(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155789
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20241024BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241024BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241024BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20241024BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241024BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20241024BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241024BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/1339 500
G02F1/13 505
G02F1/1337
B32B7/023
B32B27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065362
(22)【出願日】2024-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052516
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 亨 勳
(72)【発明者】
【氏名】金 珍 浩
(72)【発明者】
【氏名】柳 ▲ヒョン▼ 銑
(72)【発明者】
【氏名】許 燮
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H149
2H189
2H290
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA13
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2H088JA10
2H088JA13
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2H291PA42
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2H291PA82
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AK01D
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4F100JN10D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、液晶化合物に配向性を付与するための配向膜を含むことにより発生する厚さ不均一あるいは密着性の低下による製品不良を最小化することを目的とする。
【解決手段】本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される、第1電極層と、前記第1偏光板に対向する、第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1電極層に対向する、第2電極層と、前記第1電極層および第2電極層の間に備えられる、液晶層とを含み、前記第1電極層および第2電極層は、導電性高分子を含み、前記第1電極層および第2電極層は、少なくとも一部の領域上にラビングによって物理配向構造が形成された、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光板と、
前記第1偏光板の一面上に形成される、第1電極層と、
前記第1偏光板に対向する、第2偏光板と、
前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1電極層に対向する、第2電極層と、
前記第1電極層および第2電極層の間に備えられる、液晶層とを含み、
前記第1電極層および第2電極層は、導電性高分子を含み、
前記第1電極層および第2電極層は、少なくとも一部の領域上にラビングによって物理配向構造が形成された、透過率可変光学積層体。
【請求項2】
前記透過率可変光学積層体は、別の配向膜を含まない、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項3】
前記第1電極層および第2電極層は、100nm~3,000nmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項4】
前記第1電極層および第2電極層は、200Ω/□以下の面抵抗を有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項5】
前記第1電極層および第2電極層は、導電性高分子;および有機バインダー、有機溶媒、シランカップリング剤および界面活性剤からなる群より選択される1種以上;を含む電極層形成用組成物で製造された、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項6】
前記導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):カンファースルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):トルエンスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン:ポリスチレンスルホネート、ポリアニリン:カンファースルホン酸、ポリピロール:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール:カンファースルホン酸、ポリピロール:トルエンスルホン酸、ポリピロール:ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリチオフェン:カンファースルホン酸、ポリチオフェン:トルエンスルホン酸、およびポリチオフェン:ドデシルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される1種以上を含む、請求項5に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項7】
前記第1電極層および第2電極層の少なくとも1つの電極層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか1つの偏光板と直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項8】
第1偏光板および第1電極層の間に配置される第1透明導電層;第2偏光板および第2電極層の間に配置される第2透明導電層;の少なくとも1つの透明導電層を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも1つの透明導電層は、100nm~1,000nmの厚さを有する、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも1つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性インク、およびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含む、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記第1偏光板および第2偏光板の少なくとも1つの偏光板は、保護層、位相差調整層、および屈折率調整層からなる群より選択される1種以上の機能層を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記第1偏光板および第2偏光板の少なくとも1つの偏光板は、30~200μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記液晶層は、ボールスペーサを含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
前記ボールスペーサは、1~10μmの直径を有する、請求項13に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項15】
前記ボールスペーサの液晶層内での占有面積は、液晶層の面積の0.01%~10%である、請求項13に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項16】
前記透過率可変光学積層体は、オーバーコート層、粘接着層、紫外線吸収層、およびハードコート層からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の透過率可変光学積層体の製造方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項19】
請求項18に記載のスマートウィンドウを含む、交通手段。
【請求項20】
請求項18に記載のスマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りの少なくとも1つ以上に適用した、自動車。
【請求項21】
請求項18に記載のスマートウィンドウを含む、ウェアラブル装置。
【請求項22】
請求項18に記載のスマートウィンドウを含む、建築用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両などの移動手段の窓ガラスに外光遮断コーティングをする場合が多い。しかし、従来の移動手段の窓ガラスは透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全体透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていれば、周辺に光量の十分な昼間には問題がないが、周辺に光量の十分でない夜間などの場合は、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認する上で困難を経験しうるという問題点があった。あるいは、全体的な透過率が高く設定されていれば、周辺に光量の十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こしうるという問題点があった。そこで、電圧が印加されれば光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることにより駆動されるが、現在まで開発された透過率可変光学積層体は、通常光透過率調整のための液晶化合物の配向性付与のための配向膜を備えた。
【0004】
例えば、日本国特開第2018-010035号も、液晶層に備えられる液晶化合物の配向性付与のための配向膜を含む調光フィルムを開示している。
【0005】
しかし、このように液晶化合物に配向性を付与するための配向膜を含む場合、配向膜の乾燥条件による厚さ不均一あるいは基材間の密着性低下の問題があるだけでなく、配向膜塗布のために基材にプラズマ処理を行う過程で基材に損傷が発生する問題があった。
【0006】
したがって、配向膜を備えることにより発生する厚さ不均一あるいは外観品質の低下などを防止できる透過率可変光学積層体に対する開発が必要なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開第2018-010035号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、液晶化合物に配向性を付与するための配向膜を含むことにより発生する厚さ不均一あるいは密着性の低下による製品不良を最小化することを目的とする。
【0009】
しかし、本発明が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される、第1電極層と、前記第1偏光板に対向する、第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1電極層に対向する、第2電極層と、前記第1電極層および第2電極層の間に備えられる、液晶層とを含み、前記第1電極層および第2電極層は、導電性高分子を含み、前記第1電極層および第2電極層は、少なくとも一部の領域上にラビングによって物理配向構造が形成された、透過率可変光学積層体に関する。
【0011】
本発明は、その第1観点において、前記透過率可変光学積層体は、別の配向膜を含まないものであってもよい。
【0012】
本発明は、その第2観点において、前記第1電極層および第2電極層は、100nm~3,000nmの厚さを有するものであってもよい。
【0013】
本発明は、その第3観点において、前記第1電極層および第2電極層は、200Ω/□以下の面抵抗を有するものであってもよい。
【0014】
本発明は、その第4観点において、前記第1電極層および第2電極層は、導電性高分子;および有機バインダー、有機溶媒、シランカップリング剤および界面活性剤からなる群より選択される1種以上;を含む電極層形成用組成物で製造されたものであってもよい。
【0015】
本発明は、その第5観点において、前記導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):カンファースルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):トルエンスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン:ポリスチレンスルホネート、ポリアニリン:カンファースルホン酸、ポリピロール:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール:カンファースルホン酸、ポリピロール:トルエンスルホン酸、ポリピロール:ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリチオフェン:カンファースルホン酸、ポリチオフェン:トルエンスルホン酸、およびポリチオフェン:ドデシルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0016】
本発明は、その第6観点において、前記第1電極層および第2電極層の少なくとも1つの電極層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか1つの偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0017】
本発明は、その第7観点において、第1偏光板および第1電極層の間に配置される第1透明導電層;および第2偏光板および第2電極層の間に配置される第2透明導電層;の少なくとも1つの透明導電層を含むものであってもよい。
【0018】
本発明は、その第8観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも1つの透明導電層は、100nm~1,000nmの厚さを有するものであってもよい。
【0019】
本発明は、その第9観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも1つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性インク、およびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第10観点において、前記第1偏光板および第2偏光板の少なくとも1つの偏光板は、保護層、位相差調整層、および屈折率調整層からなる群より選択される1種以上の機能層を含むものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第11観点において、前記第1偏光板および第2偏光板の少なくとも1つの偏光板は、30~200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0022】
本発明は、その第12観点において、前記液晶層は、ボールスペーサを含むものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第13観点において、前記ボールスペーサは、1~10μmの直径を有するものであってもよい。
【0024】
本発明は、その第14観点において、前記ボールスペーサの液晶層内での占有面積は、液晶層の面積の0.01%~10%であってもよい。
【0025】
本発明は、その第15観点において、前記透過率可変光学積層体は、オーバーコート層、粘接着層、紫外線吸収層、およびハードコート層からなる群より選択される1種以上をさらに含むものであってもよい。
【0026】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウに関する。
【0027】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、交通手段に関する。
また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りの少なくとも1つ以上に適用した、自動車に関する。
【0028】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、ウェアラブル装置または建築用建具に関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明による光学積層体によれば、配向膜を含まないことにより、配向膜の乾燥条件による厚さ不均一あるいは密着性の低下などによる製品不良が発生しないという面で利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一または複数の実施例による透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【
図2】本発明の一または複数の実施例による透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【
図3】本発明の一または複数の実施例による透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【
図4A】本発明の一または複数の実施例による偏光板の積層構造を示す図である。
【
図4B】本発明の一または複数の実施例による偏光板の積層構造を示す図である。
【
図4C】本発明の一または複数の実施例による偏光板の積層構造を示す図である。
【
図4D】本発明の一または複数の実施例による偏光板の積層構造を示す図である。
【
図4E】本発明の一または複数の実施例による偏光板の積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、液晶化合物に配向性を付与するための配向膜を含まないことにより、配向膜を含む場合に発生しうる技術的問題、例えば、配向膜の乾燥条件による厚さ不均一あるいは密着性の低下による製品不良を防止できる透過率可変光学積層体に関する。
【0032】
さらに詳しくは、本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される、第1電極層と、前記第1偏光板に対向する、第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1電極層に対向する、第2電極層と、前記第1電極層および第2電極層の間に備えられる、液晶層とを含み、前記第1電極層および第2電極層は、導電性高分子を含み、前記第1電極層および第2電極層は、少なくとも一部の領域上にラビングによって物理配向構造が形成された、透過率可変光学積層体に関する。
【0033】
本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に好適であり、例えば、スマートウィンドウ(smart window)などに使用可能である。
【0034】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気的信号の印加によって光の透過性を変化させて通過する光または熱の量を制御する光学構造物を意味する。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明状態に変化可能に備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラス、またはスマートガラス(smart glass)などとも呼ばれる。
【0035】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両および建築物の内部空間の区画用または私生活保護用仕切りとして活用されたり、建築物の開口部に配置された採光窓として活用されてもよく、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンとしても活用可能であり、自動車、バス、航空機、船舶または列車の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0036】
本発明の透過率可変光学積層体も、上述した様々な技術分野のスマートウィンドウ(smart window)として活用が可能でるが、導電層が偏光板に直接形成されることにより、導電層形成のための別の基材を含まず、厚さが薄くて屈曲特性に有利で、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に好適に使用可能である。一または複数の実施例において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、自動車の前面窓、後面窓、側面窓およびサンルーフ窓、または建物用建具などに使用可能であり、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用または私生活保護用にも使用可能である。
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付した以下の図面は本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、上述した発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるので、本発明はその図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはならない。
【0038】
本明細書で使用される用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文言で特に言及しない限り、複数形も含む。例えば、本明細書で使用される「偏光板」は、第1偏光板および第2偏光板の少なくとも1つの偏光板を意味するものであり、「電極層」は、第1電極層および第2電極層の少なくとも1つの電極層を意味するものであり、「透明導電層」は、第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも1つの透明導電層を意味するものであってもよい。
【0039】
本明細書で使用される、含む(comprises)および/または含む(comprising)は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子以外の1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用する。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0040】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように、1つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用できる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語で理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は、他の素子の「上」に置かれてもよい。したがって、例示的な用語である「下」は、下と上の方向をすべて含むことができる。素子は他の方向にも配向可能であり、これによって空間的に相対的な用語は配向によって解釈される。
【0041】
本明細書内で使用された、「平面方向」は、偏光板および/または電極層の厚さ方向、すなわち使用者の視認側から眺める方向と解釈される。
【0042】
本明細書内で使用された、「実質的に」は、物理的に完全に同一あるいは一致するものだけでなく、測定あるいは製造工程上の誤差範囲以内のものを含むと解釈され、例えば、誤差範囲1%以下であると解釈される。
【0043】
図1~3は、本発明の一または複数の実施例による透過率可変光学積層体の積層構造を示す図であり、
図4は、本発明の一または複数の実施例による偏光板の積層構造を示す図である。
【0044】
図1~3を参照すれば、本発明の一実施例による透過率可変光学積層体は、第1偏光板100-1と、第2偏光板100-2と、第1電極層200-1と、第2電極層200-2と、液晶層300とを含むものであってもよいし、必要に応じて、透明導電層210および/または粘着層400をさらに含むものであってもよい。
【0045】
図4を参照すれば、前記偏光板100は、偏光子110を含み、前記偏光子110の一面または両面上に、保護層120、位相差調整層130、および屈折率調整層140などのような機能層をさらに含むものであってもよい。例えば、偏光板100は、偏光子110と、前記偏光子110の一面または両面上に積層された保護層120とを含むもの(
図4Aおよび
図4B参照)であってもよい。また、偏光子110と、前記偏光子110の一面上に積層された保護層120と、前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に積層された位相差調整層130とを含むもの(
図4C参照)であってもよい。さらに、偏光子110と、前記偏光子の一面上に積層された保護層120と、前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順次に積層された位相差調整層130および屈折率調整層140とを含むもの(
図4D参照)であってもよく、偏光子110と、前記偏光子の一面上に積層された保護層120と、前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順次に積層された保護層120および位相差調整層130とを含むもの(
図4E参照)であってもよい。
【0046】
前記偏光子110は、従来または後に開発される偏光子を用いることができ、例えば、延伸型偏光子またはコーティング型偏光子などを用いることができる。
【0047】
一実施例において、前記延伸型偏光子は、延伸されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂を含むことができる。前記ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化して得たポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフィン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などであってもよい。さらに、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、変性されたものを含み、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマルやポリビニルアセタールであってもよい。
【0048】
一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成される。この時、前記液晶コーティング用組成物は、反応性液晶化合物および二色性染料などを含むことができる。
【0049】
前記反応性液晶化合物は、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また、重合性官能基を1つ以上含む化合物を意味することができる。このような反応性液晶化合物は、いわゆるRM(Reactive Mesogen)という名称で多様に公知である。前記反応性液晶化合物は、光または熱によって重合されて液晶配列が維持されながら高分子ネットワークが形成された硬化膜を構成することができる。
【0050】
前記反応性液晶化合物は、単官能性または多官能性反応性液晶化合物であってもよい。前記単官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であり、多官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。
【0051】
前記二色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれて偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向での吸光度と、短軸方向での吸光度とが異なる性質を有する。前記二色性染料は、従来または後に開発される二色性染料を使用することができ、例えば、アゾ染料(azo dyes)、アントラキノン染料(anthraquinone dyes)、ペリレン染料(perylene dyes)、メロシアニン染料(merocyanine dyes)、アゾメチン染料(azomethine dyes)、フタロペリレン染料(phthaloperylene dyes)、インディゴ染料(indigo dyes)、ジオキサジン染料(dioxazine dyes)、ポリチオフェン染料(polythiophene dyes)およびフェノキサジン染料(phenoxazine dyes)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0052】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物および前記二色性染料を溶解させる溶剤をさらに含むことができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)およびクロロホルム(chloroform)などが使用できる。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレベリング剤、重合開始剤などをさらに含むことができる。
【0053】
前記保護層120は、後工程および外部環境から偏光子110の偏光特性を保存するためのもので、保護フィルムなどの形態で実現できる。
【0054】
前記保護層120は、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、偏光子110の一面または両面上に直接接触して形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、前記保護層は、1つ以上の保護層が連続的に積層された複層構造で使用されてもよいし、他の機能層の一面または両面上に直接接触して形成されるものであってもよい。
【0055】
一または複数の実施例において、前記保護層120は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)および環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0056】
前記位相差調整層130は、光学積層体の光学特性を補うためのもので、位相差フィルムなどの形態で実現可能であり、従来または後に開発される位相差フィルムなどを使用することができる。例えば、光の位相を遅延させるための四分の一波長板(1/4波長板)または半波長板(1/2波長板)などを使用することができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用可能である。
【0057】
前記位相差調整層130は、
図4Cおよび
図4Dに示されるように、偏光子110の一面上に直接接触して形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、
図4Eに示されるように、前記位相差調整層130が保護層120の一面上に形成されて、偏光子110、保護層120、および位相差調整層130が順次に積層されるものであってもよい。
【0058】
前記位相差調整層130は、延伸によって光学異方性を付与できる高分子フィルムを適切な方式で延伸した高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムを使用することができる。
【0059】
一実施例において、前記高分子延伸フィルムは、ポリエチレン(polyethylene;PE)またはポリプロピレン(polypropylene;PP)などのポリオレフィン、ポリノルボルネン(polynorbornene)などの環状オレフィンポリマー(COP:cyclo olefin polymer)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリスルホン(polysulfone;PSU)、アクリル樹脂(acryl resin)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)などのポリエステル、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl acholol;PVA)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロースエステル系ポリマーや、前記ポリマーを形成する単量体のうち2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を使用することができる。
【0060】
前記高分子延伸フィルムを得る方法は特に制限されず、例えば、前記高分子材料をフィルム状に成形した後、延伸することにより得ることができる。前記フィルム状への成形方法は特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形など公知の方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの2次加工成形法も利用可能である。なかでも、押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。この時、例えば、Tダイ、円形ダイなどが装着された押出機などを用いて未延伸フィルムを押出成形することができる。押出成形によって成形品を得る場合は、事前に各種樹脂成分、添加剤などを溶融混練した材料を用いてもよければ、押出成形時に溶融混練を経て成形してもよい。また、各種樹脂成分に共通した溶媒、例えば、クロロホルム、2塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種樹脂成分を溶解後、キャスト乾燥固体化することにより、未延伸フィルムをキャスト成形してもよい。
【0061】
前記高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向または長手方向)に一軸延伸、機械的流れ方向の横方向(TD;Transverse Direction、横方向または幅方向)に一軸延伸することができ、また、ロール延伸とテンター延伸の順次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などによって延伸することにより、二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0062】
前記液晶重合フィルムは、反応性液晶化合物を重合された状態で含むことができる。前記反応性液晶化合物は、上述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容が同様に適用可能である。
【0063】
一または複数の実施例において、前記位相差調整層130の厚さは、高分子延伸フィルムの場合は10μm~100μmであってもよく、液晶重合フィルムの場合は0.1μm~5μmであってもよい。
【0064】
前記屈折率調整層140は、前記電極層200による光学積層体の屈折率差を補償するために備えられるもので、屈折率差を減少させることにより視認特性などを改善させるための役割を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調整層140は、前記電極層200に起因する色相を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記電極層がパターンを有する場合には、前記屈折率調整層140を介して前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されない非パターン領域との間の透過率差を補償することができる。
【0065】
具体的には、前記電極層200は、これと屈折率が異なる他の部材(例えば、偏光子110など)に隣接して積層され、隣接した他層との屈折率差によって光透過率の差が誘発されることがあり、特に電極層にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域とが区分されて視認される問題点が発生することがある。したがって、前記屈折率調整層140を含むことにより、屈折率を補償させて光学積層体の光透過率の差を減少させることができるようにし、特に電極層にパターンが形成された場合は、パターン領域および非パターン領域が区分されて視認されないようにする。
【0066】
一実施例において、前記屈折率調整層140の屈折率は、隣接した他の部材の材料によって適宜選択可能であるが、1.4~2.6であることが好ましく、さらに好ましくは、1.4~2.4であってもよい。この場合、前記偏光子110などの他の部材と電極層200との間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。
【0067】
前記屈折率調整層140は、偏光子110などの他の部材と電極層200との間の急激な屈折率差を防止できるものであれば、特に制限されず、従来または後に開発される屈折率調整層の形成に用いられる化合物を使用することができ、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調整層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0068】
一実施例において、前記偏光板100は、上述した機能層以外にも、偏光子の特性を補助あるいは強化するための他の機能層をさらに含むことができ、例えば、機械的耐久性をさらに向上させるために、オーバーコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0069】
一または複数の実施例において、前記偏光板100は、30~200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30~170μmであってもよいし、さらに好ましくは、50~150μmであってもよい。この場合、前記偏光板100は、光学特性を維持しながらも、薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0070】
前記電極層200は、液晶層300の駆動のために備えられるもので、前記偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。例えば、
図1および2に示されるように、第1電極層200-1および第2電極層200-2は、それぞれ第1偏光板100-1および第2偏光板100-2に直接接触して形成されるものであってもよい。
【0071】
従来のスマートウィンドウ(smart window)などの製造に用いられる光学積層体は、液晶駆動のための導電層を基材の一面上に形成し、前記基材の他面を偏光板と貼合することにより製造された。しかし、本発明による透過率可変光学積層体は、電極層形成のための別の基材を含まず、偏光板の一面上に電極層を直接形成することにより、積層体の厚さを減少させながら透光モードでの透過率および屈曲特性を向上させることを特徴とする。
【0072】
一実施例において、前記電極層200は、前記偏光板100の一面上に直接蒸着されて形成されるものであってもよい。この時、前記電極層200は、偏光板100との接着力向上のために、偏光板100の一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を実施した後、前記偏光板100の前処理を実施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を阻害しない範囲内で、従来または後に開発される前処理工程を使用することができる。
【0073】
他の実施例において、前記電極層200は、偏光板100との接着力向上のために、偏光板100の一面上に備えられた易接着層(図示せず)を挟んで、偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0074】
前記電極層200は、可視光に対する透過率が50%以上であってもよく、好ましくは、導電性高分子を含むものであってもよいし、例えば、導電性高分子;および有機バインダー、有機溶媒、シランカップリング剤および界面活性剤からなる群より選択される1種以上;を含む電極層形成用組成物で製造されたものであってもよいし、使用者の必要に応じて、残量の水をさらに含むものであってもよい。この場合、電極層200に外部応力による変形が加えられてもクラック(crack)が発生するのを防止することができ、さらに、面抵抗が過度に増加するのを防止することができる。
【0075】
前記導電性高分子(または、伝導性高分子)は、従来または後に開発される導電性高分子物質を使用することができ、例えば、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):カンファースルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):トルエンスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン:ポリスチレンスルホネート、ポリアニリン:カンファースルホン酸、ポリピロール:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール:カンファースルホン酸、ポリピロール:トルエンスルホン酸、ポリピロール:ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリチオフェン:カンファースルホン酸、ポリチオフェン:トルエンスルホン酸、およびポリチオフェン:ドデシルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、好ましくは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネートであってもよい。
【0076】
前記導電性高分子の含有量は、特に制限されないが、電極層形成用組成物の総重量に対して、10重量%~65重量%含まれるものであってもよく、好ましくは、10重量%~50重量%含まれるものであってもよいし、さらに好ましくは、11重量%~30重量%含まれるものであってもよい。
【0077】
前記有機バインダーは、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアクリル樹脂からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。また、前記有機バインダーは、水分散性樹脂であってもよい。
【0078】
一実施例において、前記有機バインダーの重量平均分子量は、5,000g/mol~30,000g/molであってもよいし、好ましくは、10,000g/mol~20,000g/molであってもよい。
【0079】
前記有機バインダーの含有量は、特に制限されないが、電極層形成用組成物の総重量に対して、1重量%~20重量%含まれるものであってもよく、好ましくは、1重量%~10重量%含まれるものであってもよいし、さらに好ましくは、1重量%~5重量%含まれるものであってもよい。
【0080】
前記有機溶媒は、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒および/またはアミド系有機溶媒を含むことができる。
【0081】
前記アルコール系有機溶媒は、電極層形成用組成物の表面張力を低下させてコーティング性を向上させる役割を果たす。一実施例において、前記アルコール系有機溶媒は、炭素数1~4のアルコールであってもよいし、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコールなどを使用することができる。
【0082】
前記エーテル系有機溶媒は、従来または後に開発されるエーテル系有機溶媒を使用することができ、例えば、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルなどを使用することができる。
【0083】
前記アミド系有機溶媒は、製造された電極層の伝導度を向上させる役割を果たす。一実施例において、前記アミド系有機溶媒は、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどを使用することができる。
【0084】
前記有機溶媒の含有量は、特に制限されないが、電極層形成用組成物の総重量に対して、10重量%~80重量%含まれるものであってもよく、好ましくは、40重量%~65重量%含まれるものであってもよいし、さらに好ましくは、45重量%~60重量%含まれるものであってもよい。
【0085】
前記シランカップリング剤は、電極層形成用組成物の付着力を向上させて、偏光板100上に電極層200の積層を容易にする役割を果たす。一実施例において、前記シランカップリング剤は、トリメトキシ系シラン、トリエトキシ系シラン、テトラメトキシ系シランおよびテトラエトキシ系シランからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいし、例えば、前記トリエトキシ系シランは、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン(2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltriethoxy silane)、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン((3-aminopropyl)triethoxy silane)、(ペンタフルオロフェニル)トリエトキシシラン((pentafluorophenyl)triethoxy silane)、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン((3-glycidyloxypropyl)triethoxy silane)または(4-クロロフェニル)トリエトキシシラン((4-chlorophenyl)triethoxy silane)であってもよいし、前記トリメトキシ系シランは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン((3-glycidyloxypropyl)trimethoxy silane)、(3-クロロプロピル)トリメトキシシラン((3-chloropropyl)trimethoxy silane)、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン((3-mercaptopropyl)trimethoxy silane)、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン((3-glycidyloxypropyl)trimethoxy silane)、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン((3-aminopropyl)trimethoxy silane)、[3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン([3-(2-aminoethylamino)propyl]trimethoxy silane)、(N,N-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン((N,N-dimethylaminopropyl)trimethoxy silane)、(3-ブロモプロピル)トリメトキシシラン((3-bromopropyl)trimethoxy silane)または(3-ヨードプロピル)トリメトキシシラン((3-iodopropyl)trimethoxy silane)であってもよい。
【0086】
前記シランカップリング剤の含有量は、偏光板100と電極層200との間の密着力向上の面で、電極層形成用組成物の総重量に対して、0.05重量%~0.3重量%含まれるものであってもよい。
【0087】
前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤またはアセチレン系界面活性剤であってもよいし、前記シリコーン系界面活性剤は、変性シリコーン系界面活性剤であってもよい。
【0088】
例えば、前記シリコーン系界面活性剤の市販品としては、BYK社のBYK-378などが挙げられ、前記アセチレン系界面活性剤の市販品としては、Air Products社のDynol604などが挙げられる。
【0089】
前記界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、電極層形成用組成物の総重量に対して、0.02重量%~0.4重量%含まれるものであってもよく、好ましくは、0.1重量%~0.4重量%含まれるものであってもよい。
【0090】
前記電極層200は、少なくとも一部の領域上に液晶層300に備えられる液晶化合物310に配向性を付与するための物理配向構造が形成されたものであってもよい。
【0091】
従来の液晶層を含む光学積層体は、液晶層に備えられる液晶化合物に配向性を付与するために、別の配向膜を形成して作製した。しかし、本発明による光学積層体は、別の配向膜を含まず、導電性高分子を含む電極層自体に物理配向構造を形成することができる。これによって、従来の配向膜を備えることにより発生する問題点、例えば、配向膜の乾燥条件による厚さ不均一あるいは密着性の低下などを解決することを技術的特徴とする。
【0092】
前記物理配向構造の形成方法は、当業界で通常用いられる方法が使用可能であり、例えば、ラビング布を巻いたラビングローラによるラビングによって形成されるものであってもよい。
【0093】
一実施例において、前記電極層200は、100nm~3,000nmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、150nm~2,000nmの厚さを有するものであってもよいし、さらに好ましくは、200nm~1500nmの厚さを有するものであってもよい。前記電極層の厚さは、ラビングによって物理配向構造が形成された後の最終電極層の厚さを意味するものであってもよい。電極層の厚さが前記範囲を満足する場合、所定の透過率を確保しながらも、外部応力による特性変化が大きくなく、薄い厚さの電極フィルムの製造が可能である。
【0094】
本発明の例示的な実施例による電極層200は、200Ω/□以下の面抵抗を有することが好ましく、この場合、配向膜なしに、物理配向構造が形成された電極層200自体だけでも製品の安定的な駆動が可能という面で利点がある。
【0095】
一実施例において、前記透過率可変光学積層体は、前記電極層に加えて、透明導電層をさらに含むものであってもよい。
【0096】
図2を参照すれば、前記透明導電層210は、偏光板100および電極層200の間に配置され、
図2に示されるように、第1偏光板100-1および第1電極層200-1の間に配置される第1透明導電層210-1、および第2偏光板100-2および第2電極層200-2の間に配置される第2透明導電層210-2の形態で実現できる。しかし、前記
図2に示された実施例に限定されるものではなく、第1透明導電層および第2透明導電層のいずれか1つの透明導電層を含むものであってもよい。
【0097】
前記透明導電層210は、可視光に対する透過率が50%以上であることが好ましく、例えば、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性インク、およびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいが、これに限定されるものではなく、従来または後に開発される透明導電層の材料が使用可能である。
【0098】
一または複数の実施例において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フッ素スズ酸化物(FTO)および亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含むことができる。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、およびこれらの少なくとも1つを含む合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいし、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含むことができる。前記炭素系物質は、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいし、前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合されたインクであってもよく、ナノワイヤは、例えば、シルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。
【0099】
また、前記透明導電層210は、前記物質を組み合わせて2層以上の構造に形成される。例えば、入射光の反射率を低下させ、透過率を高めるように金属層および透明導電性酸化物層を含む2層構造に形成される。
【0100】
一実施例において、前記透明導電層210は、100nm~1,000nmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、130nm~800nmの厚さを有するものであってもよいし、さらに好ましくは、150nm~600nmの厚さを有するものであってもよい。透明導電層の厚さが前記範囲を満足する場合、製品の透過率を低下させることなく、駆動のために適切な面抵抗確保および製品の外観品質向上の面で利点がある。
【0101】
本発明の例示的な実施例により、光学積層体が透明導電層210を含む場合、前記透明導電層210が偏光板100に直接接触して形成され、例えば、第1透明導電層210-1が第1偏光板100-1と直接接触して形成され、および/または、第2透明導電層210-2が第2偏光板100-2と直接接触して形成される。この場合、上述した電極層が偏光板と直接接触して形成されることに関連する内容が同様に適用可能である。
【0102】
前記透過率可変光学積層体が電極層200とは別個に上述した透明導電層210をさらに含む場合、製品の外観品質向上の面でさらに利点があるという面で好ましい。
【0103】
前記液晶層300は、電界によって一または複数の方向から入射する光の透過度を調整することにより、前記光学積層体の駆動モードを変更させることができる。
【0104】
前記液晶層300は、液晶化合物310およびスペーサ320を含むものであってもよいし、例えば、光制御領域において第1電極層200-1および第2電極層200-2の間に備えられるものであってもよく、液晶層300の外周面に沿って形成されて液晶層300を密封させるシーラント330によって提供される空間内に位置することができる。
【0105】
前記液晶化合物310は、電界によって駆動されるもので、光の透過率を制御できるものであれば特に制限されず、従来または後に開発される液晶化合物を使用することができ、例えば、上述した偏光子の反応性液晶化合物に関する内容が同様に適用可能である。
【0106】
前記液晶化合物の液晶挙動方式は特に制限されるものではなく、例えば、TN(Twisted nematic)モード、STN(Super twisted nematic)モード、VA(Vertical alignment)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードなどが使用可能である。
【0107】
前記スペーサ320は、ボールスペーサ(Ball spacer)を含むことができ、前記ボールスペーサ(Ball spacer)は、1つ以上であってもよいし、直径が1~10μmであることが好ましい。また、平面方向からみて、前記ボールスペーサ(Ball spacer)が液晶層300に占める面積は、使用者の視認性および透光モードでの透過率向上の面で、液晶層300の面積に対して0.01~10%であることが好ましい。
【0108】
前記シーラント330は、ベース樹脂として硬化性樹脂を含むことができる。前記ベース樹脂としては、当業界でシーラントに使用できるもので公知の紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を使用することができる。前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性単量体の重合体であってもよい。前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性単量体の重合体であってもよい。
【0109】
前記シーラントのベース樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂または前記樹脂の混合物を使用することができる。一実施例において、前記ベース樹脂は、アクリレート系樹脂であってもよく、前記アクリレート系樹脂は、アクリル単量体の重合体であってもよい。前記アクリル単量体は、例えば、多官能性アクリレートであってもよい。他の実施例において、前記シーラントは、ベース樹脂に、単量体成分をさらに含むことができる。前記単量体成分は、例えば、単官能性アクリレートであってもよい。本明細書において、単官能性アクリレートは、アクリル基を1個有する化合物を意味することができ、多官能性アクリレートは、アクリル基を2個以上有する化合物を意味することができる。前記硬化性樹脂は、紫外線の照射および/または加熱によって硬化できる。前記紫外線の照射条件または加熱条件は、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜行われる。前記シーラントは、必要な場合、開始剤、例えば、光開始剤または熱開始剤をさらに含むことができる。
【0110】
前記シーラント330は、当該分野で通常使用される方法によって形成され、例えば、ノズルを備えるディスペンサを用いてシーラントを前記液晶層300の外郭(すなわち、不活性領域)にドローイングして形成される。
【0111】
本発明の透過率可変光学積層体は、本発明の目的を損なわない範囲内で他の部材をさらに含むものであってもよいし、例えば、粘着層400をさらに含むもの(
図3参照)であってもよく、接着層、紫外線吸収層、ハードコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0112】
前記粘着層400は、粘着剤を用いて形成され、光学積層体の取扱時に剥離、気泡などが発生しないように適切な粘着力を有すると同時に、透明性および熱安定性を有することが好ましい。
【0113】
前記粘着剤は、従来または後に開発される粘着剤を使用することができ、一または複数の実施例において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを使用することができる。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性を有するものであれば特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤および溶剤などを含むものであってもよい。
【0114】
前記架橋剤は、従来または後に開発される架橋剤を使用することができ、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってもよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0115】
前記溶剤は、樹脂組成物分野で使用される通常の溶媒を含むことができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒が使用できる。これらは単独であるいは2種以上が組み合わされて使用可能である。
【0116】
前記接着層は、接着剤を用いて形成され、光学積層体の取扱時に剥離、気泡などが発生しないように適切な接着力を有すると同時に、透明性および熱安定性を有することが好ましい。
【0117】
前記接着剤は、従来または後に開発される接着剤を使用することができ、例えば、光硬化性接着剤を使用することができる。
【0118】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)などの活性エネルギー線を受けて架橋および硬化して強い接着力を示すもので、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成される。
【0119】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決定する重要な成分で、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0120】
前記反応性モノマーは、前述した反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役割をし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0121】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカルあるいは陽イオンを生成させて光重合を開始する役割を果たすもので、光重合樹脂によって好適なものを選択して使用することができる。
【0122】
前記粘着層400または接着層の厚さは、粘接着体の役割を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などによって適宜決定可能である。一実施例において、前記粘接着層は、十分な粘接着力を確保し、光学積層体の厚さを最小化するために、0.01~50μmであってもよく、好ましくは、0.05~20μm、さらに好ましくは、0.1~10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0123】
前記紫外線吸収層は、紫外線による光学積層体の劣化を防止するためのものであれば特に制限されず、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p-tert-ブチルサリシレートなど)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(1-メチル-1-フェニルエチル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートとの混合物など)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-アクリレートなど)、トリアジン系紫外線吸収剤などを使用することができ、透明性が高く、偏光板や透過率可変層の劣化を防止する効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトルがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス(Bis)化したものであってもよいし、例えば、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール)、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール)などであってもよい。
【0124】
前記ハードコート層は、外部の物理的、化学的衝撃から偏光板、透過率可変層などの部材を保護するためのものであれば特に制限されず、従来または後に開発されるハードコート層が使用可能である。
【0125】
一実施例において、前記ハードコート層は、他の部材上にハードコート層形成用組成物を塗布した後、光または熱によって硬化させて形成される。前記ハードコート層形成用組成物は特に制限されず、例えば、光硬化性化合物および光開始剤を含むことができる。
【0126】
前記光硬化性化合物および光開始剤は、当分野で一般的に使用されるものを制限なく使用可能であり、例えば、前記光硬化性化合物は、光重合性モノマー、光重合性オリゴマーなどであってもよく、例えば、単官能および/または多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、光開始剤は、オキシムエステル系などが挙げられる。
【0127】
本発明は、前記透過率可変光学積層体に加えて、これを含むスマートウィンドウを含む。また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む交通手段、例えば、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りの少なくとも1つ以上に適用した自動車、前記スマートウィンドウを含むウェアラブル装置および建築用建具を含む。
【0128】
例えば、本発明のスマートウィンドウを含む自動車は、上述した光学積層体の両面上に車両用ガラス部材を接合したものであってもよく、例えば、光学積層体の両面上に接着フィルムおよび車両用ガラス部材を載せた後、Press machineを用いて、温度90℃および約1barの真空状態で10~20分間加熱して製造されたものであってもよく、前記接着フィルムは、EVAフィルム、PVBフィルムなどを含むものであってもよい。
【0129】
また、前記光学積層体の一面または両面上に建物用ガラス部材を接合したものであってもよく、光学積層体の一面上に建物用ガラス部材をラミネート方式で接合して、光学積層体の一面に建物用ガラス部材が付着した建具用スマートウィンドウ製品を製造することができ、光学積層体の両面上にUV接着剤を塗布した後、建物用ガラス部材を接合し、UV硬化して、光学積層体の両面に建物用ガラス部材が付着した建具用スマートウィンドウ製品を製造してもよい。
【0130】
以下、具体的に本発明の実施例を記載する。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現可能であり、単に本実施例は本発明の開示が完全となるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【実施例0131】
実施例および参考例_光学積層体の作製
実施例1
厚さ21μmのPVA延伸型偏光子の両面上に、UV接着剤を用いてTAC保護フィルムを積層した後、UV露光によって接着剤を硬化させて、偏光板を作製した。
【0132】
以後、前記偏光板の一面上に、バーコーターを用いて、導電性高分子溶液(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)(CleviosTM、ヘレウス社)0.6重量%、エタノール32.4重量%、脱イオン水40重量%および2-メトキシエタノール27重量%で混合した混合物)を塗布した後、80℃で2分間乾燥して、電極層を形成した。以後、ラビング(rubbing)配向方式で導電性高分子上にラビングローラ(rubbing roller)を回転させて物理配向を有するようにした。この時、ラビング工程を経た前記電極層の厚さは100nmであった。
【0133】
以後、前記電極層の上面上にボールスペーサ(SEKISUI社のSPシリーズ)を混合して製造された溶液を、スペーサ散布機(SDSS-KHU02、シンド技研社)に入れて、前記混合溶液を110℃の条件で散布し、20分間乾燥して、電極層の上面上にボールスペーサを形成した。
【0134】
以後、下部に配置される偏光板の電極層上に、シーラントディスペンサ(SHOTmini 200Ωx、MUSASHI社)を用いて、製品サイズに合わせてシーラント(UVF-006、7万mPa・s、SEKISUI社)を塗布した。その後、上部偏光板および下部偏光板の偏光軸が互いに0゜または90゜に平行に配置した状態で、液晶をODF(One Drop Filling)工程方式で注入しながら上部偏光板および下部偏光板を接合した。以後、シーラントラインに沿ってUV硬化(500mJ/cm2)を進行させて、実施例1の光学積層体を作製した。
【0135】
実施例2
電極層の厚さを250nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、実施例2の光学積層体を作製した。
【0136】
実施例3
電極層の厚さを500nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、実施例3の光学積層体を作製した。
【0137】
実施例4
電極層の厚さを1,000nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、実施例4の光学積層体を作製した。
【0138】
実施例5
電極層の厚さを2,000nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、実施例5の光学積層体を作製した。
【0139】
実施例6
電極層の厚さを3,000nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、実施例6の光学積層体を作製した。
【0140】
参考例1
電極層の厚さを90nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、参考例1の光学積層体を作製した。
【0141】
参考例2
電極層の厚さを3,200nmに作製したことを除けば、前記実施例1と同様に、参考例2の光学積層体を作製した。
【0142】
実験例:面抵抗およびクラック評価
(1)面抵抗評価
前記実施例および参考例の光学積層体に対して、面抵抗測定器(MCP-T370)を用いて電極層の面抵抗を測定した後、評価結果を下記表1に示した。
【0143】
<評価基準>
○:電極層の面抵抗が200Ω/□以下
×:電極層の面抵抗が200Ω/□超過
(2)クラック評価
前記実施例および参考例の光学積層体に対して、光学顕微鏡(Optical Microscope;OM)を用いて電極層表面のクラック(crack)を評価した後、評価結果を下記表1に示した。
【0144】
<評価基準>
○:電極層表面のクラック(crack)が視認されない
×:電極層表面のクラック(crack)が視認される
【0145】
【0146】
前記表を参照すれば、本発明による光学積層体は、配向膜を含まず、電極層自体に物理配向を形成しても、面抵抗に優れているだけでなく、電極層表面のクラック(crack)が発生しないことが分かる。
【0147】
一方、電極層の厚さが100nm未満である参考例1の光学積層体は、面抵抗が200Ω/□超過で実施例に比べて面抵抗がやや高いことが分かり、電極層の厚さが3,000nm超過である参考例2の光学積層体は、電極層表面のクラック(crack)が発生することが分かる。
【0148】
したがって、配向膜を含むことなく、電極層自体に物理配向を形成した本発明の光学積層体によって円滑な光学積層体としての駆動が可能であり、さらに好ましくは、電極層の厚さが100nm~3,000nmであることが分かる。