(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155776
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ギア歯の測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064403
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】23169043
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504269327
【氏名又は名称】クリンゲルンベルク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】シュテファー,ヨーナス
(72)【発明者】
【氏名】フィンケルダイ,マルクス
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065BB05
2F065CC05
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF10
2F065MM06
2F065PP01
2F065QQ28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機械加工マークを有するギアを光学的に測定するための改良された方法を提供する。
【解決手段】方法であって、部品(2)を提供する方法ステップであって、部品(2)がギア(3)を有しており、ギアの歯面(8)が機械加工マークを有する方法ステップと、山部及び谷部の高さの差、山部及び谷部の歯面固有の位置、オフセット等の機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴を決定する方法ステップと、部品(2)のギア(3)の光学的測定を実施する方法ステップであって、光学的測定のための測定経路のコース、及び/又は光学的測定のための測定点の位置が機械加工マークの幾何学的特徴を考慮して画定されており、及び/又は光学的測定の測定値の評価が機械加工マークの幾何学的特徴を考慮して実施される方法ステップとを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(2)を提供する方法ステップであって、前記部品(2)はギア(3)を有しており、
-前記ギアの歯面(8)は機械加工マーク(12)を有しており、
-前記機械加工マーク(12)は、ホブ加工、スカイビング加工等の、幾何学的に画定された切れ刃(11)を有する工具(4)を用いて、連続的な切屑除去ギア切削プロセスによって前記歯面(8)を製造することによって生じており、
-前記機械加工マーク(12)は、前記歯面(8)のそれぞれに、山部(B)及び谷部(T)を有するそれぞれの表面プロファイル(23)を形成しており、前記表面プロファイル(23)は、それぞれの場合において、前記連続的な切屑除去ギア切削プロセス中の前記切れ刃(11)の周期的な噛み合いによってそれぞれの前記歯面(8)上に生成されたものであり、
-歯幅方向(b)における前記機械加工マーク(12)の山部(B)と谷部(T)のそれぞれの位置は歯面固有であり、
-隣り合う歯面(8)の前記山部(B)及び前記谷部(T)は、前記歯幅方向(b)におけるそれらの歯面固有の位置に対して互いに相対的なオフセット(V)を有しており、前記オフセット(V)は、前記連続的な切屑除去ギア切削プロセス中に、前記歯幅方向(b)における前記工具(4)の軸方向前進の結果として生じたものである、
方法ステップと、
前記山部(B)及び前記谷部(T)の前記歯面固有の位置、前記オフセット(V)等、前記機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴を決定する方法ステップと、
前記部品(3)の前記ギア(3)の光学的測定を実施する方法ステップであって、
-前記光学的測定のための測定経路(22)のコース、及び/又は前記光学的測定のための測定点(M1、M2、M3)の位置が、前記機械加工マーク(12)の少なくとも1つの幾何学的特徴を考慮して画定され、及び/又は
-前記光学的測定の測定値の評価が、前記機械加工マーク(12)の少なくとも1つの幾何学的特徴を考慮して実施される、方法ステップと
を有する、方法。
【請求項2】
隣り合う歯面(8)の前記山部(B)及び前記谷部(T)の前記歯面固有の位置の前記オフセット(V)が、前記ギア(3)の全周にわたって見たときに、前記機械加工マーク(12)の螺旋状配置(24)を結果として生じており、
前記機械加工マーク(12)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴の前記決定は、前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の勾配(26)及び向きの決定を含んでおり、
前記光学的測定の実行は、前記測定経路(22)の特定を含んでおり、前記測定経路(22)は、少なくとも部分的に、前記ギア(3)の周囲に巻き回された測定用螺旋(22)として画定されており、前記測定用螺旋(22)は向き及び勾配(28)を有しており、
前記測定用螺旋(22)の前記勾配(28)及び向きが、前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)及び向きと少なくとも部分において同一に画定されており、及び/又は前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)及び/又は向きと少なくとも部分において異なって画定されている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)及び向きが、前記切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価を用いた計算によって決定されており、
及び/又は
前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)及び向きが、測定データの評価を用いた測定によって決定されており、
及び/又は
前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)及び向きが、比較可能な部品の切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価を用いた計算によって決定される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定用螺旋(22)の前記勾配(28)が、少なくとも部分において、前記機械加工マーク(12)の前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)の2倍より大きく対応しており、又は
前記測定用螺旋(22)の前記勾配(28)は、少なくとも部分において、前記機械加工マークの前記螺旋状配置(24)の前記勾配(26)の半分未満に対応している、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定用螺旋(22)が、前記ギア(3)の回転軸(R)に関連して1080°以下の角度範囲をカバーしており、特に、前記測定用螺旋(22)が、前記ギア(3)の回転軸(R)に関連して720°以下の角度範囲をカバーしており、
及び/又は
前記測定用螺旋(22)が、前記ギア(3)の歯幅に関連して前記ギア(3)の前記歯幅の50%以上、特に前記ギア(3)の前記歯幅の75%以上をカバーしている、
請求項2~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記山部(B)及び谷部は、互いに対して高さの差(f)を有しており、前記高さの差(f)は、前記切屑除去ギア切削プロセスで製造される前記歯面(8)の公称形状に対して垂直な方向で測定され、
歯面(8)から歯面(8)への測定点(M1、M2、M3)の評価が、それぞれの前記歯面(8)のそれぞれの機械加工マーク(12)の同じ高さ位置における前記機械加工マーク(12)のそれぞれについて見たとき、前記機械加工マーク(12)の前記高さの差(f)に沿って実施されており、及び/又は
歯面(8)から歯面(8)への測定点(M1、M2、M3)の検出が、それぞれの前記歯面(8)のそれぞれの機械加工マーク(12)の同じ高さ位置における前記機械加工マーク(12)のそれぞれについて見たとき、前記機械加工マーク(12)の前記高さの差(f)に沿って実施される、
請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記機械加工マーク(12)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴の前記決定は、前記山部(B)及び谷部(T)の前記高さの差(f)の決定を含んでいる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記機械加工マーク(12)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴の前記決定は、前記切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価に基づいて計算によって実施され、
及び/又は
前記機械加工マーク(12)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴の前記決定は、測定データの評価を用いて計量的に実施され、
及び/又は
前記機械加工マーク(12)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴の決定は、比較可能な部品の切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価に基づいて計算によって実施される、
請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
光学的距離センサが光学的距離測定に使用されており、
前記光学的距離センサは、共焦点クロマチック距離センサ等のポイントセンサである、
請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記歯面(8)のプロファイルライン(P1)は、光学的測定によって検出されており、
前記ギア(3)のピッチ(P)は、前記プロファイルライン(P1)を用いて決定される、
請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記ギア切削プロセスがソフト機械加工プロセスであり、及び/又は
前記部品(2)の前記ギア(3)の前記光学的測定は、前記ギア(3)の硬化前及び/又は硬化仕上げ前に行われており、及び/又は
前記ギア(3)がヘリカルギアである、
請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギア歯の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯車等のギアを有する部品は、製造されたギアの品質をチェックするために測定される。ギア歯の測定は、個々の機械加工工程の間、例えば、ソフト機械加工(ソフトマシニング)の後、及び/又は、硬化精密機械加工(ハード精密マシニング)の後に行うことができる。
【0003】
文献DE102016006957A1は、触覚的ギア歯測定のための方法を説明している。触覚的ギア歯測定は、例えばフィーラーボールを有する測定プローブによって行われる。触覚測定中、測定プローブのプローブボールは、個々の測定値を記録するため、又はそれぞれの歯面に沿った測定経路をたどるために、測定されるべきギア歯の歯面に接触させられる。
【0004】
文献DE102016006957A1によれば、ギアのホブ加工によるギアのソフト機械加工の結果として生じる送りマーク(送り痕)は、このようなホブ加工されたプレ切削部品の触覚測定を困難にさせる。文献DE102016006957A1によれば、特に非常に狭いギアの場合、測定プローブは、送りマークの谷間に特に案内されるが、測定中に歯接触から横方向に案内され、歯面との接触を失うリスクがある。これを回避するために、DE102016006957A1は、プローブが歯の空間から飛び出すのを防止するために、測定プローブをそれぞれの歯面の隣り合う送りマークの隣り合う谷の歯の中心に戻すよう移動させるジャンプ運動が実施されることを、記載している。
【0005】
文献DE102016006957A1に説明された手順は、ジャンプ動作の実行に時間がかかり、歯の形状によっては多数の追加測定動作を要求するという不利益を有する。
【0006】
ギア歯のより速い測定を可能とするために、触覚的ギア歯測定の代わりに、光学的測定システムが使用されることが知られている。本出願人に遡る文献DE102019107188A1及びEP4012329A1は、ギア歯の光学的測定用の方法を説明しており、光学的測定のギアへの適合ならびに光学的に記録された測定値の最適化された評価を規定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学的測定に関して、触覚測定用のDE102016006957A1で説明された測定プローブガイダンスの課題は、DE102019107188A1及びEP4012329A1に係る光学的測定ソリューションでは、光学的測定中にギアと光学センサとの間の接触がないので、役割を果たさないと想定された。
【0008】
しかしながら、光学的測定はまた、ソフト機械加工又はプレ切削の送りマークによって損なわれることが示されており、プレ切削部品の信頼性の高い光学的測定を可能にするためには、文献DE102019107188A1及びEP4012329A1の教示を超える光学的測定のさらなる適合が要求される。
【0009】
本出願人による調査によれば、光学的測定は、例えば、送りマークの谷状の輪郭に起因するプロービング角度の変化によって損なわれる。換言すれば、光学的測定ビームがそれぞれの送りマークに当たる点に依存して、それぞれの場合に異なるプロービング角度が生じ、歯面の表面は光学的測定システムの光軸で取り囲まれる。
【0010】
プロービング角度は、光学的測定システムを使用する測定点のイメージの品質に決定的な影響を与えるため、異なる測定点のイメージの品質が大きく異なり、問題の測定点が記録された送りマークの高さ位置によっては測定値を使用できない場合がある。
【0011】
記録される測定変数に応じて、問題の測定値がそれぞれの送りマークの山部又は谷部に割り当てられるのかがわからない場合、測定結果はまた送りマークによって改ざんされる。したがって、例えば、目盛り測定の結果が改ざんされ得る。
【0012】
同様の問題は、いわゆる包絡カット偏差についても生じる。文献では、区別がギアのホブ加工についての包絡カット偏差と送りマークとの間にしばしばなされる。包絡カット偏差と送りマークとの間の区別は、図の説明で詳しく説明される。
【0013】
原理的には,包絡カット偏差及び送りマークの両方は,幾何学的に画定された切れ刃を有する連続ギア切削プロセスでは,切れ刃の数が有限であるために,例えばインボリュート歯のような完全な歯形を達成することはできず,近似的にしか達成できないという事実に起因する。つまり、製造される歯面に沿った有限個の個々の切れ刃の並びから生じる偏差が常に存在することになる。
【0014】
包絡カット偏差及び送りマークは、「機械加工マーク(機械加工痕)」という総称の下で以下に要約されている。「機械加工マーク」という総称は、通常ギアのボブ加工に関連する「包絡カット偏差」及び「送りマーク」という用語だけでなく、ギアのスカイビング加工等の幾何学的に画定された切れ刃を有する他の連続的なギア切削加工から生じる歯面の構造又は偏差のすべても含んでいる。
【0015】
本発明は、機械加工マークを有するギアを光学的に測定するための改良された方法を提供するという技術的課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した技術的課題は、請求項1に記載の方法によって解決される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項及び以下の説明から得られる。
【0017】
本発明によれば、
部品を提供する方法ステップであって、該部品はギアを有し、ギアの歯面は機械加工マークを有し、機械加工マークは、ホブ加工、スカイビング加工等の、幾何学的に決定された切れ刃を有する工具を使用する連続的な切屑除去ギア切削プロセスによって歯面を製造することによって生成され、機械加工マークは、歯面のそれぞれに、それぞれの場合に連続的な切屑除去ギア切削プロセスの間に切刃の周期的な噛み合いによってそれぞれの歯面に生成される、山部(ピーク部)及び谷部を有するそれぞれの表面プロファイルを形成し、機械加工マークの歯幅方向における山部及び谷部の位置が歯面固有であり、隣り合う歯面の山部及び谷部が、歯幅方向におけるその歯面固有の位置に対して互いに相対的なオフセットを有しており、オフセットが連続的な切屑除去ギア切削プロセスの間に歯幅方向における工具の軸方向前進の結果として生成された、方法ステップと、
機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴、例えば、山部及び谷部の歯面固有の位置、オフセット等を決定する方法ステップと、
部品のギアの光学的測定を実施する方法ステップであって、光学的測定のための測定経路のコース及び/又は光学的測定のための測定点の位置が、機械加工マークの幾何学的特徴を考慮して画定され、及び/又は光学的測定の測定値の評価が機械加工マークの幾何学的特徴を考慮して実施される、方法ステップと
を有する、方法が提供される。
【0018】
本発明にしたがって、光学的測定又はその評価のために機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴を考慮に入れることによって、光学的測定及び/又はその評価が、したがって、機械加工マークを考慮に入れるように適合されるので、機械加工マークを有するギア歯が光学的に確実に測定され得る。
【0019】
特に、本発明に係る方法は、光学的測定が触覚的測定に比べて測定中の相対移動をより速くすることを許容し、さらに、時間単位当たり、例えば1秒当たり又は1分当たりに非常により多数の測定点が記録され得るので、機械加工マークを有するギア歯のより速い測定を可能とする。
【0020】
特に、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定は、機械加工マークの幾つかの幾何学的特徴の決定、すなわち、山部及び谷部の歯面固有の位置の決定及びオフセットの決定を含むことが、提供されてもよい。
【0021】
さらに、光学的測定のための測定経路のコース及び/又は光学的測定のための測定点の位置が、機械加工マークの幾何学的特徴を考慮することによって、すなわち、山部及び谷部の歯面固有の位置及びオフセットを考慮することによって、画定されることもまた提供されてもよい。
【0022】
代替的または付加的に、光学的測定の測定値の評価が、機械加工マークの幾何学的特徴を考慮することによって、すなわち、山部及び谷部の歯面固有の位置とオフセットとを考慮することによって、実施されることが提供されてもよい。
【0023】
本文章が、機械加工マークの「山部」及び「谷部」、又は複数の機械加工マークの「複数の山部」及び「複数の谷部」について言及するとき、これは、製造される歯面の公称形状に対して法線方向に測定された、それぞれの機械加工マークのそれぞれの最小延びすなわち谷部と、それぞれの最大延びすなわち山部とを指す。公称形状は、ギア設計の一部として理論的に特定されており、実用的なギア切削プロセスを使用して可能な限り正確に製造される、製造されるギアの歯面の形状を説明する。本明細書では、幾何学的に画定された切れ刃を有する工具を使用した連続切屑除去ギア切削プロセスで製造される公称形状が、山部及び谷部を決定するための基準として使用される。
【0024】
隣り合う歯面の山部及び谷部の歯面固有の位置のオフセットが、ギアの全周にわたって見たときに、加工痕の螺旋状の配置をもたらすこと、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定が、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きの決定を含むこと、光学的測定の性能が、測定経路の特定を含むこと、ここで、測定経路は少なくとも部分においてギアの周りに巻かれた測定用螺旋として画定され、測定用螺旋は向きと勾配を有し、測定用螺旋の勾配と向きは、少なくとも部分において、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きと同一に画定され、及び/又は、少なくとも部分において、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び/又は向きとは異なって画定されることが、提供される。
【0025】
測定用螺旋の勾配及び向きが、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きと同一になるように部分において画定されている場合、測定中に機械加工マークによって引き起こされる測定誤差を回避するために、記録された測定値が機械加工マークの画定された高さ位置で特別に記録されることが、この領域で確実にできる。特に、記録される測定点の少なくともサブセットが、測定用螺旋に沿って、互いに等しい間隔に、特に互いに等しい角度間隔に配置されることが提供されてもよい。
【0026】
測定用螺旋の勾配及び向きが、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きと同一であるように部分的に画定されていない場合、測定中に機械加工マークによって引き起こされる測定誤差を回避するために、記録された測定値が機械加工マークの画定された高さ位置で特に記録されることを、この領域で確実にできる。特に、記録される測定点の少なくともサブセットが、測定用螺旋に沿って、互いに等しい間隔に、特に互いに等しい角度間隔に配置されることが提供されてもよい。換言すれば、機械加工マークの螺旋状配置が既知である場合、螺旋状配置とは別に画定された測定用螺旋を使用することもでき、この測定用螺旋に沿って、測定中に機械加工マークによって引き起こされる測定誤差を回避するために、機械加工マークの画定された高さ位置で常に記録される測定値を記録できる。特に、記録される測定点の少なくともサブセットが、測定用螺旋に沿って、互いに等しい間隔に、特に互いに等しい角度間隔に配置されることが提供されてもよい。
【0027】
機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きは、切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価を用いた計算によって決定され得る。例えば、ギアのホブ加工又はスカイビング加工プロセスでは、工具形状、ギア、及び設定された送り速度等の送り動作を使用して、特定の歯面について切削位置、すなわち機械加工マークを計算できる。
【0028】
代替的又は付加的に、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きが、測定データの評価を用いた測定によって決定されることが提供されてもよい。螺旋状配置の勾配及び向きを決定するための測定データは、光学的測定の前又は測定中に記録できる。換言すれば、部品のギアの光学的測定が行われる前に、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きを計量的に記録するために、別の測定を最初に、すなわち光学的及び/又は触覚的に行うことができる。代替的に、部品のギアの光学測定中に、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きが決定され、光学的測定の測定値を評価するときに、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きが考慮されることが提供されてもよい。
【0029】
代替的又は付加的に、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きが、同等の部品の切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価を用いた計算によって決定されることが提供されてもよい。このようにして、同等のプロセスパラメータを有する製造プロセスを使用して、部品のギアの初期光学的測定を実施するために、ギアの機械加工マークの螺旋状配置がどの勾配及び向きを有する可能性があるかを推定できる。
【0030】
測定用螺旋の勾配が、少なくとも部分において、機械加工マークの螺旋状配置の勾配の2倍以上に相当する、又は、測定用螺旋の勾配が、少なくとも部分において、機械加工マークの螺旋状配置の勾配の半分未満に相当することが提供されてもよい。したがって、測定用螺旋は、機械加工マークの螺旋状配置の勾配から大きくずれるように選択され得る。
【0031】
本方法の一実施形態によれば、測定用螺旋がギアの回転軸に対して1080°以下の角度範囲をカバーすること、特に測定用螺旋がギアの回転軸に対して720°以下の角度範囲をカバーすることが提供されてもよい。このようにして、ギアの迅速な光学的測定が達成され得る。
【0032】
代替的又は付加的に、測定用螺旋がギアの歯幅の50%以上、特にギアの歯幅の75%以上をカバーすることが提供されてもよい。
【0033】
前述の側面が組み合わされる範囲において、例えば、実質的にギア全体の迅速な光学的測定を達成するために、つまりギアの全周に沿って歯幅の大部分に沿って測定値を迅速に取得するために、測定用螺旋がギアの回転軸に対して720°以下の角度範囲をカバーし、ギアの歯幅の75%以上をカバーすることが提供されてもよい。
【0034】
本方法の一実施形態によれば、山部と谷部とが互いに相対的な高さの差を有しており、高さの差が、切屑除去ギア切削プロセス中に生成される歯面の公称形状に垂直な方向において測定され、歯面から歯面への測定点の評価が、それぞれの歯面のそれぞれの機械加工マークの同じ高さ位置において、それぞれの機械加工マークについて見たときの機械加工マークの高さの差に沿って実施されることが提供されてもよい。このようにして、測定点の評価中に機械加工マークが測定結果に及ぼす影響を排除できるか、少なくとも大幅に低減できる。
【0035】
代替的又は付加的に、歯面から歯面への測定点の検出が、それぞれの歯面のそれぞれの機械加工マークの同じ高さ位置の機械加工マークのそれぞれについて見て、機械加工マークの高さの差に沿って実施されることが提供されてもよい。このようにして、測定点の取得中に、測定結果に対する機械加工マークの影響をすでに排除できるか、少なくとも大幅に低減できる。
【0036】
機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定が、山部と谷部との高さの差の決定を含むこととが提供されてもよい。
【0037】
機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定が、切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価に基づいて計算によって実施されることが提供されてもよい。例えば、ギアのホブ加工又はギアのスカイビング加工では、工具形状、ギア、及び設定された送り速度等の送り動作を用いて、切削位置、すなわち機械加工マークを歯面ごとに計算できる。機械加工マークの寸法、すなわち高さの差、幅、長さも計算できる。
【0038】
山部と谷部との高さの差の計算は、例えば、Klocke,Fritz及びBrecher,Christian著の“Zahnrad- und Getriebetechnik” (Gear and Transmission Technology), 1st edition,Hanser Verlag,2016,ISBN978-3-446-43068-6,page193,194に記載されている。本明細書では、高さの差を送りマーク深さと称する。
【0039】
代替的又は付加的に、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定は、測定データの評価を用いて計量的に実施されることが提供されてもよい。機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴を決定するための測定データは、光学的測定の前または測定中に記録され得る。換言すれば、部品のギアの光学的測定が実施される前に、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴を計量的に検出するために、別の測定を最初に、すなわち光学的及び/又は触覚的に実施できる。代替的に、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定は、部品のギアの光学的測定中に行われ、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴は、光学的測定の測定値を評価するときに考慮される。特に、切削位置、すなわち機械加工マークは、歯面ごとに測定され得る。さらに、機械加工マークの寸法、すなわち高さの差、幅、長さを計算できる。
【0040】
代替的又は付加的に、機械加工マークの少なくとも1つの幾何学的特徴の決定が、比較可能な部品の切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価に基づいて計算によって実施されることが提供されてもよい。
【0041】
光学的距離測定のために光学的距離センサが使用され、光学的距離センサが、共焦点クロマチック距離センサ等の点センサであることが提供されてもよい。
【0042】
本方法の一実施形態によれば、光学的測定によって歯面のプロファイルラインが検出され、例えば、プロファイルラインに基づいてギアのピッチが決定されることが提供されてもよい。本方法の一実施形態によれば、光学的測定によって歯面のフランクラインが検出されることが提供されてもよい。方法の一実施形態によれば、それぞれの歯面の測定グリッド及び/又は個々の測定点が、光学的測定によって検出されることが提供されてもよい。ピッチを決定することの代替的又は付加的に、個々のピッチ偏差、ピッチ合計偏差、ピッチ段差等のピッチ偏差と、歯厚偏差と、同心度偏差と、真円度偏差と、軸方向振れ偏差と、平坦度偏差と、ねじれ/もつれの、歯ピッチ偏差の1つ又は複数が決定されることが理解される。
【0043】
本方法の一実施形態によれば、総プロファイル偏差、プロファイル形状偏差、プロファイル角度偏差、圧力角偏差等のプロファイル偏差、及び/又は、クラウニング、先端逃げ及び/又は根元逃げ、プロファイル角度修正、プロファイルもつれ等のプロファイル方向における1つ又は複数の歯面修正の偏差、総フランクライン偏差、フランクライン形状偏差、フランクライン角度偏差、螺旋角度偏差等のフランクライン偏差、及び/又は、幅クラウニングの偏差、エンドリリーフの偏差、フランクライン角度の修正、フランクラインの絡み合い等のフランク方向における1つ又は複数の歯面修正の偏差、の1つ又は複数が光学的測定によって検出されることが提供されてもよい。
【0044】
切屑除去ギア切削プロセスがソフト機械加工プロセスであること、及び/又は部品のギアの光学的測定が、ギアの硬化前及び/又はギアの硬化仕上げ前(ハード仕上げ前)に行われること、及び/又はギアがヘリカルギアであることが提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
以下、実施形態を示す図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明するが、図面はそれぞれの場合を模式的に示している。
【
図1】
図1はホブカッタを有する歯車の上面図を示している。
【
図2】
図2は、
図1の歯車を上方から見た斜視図を示している。
【
図5】
図5は送りマークと包絡カット偏差の拡大図を示している。
【
図9】
図9は測定経路と送りマークの勾配との比較を示している。
【
図10】
図10はギア歯を測定するための座標測定機を示している。
【
図11】
図11は本発明に係る方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、ギア3を有する部品2を示している。部品2はヘリカル平歯車である。
図1はまたホブカッタ4を示している。ホブカッタ4は、平歯車2のギア3の歯6を幾何学的に画定された切れ刃で機械加工又は製造するために使用される。以下の説明を理解しやすくするために、直交座標系X,Y,Zが導入される。
【0047】
機械加工中、平歯車2とホブカッタ4とは連動した相対運動を行い、平歯車2とホブカッタ4はそれぞれ自軸を中心に回転し、平歯車2の歯6の歯面8をその歯幅全体に沿って機械加工するために、ホブカッタ4はまたZ方向に送り込む。ヘリカル平歯車2はまた、以下では歯車2と同義に称される。
【0048】
図2は、ヘリカル平歯車2を上方から見た斜視図である。一例として局所座標系b,h,nが紹介され、座標bは歯面8の幅方向を表し、座標hは歯面8の高さ方向を表し、座標nは製造される歯面8の公称形状に対する法線方向を表す。
【0049】
図1からわかるように、ホブカッタ4は有限数の切削歯10を有しており、有限数の個々の切削によって平歯車2の歯6のインボリュート形状に近似できるのみである。そのため、ギアのホブ加工プロセスは、歯面8に
図3Cに示される機械加工マーク12が製造される。
図3Cは、ギアのホブ加工による機械加工後の歯面8の個々の特徴Sの拡大図を模式的に示している。
【0050】
図3Cによる機械加工マーク12は、
図3Aに一例として個別に示された送りマーク14と、
図3Bに一例として個別に示された包絡カット偏差16とを重ね合わせた結果である。したがって、機械加工マーク12は、送りマーク14と包絡カット偏差16を含んでいる。
【0051】
図3A及び
図3Bに示される別個の形態における送りマーク14及び包絡カット偏差16は、個々に発生するのではなく、
図3Cに示される形態におけるホブ加工中に常に一緒に発生することが理解される。
図3A及び
図3Bは、相対的な運動学とその結果生じる偏差を2つの要素に分解して説明するために役立つに過ぎない。
【0052】
図3Aに一例として示される送りマーク14は、連結された相対移動の間のホブカッタ4のZ方向への送りから結果として生じる。
図3Dは、ワークピースの回転後に発生する連続カットの切削経路18、20と、その結果として生じる送りマーク14の一例を示している。
【0053】
図3Eは、歯車2と有限数の切削歯10を有するホブカッタ4との間の連動転がり運動から生じる包絡カット偏差16の形成の一例を示しており、ここでもまた、ホブカッタ4の切削歯10の連続切削から結果として生じる単一の包絡カット偏差16が示されている。
【0054】
機械加工マーク12に起因して、ホブ加工によって機械加工された歯車2の形状の測定が改ざんされ得る。
図4は、ピッチ円d上の歯車2の歯ピッチPの一例を示しており、歯ピッチPの測定は、ギア技術において非常に頻繁に発生する測定作業の一例である。
【0055】
関連する歯面8の測定点が、機械加工マーク12の谷部Tに記録されたか、機械加工マーク12の山部Bに記録されたかに応じて、歯ピッチPの異なる測定値が得られる(
図6参照)。
図6は、
図5に示される機械加工マーク12を通る断面の例を示している。
【0056】
図6はまた、機械加工マーク12の谷部Tにおける測定点M1、機械加工マーク12の山部Bと谷部Tの間における測定点M2、機械加工マーク12の山部Bにおける測定点M3の一例を示している。機械加工マーク12の高さの差及び結果として生じる最大誤差は参照符号fで印付けられている。したがって、ピッチPの測定値は、機械加工マーク12における測定値記録の高さ位置に応じて、0とfとの間の量だけ改ざんされ得ることがわかる。測定点M1、M2、M3はまた、後に詳述する
図7に例として示されている。測定角度又はプロービング角度、すなわち歯面の表面が光学的測定装置の光軸となす角度、はまた、関連する測定点の高さ位置に応じて変化する。したがって、測定点M1、M2、M3におけるそれぞれの機械加工マークの測定を行うかどうかの決定は、これらの測定点M1、M2、M3のいずれが光学的測定に有利なプロービング角度を有するか、すなわちそれぞれの測定点のイメージの品質に依存して行うことができる。
【0057】
特に、機械加工マーク12に起因する測定結果の改ざんを打ち消すために、例えば、それぞれの機械加工マーク12の谷部T、又はそれぞれの機械加工マーク12の山部B、又はそれぞれの機械加工マーク12の山部Bと谷部Tとの間の画定される中間位置において、測定される歯面それぞれのギア3の光学的測定の過程で測定値を記録及び/又は評価することが提案される。
【0058】
特に、隣り合う歯面8の山部Bと谷部Tが、
図7に一例として示される歯幅方向の歯面固有の位置に関して、相対的に互いにオフセットを有することを考慮できる。
【0059】
図7は、隣り合うそれぞれの歯面8.1、8.2、8.3(
図1参照)上のそれぞれの法線方向nに沿った平面図における機械加工マーク12を高度に簡略化して表したものである。
【0060】
図7によれば、送りマーク12の山部Bと谷部Tは、歯幅方向bにおいて歯面8.1から歯面8.2、歯面8.3へとシフトしており、すなわち歯幅方向bにオフセットVを有していることがわかる。隣り合う歯面8.1,8.2,8.3の山部Bと谷部Tの歯面固有の位置のオフセットにより、ギア3の全周にわたって見たとき、
図7に破線矢印で示される勾配と向きを有する機械加工マーク12の螺旋状配置24が生じる。選択された表現は、実際には肉眼で見ることが難しい効果を説明するために模式化されている。
【0061】
本発明によれば、光学的測定を機械加工マーク12のこの螺旋状配置24に適合させることが、例えば、測定経路を螺旋状配置24に特に適合させるため、又は機械加工マーク12のこの螺旋状配置24から逸脱した測定経路を特に特定するために、提供されてもよい。
【0062】
図8は、歯車2の周囲を螺旋状に巻き回する測定経路22の一例を示しており、
図9では、この螺旋状の測定経路22に、機械加工マークの螺旋状配置24が模式的に重ねられている。この場合、螺旋状の測定経路22は、機械加工マーク12の螺旋状配置24の勾配及び向きから意図的に逸脱するように選択されている。ここでの目的は、機械加工マーク12による光学的測定の測定結果の改ざんを排除し又は少なくとも低減するために、測定中に既に、機械加工マーク12のそれぞれの高さ位置M1における測定値のみを記録するか、又は、機械加工マーク12のそれぞれの高さ位置M2における測定値のみを記録するか、又は、機械加工マーク12のそれぞれの高さ位置M3における測定値のみを記録するか、又はこれらの高さ位置の測定値のみを評価するかのいずれかである。
【0063】
図10は、以下に詳述する本発明に係る方法を実施するために設定されたギア測定用の座標測定機100を示している。座標測定機100は、触覚的ギア測定用の触覚的測定装置110と、光学的ギア測定用の光学的測定装置120とを備えている。
【0064】
座標測定機100は、測定対象の歯車2を自軸周りに回転させるための回転軸Cを有している。座標測定機100は、3つの直線軸X、Y、Zを有しており、それぞれの自由度にしたがってX、Y、Zと指定される。したがって、光学的測定装置120及び触覚的測定装置110は、X、Y、Zとも指定される、3つの直交する空間方向において、歯車に対して並進変位できる。座標測定機100は、本発明に係る方法を実行するように適合されたコントローラ130を有している。
【0065】
図11は、以下に説明する本発明に係る方法の例示的な方法ステップを示している。
【0066】
第1の方法ステップ(A)によれば、まず、部品2が提供され、部品2は、歯6を有するギア3を有しており、ギア6の歯面8は、機械加工マーク12を有している。
【0067】
機械加工マーク12は、ギアのホブ加工(
図1)を用いて歯面8を製造することによって創り出された。
【0068】
それぞれの歯面8には、機械加工マーク12が、歯面8の公称形状に対する法線方向nに高さの差fを有する山部B及び谷部Tを有するそれぞれの地形的な表面プロファイル23を形成しており、これは、連続的な切屑除去ギア切削プロセス中に、ホブカッタ4の歯10の切れ刃11の周期的な噛み合いによってそれぞれの歯面8に生じたものである。
【0069】
歯幅方向bにおける機械加工マークの山部B及び谷部Tの位置は、歯面に固有である(
図7)。
【0070】
隣り合う歯面8の山部B及び谷部Tは、歯幅方向bにおける歯面固有の位置に関して、互いに対してオフセットVを有している。オフセットVは、ギアのホブ加工中の歯幅方向bにおける工具4の軸方向送りの結果として生成される。
【0071】
第2の方法ステップ(B)によれば、機械加工マーク12の複数の幾何学的特徴、すなわち、高さの差f、山部B及び谷部Tの歯面固有の位置、及びオフセットが決定され、ここで、山部B及び谷部Tの歯面固有の位置はオフセットから決定でき、逆もまた同様である。
【0072】
第3の方法ステップ(C)によれば、部品2のギア3の光学的測定が実施され、光学的測定のための測定経路22のコース、及び/又は光学的測定のための測定点の位置が、機械加工マーク12の幾何学的特徴を考慮して画定され、及び/又は光学的測定の測定値の評価が機械加工痕の幾何学的特徴を考慮して実施される。
【0073】
本実施例では、隣り合う歯面8,8.1,8.2,8.3の山部B及び谷部Tの歯面固有の位置のオフセットVにより、ギア3の全周にわたって見た場合に、機械加工マーク12の螺旋状配置24を結果として生じる。
【0074】
機械加工マーク12の幾何学的特徴の決定は、機械加工マーク12の螺旋状配置24の勾配26及び向きの決定を含んでいる。
【0075】
光学的測定の性能は、測定経路22の仕様を有し、測定経路22は、少なくとも部分的に測定用螺旋22として画定され、測定用螺旋22は向き及び勾配28を有している。
【0076】
この場合、測定用螺旋22は左に向けられており、螺旋状配置24は右に向けられている。測定用螺旋24の勾配28は、螺旋状配置24の勾配26よりも大きい。したがって、測定用螺旋22の勾配及び向きは、螺旋状配置24の勾配及び向きとは異なって向けられている。
【0077】
本方法の代替的な変形例によれば、測定用螺旋の勾配及び向きが、機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きに対応することが提供される。この場合、測定用螺旋22と螺旋状配置は一致している。
【0078】
機械加工マークの螺旋状配置の勾配及び向きは、ギアのホブ加工プロセスの製造パラメータの評価を用いて計算により決定でき、及び/又は、測定データの評価を用いて測定により決定でき、及び/又は、比較部品の切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価を用いて計算により決定できる。
【0079】
測定用螺旋22は、ギア6の回転軸Rに対して1080°以下の角度範囲をカバーする。
【0080】
測定用螺旋22は、ギア6の1つの歯幅に関連して、歯幅の75%より多くをカバーしている。
【0081】
歯面8から歯面8への測定点の評価が、それぞれの歯面8のそれぞれの機械加工マーク12の同じ高さ位置で、それぞれの機械加工マーク12について見た送りマークの高さの差fに沿って-
図6及び
図7に例として示されるように、高さ位置M1又はM2又はM3のいずれかに従って-実施されることが提供される。換言すれば、計測結果への地形的な表面プロファイル23の高さの差による影響を排除するか又は少なくとも低減するために、測定又は評価が常に谷部Tで実施されるか、又は、測定又は評価が常に山部Bで実施されるか、又は、評価が常に山部Bと谷部Tとの間に画定された中間位置で実施される。
【0082】
機械加工マーク12の少なくとも1つの幾何学的特徴の決定は、機械加工マーク12の高さの差f、オフセットV、機械加工マークの幅b1、機械加工マークの長さl1の特徴のうち、幾つかの特徴の決定を含んでいる。
【0083】
機械加工マークの複数の特徴は、ギアのホブ加工プロセスの製造パラメータの評価を用いた計算によって、代替的又は付加的に測定データの評価を用いた測定によって、或いは、代替的又は付加的に比較可能部品の切屑除去ギア切削プロセスの製造パラメータの評価を用いた計算によって、決定できる。
【0084】
光学的測定に使用される光学的測定装置120は、光学的距離測定用の光学的距離センサであり、光学的距離センサは点センサ、すなわち共焦点クロマチック距離センサである。
【0085】
この場合、歯面のプロファイルラインP1が光学的測定によって記録され、そのプロファイルラインを用いてギア6のピッチPが決定される。
【0086】
ギアのホブ加工はソフト加工プロセスであり、部品2のギア3の光学的測定は、部品2のギア3の硬化前及び/又はハード仕上げ前に実施される。
【符号の説明】
【0087】
2 :部品/ヘリカル平歯車
3 :ギア
4 :ホブカッタ
6 :歯
8 :歯面
8.1:歯面
8.2:歯面
8.3:歯面
10 :切削歯/ホブカッタの切削歯
11 :切れ刃
12 :機械加工マーク/複数の機械加工マーク
14 :送りマーク/複数の送りマーク
16 :包絡カット偏差/複数の包絡カット偏差
18 :切削経路
20 :切削経路
22 :測定用螺旋
23 :地形的な表面プロファイル
24 :螺旋状配置
100:座標測定機
110:触覚的測定装置
120:光学的測定装置
B :山部
C :回転軸
M1 :測定点
M2 :測定点
M3 :測定点
P :ピッチ/歯ピッチ
P1 :プロファイルライン
R :回転軸
T :谷部
V :オフセット
X :座標系X,Y,Zの座標軸
Y :座標系X,Y,Zの座標軸
Z :座標系X,Y,Zの座標軸
b :歯幅方向/ローカル座標系b,h,nの座標軸
h :歯幅方向/ローカル座標系b,h,nの座標軸
n :歯幅方向/ローカル座標系b,h,nの座標軸
b1 :幅
d :ピッチ円
f :高さの差
l1 :長さ
(A):方法ステップ
(B):方法ステップ
(C):方法ステップ
【外国語明細書】