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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015579
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】汚泥処理方法及び汚泥処理システム
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/10 20060101AFI20240130BHJP
   G21F 9/26 20060101ALI20240130BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20240130BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G21F9/10
G21F9/26
G21F9/06 501
C02F11/00 C ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117724
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野溝 貞良
(72)【発明者】
【氏名】桑原 敦
(72)【発明者】
【氏名】池田 正人
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA02
4D059BJ00
4D059BK30
(57)【要約】
【課題】浄化槽に蓄積された汚泥を、効率的に取り除くためのことができる泥処理方法及び汚泥処理システムを提供する。
【解決手段】汚泥処理システム20は、トイレ11等から公共の下水道に排水される排水処理システム10に設けられている。トイレ11等から公共の下水道に排水される排水処理システム10に設けられている。排水設備と、汚水を放流する下水道との間に設けられ、一時的に蓄積する浄化槽15a,15bに蓄積された汚泥を処理する。汚泥処理システム20は、浄化槽15a,15bの汚泥を、ポンプ22を用いて汚泥槽21に排出し、汚泥槽21において、攪拌及び希釈した後、下水道に放流する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水設備と、前記排水設備からの汚水を放流する下水道との間に設けられ、一時的に蓄積する浄化槽に蓄積された汚泥を処理する汚泥処理方法であって、
前記浄化槽の前記汚泥を、ポンプを用いて汚泥槽に排出し、
前記汚泥槽において、攪拌及び希釈した後、前記下水道に放流することを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項2】
前記汚泥を、前記排水設備から排出される放射性物質の半減期以上の放置時間で、前記汚泥槽に貯留した後、前記下水道に放流することを特徴とする請求項1に記載の汚泥処理方法。
【請求項3】
前記排水設備を備える施設の放射性物質の使用状況において、使用される前記放射性物質を特定し、
前記放射性物質に応じた前記放置時間を特定することを特徴とする請求項2に記載の汚泥処理方法。
【請求項4】
前記汚泥における放射性物質に関する検査の結果が条件を満たす場合に、前記汚泥を前記汚泥槽に排出することを特徴とする請求項1に記載の汚泥処理方法。
【請求項5】
前記浄化槽として、第1及び第2の浄化槽を設け、
前記排水設備を備える施設の前記放射性物質の使用状況に応じて、使用していた前記第1の浄化槽を、前記排水設備と前記下水道から切り離して、前記第2の浄化槽に切り替えた後、前記第1の浄化槽の前記汚泥を、前記汚泥槽に排出することを特徴とする請求項4に記載の汚泥処理方法。
【請求項6】
放射性物質を用いる施設の排水設備と、前記排水設備からの汚水を放流する排水管と、前記排水設備と下水道との間に設けられ一時的に蓄積する浄化槽とを備え、前記浄化槽に蓄積された汚泥を処理する汚泥処理システムであって、
前記浄化槽からの汚泥を移送するための汚泥槽と、
前記汚泥槽に前記浄化槽からの前記汚泥を排出するための第1ポンプと、
前記汚泥槽から前記汚泥を前記下水道に放流するための第2ポンプと、を備え、
前記汚泥槽において、前記汚泥を攪拌及び希釈した後、前記下水道に放流することを特徴とする汚泥処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水設備から排出されて蓄積された汚泥の処理を行なう汚泥処理方法及び汚泥処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療において、放射性同位体(RI)を用いた検査や治療が行われている。この場合、検査や治療の前に、受診者や患者に、RIを含む薬剤が投与される。その後、人体に投与されたRIは、尿や糞便に混入されて排出される。
【0003】
ここで、RIは放射性物質であるため、RIを、通常の尿や糞便と同様に、そのまま下水道に排出することは問題がある。そこで、RIを投与された患者からのRIを含む排泄物を含む廃液の処理装置についての検討が行われている(例えば、特許文献1参照。)。この文献においては、患者に投与されたRIとしてヨウ素131(I-131)等の有機ハロゲン化合物を含む廃液を、有機ハロゲン化合物トラップに通過させることにより処理する。この場合、有機ハロゲン化合物を含む廃液を通過させる容器内に、有機ハロゲン化合物の分子内のハロゲン元素を選択的に無機化し、無機化したハロゲン元素を吸着保持するハロゲン吸着剤を充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-239190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、RIを含む排泄物も、浄化槽を通過する。この浄化槽においては、固形物を液体から分離している。そして、分離した固形物である汚泥は、浄化槽において蓄積されると、屎尿収集運搬用の吸上車(いわゆるバキュームカー)で回収される。しかしながら、浄化槽の設置場所が、建物の高層階や地下階等、ホースや配管の接続が困難な場所であったり、吸上車の寄り付きや駐車スペースの確保が困難な敷地の建物に設けられたりすることがある。これらの場合には、汚泥の回収時に、吸上車から浄化槽までを、長いホースや配管で接続する必要があった。このため、汚泥の回収時に手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する汚泥処理方法は、排水設備と、前記排水設備からの汚水を放流する下水道との間に設けられ、一時的に蓄積する浄化槽に蓄積された汚泥を処理する汚泥処理方法であって、前記浄化槽の汚泥を、ポンプを用いて汚泥槽に排出し、前記汚泥槽において、攪拌及び希釈した後、前記下水道に放流する。
【0007】
上記課題を解決する汚泥処理システムは、放射性物質を用いる施設の排水設備と、前記排水設備からの汚水を放流する排水管と、前記排水設備と下水道との間に設けられ一時的に蓄積する浄化槽とを備え、前記浄化槽に蓄積された汚泥を処理する汚泥処理システムであって、前記浄化槽からの汚泥を移送するための汚泥槽と、前記汚泥槽に前記浄化槽からの前記汚泥を排出するための第1ポンプと、前記汚泥槽から前記汚泥を前記下水道に放流するための第2ポンプと、を備え、前記汚泥槽において、前記汚泥を攪拌及び希釈した後、前記下水道に放流する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、浄化槽に蓄積された汚泥を、効率的に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における汚泥処理システムの構成を説明する説明図である。
図2】実施形態における管理装置のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態における汚泥処理の処理手順を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図3を用いて、汚泥処理方法及び汚泥処理システムを具体化した一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態における汚泥処理システム20と、この汚泥処理システム20が設けられる排水処理システム10を示している。排水処理システム10は、トイレ11等から公共の下水道との間に設けられる。本実施形態の汚泥処理システム20及び排水処理システム10は、RI検査を行なう医療機関等が入居しているビルの5階等に設けられる。更に、この医療機関(施設)においては、18F-FDG(18F-fluorodeoxyglucose)を含む薬剤を用いてRI検査を行なう場合を想定する。
【0011】
(排水処理システムの説明)
ここでは、まず、排水処理システム10の構成について説明する。
図1に示すように、排水処理システム10は、トイレ11からの屎尿や手洗い場等からの雑排水を処理し、下水管P6が接続される公共の下水道に放流するための設備である。排水処理システム10は、複数(ここでは2台)の浄化槽15a,15b、分配槽16、貯留槽17、希釈槽18を備える。各浄化槽15a,15bには、トイレ11や図示しない手洗い場等の排水設備からの排水が、排水管P1を介して供給される。排水管P1は、各浄化槽15a,15bに対応した分岐管を備え、各分岐管にはバルブV1a,V1bが設けられている。バルブV1a,V1bの開閉によって、トイレ11等の排水が供給される浄化槽15a,15bが1つだけ選択的に接続される。
【0012】
浄化槽15a,15bにおいては、沈殿によって固体と液体とを分離し、微生物による嫌気性と好気性の浄化作用を行なう。これにより、各浄化槽15a,15bにおいては、便やトイレットペーパー等の固形物が液体から分離されて汚泥として蓄積される。
【0013】
浄化槽15a,15bにおいて分離されて微生物によって浄化された排水は、排水管P2を介して分配槽16に供給される。排水管P2には、各浄化槽15a,15bに対応してバルブV2a,V2bが設けられている。分配槽16においては、pH調整剤によりPHの調整が行なわれる。
【0014】
そして、分配槽16からの排水は、排水管P3を介して貯留槽17に供給される。貯留槽17において、排水は、一時的に貯留される。
貯留槽17からの排水は、排水管P4を介して希釈槽18に供給される。希釈槽18においては、供給された排水を、希釈水により希釈する。
【0015】
更に、希釈槽18に接続される下水管P6には、モニタM1が設けられている。このモニタM1は、下水管P6に流れる排水の放射線量を計測する。そして、モニタM1において計測した値が規定の放射線量を超えた場合には、管理者端末35への通知を行なうとともに、下水管P6に設けたバルブ(図示せず)を閉じることにより下水道への放流を停止する。
【0016】
(汚泥処理システムの説明)
汚泥処理システム20は、汚泥槽21、ポンプ22,24、管理装置30及び管理者端末35を備える。
【0017】
汚泥槽21は、各浄化槽15a,15bにそれぞれ接続される分岐管P11,P12と、これらに接続される排出管P10とを介して、各浄化槽15a,15bに接続される。分岐管P11,P12には、それぞれバルブV3a,V3bが設けられる。
【0018】
汚泥槽21は、浄化槽15a,15bに蓄積した固形物が、所定量になった場合に排出するための容器である。本実施形態では、例えば、1年に1回程度、浄化槽15a,15bの固形物を排出する。浄化槽15a,15bから固形物を排出する際には、各分岐管P11,P12に設けられたバルブV3a,V3bを開く。各分岐管P11,P12の一端部の先端は、浄化槽15a,15bに堆積した固形物(汚泥)を排出するために、浄化槽15a,15bのそれぞれの底部に設けられている。各分岐管P11,P12の他端部は、1つの排出管P10に接続されている。
【0019】
更に、この汚泥槽21には、攪拌装置(図示せず)が設けられているとともに、希釈水が供給される供給管(図示せず)が接続される。
ポンプ22は、浄化槽15a,15bの固形物を、浄化槽15a,15bの液体とともに吸い出して、汚泥槽21に移動させる第1ポンプである。
【0020】
更に、汚泥槽21は、下水管P20を介して下水道に接続される。下水管P20には、ポンプ24が設けられる。ポンプ24は、汚泥槽21において希釈及び攪拌された汚泥を下水道へと放流する第2ポンプである。
【0021】
(管理装置)
管理装置30の機能的構成についての説明の前に、管理装置30及び管理者端末35を具体化するハードウェア構成について説明する。
【0022】
(ハードウェア構成)
図2を用いて、管理装置30及び管理者端末35を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0023】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースである。
入力装置H12は、管理者等からの入力を受け付ける装置である。
表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶装置H14は、管理装置30及び管理者端末35の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。
【0024】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、管理装置30及び管理者端末35における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0025】
(管理装置の各機能)
図1に示す管理装置30は、汚泥の管理処理を実行するコンピュータシステムである。この管理装置30は、浄化槽管理部31、汚泥排出部32及び通知部33を備え、これら各部の制御を実行する。
【0026】
本実施形態での浄化槽管理部31は、2台の浄化槽15a,15bと排水管P1,P2及び分岐管P11,P12との接続を制御する。この場合、浄化槽管理部31は、各各浄化槽15a,15bに蓄積された汚泥の量に応じて制御を行なう。このため、浄化槽管理部31は、浄化槽15a,15bに蓄積された汚泥量を計測する計測装置(図示せず)からの計測値を取得する。ここで、計測装置としては、例えば、浄化槽15a,15bの全体の重量を計測する重量計や浄化槽15a,15bに蓄積した汚泥の堆積量を計測する堆積計測器を用いることができる。更に、浄化槽管理部31は、取得した浄化槽15a,15bから汚泥を除去する時期を判断するための基準汚泥量を記憶する。
【0027】
汚泥排出部32は、浄化槽15a,15bから汚泥を除去する。この場合、汚泥排出部32は、システムタイマを用いて、使用後の浄化槽15a,15bが、放射性物質の半減期の時間を経過したか否かを判定する。このため、汚泥排出部32は、この医療機関で使用する放射性物質の半減期を記憶している。本実施形態では、使用している薬剤(18F-FDG)に含まれる放射性物質の半減期は半日(12時間)である。汚泥排出部32は、半減期が経過した後、汚泥を排出する浄化槽15a,15bを分岐管P11,P12に選択的に接続するとともに、ポンプ22を駆動する。
通知部33は、検査した水質等に異常があった場合等に管理者端末35に通知する。
管理者端末35は、管理者が携帯するコンピュータ端末である。
【0028】
(汚泥処理)
次に、上述した汚泥処理システム20が実行する汚泥処理について説明する。ここでは、2台の浄化槽15a(15b)のうち片方を選択的に使用するために、排水管P1,P2におけるバルブV1a,V2a(V1b,V2b)を開操作するとともに、バルブV1b,V2b(V1a,V2a)を閉操作する。以下の説明においては、浄化槽15aを、使用中の第1の浄化槽と想定し、浄化槽15bを、後続して使用する第2の浄化槽と想定して説明する。
【0029】
排水処理システム10においては、浄化槽15aが使用中の場合、排水管P1,P2におけるバルブV1a,V2aを開操作して、バルブV1b,V2bを閉操作する。この場合、トイレ11等からの汚水は、浄化槽15aを介して排水管P2に流れ、浄化槽15bには流れない。浄化槽15aにおいて、汚水から固形物を沈殿させて取り除いた廃液は、排水管P2から、分配槽16、排水管P3、貯留槽17、排水管P4、希釈槽18、下水管P6を介して下水道に放流される。
【0030】
この場合、図3に示すように、管理装置30の浄化槽管理部31は、使用中の浄化槽の蓄積状況の判定処理を実行する(ステップS1)。具体的には、浄化槽管理部31は、現在、開状態のバルブV1a,V2aに対応する浄化槽15aの計測装置が測定した汚泥の計測値を定期的に取得し、記憶している基準汚泥量を越えたか否かを判定する。ここで、基準汚泥量を越えていない場合には、浄化槽管理部31は、この処理を継続して実行する。
【0031】
一方、使用中の浄化槽15aの計測装置から取得した計測値が基準汚泥量を越えた場合には、管理装置30の浄化槽管理部31は、浄化槽の切替処理を実行する(ステップS2)。具体的には、浄化槽管理部31は、開状態のバルブV1a,V2aを閉操作するとともに、閉状態のV1b,V2bを開操作する。これにより、トイレ11等の排水設備からの排水は、浄化槽15bに流れ、浄化槽15aには流れない。そして、浄化槽15bにおいて、汚水から固形物を沈殿させて取り除いた廃液は、排水管P2から下水管P6を介して下水道に放流される。
【0032】
次に、管理装置30の汚泥排出部32は、半減期に応じた放置処理を実行する(ステップS3)。具体的には、汚泥排出部32は、システムタイマを用いて、バルブV1a,V2aを閉状態にしてからの経過時間(放置時間)を計測する。
【0033】
そして、放置時間が半減期(12時間)を越えた場合には、管理者端末35に、検査指示を送信する。ここで、管理者は、管理者端末35に受信した検査指示に応じて、浄化槽15aにおける上澄み液を採取する。そして、管理者は、採取した上澄み液が、排出可能な水質であることが確認できた場合には、管理者端末35を用いて、汚泥移送の指示を管理装置30に供給する。
【0034】
汚泥移送の指示を取得した管理装置30の汚泥排出部32は、汚泥槽への移送処理を実行する(ステップS4)。具体的には、汚泥排出部32は、浄化槽15aの分岐管P11のバルブV3aを開操作するとともに、ポンプ22を駆動する。これにより、浄化槽15aに蓄積した汚泥は、ポンプ22によって浄化槽15aから吸い出され、分岐管P11及び排出管P10を介して、汚泥槽21に排出される。そして、汚泥排出部32は、浄化槽15aにおける計測装置の計測値に基づいて浄化槽15aからの汚泥が十分に汚泥槽21に移送されたと判定した場合には、バルブV3aを閉操作するとともに、ポンプ22の駆動を停止する。
【0035】
次に、管理装置30の汚泥排出部32は、希釈及び攪拌処理を実行する(ステップS5)。具体的には、汚泥排出部32は、汚泥槽21の攪拌装置を駆動させることにより、汚泥槽21に移送された汚泥を攪拌する。そして、汚泥槽21に希薄水を供給して、汚泥を希釈する。
【0036】
そして、管理装置30の汚泥排出部32は、放流処理を実行する(ステップS6)。具体的には、汚泥排出部32は、ポンプ24を駆動して、汚泥槽21において希釈及び攪拌された汚泥を含む排水を、下水管P20及び下水管P6を介して下水道に排出する。
以上により、汚泥処理が終了する。
【0037】
なお、現在、使用中の浄化槽15bの計測装置から取得した汚泥の計測値が基準汚泥量を越えた場合には、浄化槽15bを、使用中の第1の浄化槽とし、浄化槽15aを、後続して使用する第2の浄化槽として、上述したステップS2以降の処理を、同様に行う。このようにして、浄化槽15a,15bを交互に使用する。
【0038】
(作用)
浄化槽15a,15bにおいて蓄積された汚泥を汚泥槽21に排出する。汚泥槽21において、希釈及び攪拌することにより、半減期を考慮して、下水道に排出可能な状態まで、放射性物質の影響が低減される。
【0039】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、汚泥処理システム20は、浄化槽15a,15bに蓄積された汚泥を、ポンプ22を用いて汚泥槽21に排出する。そして、汚泥槽21において、攪拌及び希釈した後、下水管P20,P6を介して下水道に放流する。これにより、浄化槽15a,15bに蓄積した汚泥を、吸上車を用いずに、排出することができる。
【0040】
(2)本実施形態では、汚泥処理システム20の浄化槽管理部31は、トイレ11等の排水設備からの浄化槽15aへの排水の供給を停止してからの放置時間が、使用する放射性物質の半減期を経過した場合に、汚泥槽21に移送する。これにより、放射性物質の放射線量が低くなった状態で浄化槽15aから他の場所に移動させることができる。
【0041】
(3)本実施形態では、汚泥処理システム20は、複数の浄化槽15a,15bを備える。そして、使用中の浄化槽15aの汚泥が基準汚泥量を越えた場合には、バルブV1a,V2a,V1b,V2bを切り替えて、浄化槽15bを使用する。これにより、浄化槽15aが汚泥除去作業中であっても、浄化槽15bを使用することにより、排水設備を使用し続けることができる。
【0042】
(4)本実施形態の汚泥処理システム20の汚泥排出部32は、計測した放置時間が、記憶している半減期(12時間)を越えた場合には、管理者端末35に検査指示を送信する。そして、浄化槽15aにおける上澄み液が、排出可能な水質であることが確認できた場合に、浄化槽15aの汚泥を汚泥槽21に移送する。これにより、浄化槽15aに蓄積している汚泥の性質を確認した上で、浄化槽15aから汚泥槽21に汚泥を移送することができる。
【0043】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、管理装置30の汚泥排出部32は、浄化槽15aを排水管P1,P2から切り離した後、浄化槽15aに排出された排液に含まれる放射線物質(18F-FDG)の半減期が経過した後、汚泥槽21に排出する。施設で使用される放射線物質の半減期の経過時間は、浄化槽15a,15bにおいて経過させる代わりに、浄化槽15a,15bから汚泥を移送した汚泥槽21から下水管P20に排水するまでの間に、放射線物質の半減期が経過するようにしてもよい。
【0044】
・上記実施形態においては、浄化槽15aから移送された汚泥を、汚泥槽21において希釈及び攪拌した。汚泥の希釈や攪拌は、汚泥槽21において行う場合に限られない。例えば、排出管P10に移送中に粉砕可能な設備を設け、排出管P10を通過中に、攪拌や希釈の一部を行なってもよい。
【0045】
・上記実施形態においては、汚泥処理システム20は、2台の浄化槽15a,15bを備える。汚泥処理システム20が備える浄化槽は、2台に限定されず、1台でもよいし、3台以上であってもよい。例えば、健診センタのように、2日程度の短い半減期の放射性物質を使用する医療機関には、1台の浄化槽を備える汚泥処理システムを設けてもよい。この場合、医療機関が、連休等の休みのときは浄化槽を停止することにより放置期間を経過させた後、浄化槽の汚泥を汚泥槽21に移送させる。これにより、1台の浄化槽であっても、汚泥を円滑に処理することができる。
【0046】
・上記実施形態においては、汚泥処理システム20の管理装置30は、使用中の浄化槽15aの蓄積状況に応じて、浄化槽15a,15bの切替を行なった。浄化槽15a,15bの切替は、蓄積状況だけに限られず、例えば、放射性物質の使用状況を考慮して行なってもよい。
【0047】
例えば、汚泥処理システム20の管理装置30は、浄化槽の汚泥の計測値が、基準汚泥量を超えた場合、放射性物質を使用する日時、使用する放射性物質の半減期を関連付けた使用状況情報を取得する。この場合、管理装置30は、放射線物質の使用を終了した後の期間が規定日数(例えば2日)を経過するまで待機する。
【0048】
そして、管理装置30は、待機後、ポンプ22を駆動して、浄化槽の汚泥を汚泥槽21に移送する。
これにより、浄化槽が1台だけの場合であっても、吸上車を用いずに、浄化槽の汚泥を取り除くことができる。
【0049】
・上記実施形態においては、RI検査を行なう医療機関の排水処理システム10に設けられる汚泥処理システム20として説明した。汚泥処理システムが設けられる排水処理システムは、RI検査を行なう施設に限られず、例えば、放射線物質を治療に用いる医療機関におけるシステムであってもよい。具体的には、汚泥処理システム20の管理装置30は、使用する放射線物質と、使用状況(スケジュール)とを用いて、使用された放射線物質、タイミング(使用時期)及び各放射線物質の半減期を特定する。そして、管理装置30は、特定された使用された放射線物質のタイミングを用いて、浄化槽に蓄積された放射線物質の半減期が経過するように、半減期に応じた放置処理(ステップ3)を実行する。
【0050】
更に、汚泥処理システム20の管理装置30が、放射線物質の半減期に応じた放置処理(ステップS3)において、放射線物質の半減期が経過した旨を、管理者端末35に通知してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、汚泥処理システム20の管理装置30は、浄化槽15aの上澄み液が、排出可能な水質であることが確認できた場合に、浄化槽15aの汚泥を移送する。これに代えて、排出可能な水質の確認を自動的に行なってもよいし、浄化槽15aから汚泥槽21への汚泥の移送を手動で行なってもよい。前者の場合には、浄化槽に性状検査器を設ける。そして、汚泥処理システム20の管理装置30は、放置時間が半減期を越えた場合に、性状検査器において検査を行ない、その検査結果が条件を満たす場合に、ポンプ22を稼働して、浄化槽15aの汚泥を汚泥槽21に移送してもよい。更に、この場合、浄化槽の上澄み液だけでなく蓄積された汚泥の性状も検査し、その検査結果が条件を満たす場合に、浄化槽15aの汚泥を汚泥槽21に移送してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、汚泥処理システム20は、浄化槽15a,15bのそれぞれに、汚泥槽21に続く分岐管P11,P12を設けた。汚泥処理システムは、浄化槽に、汚泥槽に続く分岐管P11,P12を予め設けなくてもよい。この場合には、汚泥処理システムは、浄化槽の汚泥を汚泥槽に移送する際に、手動により、汚泥を移送する浄化槽と汚泥槽とを接続する管路やホースを設けてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、汚泥処理システム20は、放置時間が半減期を経過した後、浄化槽15aにおける上澄み液の水質についての確認ができた場合に、浄化槽から汚泥槽に汚泥を移送した。放置時間が半減期を超えた場合に、公共の下水道に放流したよい場合には、上澄み液の水質検査を省略してもよい。
【符号の説明】
【0054】
M1…モニタ、P1,P2,P3,P4…排水管、P6,P20…下水管、P10…排出管、P11,P12…分岐管、V1a,V1b,V2a,V2b,V3a,V3b…バルブ、10…排水処理システム、11…トイレ、15a,15b…浄化槽、16…分配槽、17…貯留槽、18…希釈槽、20…汚泥処理システム、21…汚泥槽、22…第1ポンプとしてのポンプ、24…第2ポンプとしてのポンプ、30…管理装置、31…浄化槽管理部、32…汚泥排出部、33…通知部、35…管理者端末。
図1
図2
図3