(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155764
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】発電セル及び燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0273 20160101AFI20241024BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20241024BHJP
H01M 8/0232 20160101ALI20241024BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M8/0273
H01M8/0276
H01M8/0232
H01M8/2483
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061935
(22)【出願日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】202310423055.2
(32)【優先日】2023-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】小山 賢
(72)【発明者】
【氏名】大久保 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 之人
(72)【発明者】
【氏名】新井 郁矢
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 夏海
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 穣
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126AA13
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE06
5H126EE22
5H126EE23
5H126FF05
5H126GG02
5H126GG18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造コストを抑えつつ流体の漏れを効果的に防止することができる発電セル及び燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック12の発電セル10は、冷却媒体供給連通孔18aと冷却媒体流路70とを互いに連通させるトンネル76aを備える。トンネルは、第1金属セパレータ22から樹脂枠部30に向かって突出する第1凸部と、第1樹脂シール部材48が配置される第1シール配置面を含む第1配置部とを有する。第1シール配置面は、第1凸部の突出方向の第1端面よりも樹脂枠部とは反対方向に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の両側に電極が配設されることにより形成された膜電極接合体と、前記膜電極接合体の外周部から外方に突出すると共に当該膜電極接合体を囲む樹脂枠部とを有する樹脂枠付き膜電極接合体と、
前記樹脂枠付き膜電極接合体の両側に配設された金属セパレータと、
前記樹脂枠部と前記金属セパレータとの間に配設された弾性変形可能な樹脂シール部材と、
を備え、
前記金属セパレータには、
酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体を前記金属セパレータの厚さ方向に流通させる流体連通孔と、
前記流体を前記金属セパレータの面方向に流通させる流体流路と、
前記流体連通孔と前記流体流路とを互いに連通させるトンネルと、
が設けられた発電セルであって、
前記樹脂シール部材は、前記トンネルの内部を流通する前記流体の流通方向と交差する方向に当該トンネルを跨ぐように配置され、
前記トンネルは、
前記金属セパレータから前記樹脂枠部に向かって突出する凸部と、
前記樹脂シール部材が配置されるシール配置面を含む配置部と、
を有し、
前記シール配置面は、前記凸部の突出方向の端面よりも前記樹脂枠部とは反対方向に位置する、発電セル。
【請求項2】
請求項1に記載の発電セルであって、
前記樹脂シール部材は、
一方の前記金属セパレータの前記シール配置面である第1シール配置面に配置された第1樹脂シール部材と、
他方の前記金属セパレータの前記シール配置面である第2シール配置面に配置された第2樹脂シール部材と、
を有し、
前記第1シール配置面と前記第2シール配置面とは、前記厚さ方向から見て互いに重ならないように前記流通方向にオフセットしている、発電セル。
【請求項3】
請求項2に記載の発電セルであって、
前記第1樹脂シール部材は、
前記流体連通孔を囲む第1連通孔シール部と、
前記一方の金属セパレータの前記流体流路を囲む第1流路シール部と、
を含み、
前記第2樹脂シール部材は、
前記流体連通孔を囲む第2連通孔シール部と、
前記他方の金属セパレータの前記流体流路を囲む第2流路シール部と、
を含み、
前記第2シール配置面は、
前記第1シール配置面よりも外方に位置する外側シール配置面と、
前記第1シール配置面よりも内方に位置する内側シール配置面と、
を有し、
前記第2連通孔シール部は、前記外側シール配置面に配置され、
前記第2流路シール部は、前記内側シール配置面に配置されている、発電セル。
【請求項4】
請求項1に記載の発電セルであって、
前記シール配置面は、平坦に形成されると共に前記金属セパレータの前記樹脂枠部を向く表面に面一に繋がる、発電セル。
【請求項5】
請求項1に記載の発電セルが複数積層された、燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電セル及び燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する燃料電池スタックに関する研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹脂枠付き膜電極接合体と、樹脂枠付き膜電極接合体の両側に配設された金属セパレータとを備えた発電セルが開示されている。金属セパレータには、酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体の漏れを防止するためにシール部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造コストを抑えつつ流体の漏れを効果的に防止することができる発電セル及び燃料電池スタックが求められている。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、電解質膜の両側に電極が配設されることにより形成された膜電極接合体と、前記膜電極接合体の外周部から外方に突出すると共に当該膜電極接合体を囲む樹脂枠部とを有する樹脂枠付き膜電極接合体と、前記樹脂枠付き膜電極接合体の両側に配設された金属セパレータと、前記樹脂枠部と前記金属セパレータとの間に配設された弾性変形可能な樹脂シール部材と、を備え、前記金属セパレータには、酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体を前記金属セパレータの厚さ方向に流通させる流体連通孔と、前記流体を前記金属セパレータの面方向に流通させる流体流路と、前記流体連通孔と前記流体流路とを互いに連通させるトンネルと、が設けられた発電セルであって、前記樹脂シール部材は、前記トンネルの内部を流通する前記流体の流通方向と交差する方向に当該トンネルを跨ぐように配置され、前記トンネルは、前記金属セパレータから前記樹脂枠部に向かって突出する凸部と、前記樹脂シール部材が配置されるシール配置面を含む配置部と、を有し、前記シール配置面は、前記凸部の突出方向の端面よりも前記樹脂枠部とは反対方向に位置する、発電セルである。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様による発電セルが複数積層された、燃料電池スタックである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、製造コストを抑えつつ流体の漏れを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池スタックの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1金属セパレータの平面図である。
【
図3】
図3は、第2金属セパレータの平面図である。
【
図4】
図4は、冷却媒体導入部の断面斜視説明図である。
【
図6】
図6は、冷却媒体導入部の断面斜視説明図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る発電セル10及び燃料電池スタック12について図面を用いて以下に説明する。本実施形態に係る燃料電池スタック12は、例えば、図示しない車両に搭載される。なお、燃料電池スタック12の用途は特に限定されない。
【0012】
図1に示すように、燃料電池スタック12は、複数の発電セル10が矢印A方向に互いに積層されることにより形成されている。発電セル10には、図示しない締結部材等によって積層方向(矢印A方向)の圧縮荷重(締付荷重)が付与される。
【0013】
発電セル10は、横長の長方形状に形成されている。なお、発電セル10の形状は、特に限定されず、例えば、縦長の長方形状に形成されてもよいし、正方形状に形成されてもよい。発電セル10は、一方の反応ガスである燃料ガスと他方の反応ガスである酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する。燃料ガスは、例えば、水素含有ガスである。酸化剤ガスは、例えば、酸素含有ガスである。発電セル10には、発電セル10を冷却するための冷却媒体が流通する。冷却媒体は、例えば、純水、エチレングリコール、オイル等である。
【0014】
各発電セル10には、酸化剤ガス供給連通孔14a、酸化剤ガス排出連通孔14b、燃料ガス供給連通孔16a、燃料ガス排出連通孔16b、冷却媒体供給連通孔18a、冷却媒体排出連通孔18bが積層方向(矢印A方向)に貫通形成されている。
【0015】
発電セル10の長辺方向の一端縁部(矢印B1方向の端縁部)には、酸化剤ガス供給連通孔14aと、冷却媒体供給連通孔18aと、燃料ガス排出連通孔16bとが設けられている。酸化剤ガス供給連通孔14aと、冷却媒体供給連通孔18aと、燃料ガス排出連通孔16bとは、発電セル10の短辺方向(矢印C方向)に並んでいる。
【0016】
酸化剤ガス供給連通孔14aには、酸化剤ガスが矢印A2方向に向かって流通する。冷却媒体供給連通孔18aには、冷却媒体が矢印A2方向に向かって流通する。燃料ガス排出連通孔16bには、燃料ガスが矢印A1方向に向かって流通する。
【0017】
発電セル10の長辺方向の他端縁部(矢印B2方向の端縁部)には、燃料ガス供給連通孔16aと、冷却媒体排出連通孔18bと、酸化剤ガス排出連通孔14bとが設けられている。燃料ガス供給連通孔16aと、冷却媒体排出連通孔18bと、酸化剤ガス排出連通孔14bとは、矢印C方向に並んでいる。
【0018】
燃料ガス供給連通孔16aには、燃料ガスが矢印A2方向に向かって流通する。冷却媒体排出連通孔18bには、冷却媒体が矢印A1方向に向かって流通する。酸化剤ガス排出連通孔14bには、酸化剤ガスが矢印A1方向に向かって流通する。
【0019】
酸化剤ガス供給連通孔14a、酸化剤ガス排出連通孔14b、燃料ガス供給連通孔16a、燃料ガス排出連通孔16b、冷却媒体供給連通孔18a及び冷却媒体排出連通孔18bは、酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体を矢印A方向に流通させる流体連通孔である。酸化剤ガス供給連通孔14a、酸化剤ガス排出連通孔14b、燃料ガス供給連通孔16a、燃料ガス排出連通孔16b、冷却媒体供給連通孔18a及び冷却媒体排出連通孔18bの配置、形状及び大きさは、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
【0020】
発電セル10は、樹脂枠付き膜電極接合体20と、第1金属セパレータ22と、第2金属セパレータ24とを備える。第1金属セパレータ22は、樹脂枠付き膜電極接合体20の一方の面(矢印A2方向の面)に配設されている。第2金属セパレータ24は、樹脂枠付き膜電極接合体20の他方の面(矢印A1方向の面)に配設されている。第1金属セパレータ22及び第2金属セパレータ24は、矢印A方向から樹脂枠付き膜電極接合体20を挟持する。
【0021】
第1金属セパレータ22と第2金属セパレータ24とが互いに接合されることにより接合セパレータ26が形成される。接合セパレータ26には、第1金属セパレータ22と第2金属セパレータ24とを互いに気密及び液密に接合する図示しない接合ラインが設けられる。接合ラインは、接合セパレータ26の外周縁部を囲む。また、接合ラインは、各流体連通孔(酸化剤ガス供給連通孔14a等)を囲む。樹脂枠付き膜電極接合体20と接合セパレータ26とは、矢印A方向に交互に積層されている。
【0022】
樹脂枠付き膜電極接合体20は、膜電極接合体28(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、樹脂枠部30とを有する。膜電極接合体28は、電解質膜32と、第1電極34、第2電極36とを含む。電解質膜32は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜32は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。電解質膜32は、第1電極34及び第2電極36に挟持される。
【0023】
第1電極34は、電解質膜32の一方の面(矢印A2方向の面)に設けられたアノード電極である。第2電極36は、電解質膜32の他方の面(矢印A1方向の面)に設けられたカソード電極である。第1金属セパレータ22は、第1電極34に向かい合うように配置されている。第2金属セパレータ24は、第2電極36に向かい合うように配置されている。
【0024】
第1電極34は、第1電極触媒層と第1ガス拡散層とを有する。第1電極触媒層は、電解質膜32の一方の面に接合される。第1ガス拡散層は、第1電極触媒層に積層される。第2電極36は、第2電極触媒層と第2ガス拡散層とを有する。第2電極触媒層は、電解質膜32の他方の面に接合される。第2ガス拡散層は、第2電極触媒層に積層される。第1ガス拡散層及び第2ガス拡散層のそれぞれは、カーボンペーパ、カーボンクロス等により構成される。
【0025】
燃料ガス供給連通孔16aを流通する燃料ガスは、第1金属セパレータ22と樹脂枠付き膜電極接合体20との間に導かれることにより第1電極34に供給される。酸化剤ガス供給連通孔14aを流通する酸化剤ガスは、第2金属セパレータ24と樹脂枠付き膜電極接合体20との間に導かれることにより第2電極36に供給される。発電セル10は、第1電極34に供給された燃料ガスと第2電極36に供給された酸化剤ガスとによって発電する。
【0026】
第1金属セパレータ22と樹脂枠付き膜電極接合体20との間を流通した燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔16bに導かれる。第2金属セパレータ24と樹脂枠付き膜電極接合体20との間を流通した酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔14bに導かれる。なお、冷却媒体供給連通孔18aを流通する冷却媒体は、第1金属セパレータ22と第2金属セパレータ24との間を流通し、冷却媒体排出連通孔18bに導かれる。
【0027】
樹脂枠部30は、膜電極接合体28の外周部を囲む枠状のシートである。樹脂枠部30の内周端部は、膜電極接合体28の外周部に挟持されている。樹脂枠部30は、電気絶縁性を有する。
【0028】
樹脂枠部30の構成材料としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)及び変性ポリオレフィン等が挙げられる。
【0029】
樹脂枠部30の一端縁部(矢印B1方向の端縁部)には、酸化剤ガス供給連通孔14aと、冷却媒体供給連通孔18aと、燃料ガス排出連通孔16bとが設けられている。樹脂枠部30の他端縁部(矢印B2方向の端縁部)には、燃料ガス供給連通孔16aと、冷却媒体排出連通孔18bと、酸化剤ガス排出連通孔14bとが設けられている。
【0030】
樹脂枠付き膜電極接合体20の樹脂枠部30は、電解質膜32を第1電極34及び第2電極36の外周よりも外方に突出させることによって形成されてもよい。
【0031】
図1及び
図2に示すように、第1金属セパレータ22は、板状に形成されている。第1金属セパレータ22は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板又はアルミニウム板等の金属薄板である。第1金属セパレータ22には、防食処理が施されてもよい。第1金属セパレータ22は、長方形状に形成されている。第1金属セパレータ22の一端縁部(矢印B1方向の端縁部)には、酸化剤ガス供給連通孔14aと、冷却媒体供給連通孔18aと、燃料ガス排出連通孔16bとが設けられている。第1金属セパレータ22の他端縁部(矢印B2方向の端縁部)には、燃料ガス供給連通孔16aと、冷却媒体排出連通孔18bと、酸化剤ガス排出連通孔14bとが設けられている。第1金属セパレータ22は、金属板をプレス成形することにより形成される。
【0032】
第1金属セパレータ22は、樹脂枠付き膜電極接合体20を向く第1表面22aと、当該第1金属セパレータ22に隣接する発電セル10の第2金属セパレータ24を向く第1裏面22bとを有する。
【0033】
図2に示すように、第1金属セパレータ22の第1表面22aには、第1ガス流路(流体流路)38が形成されている。第1ガス流路38は、第1電極34に沿って燃料ガスを流通させる燃料ガス流路である。第1ガス流路38は、複数の第1流路凸部40と複数の第1流路溝42とを含む。第1流路凸部40と第1流路溝42とは、矢印C方向に交互に設けられている。第1流路凸部40及び第1流路溝42の各々は、矢印B方向に直線状に延在している。なお、第1流路凸部40及び第1流路溝42の各々は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0034】
第1ガス流路38は、燃料ガス導入部44を介して燃料ガス供給連通孔16aに連通している。第1ガス流路38は、燃料ガス導出部46を介して燃料ガス排出連通孔16bに連通している。燃料ガス導入部44及び燃料ガス導出部46の詳細な構成の説明については後述する。
【0035】
第1金属セパレータ22と樹脂枠部30との間には、第1樹脂シール部材48が配設されている。第1樹脂シール部材48は、第1金属セパレータ22の第1表面22aに固着されている。具体的には、第1樹脂シール部材48は、例えば、液状の樹脂材料をスクリーン印刷によって第1表面22aに塗布することによって形成される。なお、第1樹脂シール部材48は、液状の樹脂材料をディスペンサーによって第1表面22aに塗布することによって形成してもよい。また、第1樹脂シール部材48は、予め所定形状に形成された固体の樹脂材料を接着剤等によって第1表面22aに接着することによって形成してもよい。第1樹脂シール部材48は、樹脂枠部30に固着されてもよい。
【0036】
第1樹脂シール部材48は、酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体が樹脂枠付き膜電極接合体20と第1金属セパレータ22との間からの漏れを防止する。第1樹脂シール部材48は、ゴム材料によって構成されている。第1樹脂シール部材48の構成材料としては、例えば、EPDM(エチレン-プロピレンゴム)、NBR、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等が挙げられる。第1樹脂シール部材48は、四角形状の横断面を有する。
【0037】
第1樹脂シール部材48は、複数の第1連通孔シール部50a~50fと、第1流路シール部52とを含む。第1連通孔シール部50aは、燃料ガス供給連通孔16aを囲む。第1連通孔シール部50bは、燃料ガス排出連通孔16bを囲む。第1連通孔シール部50cは、酸化剤ガス供給連通孔14aを囲む。第1連通孔シール部50dは、酸化剤ガス排出連通孔14bを囲む。第1連通孔シール部50eは、冷却媒体供給連通孔18aを囲む。第1連通孔シール部50fは、冷却媒体排出連通孔18bを囲む。以下、複数の第1連通孔シール部50a~50fを単に「第1連通孔シール部50」と称呼することがある。
【0038】
第1流路シール部52は、第1連通孔シール部50a~50dと、第1ガス流路38とを囲む。なお、第1連通孔シール部50e、50fは、第1流路シール部52の外側に位置する。
【0039】
図1及び
図3に示すように、第2金属セパレータ24は、板状に形成されている。第2金属セパレータ24は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板又はアルミニウム板等の金属薄板である。第2金属セパレータ24には、防食処理が施されてもよい。第2金属セパレータ24は、長方形状に形成されている。第2金属セパレータ24の一端縁部(矢印B1方向の端縁部)には、酸化剤ガス供給連通孔14aと、冷却媒体供給連通孔18aと、燃料ガス排出連通孔16bとが設けられている。第2金属セパレータ24の他端縁部(矢印B2方向の端縁部)には、燃料ガス供給連通孔16aと、冷却媒体排出連通孔18bと、酸化剤ガス排出連通孔14bとが設けられている。第2金属セパレータ24は、金属板をプレス成形することにより形成される。
【0040】
第2金属セパレータ24は、樹脂枠付き膜電極接合体20を向く第2表面24aと、隣接する発電セル10の第1金属セパレータ22を向く第2裏面24bとを有する。
【0041】
図3に示すように、第2金属セパレータ24の第2表面24aには、第2ガス流路(流体流路)54が形成されている。第2ガス流路54は、第2電極36に沿って酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス流路である。第2ガス流路54は、複数の第2流路凸部56と複数の第2流路溝58とを含む。第2流路凸部56と第2流路溝58とは、矢印C方向に交互に設けられている。第2流路凸部56及び第2流路溝58の各々は、矢印B方向に直線状に延在している。なお、第2流路凸部56及び第2流路溝58の各々は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0042】
第2ガス流路54は、酸化剤ガス導入部60を介して酸化剤ガス供給連通孔14aに連通している。第2ガス流路54は、酸化剤ガス導出部62を介して酸化剤ガス排出連通孔14bに連通している。酸化剤ガス導入部60及び酸化剤ガス導出部62の詳細な構成の説明については後述する。
【0043】
第2金属セパレータ24と樹脂枠部30との間には、第2樹脂シール部材64が配設されている。第2樹脂シール部材64は、第2金属セパレータ24の第2表面24aに固着されている。具体的には、第2樹脂シール部材64は、例えば、液状の樹脂材料をスクリーン印刷によって第2表面24aに塗布することによって形成される。なお、第2樹脂シール部材64は、液状の樹脂材料をディスペンサーによって第2表面24aに塗布することによって形成してもよい。また、第2樹脂シール部材64は、予め所定形状に形成された固体の樹脂材料を接着剤等によって第2表面24aに接着することによって形成してもよい。第2樹脂シール部材64は、樹脂枠部30に固着されてもよい。
【0044】
第2樹脂シール部材64は、酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体が樹脂枠付き膜電極接合体20と第2金属セパレータ24との間からの漏れを防止する。第2樹脂シール部材64は、ゴム材料によって構成されている。第2樹脂シール部材64の構成材料としては、第1樹脂シール部材48の構成材料と同じ材料が挙げられる。第2樹脂シール部材64は、四角形状の横断面を有する。
【0045】
第2樹脂シール部材64は、複数の第2連通孔シール部66a~66fと、第2流路シール部68とを含む。第2連通孔シール部66aは、燃料ガス供給連通孔16aを囲む。第2連通孔シール部66bは、燃料ガス排出連通孔16bを囲む。第2連通孔シール部66cは、酸化剤ガス供給連通孔14aを囲む。第2連通孔シール部66dは、酸化剤ガス排出連通孔14bを囲む。第2連通孔シール部66eは、冷却媒体供給連通孔18aを囲む。第2連通孔シール部66fは、冷却媒体排出連通孔18bを囲む。以下、複数の第2連通孔シール部66a~66fを「第2連通孔シール部66」と称呼することがある。
【0046】
第2流路シール部68は、第2連通孔シール部66a~66dと、第2ガス流路54とを囲む。なお、第2連通孔シール部66e、66fは、第2流路シール部68の外側に位置する。
【0047】
図1に示すように、第1金属セパレータ22の第1裏面22bと第2金属セパレータ24の第2裏面24bとの間には、冷却媒体流路(流体流路)70が形成されている。冷却媒体流路70は、第1ガス流路38の裏面形状と第2ガス流路54の裏面形状とから形成されている。
【0048】
冷却媒体流路70は、冷却媒体導入部72を介して冷却媒体供給連通孔18aに連通している。冷却媒体流路70は、冷却媒体導出部74を介して冷却媒体排出連通孔18bに連通している。
【0049】
図4~
図7に示すように、冷却媒体導入部72は、複数のトンネル76aを有する。
図4及び
図6に示すように、トンネル76aは、矢印B方向に直線状に延在している。複数のトンネル76aは、矢印C方向に間隔を空けて配列されている。本実施形態では、冷却媒体導入部72は、4つのトンネル76aを有する。トンネル76aの数は、適宜設定可能であり、1つ又は複数(4つ以外)であってもよい。
【0050】
トンネル76aは、第1トンネル壁部78と、第2トンネル壁部80とを含む。第1トンネル壁部78は、第1金属セパレータ22に設けられている。第2トンネル壁部80は、第2金属セパレータ24に設けられている。第1トンネル壁部78と第2トンネル壁部80との間には、矢印B2方向に向かって冷却媒体が流通する連通路82が形成されている。連通路82は、第1屈曲部84と、第2屈曲部86とを有する。第1屈曲部84は、矢印B2方向に向かって矢印A2方向に傾斜する。第2屈曲部86は、矢印B2方向に向かって矢印A1方向に傾斜する。
【0051】
図4に示すように、第1トンネル壁部78は、第1凸部88と、第2凸部90と、第1配置部92とを含む。第1凸部88及び第2凸部90は、金属板をプレス成形することによって第1金属セパレータ22に一体に設けられている。第1凸部88は、冷却媒体供給連通孔18aから冷却媒体流路70側(矢印B2方向)に延びている(
図2参照)。第1凸部88は、第1金属セパレータ22の第1表面22aから樹脂枠部30(矢印A1方向)に向かって突出している。
【0052】
図4及び
図7に示すように、第1凸部88は、発電セル10の積層方向と直交する方向の断面形状が台形状に形成されている。第1凸部88の内部空間は、連通路82を形成する。第1凸部88の矢印B1方向の端部は、冷却媒体供給連通孔18aに開口している。第1凸部88の突出方向の第1端面100は、第1金属セパレータ22に隣接する樹脂枠部30に接触又は近接している。
【0053】
図4に示すように、第2凸部90は、第1凸部88から矢印B2方向に所定距離だけ離れて位置する。第2凸部90は、発電セル10の積層方向と直交する方向の断面形状が台形状に形成されている。第2凸部90の内部空間は、連通路82を形成する。第2凸部90の突出方向の第2端面108は、第1金属セパレータ22に隣接する樹脂枠部30に接触又は近接している。
【0054】
第1配置部92は、第1凸部88の矢印B2方向の端部と第2凸部90の矢印B1方向の端部とを互いに繋ぐ。第1配置部92は、第1樹脂シール部材48が配置される第1シール配置面110を有する。第1シール配置面110は、樹脂枠部30(矢印A1方向)を向く。第1シール配置面110には、第1連通孔シール部50eと第1流路シール部52とが配置される。第1連通孔シール部50eと第1流路シール部52とは、トンネル76aの内部(連通路82)を流通する冷却媒体の流通する方向と交差する方向(矢印C方向)にトンネル76aを跨ぐように配置されている(
図4及び
図5参照)。
【0055】
第1シール配置面110は、第1端面100及び第2端面108よりも樹脂枠部30とは反対方向(矢印A2方向)に位置する。第1シール配置面110は、平坦に形成されると共に第1金属セパレータ22の第1表面22aに面一に繋がっている。
【0056】
図6に示すように、第2トンネル壁部80は、第3凸部112と、第2配置部114とを有する。第3凸部112は、金属板をプレス成形することによって第2金属セパレータ24に一体に設けられている。第3凸部112は、矢印B方向に延在している。第3凸部112は、第2金属セパレータ24の第2表面24aから樹脂枠部30(矢印A2方向)に向かって突出している。
【0057】
図5及び
図6に示すように、第3凸部112は、発電セル10の積層方向と直交する方向の断面形状が台形状に形成されている。第3凸部112と第1配置部92とは、互いに離れた状態で向かい合っている。第3凸部112の内部空間は、連通路82を形成する。第3凸部112の内部空間は、第1凸部88の内部空間と第2凸部90の内部空間とに連通する。第3凸部112の突出方向の第3端面124は、第2金属セパレータ24に隣接する樹脂枠部30に接触又は近接している。
【0058】
図6に示すように、第2配置部114には、第2樹脂シール部材64が配置される第2シール配置面126を有する。第2配置部114は、外側配置部128と、内側配置部130とを含む。外側配置部128は、第3凸部112の矢印B1方向の端部に繋がっている。外側配置部128と第1凸部88とは、互いに離れた状態で向かい合っている。外側配置部128は、第2連通孔シール部66eが配置される外側シール配置面132を有する。外側シール配置面132は、樹脂枠部30(矢印A2方向)を向く。第2連通孔シール部66eは、トンネル76aの内部(連通路82)を流通する冷却媒体の流通する方向と交差する方向(矢印C方向)にトンネル76aを跨ぐように配置されている。
【0059】
外側シール配置面132は、第3端面124よりも樹脂枠部30とは反対方向(矢印A1方向)に位置する。外側シール配置面132は、第1シール配置面110よりも外方(矢印B1方向)に位置する。外側シール配置面132は、平坦に形成されると共に第2金属セパレータ24の第2表面24aに面一に繋がっている。
【0060】
内側配置部130は、第3凸部112の矢印B2方向の端部に繋がっている。内側配置部130と第2凸部90とは、互いに離れた状態で向かい合っている。内側配置部130は、第2流路シール部68が配置される内側シール配置面134を有する。第2流路シール部68は、トンネル76aの内部(連通路82)を流通する冷却媒体の流通する方向と交差する方向(矢印C方向)にトンネル76aを跨ぐように配置されている。
【0061】
内側シール配置面134は、樹脂枠部30(矢印A2方向)を向く。内側シール配置面134は、第3端面124よりも樹脂枠部30とは反対方向(矢印A1方向)に位置する。内側シール配置面134は、第1シール配置面110よりも内方に位置する。内側シール配置面134は、第2金属セパレータ24の第2表面24aに面一に繋がっている。第1シール配置面110と第2シール配置面126(外側シール配置面132及び内側シール配置面134)とは、トンネル76aの内部(連通路82)を流通する冷却媒体の流通方向(矢印B方向)にオフセットしている。
【0062】
図2及び
図3に示すように、冷却媒体導出部74は、複数のトンネル76bを有する。冷却媒体導出部74のトンネル76bは、冷却媒体導入部72のトンネル76aと同様に構成されている。冷却媒体導出部74のトンネル76bにおいて、冷却媒体導入部72のトンネル76aと同一の構成には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。後述する燃料ガス導入部44、燃料ガス導出部46、酸化剤ガス導入部60及び酸化剤ガス導出部62についても同様である。
【0063】
冷却媒体導出部74のトンネル76bでは、第1シール配置面110に第1連通孔シール部50fと第1流路シール部52とが配置されている(
図2参照)。また、トンネル76bでは、外側シール配置面132に第2連通孔シール部66fが配置されると共に内側シール配置面134に第2流路シール部68が配置される(
図3参照)。
【0064】
燃料ガス導入部44は、複数のトンネル140aを有する。
図2に示すように、燃料ガス導入部44のトンネル140aでは、第1シール配置面110に第1連通孔シール部50aが配置される。トンネル140aの第2凸部90には、トンネル140aの連通路82と第1ガス流路38とを連通させるための開口部142が形成されている。トンネル140aでは、第3凸部112よりも外方に位置する第2シール配置面126に第2連通孔シール部66aが配置される(
図3参照)。
【0065】
燃料ガス導出部46は、複数のトンネル140bを有する。燃料ガス導出部46のトンネル140bは、燃料ガス導入部44のトンネル140aと同様に構成される。燃料ガス導出部46のトンネル140bでは、第1シール配置面110に第1連通孔シール部50bが配置される。また、トンネル140bでは、第3凸部112よりも外方に位置する第2シール配置面126に第2連通孔シール部66bが配置される(
図3参照)。
【0066】
図2及び
図3に示すように、酸化剤ガス導入部60は、複数のトンネル144aを有する。酸化剤ガス導入部60のトンネル144aでは、第1トンネル壁部78が第2金属セパレータ24に設けられると共に第2トンネル壁部80が第1金属セパレータ22に設けられる。
図3に示すように、トンネル144aでは、第1シール配置面110に第2連通孔シール部66cが配置される。トンネル144aの第2凸部90には、トンネル144aの連通路82と第2ガス流路54とを連通させるための開口部146が形成されている。トンネル144aでは、第3凸部112よりも外方に位置する第2シール配置面126に第1連通孔シール部50cが配置される(
図2参照)。
【0067】
酸化剤ガス導出部62は、複数のトンネル144bを有する。酸化剤ガス導出部62のトンネル144bは、酸化剤ガス導入部60のトンネル144aと同様に構成される。酸化剤ガス導出部62のトンネル144bでは、第1シール配置面110に第2連通孔シール部66dが配置される。また、トンネル144bでは、第3凸部112よりも外方に位置する第2シール配置面126に第1連通孔シール部50dが配置される(
図2参照)。
【0068】
本発明は、上述した構成に限定されない。トンネル76a、76b、140a、140b、144a、144bにおいて、第1シール配置面110は、第1金属セパレータ22の第1表面22aよりも樹脂枠部30側に位置してもよい。また、トンネル76a、76b、140a、140b、144a、144bにおいて、第2シール配置面126は、第2金属セパレータ24の第2表面24aよりも樹脂枠部30側に位置してもよい。発電セル10は、第1ガス流路38に酸化剤ガスが流通されると共に第2ガス流路54に燃料ガスが流通されるように構成してもよい。
【0069】
上記実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0070】
(付記1)
本開示の発電セル(10)は、電解質膜(32)の両側に電極(34、36)が配設されることにより形成された膜電極接合体(28)と、前記膜電極接合体の外周部から外方に突出すると共に当該膜電極接合体を囲む樹脂枠部(30)とを有する樹脂枠付き膜電極接合体(20)と、前記樹脂枠付き膜電極接合体の両側に配設された金属セパレータ(22、24)と、前記樹脂枠部と前記金属セパレータとの間に配設された弾性変形可能な樹脂シール部材(48、64)と、を備え、前記金属セパレータには、酸化剤ガス、燃料ガス又は冷却媒体である流体を前記金属セパレータの厚さ方向に流通させる流体連通孔(14a、14b、16a、16b、18a、18b)と、前記流体を前記金属セパレータの面方向に流通させる流体流路(38、54、70)と、前記流体連通孔と前記流体流路とを互いに連通させるトンネル(76a、76b、140a、140b、144a、144b)と、が設けられた発電セルであって、前記樹脂シール部材は、前記トンネルの内部(82)を流通する前記流体の流通方向と交差する方向に当該トンネルを跨ぐように配置され、前記トンネルは、前記金属セパレータから前記樹脂枠部に向かって突出する凸部(88、90、112)と、前記樹脂シール部材が配置されるシール配置面(110、126)を含む配置部(92、114)と、を有し、前記シール配置面は、前記凸部の突出方向の端面(100、108、124)よりも前記樹脂枠部とは反対方向に位置する。
【0071】
このような構成によれば、金属セパレータの樹脂枠部を向く表面とシール配置面との間の段差(金属セパレータの厚さ方向の寸法)を小さくすることができる。或いは、金属セパレータの表面とシール配置面との間に段差を無くすことができる。これにより、発電セルに締付荷重が付与された状態で、金属セパレータの厚さ方向から見て、樹脂シール部材のうちのトンネルと重なる部分に過度なシール面圧が作用することを抑制できる。そのため、樹脂シール部材をトンネルの凸部の形状に対応した複雑な形状に形成しなくてもよくなる。よって、製造コストを抑えつつ流体の漏れを効果的に防止することができる。
【0072】
(付記2)
付記1に記載の発電セルであって、前記樹脂シール部材は、一方の前記金属セパレータの前記シール配置面である第1シール配置面(110)に配置された第1樹脂シール部材(48)と、他方の前記金属セパレータの前記シール配置面である第2シール配置面(126)に配置された第2樹脂シール部材(64)と、を有し、前記第1シール配置面と前記第2シール配置面とは、前記厚さ方向から見て互いに重ならないように前記流通方向にオフセットしてもよい。
【0073】
このような構成によれば、金属セパレータの厚さ方向から見て、トンネルの位置において、第1樹脂シール部材と第2樹脂シール部材とが互いに重ならない。そのため、金属セパレータの厚さ方向における発電セルの寸法を薄くできる。
【0074】
(付記3)
付記2に記載の発電セルであって、前記第1樹脂シール部材は、前記流体連通孔を囲む第1連通孔シール部(50)と、前記一方の金属セパレータの前記流体流路を囲む第1流路シール部(52)と、を含み、前記第2樹脂シール部材は、前記流体連通孔を囲む第2連通孔シール部(66)と、前記他方の金属セパレータの前記流体流路を囲む第2流路シール部(68)と、を含み、前記第2シール配置面は、前記第1シール配置面よりも外方に位置する外側シール配置面(132)と、前記第1シール配置面よりも内方に位置する内側シール配置面(134)と、を有し、前記第2連通孔シール部は、前記外側シール配置面に配置され、前記第2流路シール部は、前記内側シール配置面に配置されてもよい。
【0075】
このような構成によれば、一方の金属セパレータの流体流路と流体連通孔との間を第1流路シール部と第1連通孔シール部とによって二重にシールすることができる。また、他方の金属セパレータの流体流路と流体連通孔との間を第2流路シール部と第2連通孔シール部とによって二重にシールすることができる。
【0076】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載の発電セルであって、前記シール配置面は、平坦に形成されると共に前記金属セパレータの前記樹脂枠部を向く表面(22a、24a)に面一に繋がってもよい。
【0077】
このような構成によれば、金属セパレータの樹脂枠部を向く表面とシール配置面との間に段差が形成されないため、発電セルに締付荷重が付与された状態で、樹脂シール部材の面圧を略均一にすることができる。
【0078】
(付記5)
本開示の燃料電池スタック(12)は、付記1~4のいずれか1つに記載の発電セルが複数積層される。
【0079】
本開示について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、または、請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。また、これらの実施形態は、組み合わせて実施することもできる。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。また、上述した実施形態の説明に数値または数式が用いられている場合も同様である。
【符号の説明】
【0080】
10…発電セル 12…燃料電池スタック
14a…酸化剤ガス供給連通孔 14b…酸化剤ガス排出連通孔
16a…燃料ガス供給連通孔 16b…燃料ガス排出連通孔
18a…冷却媒体供給連通孔 18b…冷却媒体排出連通孔
20…樹脂枠付き膜電極接合体 22…第1金属セパレータ
22a…第1表面 24…第2金属セパレータ
24a…第2表面 28…膜電極接合体
30…樹脂枠部 32…電解質膜
34…第1電極 36…第2電極
38…第1ガス流路 48…第1樹脂シール部材
50…第1連通孔シール部 52…第1流路シール部
54…第2ガス流路 64…第2樹脂シール部材
66…第2連通孔シール部 68…第2流路シール部
70…冷却媒体流路
76a、76b、140a、140b、144a、144b…トンネル
82…連通路 88…第1凸部
90…第2凸部 92…第1配置部
100…第1端面 108…第2端面
110…第1シール配置面 112…第3凸部
114…第2配置部 124…第3端面
126…第2シール配置面 132…外側シール配置面
134…内側シール配置面