(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155768
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】肺線維症を緩和する植物抽出物とその調製方法及び応用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/28 20060101AFI20241024BHJP
A61K 36/32 20060101ALI20241024BHJP
A61K 36/31 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K36/28
A61K36/32
A61K36/31
A61P11/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062689
(22)【出願日】2024-04-09
(31)【優先権主張番号】202310440658.3
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524135989
【氏名又は名称】広東冠清檸生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】廖勁松
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB26
4C088AB31
4C088AB51
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC11
4C088BA07
4C088BA10
4C088MA07
4C088MA17
4C088MA52
4C088NA05
4C088NA06
4C088NA14
4C088ZA59
4C088ZC01
4C088ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】肺線維症を緩和する植物抽出物とその調製方法及び応用を提供する。
【解決手段】植物抽出物の調製方法は、(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合し、浸漬し、抽出した後に濾過してブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して抽出し、濾過してアーティチョーク抽出液を得るステップと、(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して超音波抽出した後にカイラン抽出液を得るステップと、(4)前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液を混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合し、浸漬し、抽出した後に濾過してブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、
(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して抽出し、濾過してアーティチョーク抽出液を得るステップと、
(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して超音波抽出した後にカイラン抽出液を得るステップと、
(4)前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液を混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法であって、
ステップ(1)における乾燥後のブラックチョークベリーの果実とエタノールとの比率は1g:5~10mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は70~80%であり、
ステップ(1)における前記浸漬の時間は、10~20hであり、
ステップ(1)における前記抽出の温度は50~60℃であり、前記抽出の回数は2~4回であり、1回の抽出時間は1~3hであり、
ステップ(2)における乾燥後のアーティチョークの花芽とエタノールとの比率は1g:8~15mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は60~70%であり、
ステップ(2)における前記抽出の温度は50~60℃であり、前記抽出の回数は1~2回であり、1回の抽出時間は2~3hであり、
ステップ(3)における乾燥後のカイランの根とエタノールとの比率は1g:5~10mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は60~80%であり、
ステップ(3)における前記超音波抽出の温度は40~50℃であり、前記超音波抽出の時間は0.5~2hであり、前記超音波抽出の出力は50~100Wであり、前記超音波抽出の周波数は40~60kHzであり、
ステップ(4)における前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の濃度は、抽出液1mL当たり乾燥原料0.5~1gで調製され、前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の体積比は1:1~3:1~2である、ことを特徴とする肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法。
【請求項2】
請求項1に記載の調製方法により調製して得られる植物抽出物。
【請求項3】
肺線維症を緩和する製品の調製における請求項2に記載の植物抽出物の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出の技術分野に関し、特に、肺線維症を緩和する植物抽出物とその調製方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
肺線維症は、炎症性損傷、組織構造の破壊を伴う、線維芽細胞の増殖及び大量の細胞外マトリックスの蓄積を特徴とする肺疾患の一大グループにおける末期変化であり、その主な症状は空咳、進行性の呼吸困難であり、運動後はさらに顕著となる。末期の患者には、めまい、唇や爪が紫色になること、運動が制限される等の低酸素症の症状が現れることがある。近年、肺線維症の罹患率と死亡率は年々増加しており、肺線維症の主な治療法には糖質コルチコイド、免疫抑制剤及び細胞毒性薬が使用されるが、上記薬剤の長期使用には多くの副作用があり、且つ治療効果は顕著ではない。臨床研究の結果は、糖質コルチコイドの治療を受けた肺線維症患者の生存率に明らかな変化がないことを示している。そのため、肺線維症を効果的に緩和する薬剤を見出すことは、目下解決すべき緊急の課題である。
【0003】
ブラックチョークベリー(Aronia melanocarpa(Michx.)Elliott)は、バラ科、アロニア属の落葉低木であり、その果実には、フラボノイド、アントシアニン及びポリフェノール等の物質が豊富に含まれ、その抽出物は、がん、糖尿病、心脳血管等の疾患の治療に役立つ。アーティチョーク(Cynara scolymus L.)は、キク科、チョウセンアザミ属の多年生草本植物であり、アーティチョークには、シナリン、アスパラギン及びフラボノイド等の物質が含まれ、定期的に摂取すると、肝臓と腎臓を保護し、肝臓の解毒を強化し、消化を促進し、血液循環を改善し、動脈硬化を予防し、心臓血管を保護する効果を有する。カイラン(Brassica oleracea var.albiflora Kuntze)は、アブラナ科、アブラナ属の一年生草本植物であり、その根、茎、葉は薬として利用され、解毒、喉の鎮静、順気化痰、喘息の緩和、コレステロールの低下、血管の軟化、心臓の予防等の効果がある。しかし、これまでの所、上記植物抽出物が肺線維症を緩和できるという報告はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、肺線維症を緩和する植物抽出物とその調製方法及び応用を提供することであり、本発明の調製方法により得られる植物抽出物は、肺線維症を緩和する作用を有し、且つ使用する植物由来成分は副作用が少なく、効果が顕著である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
本発明は、肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法を提供し、
(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合し、浸漬し、抽出した後に濾過してブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、
(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して抽出し、濾過してアーティチョーク抽出液を得るステップと、
(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して超音波抽出した後にカイラン抽出液を得るステップと、
(4)前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液を混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む。
【0007】
好ましくは、ステップ(1)における乾燥後のブラックチョークベリーの果実とエタノールとの比率は1g:5~10mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は70~80%である。
【0008】
好ましくは、ステップ(1)における前記浸漬の時間は10~20hであり、
前記抽出の温度は50~60℃であり、前記抽出の回数は2~4回であり、1回の抽出時間は1~3hである。
【0009】
好ましくは、ステップ(2)における乾燥後のアーティチョークの花芽とエタノールとの比率は1g:8~15mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は60~70%である。
【0010】
好ましくは、ステップ(2)における前記抽出の温度は50~60℃であり、前記抽出の回数は1~2回であり、1回の抽出時間は2~3hである。
【0011】
好ましくは、ステップ(3)における乾燥後のカイランの根とエタノールとの比率は1g:5~10mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は60~80%である。
【0012】
好ましくは、ステップ(3)における前記超音波抽出の温度は40~50℃であり、前記超音波抽出の時間は0.5~2hであり、前記超音波抽出の出力は50~100Wであり、前記超音波抽出の周波数は40~60kHzである。
【0013】
好ましくは、ステップ(4)における前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の濃度は、抽出液1mL当たり乾燥原料0.5~1gで調製され、前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の体積比は1:1~3:1~2である。
【0014】
本発明は、上記調製方法により調製して得られる植物抽出液をさらに提供する。
【0015】
本発明は、肺線維症を緩和する製品の調製における上記植物抽出液の応用をさらに提供する。
【0016】
従来技術と比較して、本発明の有益効果は以下のとおりである。
1、本発明の前記植物抽出物の調製方法は簡単であり、調製して得られる植物抽出物は、肺線維症モデルラットの体重を顕著に増加させ、モデルラットの肺係数及び肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量を顕著に減少させることができ、本発明の植物抽出物は、肺線維症の緩和に良好な作用を有することを示している。
2、本発明で使用するブラックチョークベリー、アーティチョーク及びカイランは、広範囲の供給源から得られ、コストが低く、毒性や副作用が少なく、幅広い応用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】モデルラットの体重に対する本発明の植物抽出物の影響である。
【
図2】モデルラットの肺係数に対する本発明の植物抽出物の影響である。
【
図3】モデルラットの肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量に対する本発明の植物抽出物の影響である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法を提供し、
(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合し、浸漬し、抽出した後に濾過してブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、
(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して抽出し、濾過してアーティチョーク抽出液を得るステップと、
(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して超音波抽出した後にカイラン抽出液を得るステップと、
(4)前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液を混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む。
【0019】
本発明において、ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合し、浸漬し、抽出した後に濾過してブラックチョークベリー抽出液を得るが、前記ブラックチョークベリーの果実の乾燥及び粉砕方法は、本分野における通常の方法を採用すればよい。
【0020】
本発明において、乾燥後のブラックチョークベリーの果実とエタノールとの比率は1g:5~10mLであり、好ましくは1g:6~9mLであり、さらに好ましくは1g:7~8mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は70~80%であり、好ましくは72~78%であり、さらに好ましくは74~76%である。
【0021】
本発明において、前記浸漬時間は10~20hであり、好ましくは12~18hであり、さらに好ましくは14~16hである。
【0022】
本発明において、前記抽出温度は50~60℃であり、好ましくは52~58℃であり、さらに好ましくは54~56℃であり、前記抽出の回数は2~4回であり、好ましくは3回であり、1回の抽出時間は1~3hであり、好ましくは1.5~2.5hであり、さらに好ましくは2hである。
【0023】
本発明において、前記濾過は、本分野における通常の濾過方法を採用すればよい。
【0024】
本発明において、アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して抽出した後に濾過してアーティチョーク抽出液を得るが、前記アーティチョークの花芽の乾燥及び粉砕方法は、本分野における通常の方法を採用すればよい。
【0025】
本発明において、乾燥後のアーティチョークの花芽とエタノールとの比率は1g:8~15mLであり、好ましくは1g:9~14mLであり、さらに好ましくは1g:10~12mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は60~70%であり、好ましくは62~68%であり、さらに好ましくは64~66%である。
【0026】
本発明において、前記抽出の温度は50~60℃であり、好ましくは52~58℃であり、さらに好ましくは54~56℃であり、前記抽出の回数は1~2回であり、1回の抽出時間は2~3hであり、好ましくは2.5hである。
【0027】
本発明において、前記濾過は、本分野における通常の濾過方法を採用すればよい。
【0028】
本発明において、カイランの根を乾燥させて粉砕し、エタノールと混合して超音波抽出した後にカイラン抽出液を得るが、前記カイランの根の乾燥及び粉砕方法は、本分野における通常の方法を採用すればよい。
【0029】
本発明において、乾燥後のカイランの根とエタノールとの比率は1g:5~10mLであり、好ましくは1g:6~9mLであり、さらに好ましくは1g:7~8mLであり、前記エタノールの体積百分率濃度は60~80%であり、好ましくは65~75%であり、さらに好ましくは68~72%である。
【0030】
本発明において、前記超音波抽出の温度は40~50℃であり、好ましくは42~48℃であり、さらに好ましくは44~46℃であり、前記超音波抽出の時間は0.5~2hであり、好ましくは1~1.5hであり、前記超音波抽出の出力が50~100Wであり、好ましくは60~90Wであり、さらに好ましくは70~80Wであり、前記超音波抽出の周波数は40~60kHzであり、好ましくは45~55kHzであり、さらに好ましくは48~52kHzである。
【0031】
本発明において、前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液を混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物が得られ、前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の濃度は、抽出液1mL当たり乾燥原料0.5~1gで調製され、好ましくは抽出液1mL当たり乾燥原料0.6~0.9gで調製され、さらに好ましくは抽出液1mL当たり乾燥原料0.7~0.8gで調製され、前記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の体積比は、好ましくは1:1~3:1~2である。
【0032】
本発明は、上記調製方法により調製して得られる植物抽出液をさらに提供する。
【0033】
本発明は、肺線維症を緩和する製品の調製における上記植物抽出液の応用をさらに提供する。
【0034】
以下に、実施例を合わせて本発明が提供する技術的解決手段を詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0035】
実施例1
本実施例は、肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法を提供し、
(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、ブラックチョークベリーの果実の粉末100gを秤量し、80体積%のエタノール500mLと混合し、室温で10h浸漬した後、50℃まで加熱して3h抽出し、濾過後の濾過残渣を80体積%のエタノール500mLを使用して50℃で3h抽出する。二回の濾液を合わせ、濾液を、濾液1mL当たり乾燥ブラックチョークベリーの果実0.5gの濃度に調製されるまで濃縮し、ブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、
(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、アーティチョークの花芽の粉末100gを秤量し、70体積%のエタノール800mLと混合し、50℃まで加熱して3h抽出し、濾過後の濾過残渣を70体積%のエタノール800mLを使用して50℃で3h抽出する。二回の濾液を合わせ、濾液を、濾液1mL当たりアーティチョークの花芽0.5gの濃度に調製されるまで濃縮し、アーティチョーク抽出液を得るステップと、
(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、カイランの根の粉末100gを秤量し、エタノール500mLと混合して超音波抽出し、超音波抽出のパラメーターは、温度40℃、時間2h、出力50W、周波数60kHzであり、濾過後の濾液の濃度は、濾液1mL当たり乾燥カイランの根0.5gに調製され、カイラン抽出液を得るステップと、
(4)上記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びキャベツ抽出液を体積比1:3:2で混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む。
【0036】
実施例2
本実施例は、肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法を提供し、
(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、ブラックチョークベリーの果実の粉末100gを秤量し、70体積%のエタノール1000mLと混合し、室温で20h浸漬した後、60℃まで加熱して1h抽出し、濾過後の濾過残渣をさらに2回抽出し、三回の濾液を合わせ、濾液を、濾液1mL当たり乾燥ブラックチョークベリーの果実0.8gの濃度に調製されるまで濃縮し、ブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、
(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、アーティチョークの花芽の粉末100gを秤量し、60体積%のエタノール1500mLと混合し、60℃まで加熱して2h抽出し、濾過後の濾過残渣を60体積%のエタノール1500mLを使用して60℃で2h抽出する。二回の濾液を合わせ、濾液を、濾液1mL当たりアーティチョークの花芽0.8gの濃度に調製されるまで濃縮し、アーティチョーク抽出液を得るステップと、
(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、カイランの根の粉末100gを秤量し、エタノール1000mLと混合して超音波抽出し、超音波抽出のパラメーターは、温度50℃、時間0.5h、出力100W、周波数40kHzであり、濾過後の濾液の濃度は、濾液1mL当たり乾燥カイランの根0.8gに調製され、カイラン抽出液を得るステップと、
(4)上記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びキャベツ抽出液を体積比1:2:2で混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む。
【0037】
実施例3
本実施例は、肺線維症を緩和する植物抽出物の調製方法を提供し、
(1)ブラックチョークベリーの果実を乾燥させて粉砕し、ブラックチョークベリーの果実の粉末100gを秤量し、75体積%のエタノール800mLと混合し、室温で15h浸漬した後、55℃まで加熱して2h抽出し、濾過後の濾過残渣を75体積%のエタノール800mLを使用して55℃で2h抽出する。二回の濾液を合わせ、濾液を、濾液1mL当たり乾燥ブラックチョークベリーの果実1gの濃度に調製されるまで濃縮し、ブラックチョークベリー抽出液を得るステップと、
(2)アーティチョークの花芽を乾燥させて粉砕し、アーティチョークの花芽の粉末100gを秤量し、65体積%のエタノール1000mLと混合し、55℃まで加熱して2.5h抽出し、濾過後の濾過残渣を65体積%のエタノール1000mLを使用して55℃で2.5h抽出する。二回の濾液を合わせ、濾液を、濾液1mL当たりアーティチョークの花芽1gの濃度に調製されるまで濃縮し、アーティチョーク抽出液を得るステップと、
(3)カイランの根を乾燥させて粉砕し、カイランの根の粉末100gを秤量し、エタノール800mLと混合して超音波抽出し、超音波抽出のパラメーターは、温度45℃、時間1h、出力80W、周波数50kHzであり、濾過後の濾液の濃度は、濾液1mL当たり乾燥カイランの根1gに調製され、カイラン抽出液を得るステップと、
(4)上記ブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びキャベツ抽出液を体積比1:2:1で混合し、肺線維症を緩和する植物抽出物を得るステップとを含む。
【0038】
比較例1
実施例1と比較すると、本比較例はカイラン抽出液を含まず、他の調製方法及びパラメーターは実施例1と同じである。
【0039】
比較例2
実施例1と比較すると、本比較例はブラックチョークベリー抽出液、アーティチョーク抽出液及びカイラン抽出液の体積比が1:1:1であり、他の調製方法及びパラメーターは実施例1と同じである。
【0040】
実験例1
本実験例は、ラットの体重及び肺係数に対する実施例1~3で調製して得られた植物抽出液の影響を調べており、方法は以下のとおりである。
【0041】
1.ラット肺線維症モデルの構築及び群分け
体重230g±10g、雄雌半分ずつの健康なSDラットを80匹選択し、ブランク群、モデル群、実施例1群、実施例2群、実施例3群、比較例1群、比較例2群、陽性対照群に分ける。各群には、ラット10匹が存在し、各群のラットは通常の方法で1週間飼育した後、各ラットに4%抱水クロラールを10mL/kgの量で腹腔内注射する。麻酔をかけたラットを仰臥位に固定し、ラットの首から毛を取り除き、ヨウ素アルコールで消毒し、縦切開により気管を露出させる。ブランク群を除き、各群のラットに、2つの気管軟骨輪の間の隙間から心臓端に向けて注射器で気管に1cm突き刺し、抵抗なく引き抜いた後、ブレオマイシンを5mg/kgで気管内に注入する。ブランク群に等量の生理食塩水を注入し、注射直後、ラットを5min直立させて回転させ、肺内に薬物を完全に行き渡らせ、各層の組織を縫合し、部分的にアルコールで消毒する。モデル構築後の24hに、ブランク群とモデル群のラットには、毎日生理食塩水を5mL/kgで胃内投与し、陽性対照群には、毎日酢酸プレドニゾンを5mg/kgで胃内投与し、実施例1~3群と比較例1~2群には、毎日対応する植物抽出物を5mL/kgで胃内投与し、28日間連続して胃内投与する。期間中、各群のラットは通常の方法で飼育する。
【0042】
2.検出指標
(1)体重:胃内投与の当日に各群のラットの体重を秤量し、7日ごとに各群のラットの体重を秤量する。
(2)肺係数:14日目、28日目に各群におけるラットを5匹屠殺し、肺組織を摘出して重量を秤量し、肺系数を計算する。肺係数=湿肺重量(mg)/体重(mg)×100%。
【0043】
3.実験結果
(1)体重測定結果
結果を表1と
図1で示す。表1と
図1から、ブランク群と比較すると、モデル群のラットの体重が顕著に減少し、且つその差が統計的に有意であることが分かる(P<0.05)。モデル群のラットと比較すると、実施例1~3群のラットの体重は顕著に増加し(P<0.05)、実施例1~3で調製して得られる植物抽出物が肺線維症モデルラットの体質を改善でき、ラットに対する肺線維症の影響を明らかに緩和できることを示している。
【0044】
【0045】
(2)肺係数測定結果
結果を表2と
図2で示す。表2と
図2から、ブランク群と比較すると、モデル群のラットの肺係数が顕著に増加し、且つその差が統計的に有意であることが分かる(P<0.05)。14日間及び28日間投与した後、モデル群のラットと比較すると、実施例1~3群のラットの肺係数は顕著に減少し(P<0.05)、実施例1~3で調製して得られる植物抽出物は、ブレオマイシン誘発のマウスの肺線維症を改善でき、モデルマウスの肺線維症の進行度を明らかに緩和できることを示している。
【0046】
【0047】
実験例2
本実験例では、肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量に対する、実施例1~3で調製して得られる植物抽出物の影響を調べた。
【0048】
ラット肺線維症モデルの構築及び群分けは実験例1に示され、各群のラットを28日間胃内投与後に屠殺し、ヒドロキシプロリン含有量キット(上海酵素生物技術有限公司より購入)を使用し、肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量を測定し、結果を表3と
図3で示す。
【0049】
表3と
図3から、ブランク群と比較すると、モデル群のラットの肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量が顕著に増加し、且つその差が統計的に有意であることが分かる(P<0.05)。モデル群のラットと比較すると、実施例1~3群のラットの肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量が顕著に減少した(P<0.05)。肺組織におけるヒドロキシプロリン含有量は、肺組織の線維化の程度を判断するための重要な指標の一つである。上記結果は、実施例1~3で調製して得られる植物抽出物は、モデルマウスの肺線維症の進行度を明らかに緩和できることを示している。
【0050】
【0051】
以上の実施例から分かるように、本発明は、肺線維症を緩和する植物抽出物とその調製方法及び応用を提供し、本発明の調製方法により得られる植物抽出物は、肺線維症を緩和する効果を有し、且つ使用する植物由来成分は副作用が少なく、効果が顕著である。
【0052】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない前提で、さらにいくつかの改良及び変更を行うことができ、それらの改良及び変更も本発明の保護範囲と見なされるべきである。