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特開2024-155793ハウジングアセンブリ、コネクタおよび接続デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155793
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ハウジングアセンブリ、コネクタおよび接続デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20241024BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/648
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065903
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】10 2023 109 903.5
(32)【優先日】2023-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ホテア
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムト リパー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン リンゴス
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB07
5E021FC29
5E021FC38
5E021JA05
5E021LA10
5E021LA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接続デバイスを、少数の構成要素を有し、小型かつ高信頼なものとするデバイスを提供する。
【解決手段】コンタクトハウジング4は、コネクタ2のコンタクトユニットを受け入れるためのコンタクトチャンバ24と、ラッチ位置と解放位置との間で移動可能であり、ラッチ部52と、ラッチ部52に運動伝達可能に接続されたブロック部66と、少なくとも部分的にシールド要素6を受け入れるように構成されたシールドレセプタクルとを備え、ブロック部66は、ラッチ部52がその解放位置に配置されているときに、少なくとも部分的にシールドレセプタクルへと突出する。ラッチ部52がそのラッチ位置においてラッチ接続58を生じさせない限り、ブロック部66がシールドレセプタクルをブロックする。結果として、シールド要素6をシールドレセプタクルに挿入することができず、それにより、TPA機能が実現される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ(2)のためのハウジングアセンブリ(1)であって、前記ハウジングアセンブリ(1)は、コンタクトハウジング(4)およびシールド要素(6)を備え、

前記コンタクトハウジング(4)は、
- 前記コネクタ(2)のコンタクトユニット(12)を受け入れるための少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)と、
- ラッチ位置(54)と解放位置(56)との間で移動可能であり、前記ラッチ位置(54)において、受け入れられる前記コンタクトユニット(12)とのラッチ接続(58)を生じさせるように構成されている少なくとも1つのラッチ部(52)と、
- 前記少なくとも1つのラッチ部(52)に運動伝達可能に接続されている少なくとも1つのブロック部(66)と、
- 少なくとも部分的に前記シールド要素(6)を受け入れるように構成されているシールドレセプタクル(34)と
を備え、

前記少なくとも1つのブロック部(66)は、前記少なくとも1つのラッチ部(52)がその解放位置(56)に配置されているときに、少なくとも部分的に前記シールドレセプタクル(34)へと突出する、
ハウジングアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記ラッチ位置(54)における前記少なくとも1つのラッチ部(52)は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)へと突出する、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記ラッチ位置(54)において前記シールドレセプタクル(34)に受け入れられている前記シールド要素(6)は、前記少なくとも1つのラッチ部(52)をブロックする、
請求項1または2に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのラッチ部(52)および前記少なくとも1つのブロック部(66)は、一体に接続されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記シールドレセプタクル(34)は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)に沿って延び、前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)を少なくとも3つの側から取り囲む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記シールドレセプタクル(34)は、前記少なくとも1つのラッチ部(52)がその解放位置(56)に配置されているときに、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのブロック部(66)を受け入れるように構成されている逃し凹部(70)を形成し、
前記シールド要素(6)は、前記逃し凹部(70)に受け入れることが可能なロック部(72)を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのラッチ部(52)は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)と前記逃し凹部(70)との間に延びる自己支持ラッチランス(64)により形成されている、
請求項6に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記シールドレセプタクル(34)は、シールド挿入方向(42)から一方側において開口し、かつ/または前記シールド挿入方向からアクセス可能であり、
前記ラッチランス(64)の自由端部(68)は、前記シールド挿入方向(42)に向く、または、前記シールド挿入方向(42)の反対方向に向く、
請求項7に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記コンタクトハウジング(4)は、少なくとも部分的に互いに平行に延びる2つのコンタクトチャンバ(24)を備え、前記シールドレセプタクル(34)は、少なくとも部分的に前記2つのコンタクトチャンバ(24)の間に延びる、 請求項1から8のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのラッチ部(52)は、少なくとも部分的に前記2つのコンタクトチャンバ(24)の間に延びる、
請求項9に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記コンタクトハウジング(4)は、ラッチ位置(54)または解放位置(56)において互いに向かってまたは互いから離れるように移動可能であるように構成されている2つのラッチ部(52)を備える、
請求項1から10のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)と、相手側コネクタ(20)の相手側コンタクト(18)に接触するための少なくとも1つのコンタクトユニット(12)とを有するコネクタ(2)であって、

前記少なくとも1つのコンタクトユニット(12)は、前記コンタクトハウジング(4)の前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)に受け入れられ、前記少なくとも1つのラッチ部(52)と前記ラッチ接続(58)をなし、
前記シールド要素(6)は、前記シールドレセプタクル(34)に受け入れられ、前記ラッチ接続(58)を固定する、
コネクタ(2)。
【請求項13】
請求項12に記載のコネクタ(2)と、前記コネクタ(2)と相補的であるように構成されている相手側コネクタ(20)とを有する接続デバイス(22)であって、

前記コネクタ(2)および前記相手側コネクタ(20)は、互いに差し込み接続されるように構成され、
差し込まれた状態(76)における前記コネクタ(2)の前記シールド要素(6)は、少なくとも部分的に前記相手側コネクタ(20)へと突出する、
接続デバイス(22)。
【請求項14】
前記差し込まれた状態(76)における前記シールド要素(6)は、少なくとも3つの側から少なくとも部分的に前記相手側コネクタ(20)の相手側コンタクト(18)を取り囲む、
請求項13に記載の接続デバイス(22)。
【請求項15】
前記シールド要素(6)は、前記シールド要素(6)を前記コンタクトハウジング(4)および/または前記相手側コネクタ(20)に取り付け可能とする少なくとも1つの取付け部(44)を備える、
請求項13または14に記載の接続デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号線、高周波線、および/またはデータ線用コネクタのためのハウジングアセンブリに関する。本発明はさらに、コネクタ、ならびにコネクタおよび相手側コネクタを有する接続デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野で、コンタクトユニットがラッチ式に配置されるコネクタハウジングを有するシールド付き接続デバイスが用いられている。コンタクトユニットは、個々のコンタクト要素(例えばいわゆる圧着端子)、または複数のコンタクト要素を有するコンタクトマウントであってよい。
【0003】
接続デバイスを小型化するための不断の取り組みにより、可能な限り少数かつ可能な限り省スペースな構成要素を使用することが必要になっている。加えて、それぞれのコネクタハウジングにおけるコンタクトユニットに関する配置誤差が生じる場合が多い。これらの配置誤差は、未検出のままである場合、伝送の問題をもたらすか、またはさらにそれぞれの線の完全な故障をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、接続デバイスを、少数の構成要素を有し、小型かつ高信頼なものとするデバイスを作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、冒頭で述べた種類のハウジングアセンブリにより達成され、ハウジングアセンブリは、コンタクトハウジングおよびシールド要素を備え、コンタクトハウジングは、コネクタのコンタクトユニットを受け入れるためのコンタクトチャンバと、ラッチ位置(latching position)と解放位置(release position)との間で移動可能であり、ラッチ位置において、受け入れられるコンタクトユニットとのラッチ接続(latching connection)を生じさせるように構成されたラッチ部(latching section)と、ラッチ部に運動伝達可能に接続されたブロック部(blocking section)と、少なくとも部分的にシールド要素を受け入れるように構成されたシールドレセプタクル(shield receptacle)とを備える。
さらに、ブロック部は、ラッチ部がその解放位置に配置されているか、または少なくともそのラッチ位置から離れて配置されているときに、少なくとも部分的にシールドレセプタクルへと突出する。
【0006】
本明細書をより読みやすくする目的で、ハウジングアセンブリの一部の特徴は単数のみで言及されているが、これらの特徴が複数で存在してもよい。例えば、コンタクトハウジングは、少なくとも1つのコンタクトチャンバ、少なくとも1つのラッチ部、および少なくとも1つのブロック部を備える。
【0007】
本発明の利点は、ハウジングアセンブリがコネクタに設置された場合に生じる。設置中において、(シールド要素が存在しない状態で)最初にコンタクトユニットをコンタクトチャンバに挿入することが意図される場合がある。通常、コンタクトユニットおよびラッチ部は、前記ラッチ接続を生じさせ、ラッチ部は、その解放位置とそのラッチ位置との間で少なくとも一度交替する。その後、シールド要素がシールドレセプタクルに挿入される。
【0008】
ラッチ部がその解放位置に配置されたままである限り、ブロック部は、シールドレセプタクルへと突出することによりシールドレセプタクルをブロックする。結果として、この状態では、シールド要素をシールドレセプタクルに挿入することができない。同時に、この状態は、ラッチ部が当然その解放位置に配置され、特にそのラッチ位置に配置されていないため、ラッチ部が、挿入されたコンタクトユニットと前記ラッチ接続をなしていないことを示す。
【0009】
換言すると、コンタクトユニットがコンタクトチャンバに適切に「着座」しない場合、ラッチ部はラッチ位置に至ることができず、解放位置に留まる。結果として、このとき、ブロック部がシールド要素のシールドレセプタクルへの挿入を防止し、これが組立て作業員に認識され、配置誤差に関してコンタクトユニットを検査する動機として利用される。
【0010】
したがって、シールド要素は、実際のシールド機能に加えて、いわゆるTPA機能(端子位置保証)を果たす。この機能が既存のシールド要素に統合されることにより、追加のTPA要素が別個の構成要素として必要でなくなる。
【0011】
コンタクトハウジングおよびシールド要素は各々、独立した発明とみなされてもよく、これらは必ずしもハウジングアセンブリの一部として存在せず、代わりに互いに別個かつ独立である。
【0012】
本発明に係る解決策は、単独で有利であり任意に組み合わせることが可能なさらなる発展例により、さらに改善することができる。
【0013】
可能な実施形態によれば、コンタクトハウジングは、短絡を防止し電気的安全性を高めるために、電気絶縁材料から作製されてよい。またシールド要素は、シールド効果を向上させるために、導電材料から作製されてよい。
【0014】
コンタクトチャンバは、コンタクトチャンバが相手側コンタクトに対して一方側からアクセス可能であり、ワイヤまたはケーブルが反対側においてコンタクトユニットに繋がることができるように、コンタクトハウジングを貫通することが好ましい。
【0015】
ラッチ位置におけるラッチ部は、任意選択で、少なくとも部分的にコンタクトチャンバへと突出してよい。これは、コンタクトユニットの外側にいかなるラッチアームも必要ない(いわゆるクリーンボディ端子)ことを意味する。それらのラッチアームは、場合によっては、コンタクトユニットの輸送中に折れるおそれがある。
【0016】
既に述べたように、ブロック部は、ラッチ部が解放位置に配置されているときに、シールドレセプタクルへと突出する。この目的で、シールドレセプタクルは、少なくとも1つのラッチ部がその解放位置に配置されているときに、少なくとも部分的にブロック部を(シールド要素が存在しない状態で)受け入れるように構成された逃し凹部(evasion recess)を形成してよい。
【0017】
さらに、シールドレセプタクルは、少なくとも部分的にコンタクトチャンバに沿って、特にコンタクトチャンバに平行に延びてよい。さらに、シールドレセプタクルは、対となった互いに直角な、少なくとも3つ、特に4つの隣接する側から、コンタクトチャンバを取り囲んでよい。コンタクトハウジングが複数のコンタクトチャンバを備える場合、各コンタクトチャンバは、互いに直角な3つまたは4つの側からシールドレセプタクルにより取り囲まれてよい。結果として、シールドレセプタクルにおけるシールド要素は、コンタクトチャンバおよびそこに受け入れられたコンタクトユニットを対応する数の側から取り囲む。
【0018】
勿論、シールド要素は、それぞれのコンタクトユニットに対するシールド要素の包囲角度が少なくとも270°である限り、受け入れられたコンタクトユニットを、互いに直角でない複数の側から取り囲んでもよい。換言すると、シールド要素は、コンタクトチャンバに受け入れられたコンタクトユニットの周囲の少なくとも75%を包囲する。シールド要素は、例えば、U字形プロファイル、中空状プロファイル、円形プロファイル、多角形プロファイル、H字形プロファイル、二重U字形プロファイル、または二重T字形プロファイルを有する打抜き・曲げ加工部材(punched and bent member)であってよい。
【0019】
シールド要素の受け入れを簡単にするために、シールドレセプタクルは、シールド挿入方向における一方側において開口してよい。特に、シールドレセプタクルは、シールド挿入方向からアクセス可能であってよい。シールドレセプタクルへの受け入れ後のコンタクトハウジングへのより良好な取り付けのために、シールド要素は、シールド要素をコンタクトハウジングに取り付けることを可能とする取付け部を備えてよい。例えば、シールド要素は、シールドレセプタクル内の対応する数のラッチ凹部またはラッチ縁部にラッチ接続する1つまたは複数のラッチタブを備えてよい。
【0020】
既に述べたTPA機能を確実に果たすことを可能とするために、シールド要素は、好ましくはシールド要素の他の部分からシールド挿入方向に突出する検出部を有してよい。このとき、シールド要素は、まず検出部がシールドレセプタクルに挿入されてよく、検出部は、ブロック部がシールドレセプタクルをブロックする限り、ブロック部に突き当たる。
【0021】
さらなる可能な実施形態によれば、シールドレセプタクルにおけるシールド要素は、ラッチ部のその解放位置への動きに抵抗してよい。特に、シールド要素は、既に述べた逃し凹部に受け入れることが可能なロック部(lock section)を備えてよい。ロック部は、ブロック部に当接するように構成されてよい。好ましくは、検出部およびロック部は、互いに一致、合致、または対応してよい。
【0022】
これは、シールド要素がシールドレセプタクルになく、特にロック部が逃し凹部にない状態で、ラッチ部を任意の時点で解放位置に移動させることができ、結果としてコンタクトユニットをコンタクトチャンバに設置することができることを意味する。ラッチ部がこの目的で解放位置に移動していれば、場合によっては、コンタクトユニットが(意図してまたは意図せず)再びコンタクトチャンバから出ることもできる。しかしながら、シールド要素がシールドレセプタクルにあり、特にロック部が逃し凹部にあると、シールド要素がラッチ部のこの動きをブロック、防止、または無効化することで、二次固定機能を果たし、それにより、コンタクトユニットをコンタクトチャンバから取り外すことができなくなる。特に、ラッチ位置においてシールドレセプタクルに受け入れられたシールド要素は、ラッチ部をブロックする。
【0023】
ラッチ部は、一時的または恒常的な弾性変形、旋回、または曲げに応じて移動可能であってよい。例えば、製造の容易な実施形態によれば、ラッチ部は、自己支持ラッチランス(self-supporting latching lance)により形成されてよい。またラッチランスは、コンタクトハウジングと一体に形成されてよい。代替的に、ラッチ部は、コンタクトハウジングにおいて移動可能であるように保持され、任意選択で張力ばねによりラッチ位置または解放位置の方向に予荷重がかけられる、別個のスライドまたはチルト機構に配置されてもよい。
【0024】
ラッチ位置においてラッチ部に恒常的に荷重がかからないようにするために、既に述べたロック部は、力をかけることなくブロック部に当接してよい。これは、ロック部が、ブロック部およびそれに運動伝達可能に接続されたラッチ部を押圧せずに、それらの可動性を制限することが好ましいことを意味する。
【0025】
ハウジング構造をさらに簡略化するために、ラッチ部およびブロック部は、一体に接続されてよい。例えば、ブロック部も、既に述べたラッチランスにより形成され、ラッチ部およびブロック部は、共にラッチランスの自由端部または遠位端部に配置される。好ましくは、ラッチ部およびブロック部は、ラッチランスに対して自由端部または遠位端部の反対に位置し合う側に配置される。同様に既に述べたスライドまたはチルト機構の場合も、ラッチ部およびブロック部は各々、反対に位置し合う側に配置されてよい。
【0026】
ラッチランスは、任意選択で、少なくとも部分的にコンタクトチャンバと逃し凹部との間に延びてよい。ここで、ラッチ部はコンタクトチャンバに面していてよく、ブロック部は逃し凹部に面していてよい。これにより、ラッチランスをコンタクトチャンバから逃し凹部に、またその逆に旋回させることができるため、単純な動作順序が得られる。
【0027】
さらに、ラッチランスの自由端部または遠位端部は、シールド挿入方向に向いていてよい。換言すると、ラッチランスの近位端部は、シールド挿入方向においてラッチランスの自由端部または遠位端部の前方に配置される。これは、シールド要素が、シールドレセプタクルに押し込まれたときに、ラッチランスに引っ掛かり、ラッチランスが場合によっては曲がるかまたはさらに折れることを防止する。
【0028】
さらに、ラッチランスの自由端部または遠位端部は、シールド挿入方向の反対方向に向いていてよい。この場合、ラッチランスの自由端部または遠位端部は、シールド挿入方向においてラッチランスの近位端部の前方に配置される。この実施形態では、シールド要素をシールドレセプタクルに過度に深く押し込む必要なく、シールド要素の既に説明したTPA機能が比較的早く効果を生じる。これにより、時間の節約をもたらすことができる。
【0029】
上記で既に示したように、コンタクトハウジングは、少なくとも部分的に互いに平行に延びる2つのコンタクトチャンバを備えてよい。これは、ハウジングアセンブリの適用分野を、2つのコンタクトユニットを有するコネクタを含むように広げることができることを意味する。
【0030】
シールドレセプタクルは、少なくとも部分的に2つのコンタクトチャンバの間に延びてよい。したがって、シールドレセプタクルにおけるシールド要素は、2つのコンタクトユニットを互いからシールドすることができる。
【0031】
ラッチ部、ブロック部、および/またはロック部は、同様に、少なくとも部分的に2つのコンタクトチャンバの間に延びてよい。ラッチ部、ブロック部、および/またはロック部のこの省スペースな配置により、小型のハウジングアセンブリが得られる。
【0032】
コンタクトハウジングは、任意選択で、それぞれのラッチ位置またはそれぞれの解放位置において互いに向かってまたは互いから離れるように移動可能であるように構成された2つのラッチ部を備えてよい。特に、各コンタクトチャンバについて別個のラッチ部が設けられてよい。これにより、コンタクトユニットをそれぞれのコンタクトチャンバにおいて個別にかつ互いに独立して設置することが可能となる。
【0033】
各ラッチ部について、別個の逃し凹部が存在してよい。また、各逃し凹部について、別個のブロック部および/または別個のロック部が設けられてよい。代替的に、全てのラッチ部について、共通の逃し凹部が設けられてもよい。このとき、共通のブロック部および/または共通のロック部があれば十分である。
【0034】
冒頭で述べた根本的目的はまた、上記の実施形態のうちの1つに係るハウジングアセンブリと、相手側コネクタの相手側コンタクトに接触するためのコンタクトユニットとを有するコネクタにより達成することができる。このとき、コンタクトユニットは、コンタクトハウジングのコンタクトチャンバに受け入れられ、ラッチ部とラッチ接続をなし、シールド要素は、シールドレセプタクルに受け入れられ、ラッチ接続を固定する。
【0035】
本明細書をより読みやすくする目的で、ハウジングアセンブリの一部の特徴は単数のみで言及されているが、これらの特徴が複数で存在してもよい。例えば、コネクタは、少なくとも1つのコンタクトユニットを備える。
【0036】
コネクタは、本発明に係るハウジングアセンブリの既に説明した利点の恩恵を受ける。特に、シールド要素がシールドレセプタクルに受け入れられること自体が、コンタクトチャンバにおけるコンタクトユニットの正しい配置を示す(すなわちTPA機能)。また、今後コンタクトユニットが移動したときに配置誤差が生じる可能性がないことも確実になる(二次固定機能)。
【0037】
上記のコネクタと、コネクタと相補的であるように構成されている相手側コネクタとを有する接続デバイスもまた、冒頭で述べた目的を達成し、コネクタおよび相手側コネクタは、互いに差し込み接続されるように構成され、互いに差し込み接続された状態におけるコネクタのシールド要素は、少なくとも部分的に相手側コネクタへと突出する。相手側コネクタは、コネクタのコンタクトハウジングと同様に構成されたコネクタハウジングを備えてよい。相手側コネクタの相手側コンタクトは、ラッチ式にコネクタハウジングに受け入れられてよく、相手側コンタクトは、コンタクトユニットと相補的でありコンタクトユニットと差し込み接続されるように構成される。
【0038】
本明細書をより読みやすくする目的で、ハウジングアセンブリの一部の特徴は単数のみで言及されているが、これらの特徴が複数で存在してもよい。例えば、接続デバイスは、少なくとも1つの相手側コンタクトを備える。
【0039】
接続デバイスは、本発明に係るハウジングアセンブリおよび本発明に係るコネクタの既に説明した利点の恩恵を受ける。シールド要素は相手側コネクタにも延びるので、接続デバイスを両方のコネクタについて単一のシールド要素で済むようにすることが特に有利である。
【0040】
互いに差し込み接続された場合、シールド要素は、対となった互いに直角にまたは斜めに延びる少なくとも3つ、特に4つの隣接する側から、少なくとも部分的に相手側コネクタの相手側コンタクトを取り囲むことが好ましい。相手側コンタクトに対するシールド要素の包囲角度は、少なくとも270°である。換言すると、シールド要素は、相手側コンタクトの周囲の少なくとも75%を包囲する。
【0041】
シールド要素は、任意選択で、相手側コンタクトと相手側コネクタとの間のさらなるラッチ接続を固定してよい。換言すると、シールド要素は、相手側コンタクトについても同様のTPA機能および二次固定機能を果たすことができる。
【0042】
シールド要素の事前のおよび/または最終的な組み付けを簡略化するために、既に述べた取付け部を有するシールド要素は、代替的にまたは追加的に、相手側コネクタに取り付け可能であるように構成されてよい。これは、シールドレセプタクルのラッチ凹部またはラッチ縁部とラッチ接続する既に述べたラッチタブに加えてまたはそれに代えて、シールド要素が、相手側コネクタのラッチ凹部またはラッチ縁部とラッチ接続するラッチタブを備えてよいことを意味する。
【0043】
以下、いくつかの例示的実施形態に基づき、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。それらの実施形態の様々な特徴は、上記の知見に従って必要に応じて互いに組み合わされてよい。特に、個々の特徴の効果が特定の用途に必要である場合、これらの特徴は上記の説明に従って記載の実施形態に加えられてよい。反対に、個々の特徴の技術的効果が特定の用途において重要でない場合、これらの特徴は既存の実施形態から省略されてよい。図面における類似の、同一の、および機能的に同一の要素には、適切である限りにおいて、同じ参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】分解図としての、第1の例示的実施形態に係るコネクタの模式的な斜視図である。
図2図1のコネクタを通る模式的な断面図である。
図3】第2の例示的実施形態に係るコネクタの模式的な断面図である。
図4】例示的実施形態に係る接続デバイスの模式的な断面図である。
図5図4の接続デバイスのさらなる模式的な断面図である。
図6図3の詳細図である。
図7】例示的実施形態に係るシールド要素の打抜き外形の模式図である。
図8図7のシールド要素のさらなる加工における後続のステップの模式的な斜視図である。
図9図8のシールド要素のさらなる加工における後続のステップの模式的な断面図である。
図10図9のシールド要素のさらなる加工における後続のステップの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1図3および図6は、様々な図および実施形態におけるコネクタ2の一部としてのハウジングアセンブリ1を示す。ハウジングアセンブリ1は、電気絶縁材料(例えばプラスチック材料)から作製されるコンタクトハウジング4と、導電材料(例えば金属)から作製されるシールド要素6とを備える。図7図10は、以下でより詳細に説明する、製造中におけるシールド要素6の例示的な加工ステップを示す。特に、シールド要素6は、打抜き・曲げ加工部材8であってよい。コンタクトハウジング4は、射出成形部材10であってよい。
【0046】
コネクタ2は、ハウジングアセンブリ1とは別に、少なくとも1つのコンタクトユニット12を備える。コンタクトユニット12は、複数のコンタクト要素16を有するコンタクトマウント14を備えてよい。図示の実施形態において、コネクタ2は、2つのそのようなコンタクトユニット12を備える。代替的に、コンタクトユニットは、個々のコンタクト要素(例えばいわゆる圧着端子)であってもよい。コンタクトユニット12は各々、接続デバイス22の相手側コネクタ20の相手側コンタクト18と接触するために用いられる。接続デバイス22は、図4および図5に示されている。
【0047】
図1において見ることができるように、コンタクトハウジング4は、各々がコネクタ2の1つのコンタクトユニット12を受け入れるためのそれぞれのコンタクトチャンバ24を備える。それぞれのコンタクトチャンバ24は、コンタクトチャンバ24が対応する相手側コンタクト18に対して一方側26からアクセス可能であり、ワイヤ30またはケーブル32が反対側28においてコンタクトユニット12に繋がることができるように、コンタクトハウジング4を貫通することが好ましい。図示の実施形態によれば、コンタクトハウジング4は、少なくとも部分的に互いに平行に延びる2つのコンタクトユニット12について2つのコンタクトチャンバ24を備えてよい。
【0048】
コンタクトハウジング4が、少なくとも部分的にシールド要素6を受け入れるように構成されたシールドレセプタクル34を備えることも、図1において見ることができる。シールドレセプタクル34は、少なくとも部分的にコンタクトチャンバ24に沿って、特にコンタクトチャンバ24に平行に延びてよい。特に、シールドレセプタクル34は、それぞれのコンタクトユニット12に繋がるワイヤ30またはケーブル32のシールド編組体36またはシールドフィルム38が延びるコンタクトハウジングの箇所まで延びる。
【0049】
さらに、シールドレセプタクル34は、少なくとも部分的に2つのコンタクトチャンバ24の間に延びてよい。したがって、シールドレセプタクル34におけるシールド要素6は、2つのコンタクトチャンバ24における2つのコンタクトユニット12を互いからシールドすることができる。
【0050】
加えて、シールドレセプタクル34は、コンタクトチャンバ24を少なくとも3つの隣接する側から取り囲んでよい。このとき、シールドレセプタクル34におけるシールド要素6も同様に、コンタクトチャンバ24およびそこに受け入れられたコンタクトユニット12を3つの側から取り囲む。ただし、360°のシールドが必要である場合、シールドレセプタクル34およびシールド要素6は各々、コンタクトチャンバ24を4つの側から取り囲んでよい。
【0051】
シールド要素6は、図7に示す打抜き外形40を有する、打抜いて曲げ加工された部材であってよい。後続の曲げ加工(図8図10参照)により、シールド要素6には、図1に示すように、二重U字形プロファイル、H字形プロファイル、または二重T字形プロファイルが与えられてよい。二重T字形プロファイルは、2つのコンタクトチャンバ24を各々3つの側から取り囲むために特に好適である。コンタクトハウジング4が1つのコンタクトチャンバのみを備える場合は、単純なU字形プロファイル(不図示)で十分である。既に述べた360°のシールドのためには、シールド要素6を中空状プロファイル(不図示)で構成することが望ましい。
【0052】
シールド要素6の受け入れを簡単にするために、シールドレセプタクル34は、シールド挿入方向42における一方側において開口してよい。シールドレセプタクル34への受け入れ後のコンタクトハウジング4へのより良好な取り付けのために、シールド要素6は、シールド要素6をコンタクトハウジング4に取り付けることを可能とする取付け部44を備えてよい。例えば、シールド要素は、シールドレセプタクル34内の対応する数のラッチ凹部48またはラッチ縁部50とラッチ接続する1つまたは複数のラッチタブ46を備えてよい。
【0053】
図2の断面図から見ることができるように、コンタクトハウジング4は、各コンタクトチャンバ24におけるラッチ部52を備える。各コンタクトチャンバ24について別個のラッチ部52が設けられることが好ましい。各ラッチ部52は、ラッチ位置54(図2および図3参照)と解放位置56(図6参照)との間で移動可能である。図2に示す2つのラッチ部52は、それぞれのラッチ位置54またはそれぞれの解放位置56において互いに向かってまたは互いから離れるように移動可能であるように構成される。
【0054】
さらに、各ラッチ部52は、ラッチ位置54において、受け入れられたコンタクトユニット12とのラッチ接続58を形成するように構成される。この目的で、ラッチ位置54における各ラッチ部52は、少なくとも部分的に対応するコンタクトチャンバ24へと突出してよい。ここで、ラッチ部52は、図2に示すように、コンタクトユニット12のラッチ縁部60の後方に係合してよい。代替的に、ラッチ部52は、コンタクトユニット12のラッチ凹部62に係合してもよい(図3参照)。
【0055】
各ラッチ部52は、一時的または恒常的な弾性変形、旋回、または曲げに応じて移動可能であってよい。例えば、各ラッチ部52は、自己支持ラッチランス64により形成されてよい。またラッチランス64は、コンタクトハウジング4と一体に形成されてよい。代替的に、ラッチ部は、コンタクトハウジングにおいて移動可能であるように保持され、任意選択で張力ばね(不図示)によりラッチ位置または解放位置の方向に予荷重がかけられる、別個のスライド(不図示)またはチルト機構(不図示)に配置されてもよい。
【0056】
コンタクトユニット12の配置誤差を検出するために、コンタクトハウジング4は、各ラッチ部52についてブロック部66を備え、その機能について以下で説明する。
【0057】
各ブロック部66は、その対応するラッチ部52に運動伝達可能に接続される。特に、ラッチ部52およびブロック部66は、一体に接続されてよい。例えば、ブロック部66および対応するラッチ部52は、既に述べたラッチランス64により形成され、ラッチ部52およびブロック部66は、共にラッチランスの自由端部または遠位端部68に配置される。好ましくは、ラッチ部52およびブロック部66は、ラッチランス64に対して自由端部または遠位端部68の反対に位置し合う側に配置される。
【0058】
さらに、それぞれのブロック部66は、対応するラッチ部52がその解放位置56に配置されているときに、少なくとも部分的にシールドレセプタクル34へと突出する(図6参照)。この目的で、シールドレセプタクル34は、少なくとも1つのラッチ部52がその解放位置56に配置されているか、または少なくともそのラッチ位置54から離れているときに、(シールド要素が存在しない状態で)少なくとも部分的にブロック部66を受け入れるように構成された逃し凹部70を形成してよい。
【0059】
コネクタを組み立てるときに、まずコンタクトユニット12をコンタクトチャンバ24に挿入した後にのみシールド要素6をシールドレセプタクル34に挿入することが意図される場合、シールド要素6は、実際のシールド機能に加えて、コンタクトユニット12の配置誤差を特定するために用いられ得るいわゆるTPA機能(端子位置保証)を有してよい。
【0060】
基本的に、コンタクトユニット12およびラッチ部52は各々、組み立て中に前記ラッチ接続58を形成し、各ラッチ部52は、その解放位置56とそのラッチ位置54との間で少なくとも一度交替する。この位置変化によりクリック音が生じるが、これは、特に雑音の多い工場ホールでは、聞き逃されやすい場合がある。
【0061】
この理由から、コンタクトユニット12がコンタクトチャンバに適切に「着座」せず、ラッチ部52とのラッチ接続58を確立しないという事態が生じる場合が多い。この状態において、特にラッチ部52はその解放位置56に留まっているか、または少なくともそのラッチ位置54に配置されていないため、ブロック部66は、シールドレセプタクル34へと突出することによりシールドレセプタクル34をブロックする。結果として、この状態では、シールド要素6をシールドレセプタクル34に挿入することができない。これが組立て作業員に認識され、配置誤差に関してコンタクトユニット12を検査するきっかけとして利用される。
【0062】
ブロック部66はまた、シールド要素6と協働して、以下で説明するように、コンタクトユニット12の意図しない変位により生じる配置誤差の防止を確実にすることができる。
【0063】
この目的で、シールドレセプタクル34におけるシールド要素6は、ラッチ部52のその解放位置56への動きに抵抗してよい。特に、シールド要素6は、既に述べた逃し凹部70に受け入れることが可能であり、ブロック部66に当接するように構成されたロック部72を備えてよい(図2および図3参照)。例えば、ロック部72は、好ましくは、シールド要素6の他の部分からシールド挿入方向42に突出してよい。ロック部72はまた、検出部として機能し、ブロック部66がシールドレセプタクル34をブロックしているときにブロック部66に突き当たってもよい。
【0064】
これは、シールド要素6がシールドレセプタクル34に配置され、特にロック部72が逃し凹部70に配置されると、シールド要素がラッチ部52のその解放位置56への動きをブロック、防止、または無効化することを意味する。シールド要素6がシールドレセプタクル34になく、特にロック部72が逃し凹部70にない状態でのみ、ラッチ部52を解放位置56に移動させ、コンタクトユニット12をコンタクトチャンバ24から非破壊的に取り外すことができる。同様に、シールド要素6が存在しない状態でのみ、コンタクトユニット12をコンタクトチャンバ24に設置することができる。したがって、シールド要素6は、ラッチ接続58を固定する二次固定機能を果たす。
【0065】
全てのラッチ部52について、共通の逃し凹部70が設けられてよい。したがって、共通のロック部72があれば十分である。不図示の代替的実施形態によれば、各ラッチ部について別個の逃し凹部が存在してもよい。このとき、各逃し凹部について別個のロック部72が設けられてもよい。
【0066】
ラッチ位置54においてラッチ部52に恒常的に荷重がかからないようにするために、既に述べたロック部72は、力をかけることなくブロック部66に当接してよい。これは、ロック部72が、ブロック部66およびそれに運動伝達可能に接続されたラッチ部52を押圧せず、単にそれらの可動性を制限することが好ましいことを意味する。
【0067】
ラッチ部52、ブロック部66、および/またはロック部72は、少なくとも部分的に2つのコンタクトチャンバ24の間に延びてよい。さらに、ラッチランス64は、少なくとも部分的に対応するコンタクトチャンバ24と逃し凹部70との間に延びてよい。ここで、ラッチ部52はコンタクトチャンバ24に面していてよく、ブロック部66は逃し凹部70に面していてよい。さらに、ラッチランス64の自由端部または遠位端部68は、図2に示すように、シールド挿入方向42に向いていてよい。換言すると、ラッチランス64の近位端部74は、シールド挿入方向42においてラッチランス64の自由端部または遠位端部68の前方に配置される。これは、シールド要素6が、シールドレセプタクル34に押し込まれたときに、ラッチランス64に引っ掛かり、場合によってはラッチランス64を曲げるかまたはさらに折ることを防止する。
【0068】
図3に示す代替的実施形態によれば、ラッチランス64の自由端部または遠位端部68は、シールド挿入方向42の反対方向に向いていてよい。この場合、ブロック部66の自由端部または遠位端部68は、シールド挿入方向42においてラッチランス64の近位端部74の前方に配置される。図6において明確に見ることができるように、上記で説明したシールド要素6のTPA機能は、シールド要素6をシールドレセプタクル34に深く押し込む必要なく、この実施形態では既に効果を生じている。
【0069】
図4は、上記のコネクタ2と、コネクタ2と相補的であるように構成された相手側コネクタ20とを有する接続デバイス22の断面図を示す。コネクタ2および相手側コネクタ20は、互いに差し込み接続されるように構成され、差し込まれた状態76におけるコネクタ2のシールド要素6は、少なくとも部分的に相手側コネクタ20へと突出する。
【0070】
相手側コネクタ20は、コネクタ2のコンタクトハウジング4と同様に構成されたコネクタハウジング78を備えてよい。コネクタハウジング78には、各コンタクトユニット12についての相手側コネクタ20の相手側コンタクト18が、ラッチ式に受け入れられてよい。ここで、各相手側コンタクト18は、対応するコンタクトユニット12と相補的であり、対応するコンタクトユニット12と差し込み接続されるように構成される。差し込まれた状態76において、シールド要素6は、それぞれの相手側コンタクト18に繋がるワイヤ30またはケーブル32のシールド編組体36またはシールドフィルム38が延びる箇所まで、相手側コネクタ20へと突出する。シールド要素6は、少なくとも3つ、特に4つの隣接する側から、少なくとも部分的にそれぞれの相手側コンタクト18を取り囲むことが好ましい。
【0071】
図4に示すように、シールド要素6は、相手側コネクタ20におけるシールド要素6も1つまたは複数のラッチランス64に当接する、相手側コンタクト18と相手側コネクタ20との間のさらなるラッチ接続58を固定することができる。換言すると、シールド要素6は、相手側コンタクト18について同様のTPA機能および二次固定機能を果たすこともできる。
【0072】
シールド要素6が、取付け部44により相手側コネクタ20に取り付けられるように構成されてもよいことが、図7において破線90により示されている。特に、シールド要素6は、相手側コネクタ20のラッチ凹部(不図示)またはラッチ縁部(不図示)とラッチ接続することが可能なさらなるラッチタブ46を備えてよい。これにより、シールド要素6の事前のおよび/または最終的な組み付けが簡略化する。
【0073】
最後に、図7図10を参照して、シールド要素6の製造プロセスを例として説明する。打抜きプロセスの後、シールド要素6は、図7に示す打抜き外形40を有するブランク80として存在してよい。特に、後のラッチタブ46および後のロック部72を既に見ることができる。加えて、シールド要素6は、後のロック部72に関して対称に反対側に配される位置に、2つのキャッチ部82、例えばタイン84およびポケット86を備える。
【0074】
まず、ラッチタブ46が角度を付けて曲げられ、タイン84がブランク80の平面に垂直に同じ側に曲げられる。次いで、ブランク80が、長い曲げ縁部88で、U字形状チャネルを有する図8に示す形状に曲げられる。ここで、ラッチタブ46およびタイン84は、このチャネルから離れる方向に向く。次いで、タイン84がポケット86に入るように、ブランク80がロック部72で曲げられる(図9参照)。最後に、タイン84が曲げ返されて、キャッチを形成する(図10参照)。結果として得られるシールド要素6が、図1において斜視図で示されている。
【0075】
説明した打抜き・曲げプロセスに代えて、シールド要素6は、金属薄板片同士の溶接および/または差し込みにより製造されてもよい。特に、ここで、モジュール方式が用いられてよい。シールド要素6は、焼結、鋳造、または溶射されてもよい。3Dプリンティングプロセスも、シールド要素6の製造に好適である。
【符号の説明】
【0076】
1 ハウジングアセンブリ
2 コネクタ
4 コンタクトハウジング
6 シールド要素
8 打抜き・曲げ加工部材
10 射出成形部材
12 コンタクトユニット
14 コンタクトマウント
16 コンタクト要素
18 相手側コンタクト
20 相手側コネクタ
22 接続デバイス
24 コンタクトチャンバ
26 側
28 側
30 ワイヤ
32 ケーブル
34 シールドレセプタクル
36 シールド編組体
38 シールドフィルム
40 打抜き外形
42 シールド挿入方向
44 取付け部
46 ラッチタブ
48 ラッチ凹部
50 ラッチ縁部
52 ラッチ部
54 ラッチ位置
56 解放位置
58 ラッチ接続
60 ラッチ縁部
62 ラッチ凹部
64 ラッチランス
66 ブロック部
68 端部
70 逃し凹部
72 ロック部
74 端部
76 互いに差し込み接続された状態
78 コネクタハウジング
80 ブランク
82 キャッチ部
84 タイン
86 ポケット
88 曲げ縁部
90 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ(2)のためのハウジングアセンブリ(1)であって、前記ハウジングアセンブリ(1)は、コンタクトハウジング(4)およびシールド要素(6)を備え、

前記コンタクトハウジング(4)は、
- 前記コネクタ(2)のコンタクトユニット(12)を受け入れるための少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)と、
- ラッチ位置(54)と解放位置(56)との間で移動可能であり、前記ラッチ位置(54)において、受け入れられる前記コンタクトユニット(12)とのラッチ接続(58)を生じさせるように構成されている少なくとも1つのラッチ部(52)と、
- 前記少なくとも1つのラッチ部(52)に運動伝達可能に接続されている少なくとも1つのブロック部(66)と、
- 少なくとも部分的に前記シールド要素(6)を受け入れるように構成されているシールドレセプタクル(34)と
を備え、

前記少なくとも1つのブロック部(66)は、前記少なくとも1つのラッチ部(52)がその解放位置(56)に配置されているときに、少なくとも部分的に前記シールドレセプタクル(34)へと突出する、
ハウジングアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記ラッチ位置(54)における前記少なくとも1つのラッチ部(52)は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)へと突出する、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記ラッチ位置(54)において前記シールドレセプタクル(34)に受け入れられている前記シールド要素(6)は、前記少なくとも1つのラッチ部(52)をブロックする、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのラッチ部(52)および前記少なくとも1つのブロック部(66)は、一体に接続されている、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記シールドレセプタクル(34)は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)に沿って延び、前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)を少なくとも3つの側から取り囲む、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記シールドレセプタクル(34)は、前記少なくとも1つのラッチ部(52)がその解放位置(56)に配置されているときに、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのブロック部(66)を受け入れるように構成されている逃し凹部(70)を形成し、
前記シールド要素(6)は、前記逃し凹部(70)に受け入れることが可能なロック部(72)を備える、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのラッチ部(52)は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)と前記逃し凹部(70)との間に延びる自己支持ラッチランス(64)により形成されている、
請求項6に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記シールドレセプタクル(34)は、シールド挿入方向(42)から一方側において開口し、かつ/または前記シールド挿入方向からアクセス可能であり、
前記自己支持ラッチランス(64)の自由端部(68)は、前記シールド挿入方向(42)に向く、または、前記シールド挿入方向(42)の反対方向に向く、
請求項7に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記コンタクトハウジング(4)は、少なくとも部分的に互いに平行に延びる2つのコンタクトチャンバ(24)を備え、前記シールドレセプタクル(34)は、少なくとも部分的に前記2つのコンタクトチャンバ(24)の間に延びる、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのラッチ部(52)は、少なくとも部分的に前記2つのコンタクトチャンバ(24)の間に延びる、
請求項9に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記コンタクトハウジング(4)は、ラッチ位置(54)または解放位置(56)において互いに向かってまたは互いから離れるように移動可能であるように構成されている2つのラッチ部(52)を備える、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)と、相手側コネクタ(20)の相手側コンタクト(18)に接触するための少なくとも1つのコンタクトユニット(12)とを有するコネクタ(2)であって、

前記少なくとも1つのコンタクトユニット(12)は、前記コンタクトハウジング(4)の前記少なくとも1つのコンタクトチャンバ(24)に受け入れられ、前記少なくとも1つのラッチ部(52)と前記ラッチ接続(58)をなし、
前記シールド要素(6)は、前記シールドレセプタクル(34)に受け入れられ、前記ラッチ接続(58)を固定する、
コネクタ(2)。
【請求項13】
請求項12に記載のコネクタ(2)と、前記コネクタ(2)と相補的であるように構成されている相手側コネクタ(20)とを有する接続デバイス(22)であって、

前記コネクタ(2)および前記相手側コネクタ(20)は、互いに差し込み接続されるように構成され、
差し込まれた状態(76)における前記コネクタ(2)の前記シールド要素(6)は、少なくとも部分的に前記相手側コネクタ(20)へと突出する、
接続デバイス(22)。
【請求項14】
前記差し込まれた状態(76)における前記シールド要素(6)は、少なくとも3つの側から少なくとも部分的に前記相手側コネクタ(20)の相手側コンタクト(18)を取り囲む、
請求項13に記載の接続デバイス(22)。
【請求項15】
前記シールド要素(6)は、前記シールド要素(6)を前記コンタクトハウジング(4)および/または前記相手側コネクタ(20)に取り付け可能とする少なくとも1つの取付け部(44)を備える、
請求項13に記載の接続デバイス。
【外国語明細書】