
許容範囲は、適切な剛性シージョイントを作るために適応剛性シージョイントキットを使用できる海底電力ケーブル設計の範囲である。許容範囲は、例えば、海底電力ケーブルのコアの外径の範囲Amm~Bmm、絶縁システム材料、ならびに/または導体サイズ、材料および/もしくは設計によって設定されてもよい。
【0009】
適応剛性シージョイントキットは、海底電力ケーブルの修理作業中に修理キットとして使用することができる。代替で、新しい海底電力ケーブルシステムのケーブル敷設中に2つの海底電力ケーブルを沖合で接合するためのジョイントを作成するために使用されてもよい。
【0010】
適応剛性シージョイントキットは、高電圧(HV)海底電力ケーブルと共に使用されるように構成することができる。HV海底電力ケーブルは、HVAC海底電力ケーブルまたはHVDC海底電力ケーブルであってもよい。
【0011】
一実施形態は、A1)電気ジョイントキットを備え、キットA1は、複数の種類および/またはサイズの海底電力ケーブルを取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素と、それぞれの適応構成要素の複数のセットとを備え、適応構成要素の各セットは、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、キットA1の少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブルに適合することを可能にし、それにより、適応剛性シージョイントキットは、適応剛性シージョイントキットの適用可能範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブルを接合するため複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイントの任意の1つをキットA1、A2およびA4から構築することを可能にする。
【0012】
海底電力ケーブルを接合するための適応剛性シージョイントキットは、シングルコア海底電力ケーブルまたはマルチコア海底電力ケーブルを接合するように設計されてもよい。マルチコア海底電力ケーブルは、例えば、三相海底電力ケーブルであってもよい。適応剛性シージョイントキットが2つのマルチコア海底電力ケーブルを接合するように設計されている場合、適応剛性シージョイントキットは、各電気コアに対して1つのキットA1および1つのキットA2を備え、任意選択的に、マルチコア海底電力ケーブルの各光ファイバケーブルに対して1つのキットA3を備える。この場合、キットA4は、すべてのコアおよびすべての一体型光ファイバケーブルに共通である。
【0013】
適応剛性シージョイントキットは、設計および/または直径が同一であるか、または設計および/または直径が異なる、例えば異なる導体断面および/またはコア寸法および/または装甲材を有する、2つの海底電力ケーブルを接合することを可能にする。
【0014】
一実施形態は、A1)電気ジョイントキットを備え、キットA1は、複数のセットのそれぞれの適応構成要素を備え、適応構成要素の各セットは、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、キットA1のセットの部材が、異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブルに適合するように互いに組み立てられることを可能にし、それにより、適応剛性シージョイントキットは、適応剛性シージョイントキットの適用可能範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブルを接合するため複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイントの任意の1つをキットA1、A2およびA4から構築することを可能にする。この例では、電気ジョイントキットは、いずれのベース部材も有しておらず、代わりに、電気ジョイントは、接合される海底電力ケーブルに適合するように適応構成要素のセットから選択された適応部品のみから作製される。適応構成要素のセットのうちの1つは、例えば、異なる設計/サイズを有する複数の主ジョイントスリーブと、異なる内径のアダプタのセット、異なるサイズおよび/または設計および/または材料のコネクタのセット、異なる内径および/または設計の固定リングのセット、ならびに異なるサイズおよび/または設計のコンタクトスリーブのセットのうちの1つまたは複数とを備えることができる。
【0015】
一実施形態によれば、電気ジョイントキットは、主ジョイントスリーブの形態のベース構成要素を備える。
【0016】
一実施形態によれば、電気ジョイントキットは、4セットの適応構成要素、すなわち、異なる内径のアダプタのセット、異なるサイズおよび/または設計および/または材料のコネクタのセット、異なる内径および/または設計の固定リングのセット、ならびに異なるサイズおよび/または設計のコンタクトスリーブのセットを備える。
【0017】
一実施形態によれば、各アダプタは、主ジョイントスリーブの内側に配置されるように構成され、各コネクタは、それぞれのコアの導体を接続するように構成され、それぞれが2つの海底電力ケーブルからなり、各固定リングは、アダプタおよび海底電力ケーブルのコアの絶縁層に取り付けられるように構成され、各コンタクトスリーブは、2つの固定リングに接続されて、コネクタの半径方向外側に配置されるように構成される。
【0018】
一実施形態によれば、内側水密ケーシングキットは、各々が2つの海底電力ケーブルからなる一対のコアの電気ジョイントを作製するように組み立てられた電気ジョイントキットの構成要素を収容するように構成された内側水密ケーシングの形態のベース構成要素を備える。
【0019】
一実施形態によれば、内側水密ケーシングキットは、異なる内径および/または設計の円錐の形態の適応構成要素のセットを備え、各円錐は、内側水密ケーシングに水密に取り付けられ、海底電力ケーブルのコアの金属遮水層を円錐に水密に取り付けることを可能にするように構成される。
【0020】
一実施形態によれば、円錐の少なくともいくつかは、金属遮水層を円錐にはんだ付けするためのはんだ円錐である。
【0021】
適応構成要素のセットは、円錐形または円錐台形セクションを有する径違いカップリングを含むことができる。径違いカップリングは、円錐形または円錐台形部分に移行する円筒形部分を有することができる。径違いカップリングは、異なる内径および/または設計を有してもよく、各径違いカップリングは、海底電力ケーブルのコアの金属遮水層を径違いカップリングに水密に取り付けることを可能にするために、内側水密ケーシングに水密に取り付けられるように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、径違いカップリングの少なくともいくつかは、金属遮水層を径違いカップリングにはんだ付けするように構成される。
【0023】
一実施形態は、A3)光ファイバジョイントキットを備え、キットA3は、複数の種類および/またはサイズの海底電力ケーブルを取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素と、それぞれの適応構成要素の複数のセットとを備え、適応構成要素の各セットは、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、キットA3の少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の海底電力ケーブルに適合することを可能にし、それにより、適応剛性シージョイントキットは、適応剛性シージョイントキットの適用範囲内にある異なる種類の海底電力ケーブルを接合するため複数の異なるサイズおよび/または設計の剛性シージョイントの任意の1つの部品をキットA2、A3およびA4から構築することを可能にする。
【0024】
適応剛性シージョイントキットは、各々がそれぞれの対の光ファイバケーブルを接合するため、2つ以上の光ファイバジョイントキット、例えば、2つまたは3つの光ファイバジョイントキットを備えることができる。
【0025】
光ファイバジョイントキットの少なくとも1つのベース構成要素は、複数の種類および/またはサイズの光ファイバケーブルを取り付けるように構成される。
【0026】
一例は、A3)光ファイバジョイントキットを備え、キットA3は、複数の種類および/またはサイズの光ファイバケーブルを取り付けることができる少なくとも1つのベース構成要素と、それぞれの適応構成要素の複数のセットとを備え、適応構成要素の各セットは、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を備え、キットA3の少なくとも1つのベース構成要素が異なるサイズおよび/または設計の光ファイバケーブルに適合することを可能にする。
【0027】
一実施形態によれば、光ファイバジョイントキットは、2つのベース構成要素、すなわちスプライスカセットと、スプライスカセットを収容するように構成された圧縮カセットとを備える。
【0028】
一実施形態によれば、光ファイバジョイントキットは、2セットの適応構成要素、すなわち、1)異なる内径で、および/または異なる光ファイバケーブル設計のための封止を提供する内側および外側ケーブルグランド、ならびに/あるいは圧縮カセットと異なる直径を有する光ファイバケーブルとの間の封止を提供するための埋め込み用樹脂と、2)2つの光ファイバケーブルの金属管の間の電気接続を提供するために光ファイバケーブルの金属管に接続されるように構成された異なるサイズのクランプと、2つの光ファイバケーブルの装甲の間の電気接続を提供するために光ファイバケーブルの装甲に接続されるように構成されたケーブルラグとを備える電気接続キットとを備える。
【0029】
光ファイバジョイントキットは、汎用の内側および外側ケーブルグランドを使用することにより、広範囲の光ファイバケーブル直径を確実に封止する可能性を提供する。内側ケーブルグランドおよび/または外側ケーブルグランドは、剥離可能な内側シール構造を有することができ、シール構造は、特定の光ファイバケーブル直径に適合するように層状に選択的に剥離することができる。
【0030】
電気接続キットは、クランプおよび/またはケーブルラグの間、したがってスプライス接続される光ファイバケーブルの間の電気接続のためにクランプおよび/またはケーブルラグが接続され得るバスバーおよび/またはアース線を備えることができる。代替で、バスバーまたはアース線は、光ファイバジョイントキットのベース構成要素であってもよい。
【0031】
アース設計の柔軟性は、既存の海底電力ケーブルによく見ることができる標準的な10mm光ファイバケーブル、装甲光ファイバケーブル、またはスロットコア光ファイバケーブルが、ジョイント機械または交換部品を再設計する必要なしにスプライス接続できることを保証する。
【0032】
一実施形態によれば、剛性外側機械的ケーシングキットは、海底電力ケーブルのコアの電気ジョイントの周りに水密カバーを作製するように組み立てられた内側水密ケーシングキットの要素、および光ファイバジョイントキットから組み立てられた光ファイバジョイントを収容するように構成された剛性外側機械的ケーシングの形態の第1のベース構成要素を備える。
【0033】
一実施形態によれば、剛性外側機械的ケーシングキットは、剛性外側機械的ケーシングの軸方向端部に接続されるように構成された屈曲制限器および/または屈曲補剛材の形態の第2のベース構成要素をさらに備える。
【0034】
一実施形態によれば、剛性外側機械的ケーシングキットは、剛性外側機械的ケーシングおよび海底電力ケーブルの装甲に接続されるように構成された、異なるサイズおよび/または設計の装甲固定フランジの形態の第1のセットの適応構成要素を備える。
【0035】
一実施形態によれば、装甲固定フランジは溶接フランジまたは締付フランジである。
【0036】
一実施形態によれば、剛性外側機械的ケーシングキットは、異なる材料の細長い装甲要素のサブセットの形態の適応構成要素の第2のセットと、追加の装甲プレートの形態の適応構成要素の第3のセットとを備え、各追加の装甲プレートは、装甲要素を追加の装甲プレートに取り付けるために、剛性外側機械的ケーシングの端部から軸方向距離にある海底電力ケーブルの装甲の周りに配置されるように構成される。
【0037】
交換可能な装甲固定フランジおよび適応構成要素の任意選択の第2および第3のセットを備えた剛性外側機械的ケーシングは、剛性シージョイントの一部を個々の海底電力ケーブル用に再設計する必要がなく、それでもなお広範囲の海底電力ケーブルを最小限の数の適応構成要素で覆うことができることを保証する。
【0038】
本開示の第2の態様によれば、先行請求項のいずれか一項に記載の適応剛性シージョイントキットを使用して、2つの海底電力ケーブルを接合するための剛性シージョイントの構成要素を選択する方法であって、各キットA1~A4)のベース構成要素の各種類のうちの1つを選択することと、各キットA1~A4)からの適応構成要素のセットから、2つの海底電力ケーブルのサイズおよび設計に適合する適応構成要素を選択することとを含む方法が提供される。
【0039】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a)/1つの(an)/その(the)要素(element)、装置(apparatus)、構成要素(component)、手段(means)などへのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとして非限定的に解釈されるべきである。
【0040】
ここで、添付の図面を参照して、例として、本発明の概念の具体的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】適応剛性シージョイントキットの一例を概略的に示す。
図2図1の適応剛性シージョイントキットから作製された部分的に開いた剛性シージョイントの一例の斜視図である。
図3】適応剛性シージョイントキットから作製された調整された剛性シージョイントの一例の斜視図である。
図4】適応剛性シージョイントキットからの1つまたは複数の海底電力ケーブル用の構成要素を選択する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明の概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の符号は同様の要素を指す。
【0043】
図1に、適応剛性シージョイントキット1の一例を示す。適応剛性シージョイントキット1は、広範囲の異なるサイズおよび/または設計を有する2つの海底電力ケーブル17aおよび17b(両方とも図3に示されている)を接合する調整された剛性シージョイント11を作製することを可能にする。
【0044】
適応剛性シージョイントキット1は、シングルコア海底電力ケーブルまたはマルチコア海底電力ケーブルを接合するために使用することができる。一般に、海底電力ケーブルは、1つまたは複数のコアを備え、各コアは、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムとを備え、絶縁システムは、内側半導体層、絶縁層、および外側半導体層を含む。各コアはまた、例えば鉛、銅、銅合金、アルミニウム、またはステンレス鋼を含む金属遮水層と、絶縁システムの周り、および存在する場合は金属遮水層の周りに配置されたポリマーシースとを備えることができる。海底電力ケーブルが2つ以上のコアを備える場合、コアは撚り合わせた構成で配置されてもよい。この場合、典型的には、海底電力ケーブルはまた、それぞれがコアのそれぞれの隣接する対の間に配置されたフィラープロファイルを備えることができる。さらに、海底電力ケーブルは、1つまたは複数のコアの周りに配置された1つまたは複数の装甲層を備えることができる。各装甲層は、例えば亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、および/またはポリマー材料を含む装甲ワイヤなどの装甲要素を含む。海底電力ケーブルはまた、海底電力ケーブルの最外層を形成する外側シースまたは外側サービングを備える。海底電力ケーブルはまた、1つまたは複数の光ファイバケーブルを備えてもよい。光ファイバケーブル(複数可)は、1つまたは複数の装甲ワイヤを交換して、装甲層のうちの1つに配置されてもよく、または、光ファイバケーブル(複数可)は、フィラープロファイル(複数可)内に配置されてもよい。上述した構造に加えて、海底電力ケーブルは、導体テープ層、膨潤テープ層、各装甲層の下の寝具層、および工場での装甲ストランドプロセス中に装甲ワイヤ上に洗い流されたビチューメンのうちの1つまたは複数などの他の層も備えることができる。
【0045】
適応剛性シージョイントキット1は、HVACまたはHVDC海底電力ケーブルを接合するように適合させることができる。任意のベース構成要素および適応構成要素は、特定の用途、すなわちACまたはDC用途に特に適合させることができる。
【0046】
適応剛性シージョイントキット1は、1つまたは複数の電気ジョイントキット3と、1つまたは複数の内側水密ケーシングキット(複数可)5と、1つまたは複数の光ファイバジョイントキット(複数可)7と、剛性外側機械的ケーシングキット9とを備える。
【0047】
各内側水密ケーシングキット5、光ファイバジョイントキット7、および剛性外側機械的ケーシングキット9は、1つまたは複数のベース構成要素を備える。各ベース構成要素は、広範囲の異なる海底電力ケーブル17aおよび17bと共に使用することができる。
【0048】
いくつかの例によれば、各電気ジョイントキット3はまた、ベース構成要素を備えてもよい。
【0049】
さらに、各電気ジョイントキット3、各内側水密ケーシングキット5、各光ファイバジョイントキット7、および剛性外側機械的ケーシングキット9は、適応構成要素の1つまたは複数のセットを備える。適応構成要素の各セットは、特定の種類の適応構成要素に関し、適応構成要素の異なる設計および/またはサイズの複数の部材を含む。各適応構成要素は、同一のキット3、5、7、または9の対応するベース構成要素と共に使用されるように適合され、ベース構成要素(複数可)を広範囲の異なる海底電力ケーブルと共に使用することを可能にするインターフェースである。したがって、広範囲の海底電力ケーブル設計/サイズ内で接合される特定の海底電力ケーブルの設計/サイズに基づいて、適応構成要素をキット3、5、7、および9から選択し、ベース構成要素と共に使用して、問題の海底電力ケーブル用に調整された剛性シージョイントを構築することができる。
【0050】
図1では、電気ジョイントキット3のいくつかの構成要素が、電気ジョイントを形成する2つの海底電力ケーブルのそれぞれのコア2aおよび2bと組み立てられた状態で示されている。このように、接合された2つのコア2aおよび2bのサイズおよび設計に基づいて、電気ジョイントキット3の適応構成要素のセットから特定の適応構成要素が選択されている。
【0051】
各電気ジョイントキット3がベース構成要素を含む例では、ベース構成要素は主ジョイントスリーブ3aである。主ジョイントスリーブ3aは、海底電力ケーブルのコア2a、2bの多くの異なるサイズおよび設計に適合する大きなサイズを有する。主ジョイントスリーブ3aは、異なる種類の押出絶縁システム、例えば架橋ポリエチレン(XLPE)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、またはポリプロピレン(PP)などの熱可塑性ポリマーを含む絶縁層を有する海底電力ケーブルと共に使用することができる。主ジョイントスリーブ3aは、シリコーンまたはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどのポリマー材料から作製される。主ジョイントスリーブ3aは、予備成形体である。主ジョイントスリーブ3aは、一体型応力制御システムを有することができる。
【0052】
設置状態では、主ジョイントスリーブ3aは、導体ジョイントの中心にあり、導体ジョイントの上および接合された2つのコア2a、2bのそれぞれの一部の周りに軸方向に延在する。
【0053】
各電気ジョイントキット3は、複数のセットの適応構成要素を備える。適応成分のセットのうちの1つはアダプタ3bのセットであり、すなわちアダプタ3bはこのセットの部材である。各アダプタ3bは、シリコーンなどのポリマー材料を含む。セットの各アダプタ3bは、海底電力ケーブルの絶縁システムの上および海底電力ケーブルの絶縁システムと接触して、ならびに主ジョイントスリーブ3aの内面と接触して主ジョイントスリーブ3aの内側に配置されるように構成される。各電気ジョイントは、各コアと主ジョイントスリーブ3aとの間に1つずつ、2つのアダプタ3bを備える。アダプタ3bは、異なる内径を有することができるが、異なるコア径を有する海底電力ケーブルを用いて主ジョイントスリーブ3aを組み立てるために、主ジョイントスリーブ3aの内径に本質的に対応する同じ外径を有することができる。
【0054】
各電気ジョイントキット3は、異なるサイズ、設計、および/または材料のコネクタ3cのセットを備える。コネクタ3cは、典型的には、アルミニウムまたは銅合金などの金属で作製される。コネクタ3cは、接合される2つの海底電力ケーブルの導体を受け入れ、固定し、電気的に接続して導体ジョイントを形成するように構成される。セット内のコネクタ3cは、導体設計に応じて異なる導体サイズおよび/または異なる設計に対応するために異なる内径を有することができる。例えば、電気ジョイントキット3内のコネクタ3cの1つまたは複数は、異なる直径および/または材料の2つの導体間の移行部を作成するために、プロファイルワイヤ導体または両端の異なる直径で使用するための段付き内径設計を有することができる。
【0055】
各電気ジョイントキット3は、異なる内径および/または設計の固定リング3dのセットを備える。固定リング3dは、コネクタ3cの周囲に配置されるように構成されている。いくつかの固定リング3dは、例えば、二分されていてもよく、すなわち2つの半分で作られていてもよく、または単一の環状リングとして形成されていてもよい。
【0056】
各電気ジョイントキット3は、異なるサイズおよび/または設計のコンタクトスリーブ3eのセットを備える。コンタクトスリーブ3eは、例えば、アルミニウム、または銅もしくは銅合金などの金属で作製することができる。コンタクトスリーブ3eは、例えば、コネクタ3cの異なる直径および/または軸方向長さに対応するように設計されてもよい。
【0057】
各コンタクトスリーブ3eは、コネクタ3cおよび2つの固定リング3dの周囲に配置されるように構成されている。各固定リング3dは、接合されるためそれぞれの海底電力ケーブルの絶縁層に、およびアダプタ3bにねじ込まれるように構成される。各コンタクトスリーブ3eは、それぞれがそれぞれの固定リング3dの一部分を受け入れるように構成された2つの内側溝を有することができる。
【0058】
各内側水密ケーシングキット5は、内側水密ケーシング5aの形態のベース構成要素を備える。内側水密ケーシング5aは、例えば溶接によって一緒に取り付けられる2つの部品を備えてもよい。内側水密ケーシング5aは、ステンレス鋼などの金属製である。内側水密ケーシングキット5には、内側水密ケーシング5aのサイズが1つしかない。内側水密ケーシング5aは、接合される2つの海底電力ケーブルからそれぞれ1つずつの2つのコアの電気ジョイントを作製するように組み立てられた電気ジョイントキット3の構成要素を収容するように構成される。内側水密ケーシング5aは、海底電力ケーブルのそれぞれのコアを受け入れるために、各軸方向端部に1つずつ、2つの開口部を有する。開口部は、適応剛性シージョイントキット1を使用することができる広範囲の海底電力ケーブル内で任意の海底電力ケーブルのコアを受け入れることができるように十分に大きい。
【0059】
各内側水密ケーシングキット5は、円錐または径違いカップリング5bの形態の適応構成要素のセットを備える。径違いカップリング5bは、円錐形または円錐台形部分と円筒形セクションとを有することができる。このセットは、異なる設計および/またはサイズの海底電力ケーブルに適合するように異なる内径および/または設計を有する複数の円錐または径違いカップリング5bを備える。例えば、このセットでは、径違いカップリング5bのいくつかの円筒形セクションは、互いに異なる内径を有することができ、それぞれが特定のサイズの海底電力ケーブルに適合するように構成される。本明細書では、セットは、各サイズ/設計について、内側水密ケーシング5aのそれぞれの軸方向端部に接続するための同じ内径および/または設計を有する2つの径違いカップリング5bを備えることができる。各円錐または径違いカップリング5bは、内側水密ケーシング5aに水密に取り付けられ、海底電力ケーブルのコアの金属遮水層を円錐または径違いカップリング5bに水密に取り付けることを可能にするように構成される。各円錐または径違いカップリング5bは、例えば溶接によって、水密内側ケーシング5aの開口部の1つに接続することができる。円錐または径違いカップリング5bは、金属遮水層を円錐または径違いカップリング5bにはんだ付けするためのはんだ円錐/径違いカップリングであってもよい。
【0060】
適応剛性シージョイントキット1から剛性シージョイントを作製する際に、電気ジョイントと内側水密ケーシング5aとの間の空間に砂を充填してもよい。
【0061】
図1は、光ファイバジョイントキット7の構成要素から作製された光ファイバジョイントを示す際に、光ファイバジョイントキット7の構成要素の一部のみを示している。
【0062】
光ファイバジョイントキット7は、2つのベース構成要素、すなわちスプライスカセット7aと、スプライスカセット7aを収容するように構成された圧縮カセット7bとを備える。スプライスカセット7aは、2つの光ファイバケーブルのスプライス接続された光ファイバを保持するように構成されている。圧縮カセット7bは、スプライスカセット7aの外側に水密ケーシングを形成する。
【0063】
ベース構成要素は、複数の異なるサイズの/およびまたは設計の光ファイバケーブルと共に使用されるように構成される。したがって、ベース構成要素は汎用構成要素である。
【0064】
圧縮カセット7bは、スプライス接続される2つの光ファイバケーブルを圧縮カセット7b内に導くことができる貫通開口部を有する。
【0065】
光ファイバジョイントキット7は、2セットの適応構成要素を備える。2セットの適応構成要素の部材は、特定の種類および/またはサイズの光ファイバケーブルと共に使用されるように構成される。適応構成要素のセットのうちの1つは、内側ケーブルグランド(図示せず)および外側ケーブルグランド7cを備える。内側ケーブルグランドおよび外側ケーブルグランド7cは、異なる内径との封止および/または異なる光ファイバケーブル設計のための封止を提供する。各外側ケーブルグランド7cは、圧縮カセット7bの貫通開口部に外側からねじ込まれるように構成されている。各内側ケーブルグランドは、圧縮カセット7bの貫通開口部に内側からねじ込まれるように構成されている。内側ケーブルグランドおよび外側ケーブルグランド7cは、剥離可能な内側シール構造を有することができる。封止構造体は、特定の光ファイバケーブルの直径に適合するように層状に選択的に剥離することができる。さらに、このセットは、追加的に、または内側および外側ケーブルグランドの代わりに、埋め込み用樹脂を含んでもよい。埋め込み用樹脂は、圧縮カセット7bと光ファイバケーブルとの間の水密性を確保するために、最大直径の光ファイバケーブルに、または光ファイバケーブルが装甲を備える場合に使用されてもよい。
【0066】
光ファイバジョイントキット7の適応構成要素の別のセットは、電気接続キットである。電気接続キットは、2つの光ファイバケーブル間に電気接続を提供するために、金属管および/または光ファイバケーブルの装甲に接続されるように構成された異なるサイズのクランプを備える。電気接続キットはまた、アルミニウム装甲が存在する場合、前述のクランプの代替としてケーブルラグを備える。
【0067】
電気接続キットは、クランプおよび/またはケーブルラグの間、したがって接続される光ファイバケーブルの間の電気接続のためにクランプおよび/またはケーブルラグが接続され得るバスバーおよび/またはアース線を備えることができる。さらに、電気接続キットは、バスバーまたはアース線(複数可)を圧縮カセット7bに電気的に絶縁または電気的に接続することを可能にする追加の構成要素を備えてもよい。
【0068】
剛性外側機械的ケーシングキット9は、剛性外側機械的ケーシング9aの形態の第1のベース構成要素を備える。剛性外側機械的ケーシング9aは、鋼、例えばステンレス鋼などの金属製である。剛性外側機械的ケーシング9aは、海底電力ケーブルのコアと、1つまたは複数の光ファイバジョイントキット7から組み立てられた1つまたは複数の光ファイバジョイント13(図2に示す)との電気ジョイントの周りに水密カバーを作成するように組み立てられた内側水密ケーシングキット5の要素を収容するように構成される。
【0069】
剛性外側機械的ケーシングキット9は、屈曲制限器15(図3に示す)および/または屈曲補剛材の形態の1つまたは複数の追加のベース構成要素を備えることができる。屈曲制限器15または屈曲補剛材は、剛性外側機械的ケーシング9aのそれぞれの軸方向端部に接続されるように構成される。屈曲制限器15または屈曲補剛材は、この場合、それぞれの海底電力ケーブルセクションの周りに配置され、剛性外側機械的ケーシング9aの近くでこれらのセクションの屈曲を制限する。
【0070】
剛性外側機械的ケーシングキット9は、異なるサイズおよび/または設計の装甲固定フランジ9bの形態の適応構成要素の第1のセットを備える。
【0071】
装甲固定フランジ9bは、剛性外側機械的ケーシング9および海底電力ケーブルの装甲に接続されるように構成される。装甲固定フランジ9bは、装甲の装甲ワイヤを溶接可能な溶接フランジ、または、装甲ワイヤをクランプするように構成される締付フランジである。
【0072】
剛性外側機械的ケーシング9aは、その軸方向端部にそれぞれの海底電力ケーブルを受け入れるように構成されたそれぞれの貫通開口部を有する。各装甲固定フランジ9bは、貫通開口部の1つの周りで剛性外側機械的ケーシング9aに取り付けられるように構成される。装甲固定フランジ9bは、異なる外径を有する異なる海底電力ケーブルを収容するために異なる内径を有することができる。調整された剛性シージョイントを構築する場合、貫通開口部ごとに1つずつ、2つの装甲固定フランジ9bのみが使用される。これらは、接合される海底電力ケーブルのサイズおよび/または設計に基づいて選択される。
【0073】
剛性外側機械的ケーシングキット9は、異なる材料の細長い装甲要素のサブセットの形態の適応構成要素の第2のセットを備えることができる。これらの装甲要素は、海底電力ケーブルの一部分の周りにねじることができる装甲ワイヤであってもよい。適切な長さに予め切断される細長い装甲要素のサブセットの代替として、サブセットは、細長い装甲要素のロールまたはドラムを含むことができ、そこから細長い装甲要素を巻き出し、例えば剛性シージョイントが構築される時点で適切な長さに切断することができる。装甲要素は、装甲固定フランジが剛性外側機械的ケーシング9aに取り付けられた後に、装甲固定フランジ9bに溶接されてもよい。剛性外側機械的ケーシングキット9はまた、追加の装甲プレートの形態で適応構成要素の第3のセットを備えてもよい。環状であってもよい各追加の装甲プレートは、剛性外側機械的ケーシング9aの端部から約3~6m離れた海底電力ケーブルの装甲の周りに配置されるように構成される。装甲要素が装甲固定フランジ9bに取り付けられ、剛性外側機械的ケーシング9bから延在する海底電力ケーブルの端部セクションの周りに螺旋状に配置されている場合、装甲要素の端部は、追加の装甲プレートに取り付けられてもよい。このようにして、接合される海底電力ケーブルは、海底電力ケーブルの周りにねじれて延在するために、装甲要素の延伸に対応する長さの二重装甲を有する。装甲要素は、例えば、約3~6mの長さの二重装甲を提供することができる。
【0074】
剛性外側機械的ケーシングキット9は、1つまたは複数の剛性外側機械的ケーシング延伸要素9cの形態の適応構成要素の第3のセットを備えることができる。剛性外側機械的ケーシング延伸要素(複数可)9cは、剛性外側機械的ケーシング9の軸方向長さを延ばすために使用することができる。これにより、接合を準備するとき、および/または大きな硬い海底電力ケーブルを取り扱うために作業するため剛性外側機械的ケーシング9内により多くの空間を作り出すことができる。さらに、剛性外側機械的ケーシング延伸要素(複数可)9cは、交換可能な装甲固定フランジならびに適応構成要素の任意選択の第2および第3のセットと共に、個々の海底電力ケーブル用に剛性シージョイントの一部を再設計する必要がなく、それでもなお広範囲の海底電力ケーブルを最小数の適応構成要素で覆うことができることを保証する。
【0075】
図2は、2つの三相海底電力ケーブルを接合するためのキット3、5、7、および9から構築された剛性シージョイント11の一例を示す。
【0076】
図3は、接合された2つの海底電力ケーブル17aおよび17bの周りの、剛性外側機械的ケーシング9aのそれぞれの端部に取り付けられた屈曲制限器15を有する剛性シージョイント11を示す。
【0077】
図4は、2つの海底電力ケーブル17aおよび17bを接合するための1つまたは複数の剛性シージョイント11のための構成要素を適応剛性シージョイントキット1から選択する方法のフローチャートを示す。典型的には、適応剛性シージョイントキット1は、例えば適応剛性シージョイントキット1の製造業者の倉庫に既製の構成要素として保管されてもよい。2つの海底電力ケーブルを接合するために構成要素を選択する場合、各ベース構成要素の少なくとも1つがキット3、5、7、および9の各々から選択される。海底電力ケーブル17aおよび17bがN個のコアを有し、Nが1より大きい場合、少なくともN個の同一のベース構成要素、すなわちコアごとに少なくとも1つが各キット3および5から選択される。また、適応構成要素は、構成要素が選択される2つの海底電力ケーブル17aおよび17bの設計およびサイズに基づいて、キット3、5、7、および9の適応構成要素のセットから選択される。このようにして、2つの海底電力ケーブルを接合するための調整された剛性シージョイントを構築するため構成要素の調整されたキットを選択することができる。
【0078】
修理のために、典型的には、2つの調整された剛性シージョイントが作製されなければならないので、すなわち、2つの海底電力ケーブルを接合するために使用される予備ケーブルの各端部に、2つの調整されたキットが使用される。修理の例では、図3において、海底電力ケーブル17aおよび17bの一方は予備ケーブルであり、他方は修理中の損傷した海底電力ケーブルの一端である。例えば天候の変化によって接合作業が中断された場合、追加の調整されたキットを予備キットとして準備することができる。
【0079】
調整されたキットは、設計が同一または異なる接合/修理される2つの海底電力ケーブル、または複数の異なる設計および/またはサイズを有する3つ以上の海底電力ケーブルに対して選択することができる。必要な数のベース構成要素および適切な適応構成要素は、1つまたは複数の適応剛性シージョイントキット1から選択することができる。
【0080】
調整されたキット(複数可)は、海底電力ケーブルの事業者/所有者によって保管されてもよく、または新しい海底電力ケーブルのケーブル敷設中の修理または接合の場合にオンデマンドで現場に出荷されてもよい。
【0081】
適応剛性シージョイントキット1ならびに調整されたキットは、テープなどの消耗材料、および剛性シージョイントを作製するための工具をさらに備えることができる。
【0082】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義される、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】