(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155777
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】固定装置を備えた移動式クレーンのアウトリガ
(51)【国際特許分類】
B66C 23/78 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B66C23/78 C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064405
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】23168968.8
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】524088179
【氏名又は名称】マニトワック クレーン グループ フランス エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】Manitowoc Crane Group France SAS
【住所又は居所原語表記】66 chemin du Moulin Carron-C60236 69574 Dardilly France
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュトゥール ヴォルト
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205FA01
3F205FA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動式クレーンの支持装置において、クレーン動作のために支持部材の位置を確実に画定すること。
【解決手段】支持装置であって、第1の支持セグメント1と、第2の支持セグメント2と、第1の支持セグメント1と第2の支持セグメント2との間の任意の相対位置において、移動方向Tにおける第2の支持セグメント2の移動を阻止する固定装置4がクランプ体6を備え、クランプ体6が、保持装置8によって、第1の支持セグメント1と第2の支持セグメント2との間に形成された傾斜部5に当接して保持され、支持脚部3から離れる方向における第2の支持セグメント2の位置変更移動がクランプ体6によって傾斜部5に加えられる力の増加を引き起こしそれによって第1の支持セグメント1に対して第2の支持セグメント2を固定するように、第1の支持セグメント1および第2の支持セグメント2に対して取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーンの支持装置であって、
- 前記移動式クレーンの車台に締結され得る、第1の支持セグメント(1)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)内で前記第1の支持セグメント(1)に対して移動することができるように取り付けられ、垂直方向(V)に移動することができる支持脚部(3)を備える、第2の支持セグメント(2)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)と前記第2の支持セグメント(2)との間の任意の相対位置において、移動方向(T)における前記第2の支持セグメント(2)の移動を阻止する、固定装置(4)と
を具備する、移動式クレーンの支持装置において、
前記固定装置(4)が、クランプ体(6)を備え、前記クランプ体(6)が、保持装置(8)によって、前記第1の支持セグメント(1)と前記第2の支持セグメント(2)との間に形成された傾斜部(5)に当接して保持され、前記支持脚部(3)から離れる方向における前記第2の支持セグメント(2)の位置変更移動が前記クランプ体(6)によって前記傾斜部(5)に加えられる力の増加を引き起こしそれによって前記第1の支持セグメント(1)に対して前記第2の支持セグメント(2)を固定するように、前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)に対して取り付けられることを特徴とする、
移動式クレーンの支持装置。
【請求項2】
前記クランプ体(6)が、前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)によって画定される中空スペース(7)内に配置される、ならびに/または、前記傾斜部(5)が、前記第2の支持セグメント(2)の前記移動方向(T)に対して斜めに延びる、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項3】
前記クランプ体(6)が、前記第1の支持セグメント(1)または前記第2の支持セグメント(2)に偏心的に取り付けられ、特に、前記保持装置(8)が、レバー・アーム(15)を介して前記クランプ体(6)に作用する、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項4】
前記クランプ体(6)が、前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)に、特に直接的に、支持される、請求項1から3のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項5】
前記傾斜部(5)が、前記第1の支持セグメント(1)または前記第2の支持セグメント(2)に割り当てられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項6】
前記クランプ体(6)が、ローラ形、特に円柱状であり、その円周面により前記傾斜部(5)、特に前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)に接触する、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項7】
前記保持装置(8)が、前記第1の支持セグメント(1)または前記第2の支持セグメント(2)に支持されたばね要素、特に付勢ばね要素を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項8】
前記固定装置(4)が、ロック解除装置(9)を備え、前記ロック解除装置(9)が、前記保持装置(8)に対して反対に作用し、前記クランプ体(6)を前記傾斜部(5)から選択的に分離する、請求項1から7のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項9】
前記第2の支持セグメント(2)が、油圧シリンダ(10)によって、前記第1の支持セグメント(1)に対して前記移動方向(T)に移動する、請求項1から8のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項10】
前記ロック解除装置(9)の油圧作動(11)が、特に、前記移動方向(T)に前記第2の支持セグメント(2)を移動させる前記油圧シリンダ(10)の油圧作動(12)に結合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項11】
前記第2の支持セグメント(2)が、前記支持脚部(3)から離れる移動方向(T)に移動するときおよびその反対方向に移動するときの両方で、前記ロック解除装置(9)が作動される、請求項1から10のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項12】
前記支持脚部(3)が、油圧支持シリンダ(13)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項13】
前記第1の支持セグメント(1)が、支持ボックスによって形成され、前記支持ボックスが、移動することができ、かつ、それぞれが第2の支持セグメント(2)を形成する支持部材を前記支持ボックスの両側で備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の支持装置を備える移動式クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対して移動することができる2つの支持セグメント間の任意の相対位置が固定装置によって画定される、移動式クレーンの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン動作中に移動式クレーンに十分な傾き安定性をもたらすために、それらの車台は一般に、車台の長手方向軸に対して横断方向に伸長され得る、および/または枢動され得る4つの支持部材を含むアウトリガを備える。支持部材の、車台から離れた方を向く端部は、支持シリンダをそれぞれ備える。支持シリンダは、垂直方向に伸長され得、支持ディスクによって地面上で支持される。一般に、互いに反対方向に伸長され得る2つの支持部材は、車台の前部領域および後部領域のそれぞれに配置される。クレーン動作中の変形および荷重変化は、支持部材内に長手方向の力を引き起こし、それが支持部材のずれを引き起こす場合がある。支持部材の意図的でない長手方向の移動は、一般に、支持部材を機械的にボルト締めすることによって防止される。しかし、構造上の理由から、可能なボルト締めの位置の数は限定される。
【0003】
近年の設計のクレーンは、荷重トルクリミッタを備える。この荷重トルクリミッタは、原理上、支持部材のあらゆる位置への移動を可能にし、したがって難しいスペースでのクレーン動作が簡素化するか、または荷重トルクリミッタを使用する場合にのみ可能な難しいスペースでのクレーン動作を可能にさえする。しかし、上述の理由から、支持部材のすべての位置において機械的なボルト締めを行うことは不可能であり、したがって、支持部材の位置を確実に画定することは不可能である。したがって、クレーンを安全に動作するために、支持部材の現在位置が連続的に監視される必要があり、支持部材がその目標位置を離れた場合には、あるクレーン機能が無効化される必要がある。DE102020212687では、ブレーキ・レールおよびブレーキ・レールに係合するブレーキ係合要素を用いて支持部材の位置を画定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、クレーン動作のために支持部材の位置を確実に画定する従来の解決策と比べて改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立特許請求項1の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を定義し、同等の特許請求項14は、本発明を備える移動式クレーンを定義する。
【0007】
本発明による移動式クレーンの支持装置は、移動式クレーンの車台に締結され得る、第1の支持セグメントと、第1の支持セグメント内で第1の支持セグメントに対して移動することができ、垂直方向に移動することができる支持脚部を備える、第2の支持セグメントと、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとの間の任意の相対位置において、移動方向における第2の支持セグメントの移動を阻止する、固定装置とを具備する。本発明による固定装置は、少なくとも1つのクランプ体を備え、クランプ体は、保持装置によって、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとの間に形成された傾斜部に当接して保持され、支持脚部から離れる方向における第2の支持セグメントの位置変更移動がクランプ体によって傾斜部に加えられる力の増加を引き起こし、それによって第1の支持セグメントに対して第2の支持セグメントを固定するように、第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメントに対して取り付けられる。
【0008】
第1の支持セグメントは、この場合、クレーン車台において恒久的または取り外し可能に固定位置をとるいわゆる支持ボックスによって形成され得る。しかし、第1の支持セグメントは、クレーン車台および/または支持ボックスに対して並進的に移動可能または回転的に枢動可能な支持部材によって同様に形成されてもよい。したがって、本発明による支持装置は、互いに対しておよび/またはクレーン車台に対して回転的または並進的に移動することができる任意の数の支持セグメントから構築され得、その並進的位置変更移動は、本発明による固定装置によって阻止され得る。
【0009】
固定装置は、第1の支持セグメントに対して、したがってクレーン車台に対して、第2の支持セグメントの非意図的な位置変更移動を阻止する。ここで、特に、クレーン車台と対応する支持脚部との間の距離の減少および結果的として生じる移動式クレーンの傾き安定性の低減につながるおそれがある位置変更移動は、阻止されるべきである。本発明による固定装置は、原理上、2つの支持セグメント間の非意図的な並進位置変更移動および/または回転位置変更移動の阻止に適している。回転位置変更移動に関して、固定装置は、傾斜部が第2の支持セグメントの回転の中心周りの円形軌道上を進むように具現化されなければならず、その軌道上において、それは、クランプ体上へと延びることができる。並進位置変更移動を防ぐために、傾斜部は、ここにおいてクランプ体上へと延びることを可能にするために、第2の支持セグメントの移動に対して平行な方向に進む。簡素化を目的として、以下において、第2の支持セグメントの並進位置変更移動を参照し、ここで、本発明による考察は、回転位置変更移動に簡単に適合され得る。
【0010】
本発明によれば、クランプ体と協働する傾斜部は、第2の支持セグメントが移動するときに第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとの間において、第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメント上で支持され特に第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメント上ならびに/またはこれらの支持セグメントに割り当てられた構造体上の(傾斜部を含む)表面に当接するように移動されるように、クランプ体が使用できるスペースを減少させる働きをし、また、第1の支持セグメントに対して第2の支持セグメントがさらに移動することを摩擦嵌合により阻止する。換言すると、本発明による固定装置は、セルフ・ロックの技術的な動作原理を使用し、ここで、固定装置は、1つもしくは複数の傾斜部および/またはクランプ体、特に傾斜部およびクランプ体の1つまたは複数の対を備えることができる。
【0011】
その場合、傾斜部は、特に第2の支持セグメントの移動方向に関して、任意の適切な方法で形作られる、および/または位置合わせされ得る。したがって例えば、傾斜部が、特に第2の支持セグメントの移動方向に対して平行に延びる平面形状、または同様に凹形状、すなわち内側に湾曲しまたは内側にアーチがついた形状を有することが考えられる。移動方向に対する任意の適切な「ピッチ」の傾斜部も可能であり、ここで、クランプ力、したがって傾斜部からクランプ体を解放および/または分離するのに必要な力は、角度の減少とともに増加する。
【0012】
1つの実施形態によれば、クランプ体は、第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメントよって画定される中空スペース内に配置される。さらに、クランプ体を傾斜部の横に当接するように動かす他の表面が、第2の支持セグメントの移動方向に対して平行に位置合わせされることが考えられ、また特に水平方向または垂直方向に延びることも考えられる。
【0013】
他の実施形態によれば、クランプ体は、第1の支持セグメントまたは第2の支持セグメントに偏心的に取り付けられる。傾斜部とクランプ体の円周面との間の相対位置は、こうして、クランプ体のその偏心取付台(eccentric mount)を中心とした回転によって変えられ得る。傾斜部に対してクランプ体を当接して保持するために、クランプ体は、保持装置によってその偏心した回転軸を中心としてに回転的に移動され得、ここで、保持装置は特に、結果的に生じる保持力を増加させるために、レバー・アームを介してクランプ体上に作用することができる。
【0014】
他の実施形態によれば、クランプ体は、第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメント上、第1の支持セグメントおよび/または第2の支持セグメントの表面に、特に直接的に、支持され得る。しかし同様に、対応する支持セグメントにクランプ体によって加えられる力が、クランプ体および対応する支持セグメントの間に配置される中間構造を介して、対応する支持セグメントに間接的に導入されることも考えられる。
【0015】
他の実施形態によれば、クランプ体は、ローラ形、特に円柱状であり、その円周面により傾斜部、特に第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメントに接触する。ローラ形、特に円柱状のクランプ体は、生じる表面圧と、保持力および/または傾斜部からクランプ体を分離するのに必要な力との間に良好な妥協を提供する。原理上、例えば球状または楔形である、クランプ体の任意の他の形状も考えられる。クランプ効果を実現するために、クランプ体は、第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメント上に直接形成された(傾斜部を含む)対応する表面、または、例えば任意の数の中間構造を介して第1の支持セグメントおよび/もしくは第2の支持セグメントに間接的に連結された表面に当接するように移動され得る。
【0016】
保持装置は、第1の支持セグメントまたは第2の支持セグメントに支持された、少なくとも1つのばね要素、特に付勢ばね要素を備えてもよい。他の実施形態によれば、固定装置は、ロック解除装置を備えることができる。このロック解除装置は、特に保持装置に対して反対に作用することができ、選択的に、すなわちロック解除装置を起動することによって、傾斜部からクランプ体を分離する、および/または傾斜部からある距離にクランプ体を保持する。
【0017】
第1の支持セグメントに対して第2の支持セグメントを移動させることに、例えばギア噛合を含む機械駆動装置である、任意の適当な装置を使用することができる。1つの実施形態によれば、第2の支持セグメントは、油圧シリンダ、特に複動式油圧シリンダによって、第1の支持セグメントに対して移動方向に動かされる。
【0018】
他の実施形態において、ロック解除装置は、油圧式に作動される。このように、ロック解除装置の作動を、移動方向に第2の支持セグメントを移動させる油圧シリンダの作動に結びつけることが可能である。したがって特に、ロック解除装置のための油圧シリンダは、支持セグメント油圧シリンダの作動と同時、またはいくらか先立っての作動されることが可能である。こうして、固定装置はロック解除される。すなわち、クランプ体は、第2の支持セグメントが移動されると、またはその前に、傾斜部から分離される。
【0019】
他の実施形態において、ロック解除装置は、第2の支持セグメントが支持脚部から離れる移動方向に移動するとき、および、その反対方向すなわち支持脚部の方に向かう方向に移動するとき、の両方で作動される。
【0020】
支持脚部は、油圧支持シリンダによって、第2の支持セグメントに対して下方または上方に垂直方向に移動されてもよい。
【0021】
他の実施形態において、第1の支持セグメントが、支持ボックスによって形成され、支持ボックスが、支持ボックスの両側に移動することができそれぞれが第2の支持セグメントを形成する支持部材を備える。
【0022】
本発明の他の態様は、上述した実施形態のうちのいずれか1つによる支持装置を備える移動式クレーンに関する。
【0023】
本発明は、好ましい実施形態に基づいて、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明される。本発明は、本明細書に記載されるいかなる特徴をも、個別に、および任意の適当な組合せで含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による支持装置の第1の実施形態の図である。
【
図2】本発明による支持装置の第2の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による支持装置の好ましい一実施形態の構造の略図を示す。第1の支持セグメント1は、この場合、いわゆる支持ボックスによって形成される。支持ボックスは、移動式クレーンにおいて、通常、車台の長手方向軸に対して横に車台の前部領域内および後部領域内に配置される。支持ボックス1は、以下において支持部材と称される第2の支持セグメント2を、それが水平方向に移動され得るように収容する。支持ボックス1によって収容されるもう1つの支持部材(図示せず)は、支持ボックス1の別の側(
図1の左手側)において同一の方法で支持ボックス1に対して移動され得るように、収容される。この点において、支持ボックス1によって収容される支持部材2は、任意の位置へと互いに独立的に移動することができ、そこにおいて支持部材2は、支持ボックス1内への非意図的な引き込みからそれらに割り当てられた固定装置4によって守られ得ることが言及され得る。
【0026】
支持ボックス1および/またはクレーン車台から離れた方を向いた支持部材2の端部は、地面に接触する支持ディスクを備えることができる支持脚部3と、継ぎ手でそれに連結され、地面上で移動式クレーンの支持を開始するまたは支持を中止するために支持脚部3を垂直方向にそれぞれ下方および再び上方に動かすことができる油圧シリンダ13のピストン・ロッドとを備える。
【0027】
支持プロセスの開始時に、支持部材2は、支持ボックス1から外に右へと所望の長さまで伸長される。この目的のため、油圧流体を供給されこれにより油圧管路12により作動される、複動式油圧シリンダ10が使用される。油圧シリンダ10のピストン・チャンバと環状チャンバとの両方は、シャトル弁11に流体的に連結され、シャトル弁11は、油圧シリンダとして具現化されるロック解除装置9のピストン・チャンバに連結される。支持部材2の伸長のときとく引き込みのときとの両方のときに、ロック解除油圧シリンダ9のピストン・チャンバは、弁11を介して支持部材油圧シリンダ10のピストン・チャンバおよび/または支持部材油圧シリンダ10の環状チャンバに連結され、したがって両方の場合とも加圧される。ロック解除油圧シリンダ9の結果的に伸長するピストンは、弾性ばねとして具現化される保持装置8の付勢力と逆にローラ形クランプ体6上に作用し、それを傾斜部5から離す。この状態において、支持部材2は、要望に応じて支持ボックス1から外に伸長される、またはそれに再び引っ込められ得る。固定装置4は、支持部材2が支持ボックス1から外に伸長される、および/またはそれに再び引っ込められる前に、ロック解除油圧シリンダ9がクランプ体6上に作用しそれを傾斜部5から分離すように、油圧作動11されることに留意することができる。
【0028】
支持部材2がその所望支持位置に達するとすぐに、油圧管路12を通した油圧流体の供給が切断され、それによって油圧シリンダ10がその時点での位置において動かなくなる。保持装置8の付勢力によって、クランプ体6は傾斜部5に当接するように移動され、ここで、ロック解除油圧シリンダ9のピストン・チャンバ内に残る油圧流体は、ロック解除油圧シリンダ9のピストンにより、シャトル弁11および油圧供給部12を通って、移動式クレーンの油圧回路へと戻るように部分的に移される。
【0029】
支持脚部3は、移動式クレーンを支持するために、油圧シリンダ13によって垂直方向に下方に伸長され、それによってその後に移動式クレーンは支持装置すべてにより地面上で支持される。その後のクレーン動作の間に、支持ボックス1内へ支持部材2を引っ込めしたがって移動式クレーンの傾き安定性の低減を引き起こすであろう力が生じる場合、そのような非意図的なずれは、固定装置4によって効果的に阻止される。というのも、そのような戻り移動の間、傾斜部5に当接するクランプ体6が支持部材2および支持ボックス1をセルフ・ロックさせるからである。こうして、クランプ体6は、保持装置8の付勢力と、一方ではクランプ体6と傾斜部5(この傾斜部5は支持部材2に形成される)との間の接触領域に存在する静止摩擦とにより、また他方ではクランプ体6と支持ボックス1の水平方向内面との間の接触領域に存在する静的摩擦とにより、支持部材2に対して移動することが阻止され、また、支持部材2に対して屈すること(yielding relative to the supporting member 2)もこれにより阻止される。逆に、支持部材2は、クランプ体6を過ぎて支持ボックス1内へと引っ込むことができない。というのも、それは、固定装置4から離れた方に向くその上側において、支持ボックス1に当接しており、それによって垂直方向に屈する(yielding)ことが阻止されているからである。支持部材2に作用する力が増加するにつれて、クランプ体6によって引き起こされるクランプ効果も同様に増加するので、支持部材2の、支持ボックス1内への非意図的な引っ込みが効果的に阻止される。支持ボックス1に対して固定された支持部材2を再び解放するために、ロック解除油圧シリンダ9は、支持部材2が油圧シリンダ10によって動かされるとすぐに、すでに上述したような方法で起動される。クランプ体6は、支持部材2が支持ボックス1内へと引っ込められる間、クランプ効果が妨げられるように、傾斜部5から分離されてある距離に保持される。
【0030】
図2は、本発明による支持装置の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態は、本質的に、固定装置4が具現化される方法だけが
図1に示される実施形態と異なる。この実施形態、特に支持ボックス1、支持部材2、油圧シリンダ13および支持脚部3の機能性は、第1の実施形態と同一である。
【0031】
図2には、クランプ体6が支持ボックス1に、回転軸14において回転的に取り付けられることが示されており、ここで、回転軸14は、支持ボックス1に偏心的にクランプ体6を回転的に取り付けるために、(
図2には示されない)ローラ形クランプ体6の対称軸から距離が置かれている。
【0032】
レバー15であって、支持ボックス1上に支持される付勢ばね8が、それを介してクランプ体6に作用し、したがってクランプ体6の円周面を方向Tに伸長する支持部材2の下側傾斜部5に当接して保持する、レバー15は、クランプ体6に非回転的に連結される。
【0033】
支持部材2が支持ボックス1から外に伸長されるとき、クランプ体6は、傾斜部5に沿って摺動する、または(
図2には示されない)ロック解除機構によってそれからある距離に保持される。支持部材2が支持ボックス1内へと非意図的に引っ込められる場合、クランプ体6の円周面と傾斜部5との間に存在する摩擦によってクランプ体6がその回転軸14を中心に反時計回りに回転され、ここで、クランプ体6の回転取付けは、偏心的に、傾斜部5におけるその接触押圧を増加させる。
図1の第1の実施形態においてすでに示されるように、クランプ体6が支持部材2に対して屈することは不可能である。クランプ体6が反時計回りにさらに回転するのを防ぎ、偏心回転取付台(eccentric rotary mount)14における負荷を軽減するために、クランプ体6は、ある回転角度の時点で支持ボックス1の垂直面に接触する。その場合に確立される回転角度は、垂直方向に支持部材2へクランプ体6によって導入される力が支持ボックス1と支持部材2との間において支持部材2の上側に十分に大きな摩擦量を生成するのに十分大きくなるように選択され、ここで、前記摩擦によって、支持部材2が支持ボックス1内へとさらに引っ込められることが阻止される。
【0034】
支持部材2と支持ボックス1とを互いの固定から解放するために、(
図2には示されない)ロック解除装置が使用され得る。クランプ体6の円周面を傾斜部5から離すために、例えばレバー15に作用する油圧シリンダによってクランプ体6はその回転取付台14周りに時計回りに回転され得、それによって、最後には支持部材2が支持ボックス1内へと引っ込められ得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーンの支持装置であって、
- 前記移動式クレーンの車台に締結され得る、第1の支持セグメント(1)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)内で前記第1の支持セグメント(1)に対して移動することができるように取り付けられ、垂直方向(V)に移動することができる支持脚部(3)を備える、第2の支持セグメント(2)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)と前記第2の支持セグメント(2)との間の任意の相対位置において、移動方向(T)における前記第2の支持セグメント(2)の移動を阻止する、固定装置(4)と
を具備する、移動式クレーンの支持装置において、
前記固定装置(4)が、クランプ体(6)を備え、前記クランプ体(6)が、保持装置(8)によって、前記第1の支持セグメント(1)と前記第2の支持セグメント(2)との間に形成された傾斜部(5)に当接して保持され、前記支持脚部(3)から離れる方向における前記第2の支持セグメント(2)の位置変更移動が前記クランプ体(6)によって前記傾斜部(5)に加えられる力の増加を引き起こしそれによって前記第1の支持セグメント(1)に対して前記第2の支持セグメント(2)を固定するように、前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)に対して取り付けられることを特徴とする、
移動式クレーンの支持装置。
【請求項2】
前記クランプ体(6)が、前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)によって画定される中空スペース(7)内に配置される、ならびに/または、前記傾斜部(5)が、前記第2の支持セグメント(2)の前記移動方向(T)に対して斜めに延びる、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項3】
前記クランプ体(6)が、前記第1の支持セグメント(1)または前記第2の支持セグメント(2)に偏心的に取り付けられ、特に、前記保持装置(8)が、レバー・アーム(15)を介して前記クランプ体(6)に作用する、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項4】
前記クランプ体(6)が、前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)に、特に直接的に、支持される、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項5】
前記傾斜部(5)が、前記第1の支持セグメント(1)または前記第2の支持セグメント(2)に割り当てられる、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項6】
前記クランプ体(6)が、ローラ形、特に円柱状であり、その円周面により前記傾斜部(5)、特に前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)に接触する、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項7】
前記保持装置(8)が、前記第1の支持セグメント(1)または前記第2の支持セグメント(2)に支持されたばね要素、特に付勢ばね要素を備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項8】
前記固定装置(4)が、ロック解除装置(9)を備え、前記ロック解除装置(9)が、前記保持装置(8)に対して反対に作用し、前記クランプ体(6)を前記傾斜部(5)から選択的に分離する、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項9】
前記第2の支持セグメント(2)が、油圧シリンダ(10)によって、前記第1の支持セグメント(1)に対して前記移動方向(T)に移動する、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項10】
前記ロック解除装置(9)の油圧作動(11)が、特に、前記移動方向(T)に前記第2の支持セグメント(2)を移動させる前記油圧シリンダ(10)の油圧作動(12)に結合される、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項11】
前記第2の支持セグメント(2)が、前記支持脚部(3)から離れる移動方向(T)に移動するときおよびその反対方向に移動するときの両方で、前記ロック解除装置(9)が作動される、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項12】
前記支持脚部(3)が、油圧支持シリンダ(13)を備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項13】
前記第1の支持セグメント(1)が、支持ボックスによって形成され、前記支持ボックスが、移動することができ、かつ、それぞれが第2の支持セグメント(2)を形成する支持部材を前記支持ボックスの両側で備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項14】
請求項1に記載の支持装置を備える移動式クレーン。
【外国語明細書】