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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155787
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ハニカムフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/20 20060101AFI20241024BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20241024BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20241024BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20241024BHJP
   C04B 35/195 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
B01D39/20 D
B01J35/57 E
C04B38/00 303Z
B01D46/00 302
C04B35/195
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065167
(22)【出願日】2024-04-15
(31)【優先権主張番号】202310433184.X
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】高室 佑基
【テーマコード(参考)】
4D019
4D058
4G019
4G169
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA05
4D019BB07
4D019BC07
4D019BD01
4D019CA01
4D019CB04
4D019CB06
4D019CB09
4D058JA37
4D058JA38
4D058JA39
4D058JB28
4D058SA08
4D058TA06
4G019FA12
4G019FA13
4G169AA01
4G169BA01A
4G169BA05A
4G169BA13A
4G169BB04A
4G169BC43A
4G169BC69A
4G169CA09
4G169DA06
4G169EA18
4G169EA27
4G169EB12X
4G169EB12Y
4G169EB15X
4G169EB15Y
4G169EC10X
4G169EC30
(57)【要約】
【課題】圧力損失の増加を抑制しつつ、浄化性能を向上させることが可能なハニカムフィルタを提供する。
【解決手段】流入端面11から流出端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を取り囲むように配置された多孔質の隔壁1を有する柱状のハニカム構造体4と、セル2の流入端面11側の端部又は流出端面12側の端部のいずれか一方に配設された多孔質の目封止部5と、を備え、隔壁1の厚さが152~254μmであり、ハニカム構造体4のセル密度が38.8~62.0個/cmであり、水銀圧入法によって測定された隔壁1の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径D50が11~15μmであり、水銀圧入法によって測定された隔壁1の気孔率が60~75%であり、多孔質の隔壁1内に形成された気孔の濡れ面積Aを、当該気孔の断面積Sで除した値である隔壁濡れ面積比(A/S)が0.21~0.35m/mである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造体と、
前記セルの前記流入端面側の端部又は前記流出端面側の端部のいずれか一方に配設された目封止部と、を備え、
前記隔壁の厚さが、152~254μmであり、
前記ハニカム構造体のセル密度が、38.8~62.0個/cmであり、
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径D50が、11~15μmであり、
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の気孔率が、60~75%であり、
多孔質の前記隔壁内に形成された気孔の濡れ面積Aを、当該気孔の断面積Sで除した値である隔壁濡れ面積比(A/S)が、0.21~0.35m/mである、ハニカムフィルタ。
【請求項2】
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の前記細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の10%となる細孔径D10が、5.5~7.5μmである、請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の前記細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の90%となる細孔径D90が、35.0μm以下である、請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。更に詳しくは、圧力損失の増加を抑制しつつ、浄化性能を向上させることが可能なハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排ガスに含まれる粒子状物質の排出量を低減するための手段としては、内燃機関の排ガス通路に粒子状物質を堆積させ捕集することを目的としたパティキュレートフィルタを設ける方法が知られている(例えば、特許文献1)。特に、近年では、搭載スペースの省スペース化等の観点から、粒子状物質の排出抑制と、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)等の有害成分の除去を同時に行うために、パティキュレートフィルタに触媒スラリーを塗工し、これを焼成することで触媒層を設けることが検討されている。
【0003】
排ガス浄化用のパティキュレートフィルタとして、例えば、ハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが知られている。ハニカム構造体は、コージェライトなどの多孔質セラミックスによって構成された隔壁を有し、この隔壁によって複数のセルが区画形成されたものである。ハニカムフィルタは、上述したハニカム構造体に対して、複数のセルの流入端面側の開口部と流出端面側の開口部とを交互に目封止するように目封止部を配設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-219319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
触媒層を設けたハニカムフィルタにおいては、触媒による排ガスの浄化性能を高めるためには、触媒が担持される多孔質の隔壁(別言すれば、多孔質担体)の表面積を増大させ、触媒と排ガスの接触頻度を増加させることが有用である。例えば、隔壁を構成する多孔質担体の表面積を増大させ方法として、ハニカム構造体のセル密度を大きくすること等が考えられるが、セル密度の増大は、大幅な圧力損失の増加を招いてしまうという問題があった。特に、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)に代表されるハニカムフィルタにおいて、圧力損失の増加を抑制しつつ、浄化性能を向上させることが可能なハニカムフィルタの開発が要望されている。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明によれば、圧力損失の増加を抑制しつつ、浄化性能を向上させることが可能なハニカムフィルタが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下に示す、ハニカムフィルタが提供される。
【0008】
[1] 流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造体と、
前記セルの前記流入端面側の端部又は前記流出端面側の端部のいずれか一方に配設された目封止部と、を備え、
前記隔壁の厚さが、152~254μmであり、
前記ハニカム構造体のセル密度が、38.8~62.0個/cmであり、
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径D50が、11~15μmであり、
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の気孔率が、60~75%であり、
多孔質の前記隔壁内に形成された気孔の濡れ面積Aを、当該気孔の断面積Sで除した値である隔壁濡れ面積比(A/S)が、0.21~0.35m/mである、ハニカムフィルタ。
【0009】
[2] 水銀圧入法によって測定された前記隔壁の前記細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の10%となる細孔径D10が、5.5~7.5μmである、前記[1]に記載のハニカムフィルタ。
【0010】
[3] 水銀圧入法によって測定された前記隔壁の前記細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の90%となる細孔径D90が、35.0μm以下である、前記[1]又は[2]に記載のハニカムフィルタ。
【発明の効果】
【0011】
本発明のハニカムフィルタは、圧力損失の増加を抑制しつつ、浄化性能を向上させることができる。例えば、ハニカムフィルタに触媒スラリーを塗工し、これを焼成することで触媒層を設ける場合、触媒スラリーは、ハニカム構造体を構成する多孔質の隔壁内へと浸透する形で塗布される。本発明のハニカムフィルタは、隔壁濡れ面積比(A/S)を0.21~0.35m/mとすることで、隔壁に形成された気孔のうち、相対的に小径の気孔を増加させ、隔壁内の触媒が塗布される表面積を増大させることができる。このため、このようなハニカムフィルタに触媒層を設けた際に、排ガスと触媒との接触頻度が増加し、ハニカムフィルタによる浄化性能を向上させることができる。また、本発明のハニカムフィルタにおいて、ハニカム構造体のセル密度を38.8~62.0個/cmの範囲としており、セル密度の過度の増加を行うことなく、上述したような浄化性能の向上を実現することができる。このため、本発明のハニカムフィルタは、セル密度を増加させることで浄化性能の向上を図るといった従来手法に比して、圧力損失の増加を有効に抑制しつつ、より効果的に浄化性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のハニカムフィルタの一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すハニカムフィルタの流入端面側を示す平面図である。
図3図2のA-A’断面を模式的に示す断面図である。
図4】隔壁濡れ面積比(A/S)を求めるためのボクセルデータの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0014】
(1)ハニカムフィルタ:
本発明のハニカムフィルタの一の実施形態は、図1図3に示すようなハニカムフィルタ100である。ここで、図1は、本発明のハニカムフィルタの一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すハニカムフィルタの流入端面側を示す平面図である。図3は、図2のA-A’断面を模式的に示す断面図である。
【0015】
図1図3に示すように、ハニカムフィルタ100は、ハニカム構造体4と、目封止部5と、を備えている。ハニカム構造体4は、流入端面11から流出端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を取り囲むように配置された多孔質の隔壁1を有する柱状のものである。ハニカムフィルタ100において、ハニカム構造体4は、柱状を呈し、その外周側面に、外周壁3を更に有している。即ち、外周壁3は、格子状に配設された隔壁1を囲繞するように配設されている。
【0016】
目封止部5は、それぞれのセル2の流入端面11側又は流出端面12側の開口部に配設されている。図1図3に示すハニカムフィルタ100においては、所定のセル2の流入端面11側の端部の開口部、及び残余のセル2の流出端面12側の端部の開口部に、目封止部5がそれぞれ配設されている。流出端面12側の開口部に目封止部5が配設され、流入端面11側が開口したセル2を、流入セル2aとする。また、流入端面11側の開口部に目封止部5が配設され、流出端面12側が開口したセル2を、流出セル2bとする。流入セル2aと流出セル2bとは、隔壁1を隔てて交互に配設されていることが好ましい。そして、それによって、ハニカムフィルタ100の両端面に、目封止部5と「セル2の開口部」とにより、市松模様が形成されていることが好ましい。
【0017】
ハニカムフィルタ100は、ハニカム構造体4及び当該ハニカム構造体4を構成する隔壁1の構成について、特に主要な特性を有している。即ち、ハニカム構造体4を構成する隔壁1は、当該隔壁1の厚さが、152~254μmである。また、ハニカム構造体4のセル密度が、38.8~62.0個/cmである。また、水銀圧入法によって測定された隔壁1の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径D50が、11~15μmであり、水銀圧入法によって測定された隔壁1の気孔率が、60~75%である。更に、多孔質の隔壁1内に形成された気孔の濡れ面積Aを、当該気孔の断面積Sで除した値である隔壁濡れ面積比(A/S)が、0.21~0.35m/mである。以下、多孔質の隔壁1に形成された微細な空孔のことを、隔壁1の「気孔」又は「細孔」ということがある。
【0018】
このように構成されたハニカムフィルタ100は、圧力損失の増加を抑制しつつ、浄化性能を向上させることができる。例えば、ハニカムフィルタ100に触媒スラリーを塗工し、これを焼成することで触媒層を設ける場合、触媒スラリーは、ハニカム構造体4を構成する多孔質の隔壁1内へと浸透する形で塗布される。ハニカムフィルタ100は、隔壁濡れ面積比(A/S)を0.21~0.35m/mとすることで、隔壁1の気孔のうち、相対的に小径の気孔を増加させ、触媒が塗布される表面積を増大させることができる。このため、ハニカムフィルタ100に触媒層を設けた際に、排ガスと触媒との接触頻度が増加し、ハニカムフィルタ100による浄化性能を向上させることができる。また、ハニカムフィルタ100において、ハニカム構造体4のセル密度を38.8~62.0個/cmの範囲としており、セル密度の過度の増加を行うことなく、浄化性能の向上を実現することができる。このため、ハニカムフィルタ100は、セル密度を増加させることで浄化性能の向上を図るといった従来手法に比して、圧力損失の増加を有効に抑制しつつ、より効果的に浄化性能を向上させることができる。以下、本実施形態のハニカムフィルタ100について、更に詳細に説明する。
【0019】
ハニカム構造体4を構成する隔壁1は、当該隔壁1の厚さが、152~254μmである。隔壁1の厚さを上記数値範囲とすることで、構造体としての強度の確保と圧力損失増加抑制の両立が達成できる。例えば、隔壁1の厚さが152μm未満であると、強度低下の点で好ましくない。隔壁1の厚さが254μmを超えると、圧力損失が大きく増大するため好ましくない。特に限定されることはないが、隔壁1の厚さは、203~254μmであることが好ましく、203~229μmであることが更に好ましい。隔壁1の厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープ(microscope)を用いて測定することができる。
【0020】
また、上記したような隔壁1を有するハニカム構造体4は、当該ハニカム構造体4のセル密度が、38.8~62.0個/cmである。セル密度を上記数値範囲とすることで、灰(以下、「アッシュ」又は「Ash」ともいう)堆積時の圧力損失の増加を抑制できる。例えば、セル密度が38.8個/cm未満であると、幾何学的表面積(GSA)がさがりAsh堆積層の厚みが増し、圧力損失が大きく増加するため好ましくない。セル密度が62.0個/cmを超えると、ガス入口端面の水力直径が小さくなり、圧力損失が急激に増加するため好ましくない。特に限定されることはないが、ハニカム構造体4のセル密度は、43~54個/cmであることが好ましく、45~48個/cmであることが更に好ましい。
【0021】
隔壁1は、水銀圧入法によって測定された隔壁1の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径D50が、11~15μmである。以下、隔壁1の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径D50のことを、単に、隔壁1の細孔径分布における「D50」ということがある。この「D50」は、隔壁1の細孔径分布における全細孔容積の半分の容積を与える細孔径と定義して算出した値であり、隔壁1の平均細孔径とも称されることがある。D50が11μm未満であると、触媒塗布後の圧力損失が激的に増大する可能性があるため好ましくない。細孔径D50が15μmを超えると、捕集性能が低下する点で好ましくない。特に限定されることはないが、D50は、12~15μmであることが好ましく、13~15μmであることが更に好ましい。
【0022】
隔壁1の累積細孔容積は、水銀圧入法によって測定された値である。隔壁1の累積細孔容積の測定は、例えば、Micromeritics社製のオートポア9500(商品名)を用いて行うことができる。隔壁1の累積細孔容積の測定は、以下のような方法によって行うことができる。まず、ハニカムフィルタ100から隔壁1の一部を切り出して、累積細孔容積測定用の試験片を作製する。試験片の大きさについては特に制限はないが、例えば、縦、横、高さのそれぞれの長さが、約10mm、約10mm、約20mmの直方体であることが好ましい。試験片を切り出す隔壁1の部位については特に制限はないが、試験片は、ハニカム構造部の軸方向の中心付近から切り出して作製することが好ましい。得られた試験片を、測定装置の測定用セル内に収納し、この測定用セル内を減圧する。次に、測定用セル内に水銀を導入する。次に、測定用セル内に導入した水銀を加圧し、加圧時において、試験片内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積を測定する。この際、水銀に加える圧力を増やすにしたがって、細孔径の大きな細孔から、順次、細孔径の小さな細孔に水銀が押し込まれることとなる。したがって、「水銀に加える圧力」と「細孔中に押し込まれた水銀の体積」との関係から、「試験片に形成された細孔の細孔径」と「累積細孔容積」の関係を求めることができる。更に詳細に説明と、上記したように水銀圧入法により、真空状態に密閉した容器内にある試料(試験片)の細孔に水銀を浸入させるために徐々に圧力を加えていくと、圧力が加えられた水銀は、試料の大きな細孔から小さな細孔へと順に浸入していく。その時の圧力と圧入された水銀量から、試料に形成された細孔の細孔径、及びその細孔容積を算出することができる。以下、細孔径をD1、D2、D3・・・とした場合、D1>D2>D3・・・の関係を満たすものとする。ここで、各測定ポイント間(例えば、D1からD2)の平均細孔径Dは、「平均細孔径D=(D1+D2)/2」として横軸に示すことができる。また、縦軸のLog微分細孔容積は、各測定ポイント間の細孔容積の増加分dVを細孔径の対数扱いの差分値(即ち、「log(D1)-log(D2)」)で割った値とすることができる。
【0023】
水銀圧入法によって測定された隔壁1の気孔率が、60~75%である。隔壁1の気孔率が60%未満であると、触媒塗布時の圧力損失が激的に増大する可能性があるため好ましくない。隔壁1の気孔率が75%を超えると、強度低下の点で好ましくない。特に限定されることはないが、隔壁1の気孔率は、61~70%であることが好ましく、62~66%であることが更に好ましい。隔壁1の気孔率は、例えば、Micromeritics社製のオートポア9500(商品名)を用いて測定することができる。気孔率の測定は、ハニカムフィルタ100から隔壁1の一部を切り出して試験片とし、このようにして得られた試験片を用いて行うことができる。
【0024】
更に、ハニカムフィルタ100は、以下に説明する隔壁濡れ面積比(A/S)が、0.21~0.35m/mである。隔壁濡れ面積比(A/S)とは、多孔質の隔壁1内に形成された気孔の濡れ面積A(m)を、当該気孔の断面積S(m)で除した値(A/S)である。気孔の濡れ面積A(m)及び断面積S(m)は、隔壁1に対してCTスキャンを行うことによって得た3次元のボクセルデータ60を用いて算出する。図4は、ボクセルデータ60の概念図である。まず、隔壁1(例えば、図3参照)の厚さ方向をX方向とし、セル2の軸方向(例えば、図3の上下方向)をY方向として、XY平面を撮影断面とする。次に、撮影断面をXY方向に垂直なZ方向にずらして複数撮影するように隔壁1のCTスキャンを行って複数の画像データを取得し、この画像データに基づいて図4の上段のようなボクセルデータ60を得る。X,Y,Zの各方向の解像度はそれぞれ1.2μmとし、これにより得られる1辺が1.2μmの立方体が3次元のボクセルデータ60の最小単位すなわちボクセルとなる。なお、CTスキャンで得られる撮影断面の画像データはZ方向の厚みのない平面のデータであるが、各撮影断面は撮影断面のZ方向の間隔分(1.2μm)の厚みがあるものとして扱う。すなわち画像データの二次元の各画素を1辺が1.2μmの立方体(ボクセル)として扱う。ボクセルデータ60の大きさは、図3の上段に示すように、X方向が300μm(=1.2μm×250ボクセル),Y方向が480μm(=1.2μm×400ボクセル),Z方向が480μm(=1.2μm×400ボクセル)の直方体とする。各ボクセルはX,Y,Z座標(座標の値1がボクセルの一辺の長さである1.2μmに対応する)により位置が表されるとともに、空間(気孔)を表す空間ボクセルであるか物体を表す物体ボクセルであるかが区別されている。空間ボクセルと物体ボクセルとの区別は、モード法を用いた2値化処理によって以下のように行う。CTスキャンによって実際に得られる複数の画像データは、X,Y,Z座標毎の輝度データである。この輝度データに基づき、全ての座標(複数の画像データの全画素)について輝度のヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラムに現れる2つの山の間(谷)の部分の輝度値を閾値に設定し、各座標について輝度が閾値より大きいか小さいかで各座標の輝度を2値化する。これにより、各座標のボクセルが空間ボクセルであるか物体ボクセルであるかを区別する。図4の中段に、空間ボクセルと物体ボクセルとを区別した状態の一例を2次元的に示した。図4の下段には、その一部の拡大図64を2次元的に示した。なお、このようなCTスキャンは、例えば、島津製作所社製のSMX-160CT-SV3(商品名)を用いて行うことができる。CTスキャンを行う隔壁1の位置については特に制限はないが、ハニカム構造体4のセル2の延びる方向(上述したセル2の軸方向)の中央部分であることが好ましい。
【0025】
次に、このボクセルデータ60を用いて、気孔の断面積S’及び気孔の濡れ面積A’を算出する。気孔の断面積S’は、図4の中段及び下段に示される「空間ボクセル」が存在する範囲の面積である。このため、気孔の断面積S’は、断面積S’=空間ボクセル数×1.2μm×1.2μmとして算出することができる。濡れ面積A’は、ボクセルデータ60における空間ボクセルと物体ボクセルとの境界面の面積の合計として算出する。より具体的には、濡れ面積A’=(ボクセルデータ60中の境界面の数)×(1つの境界面の面積)として導出する。1つの境界面の面積は1.44μm(=1.2μm×1.2μm)である。例えば、図4の下段に示す拡大図64には、空間ボクセルと物体ボクセルとの境界面が6面存在するため、拡大図64における境界面の面積の合計は、6×1.44=8.64μmとなる。このようにして、濡れ面積A’を算出する。なお、これまでの説明では、気孔の断面積S’及び気孔の濡れ面積A’の単位を「μm」とした場合の例を説明しているが、適宜、ボクセルデータ60の大きさ(長さ)等の単位を「m」にて換算することで、気孔の濡れ面積A(m)及び気孔の断面積S(m)を求めることができる。そして、気孔の断面積Sと濡れ面積Aとにより隔壁濡れ面積比(A/S)を算出する。
【0026】
ハニカムフィルタ100において、隔壁濡れ面積比(A/S)が、0.21m/m未満であると、隔壁1内の触媒が塗布される表面積(即ち、隔壁1内の濡れ面積)が少なくなる。このため、ハニカムフィルタ100に触媒層を設けた際に、排ガスと触媒との接触頻度が増加し難く、十分な浄化性能の向上が期待できない。一方で、隔壁濡れ面積比(A/S)が、0.35m/mを超えると、触媒塗布後に圧力損失が増大してしまう可能性がある点で好ましくない。隔壁濡れ面積比(A/S)は0.21~0.35m/mであればよいが、例えば、0.23~0.30m/mであることが好ましく、0.25~0.27m/mであることが更に好ましい。
【0027】
また、ハニカムフィルタ100は、これまでに説明した隔壁1の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の10%となる細孔径D10が、5.5~7.5μmであることが好ましい。以下、累積細孔容積が全細孔容積の10%となる細孔径D10のことを、単に、隔壁1の細孔径分布における「D10」ということがある。D10が、5.5~7.5μmであると、触媒塗布後の圧力損失の増加を抑制できる点で好ましい。特に限定されることはないが、D10は、6.0~7.0μmであることが更に好ましい。
【0028】
更に、ハニカムフィルタ100は、隔壁1の細孔径分布において、累積細孔容積が全細孔容積の90%となる細孔径D90が、35.0μm以下であることが好ましい。以下、累積細孔容積が全細孔容積の90%となる細孔径D90のことを、単に、隔壁1の細孔径分布における「D90」ということがある。D90が、35.0μm以下であると、十分な捕集性能が発現できる点で好ましい。特に限定されることはないが、D90は、27.0~35.0μmであることが更に好ましく、27.0~32.0μmであることが特に好ましい。
【0029】
隔壁1によって区画されるセル2の形状については特に制限はない。例えば、セル2の延びる方向に直交する断面における、セル2の形状としては、多角形、円形、楕円形等を挙げることができる。多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等を挙げることができる。なお、セル2の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形であることが好ましい。また、セル2の形状については、全てのセル2の形状が同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、図示は省略するが、四角形のセルと、八角形のセルとが混在したものであってもよい。また、セル2の大きさについては、全てのセル2の大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、図示は省略するが、複数のセルのうち、一部のセルの大きさを大きくし、他のセルの大きさを相対的に小さくしてもよい。なお、本発明において、セルとは、隔壁によって取り囲まれた空間のことを意味する。
【0030】
ハニカム構造体4の形状については特に制限はない。ハニカム構造体4の形状としては、流入端面11及び流出端面12の形状が、円形、楕円形、多角形等の柱状を挙げることができる。
【0031】
ハニカム構造体4の大きさ、例えば、流入端面11から流出端面12までの長さや、ハニカム構造体4のセル2の延びる方向に直交する断面の大きさについては、特に制限はない。ハニカムフィルタ100を、排ガス浄化用のフィルタとして用いた際に、最適な浄化性能を得るように、各大きさを適宜選択すればよい。
【0032】
ハニカム構造体4を構成する隔壁1の材料については特に制限はない。例えば、隔壁1の材料が、コージェライト、炭化珪素、珪素-炭化珪素複合材料、コージェライト-炭化珪素複合材料、窒化珪素、ムライト、アルミナ及びチタン酸アルミニウムから構成される群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。本実施形態のハニカムフィルタ100においては、隔壁1の材料として、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウムのうちの少なくとも1種を含む材料を好適例として挙げることができる。
【0033】
目封止部5の材料についても特に制限はない。例えば、上述した隔壁1の材料と同様の材料を用いることができる。
【0034】
ハニカムフィルタ100は、複数のセル2を区画形成する隔壁1に排ガス浄化用の触媒が担持されていることが好ましい。隔壁1に触媒を担持するとは、隔壁1の表面及び隔壁1に形成された細孔の内壁に、触媒がコーティングされることをいう。このように構成することによって、排ガス中のCOやNOxやHCなどを触媒反応によって無害な物質にすることができる。また、捕集した煤等のPMの酸化を促進させることができる。
【0035】
隔壁1に担持する触媒については特に制限はない。例えば、白金族元素を含有する触媒であって、アルミニウム、ジルコニウム、及びセリウムのうちの少なくとも一種の元素の酸化物を含む触媒を挙げることができる。
【0036】
(2)ハニカムフィルタの製造方法:
本発明のハニカムフィルタを製造する方法については、特に制限はなく、例えば、以下のような方法を挙げることができる。まず、ハニカム構造体を作製するための可塑性の坏土を調製する。ハニカム構造体を作製するための坏土は、原料粉末として、前述の隔壁の好適な材料の中から選ばれた材料に、適宜、バインダ等の添加剤、造孔材、及び水を添加することによって調製することができる。なお、本発明のハニカムフィルタを製造する際に、坏土を調製するための原料粉末としては、例えば、カオリン、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ等を用い、これらの原料粉末を、シリカが42~56質量%、アルミナが30~45質量%、マグネシアが12~16質量%の範囲に入る化学組成となるようにして調製することができる。なお、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムは平均粒径が7μm以下のものを使用することで素地内の小細孔を増加させ、隔壁濡れ面積を増大することができる。
【0037】
次に、このようにして得られた坏土を押出成形することにより、複数のセルを区画形成する隔壁、及びこの隔壁を囲繞するように配設された外周壁を有する、柱状のハニカム成形体を作製する。押出成形においては、押出成形用の口金として、坏土の押出面に、成形するハニカム成形体の反転形状となるスリットが設けられた口金を用いることができる。
【0038】
得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥し、ハニカム成形体の作製に用いた材料と同様の材料で、セルの開口部を目封止することで目封止部を作製する。目封止部を作製した後に、ハニカム成形体を更に乾燥してもよい。
【0039】
次に、目封止部を作製したハニカム成形体を焼成することにより、ハニカムフィルタを製造する。焼成温度及び焼成雰囲気は原料により異なり、当業者であれば、選択された材料に最適な焼成温度及び焼成雰囲気を選択することができる。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
コージェライト化原料100質量部に、造孔材を2質量部、分散媒を2質量部、有機バインダを7質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。コージェライト化原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用した。分散媒としては、水を使用した。有機バインダとしては、メチルセルロース(Methylcellulose)を使用した。分散剤としては、デキストリン(Dextrin)を使用した。水酸化アルミニウムは平均粒径が5μmのものを使用し、ハニカム構造体を作製するための坏土を調製した。
【0042】
次に、得られた坏土を、押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を作製した。次に、得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて更に乾燥した。ハニカム成形体におけるセルの形状は、四角形とした。
【0043】
次に、乾燥後のハニカム成形体に、目封止部を形成した。まず、ハニカム成形体の流入端面にマスクを施した。次に、マスクの施された端部(流入端面側の端部)を目封止スラリーに浸漬し、マスクが施されていないセル(流出セル)の開口部に目封止スラリーを充填した。このようにして、ハニカム成形体の流入端面側に、目封止部を形成した。そして、乾燥後のハニカム成形体の流出端面についても同様にして、流入セルにも目封止部を形成した。
【0044】
次に、目封止部を形成したハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。次に、乾燥したハニカム成形体を、脱脂し、焼成して、実施例1のハニカムフィルタを製造した。
【0045】
実施例1のハニカムフィルタは、端面の直径が132.6mmであり、セルの延びる方向の長さが127.3mmであった。また、隔壁の厚さが210.8μmであり、セル密度が46.8個/cmであった。隔壁の厚さの値を表1に示す。
【0046】
実施例1のハニカムフィルタについて、以下の方法で、隔壁の「気孔率(%)」、「D50(μm)」、「D10(μm)」及び「D90(μm)」の測定を行った。また、以下の方法で、隔壁の「隔壁濡れ面積比」を求めた。各結果を、表1に示す。
【0047】
[気孔率(%)、D50(μm)、D10(μm)及びD90(μm)]
隔壁の気孔率(%)、D50(μm)、D10(μm)及びD90(μm)は、Micromeritics社製のオートポア9500(商品名)を用いて測定した。D50(μm)、D10(μm)及びD90(μm)の各値は、隔壁の細孔径分布において累積細孔容積が全細孔容積の50%、10%及び90%となる各細孔径(μm)を確認することにより求めた。これらの測定においては、ハニカムフィルタから隔壁の一部を切り出して試験片とし、得られた試験片を用いて測定を行った。試験片は、縦、横、高さのそれぞれの長さが、約10mm、約10mm、約20mmの直方体のものとした。試験片の採取箇所については、ハニカム構造体の軸方向の中心付近とした。
【0048】
[隔壁濡れ面積比]
これまでに説明した方法にて、ハニカム構造体の隔壁に対してCTスキャンを行うことにより、図4に示すような3次元のボクセルデータ60を得た。そして、得られた3次元のボクセルデータ60を用いて、上述した方法に従って隔壁濡れ面積比を算出した。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1のハニカムフィルタについて、以下の方法で、圧力損失、浄化性能、捕集性能の評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
(圧力損失)
大型風洞試験機を用いて、25℃のガスを、10Nm/分の流量で流入させて、ハニカムフィルタの流入端面側と流出端面側との圧力を測定した。そして、流入端面側と流出端面側との圧力差を算出することにより、ハニカムフィルタの圧力損失(kPa)を求めた。そして、比較例1のハニカムフィルタの圧力損失の値に対する、各実施例のハニカムフィルタの圧力損失の増加率(%)を求めた。圧力損失の評価においては、下記評価基準に基づき、各実施例のハニカムフィルタの評価を行った。
評価「良」:圧力損失の増加率(%)が10%未満である場合、その評価を「良」とする。
評価「不可」:圧力損失の増加率(%)が10%以上の場合、その評価を「不可」とする。
【0052】
(浄化性能)
三元触媒を100g/L担持させたハニカムフィルタを、排気量が1500ccの車両の床下位置に搭載し、走行モードRTS95サイクルでの台上試験を行いハニカムフィルタのNOx浄化率(%)を求めた。そして、比較例1のハニカムフィルタのNOx浄化率(%)の値に対して、各実施例のハニカムフィルタのNOx浄化率(%)を比較することで、浄化性能の評価を行った。具体的には。浄化性能の評価においては、下記評価基準に基づき、各実施例のハニカムフィルタの評価を行った。
評価「優」:比較例1のハニカムフィルタのNOx浄化率(%)の値に対して、NOx浄化率(%)が1.0%以上の向上が見られる場合、その評価を「優」とする。
評価「良」:比較例1のハニカムフィルタのNOx浄化率(%)の値に対して、NOx浄化率(%)が0.5%以上1.0%未満の向上が見られる場合、その評価を「良」とする。
評価「不可」:比較例1のハニカムフィルタのNOx浄化率(%)の値に対して、NOx浄化率(%)が0.5%未満の向上が見られる場合、その評価を「不可」とする。
【0053】
(捕集性能)
ハニカムフィルタを、排気量が1500ccの車両の床下位置に搭載し、走行モードRTS95サイクルでの台上試験を行い、ハニカムフィルタにPMを含む排ガスを流した。このとき、ハニカムフィルタに流入する前の排ガス中のPM数、ハニカムフィルタから流出する排ガス中のPM数を測定することでハニカムフィルタの捕集効率(%)を求めた。捕集性能の評価においては、下記評価基準に基づき、各実施例のハニカムフィルタの評価を行った。
評価「良」:捕集効率(%)が70%以上の場合、その評価を「良」とする。
評価「可」:捕集効率(%)が65%以上、70%未満の場合、その評価を「可」とする。
評価「不可」:捕集効率(%)が65%未満の場合、その評価を「不可」とする。
【0054】
(実施例2~4)
実施例2~4においては、ハニカム構造体の構成を、表1の「隔壁の特性」に示すように変更した。なお、実施例2,4においては、原料粉末に添加する造孔材の粒径をより小さくしてハニカム構造体を作製した。実施例3においては、原料粉末に添加する造孔材の粒径をより大きくしてハニカム構造体を作製した。
【0055】
(比較例1)
比較例1においては、ハニカム構造体の構成を、表1の「隔壁の特性」に示すように変更した。なお、比較例1においては、造孔材の粒子径、及びその添加量を調節することにより小細孔容積が少なくなるようなハニカム構造体を作製した。
【0056】
実施例2~4のハニカムフィルタについても、実施例1と同様の方法で、圧力損失、浄化性能、捕集性能の評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例1のハニカムフィルタは、圧力損失及び浄化性能の評価において評価基準となっている。
【0057】
(結果)
実施例1~4のハニカムフィルタは、圧力損失、及び浄化性能の評価において、評価基準となる比較例1のハニカムフィルタよりも優れた結果を示すものであった。特に、実施例4のハニカムフィルタは、隔壁濡れ面積比が0.3m/mであり、浄化性能の評価結果が特に優れたものであった。実施例1,3のハニカムフィルタは、隔壁濡れ面積比が同等の値を示すものであったが、詳細な捕集性能を比較したところ、実施例1のハニカムフィルタの方がより優れた捕集性能を示すことが分かった。実施例1のハニカムフィルタは、D90の値が実施例3のハニカムフィルタよりも小さく、捕集性能の改善が図られたものと推察される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のハニカムフィルタは、排ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1:隔壁、2:セル、2a:流入セル、2b:流出セル、3:外周壁、4:ハニカム構造体、5:目封止部、11:流入端面、12:流出端面、60:ボクセルデータ、64:拡大図、100:ハニカムフィルタ。
図1
図2
図3
図4